(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069419
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】回路基板に接続された電子部品を除去及び/又は再配置するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20220428BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20220428BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220428BHJP
H05K 13/04 20060101ALN20220428BHJP
【FI】
H01L33/48
H05K3/34 507E
H01L21/60 321Z
H05K13/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021172072
(22)【出願日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】102151
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】501198796
【氏名又は名称】パック テック-パッケージング テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェトケ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】コルバソウ,アンドレイ
【テーマコード(参考)】
5E319
5E353
5F142
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319AC01
5E319BB01
5E319CC46
5E319GG15
5E353BB08
5E353EE63
5E353EE88
5E353MM06
5F142AA86
5F142CA13
5F142CB23
5F142CD02
5F142FA31
5F142FA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回路基板上の電子部品を高速かつ簡単な設計ツールで除去/又は再配置する方法及び装置に関する。
【解決手段】回路基板上6にマトリクス状に配列された複数のマイクロLEDを有するディスプレイにて、欠陥LEDの交換又は除去する方法は、欠陥LED4xと回路基板との接触領域とをレーザビーム12により選択的に加熱する工程を含む。この加熱工程と同時に、除去又は再配置すべきマイクロLEDが真空吸着ノズル8により剥離される。また交換するマイクロLEDを再配置する場合、回路基板上に再配置すべきマイクロLEDは、真空吸引ノズルの先端に保持された後に再配置され、レーザビームにより選択的に加熱するされ回路基板上に再実装される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触領域(5)において回路基板(6)に接続された電子部品(4x)を除去及び又は再配置する方法であって、
a)除去又は再配置すべき前記電子部品(4x)と、前記電子部品(4x)と前記回路基板(6)との前記接触領域(5)とをレーザビーム(12)により選択的に加熱する工程と、
b)前記回路基板(6)から/に前記電子部品(4x)を除去又は再配置する工程と、
を備え、
前記工程b)は、前記電子部品(4x)の近傍に真空吸引ノズル(8)を位置決めして、前記電子部品(4x)を真空吸引により除去又は再配置する工程を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザビーム(12)は、前記真空吸引ノズル(8)を介して前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)に方向付けられる、方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、さらに、
前記加熱する工程a)の間の温度を制御するために前記工程a)の間の温度を測定する工程を備える、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記測定される温度が変化したとき、前記工程a)の加熱を停止する、方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)とその接触領域(5)とをプロセスガスに曝す、方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記接触領域(5)には、前記レーザビーム(12)によって加熱されるコンタクトパッドが設けられている、方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)は、回路基板(8)に半田付けされている、方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記再配置工程b)の間、前記電子部品(4x)は、前記真空吸引ノズル(8)の先端に保持され、その後、その接触領域(5)又はコンタクトパッド上に適切に配置される、方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記加熱工程a)の前に、前記電子部品(4x)の除去又は再配置を行うか否かを識別する画像認識処理を行う、方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の方法であって、
前記除去又は再配置すべき電子部品は、LEDであり、特にマイクロLED(4x)である、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記LED又はマイクロLED(4x)は、他のLED又はマイクロLED(4)と共にマトリクス状に配置され、
前記加熱工程a)の前に、前記除去又は再配置すべきLED又はマイクロLED(4x)を識別するために、前記回路基板(6)に電力が供給される、方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の方法を実行する装置であって、
レーザビームエミッタ(11)と、
前記回路基板(6)から/に電子部品(4x)を除去及び/又は再配置する除去/再配置手段(2)と、
前記レーザビームエミッタ(11)から前記レーザビーム(12)を前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)に方向付けて前記除去すべき電子部品(4x)を加熱し、前記除去/再配置手段(2)を制御して前記加熱された電子部品(4x)を前記回路基板(6)から/に除去又は再配置する制御及び駆動手段(14)と、
を備え、
前記除去/再配置手段(2)は、吸引口(10)を有する真空吸引ノズル(8)である、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記レーザビームエミッタ(11)からのレーザビーム(12)は、前記真空吸引ノズル(8)及び前記吸引口(10)を介して前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)に方向付けられる、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、
前記レーザビームエミッタ(11)は、前記真空吸引ノズル(8)の外側に固定的に取り付けられている、装置。
【請求項15】
請求項12から請求項14までのいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)の温度と前記接触領域(5)の温度とを測定する温度センサ(16)を備え、
前記温度センサ(16)は、前記制御及び駆動手段(14)に接続されている、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記温度センサは、IR温度センサ(16)である、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、
前記IR温度センサ(16)は、前記除去又は再配置すべき電子部品(4x)の近傍に終端を有する導光ファイバ(20)を含む、装置。
【請求項18】
請求項12から請求項17までのいずれか一項に記載の装置であって、
前記制御及び駆動手段(14)は、前記真空吸引ノズル(8)と前記レーザビーム(12)とを平面内に位置決めするよう構成されている、装置。
【請求項19】
請求項12から請求項18までのいずれか一項に記載の装置であって、
再配置のために、前記吸引口(10)は、再配置すべき電子部品4xが前記真空吸引ノズル8の先端に保持されるように構成されている、装置。
【請求項20】
請求項12から請求項19までのいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
前記電子部品(4x)を除去又は再配置すべきかを識別するための画像認識手段(26)を備える、装置。
【請求項21】
請求項12から請求項20までのいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
前記回路基板(6)に電力を供給する手段を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項12に記載の、回路基板から電子部品を除去及び/又は回路基板上に電子部品を再配置する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面状の回路基板上にマトリクス状に配置された複数のミニLED又はマイクロLEDを有するディスプレイ技術の分野では、欠陥があるLEDを交換又は除去する作業、若しくは回路基板上に誤配置又は誤構成されたLEDを再配置又は再構成する作業が必要とされることが多い。これは、通常、欠陥があるLEDを加熱し、次いで把持ツールを用いてこれを機械的に除去又は再配置することによって行われる。加熱は、高温窒素又は接触加熱によって行われる。
【0003】
KR101890934B1には、レーザビームを用いて欠陥があるマイクロLEDを加熱し、真空ピペットのような把持具でこれを除去する方法が開示されている。このようなシステムの欠点は、加熱レーザをx-y平面内で位置決めする必要がある一方、把持ツールをx-y-z空間内で位置決めする必要がある点である。このため処理速度が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、基板から電子部品を除去し及び/又は基板上に電子部品を再配置するための方法及び装置であって、処理速度を向上させることができると共に簡単なツール設計を使用できる方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の方法及び請求項12に記載の装置により解決される。
【0006】
除去/再配置方法は、欠陥がある又は誤配置された電子部品と、この電子部品と回路基板との接触領域とを、レーザビームにより選択的に加熱する工程を含む。この加熱工程と同時に、除去又は再配置すべき電子部品が真空吸引される。レーザ加熱及び真空吸引により、除去又は再配置すべき電子部品が回路基板から剥離すると、電子部品が回路基板から吸引される。これは、欠陥電子部品を除去するための真空吸引ノズルと、この真空吸引ノズルを介して加熱レーザビームを欠陥部品上に導くレーザビームエミッタとを用いることによって達成される。再配置の際には、再配置すべき電子部品を真空吸引ノズルの先端に保持し、回路基板上に再配置して再実装する。
【0007】
レーザビームによる加熱と真空吸引ノズルによる除去の際の位置決めは、いずれもx-y平面内で行えばよく、すなわち、z平面内の移動は不要である。これにより、処理速度が向上する。
【0008】
好ましくは、レーザビームは、真空吸引ノズルを介して方向付けされる。これにより、真空吸引ノズルを位置決めすることにより、同時にレーザビームが正しいスポット上に位置決めされる。
【0009】
これに代えて、レーザビームを真空吸引ノズルの外側に取り付け、レーザビームを側面から真空ノズルの吸引口の下の欠陥がある又は誤配置された部品の位置に方向付けしてもよい。ここでも、部品を除去するために、1つの装置のみをx-y平面内で位置決めすればよい。
【0010】
従来の修理プロセスとは異なり、ツール開口部が部品の外側輪郭よりも大きく、このため、剥離した部品が真空チャネルを通過できる。
【0011】
再配置の場合、真空吸引ノズルの外形は、電子部品が真空吸引ノズルの先端に保持されるように構成される。これは、真空吸引ノズルの開口を電子部品の直径より小さくすること及び/又は電子部品の外形に適合させることによって達成できる。真空吸引ノズルを使用して、アダプタの除去と再配置の両方を行うために、電子部品の除去に使用される真空吸引ノズル上に手動又は自動でアダプタを取り付けてもよい。これに代えて、電子部品を取り出す真空吸引ノズルの先端に、電子部品を保持又は捕捉するためのグリッド又は他の手段を設けてもよい。
【0012】
その後、先端に電子部品を保持する真空吸引ノズルを回路基板に接近させることにより、電子部品を回路基板上に再配置する。このため、真空吸引ノズルは、その長手方向軸線に対して回転可能であることが好ましい。これに代えて、真空吸引ノズルの長手軸線に対して回路基板を回転可能にしてもよい。
【0013】
更に、本発明に係る装置は、回路基板上に電子部品を再実装する手段、例えば、半田又は接着剤を塗布する手段を備えてもよい。これに代えて、電子部品の接触領域に既に半田が存在し、電子部品の加熱中に液化した半田を用いて、液化した半田が固化するまで電子部品を接触領域に保持してもよい。これにより、誤配置された電子部品を再配置して回路基板に再実装できる。
【0014】
好ましくは、加熱工程中に、欠陥がある又は誤配置された電子部品の温度及びその位置における温度を測定して、加熱工程中にレーザビームを用いて温度を制御する。これにより、欠陥部品の位置において熱及び温度が過剰になることはなく、欠陥部品の位置での回路基板の焼損が回避される。
【0015】
好ましい実施形態では、測定温度が変化したとき、加熱が停止される。この温度の著しい変化は、電子部品の熱エネルギが回路基板に放散されなくなったため、欠陥部品が真空吸引によって基板から取り外されたことを示している。レーザビームを停止することにより、基板の焼損が回避される。
【0016】
温度は、好ましくは、加熱スポットに接触することなく、適切な光学系を有するIRセンサによって測定される。IRセンサは、ビームスプリッタを使用して、レーザ相互作用領域の外側又は光レーザ経路の一部のいずれかに配置できる。
【0017】
あるいは、温度センサは、加熱スポットの近傍に位置する自由端を有する導光ファイバを備える。これによっても、加熱スポットの温度を測定できる。
【0018】
好ましい実施形態では、半田の酸化を回避するために及び/又は回路基板からの欠陥部品の除去プロセスに積極的に影響を与えるために、加熱スポットにプロセスガスが受動的又は能動的に適用される。
【0019】
他の好ましい実施形態では、装置は、電子部品の欠陥又は回路基板上への誤配置を検出できる画像認識手段を備えていてもよい。このため、画像認識手段は、電子部品が接触領域に適切に配置されている場合、すなわち、電子部品が意図された接触領域に対して位置ずれ又は回転しておらず、リードのタブ等の電子部品の接点が回路基板上の意図されたコンタクトパッド上に配置されている場合、電子部品自体に欠陥があると識別できる。電子部品が回路基板上に適切に配置されていない場合、すなわち、電子部品が意図された接触領域に対して位置ずれ又は回転している又は電子部品の接点が回路基板上の意図されたコンタクトパッド上に配置されていない場合、電子部品が誤配置されていると識別される。
【0020】
回路基板上の電子部品がLED又はマイクロLEDである場合、画像認識手段は、LED又はマイクロLEDのマトリクスを点灯させることにより、除去又は再配置すべきLED又はマイクロLEDを事前に識別してもよい。その後、光を発していないLEDやマイクロLEDを欠陥又は誤配置と識別する。
【0021】
更なる下位請求項は、更なる好ましい実施形態を対象とする。
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に基づく欠陥を有する又は誤配置されたマイクロLEDを含むマイクロLEDのマトリクス及び除去/再配置ツールを示す図である。
【
図2】レーザビームが真空吸引ノズルを介して方向付けされる本発明の第1の実施形態の詳細を示す断面図である。
【
図3】レーザビームが側方から吸引ノズル開口の下のスポットに方向付けられる本発明の第2の実施形態を表す断面図である。
【
図4】光学系が加熱スポットに方向付けられたIR温度センサを備える第3の実施形態を表す図である。
【
図5】自由端が加熱スポットの近傍に位置する導光ファイバを備えたIR温度センサを備える第4の実施形態を表す図である。
【
図6】ビームスプリッタによってレーザ経路内に結合されたIR温度センサを備える第5の実施形態を表す図である。
【
図7】本発明の第1及び第3の実施形態における様々な構成要素の相互接続を示す概略図である。
【
図8】カメラと処理ユニットとから構成される画像認識手段を備える第6の実施形態を表す図である。
【
図9】本発明の第7の実施形態における回路基板上の電子部品を再配置するための方法の工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び
図2は、本発明の第1の実施形態を示している。
図2は、本発明の第1の実施形態の詳細な断面図である。電子部品除去/再配置ツール2は、除去又は再配置すべき欠陥又は誤配置されたマイクロLED4xの上方に位置決めされる。欠陥マイクロLED4x及び他の複数のマイクロLED4は、
図1に示すように、回路基板6上の接触領域5にマトリクス状に配置され、例えば、半田によって回路基板6に取り付けられている。マイクロLED4xが誤配置された場合、マイクロLED4xは、回路基板6上の意図する接触領域5上に適切に配置されず、このため、回路基板6に電力が供給されてもマイクロLED4xは点灯しない。
【0025】
除去ツール2は、除去又は再配置すべきマイクロLED4上に位置する吸引口10を有する真空吸引ノズル8を備える。また、除去/再配置ツール2は、レーザビームエミッタ11を備え、真空吸引ノズル8の中心を介して及び吸引口10を介して、加熱用レーザビーム12を除去又は再配置すべきマイクロLED4x上に方向付ける。レーザビーム12からの熱により、マイクロLED4xが回路基板6から剥離され、剥離されたマイクロLED4xが真空吸引ノズル8に吸引されて回路基板6から除去される。再配置の場合、マイクロLED4xは、真空吸引ノズル8の先端に保持され、真空吸引ノズル8内に吸い込まれないように設計されている。このため、真空吸引ノズル8にアダプタを手動又は自動で取り付けてもよく、他のノズルを用いてもよい。除去/再配置ツール2の位置決め、真空吸引、及びレーザビームエミッタ11の制御は、制御及び駆動手段14によって行われる。制御及び駆動手段14は、真空吸引ノズル8の先端に保持されたマイクロLED4xを回転させることができることが好ましい。レーザビーム12は、径が小さく、集光できるため、欠陥がある又は誤配置されたマイクロLED4xとその接触領域5のみを加熱できる。これにより、隣接するマイクロLED4の焼損が回避される。除去プロセスの間、除去ツール2は、x-y平面内のみで位置決めされ、z方向への移動は不要である。このため、除去速度が高められる。なお、真空吸引ノズル8の先端に保持されたマイクロLED4xを回路基板6上に再配置する場合は、真空吸引ノズル8が回路基板6に接近し、マイクロLED4xを目的の接触領域5上に適切に再配置する。その後、再配置されたマイクロLED4xは、例えば半田を塗布して回路基板6上に再実装される。これに代えて、接触領域5に既に存在し、マイクロLED4の加熱中に液化した半田を再実装に使用し、液化した半田が固化するまでマイクロLED4xを接触領域に保持してもよい。
【0026】
図3は、
図2と同様の断面図であり、本発明の第2の実施形態を示す。
図3に示す第2の実施形態では、レーザビーム12は、真空吸引ノズル8の外側から吸引口10の下の領域に導かれる。これは、除去ツール2の外側にレーザビームエミッタ11を固定的に取り付け、吸引口10の下方領域にレーザビーム12を方向付けることによって達成される。これにより、真空吸引ノズル8の位置決めと同時に、除去又は再配置すべき欠陥がある又は誤配置されたマイクロLED4x上にレーザビーム12が位置決めされる。他の全ての特徴は、第1の実施形態の特徴と同じである。
【0027】
図4は、本発明の第3の実施形態を示す概略図である。第1の実施形態の特徴に加えて、IR温度センサ16は、欠陥がある又は誤配置されたマイクロLED4x及びその近傍の温度を非接触で測定するためのIR光学系18を備える。加熱工程中に欠陥がある又は誤配置されたマイクロLED4xの温度を測定することにより、制御及び駆動手段14を介してレーザビームエミッタ11から放出される熱エネルギを制御することによって除去プロセス中の温度を制御できる。
【0028】
図5に示す第4の実施形態では、IR光学系18に代えて、モノフィラメント導光ファイバ20がIR温度センサ16に接続され、導光ファイバ20の自由端が、加熱されるマイクロLED4xの近傍に配置される。
【0029】
IR温度センサ16によって測定される温度は、欠陥マイクロLED4xが液体半田と共に回路基板6から剥離すると、大きく変化することが分かった。この急激な温度変化は、熱エネルギがマイクロLED4xから回路基板に放散されなくなったために現れるものであり、これを指標として用いて、加熱プロセスを停止させ、すなわち、レーザビーム12の出射を数ミリ秒以内に停止させ、これにより、回路基板6又は非欠陥マイクロLED4の焼損が回避される。
【0030】
温度は、好ましくは、加熱スポット、除去又は再配置すべきマイクロLED4xに接触することなく、適切な光学系18を有するIRセンサ16によって測定される。IRセンサ16は、除去ツール2の外側に配置され、IR放射は、
図3、
図4及び
図5に示すように、除去ツール2の外側からIRセンサに導かれ、又は
図6に示すように、ビームスプリッタ25を用いて、レーザビーム12の外側の真空吸引ノズル8の内側から導かれる。
【0031】
図6は、光学系18によって、真空吸引ノズル8の外側から吸引口10の下の除去すべきマイクロLED4xにIR放射を方向付けることに代えて、ビームスプリッタ25によってレーザ経路内に結合されたIR温度センサを有する第4の実施形態を表す図である。ビームスプリッタ25は、レーザビームからのIR放射をフィルタリングし、適切な光学系18を用いてIR温度センサ16に反射する。
【0032】
図7は、本発明の第1及び第3の実施形態における様々な構成要素の相互接続を示す概略図である。更に、
図7には、加熱された除去すべきマイクロLED4xに向けてプロセスガス24を供給するプロセスガスノズル22が示されている。プロセスガスは、加熱工程中の液化半田の酸化を回避するのに役立ち、加熱工程中の加熱ダイナミクスを支援することができる。プロセスガスの供給も同様に制御及び駆動手段14によって制御される。使用されるプロセスガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム又はホルミドガス(formid-gas)であってもよい。
【0033】
図8は、通信可能に互いに接続されたカメラ28と処理ユニット30とから構成された画像認識手段26を含む本発明の第6の実施形態を示している。なお、処理ユニット30は、カメラ28を制御するものであり、制御及び駆動手段14に含まれていてもよい。具体的には、画像認識ユニット26は、欠陥があるマイクロLED4xと、誤配置されたマイクロLED4xとを区別できる。この目的のために、回路基板6に電力を供給し、点灯していないマイクロLEDが、欠陥がある又は誤配置されたマイクロLED4xであると識別するようにしてもよい。この後、画像認識手段26は、マイクロLED4xが意図する接触領域5に対して位置ずれ又は回転している場合、又はマイクロLED4xの接点が意図するコンタクトパッド上に配置されていない場合、マイクロLED4xが誤配置されていると識別する画像認識処理を行う。マイクロLED4xが適正に配置されている場合には、画像認識処理により、マイクロLED4xを欠陥として識別する。
【0034】
図9は、回路基板6上に誤配置されたマイクロLED4xを再配置するための第7の実施形態を示している。
図9(a)において、マイクロLED4xが回路基板6上の専用のコンタクトパッド31上に適切に配置されていないため、回路基板6に電力が供給されてもマイクロLED4xは点灯しない。
図9(b)において、再配置ツール2は、マイクロLED4x上に配置され、レーザビーム12がマイクロLED4xに照射され、マイクロLED4xの下の半田32を液化させる。一方、マイクロLED4xは、真空吸引ノズル8により上方に吸引される(
図9(b)矢印参照)。
図9(b)に示すように、真空吸引ノズル8の吸引口10は、真空吸引ノズル8の先端でマイクロLED4xを保持するように構成されている。具体的には、吸引口10の径は、マイクロLED4xの直径、すなわち、マイクロLED4xの筐体の直径よりも小さく設計されている。これにより、マイクロLED4x及び半田32は、真空吸引ノズル8内に吸い込まれない。
【0035】
その後、マイクロLED4xの接触領域が専用コンタクトパッド32の真上に位置するように、マイクロLED4xを位置決めする。この目的のために、マイクロLED4xを回路基板6と平行な平面に再配置し、回路基板6に対して回転させてもよい。半田32は、マイクロLED4xの下に残り、再配置後に、マイクロLED4xを回路基板6に固定するために再使用できることが好ましい。
図9(c)において、マイクロLED4xは、僅かに左側にずれている。なお、マイクロLED4xは、
図9の(c)の間、真空吸引ノズル8に吸着されている。マイクロLED4xが適切に配置されると、真空吸引ノズル8、したがって、吸着されたマイクロLED4xは、回路基板6に向かって接近する(
図9(d)の矢印参照)。半田32が再固化した後、マイクロLED4xは、回路基板6上に正しく配置され、固化した半田32によって固定される。
【0036】
図9には示されていないが、真空吸引ノズル8を回路基板6に接近させることなく、マイクロLED4xを回路基板6上で位置決めしてもよい。これは、マイクロLED4xが回路基板6に向かって降下するように吸引を停止することによって達成できる。また、真空吸引ノズル8内のフロー方向を逆にして、マイクロLED4xを回路基板6に向けて吹き付けるようにしてもよい。
【0037】
更なる実施形態では、コンタクトパッド31は、マイクロLED4xの側に配置されてもよく、コンタクトパッド31は、加熱されてもよく、液化した半田32は、マイクロLED4xの再配置前に、真空吸引ノズル8内に吸引されてもよい。この実施形態では、電子部品除去/再配置ツール2は、再配置されたマイクロLED4xを回路基板6に再実装するために半田を塗布する手段を備えていてもよい。
【0038】
マイクロLED4、4xは、通常、回路基板6に半田付けされている。同様に、接着剤を使用して、マイクロLED4、4x又は他の電子部品を回路基板6に取り付けてもよい。
【0039】
様々な実施形態を組み合わせることができる。異なる温度測定構成は、レーザビーム12を除去すべきマイクロLED4xに導く異なる方法と組み合わせることができる。同様に、プロセスガスの適用は、上述の組み合わせと組み合わせることができる。同様に、画像認識を異なる実施形態と組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
2 電子部品除去/再配置ツール
4 マイクロLED
4x 除去すべき欠陥があるマイクロLED
5 接触領域
6 回路基板
8 真空吸引ノズル
10 吸引口
11 レーザビームエミッタ
12 レーザビーム
14 制御及び駆動手段
16 IR温度センサ
18 光学系
20 モノフィラメント導光ファイバ
22 プロセスガスノズル
24 プロセスガス
25 ビームスプリッタ
26 画像認識手段
28 カメラ
30 処理ユニット
31 コンタクトパッド
32 半田
【外国語明細書】