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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006930
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20220105BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E04B1/343 U
E04H6/02 A
E04H6/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109519
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592050294
【氏名又は名称】株式会社カシイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】吉野 真希
(57)【要約】      (修正有)
【課題】屋根の施工性が高い簡易構造物の提供。
【解決手段】簡易構造物Aは、梁2と、タイトフレーム5と、折板4と、間口調整材6とを備え、梁2は、タイトフレーム5を支持し、タイトフレーム5は、梁2の上面に取り付けられていると共に、隣り合うタイトフレーム5間に隙間を空けて配置されており、折板4は、タイトフレーム5上面に取り付けられており、間口調整材6は、隣り合う折板4の上から隙間を塞ぐように、タイトフレーム5に固定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁と、タイトフレームと、折板と、間口調整材とを備え、
梁は、タイトフレームを支持し、
タイトフレームは、梁の上面に取り付けられていると共に、隣り合うタイトフレーム間に隙間を空けて配置されており、
折板は、タイトフレーム上面に取り付けられており、
間口調整材は、隣り合う折板の上から隙間を塞ぐように、タイトフレームに固定されていることを特徴とする簡易構造物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易構造物は、下記非特許文献1に記載されているように、折板による屋根を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「エクステリア建材総合カタログ(STX1260Al」三協立山株式会社三協アルミ社、2019年2月発行、P.1126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の従来の簡易構造物は、複数の折板を梁の上に梁の長手方向に沿って並列状に載置して屋根を施工しているが、梁の長手方向の長さによっては、折板の山谷方向の幅に余りが生じることがあった。
この場合、現場で折板を切断して、梁の長手方向の長さと合致するように調整する作業を行うが、この調整作業が施工性を低下させる要因となっており、このため、屋根の施工性が高い簡易構造物が求められた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、梁と、タイトフレームと、折板と、間口調整材とを備え、梁は、タイトフレームを支持し、タイトフレームは、梁の上面に取り付けられていると共に、隣り合うタイトフレーム間に隙間を空けて配置されており、折板は、タイトフレーム上面に取り付けられており、間口調整材は、隣り合う折板の上から隙間を塞ぐように、タイトフレームに固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、施工性が高い簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る実施形態の簡易構造物の正面図であり、水下側を示している。
図2図1の平面図である。
図3図1の側面図である。
図4】(a)は図2の(4)-(4)線一部切欠拡大断面図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
図5図2の(5)-(5)線一部切欠拡大断面図である。
図6】(a)は図4(a)の分解図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
図7図1の一部切欠分解拡大斜視図である。
図8】前枠と側枠を取付ける状態を示す一部切欠分解拡大斜視図である。
図9】シーリングを施す状態を示す一部切欠分解拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易構造物Aを説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
本発明の簡易構造物Aは、カーポート、サイクルポート、通路シェルタ等に適用することができる。
【0010】
[簡易構造物の構成]
簡易構造物Aは、図1図3に示すように、四方に立設された支柱1と、水下側及び水上側の支柱1間に架設された梁2と、梁2の長手方向と平行に水下側に配置された前枠2A及び水上側に配置された後枠2Bと、前枠2Aと後枠2Bとの間に架設された左右の側枠2C、2Dと、梁2の上面に載置固定された屋根3とを備えている。
屋根3は、図4図9に示すように、前枠2A及び後枠2Bならびに左右の側枠2C、2Dで平面方形に構成される上方の間口A1を塞ぐ折板屋根であり、複数の折板4を梁2の長手方向に沿って並列させて連結することで構成されている。
屋根3は、折板4の山谷が連続する方向(幅方向)を梁2の長手方向に沿わせ、山谷の長手方向を水上側と水下側とにわたる方向として、水上側から水下側に低くなるように傾斜している。
【0011】
[屋根の構成]
屋根3は、図4図7に示すように、梁2の上面に載置固定されたタイトフレーム5に複数の折板4を上方からはめ込んで固定している。
複数の折板4は、一枚の金属板を4個の山と3個の谷を交互に形成したものであって、すべて、同じ形状及び同じ大きさとして形成されている。
折板4の周りは、図1及び図2に示すように、前枠2A及び後枠2Bならびに左右の側枠2C、2Dによって囲まれており、簡易構造物Aの外側から見えないように隠されている。
前枠2A及び後枠2Bならびに左右の側枠2C、2Dは、図7図9に示すように、折板4の山の頂点にねじ止めにより固定されていると共に、前枠2A及び後枠2Bと側枠2C、2Dとをねじ止めにより固定されている。
幅方向で隣り合う折板4同士は、図1及び図2に示すように、山側で重なる部分をルーフボルトrで締め付けることによって連結されており、このルーフボルトrによる連結によって、隣り合う折板4同士の上下方向の開きを抑えている。
また、図1及び図2に示すように、後述する間口調整材6と、間口調整材6が載置される折板4の山とをルーフボルトrで締め付けることによって、折板4と間口調整材6とが連結されている。
【0012】
タイトフレーム5は、図4図7に示すように、折板4と同様に梁2の長手方向に山谷を連続するように形成されたものであり、折板4とタイトフレーム5の山同士・谷同士が係合するようにされている。
タイトフレーム5は、水上側及び水下側双方の梁2に同じ構成で配置されている。
タイトフレーム5には、図7に示すように、山の頂点にボルトbが立設されており、このボルトbが折板4の山の頂点を貫通し、折板4から突出した部分にナットnを締め付けてキャップcを被せている(図4及び図6では図示省略)。
また、図5及び図7に示すように後述する間口調整材6が載置される折板4の山を貫通するボルトbが間口調整材6を貫通され、間口調整材6からから突出した部分にナットnを締め付けてキャップcを被せている(図4及び図6では図示省略)。
タイトフレーム5は、図4図7に示すように、図面上、左側に配置された短尺の第1タイトフレーム5aと、図面上、右側に配置された長尺の第2タイトフレーム5bとを有している。
また、タイトフレーム5は、図1及び図2に示すように前枠2A、後枠2B、左右の側枠2C、2Dによって、簡易構造物Aの外側から見えないように隠されている。
【0013】
図4図6図7に示すように、第1タイトフレーム5aと第2タイトフレーム5bは、両端部に垂直壁50、51、52、53を有しており、第1タイトフレーム5aと第2タイトフレーム5bとが、第1タイトフレーム5aの垂直壁50と、第2タイトフレームの垂直壁52とを梁2の長手方向で隙間Sを空けて向かい合わせて配置されている。
第1タイトフレーム5aの幅は、折板4の一枚分の幅と同じ幅であり、第2タイトフレーム5bの幅は、折板4の複数枚分の幅と同じ幅である。
第1タイトフレーム5a及び第2タイトフレーム5bの垂直壁50、51、52、53は、折板4を支持したときの補強材として機能している。
また、第1タイトフレーム5a及び第2タイトフレーム5bは、形状として屋根3の端部に位置する垂直壁を一体に有する通常のタイトフレームと同じ構造のものである。
このような構造の第1タイトフレーム5a及び第2タイトフレーム5bであるため、垂直壁50、51、52、53を別部材として後付け作業が不要であり、これにより、簡易構造物Aの製造作業の効率化が期待できる。
【0014】
隙間Sの幅は、間口A1を塞ぐ屋根3を構成する折板4の枚数の調整代である。
例えば、間口A1の幅が、折板4が10枚では、最端に配置される折板4の一部が梁2の端部からはみ出す余り部分が生じ、折板4が9枚では、開口A1を塞ぐ屋根3を構成するには不足することがある。
このような場合に、図4図6図7に示すように、折板4の一枚分の幅と同じ幅の第1タイトフレーム5aを、垂直壁51が梁2の左端部に位置するように配置する。
また、図4図6に示すように、折板4の8枚分の幅と同じ幅の第2タイトフレーム5bを、垂直壁53が梁2の右端部に位置するように配置する。
この配置構成により、図4図6図7に示すように、第1タイトフレーム5aの垂直壁50と、第2タイトフレーム5bの垂直壁52との間に隙間Sが形成された状態となる。
そして、図4図6図7に示すように、隙間Sを塞ぐ間口調整材6を隣り合う折板4の上から第1タイトフレーム5a及び第2タイトフレーム5bに固定することで、隙間Sが塞がれると共に、端部が梁2の端部からはみ出さない屋根を構築することができる。
【0015】
[間口調整材の構成]
間口調整材6は、図4図7に示すように、隙間Sを覆い、第1タイトフレーム5aと第2タイトフレーム5bの山の頂点を越える幅を有する板状に形成されている。
この間口調整材6は、図1及び図5に示すように前枠2A、後枠2Bによって、簡易構造物Aの外側から見えないように隠されている。
また、間口調整材6は、図4図7に示すように、間口調整材6の左右端部の長手方向(水上側から水下側に沿う方向)の全域に下方へ突出する突出部61が形成されており、この突出部61によって、左右から吹き込む雨水の隙間Sへの浸水を防止している。
また、間口調整材6は、図4図7に示すように、間口調整材6の幅方向(図面上左右方向)の中央の長手方向の全域に、下方に突出するリブ62が形成されており、このリブ62により間口調整材6の強度を向上させることができる。
また、リブ62が、間口調整材の幅方向の中央に位置するため、リブ62が折板4の山の上面に乗り上げて固定を邪魔することがない。
間口調整材6の強度の向上は、リブ62によるものに加えて、突出部61も大きく貢献している。
さらに、間口調整材6の上面の水下側に、間口調整材6の幅と同じ幅とする雪止板63が取り付けられており、この雪止板63によって、積雪時における雪の落下を抑制することができる。
なお、開口調整材6は、突出部61、リブ62、雪止板63の内のいずれか1個乃至2個を備えた形態であってもよいし、これらを備えていない形態であってもよい。
【0016】
[簡易構造物の製造方法]
次に、簡易構造物Aの製造方法について、以下の製造工程に基づいて説明する。
第1工程:最初に、支柱1を立設すると共に、支柱間に梁2を架設する。
第2工程:次に、図6及び図7に示すように、梁2の上面にタイトフレーム5aとタイトフレーム5bとを載置して固定する。
このとき、タイトフレーム5aの左端を梁2の左端に合わせ、タイトフレーム5bの右端を梁2の右端に合わせて、タイトフレーム5aとタイトフレーム5bとの間に、間口A1を塞ぐ屋根3を構成する折板4の枚数の調整代である隙間Sを空ける。
タイトフレーム5bの全長は、複数の折板4が余るまたは不足せずに、タイトフレーム5bに合致する長さとして調整される。
第3工程:次に、図6及び図7に示すように、タイトフレーム5aの上から折板4を係合してねじ止めによりタイトフレーム5aに固定し、タイトフレーム5bの上から複数の折板4を係合してねじ止めによりタイトフレーム5bに固定する。
第4工程:次に、図6及び図7に示すように、隙間Sの上から間口調整材6を載置してタイトフレーム5aとタイトフレーム5bの山の頂点にねじ止めにより固定する。
第5工程:次に、図6図8に示すように、前枠2A及び後枠2Bならびに左右の側枠2C、2Dを、折板4の周りに折板を囲むように配置して、折板4の山の頂点にねじ止めにより固定すると共に、前枠2A及び後枠2Bと左右の側枠2C、2Dとをねじ止めにより固定する。
第6工程:最後に、図9に示すように、間口調整材6と前枠2A及び後枠2Bとが重なり合う境目にシーリング100を施すと共に、間口調整材6の上面に固定された雪止板63と間口調整材6の上面との境目にシーリング100を施す。
この第1工程~第6工程により、簡易構造物Aを製造することができる。
【0017】
前述したように本実施形態による簡易構造物Aは、間口A1の幅に対して、折板4が余るもしくは不足する場合でも、折板4を切断する作業を行うことなく、間口A1の幅に合致した屋根3を構築することができる。
したがって、簡易構造物Aの製造を効率よく行うことができる施工性の高い簡易構造物Aを提供することができる。
【0018】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0019】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0020】
A:簡易構造物
A1:間口
1:支柱
2:梁
2A:前枠
2B:後枠
2C:側枠
2D:側枠
3:屋根
4:折板
5:タイトフレーム
b:ボルト
n:ナット
c:キャップ
5a:第1タイトフレーム
5b:第2タイトフレーム
50:垂直壁
51:垂直壁
52:垂直壁
53:垂直壁
S:隙間
6:間口調整材
61:突出部
62:リブ
63:雪止板
100:シーリング
r:ルーフボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9