(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069434
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/573 20060101AFI20220428BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220428BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220428BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220428BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220428BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20220428BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220428BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A61K31/573
A61P17/00
A61P29/00
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/00
A61K47/12
A61K47/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173586
(22)【出願日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2020177764
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 みすず
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA24
4C076BB31
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4C076DD45Q
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4C076GG45
4C086AA01
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4C086MA28
4C086MA63
4C086NA03
4C086ZA89
4C086ZB11
(57)【要約】
【課題】ステロイドの安定性を改善する新たな手段を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)ステロイド;
(B)サリチル酸類;
を含有する、液状又は半固形状の組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)ステロイド;
(B)サリチル酸類;
を含有する、液状又は半固形状の組成物。
【請求項2】
成分(A)が、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びプレドニゾロン並びにそれらのエステルよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(A)が、デキサメタゾン及びそのエステルよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(B)が、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(B)が、サリチル酸グリコールである、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物が、ポリオレフィン系樹脂製容器に収容されてなる、容器入り組成物。
【請求項8】
次の成分(A):
(A)ステロイド;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに次の成分(B):
(B)サリチル酸類;
を含有せしめる工程を含む、ステロイドの安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステロイド骨格を有する化合物が医薬品の有効成分として汎用されている。例えば、虫さされに伴う炎症、皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療には、抗炎症作用を有する副腎皮質ホルモンを含有する医薬品が用いられている。このような医薬品に用いられる副腎皮質ホルモンとしては、例えば、デキサメタゾンやプレドニゾロン等が挙げられる。また、ステロイドを含有する医薬品としては、例えば吉草酸酢酸プレドニゾロン及び抗ヒスタミン剤の組合せを含む皮膚外用剤(特許文献1)等が知られている。しかしながら、従来から提供されているステロイドを含有する医薬品は、ステロイドの安定性が必ずしも十分では無かった。
【0003】
そのため、ステロイドの製剤中における安定性を改善させる技術として、例えば、ステロイドとグリセリンと極性油を含有する皮膚外用剤(特許文献2)、有効成分として0.005~0.05重量%のステロイド、安定化剤として15重量%以下のクロタミトン及び界面活性剤を基剤中に含有するパップ剤であって、クロタミトンの配合量がステロイドの配合量の200~3000重量倍であり、かつ、界面活性剤の配合量がクロタミトンの配合量の1/20~1/5重量倍であるステロイド含有パップ剤(特許文献3)、ステロイド系抗炎症薬及びその安定化に有効な量のアクリル酸重合物を含有する無水の外用剤組成物(特許文献4)、ステロイドとともに安息香酸エステル系局所麻酔剤及びオキシカルボン酸を含有する外用製剤(特許文献5)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-356430号公報
【特許文献2】特開2001-247463号公報
【特許文献3】特開2000-26299号公報
【特許文献4】特開2001-233772号公報
【特許文献5】国際公開第2007/72923号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ステロイドの安定性を改善する新たな手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ステロイドを含有する組成物に、さらにサリチル酸グリコールに代表されるサリチル酸類を含有せしめることによって、ステロイドの安定性を改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ステロイド;
(B)サリチル酸類;
を含有する液状又は半固形状の組成物を提供するものである。
また、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ステロイド;
(B)サリチル酸類;
を含有する液状又は半固形状の組成物が容器に収容されてなる、容器入り組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液状又は半固形状の組成物中のステロイドの安定性を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<成分(A)>
本発明において、「ステロイド」は副腎皮質ホルモンに限定されず、ステロイド骨格を有する化合物を全て包含するが、副腎皮質ホルモンが好ましい。このようなステロイドとしては例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、アムシノニド、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ジフルコルトロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ジフロラゾン、ジフルプレドナート、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ハルシノニド、フルメタゾン、ブテソニド、モメタゾン、フルオシノロン、フルオメトロン、フルドキシコルチド、アルクロメタゾン、クロベタゾール、デプロドン、ベクロメタゾン、クロベタゾン及びこれらのエステル、ケタール、アセタール及びヘミアセタール誘導体並びにこれらの塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明においてステロイドとしては、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びプレドニゾロン並びにこれらのエステル(例えば、酢酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステルなどの炭素数1~6の飽和脂肪酸とのエステルなど)よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、コルチゾン酢酸エステル、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル及びプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル及びプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルよりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、デキサメタゾン及びデキサメタゾン酢酸エステルよりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、デキサメタゾン酢酸エステルが特に好ましい。
なお、これらはいずれも公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0010】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のステロイドの含有量は特に限定されず、所望の薬理作用等に応じて適宜検討して決定すればよい。本発明においては、ステロイドを組成物全質量に対して、0.0001~1質量%含有するのが好ましく、0.001~0.5質量%含有するのがより好ましく、0.01~0.1質量%含有するのが特に好ましい。
【0011】
<成分(B)>
本発明において、「サリチル酸類」とは、サリチル酸及びその誘導体(例えば、サリチル酸のエステル(具体的には例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸グリコールなど))並びにそれらの塩(例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩など)から選ばれる1種以上を意味する。
本発明においてサリチル酸類としては、ステロイドの安定性の改善の観点から、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、サリチル酸グリコール及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、サリチル酸グリコールが特に好ましい。
なお、これらはいずれも公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0012】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のサリチル酸類の含有量は特に限定されないが、ステロイドの安定性の改善の観点から、サリチル酸類を組成物全質量に対して0.0001~50質量%含有するのが好ましく、0.001~10質量%含有するのがより好ましく、0.01~5質量%含有するのが更に好ましく、0.1~2質量%含有するのが特に好ましい。
【0013】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のステロイドとサリチル酸類との含有比は特に限定されないが、ステロイドの安定性の改善の観点から、ステロイドを1質量部に対し、サリチル酸類を0.1~1000質量部含有するのが好ましく、1~500質量部含有するのがより好ましく、10~100質量部含有するのが更に好ましく、35~85質量部含有するのが特に好ましい。
【0014】
<液状又は半固形状の組成物>
本発明において、「液状又は半固形状の組成物」とは、常温(15~25℃の範囲内のうちいずれかの温度)において液状あるいは半固形状の組成物を意味する。
本発明において組成物の性状は特に限定されず、溶液、コロイド溶液(ゾル(懸濁液や乳濁液))、ゲル等のいずれであってもよい。また、溶媒あるいは基剤の種類・性質等は特に限定されず、親水性であっても油性等の疎水性であってもよく、さらには異なる複数種の溶媒・基剤を適宜混合・乳化等して用いてもよい。こうした溶媒・基剤としては、具体的には例えば、後記の添加物として例示された成分等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、使用時の安全性、使用感の観点から、液状又は半固形状の組成物が、水を含有するのが好ましい。ステロイド、特にエステル結合を分子内に有するステロイドは、水を含有する液状又は半固形状の組成物中で分解反応を受けやすく不安定であるが、このような場合であっても本発明によれば良好な安定性が得られる。
ここで、組成物中の水の含有量は、特に限定されないが、使用時の安全性やステロイドの安定性の改善の観点から、組成物全質量に対し1質量%以上であるのが好ましく、5質量%以上であるのがより好ましく、10~90質量%であるのがさらに好ましく、20~80質量%であるのがさらにより好ましく、30~70質量%であるのがさらにより好ましく、40~65質量%であるのが特に好ましい。
【0016】
また、本発明においては、使用感の観点から、液状又は半固形状の組成物が、低級アルコールを含有するのが好ましい。ここで、「低級アルコール」とは、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖の1価のアルコールを意味し、具体的には例えば、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。これらの中でも、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物が好ましい。
組成物中の低級アルコールの含有量は特に限定されないが、使用感の観点から、組成物全質量に対し5質量%以上であるのが好ましく、10~80質量%であるのがより好ましく、15~75質量%であるのがさらに好ましく、20~70質量%であるのがさらに好ましく、25~60質量%であるのがさらにより好ましく、30~50質量%であるのが特に好ましい。
【0017】
本発明においては、使用時の安全性、使用感の観点から、液状又は半固形状の組成物が、水及び低級アルコールの両者を共に含有するのが好ましい。
【0018】
本発明において、液状又は半固形状の組成物は、医薬成分として、前記以外の薬物を含んでいてもよい。このような薬物としては、例えば、抗ヒスタミン剤、クロタミトン、グリチルリチン酸類、アラントイン、殺菌剤、収れん・保護剤、局所麻酔剤、テルペン類、テルペン類を含む精油、アンモニア水、ビタミンE類、及びビタミンA類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0019】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、セチリジン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩等が挙げられる。
グリチルリチン酸類としては、例えば、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、グリチルレチン酸等が挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
収れん・保護剤としては、例えば、カラミン、酸化亜鉛等が挙げられる。
局所麻酔剤としては、例えば、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、ジブカイン塩酸塩、リドカイン、リドカイン塩酸塩等が挙げられる。
テルペン類としては、例えば、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、チモール、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられる。
テルペン類を含む精油としては、例えば、アニス油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オレンジ油、カナンガ油、カミツレ油、カヤプト油、カラウェー油、クベブ油、グレープフルーツ油、ケイヒ油、コリアンダー油、サフラン油、サンショウ油、シソ油、シトリオドラ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ショウズク油、樟脳油、ジンジャーグラス油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、バジル油、ハッカ油、パルマローザ油、ピメント油、プチグレン油、ベイ油、ペニローヤル油、ヘノポジ油、ベルガモット油、ボアドローズ油、ホウショウ油、マジョラン油、マンダリン油、メリッサ油、ユーカリ油、ライム油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられる。
ビタミンE類としては、例えば、トコフェロール、トコフェロールコハク酸エステル、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル等が挙げられる。
ビタミンA類としては、例えば、ビタミンA油、レチノールパルミチン酸エステル等が挙げられる。
【0020】
また、本発明において、液状又は半固形状の組成物には、組成物の剤形、投与方法等に応じて医薬品分野等において用いられる添加物を配合してもよい。こうした添加物としては、例えば、ゲル化剤、多価アルコール、油脂類、乳化剤、可溶化剤、pH調整剤、抗酸化剤、軟化剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、安定化剤、経皮吸収促進剤、矯味剤・甘味剤等が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
ゲル化剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー等のアクリル酸系高分子;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等の水溶性あるいは水膨潤性のセルロース系高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、マクロゴール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、スクワラン、パラフィン、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル類;べへニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ベヘニン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;カルナウバロウ、鯨ロウ、セラック、ホホバ油、ミツロウ、サラシミツロウ、モンタンロウ、ラノリン、精製ラノリン、還元ラノリン等のロウ類;シリコーン油等が挙げられる。
【0022】
乳化剤としては、例えば、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の多価アルコール脂肪酸エステル又は多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル等のエーテルエステル等の非イオン性界面活性剤の他、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤などが挙げられる。
可溶化剤としては、例えば、上記の乳化剤として例示した非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤に加え、流動パラフィン、クロタミトン等が挙げられる。
【0023】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、氷酢酸等の有機酸又はその塩;塩酸、硫酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸又はその塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化アルカリ;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、大豆レシチン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
軟化剤としては、例えば、アラントイン、アーモンド油、オリブ油、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、精製ラノリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ナタネ油、ヒマシ油、プロピレングリコール、ポリブテン等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、コロイド性ケイ酸アルミニウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グァーガム、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、アルブミン等が挙げられる。
保湿剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、ショ糖、エリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硬化油、システイン等が挙げられる。
経皮吸収促進剤としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル等の脂肪酸エステル類が挙げられる。
矯味剤・甘味剤としては、例えば、アセスルファムカリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース、パノース、トレハロース、エリスリトール、ラクチトール、還元パラチノース、カップリングシュガー、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、ラフィノース、アスパルテーム、果糖、キシリトール、黒砂糖、サッカリン若しくはその塩、ソルビトール、乳糖、白糖、ハチミツ、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、水アメ等が挙げられる。
【0024】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の製造方法は特に限定されず、配合する成分の種類や量、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて、例えば第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。
【0025】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の投与方法・適用方法は特に限定されず、経口;経皮、経膣等の非経口が挙げられる。本発明においては、ステロイドの薬理作用と液状又は半固形状の組成物の特性(患部の位置、形状や範囲に応じて柔軟に必要な量だけ塗布等することが可能である点)から、非経口が好ましく、経皮投与が特に好ましい。
【0026】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の剤形は、組成物が液状又は半固形状である限りにおいて特に限定されるものではなく、その利用目的等に応じて、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形から適宜選択できる。こうした剤形としては、具体的には例えば、皮膚等に適用する製剤(外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等)、経口投与する製剤(経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤等)などが挙げられる。
本発明において、液状又は半固形状の組成物の剤形としては、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形が好ましく、リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形がより好ましく、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形がさらに好ましく、ローション剤が特に好ましい。
【0027】
次に、本発明の容器入り組成物について説明する。
本発明の容器入り組成物は、本発明の液状又は半固形状の組成物が容器に収容されてなるものである。
容器の材質としては、ガラス、プラスチックが挙げられるが、ステロイドの安定性の改善の観点から、プラスチックが好ましく、ポリオレフィン系樹脂製容器がより好ましい。
【0028】
<ポリオレフィン系樹脂製容器>
本発明において、「容器」とは、液状又は半固形状の組成物を直接的に収容する包装体を意味する。容器の形状は、液状又は半固形状の組成物を収容可能であることを限度として特に限定されず、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて適宜検討して決定すればよい。
このような容器の形状としては、例えば、エアゾール剤用容器、ポンプスプレー剤用容器、ボトル容器(より詳細には例えば、スポンジ状の塗布部材(ヘッド)を備えるボトル容器、ロールオン容器やジャーボトル容器など)、チューブ容器、点眼容器等が挙げられる。なお、これらの容器はいずれも公知であり、公知の方法により製造すればよく、また、市販品を用いてもよい。
【0029】
本発明において、容器としては、医薬製剤の取り扱いや使用時の便宜等の観点から、以下の(1)又は(2):
(1) スポンジ状の塗布部材を備えるボトル容器のように、容器本体と塗布部材とを備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器;
(2) チューブ容器のように、柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器;
が好ましく、(1)の態様の容器が特に好ましい。
【0030】
[(1)容器本体と塗布部材とを備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器]
斯かる態様の容器の場合、容器本体に収容された組成物を塗布部材に含浸・保持させて、前記塗布部材を被塗布部に接触させることにより、組成物を塗布することができる。この場合において、容器本体と塗布部材は、それぞれ独立の部材として作製してから容器本体に塗布部材を装着してもよく、一体的に成型してもよい。
なお、塗布部材としては、液状又は半固形状の組成物を含浸・保持可能な構成であればよく、例えばスポンジ状のような多孔質の部材や刷毛状の部材等が挙げられる。
【0031】
このような容器としては例えば、容器本体の口部に塗布部材を備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器が挙げられる。
より詳細な具体例としては例えば、口部を有する容器本体と、前記口部に装着された、多孔質(スポンジ状など)の塗布部材とを備えてなる容器等が挙げられる。この場合、容器本体に収容された組成物を、孔径・空隙率等が適宜調整された多孔質の塗布部材に含浸・保持させた後、当該塗布部材を被塗布部に接触させることによって、組成物を被塗布部に塗布することができる。
また、別の具体例としては例えば、口部を有する容器本体と、前記口部に装着された、刷毛状の塗布部材とを備えてなる容器等が挙げられる。この場合、容器本体に収容された組成物を、毛の長さ・間隔等が適宜調整された刷毛に含浸・保持させた後、当該塗布部材を被塗布部に接触させることによって、組成物を被塗布部に塗布することができる。
【0032】
斯かる態様の容器は、塗布部材に組成物を含浸・保持させて使用するため、例えば組成物が外用塗布剤である場合において被塗布部で液ダレの問題が生じにくい、塗布部材を直接に被塗布部に接触させて使用することで手指が汚れない、あるいは塗布部材の形状・大きさ等を調整することで簡易に組成物を塗布する領域を柔軟に調整可能である、などのメリットを有する。斯かる態様の容器の場合、容器本体及び塗布部材が共にポリオレフィン系樹脂製であるのが特に好ましい。
なお、斯かる容器は、収容する組成物が、例えば液状の組成物や低粘性の半固形状の組成物である場合に特に好適に採用できる。
【0033】
斯かる態様の容器は公知であり、例えば、特許第5570089号公報等に開示されている。また、本発明においては、斯かる態様の容器として市販品を用いてもよく、このような市販品としては例えば、塗布部材として低密度ポリエチレン製の連通多孔質体であるMAPS((株)イノアックコーポレーション)を用いた容器等が挙げられる。
【0034】
[(2)柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器]
斯かる態様の容器の場合、柔軟性を有する容器本体を押圧すること等により容器内部に圧を加え、容器内部に収容された組成物を吐出口から吐出させることによって、組成物を被塗布部に塗布することができる。なお、斯かる態様の容器において吐出口は容器に予め設けられていなくともよく、使用開始前に容器に穿孔等して吐出口を設ける構成としてもよく、斯かる態様の容器も「柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器」に包含される。
【0035】
斯かる態様の容器は、単純な構造であるため製造コストが低い、容器本体を押圧すること等により吐出口から組成物を吐出させて使用するため容器内の組成物が汚染されない、などのメリットを有する。
なお、斯かる態様の容器は、収容する組成物が、例えば粘性の高い半固形状の組成物である場合に特に好適に採用できる。
【0036】
斯かる態様の容器は公知であり、例えば、特許第5302550号公報、特許第5525135号公報等に開示されている。また、本発明においては、斯かる態様の容器として市販品を用いてもよい。
【0037】
本発明において、「ポリオレフィン系樹脂」は特に限定されず、単一種のモノマーの重合体(ホモポリマー)であっても、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、コポリマーである場合、その重合様式は特に限定されず、ランダム重合でもブロック重合でもよい。さらに、その立体規則性(タクティシティー)は特に限定されない。
このようなポリオレフィン系樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレン(より詳細には例えば、低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等が挙げられ、本発明においては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂としては、ステロイドの安定性の改善の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましい。
なお、本発明において、「ポリオレフィン系樹脂製」とは、その材質の少なくとも一部にポリオレフィン系樹脂を含んでいることを意味し、例えば、ポリオレフィン系樹脂と他の樹脂との2種以上の樹脂の混合体(ポリマーアロイ)も「ポリオレフィン系樹脂製」に含まれる。
【0038】
本発明において、「ポリオレフィン系樹脂製容器」とは、容器において、その内部に収容された液状又は半固形状の組成物と接する部分の少なくとも一部(好適には、通常の保存時において組成物と接する部分の10%以上、より好適には、通常の保存時において組成物と接する部分の30%以上、特に好適には、通常の保存時において組成物と接する部分の全体)が「ポリオレフィン系樹脂製」である「容器」を意味する。従って、例えば液状又は半固形状の組成物と接する層(容器の最内層)の少なくとも一部にポリオレフィン系樹脂の層を設け、その外側に他の材質の樹脂やアルミニウム箔等の素材を積層等させてなる容器も、「ポリオレフィン系樹脂製容器」に該当する。
このような、複数種の素材を積層等させてなる容器としては、具体的には例えば、ポリオレフィン系樹脂で構成された層を最内層とし、その外側に直接あるいは他の層を介してアルミニウム箔を積層し、さらにその外側に必要に応じて任意に他の層を積層してなるラミネートフィルム製の容器等が挙げられる。
【0039】
なお、本発明において、液状又は半固形状の組成物の、容器への収容手段は特に限定されず、容器の形状や組成物の性状等に応じて、常法により充填等すればよく、これにより本発明の容器入り組成物を製造できる。
【0040】
本発明の液状又は半固形状の組成物及び容器入り組成物は、ステロイドを含有することから、医薬品や医薬部外品として用いることができ、例えば、鎮痒消炎薬として、より具体的には例えば、湿疹、皮膚炎、ただれ、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ及びじんましんから選ばれる1種以上を効能又は効果とする鎮痒消炎薬として好適に用いることができる。
【0041】
本発明は、次の成分(A):
(A)ステロイド;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに次の成分(B):
(B)サリチル酸類;
を含有せしめる工程を含む、ステロイドの安定化方法にも関する。この場合において、さらに液状又は半固形状の組成物を容器(好ましくはポリオレフィン系樹脂製容器)に収容する工程を含むステロイドの安定化方法が特に好ましい。
斯かる態様の発明において、成分(A)を配合する工程、成分(B)を配合する工程、及び組成物を容器に収容する工程の順序は特に限定されず、成分(A)及び(B)を含有する液状又は半固形状の組成物や、かかる組成物が容器に収容された状態が直接的又は間接的に作出されればよい。
なお、斯かる態様の発明において、各種文言の意義、各成分の配合量等は全て「液状又は半固形状の組成物」、「容器入り組成物」について説明したのと同様である。
【0042】
本明細書は、以上の実施形態に関連して、例えば以下に例示される発明を開示するが、これらに何ら限定されるものではない。
[1] 次の成分(A)及び(B):
(A)ステロイド;
(B)サリチル酸類;
を含有する、液状又は半固形状の組成物。
[2] 成分(A)が、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びプレドニゾロン並びにこれらと炭素数1~6の飽和脂肪酸とのエステルよりなる群から選ばれる1種以上である、[1]記載の組成物。
[3] 成分(A)が、コルチゾン酢酸エステル、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル及びプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルよりなる群から選ばれる1種以上である、[1]記載の組成物。
[4] 成分(B)が、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上である、[1]~[3]のいずれか記載の組成物。
[5] さらに水を含有する、[1]~[4]のいずれか記載の組成物。
[6] 剤形が、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1]~[5]のいずれか記載の組成物。
[7] 鎮痒消炎薬である、[1]~[6]のいずれか記載の組成物。
【0043】
[8] [1]~[7]のいずれか記載の組成物が容器に収容されてなる、容器入り組成物。
[9] 容器が、ポリオレフィン系樹脂製容器である、[8]記載の容器入り組成物。
[10] ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンよりなる群から選ばれる1種以上である、[9]記載の容器入り組成物。
[11] 容器が、以下の(1)又は(2):
(1) スポンジ状の塗布部材を備えるボトル容器のように、容器本体と塗布部材とを備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器;
(2) チューブ容器のように、柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器;
である、[8]~[10]のいずれか記載の容器入り組成物。
【0044】
[12] 次の成分(A):
(A)ステロイド;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに次の成分(B):
(B)サリチル酸類;
を含有せしめる工程を含む、ステロイドの安定化方法。
[13] 成分(A)が、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン及びプレドニゾロン並びにこれらと炭素数1~6の飽和脂肪酸とのエステルよりなる群から選ばれる1種以上である、[12]記載の方法。
[14] 成分(A)が、コルチゾン酢酸エステル、デキサメタゾン、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、プレドニゾロン、プレドニゾロン酢酸エステル及びプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルよりなる群から選ばれる1種以上である、[12]記載の方法。
[15] 成分(B)が、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上である、[12]~[14]のいずれか記載の方法。
[16] 組成物がさらに水を含有するものである、[12]~[15]のいずれか記載の方法。
[17] 組成物の剤形が、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、[12]~[16]のいずれか記載の方法。
[18] 組成物が、鎮痒消炎薬である、[12]~[17]のいずれか記載の方法。
【0045】
[19] [12]~[18]のいずれか記載の方法であって、さらに液状又は半固形状の組成物を容器に収容する工程を含む、ステロイドの安定化方法。
[20] 容器が、ポリオレフィン系樹脂製容器である、[19]記載の方法。
[21] ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン及びポリプロピレンよりなる群から選ばれる1種以上である、[20]記載の方法。
[22] 容器が、以下の(1)又は(2):
(1) スポンジ状の塗布部材を備えるボトル容器のように、容器本体と塗布部材とを備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器;
(2) チューブ容器のように、柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器;
である、[19]~[21]のいずれか記載の方法。
【実施例0046】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
[試験例1]保存試験 その1
下記表1に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する液状の組成物を常法により調製し、これをガラス瓶(2K規格瓶)に収容した。
得られた各種サンプルを60℃で1週間暗所にて保存した。また、保存前後のサンプル中のデキサメタゾン酢酸エステルの含量を液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて内標準法により定量した。そして、保存前後の各種サンプル中のデキサメタゾン酢酸エステルの含量から、以下の式に従い、60℃1週間保存後のデキサメタゾン酢酸エステルの残存率を算出した。
結果を表1に示す。
【0048】
[数1]
デキサメタゾン酢酸エステルの残存率(%) = 保存後のデキサメタゾン酢酸エステルの含量 / 保存前のデキサメタゾン酢酸エステルの含量 × 100
【0049】
【0050】
表1記載の結果から、液状の組成物にサリチル酸グリコールを含有せしめる(サンプル2、3)ことにより、これを含有しないサンプル1と比較して、60℃1週間保存後のデキサメタゾン酢酸エステルの残存率が顕著に向上することが明らかとなった。
以上の試験結果から、デキサメタゾン酢酸エステルに代表されるステロイドを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにサリチル酸グリコールに代表されるサリチル酸類を含有せしめることにより、ステロイドの安定性を改善することができることが明らかとなった。
【0051】
[試験例2]保存試験 その2
試験例1のサンプル2と同一の液状の組成物(100mLあたりデキサメタゾン酢酸エステルを0.025g、サリチル酸グリコールを1.0g含有する液状の組成物)を常法により調製し、これをガラス瓶(2K規格瓶)、ポリエチレン製容器(リドメックスコーワローション0.3%(興和(株)製)と同一の容器を使用)又はポリプロピレン製容器(ウナコーワクールα(興和(株)製)と同一の容器を使用)に収容した。
得られた各種サンプルを60℃で1週間暗所にて保存し、試験例1と同様の方法により60℃1週間保存後のデキサメタゾン酢酸エステルの残存率を算出した。
結果を表2に示す。
【0052】
【0053】
表2記載の結果に示すとおり、デキサメタゾン酢酸エステル及びサリチル酸グリコールを含有する液状の組成物をポリエチレン製容器又はポリプロピレン製容器に収容せしめた場合に、ガラス瓶に収容せしめた場合と比較して、60℃1週間保存後のデキサメタゾン酢酸エステルの残存率の向上がみられた。
このように、デキサメタゾン酢酸エステルに代表されるステロイド、及びサリチル酸グリコールに代表されるサリチル酸類を含有する液状又は半固形状の組成物を、ポリエチレン製及びポリプロピレン製に代表されるポリオレフィン系樹脂製の容器に収容せしめることによって、ステロイドの安定性をより一層改善できた。
【0054】
製造例1(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例1-1又は1-2のローション剤を得た。
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸グリコール 2.0g
グリチルレチン酸 0.2g
dl-カンフル 6.0g
l-メントール 2.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0055】
製造例2(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例2-1又は2-2のローション剤を得た。
デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g
サリチル酸グリコール 2.0g
グリチルレチン酸 0.2g
dl-カンフル 6.0g
l-メントール 2.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0056】
製造例3(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例3-1又は3-2のローション剤を得た。
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸グリコール 1.0g
リドカイン 0.5g
dl-カンフル 2.0g
l-メントール 3.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0057】
製造例4(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例4-1又は4-2のローション剤を得た。
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸メチル 2.5g
リドカイン 1.0g
dl-カンフル 7.0g
l-メントール 1.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0058】
製造例5(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例5-1又は5-2のローション剤を得た。
デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸メチル 2.5g
リドカイン 1.0g
dl-カンフル 7.0g
l-メントール 1.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0059】
製造例6(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例6-1又は6-2のローション剤を得た。
デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸グリコール 1.0g
リドカイン 0.5g
dl-カンフル 2.0g
l-メントール 3.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0060】
製造例7(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例7-1又は7-2のローション剤を得た。
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
リドカイン 2.0g
dl-カンフル 4.0g
l-メントール 4.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0061】
製造例8(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例8-1又は8-2のローション剤を得た。
デキサメタゾン酢酸エステル 0.025g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
リドカイン 2.0g
dl-カンフル 4.0g
l-メントール 4.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0062】
製造例9(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例9-1又は9-2のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸グリコール 0.5g
クロタミトン 2.0g
リドカイン 0.5g
l-メントール 5.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0063】
製造例10(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例10-1又は10-2のローション剤を得た。
ヒドロコルチゾン 0.5g
サリチル酸グリコール 0.5g
クロタミトン 2.0g
リドカイン 0.5g
l-メントール 5.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0064】
製造例11(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例11-1又は11-2のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15g
サリチル酸メチル 5.0g
リドカイン 1.0g
dl-カンフル 7.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0065】
製造例12(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例12-1又は12-2のローション剤を得た。
ヒドロコルチゾン 0.5g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸メチル 5.0g
リドカイン 1.0g
dl-カンフル 7.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0066】
製造例13(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例13-1又は13-2のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
サリチル酸グリコール 1.5g
リドカイン 1.5g
dl-カンフル 2.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
【0067】
製造例14(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器1(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリプロピレン)又は容器2(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン及びポリプロピレン、ボトル:ポリプロピレン)に収容して、それぞれ製造例14-1又は14-2のローション剤を得た。
ヒドロコルチゾン 0.5g
サリチル酸メチル 1.0g
dl-カンフル 1.0g
l-メントール 5.0g
クエン酸水和物、エタノール及び精製水 適量
本発明によれば、液状又は半固形状の組成物中のステロイドの安定性を改善できる。したがって、保存安定性に優れた、ステロイドを含有する医薬等を提供することができ、医薬品産業等において好適に利用できる。