(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069327
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】消毒剤の噴霧方法、噴霧消毒用薬剤及び噴霧装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20220428BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20220428BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220428BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20220428BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20220428BHJP
A61L 101/32 20060101ALN20220428BHJP
【FI】
A61L2/18
A01N33/12 101
A01P3/00
A61L9/01 K
A61L9/01 M
A61L9/14
A61L101:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178446
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】506223451
【氏名又は名称】吉武 勝俊
(71)【出願人】
【識別番号】520416082
【氏名又は名称】山口 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】吉武 勝俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 和男
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4H011
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058BB07
4C058JJ06
4C058JJ24
4C180AA07
4C180AA13
4C180AA16
4C180CB01
4C180EB06X
4C180EB06Y
4C180EB15X
4C180EB27Y
4C180EC01
4C180GG03
4C180GG07
4C180HH05
4H011AA02
4H011BA01
4H011BB04
4H011BB22
4H011BC03
4H011DA13
4H011DD05
4H011DE15
(57)【要約】
【課題】屋内や車内などの空間内部にある、壁床、ドア、テーブルなどの家具や器具類の消毒に適した薬剤の開発と消毒方法。
【解決手段】逆性石鹸を消毒の有効成分とし、グリセリン、ポリエチレングリコール、水を含有する噴霧消毒用薬剤を管内で加熱して、水を管内で気化させて、発生した気化圧で薬剤を微細化し、管の先端に取り付けたノズルから煙状に噴霧して、煙の広がりによって薬剤の散布範囲を確認できるようにしたことを特徴とする消毒剤の噴霧方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆性石鹸を消毒の有効成分とし、グリセリン、ポリエチレングリコール、水を含有する噴霧消毒用薬剤を管内で加熱して、水を管内で気化させて、発生した気化圧で薬剤を微細化し、管の先端に取り付けたノズルから煙状に噴霧して、煙の広がりによって薬剤の散布範囲を確認できるようにしたことを特徴とする消毒剤の噴霧方法。
【請求項2】
逆性石鹸を消毒の有効成分とし、グリセリン、ポリエチレングリコール、水を含有することを特徴とする噴霧消毒用薬剤。
【請求項3】
逆性石鹸が、塩化ベンザルコニウムであることを特徴とする請求項2記載の噴霧消毒用薬剤。
【請求項4】
ヒバ油を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の噴霧消毒用薬剤。
【請求項5】
気化器、コンプレッサー、薬剤タンク、薬剤タンクから気化器へ請求項2~4に記載されたいずれかの薬剤を供給する供給管を備えた消毒剤の噴霧装置であって、
気化器は、供給管の先端側の外周にヒータを取り付けてあり、
コンプレッサーには送風管が取り付けられており、送風管の先端には噴霧口が設けられていて、
供給管の先端は送風管内に開口しており、
気化器部の供給管内で薬剤を加熱して水の気化圧を利用して供給管から微細化した薬剤を送風管内に放出し、コンプレッサーから送風管内に送気した送風力を利用して薬剤を空気中に噴霧することを特徴とする消毒剤の噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内用の噴霧に適した消毒用薬剤とその噴霧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルスなど感染症対策が求められている。
アルコールなどの消毒薬を手指に塗布することや、テーブルなどを拭きとるなどの対処が行われている。
従来の化学的消毒方法は、蒸留水等の溶剤に消毒成分を混合しこれを物理的散布または塗布する方法が主流である。また広範囲にこれを散布する場合、霧状に噴霧する方法があり、微粒子化には器具が複雑、高額化または、ハンドスプレー等で限定的散布にとどまっている。
燻蒸や燻煙での消毒も可能ではあるが、消毒剤の蒸気や煙を発生させる過程で、有毒な成分も生成してしまい、安全に広範囲な消毒を行うのは難しい。
そして、店舗やバスや電車などの室内にある器具や出入口を拭きとり消毒することは、多くの手間と時間を要し、継続して行うことは難しい。また、しっかり消毒がなされたか確認することも難しいのが現状である。
【0003】
厚生労働省から、「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」と、題する新型コロナウイルスの消毒・除菌方法が発表されている。
モノに付着したウィルス対策として5つ紹介されている。
1.熱水
食器や箸などには、熱水でウイルスを死滅させることができる。
<使用方法>80℃の熱水に10分間さらす。
2.塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)
テーブル、ドアノブなどには、市販の塩素系漂白剤の主成分である「次亜塩素酸ナトリウム」が有効です。「次亜塩素酸」の酸化作用などにより、新型コロナウイルスを破壊し、無毒化する。
<使用方法>市販の家庭用漂白剤を、次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.05%になるように薄めて拭く。その後、水拭きする。
3.洗剤(界面活性剤)
テーブル、ドアノブなどには、市販の家庭用洗剤の主成分である「界面活性剤」も一部有効です。界面活性剤は、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化するものです。9種類の界面活性剤が新型コロナウイルスに有効であることが確認されている。(NITEの検証による)。
<使用方法>有効な界面活性剤が含まれた家庭用洗剤を選ぶ。
1.家具用洗剤の場合、製品記載の使用方法に従ってそのまま使用する。
2.台所用洗剤の場合、薄めて使用する。
4.次亜塩素酸水
テーブル、ドアノブなどには、一部の「次亜塩素酸水」も有効です。
「次亜塩素酸水」は、「次亜塩素酸」を主成分とする、酸性の溶液です。酸化作用により、新型コロナウイルスを破壊し、無毒化するものです。いくつかの製法がありますが、一定濃度の「次亜塩素酸水」が新型コロナウイルスの感染力を一定程度減弱させることが確認されている。(NITEの検証)。
<使用方法>消毒したいモノの汚れをあらかじめ落とす。
1.拭き掃除には、有効塩素濃度80ppm以上(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かした製品の場合は100ppm以上)の次亜塩素酸水をたっぷり使い、消毒したいものの表面をヒタヒタに濡らした後、20秒以上おいてきれいな布やペーパーで拭き取る。元の汚れがひどい場合などは、有効塩素濃度200ppm以上のものを使うことが望ましい。
2.生成されたばかりの次亜塩素酸水を用いて消毒したいモノに流水掛け流しを行う場合、35ppm以上のものを使いましょう。20秒以上掛け流した後、きれいな布やペーパーで拭き取る。
5.アルコール(濃度70%以上95%以下のエタノール)
アルコールは、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化する。
<使用方法>濃度70%以上95%以下のエタノールを用いて拭き取ります。
<注意事項>
アルコール過敏症の人は使用を控えてください。
引火性がある。空間噴霧は不可。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」厚生労働省HP(最終更新日:令和 2年 6月26日)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、屋内や車内などの空間内部にある、壁床、ドア、テーブルなどの家具や器具類の消毒に適した薬剤の開発と消毒する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、白煙化できる薬剤を開発して、噴霧範囲を確認することができる噴霧消毒方法及び噴霧装置を提供する発明である。
1.逆性石鹸を消毒の有効成分とし、グリセリン、ポリエチレングリコール、水を含有する噴霧消毒用薬剤を管内で加熱して、水を管内で気化させて、発生した気化圧で薬剤を微細化し、管の先端に取り付けたノズルから煙状に噴霧して、煙の広がりによって薬剤の散布範囲を確認できるようにしたことを特徴とする消毒剤の噴霧方法。
2.逆性石鹸を消毒の有効成分とし、グリセリン、ポリエチレングリコール、水を含有することを特徴とする噴霧消毒用薬剤。
3.逆性石鹸が、塩化ベンザルコニウムであることを特徴とする2.記載の噴霧消毒用薬剤。
4.ヒバ油を含むことを特徴とする2.又は3.記載の噴霧消毒用薬剤。
5.気化器、コンプレッサー、薬剤タンク、薬剤タンクから気化器へ2.~4.に記載されたいずれかの薬剤を供給する供給管を備えた消毒剤の噴霧装置であって、
気化器は、供給管の先端側の外周にヒータを取り付けてあり、
コンプレッサーには送風管が取り付けられており、送風管の先端には噴霧口が設けられていて、
供給管の先端は送風管内に開口しており、
気化器部の供給管内で薬剤を加熱して水の気化圧を利用して供給管から微細化した薬剤を送風管内に放出し、コンプレッサーから送風管内に送気した送風力を利用して薬剤を空気中に噴霧することを特徴とする消毒剤の噴霧装置。
【発明の効果】
【0007】
1.本発明の消毒剤の噴霧方法は、水と白煙化剤を含む混合薬剤を水の気化(蒸気)圧を利用して微粒子化し広範囲に安全に且つ可視化散布する方法である。
消毒作用のある塩化ベンザルコニウムなどの逆性石鹸を有効成分とし、微細化すると白煙化するグリセリンやポリエチレングリコールと水を混合した薬剤を、細い管内で加熱すると、他の薬剤よりも低沸点の水が気化して、気化圧が発生し、細い管の出口(ノズル)から勢いよく噴出して、微細化して、白煙状の薬剤が発生する。この白煙の広がりを確認することで、薬剤の散布範囲を確認することができる。
2.本発明は、消毒剤として用いられている塩化ベンザルコニウムなどの逆性石鹸と微細化すると白煙化するグリセリンやポリエチレングリコールと水を含む消毒作用のある噴霧用の薬剤を開発した。本発明の噴霧消毒用の薬剤は、混合しており、混合した状態で水分を急激に気化させると、その膨張圧力で他の成分を微細化することができる。微細化した剤はドライで湿り気を帯びていない。
壁や家具や器具に付着した薬剤は、膜状に付着してとどまり、殺菌や薬剤に、ヒノキチオールを含むヒバ油を添加することにより、さらに抗菌性を高めることができる。ヒバ油が持っている芳香性が付着することにより、散布をにおいで確認することができる。
3.本発明は、気化器とコンプレッサーと薬剤タンクを基本構成とする消毒剤の噴霧装置を開発した。細い薬剤供給管内で急激に気化させて微細化した薬剤を気化器内に放出し、さらに、コンプレッサーからの送気によって薬剤を散布する装置である。簡素な構成であって、強い拡散性を発揮し、携帯性も備えている。移動しながら店舗や施設、車両などの消毒対象の消毒を行うことができる。本発明の噴霧装置から発生する微細な粒子は、白煙状であって、乾燥しており、湿り気を感じない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】細菌採取試験を示す図、(a)消毒前、(b)消毒後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、消毒剤である逆性石鹸を白煙化して散布する噴霧方法と噴霧消毒用薬剤及び噴霧装置を提供する発明である。
【0010】
本発明で使用する噴霧消毒用薬剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの消毒性のある逆性石鹸と、グリセリンとポリエチレングリコールなどの微細化して白煙性を帯びる薬剤と、水を含む液状の混合薬剤である。逆性石鹸は界面活性剤でもあるので、他の成分との親和性も高く、混合性に優れた組成物となる。この組成に、ヒバ油などの油性成分を添加しても、界面活性作用により、乳化混合することができる。
本発明の薬剤は、管内で加熱すると水が気化して蒸気が発生し、蒸気の膨張圧力(水の気化圧)で、混合している他の薬剤も微細化して管から噴出することとなる。この現象を利用して、微細化した。
この薬剤に、ヒバ油を添加することができる。ヒバ油は抗菌性があることが知られており、芳香性も備えている。
本発明は、この薬剤の噴霧装置として、気化器、コンプレッサー、薬剤タンク、薬剤タンクから気化器へ薬剤を供給する供給管を備えた消毒剤の噴霧装置であって、気化器内で供給管内の薬剤を気化させて微細粒子を気化器内へ放出し、コンプレッサーの送風力で、噴霧する装置である。
【0011】
<逆性石鹸>
本発明では、厚生労働省から、「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」と、題する新型コロナウイルスの消毒・除菌方法において挙げられた9種類の洗剤(界面活性剤)から、逆性石鹸である、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムに着目して、殺菌などの消毒薬として使用することとした。
逆性石鹸は陽イオン界面活性剤に含まれ、水や親水性物質と油などの親油性物質を混合する機能も有している。
塩化ベンザルコニウムの、水溶液は日本薬局方収載医薬品で逆性石鹸として殺菌・消毒用に用いられる。家庭用の消毒剤として、家具や床などの消毒に用いられている。医療現場でも、機器類の消毒に塩化ベンザルコニウムが用いられている。グラム陽性・陰性細菌にも有効である。本発明では、0.05質量%以上配合する。
塩化ベンゼトニウムは、傷薬の殺菌成分として広く一般に用いられるほか、手指、粘膜、機器消毒の用途に使われる。グラム陽性・陰性細菌にも有効である。本発明では、0.01質量%以上配合する。
【0012】
ポリエチレングリコール(PEG)は、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物(ポリエーテル)である。水溶性を示す。PEGは無毒とされいろいろな製品に用いられている。
PEGを他の疎水性分子に結合すれば非イオン性界面活性剤(PEG部分はポリオキシエチレン[POE]鎖と呼ばれる)が得られ、化粧品の乳化剤などに用いられている。慢性便秘の瀉下薬としても用いられている。PEGは、弾力性のある高分子であり、膜にしても非常に高い浸透圧(数十気圧(数MPa))に耐え、また、生体物質との特異的相互作用もないとされる。
PEGは、イベントで用いられる発煙剤としても利用されている。本発明では、20~40質量%以上配合する。PEGは、皮膜形成作用もあり、本発明では、逆性石鹸を含む微粒子が、付着して皮膜を形成することによって、残留性を持つことができる。
【0013】
グリセリンは、3価のアルコールで、水溶性である。無色透明の糖蜜状液体で、甘味を持ち、食品添加物として、甘味料、保存料、保湿剤、増粘安定剤などの用途がある。虫歯の原因となりにくい。医薬品や化粧品には、保湿剤・潤滑剤として使われている。本発明では、15~35質量%以上配合する。
【0014】
水は、蒸留水などを使用する。本発明では、他の薬剤に対して残量を配合するが、水は約半量程度となる。
ポリエチレングリコールとグリセリンは、主に発煙剤として機能する。
【0015】
ヒバ油は、青森ヒバの精油成分である。ヒバ油には、抗菌性成分としてヒノキチオール、β-ドラブリン等が含有されているほか、ツヨプセンというヒバのにおい成分も含まれている。なお、桧(ヒノキ)には、ヒノキチオールは含まれていない。
ヒバ油は、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌などに対する抗菌効果がある。本発明では、殺菌性と0.08質量%以上の微量を含有させることができる。また、ヒバの香りがあるので、香料の機能もあり、消毒剤の散布確認もできる。
【0016】
その他成分として、他の香料などを含有させることができる。
表1に本発明の噴霧消毒用薬剤の組成例を示す。
【表1】
【0017】
<噴霧方法について>
本発明の噴霧方法は、噴霧消毒用薬剤を細い管で加熱して、他の薬剤よりも沸点の低い水分を気化させて、水分が気化して発生した蒸気の圧力で噴出させて微細化する方法である。本発明の噴霧消毒用の薬剤は、逆性石鹸の作用もあって、良く混合した懸濁状態であり、分離せずに微細粒子に含まれることとなる。微細粒子は、数ミクロンから10ミクロン程度と想定される。
微粒子はドライで空中に漂って、拡散する。噴霧消毒用薬剤に含まれる白煙成分によって、微粒子は白煙状を呈しており、散布範囲を目視で確認できる。さらに、殺菌性と香りのあるヒバ油を添加した場合は、散布を匂いで確認することもできる。
各薬剤の沸点は、塩化ベンザルコニウム491℃、塩化ベンゼトニウム165℃、PEGは分子量が600以下では250℃であり、それ以上の高分子では沸点はなく、グリセリンは290℃であるので、水の気化が最初で、気化圧で微細化して噴出することとなる。
さらに、コンプレッサーからの送風を利用することによって、拡散性を強めることができる。
微粒子は、空中を漂って、家具や床・壁などの室内のものに付着し、殺菌力を発揮して、消毒効果を奏することができる。微粒子に含まれるポリエチレングリコールの皮膜形成能によって、付着し、しばらく残留するので、殺菌効果も持続することができる。
【0018】
<噴霧装置について>
本発明の噴霧装置は、噴霧消毒用薬液を周囲にヒータを取り付けた供給管に通して、気化してノズルから微細化して白煙を放出する機構が要部である。
図1に噴霧装置10の概略を示す。
噴霧装置10は、気化器1、供給管2、薬液タンク3、ポンプ4、ヒータ5、ノズル6から構成されている。気化器1は供給管2の先端側の外周にヒータ5を取り付けて構成する。ヒータは、管全体を加熱できるようにセラミックヒータなどを用いることができる。
薬液タンク3に供給管2を取り付け、供給管2の途中にポンプ4を介在させて、薬液9を吸い出す。供給管2の先端側には気化器1が取り付けられ、供給管2の先端はノズル6となっている。ノズルは、供給管2の先端開口部あるいは、別体に設けることもできる。ノズルは、供給管と同径の開口あるいは絞ってもよい。
【0019】
噴霧装置10の利用は、まずヒータ5で気化器1を十分に予熱した状態で、ポンプ4を稼働させて、薬液タンク3から薬液9を供給管2に供給し、気化器1の部分で加熱された薬液中の水分が気化して、気化圧が生じ、供給管2の先端にあるノズル6から微細化した白煙を、放出するものである。白煙は微細粒子であって、空中を浮遊して拡散する。
【0020】
噴霧装置20を
図2に示す。
噴霧装置20は
図1に示す噴霧装置10にコンプレッサー7を追加したことを基本とする装置である。コンプレッサー7には送風管8が設けられており、送風管8の先端は噴出口81となっている。送風管8の中間部に供給管2の先端部のノズル6を臨ませている。ノズル6から薬液タンク3までの構成は噴霧装置10と共通するので、説明を省略する。
【0021】
噴霧装置20は、噴霧装置10よりも放出力を高めた装置である。ノズル6から発生した微細粒子をコンプレッサー7から送風によって、より遠くへ、速く拡散させることができる。
なお、発煙装置は、防災訓練などに利用される発煙装置に類しており、発煙能力は、8畳の室内では60秒程度で、視野が50cm程度に充満することができる。
【0022】
<噴霧対象について>
本発明の消毒剤の噴霧対象は、基本的には屋内や車内などの閉鎖空間であり、その機能は、微細化して空中を浮遊する消毒成分を家具や床、壁などに付着させるものである。多くの人が利用する店舗や電車やバスなどを、閉店後に一括して消毒することができる。塩化ベンザルコニウムなど医療機関でも使用されている消毒剤であるので、医療施設や高齢者施設でも利用することができる。
噴霧力が高いので、閉鎖した状態で、数分~数十分噴霧することで、十分な消毒をすることができる。
【0023】
<噴霧試験について>
通常使用している天井高2.4mで10m
2(6畳)の部屋を閉め切って、表1に示す実施例の組成の薬剤10ccを、噴霧装置20を用いて、噴霧した。開始から数分で白煙が充満した。
消毒効果を確認するために、噴霧前後にカビ菌の採取試験を行った。
まず、消毒前に、培地を入れたシャーレを室内の机の上に30分開放して置き、菌を付着させた。
培地を入れた別のシャーレを、噴霧直前において、室内の机の上に開放して置き、噴霧し、30分後に回収した。
これらのシャーレを24時間30℃で培養した。
その結果を撮影した結果を
図3に示す。
図3(a)は消毒前のシャーレであり、
図3(b)は消毒後のシャーレの状態である。
試験結果から、消毒前には細菌が採取されて、培地で増殖しているが、消毒後は細菌を観察することができず、殺菌消毒がなされていることが確認できた。
【符号の説明】
【0024】
1・・・気化器
2・・・供給管
3・・・薬液タンク
4・・・ポンプ
5・・・ヒータ
6・・・ノズル
7・・・コンプレッサー
8・・・送風管
81・・・噴出口
9・・・薬液
10、20・・・噴霧装置