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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069326
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】車両移動支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/25 20130101AFI20220428BHJP
   B60R 25/31 20130101ALI20220428BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
B60R25/25
B60R25/31
E05B49/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178445
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 拓馬
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB52
2E250HH01
2E250JJ55
2E250KK03
2E250LL00
2E250LL01
2E250QQ02
2E250SS01
2E250TT01
(57)【要約】
【課題】災害時等に、路上等に駐車された車両を、その車両のキーを持たない第三者によって迅速に移動させることを支援するとともに、セキュリティ対策も実現する。
【解決手段】実施形態の車両移動支援装置は、所定の外部装置から送信された緊急信号を取得する取得部と、自車両の周囲にいる人物を撮影して撮影画像を出力する撮影装置と、前記撮影画像に基づいて、前記人物が所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記取得部によって前記緊急信号を取得し、かつ、前記判定部によって前記所定条件を満たすと判定された場合に、前記自車両のドアロックを解錠するとともにエンジンを始動可能状態にする制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の外部装置から送信された緊急信号を取得する取得部と、
自車両の周囲にいる人物を撮影して撮影画像を出力する撮影装置と、
前記撮影画像に基づいて、前記人物が所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記取得部によって前記緊急信号を取得し、かつ、前記判定部によって前記所定条件を満たすと判定された場合に、前記自車両のドアロックを解錠するとともにエンジンを始動可能状態にする制御部と、
を備える車両移動支援装置。
【請求項2】
前記判定部は、予め車両の運転に適正な人物が撮影された学習用画像を教師データとして機械学習によって生成された学習モデルと、前記撮影画像と、に基づいて、前記人物が所定条件を満たすか否かを判定する、請求項1に記載の車両移動支援装置。
【請求項3】
前記緊急信号は、緊急時に対応する公的機関が管理するサーバ、または、前記公的機関に属する者が所持する携帯端末から発生された信号である、請求項1または請求項2に記載の車両移動支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記自車両を移動させた前記人物が前記自車両から離れてから所定時間が経過したとき、または、前記自車両を移動させた前記人物が所定のジェスチャを行ったことを撮影画像に基づいて認識したときに、前記自車両のドアロックを施錠する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両移動支援装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記自車両に人物が近付いたことを検知する検知部から検知信号を取得し、
前記制御部は、前記取得部によって前記緊急信号を取得すると、前記自車両が停車していて、前記人物が検知されていない場合は前記撮影装置をスタンバイ状態にし、前記取得部によって前記検知部から検知信号を取得すると、前記スタンバイ状態から元の状態に復帰させる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両移動支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両移動支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、災害時等に、路上等に駐車された車両を、その車両のキーを持たない第三者によって移動させたい場合がある。その場合、車両盗難等に関するセキュリティ対策も考慮して、例えば、車両の管理者(所有者等)が所持する携帯端末と通信して第三者による車両の移動の許可をその管理者から得る方法(第1の方法)や、その第三者の指紋、虹彩、静脈などの身体情報を記録しておく方法(第2の方法)がある。また、車両が緊急信号を受信したら誰でもその車両を移動させることができるようにする方法(第3の方法)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-192921号公報
【特許文献2】特開2005-104327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の第1の方法では、通信回線の混雑や不通等により車両の解錠のタイミングが遅くなることがある。また、第2の方法では、第三者の身体情報の記録に手間や時間がかかることがある。また、第3の方法では、セキュリティ対策を実現できていない。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、災害時等に、路上等に駐車された車両を、その車両のキーを持たない第三者によって迅速に移動させることを支援するとともに、セキュリティ対策も実現することができる車両移動支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の車両移動支援装置は、所定の外部装置から送信された緊急信号を取得する取得部と、自車両の周囲にいる人物を撮影して撮影画像を出力する撮影装置と、前記撮影画像に基づいて、前記人物が所定条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記取得部によって前記緊急信号を取得し、かつ、前記判定部によって前記所定条件を満たすと判定された場合に、前記自車両のドアロックを解錠するとともにエンジンを始動可能状態にする制御部と、を備える。この構成によれば、例えば、緊急信号取得と人物適正判定の両方を用いることで、災害時等に、路上等に駐車された車両を、その車両のキーを持たない第三者によって迅速に移動させるとともに、セキュリティ対策も実現することができる。また、人物適正判定を人物の撮影画像に基づいて迅速に行うことができる。
【0007】
また、実施形態の車両移動支援装置において、前記判定部は、予め車両の運転に適正な人物が撮影された学習用画像を教師データとして機械学習によって生成された学習モデルと、前記撮影画像と、に基づいて、前記人物が所定条件を満たすか否かを判定する。この構成によれば、人物適正判定を、機械学習によって生成された学習モデルと撮影画像に基づいて、迅速かつ高精度に行うことができる。
【0008】
また、実施形態の車両移動支援装置において、前記緊急信号は、緊急時に対応する公的機関が管理するサーバ、または、前記公的機関に属する者が所持する携帯端末から発生された信号である。この構成によれば、緊急信号は、緊急時に対応する公的機関が管理するサーバだけでなく、その公的機関に属する者が所持する携帯端末からも発生させることができ、利便性が高い。
【0009】
また、実施形態の車両移動支援装置において、前記制御部は、前記自車両を移動させた前記人物が前記自車両から離れてから所定時間が経過したとき、または、前記自車両を移動させた前記人物が所定のジェスチャを行ったことを撮影画像に基づいて認識したときに、前記自車両のドアロックを施錠する。この構成によれば、自車両を移動後に施錠できるので、さらなる高セキュリティ性を実現できる。
【0010】
また、実施形態の車両移動支援装置において、前記取得部は、前記自車両に人物が近付いたことを検知する検知部から検知信号を取得し、前記制御部は、前記取得部によって前記緊急信号を取得すると、前記自車両が停車していて、前記人物が検知されていない場合は前記撮影装置をスタンバイ状態にし、前記取得部によって前記検知部から検知信号を取得すると、前記スタンバイ状態から元の状態に復帰させる。この構成によれば、緊急信号を取得してから自車両の周囲の人物の検知時までの間、撮影装置をスタンバイ状態にできるので、バッテリー容量の消費を抑制し、車両移動支援装置を使用する際にバッテリー切れで使用できないということを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態の全体構成を模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態の車両移動支援ECUの機能構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の撮影画像の例を模式的に示す図である。
図4図4は、第1実施形態の車両移動支援ECUによる処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図4のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態の全体構成を模式的に示す図である。
図7図7は、第2実施形態の車両移動支援ECUによる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の車両移動支援装置の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)について説明する。以下の実施形態では、災害(例えば、地震、火災等)時等に、路上等に駐車された車両を、その車両のキーを持たない第三者(例えば、警察官、消防士等)によって迅速に移動させることを支援するとともに、セキュリティ対策も実現することができる車両移動支援装置について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の全体構成を模式的に示す図である。サーバSは、災害時等の緊急時に対応する公的機関(警察、消防署等)が管理するサーバ装置である。また、人物Mは、車両C(自車両)の管理者以外で、車両Cを移動させようとする者である。人物Mは、例えば、上述の公的機関に属する者で、警察官、消防士等である。また、人物Mは、災害時等に対応する者であればよく、ほかに、救急隊員や道路管理者などであってもよい。
【0014】
車両Cは、本実施形態の説明に直接的に関係する構成として、撮影装置1、車両移動支援ECU(Electronic Control Unit)2(車両移動支援装置)、車両制御ECU3(車両移動支援装置)、エンジン4、ドアロック装置5、アンテナ6などを備えている。これらの各構成は、例えば、CAN(Controller Area Network)などの車両ネットワークによって有線接続されている。
【0015】
撮影装置1は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮影装置1は、所定のフレームレートで動画データを出力することができる。撮影装置1は、例えば、ドライブレコーダのカメラであればよいが、これに限定されず、ほかに、ステレオカメラやサイドミラーに搭載されるカメラ等であってもよい。
【0016】
車両移動支援ECU2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)等を有している。CPUは、ROM等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行することができる。RAMは、CPUでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。
【0017】
SSDは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、車両移動支援ECU2の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU、ROM、RAM等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、車両移動支援ECU2は、CPUに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSDに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSDやHDDは、車両移動支援ECU2とは別に設けられてもよい。車両移動支援ECU2の詳細は後述する。
【0018】
車両制御ECU3は、例えば、CPU、ROM、RAM、SSD等を有している。車両制御ECU3は、車両Cの制御全般を司る。車両制御ECU3は、例えば、エンジン4やドアロック装置5を制御する(詳細は後述)。
【0019】
アンテナ6は、サーバSと無線通信するために用いられる。
【0020】
図2は、第1実施形態の車両移動支援ECU2の機能構成を示す図である。車両移動支援ECU2は、処理部21と、記憶部22と、を備える。処理部21は、機能構成として、取得部211と、モード切替部212と、判定部213と、制御部214と、を備える。
【0021】
各部211~214は、車両移動支援ECU2において、CPUが例えばROM内に格納された車両移動支援プログラムを実行することで、実現される。なお、各部211~214を2つ以上のECUで実現するように構成してもよい。また、各部211~214をハードウェアで実現するように構成してもよい。
【0022】
取得部211は、車両C内の各構成やサーバS等の外部装置から各種情報を取得する。取得部211は、例えば、外部装置から送信された緊急信号を、アンテナ6を介して取得する。緊急信号は、緊急時に対応する公的機関が管理するサーバS、または、その公的機関に属する者(警察官、消防士等)が所持する携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等)から発生された信号である。また、取得部211は、撮影装置1から撮影画像を取得する。
【0023】
モード切替部212は、取得部211によって緊急信号を取得した場合に、車両Cを通常モードから緊急モード(第三者による車両Cの移動を可能にするためのモード)に切り替える。
【0024】
判定部213は、車両Cの運転を行おうとする人物Mが適正か否かを判定する。具体的には、判定部213は、車両Cの周囲にいる人物が所定条件を満たすか否かを判定する。そのために、記憶部22は、学習モデル221を記憶する。学習モデル221は、予め車両Cの運転に適正な人物(警察官、消防士、救急隊員、道路管理者等)が撮影された学習用画像を教師データとして機械学習によって生成された学習モデルである。
【0025】
ここで、図3は、第1実施形態の撮影画像の例を模式的に示す図である。図3の撮影画像には、警察官が写っている。このように、警察官であれば、制服、制帽などによって、一般の人物とは異なる特徴があるので、機械学習により警察官を判定するための学習モデル221を作成することができる。同様に、消防士、救急隊員、道路管理者などについても、制服、腕章、手帳などの特徴から学習モデル221を作成することができる。
【0026】
図2に戻って、判定部213は、学習モデル221と、車両Cの周囲にいる人物Mを撮影した撮影装置1が出力した撮影画像と、に基づいて、人物Mが適正か否かを判定する。より具体的には、例えば、学習モデル221を作成するときに、パラメータを用いて関数を構築し、正解データについて損失を定義し、この損失を最小化することで学習を行う。そして、判定部213は、学習モデル221を用いて、撮影画像に写っている人物Mが適正か否かを判定する。
【0027】
制御部214は、各種制御を実行する。制御部214は、例えば、緊急モードであって、かつ、判定部213によって人物Mが適正であると判定された場合に、車両制御ECU3に対して、車両Cのドアロック装置5のドアロックを解錠するとともにエンジン4を始動可能状態にするように指示する。
【0028】
制御部214は、緊急モードであっても、判定部213によって人物Mが非適正であると判定された場合、車両制御ECU3に対して、車両Cのドアロック装置5のドアロックを解錠やエンジン4を始動可能状態にするように指示しない。
【0029】
また、制御部214は、車両Cを移動させた人物Mが車両Cから離れてから所定時間が経過したとき、または、車両Cを移動させた人物Mが所定のジェスチャを行ったことを撮影画像に基づいて認識したときに、車両Cのドアロック装置5のドアロックを施錠する。
【0030】
図4は、第1実施形態の車両移動支援ECUによる処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、取得部211は、サーバS、または、警察官、消防士等が所持する携帯端末から発生された緊急信号を取得する。
【0031】
次に、ステップS2において、モード切替部212は、ステップS1で緊急信号を取得したことにより、車両Cを通常モードから緊急モードに切り替える。
【0032】
次に、ステップS3において、取得部211は、撮影装置1から撮影画像を取得する。次に、ステップS4において、判定部213は、撮影画像に写っている、車両Cの周囲にいる人物Mが所定条件を満たすか否かを判定する。
【0033】
ここで、図5は、図4のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS41において、判定部213は、撮影画像から人物Mを抽出する。次に、ステップS42において、判定部213は、人物Mの特徴量を算出する。
【0034】
次に、ステップS43において、判定部213は、学習モデル221と特徴量に基づいて、人物Mが適正か否かを判定する。次に、ステップS44において、判定部213は、判定結果を記憶部22に保存する。
【0035】
図4に戻って、ステップS4の後、ステップS5において、人物Mが適正だった場合(Yes)、ステップS6に進み、人物Mが非適正だった場合(No)、処理を終了する。
【0036】
ステップS6において、制御部214は、車両制御ECU3に対して、車両Cのドアロック装置5のドアロックを解錠するとともにエンジン4を始動可能状態にするように指示する。これにより、人物Mは、車両Cに乗って車両Cを運転して移動させることができる。
【0037】
このように、第1実施形態の車両Cによれば、緊急信号取得と人物適正判定の両方を用いることで、災害時等に、路上等に駐車された車両を、その車両のキーを持たない第三者によって迅速に移動させるとともに、セキュリティ対策も実現することができる。
【0038】
また、悪意ある者が警察官等の服装を真似しても、緊急信号がなければ車両Cを解錠しないので、セキュリティ性が高い。
【0039】
また、人物適正判定を人物Mの撮影画像に基づいて迅速に行うことができる。具体的には、人物適正判定を、機械学習によって生成された学習モデル221と人物Mの撮影画像に基づいて、迅速かつ高精度に行うことができる。
【0040】
また、緊急信号は、災害時等に対応する公的機関が管理するサーバSだけでなく、警察官や消防士等が所持する携帯端末からも発生させることができ、利便性が高い。
【0041】
また、車両Cを移動後に、車両Cを移動させた人物Mが車両Cから離れてから所定時間が経過したとき、または、車両Cを移動させた人物Mが所定のジェスチャを行ったことを撮影画像に基づいて認識したときに、車両Cを施錠することで、さらなる高セキュリティ性を実現できる。なお、キーのある車両であれば、例えばキーが車両から所定距離以上離れたことをトリガーに施錠できるが、車両Cにはキーがないので、その代わりに上述の手法で施錠を行う。
【0042】
また、従来技術で、車両の管理者が所持する携帯端末と通信して第三者による車両の移動の許可をその管理者から得る方法(第1の方法)では、通信回線の混雑や不通等により車両の解錠のタイミングが遅くなることがある。本実施形態では、緊急信号を受けた後は、通信回線の混雑や不通が発生しても、それに影響されずに車両の解錠を迅速に行える。また、第1の方法では、その管理者がすぐに対応できないと車両Cをすぐに解錠できなかった。本実施形態では、管理者の許可を得る必要がないので、そのような問題は起きない。
【0043】
また、従来技術で、その第三者の指紋、虹彩、静脈などの身体情報を記録しておく方法(第2の方法)では、第三者の身体情報の記録に手間や時間がかかることがある。本実施形態では、その第三者の身体情報を記録しないので、その分の手間や時間がかからない。
【0044】
また、従来技術で、車両が緊急信号を受信したら誰でもその車両を移動させることができるようにする方法(第3の方法)では、セキュリティ対策を実現できていない。本実施形態では、緊急信号取得に加えて人物適正判定も行うことで、セキュリティ対策も実現することができる。また、第3の方法では、車両を移動させたのが誰なのかがわからなかった。本実施形態では、人物Mを撮影した撮影画像を保存しておくことで、車両Cを移動させたのが誰なのかを後で特定することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の車両移動支援装置について説明する。第1実施形態と同様の事項については説明を適宜省略する。第2実施形態は、第1実施形態と比べて、車両Cを通常モードから緊急モードに切り替えてから、車両Cに人物Mが近付いたことを検知するまで、撮影装置1を低消費電力のスタンバイ状態にすることで、節電する点が異なっている。
【0046】
図6は、第2実施形態の全体構成を模式的に示す図である。図1と比べて、車両Cに検知部7が追加されている点で異なっている。検知部7は、車両Cに人物が近付いたことを検知すると、検知信号を出力する。検知部7は、例えば、赤外線カメラを用いた人感センサや、超低消費電力の半導体チップとイメージセンサを用いた人物検出センサによって実現される。
【0047】
取得部211(図2)は、検知部7から検知信号を取得する。そして、制御部214(図2)は、取得部211によって緊急信号を取得すると、車両Cが停車していて、検知部7によって人物が検知されていない場合、撮影装置1をスタンバイ状態にする。その後、制御部214は、取得部211によって検知部7から検知信号を取得すると、スタンバイ状態から元の状態に復帰させる。
【0048】
図7は、第2実施形態の車両移動支援ECU2による処理を示すフローチャートである。ステップS1、S2は図4の場合と同様である。
【0049】
ステップS2の後、ステップS11において、制御部214(図2)は、上述の諸条件を満たす場合、低消費電力のスタンバイ状態に移行する。
【0050】
次に、ステップS12において、制御部214は、検知部7によって車両Cに人物が近付いたことを検知したか、つまり、取得部211によって検知部7から検知信号を取得したか否かを判定し、Yesの場合はステップS13に進み、Noの場合はステップS12に戻る。
【0051】
ステップS13において、制御部214(図2)は、スタンバイ状態から元の状態に復帰させる。
【0052】
ステップS13以降のステップS3~S6は図4の場合と同様である。
【0053】
このように、第2実施形態によれば、車両Cを通常モードから緊急モードに切り替えてから、車両Cに人物Mが近付いたことを検知するまで、撮影装置1をスタンバイ状態にすることで、バッテリー容量の消費を抑制し、その後に車両C内の各装置を使用する際にバッテリー切れで使用できないということを防止できる。
【0054】
なお、本実施形態のCPUで実行される車両移動支援プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0055】
さらに、車両移動支援プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、車両移動支援プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0056】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1…撮影装置、2…車両移動支援ECU、3…車両制御ECU、4…エンジン、5…ドアロック装置、6…アンテナ、7…検知部、21…処理部、22…記憶部、211…取得部、212…モード切替部、213…判定部、214…制御部、221…学習モデル、C…車両、M…人物、S…サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7