(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006940
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】バッテリー装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20220105BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220105BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220105BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20220105BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220105BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220105BHJP
【FI】
H01M2/10 S
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M10/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109536
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕志
(72)【発明者】
【氏名】五之治 巧
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY06
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】熱交換器を備えたバッテリー装置であって、薄型化を実現したバッテリー装置を提供する。
【解決手段】 バッテリー装置1は、ケース20と、ケース20内に収容された複数のバッテリーセル11と、を備える。ケース20は、複数のバッテリーセル11が載置されるベース部21と、ベース部21に載置された複数のバッテリーセル11を覆うカバー部22と、を備える。ベース部21は、複数のバッテリーセル11が載置されるベースプレート211と、ベースプレート211のうち、複数のバッテリーセル11が載置された面とは反対面側にて、ベースプレート211から離間した位置に設けられた下壁部L
212bと、ベースプレート211と下壁部L
212bとの間にて所定の方向にそれぞれ延設された帯板状の複数の側壁部S
212bを有し、複数の側壁部S
212bの幅方向における両端が、下壁部L
212b及びベースプレート211にそれぞれ接続されている。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に収容された複数のバッテリーセルと、
を備えたバッテリー装置であって、
前記ケースは、
前記複数のバッテリーセルが載置されるベース部と、
前記ベース部に載置された複数のバッテリーセルを覆うカバー部と、
を備え、
前記ベース部は、
前記複数のバッテリーセルが載置されるベースプレートと、
前記ベースプレートのうち、前記複数のバッテリーセルが載置された面とは反対面側にて、前記ベースプレートから離間した位置に設けられた底壁部と、
前記ベースプレートと前記底壁部との間にて所定の方向にそれぞれ延設された帯板状の複数の縦壁部を有し、
前記複数の縦壁部の幅方向における両端が、前記底壁部及び前記ベースプレートにそれぞれ接続されている、バッテリー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリー装置において、
前記縦壁部のうち、前記ベースプレート側の端部の壁厚が、他の部分の板厚に比べて大きく設定されている、バッテリー装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバッテリー装置において、
前記ベースプレート、前記底壁部及び前記縦壁部によって形成された筒状部の内周面に凹凸が設けられている、バッテリー装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1つに記載のバッテリー装置において、
前記ベースプレート、前記底壁部及び前記縦壁部によって形成された筒状部の延設方向における一端側の断面積が、他端側の断面積よりも大きい、バッテリー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に記載されているように、バッテリー装置は知られている。このバッテリー装置は、複数のベースプレート、複数のバッテリーセル、及び熱交換器を備える。ベースプレートは、略平板部材である。ベースプレートの上面に、複数のバッテリーセルが取り付けられ、ベースプレートの下面(バッテリーセルの下方に位置する部位)に、熱交換器(冷媒(冷却水)の流路としての角形パイプ)が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
角形パイプの上側の壁部の外側面がベースプレートの下面に当接している。バッテリーセルの熱が、ベースプレート及び角形パイプの壁部を介して、冷媒に伝達される。この構成において、ベースプレートと角形パイプの上側の壁部とを完全に密着させることは困難であり、部分的に僅かな隙間が生じる可能性が高い。このような隙間が生じた場合、熱交換効率(温度制御性能)が低下する。また、熱伝導率の比較的高いシート(弾性体)をベースプレートと角形パイプとの間に挟み込んで、ベースプレートと角形パイプとの熱伝達効率の向上(低下防止)を図ることが可能であるが、この場合、部品コストが高いだけでなく、バッテリー装置全体としての製品サイズ(厚さ方向の寸法)が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、熱交換器を備えたバッテリー装置であって、、薄型化を実現したバッテリー装置を提供することにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るバッテリー装置は、ケースと、前記ケース内に収容された複数のバッテリーセルと、を備える。
前記ケースは、前記複数のバッテリーセルが載置されるベース部と、前記ベース部に載置された複数のバッテリーセルを覆うカバー部と、を備える。
前記ベース部は、前記複数のバッテリーセルが載置されるベースプレートと、前記ベースプレートのうち、前記複数のバッテリーセルが載置された面とは反対面側にて、前記ベースプレートから離間した位置に設けられた底壁部と、前記ベースプレートと前記底壁部との間にて所定の方向にそれぞれ延設された帯板状の複数の縦壁部を有する。
前記複数の縦壁部の幅方向における両端が、前記底壁部及び前記ベースプレートにそれぞれ接続されている。
【0007】
本発明に係るバッテリー装置のベース部において、ベースプレートの一方の面(以下、上面と呼ぶ)にバッテリーセルが配置される。一方、ベースプレートの他方の面(以下、下面と呼ぶ)から離れた位置に底壁部が配置され、その底壁部とベースプレートの下面との間の空間が、複数の縦壁部によって仕切られて、複数の空間に分割されている。これらの複数の空間に冷媒を流通させることができる。この構成によれば、上記従来のバッテリー装置の上側の壁部に相当する部分が存在しない、したがって、バッテリーセルの熱が、べースプレートから冷媒に直接的に伝達される。よって、本発明によれば、上記従来のバッテリー装置のベースプレートと角形パイプとの上側の壁部との密着性に起因する問題や、シートを用いた場合の問題が生じない。すなわち、本発明のバッテリー装置は、従来のバッテリー装置に比べて、薄型化である。
【0008】
本発明の一態様に係るバッテリー装置において、前記縦壁部のうち、前記ベースプレート側の端部の壁厚が、他の部分の板厚に比べて大きく設定されている。
【0009】
これによれば、縦壁部とベースプレートとの接触面積が大きいので、両者の接合強度を高めることができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るバッテリー装置において、前記ベースプレート、前記底壁部及び前記縦壁部によって形成された筒状部の内周面に凹凸が設けられている。
【0011】
これによれば、筒状部の内周面が平面状である場合に比べて、内周面の表面積(冷媒に接触する面積)を大きく設定できるので、熱交換効率を向上させることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係るバッテリー装置において、前記ベースプレート、前記底壁部及び前記縦壁部によって形成された筒状部の延設方向における一端側の断面積(内径)が、他端側の断面積(内径)よりも大きい。
【0013】
この構成において、筒状部の一端側から他端側へ冷媒を流通させると、その上流側よりも下流側の流速が大きくなる。すなわち、バッテリーセルの下方において、冷媒の流速を大きく設定できる。これにより、熱交換効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るバッテリー装置の斜視図である。
【
図2A】
図1のバッテリー装置のカバー部を取り外した状態の上面、右面及び前面を示す斜視図である。
【
図2B】
図1のバッテリー装置のカバー部を取り外した状態の下面、右面及び前面を示す斜視図である。
【
図3】バッテリー装置(カバー部を除く部分)の分解斜視図である。
【
図5】第2チャンネルの右端(左端)の拡大図である。
【
図6】バッテリー装置の前後方向に対して垂直な断面図である。
【
図7】バッテリー装置の左右方向に対して垂直な断面図(1つのバッテリーモジュール及びその周辺部の拡大図)である。
【
図9】本発明の第1の変形例に係る第2チャンネルの左右方向に対して垂直な断面図である。
【
図10】本発明の第2の変形例に係る第2チャンネルの前後方向に対して垂直な断面図である。
【
図11】本発明の第3の変形例に係る第2チャンネルの前後方向に対して垂直な断面図である。
【
図12】本発明の第4の変形例に係る第2チャンネルの左右方向に対して垂直な断面図である。
【
図13】本発明の第5の変形例に係るバッテリー装置の前後方向に対して垂直な断面図である。
【
図14】本発明の第6の辺経理に係るバッテリー装置の冷媒の経路の概略を示す平面図である。
【
図15】本発明の第7の辺経理に係るバッテリー装置の冷媒の経路の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るバッテリー装置1について説明する(
図1参照)。バッテリー装置1は、例えば、車両(電気自動車)の床下に設置され、電動モーターへ供給される電力を蓄える。バッテリー装置1は、同図に示すように、略直方体形状を呈する。その3辺のうちの最も短い辺の延設方向を上下方向と呼ぶ。残りの2辺のうちの長辺の延設方向を前後方向と呼び、短辺の延設方向を左右方向と呼ぶ。例えば、バッテリー装置1の上下方向、前後方向及び左右方向が、車両高さ方向、車両前後方向及び車幅方向にそれぞれ一致するように、バッテリー装置1が車両の床下に配置される。
【0016】
バッテリー装置1は、複数のバッテリーモジュール10及びケース20を備える(
図2A参照)。バッテリーモジュール10は、複数のバッテリーセル11が配列されて、1つのモジュールが形成されている。これらのバッテリーモジュール10が、次に説明するケース20に収容されている。
【0017】
ケース20は、ベース部21及びカバー部22を備える(
図1参照)。ベース部21は、ベースプレート211、熱交換器212及びフレーム213を備える(
図2A及び
図2B、並びに
図3参照)。
【0018】
ベースプレート211は、前後方向に延びる長方形の平板状部材である。ベースプレート211の板厚方向が、上下方向に一致している。各バッテリーモジュール10が、ベースプレート211の上面に載置されている。各バッテリーモジュール10を構成するバッテリーセル11の配列方向が左右方向に一致するように、バッテリーモジュール10が配置されている。これらのバッテリーモジュール10は、前後方向に所定の間隔をおいて配列されている。各バッテリーモジュール10とベースプレート211との間に、熱伝導率の比較的高いシートHSが挟み込まれている(
図6及び
図7参照)。各バッテリーモジュール10は、図示しないブラケットを介して、ベースプレート211に固定されている。
【0019】
ベースプレート211における、各バッテリーモジュール10の左方及び右方に位置する部分に、複数の円形の貫通孔TH
211が形成されている(
図3及び
図8参照)。これらの貫通孔TH
211は、後述する第2チャンネル212bの溝部Gにそれぞれ対応している。これらの貫通孔TH
211の内径は共通である。
【0020】
熱交換器212は、第1チャンネル212a、複数の第2第2チャンネル212b、及び第3第3チャンネル212cを備える(
図3参照)。
【0021】
第1チャンネル212aは、前後方向に直線状に延設された溝形部材である。第1チャンネル212aは、下方へ開放されている(
図3及び
図6参照)。すなわち、第1チャンネル212aは、前後方向に延設された帯板状の上壁部U
212a、及び上壁部U
212aの下面における左右の端部に沿って前後方向へそれぞれ延設され、且つ上壁部U
212aに対して垂直な側壁部S
212a,S
212aを有する。上壁部U
212の壁厚方向が上下方向に一致しており、側壁部S
212の壁厚方向が左右方向に一致している。第1チャンネル212aは、押出成形法を用いて一体的に形成される。なお、第1チャンネル212aの後端に矩形の板材が接合されて、第1チャンネル212aの後端が閉じられている。
【0022】
第1チャンネル212aは、ベースプレート211の上面側における、各バッテリーモジュール10が配列された空間の右方に配置されている。第1チャンネル212aの溝幅方向(左右方向)における略中央部が、貫通孔TH211の上方に位置するように、第1チャンネル212aが配置され、第1チャンネル212aの側壁部S212a,S212aの下端が、ベースプレート211の上面に接合(溶接)されている。すなわち、各バッテリーモジュール10の右方に、第1チャンネル212aの上壁部U212a及び側壁部S212a,S212a並びにベースプレート211からなる筒部(第1筒部)が設けられている。
【0023】
各第2チャンネル212bは、各バッテリーモジュール10に対応している。第2チャンネル212bは、左右方向に直線状にそれぞれ延設された複数の溝部Gを備える(
図4参照)。各溝部Gは、上方へ開放されている。すなわち、第2チャンネル212bは、左右方向に延設された帯板状の下壁部(底壁部)L
212b、及び下壁部L
212bの上面において左右方向へそれぞれ延設され、且つ下壁部L
212bに対して垂直な複数の側壁部(縦壁部)S
212bを有する。下壁部L
212bの壁厚方向が上下方向に一致しており、側壁部S
212bの壁厚方向が前後方向に一致している。すなわち、複数の側壁部S
212bが、前後方向に等間隔に配置されている。前後方向に隣接する2つの側壁部S
212b,S
212bの間に位置する部分が溝部Gに相当する。第2チャンネル212bの全長(左右方向の寸法)は、バッテリーモジュール10の全長(左右方向の寸法)より大きい。第2チャンネル212bの幅(前後方向の寸法)は、バッテリーモジュール10の前後方向の寸法と同等である。第2チャンネル212bの下壁部L
212b及び複数の側壁部S
212bは、押出成形法を用いて一体的に形成される。なお、その押出成形体の右端及び左端に矩形の板材からなる側壁部SL
212b及び側壁部SR
212bがそれぞれ接合されている(
図5参照)。すなわち、第2チャンネル212bの左端及び右端が閉じられている。
【0024】
第2チャンネル212bは、ベースプレート211の下面側に配置されている(
図3、
図6及び
図7参照)。各第2チャンネル212bは、各バッテリーモジュール10の下方に配置されている。第2チャンネル212bの側壁部S
212b及び側壁部SL
212b,SR
212bの上端が、ベースプレート211の下面に接合(溶接)されている。すなわち、各バッテリーモジュール10の下方(ベースプレート211の下側)に、第2チャンネル212bの下壁部L
212b及び側壁部S
212b,S
212b並びにベースプレート211からなる複数の筒部(第2筒部)が設けられている。なお、バッテリーモジュール10の左方及び右方にそれぞれ形成された貫通孔TH
211に、第2チャンネル212bの各溝部Gの左右の端部が連通するように、貫通孔TH
211の位置及び第2チャンネル212bの溝部Gの溝幅などが予め設定されている。
【0025】
第3チャンネル212cの構成は、第1チャンネル212aの構成と同様である。すなわち、第3チャンネル212cは、前後方向に直線状に延設された溝形部材である。第3チャンネル212cは、下方へ開放されている。すなわち、第3チャンネル212cは、前後方向に延設された帯板状の上壁部U212c、及び上壁部U212cの下面における左右の端部に沿って前後方向へそれぞれ延設され、且つ上壁部U212cに対して垂直な側壁部S212c,S212cを有する。第3チャンネル212cは、押出成形法を用いて一体的に形成される。なお、第3チャンネル212cの前端に矩形の板材が接合されて、第3チャンネル212cの前端が閉じられている。
【0026】
第3チャンネル212cは、ベースプレート211の上面側に配置されている(
図2A及び
図3参照)。第3チャンネル212cは、各バッテリーモジュール10が配列された空間の左方に配置されている。第3チャンネル212cの溝幅方向における略中央部が、貫通孔TH
211の上方に位置するように、第3チャンネル212cが配置され(
図8参照)、第3チャンネル212cの側壁部S
212cの上端が、ベースプレート211の下面に接合(溶接)されている(
図6及び
図7参照)。すなわち、各バッテリーモジュール10の左
方に、第3チャンネル212cの上壁部U
212c及び側壁部S
212c,S
212c並びにベースプレート211からなる筒部(第3筒部)が設けられている。
【0027】
フレーム213は、ベースプレート211の上面の外周縁部に接合されて、ベースプレート211を補強する(
図3参照)。フレーム213は、右フレーム213aと左フレーム213bからなる。右フレーム213aと左フレーム213bとは、左右対称形状を有する。以下、右フレーム213aの構成について説明し、左フレーム213bの説明を省略する。
【0028】
右フレーム213aは、ベースプレート211の右縁部に沿って前後方向に延びるメインフレーム部F1と、メインフレーム部F1の前端及び後端から左方へ少し延びる前フレーム部F2及び後フレーム部F3とを有する。
【0029】
カバー部22は、前後方向へ延殺された箱状部材である、カバー部22は、下方へ開放されている(
図1参照)。カバー部22の側壁部の下端が、ベース部21の上面の外周部に接合されている。なお、カバー部22内に水、埃などが入り込まないように、ベース部21とカバー部22との接合部がシールされている。
【0030】
熱交換器212に冷媒としての冷却水を循環させるための図示しない循環装置(コンプレッサ、ポンプなど)が、熱交換器212に接続される。すなわち、第1チャンネル212aの前端及び第3チャンネル212cの後端が、循環装置の吐出口及び吸入口にそれぞれ接続される。循環装置から吐出された冷媒は、第1チャンネル212aの前端から第1チャンネル212a内に流入し後方へ流れる(
図8参照)。その冷媒は、各貫通孔TH
211を通って、各第2ャンネル212bの各溝部Gの右端部に流入(分流)し、各溝部Gの右端部から左方(第3チャンネル212c側)へ流れる。その際、各バッテリーモジュール10の熱が、シートHSを介して、ベースプレート211、側壁部S
212b及び下壁部L
212bに伝達される。そして、ベースプレート211の下面、及び側壁部S
212b及び下壁部L
212bと冷媒との間で熱交換が生じる。そして、その冷媒が、各溝部Gの左端部から各貫通孔TH
211を通って、第3チャンネル212cに流入(合流)し、第3チャンネル212cの後端から循環装置に戻る。なお、循環装置は、図示しない熱交換器(ラジエーター)を含む。この熱交換器(ラジエーター)によって、冷媒の熱が外気へ放散される。
【0031】
上記のように、従来のバッテリー装置において、予め筒状に形成された熱交換器がベースプレートに接合されている。この場合には、バッテリーモジュールの熱が、ベースプレートと、筒部を構成する壁部のうちの上側の壁部の上面との当接部の熱抵抗が大きい。
【0032】
これに対し、本実施形態に係るバッテリー装置1における第2チャンネル212bは、上方へ開放された複数の溝部Gを有する。そして、第2チャンネル212bを構成する各側壁部S212b及び側壁部SL212b,SR212bの上端がベースプレート211の下面に直接的に接合されている。そのため、ベースプレート211の下面と冷媒との間で、直接的に熱交換が生じる。したがって、この構成によれば、従来のバッテリー装置に比べて、熱交換効率を高く設定できる。また、上記従来のバッテリー装置において、ベースプレートの下面と、筒部の上側の壁部の上面との間にシートHSと同様のシートを挟み込んだ場合には、バッテリー装置の厚さ寸法(上下方向の寸法)が大きくなってしまうが、バッテリー装置1では、第2チャンネル212bとベースプレート211との間にシートを設ける必要が無い。よって、バッテリー装置1を、従来のバッテリー装置に比べて薄型化できる。
【0033】
また、一般に、上記従来の熱交換器のような筒状部材(中空部を有する部材)を押出成形法を用いて製造する場合、その部材の小型化(中空部の薄型化)が困難であり、製造速度(押出速度)が比較的遅い。これに対し、第2チャンネル212bは、上方へ開放されているので、小型化(薄型化)が比較的容易であり、製造速度(押出速度)も比較的速いため、製造コストが安い。
【0034】
また、上記のように、本実施形態において、冷媒を、第1チャンネル212aから各第2チャンネル212bの各溝部Gに分流させ、その冷媒を第2チャンネル212bにて合流させてている。したがって、第1チャンネル212a及び第3チャンネル212cを第2チャンネル212bの溝部Gよりも太く(溝幅及び溝深さを大きく)設定している。このように、第2チャンネル212bよりも太い第1チャンネル212a及び第3チャンネル212cを第2チャンネル212bと同様に、ベースプレート211の下側に配置した場合には、ベースプレート211の下側に突出した部位の寸法(上下方向の寸法)が大きくなる。すなわち、バッテリー装置1を薄型化することが困難である。これに鑑み、バッテリー装置1において、第2チャンネル212bをベースプレート211の下側に配置するとともに、第1チャンネル212a及び第3チャンネル212cをベースプレート211の上側に配置している。これにより、バッテリー装置1を薄型化できる。
【0035】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、側壁部S
212bの数を
図4、
図8などに示した例よりも多くしてもよい。また、
図9に示すように、下壁部L
212bの上面。側壁部S
212bの右面及び/又は左面、又はベースプレート211の下面に、左右方向(冷媒の流れ方向)に延びる凹部(又は凸部)を設けてもよい。これによれば、各第2チャンネル212bにおける表面積を大きく設定できる。すなわち、冷媒と第2チャンネル212bとの接触面積が大きくなる。そのため、熱交換効率を向上できる。
【0037】
また、
図10に示すように、各溝部G(下壁部L
212b又は側壁部S
212b)において、左右方向に間隔をおいて、複数の凹部R(凸部P)を配置してもよい。これによれば、各溝部Gにおける冷媒の流れを意図的に乱れさせる(渦流を生じさせる)ことができる。これにより、熱伝達効率をさらに向上させることができる。
【0038】
また、
図11に示すように、各溝部Gにおいて、第1チャンネル212a側の端部(すなわち、冷媒の入口側であって、バッテリーモジュール10の下方に位置する空間より左方に位置する部分)の断面積(溝深さ又は溝幅)を、その他の部分の断面積に比べて大きく設定してもよい。これによれば、各溝部Gにおいて、冷媒の入口部に比べて、それより下流側(バッテリーモジュール10の下方)における冷媒の流速が大きくなる。これにより、熱交換効率をさらに向上できる。なお、
図10及び
図11に示した例における凹凸を、例えば、レーザー加工機を用いて形成できる。また、このような凹凸を有する別部品を溝部Gに取り付けてもよい。
【0039】
また、
図12に示すように、側壁部S
212bの上端の板厚を、それより下方の部分の板厚より大きくしてもよい。これによれば、側壁部S
212bとベースプレート211との接合面積が大きく、接合強度を高めることができる。
【0040】
また、
図13に示すように、第1チャンネル212a(第3チャンネル212c)とメインフレーム部F1とを一体化してもよい。また、
図14に示すように、第3チャンネル212cを後端部にて折り返してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、冷媒が、第1チャンネル212aの前端から熱交換器212に導入され、第3チャンネル212cの後端から排出される。これに代えて、冷媒が、第1チャンネル212aの前端から熱交換器212に導入され、第3チャンネル212cの前端から排出されるようにしてもよい。この場合、前側(すなわち、冷媒の入口に近い側)の溝部Gに比べて、後側(冷媒の入口から遠い側)の溝部Gに冷媒が流れ難くなる虞がある。そこで、この場合、貫通孔TH
211の位置に応じて、それらの内径を異ならせるとよい。具体的には、前側の貫通孔TH
211の内径に比べて、後側の貫通孔TH
211の内径を大きく設定するよとよい(
図15参照)。
【符号の説明】
【0042】
1…バッテリー装置、10 …バッテリーセル、11…バッテリーセル、20…ケース、21…ベース部、22…カバー部、211…ベースプレート、212…熱交換器、213…フレーム、L212b…下壁部、G…溝部、HS…シート、S212b…側壁部、S212b…側壁部、TH21…貫通孔