(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069278
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】管理装置及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20220428BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178371
(22)【出願日】2020-10-23
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】507338862
【氏名又は名称】株式会社アネムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】肥川 正嗣
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】教育学習支援機関の信頼度を高めることができる、管理装置及び管理プログラムを提供する。
【解決手段】管理装置1は、学習情報受信部2と、生徒情報記録部3と、学習情報送信部4と、既退塾生徒情報記録部5と、退塾予測部6と、講師情報抽出部7と、教室長伝達情報受信転送部8と、講師伝達情報受信転送部9と、映像配信部10と、映像記録部11と、学習推移情報送信部12とを備える。学習情報送信部4は、生徒情報記録部3が生徒情報と対応させて記録した学習情報を、この生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ、インターネット18を介して送信可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
教育学習支援機関における生徒の学習に関する情報である学習情報を受信可能な学習情報受信部と、
前記学習情報受信部が受信した前記学習情報を、同学習情報の対象となった生徒の生徒情報と対応させて記録可能な生徒情報記録部と、
前記生徒情報記録部が前記生徒情報と対応させて記録した前記学習情報を、同生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ送信可能な学習情報送信部とを備える
管理装置。
【請求項2】
前記生徒情報記録部が記録した前記学習情報は、前記生徒の試験結果と、同生徒の授業態度に関する評価を含んでおり、
前記教育学習支援機関から脱退した生徒の同教育学習支援機関における学習に関する情報であると共に前記学習情報の項目内容と対応した項目内容を含む既脱退生徒学習情報を、同既脱退生徒学習情報の対象となった既脱退生徒の既脱退生徒情報と対応させて記録可能な既脱退生徒情報記録部と、
前記生徒情報記録部が記録した前記学習情報と前記既脱退生徒情報記録部が記録した前記既脱退生徒学習情報とを対比して、同生徒情報記録部が記録した前記生徒情報に対応した生徒の、前記教育学習支援機関からの脱退可能性を予測可能な脱退予測部とを備える
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記生徒情報記録部が記録した前記学習情報は、前記生徒を教えた教授者に関する情報と、同教授者の指導方法に関する情報を含んでおり、
前記脱退予測部が予測した脱退可能性の高い生徒を教えた教授者に関する情報と同教授者の指導方法に関する情報を、前記生徒情報記録部から抽出可能な教授者情報抽出部を備える
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記教育学習支援機関の管理者から同教育学習支援機関の教授者への伝達情報である管理者伝達情報を、同教育学習支援機関の管理者が使用する管理者端末から受信可能であると共に同教育学習支援機関の教授者が使用する教授者端末へ転送可能な管理者伝達情報受信転送部と、
前記教授者から前記管理者への伝達情報である教授者伝達情報を、前記教授者端末から受信可能であると共に前記管理者端末へ転送可能な教授者伝達情報受信転送部と、
前記管理者伝達情報または前記教授者伝達情報に対応した授業映像または映像教材を、前記生徒情報記録部が記録した前記生徒情報に対応した生徒が使用する生徒端末へ配信可能な映像配信部とを備える
請求項1、請求項2または請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
端末からの要求に応じて、前記生徒情報記録部が前記生徒情報と対応させて記録した前記学習情報の所定の期間における推移を示す学習推移情報を同端末へ送信可能な学習推移情報送信部を備える
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
教育学習支援機関の業務管理を支援するための管理プログラムであって、
情報処理機器を、
教育学習支援機関における生徒の学習に関する情報である学習情報を受信可能な学習情報受信部と、
前記学習情報受信部が受信した前記学習情報を、同学習情報の対象となった生徒の生徒情報と対応させて記録可能な生徒情報記録部と、
前記生徒情報記録部が前記生徒情報と対応させて記録した前記学習情報を、同生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ送信可能な学習情報送信部と、
を備える手段として機能させるための管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管理装置及び管理プログラムに関する。詳しくは、例えば、学習塾の業務を管理するための管理装置及び管理プログラムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
少子化が進む中、進学や就職において子供に苦労をさせたくないという親の思いから、通塾率は増加の傾向にある。
こうした背景の中、他の業界からも様々な企業が新規参入を果たしているのが、学習塾業界である。
【0003】
学習塾を開業するにあたって資格を必要とせず、初心者でも始め易いというのが学習塾の最大の特徴である。授業を行うスペースさえ確保できれば学習塾の開業は可能であり、飲食店のような設備投資を必要としない。
また、学習塾は繁華街などの一等地に構える必要はなく、初期投資費用を大幅に抑えることができる。
さらに、学習塾業は他業種に比べて顧客単価が高く、会員制で毎月安定した収益を見込むことができ、低リスクで運営できることも魅力の一つである。
【0004】
一方で、学習塾の運営において大きな負担となっているのが、煩雑な事務作業であり、他のサービス業と比べても生徒管理、授業日程の構築、保護者とのコミュニケーションなど煩雑な業務が多い。
【0005】
そこで、このような負担を軽減すべく、様々な業務管理技術が提案されている。
例えば特許文献1には、塾の運営に関わる各種業務を一括して管理するための塾業務管理システムが記載されている。
【0006】
すなわち、特許文献1に記載の塾業務管理システムは、本部と1以上の支局とから構成される塾チェーンの塾業務管理プログラムを格納した記憶媒体を具備し、通信回線を介して端末と接続できるサーバコンピュータを備える。
【0007】
また、塾業務管理プログラムは、支局管理データベース、教室データベース、塾生データベース及び講師データベースと、支局管理手段及び予約手段とを備える。
【0008】
また、支局管理データベースは支局に関する情報を蓄積する。
また、教室データベースは、本部及び支局が保有する教室の使用状況を蓄積する。
また、塾生データベースは、塾生が受講する授業のスケジュール情報を含む塾生情報を蓄積する。
また、講師データベースは講師情報を蓄積する。
【0009】
また、支局管理手段は、支局管理データベース、塾生データベース及び講師データベースを参照及び更新して、支局の運営管理に必要な支局情報を管理する。
また、予約手段は、支局管理データベース、教室データベース、塾生データベース及び講師データベースを参照及び更新して、塾生の授業の予約管理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の塾業務管理システムは、子供が学習塾でどのようなことを学んでいるかを保護者に伝える手段を備えておらず、保護者は、学習塾を信じて子供を通塾させるしかなく、子供の成績がなかなか向上しない場合には学習塾への不信感を募らせ易いという問題があった。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、教育学習支援機関の信頼度を高めることができる、管理装置及び管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の管理装置は、教育学習支援機関における生徒の学習に関する情報である学習情報を受信可能な学習情報受信部と、前記学習情報受信部が受信した前記学習情報を、同学習情報の対象となった生徒の生徒情報と対応させて記録可能な生徒情報記録部と、前記生徒情報記録部が前記生徒情報と対応させて記録した前記学習情報を、同生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ送信可能な学習情報送信部とを備える。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明の管理プログラムは、教育学習支援機関の業務管理を支援するための管理プログラムであって、情報処理機器を、教育学習支援機関における生徒の学習に関する情報である学習情報を受信可能な学習情報受信部と、前記学習情報受信部が受信した前記学習情報を、同学習情報の対象となった生徒の生徒情報と対応させて記録可能な生徒情報記録部と、前記生徒情報記録部が前記生徒情報と対応させて記録した前記学習情報を、同生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ送信可能な学習情報送信部と、を備える手段として機能させるためのものである。
【0015】
ここで、教育学習支援機関における生徒の学習に関する情報である学習情報を受信可能な学習情報受信部によって、例えば教授者が使用するタブレット端末から授業中でも生徒の授業進捗情報などの学習情報を受信できる。
【0016】
また、生徒情報記録部が生徒情報と対応させて記録した学習情報を、この生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ送信可能な学習情報送信部によって、保護者は、子供が教育学習支援機関例えば学習塾において学んだ内容を把握することができる。
【0017】
また、本発明の管理装置において、生徒情報記録部が記録した学習情報は、生徒の試験結果と、生徒の授業態度に関する評価を含んでおり、教育学習支援機関から脱退した生徒の教育学習支援機関における学習に関する情報であると共に学習情報の項目内容と対応した項目内容を含む既脱退生徒学習情報を、既脱退生徒学習情報の対象となった既脱退生徒の既脱退生徒情報と対応させて記録可能な既脱退生徒情報記録部と、生徒情報記録部が記録した学習情報と既脱退生徒情報記録部が記録した既脱退生徒学習情報とを対比して、生徒情報記録部が記録した生徒情報に対応した生徒の、教育学習支援機関からの脱退可能性を予測可能な脱退予測部とを備える構成とすることができる。
【0018】
この場合、脱退予測部は、教育学習支援機関例えば学習塾からの退塾可能性が高い生徒を特定できるので、その生徒に対して適切な対処を行ない易くなり、その生徒や保護者に対して安心感を与えることができると共に、退塾を低減し易くなるので学習塾の経営の安定化につなげることができる。
【0019】
さらに、本発明の管理装置において、生徒情報記録部が記録した学習情報は、生徒を教えた教授者に関する情報と、教授者の指導方法に関する情報を含んでおり、本発明の管理装置は、脱退予測部が予測した脱退可能性の高い生徒を教えた教授者に関する情報と教授者の指導方法に関する情報を、生徒情報記録部から抽出可能な教授者情報抽出部を備える構成とすることができる。
【0020】
この場合、教育学習支援機関例えば学習塾からの退塾可能性が高い生徒を生み出した原因の一つと考えられる教授者とその指導方法を特定できるので、その教授者に対して適切な対処を行ない易くなり、また、指導方法の見直しも行うことができ、退塾を低減し易くなるので学習塾の経営の安定化につなげることができる。
【0021】
また、本発明の管理装置は、教育学習支援機関の管理者から教育学習支援機関の教授者への伝達情報である管理者伝達情報を、教育学習支援機関の管理者が使用する管理者端末から受信可能であると共に教育学習支援機関の教授者が使用する教授者端末へ転送可能な管理者伝達情報受信転送部と、教授者から管理者への伝達情報である教授者伝達情報を、教授者端末から受信可能であると共に管理者端末へ転送可能な教授者伝達情報受信転送部と、管理者伝達情報または教授者伝達情報に対応した授業映像または映像教材を、生徒情報記録部が記録した生徒情報に対応した生徒が使用する生徒端末へ配信可能な映像配信部とを備える。
【0022】
この場合、管理者伝達情報受信転送部によって、管理者は、教授者が携帯している教授者端末へ、授業中でも生徒への連絡事項など様々な伝達情報を送信することができ、特に緊急の連絡事項を伝える場合に適している。
【0023】
また、教授者伝達情報受信転送部によって、教授者は、授業中でも管理者端末へ授業内容など様々な伝達情報を送信することができ、管理者は、授業が終わっていなくても授業内容などを把握できる。
【0024】
また、映像配信部によって、管理者伝達情報または教授者伝達情報に対応した授業映像または映像教材を配信し、きめ細かい内容のオンライン授業を行うことができる。
【0025】
また、本発明の管理装置は、端末からの要求に応じて、生徒情報記録部が記録した生徒情報に含まれる学習情報の所定の期間における推移を示す学習推移情報を端末へ送信可能な学習推移情報送信部を備える構成とすることができる。
【0026】
この場合、保護者との面談時に、子供の学習推移情報を端末の画面に表示させて保護者に見せることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る管理装置は、教育学習支援機関の信頼度を高めることができる。
本発明に係る管理プログラムは、教育学習支援機関の信頼度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明を適用した管理装置を用いた管理システムの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した管理装置を用いた管理システムの構成の一例を示す概略図である。
【0030】
図1に示す管理システム100は、学習塾の業務管理のためのシステムである。
ここで、学習塾は教育学習支援機関の一例であり、その他にも教育学習支援機関として学校教育機関(高校、大学)、予備校、英会話スクールなどが挙げられ、これらの機関の業務管理のためのシステムとして、管理システム100を利用できることは勿論である。
【0031】
また、管理システム100は、本発明の管理装置1と、講師端末20と、教室長端末30と、保護者端末40と、生徒端末50とを備える。
また、これら装置や端末は、互いにインターネット18を介して通信可能である。
すなわち、本発明の管理装置1が、管理システム100のサーバの役割を果たしている。
【0032】
ここで、インターネット18は通信回線の一例であり、適宜、LAN回線など通常使用されている通信回線を介して、本発明の管理装置1や各端末は通信を行なうことができる。
【0033】
また、講師端末20は、学習塾の講師が使用するタブレット型またはラップトップ型の携帯端末である。ここで講師は、教授者の一例である。
また、教室長端末30は、学習塾の教室長が使用するタブレット型またはラップトップ型の携帯端末である。
【0034】
また、保護者端末40は、学習塾に通う生徒の保護者が使用する携帯端末すなわちスマートフォンである。
また、生徒端末50は、学習塾に通う生徒の家族が共有するパーソナルコンピュータ、または生徒の携帯端末すなわちスマートフォンである。
【0035】
また、本発明の管理装置1は、学習情報受信部2を備える。
ここで、学習情報受信部2は、学習塾における現在通塾している生徒の学習に関する情報である学習情報を、インターネット18を介して受信可能である。
【0036】
また、学習情報は、具体的には例えば、授業の進捗、生徒の試験結果、生徒の授業態度に関する評価、生徒の授業理解度、生徒を教えた講師に関する情報、講師の指導方法に関する情報である。
【0037】
また、講師によって操作された講師端末20が学習情報を送信したり、教室長によって操作された教室長端末30が学習情報を送信したりして、学習情報受信部2が学習情報を受信する。
【0038】
また、本発明の管理装置1は、生徒情報記録部3を備える。
ここで、生徒情報記録部3は、学習情報受信部2が受信した学習情報を、この学習情報の対象となった生徒の生徒情報と対応させて記録可能である。
【0039】
また、生徒情報は、具体的には例えば、生徒の氏名、識別番号、学年、住所及び連絡先(スマートフォンの電話番号やメールアドレスなど)、並びに保護者の氏名及び連絡先(スマートフォンの電話番号やメールアドレスなど)である。
【0040】
また、本発明の管理装置1は、学習情報送信部4を備える。
ここで、学習情報送信部4は、生徒情報記録部3が生徒情報と対応させて記録した学習情報を、この生徒情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末へ、インターネット18を介して送信可能である。
【0041】
このとき、学習情報送信部4が送信する学習情報は、保護者が見て進捗などが判り易い内容とすることができる。
例えば、生徒が学ぶべき全体の学習量に対する既に生徒が学習した学習量の割合を図示した内容、試験結果と学習量の進捗とを対応させて生徒の学習進捗と理解度を示した内容とすることができる。
【0042】
また、本発明の管理装置1は、既退塾生徒情報記録部5を備える。
ここで、既退塾生徒情報記録部5は、学習塾から退塾した生徒の学習塾における学習に関する情報であると共に学習塾に通っている生徒の学習情報の項目内容と対応した項目内容を含む既退塾生徒学習情報を、この既退塾生徒学習情報の対象となった既退塾生徒の既退塾生徒情報と対応させて記録可能である。
また、既退塾生徒情報記録部5は既脱退生徒情報記録部の一例である。
【0043】
また、本発明の管理装置1は、退塾予測部6を備える。
ここで、退塾予測部6は、生徒情報記録部3が記録した学習情報と既退塾生徒情報記録部5が記録した既退塾生徒学習情報とを対比して、生徒情報記録部3が記録した生徒情報に対応した生徒の、学習塾からの退塾可能性を予測可能である。
また、退塾予測部6は脱退予測部の一例である。
【0044】
すなわち、退塾予測部6は、通塾中の生徒の学習情報例えばチェックテストの推移や授業態度の推移と、過去に退塾した生徒の学習情報である既退塾生徒学習情報例えばチェックテストの推移や授業態度の推移とを対比し、このように学習情報の互いの項目内容が対応していることから、既に退塾した生徒と通塾中の生徒との関連性について、人工知能(AI)技術などを利用して分析して、通塾中の生徒の中で同じように推移している生徒を生徒情報記録部3が記録した生徒情報の中から抽出し、この生徒は学習塾からの退塾可能性が「高い」または「極めて高い」と予測する。
【0045】
一方、退塾予測部6は、通塾中の生徒の学習情報と、既退塾生徒学習情報とを対比し、通塾中の生徒の中で推移が似ていない、または異なっている生徒を生徒情報記録部3が記録した生徒情報の中から抽出し、この生徒は学習塾からの退塾可能性が「低い」または「極めて低い」と予測する。
【0046】
また、退塾可能性の表し方はこのような高低表現に限らず適宜変更でき、例えば、「退塾確率80%」、「退塾確率15%」という具体的な数値で表して予測したり、「極めて高い(退塾確率90%)」、「低い(退塾確率30%)」というように高低表現と数値を一緒に表して予測したりすることもできる。
【0047】
また、退塾予測部6は、退塾可能性を予測する過程の中で、人工知能(AI)技術などを利用して通塾中の生徒の今後のテストの得点を予測することができる。
すなわち、退塾予測部6は、通塾中の生徒の学習情報例えば試験結果の推移やチェックテストの推移と、既退塾生徒学習情報例えば試験結果の推移やチェックテストの推移とを対比し、既に退塾した生徒と通塾中の生徒との関連性について、人工知能(AI)技術などを利用して分析して、通塾中の生徒の中で同じように推移している生徒を生徒情報記録部3が記録した生徒情報の中から抽出し、この生徒の今後のテストの得点を予測することができる。
【0048】
既退塾生徒情報記録部5は既脱退生徒情報記録部の一例であり、退塾予測部6は脱退予測部の一例である。
【0049】
また、本発明の管理装置1は、講師情報抽出部7を備える。
ここで、講師情報抽出部7は、退塾予測部6が予測した退塾可能性の高い生徒を教えた講師に関する情報とこの講師の指導方法に関する情報を、生徒情報記録部3から抽出可能である。
【0050】
また、講師情報抽出部7はさらに、退塾予測部6が予測した退塾可能性の低い生徒を教えた講師に関する情報とこの講師の指導方法に関する情報も、生徒情報記録部3から抽出可能である。
この場合、生徒の、学習塾からの退塾可能性を低く抑えている理由の一つと考えられる講師すなわち教授者とその指導方法を特定できるので、その教授者の待遇を改善したり、その指導方法を参考にしたりでき、学習塾すなわち教育学習支援機関のサービスの質の向上を図ることができる。
講師情報抽出部7は教授者情報抽出部の一例である。
【0051】
また、本発明の管理装置1は、教室長伝達情報受信転送部8を備える。
ここで、教室長伝達情報受信転送部8は、学習塾を構成する各教室の管理者である教室長からこの学習塾の講師への伝達情報である教室長伝達情報を、教室長端末30からインターネット18を介して受信可能であると共に講師端末20へ、インターネット18を介して転送可能である。
また、教室長伝達情報受信転送部8は管理者伝達情報受信転送部の一例である。
【0052】
また、本発明の管理装置1は、講師伝達情報受信転送部9を備える。
ここで、講師伝達情報受信転送部9は、講師から教室長への伝達情報である講師伝達情報を、講師端末20からインターネット18を介して受信可能であると共に教室長端末30へ、インターネット18を介して転送可能である。
【0053】
また、本発明の管理装置1は、映像配信部10を備える。
ここで、映像配信部10は、教室長伝達情報または講師伝達情報に対応した授業映像または映像教材を、生徒情報記録部が記録した前記生徒情報に対応した生徒が使用する生徒端末50へ、インターネット18を介して配信可能である。
【0054】
また、本発明の管理装置1は、映像記録部11を備える。
ここで、映像記録部11は、学習塾の授業で使用される、授業映像や映像教材を記録可能である。
すなわち、映像配信部10は、映像記録部11を参照して、映像記録部11が記録した授業映像または映像教材の中から、教室長伝達情報または講師伝達情報に対応した授業映像または映像教材を抽出して配信する。
【0055】
また、本発明の管理装置1は、学習推移情報送信部12を備える。
ここで、学習推移情報送信部12は、端末からの要求に応じて、生徒情報記録部3が記録した生徒情報に含まれる学習情報の所定の期間例えば半年における推移を示す学習推移情報を端末へ送信可能である。
学習推移情報は、グラフなど推移が判り易い内容のものが好ましい。
【0056】
また、本発明の管理装置1に対して学習推移情報を要求できる端末は、学習推移情報が生徒の個人情報であることを考慮して、本発明の管理装置との通信を認証された端末である。
【0057】
また、本発明の管理装置1は、生徒情報記録部3が記録した学習情報である試験結果の中の悪い結果を招いた試験問題に基づいて、その試験問題に類似した試験問題である弱点対策試験問題を作成可能な試験問題作成部を備えることができる。
【0058】
本発明の管理装置は、必ずしも既退塾生徒情報記録部すなわち既脱退生徒情報記録部及び退塾予測部すなわち脱退予測部を備えていなくてもよい。
【0059】
しかし、本発明の管理装置が、既脱退生徒情報記録部及び脱退予測部を備えていれば、脱退予測部が、学習塾からの退塾可能性が高い生徒を特定できるので、その生徒に対して適切な対処を行ない易くなり、その生徒や保護者に対して安心感を与えることができると共に、退塾を低減し易くなるので学習塾の経営の安定化につなげることができるので、好ましい。
【0060】
また、本発明の管理装置は、必ずしも講師情報抽出部すなわち教授者情報抽出部を備えていなくてもよい。
【0061】
しかし、本発明の管理装置が、教授者情報抽出部を備えていれば、学習塾からの退塾可能性が高い生徒を生み出した原因の一つと考えられる教授者とその指導方法を特定できるので、その教授者に対して適切な対処を行ない易くなり、また、指導方法の見直しも行うことができ、退塾を低減し易くなるので学習塾の経営の安定化につなげることができ、好ましい。
【0062】
また、本発明の管理装置は、必ずしも教室長伝達情報受信転送部すなわち管理者伝達情報受信転送部と、講師伝達情報受信転送部すなわち教授者伝達情報受信転送部と、映像配信部とを備えていなくてもよい。
【0063】
しかし、本発明の管理装置が、管理者伝達情報受信転送部を備えていれば、管理者は、教授者が携帯している教授者端末へ、授業中でも生徒への連絡事項など様々な伝達情報を送信することができ、特に緊急の連絡事項を伝える場合に適しており、好ましい。
【0064】
また、本発明の管理装置が、教授者伝達情報受信転送部を備えていれば、教授者は、授業中でも管理者端末へ授業内容など様々な伝達情報を送信することができ、管理者は、授業が終わっていなくても授業内容などを把握できるので、好ましい。
【0065】
また、本発明の管理装置が、映像配信部を備えていれば、管理者伝達情報または教授者伝達情報に対応した授業映像または映像教材を配信し、きめ細かい内容のオンライン授業を行うことができるので、好ましい。
【0066】
また、本発明の管理装置は、必ずしも学習推移情報送信部を備えていなくてもよい。
しかし、本発明の管理装置が、学習推移情報送信部を備えていれば、保護者との面談時に、子供の学習推移情報を端末の画面に表示させて保護者に見せることができるので、好ましい。
【0067】
また、本発明の管理装置は、必ずしも映像記録部を備えていなくてもよい。
例えば、本発明の管理装置とは別の外部記録装置が授業映像や映像教材を記録しておき、本発明の管理装置の映像配信部は、インターネットを介して外部記録装置にアクセスし、外部記録装置を参照して、外部記録装置が記録した授業映像または映像教材の中から、教室長伝達情報または講師伝達情報に対応した授業映像または映像教材を抽出して配信することもできる。
【0068】
また、本発明の管理プログラムは、インターネット回線に接続できる通常の情報処理機器にインストールされることができ、インストールされた情報処理機器を、本発明の管理装置1として機能させる。
【0069】
すなわち、本発明の管理プログラムをインストールされた情報処理機器は、本発明の管理装置1が備える、学習情報受信部2と、生徒情報記録部3と、学習情報送信部4と、既退塾生徒情報記録部5と、退塾予測部6と、講師情報抽出部7と、教室長伝達情報受信転送部8と、講師伝達情報受信転送部9と、映像配信部10と、映像記録部11と、学習推移情報送信部12と同じ機能を備えるようになる。
【0070】
次に、本発明の管理装置を利用した学習塾の業務管理作業の一例を説明する。
【0071】
学習塾の講師が講師端末20を用いて、本発明の管理装置1にログインすると、講師端末20の画面には、講師専用ページが表示される。
【0072】
また、講師専用ページには、例えば、「生徒氏名」、「座席」、「学年」、「入退室」、「科目」、「学習プログラム」、「アクション」、「コメント」、「次回通塾日」の項目名が表示され、生徒ごとに各項目に対応する情報が表示される。
【0073】
ここで、「生徒氏名」の項目には、講師が担当する生徒の姓と識別番号が表示され、「学年」の項目には生徒の学年が表示される。
また、これらの情報は本発明の管理装置1の生徒情報記録部3が記録した、現在通塾している生徒の生徒情報に基づいている。
【0074】
また、「入退室」の項目には、生徒が携帯するカードを用いて入室操作を行なった場合は「入室」と表示され、生徒が携帯するカードを用いて退室操作を行なった場合は「退室」と表示され、カードを用いた操作が行われていない場合は「-」が表示される。
【0075】
また、講師は、講師端末20の画面に表示された講師専用ページを通して、各項目の編集が可能である。
例えば、「アクション」の項目には、「授業入力」の文字が表示されており、「授業入力」の文字を含む所定の区画をタップすると、別のページが講師端末20の画面に表示される。
【0076】
別のページには、一人の生徒に対する指導方法、学習単元、生徒の学習態度の評価、授業で行なう内容、理解度の評価、次回授業日、次回学習単元などが表示され、適宜、これらを編集することができる。
【0077】
また、講師は、講師端末20の画面に表示された講師専用ページを通して、定期テストの範囲を登録することができる。
【0078】
また、「コメント」の項目には、本発明の管理装置1が教室長端末30から教室長伝達情報を受信している場合には「コメントあり」の文字が表示され、本発明の管理装置1の教室長伝達情報受信転送部8が、教室長伝達情報を講師端末20へ転送する。
これにより、教室長は、授業中でも生徒への連絡事項など様々な伝達情報を講師に伝え、講師はその伝達情報を生徒へ伝えることができる。
【0079】
また、講師も、講師端末20から講師伝達情報を本発明の管理装置1へ送信でき、本発明の管理装置1の講師伝達情報受信転送部9が、受信した講師伝達情報を教室長端末30へ転送する。
これにより、講師は、授業中でも授業内容を教室長へ伝えることができる。
【0080】
また、講師は、授業の終了後などに、講師端末20の画面に表示された講師専用ページを通して、授業を受けた生徒についての授業理解度、授業態度、試験結果などの学習情報を、講師端末20から本発明の管理装置1へ送信する。
【0081】
また、学習塾の教室長も教室長端末30を用いて、本発明の管理装置1にログインすると、教室長端末30の画面には、教室長専用ページが表示される。
【0082】
また、教室長専用ページには、例えば、「生徒氏名」、「学年」、「科目/学習プログラム」、「入退室」、「担当講師」、「アクション」、「次回通塾日」の項目名が表示され、生徒ごとに各項目に対応する情報が表示される。
【0083】
ここで、「生徒氏名」、「学年」、「科目/学習プログラム」、「入退室」、及び「次回通塾日」の内容は、講師専用ページに表示されたものと同一である。
【0084】
また、教室長は、教室長端末30の画面に表示された教室長専用ページを通して、各項目の編集が可能である。
例えば、「アクション」の項目には、「講師へコメント」の文字が表示されており、「講師へコメント」の文字を含む所定の区画をタップすると、別のページが教室長端末30の画面に表示される。
【0085】
別のページには、担当講師へ伝達するコメント文章を入力できる箇所が表示され、文章を入力編集することができる。
これにより、教室長端末30は、本発明の管理装置1へ教室長伝達情報を送信し、本発明の管理装置1の教室長伝達情報受信転送部8は、受信した教室長伝達情報を講師端末20へ転送する。
【0086】
また、例えば、「担当講師」の項目には、各生徒の担当講師の姓と識別番号が表示されており、担当講師の姓と識別番号の文字を含む所定の区画をタップすると、別のページが教室長端末30の画面に表示される。
【0087】
別のページには、担当講師が行なった授業の内容、担当講師が一人の生徒に対して下した学習態度の評価や理解度の評価、担当講師の指導方法、次回学習単元などが表示され、教室長は、生徒の学習情報や担当講師の指導内容を確認することができる。
【0088】
また、本発明の管理装置1の学習情報受信部2が学習情報を受信し、本発明の管理装置1の学習情報送信部4は、この学習情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末40へ学習情報を送信する。
従って保護者は、自分の子供が学習塾の授業を受け終わるたびに学習情報を保護者端末40で受信でき、我が子の学習進捗を把握することができる。
【0089】
このとき、学習情報送信部4は、送信しようとしている学習情報の内容を、人工知能(AI)技術などを利用して分析し、保護者に我が子の学習進捗をさらに深く把握させるためにコメントを作成し、作成したコメントと共に学習情報を保護者端末40へ送信することができる。
これにより、講師などがコメントを作成する必要がなくなり、講師などの負担を軽減できる。
【0090】
ここで、教室長は、講師端末20から本発明の管理装置1へ送信された、授業を受けた生徒についての授業理解度、授業態度、試験結果などの学習情報を、この学習情報に対応した生徒の保護者が使用する保護者端末40へ送信するか否かを、教室長端末30の画面に表示された教室長専用ページを通して決定する。
【0091】
すなわち、教室長が、教室長専用ページを通して、保護者端末40への送信を承認した場合、本発明の管理装置1の学習情報受信部2は学習情報を保護者端末40へ送信し、承認しなかった場合、本発明の管理装置1の学習情報受信部2は学習情報を保護者端末40へ送信しない。
なお、必ずしもこのような承認を要しなくてもよいことは勿論である。
【0092】
また、保護者は定期的に学習塾へと赴いて学習塾職員などと面談し、学習塾職員は学習塾の端末を用いて、保護者の子供の例えば半年間の学習推移情報を本発明の管理装置1に要求する。
本発明の管理装置1は、学習塾の端末からの要求に応じて学習推移情報をこの端末へ送信し、学習塾職員は保護者との面談において、保護者の子供の半年間の学習推移情報を保護者にグラフィカルに見せることができる。
【0093】
また、学習塾の各教室を統括する本部の例えば本部長も、本部長端末を用いて、本発明の管理装置1にログインし、生徒の学習情報や担当講師の指導内容を確認したり、各種情報例えば単元マスタを登録したりできる。
【0094】
以上のように、本発明の管理装置は、生徒の学習情報を生徒の保護者が使用する保護者端末へ送信する学習情報送信部を備えているので、保護者は学習塾などの教育学習支援機関において学んだ内容を把握することができる。
【0095】
従って、本発明の管理装置は、教育学習支援機関の信頼度を高めることができる。
【0096】
また、本発明の管理プログラムも、情報処理機器にインストールされて、この情報処理機器を、学習情報送信部を備える手段として機能させるので、教育学習支援機関の信頼度を高めることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 管理装置
2 学習情報受信部
3 生徒情報記録部
4 学習情報送信部
5 既退塾生徒情報記録部
6 退塾予測部
7 講師情報抽出部
8 教室長伝達情報受信転送部
9 講師伝達情報受信転送部
10 映像配信部
11 映像記録部
12 学習推移情報送信部
18 インターネット
20 講師端末
30 教室長端末
40 保護者端末
50 生徒端末
100 管理システム