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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069457
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】異方性導電フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20220428BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20220428BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
H01R11/01 501C
H01B1/22 B
H01B5/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021049
(22)【出願日】2022-02-15
(62)【分割の表示】P 2017085743の分割
【原出願日】2017-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2016092902
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 恭志
(72)【発明者】
【氏名】塚尾 怜司
(57)【要約】
【課題】狭ピッチのバンプに対応することができ、かつ従来の異方性導電フィルムよりも導電粒子の個数密度を低減させることのできる異方性導電フィルムを提供する。
【解決手段】絶縁性樹脂バインダ3に導電粒子2が配置された異方性導電フィルム1Aであって、平面視にて、複数の導電粒子2の中心を順次結んで形成される多角形の繰り返しユニット5が縦横に繰り返し配置されている。繰り返しユニット5の多角形の辺は、異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交している。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性樹脂バインダに導電粒子が配置された異方性導電フィルムであって、
平面視にて、複数の導電粒子の中心を順次結んで形成される多角形の繰り返しユニットが繰り返し配置されており、
繰り返しユニットの多角形が、異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交した辺を有する異方性導電フィルム。
【請求項2】
繰り返しユニットが異方性導電フィルムの一面に配置されている請求項1記載の異方性導電フィルム。
【請求項3】
繰り返しユニットが台形である請求項1又は2記載の異方性導電フィルム。
【請求項4】
繰り返しユニットをなす多角形の各辺が異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交している請求項1~3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項5】
繰り返しユニットをなす多角形が、異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向の辺を
有する1~3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項6】
繰り返しユニットを構成する多角形を、該多角形の一辺を中心として反転させた場合に、反転後の繰り返しユニットの多角形の一辺が、反転前に隣接していた繰り返しユニットの一辺と重なる請求項1~5のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項7】
導電粒子ユニットが正多角形の一部をなす請求項1~6のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項8】
導電粒子ユニットを構成する導電粒子の配置が、正6角形を隙間無く並べた場合の6角形の頂点と重なる請求項1~5のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の異方性導電フィルムにより第1電子部品と第2電子部
品が異方性導電接続されている接続構造体。
【請求項10】
第1電子部品と第2電子部品を異方性導電フィルムを介して熱圧着することにより第1電子部品と第2電子部品の接続構造体を製造する方法であって、異方性導電フィルムとして、請求項1~8のいずれかに記載の異方性導電フィルムを使用する接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁性樹脂バインダに導電粒子を分散させた異方性導電フィルムが、ICチップ等の電子部品を配線基板等に実装する際に広く使用されている。異方性導電フィルムにおいては、電子部品の高密度実装に伴うバンプの狭ピッチ化により、バンプにおける導電粒子の捕捉性を高め、かつ隣り合うバンプ間のショートを回避することが強く求められている。
【0003】
このような要請に対し、異方性導電フィルムにおける導電粒子の配置を格子状の配列とし、かつその配列軸を異方性導電フィルムの長手方向に対して傾斜させることが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4887700号公報
【特許文献2】特開平9-320345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載のように、導電粒子を単純な格子状に配置する場合、配列軸の傾斜角や導電粒子間の距離によってバンプのレイアウトに対応することとなる。そのため、バンプが狭ピッチになると導電粒子間の距離を狭めざるを得ず、導電粒子の個数密度が増加し、異方性導電フィルムの製造コストが増加する。
【0006】
また、導電粒子間の距離を狭め、かつショートを回避できるようにするためには、異方性導電接続時に導電粒子が絶縁性樹脂バインダの樹脂流動によって流されることを抑制することが必要となり、絶縁性樹脂バインダの設計にも制約がかかる。
【0007】
そこで本発明は、狭ピッチのバンプに対応することができ、かつ従来の異方性導電フィルムよりも導電粒子の個数密度を低減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、異方性導電フィルムの平面視における導電粒子を単純な格子状配列とせず、複数の導電粒子からなる多角形のユニットの繰り返しにより導電粒子を縦横に繰り返し配置し、かつその多角形をなす辺を異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向に対して斜交させることで上述の課題を解決できることを見出し、本発明を想到した。
【0009】
即ち、本発明は、絶縁性樹脂バインダに導電粒子が配置された異方性導電フィルムであって、
平面視にて、複数の導電粒子の中心を順次結んで形成される多角形の繰り返しユニットが繰り返し配置されており、
繰り返しユニットの多角形が、異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交した辺を有する異方性導電フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の異方性導電フィルムによれば、個々の導電粒子を単純な格子状の配列とせず、複数の導電粒子で形成される繰り返しユニットが繰り返し配置されているので、導電粒子の粒子間距離を狭めた部分がフィルム全体に一様に存在する。また、繰り返しユニットの多角形が異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交している辺を有するので、バンプにおける導電粒子の捕捉性が高い。したがって、狭ピッチのバンプを、ショートを引き起こすことなく接続することが可能となる。
【0011】
一方、本発明の異方性導電フィルムによれば、導電粒子の粒子間距離を広げた部分もフィルム全体に一様に存在するので、異方性導電フィルム全体の導電粒子の個数密度の増加を抑制し、導電粒子の個数密度の増加に伴う製造コストの増加を抑制することができる。また、導電粒子の個数密度の増加を抑えることにより、異方性導電接続時に押圧治具に必要とされる推力の増加を抑制することもできる。したがって、異方性導電接続時に押圧治具から電子部品に加える圧力を低下させ、電子部品の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、実施例の異方性導電フィルム1Aの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図1B図1Bは、実施例の異方性導電フィルム1Aの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図1C図1Cは、実施例の異方性導電フィルム1Aの断面図である。
図2A図2Aは、実施例の異方性導電フィルム1Baの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図2B図2Bは、実施例の異方性導電フィルム1Bbの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図3A図3Aは、実施例の異方性導電フィルム1Caの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図3B図3Bは、実施例の異方性導電フィルム1Cbの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図4A図4Aは、実施例の異方性導電フィルム1Daの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図4B図4Bは、実施例の異方性導電フィルム1Dbの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図5A図5Aは、実施例の異方性導電フィルム1Eaの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図5B図5Bは、実施例の異方性導電フィルム1Ebの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図6図6は、実施例の異方性導電フィルム1Fの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図7図7は、実施例の異方性導電フィルム1Gの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図8図8は、実施例の異方性導電フィルム1Hの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図9図9は、実施例の異方性導電フィルム1Iの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図10図10は、実施例の異方性導電フィルム1Jの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図11図11は、実施例の異方性導電フィルム1Kの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図12図12は、実施例の異方性導電フィルム1Lの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図13図13は、実施例の異方性導電フィルム1Mの導電粒子の配置を説明する平面図である。
図14図14は、実施例の異方性導電フィルム1aの断面図である。
図15図15は、実施例の異方性導電フィルム1bの断面図である。
図16図16は、実施例の異方性導電フィルム1cの断面図である。
図17図17は、実施例の異方性導電フィルム1dの断面図である。
図18図18は、実施例の異方性導電フィルム1eの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の異方性導電フィルムを図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
<異方性導電フィルムの全体構成>
図1Aは、本発明の実施例の異方性導電フィルム1Aの導電粒子の配置を示す平面図であり、図1Cは、その断面図である。
この異方性導電フィルム1Aは、導電粒子2が絶縁性樹脂バインダ3の表面又はその近傍に単層で配置され、その上に絶縁性接着層4が積層した構造を有している。
【0015】
なお、本発明の異方性導電フィルムとしては、絶縁性接着層4を省略し、絶縁性樹脂バインダ3に導電粒子2が埋め込まれた構成としてもよい。
【0016】
<導電粒子>
導電粒子2としては、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウムなどの金属粒子、ポリアミド、ポリベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面をニッケルなどの金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を挙げることができる。配置される導電粒子の大きさは、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下、更に好ましくは2μm以上6μm以下である。
【0017】
導電粒子2の平均粒子径は、画像型ないしはレーザー式の粒度分布計により測定することができる。異方性導電フィルムを平面視で観察し、粒子径を計測して求めてもよい。その場合、好ましくは200個以上、より好ましくは500個以上、更により好ましくは1000個以上を計測する。
【0018】
導電粒子2の表面は、絶縁コートや絶縁粒子処理などにより被覆されていることが好ましい。このような被覆は導電粒子2の表面から剥がれ易く且つ異方性導電接続に支障をきたさないものとする。また、導電粒子2の表面の全面又は一部に突起が設けられていてもよい。突起の高さは導電粒子径の20%以内、好ましくは10%以内であることが好ましい。
【0019】
<導電粒子の配置>
以下の図1Aから図7に、一例として、多角形の繰り返しユニット5が台形である場合の繰り返しユニットの配置例について説明する。
図1Aに示した異方性導電フィルム1Aの平面視における導電粒子2の配置は、複数の導電粒子2a、2b、2c、2dの中心を順次結んで形成される多角形の繰り返しユニット5が直交する2方向(X方向、Y方向)に繰り返され、異方性導電フィルム1の一面に(即ち、全体的に)配置された状態となっている。なお、本発明の異方性導電フィルムは、必要に応じて導電粒子が配置されていない領域をもつことができる。
【0020】
この導電粒子2の配置は、正3角形を隙間無く並べた場合の正3角形の頂点の一部(あるいは正6角形を隙間無く並べた場合の正6角形の頂点)に導電粒子を配置したものとも見ることができる。更に言い換えると、6方格子の各格子点に導電粒子が存在する配置から所定の格子点の導電粒子を規則的に抜いた配置といえる。そのため、導電粒子2a、2b、2c、2dからなる繰り返しユニット5の台形の頂点は正3角形を組み合わせた正6角形の一部となっており、6方格子の格子点に存在する。この台形の一辺2a、2bを中心にして反転させると、辺2c、2dが隣接する台形の繰り返しユニット(即ち、導電粒子2e、2f、2g、2hからなる繰り返しユニット)の辺2g、2hと重なる。
【0021】
なお、この導電粒子2の繰り返しユニットを考える場合に、図1Bに示すように、導電粒子2p、2q、2r、2s、2t、2uからなる正6角形の繰り返しユニット5xが、X方向に一辺を重ねながら繰り返され、Y方向には辺も頂点も重ねることなく繰り返されたものとも見ることができるが、本発明において繰り返しユニットは、4個以上の導電粒子からなる多角形であって、該多角形の辺を重ねること無く異方性導電フィルムの縦横に繰り返される最小の単位の多角形と捉えることが好ましい。
【0022】
繰り返しユニット5(図1A)の台形の各辺は、いずれも異方性導電フィルム1Aの長手方向及び短手方向と斜交している。これにより、導電粒子2aの、異方性導電フィルムの長手方向の外接線L1が、該導電粒子2aと異方性導電フィルムの長手方向で隣接する導電粒子2bを貫く。また、導電粒子2aの、異方性導電フィルムの短手方向の外接線L2が、該導電粒子2aと異方性導電フィルムの短手方向で隣接する導電粒子2dを貫く。一般に、異方性導電接続時には、異方性導電フィルムの長手方向がバンプの短手方向となるので、繰り返しユニット5の多角形の辺が異方性導電フィルム1Aの長手方向又は短手方向と斜交していると、バンプの縁に沿って複数の導電粒子が直線状に並ぶことを防止でき、これにより直線状に並んだ複数の導電粒子がまとまって端子から外れて導通に寄与しなくなるという現象を回避できるので、導電粒子2の捕捉性を向上させることができる。
【0023】
なお、本発明において、繰り返しユニットは、必ずしもその全ての辺が異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交していなくてもよいが、各バンプの短手方向が異方性導電フィルムの長手方向となる場合には導電粒子の捕捉性の点から、繰り返しユニットの各辺が異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜交していることが好ましい。
【0024】
これに対し、バンプの配列パターンが放射状の場合(所謂、ファンアウトバンプ)には、繰り返しユニットをなす多角形が、異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向の辺を有することが好ましい。即ち、接続すべきバンプ同士が熱膨張によっても位置ズレしないようにするため、バンプの配列パターンを放射状にする場合があり(例えば、特開2007-19550号公報、特開2015-232660号公報等)、その場合に個々のバンプの長手方向と異方性導電フィルムの長手方向および短手方向とがなす角度は漸次変化する。そのため、繰り返しユニット5の多角形の辺を異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向と斜行させなくても、放射状に配列した個々のバンプの長手方向の縁辺に対して繰り返しユニット5の多角形の辺は斜交する。したがって、異方性導電接続時にバンプの縁にかかっていた導電粒子の多くがそのバンプに捕捉されず、導電粒子の捕捉性が低下するという現象を回避することができる。
【0025】
一方、バンプの放射状の配列パターンは、通常、左右対称に形成される。したがって、異方性導電接続後の圧痕によって接続状態の良否の確認を容易にする点から、繰り返しユニット5をなす多角形が、異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向の辺を有すること、特に、繰り返しユニット5をなす多角形が異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向の辺を有し、かつ異方性導電フィルムの短手方向又は長手方向を対称軸とする対称な形状であって、その繰り返しユニット5が異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向に繰り返し配置されていることが好ましい。例えば図2Aに示す異方性導電フィルム1Baのように、繰り返しユニット5の台形を異方性導電フィルムの短手方向の対称軸を有する台形とし、その底辺と上辺を異方性導電フィルムの長手方向と平行にしてもよく、また、図2Bに示す異方性導電フィルム1Bbのように同様の台形の繰り返しユニットの底辺と上辺を異方性導電フィルムの短手方向と平行にしてもよい。
【0026】
本発明において、繰り返しユニット5における導電粒子2の配置や、繰り返しユニット5の縦横の繰り返しピッチは、異方性導電接続の接続対象とする端子の形状やピッチに応じて適宜変更することができる。したがって、導電粒子2を単純な格子状の配列とする場合に比して、異方性導電フィルム全体としては少ない導電粒子数で高い捕捉性を達成することができる。例えば、上述の異方性導電フィルム1Baに対し、異方性導電フィルムの長手方向の導電粒子の個数密度をあげるために、図3Aに示す異方性導電フィルム1Caのように台形の繰り返しユニット5を異方性導電フィルムの幅方向にその形状のまま繰り返し、異方性導電フィルムの長手方向には、台形の繰り返しユニット5と、該台形の繰り返しユニットをフィルムの長手方向の軸で反転させた形状の繰り返しユニット5Bとを交互に繰り返す配置としてもよい。この場合、図4Aに示す異方性導電フィルム1Daのように異方性導電フィルムの短手方向にも台形の繰り返しユニット5とそれを反転させた形状の繰り返しユニット5Bとを交互に繰り返す配置としてもよい。
【0027】
同様に、上述の異方性導電フィルム1Bbに対し、異方性導電フィルムの短手方向の導電粒子の個数密度をあげるために、図3Bに示す異方性導電フィルム1Cbのように、異方性導電フィルムの長手方向には台形の繰り返しユニット5をその形状のまま繰り返し、異方性導電フィルムの幅方向には、繰り返しユニット5と、該繰り返しユニットを異方性導電フィルムの短手方向の軸で反転させた形状の繰り返しユニット5Bとを交互に繰り返す配置としてもよい。また図4Bに示す異方性導電フィルム1Dbのように異方性導電フィルムの長手方向にも短手方向にも繰り返しユニット5と、それを反転させた形状の繰り返しユニット5Bとを交互に繰り返す配置としてもよい。
【0028】
更に、上述の異方性導電フィルム1Caに対し、異方性導電フィルムの短手方向の個数密度を下げるために図5Aに示す異方性導電フィルム1Eaのように、繰り返しユニット5、5Bの異方性導電フィルムの長手方向の繰り返し列同士の間隔を広げても良く、異方性導電フィルムの長手方向の個数密度を下げるために図5Bに示す異方性導電フィルム1Ebのように繰り返しユニット5、5Bの異方性導電フィルムの幅方向の繰り返し列同士の間隔を広げても良い。
【0029】
また、図6に示す異方性導電フィルム1Fのように、図1Aに示した異方性導電フィルム1Aの導電粒子の配置に対し、繰り返しユニット5のY方向の繰り返しピッチを広げても良い。図1Aに示した導電粒子2の配置では、各導電粒子2が、正6角形を隙間無く並べた場合の正6角形の頂点のいずれかと重なるが、図6に示した導電粒子の配置では、必ずしも全ての導電粒子が、正6角形を隙間無く並べた場合の正6角形の頂点とはならない点で図1Aに示した導電粒子の配置と異なる。
【0030】
また、図7に示す異方性導電フィルム1Gのように、更にY方向の繰り返しピッチを広げ、Y方向で隣接する繰り返しユニット5の間に単独の導電粒子2pを配置してもよく、更に別個の繰り返しユニットを配置してもよい。また、繰り返しユニット5のX方向の繰り返しピッチを適宜変更してもよく、X方向の繰り返しピッチの間に単独の導電粒子又は別個の繰り返しユニットを配置してもよい。
【0031】
図8に示す異方性導電フィルム1Hのように、台形の繰り返しユニット5又はそれを反転させた繰り返しユニット5Bが異方性導電フィルムの短手方向又は長手方向に繰り返されており、繰り返しユニット5の異方性導電フィルムの幅方向の列と、繰り返しユニット5Bの異方性導電フィルムの幅方向の列との間に、単独の導電粒子2pの列を配置してもよい。これにより、導電粒子2が斜方格子に配列し、かつ単位格子の中心に単独の導電粒子2pが存在する配置となる。導電粒子を斜方格子に配列させた場合において導電粒子の個数密度を下げるため、図9に示す異方性導電フィルム1Iのように繰り返しユニット5自体を菱形に形成してもよい。図8及び図9に示したように斜方格子状に導電粒子2を配置することにより、導電粒子2が異方性導電フィルムの長手方向、短手方向及びそれらに対して傾斜した方向に存在することになるので、異方性導電接続時における導電粒子の捕捉性の向上とショートの抑制が両立し易くなる。
【0032】
また、図10に示す異方性導電フィルム1Jのように、導電粒子4個からなる菱形の繰り返しユニット5の長方格子状の配列と、該繰り返しユニット5を異方性導電フィルムの長手方向又は短手方向に反転させた菱形の繰り返しユニット5Bの長方格子状の配列とをそれらの格子点が重なり合わないように重ねた配列としてもよい。図11に示す異方性導電フィルム1Kのように、図10の異方性導電フィルム1Jと同様の粒子配置であって、フィルム短手方向の繰り返しユニット5、5Bの配列同士の間隔を広げても良い。
【0033】
繰り返しユニットは、正3角形を隙間無く並べた場合の正6角形の頂点(即ち、6方格子の格子点)の一部を導電粒子が占める配置に限定されるものではない。正方格子の格子点の一部を導電粒子が占めるようにしてもよい。例えば、図5Aに示した導電粒子の配置と同様の台形を繰り返しユニット5とそれを反転させた繰り返しユニット5Bを、異方性導電フィルムの長手方向と短手方向に交互に繰り返した配置を図12に示す異方性導電フィルム1Lのように正方格子の格子点上に形成することができる。
【0034】
また、繰り返しユニットの多角形をなす頂点の数は4個に限られず5以上でもよく、6以上でもよく、7以上でもよい。但し、異方性導電フィルム製造の設計や生産工程において、繰り返しユニットの形状を認識し易くするため、繰り返しユニットの頂点の数を偶数とすることが好ましい。
【0035】
繰り返しユニットをなす多角形の形状は、正多角形でもよく、正多角形でなくてもよいが、繰り返しユニットの形状を認識し易くする点からは、対称軸のある形状が好ましい。この場合、繰り返しユニットを構成する各導電粒子は、6方格子又は正方格子の格子点に存在していなくてもよい。例えば、図13に示す異方性導電フィルム1Mのように、正8角形の頂点に位置する導電粒子から繰り返しユニット5を構成してもよい。繰り返しユニットの多角形の形状は、異方性導電接続するバンプ乃至端子の形状、ピッチ、異方性導電フィルムのフィルム長手方向に対するバンプ乃至端子の長手方向の傾斜角、異方性導電フィルムにおける絶縁性樹脂バインダの樹脂組成等に応じて適宜定めることができる。
【0036】
なお、本発明における導電粒子の配置としては、図示した繰り返しユニットの配列に限られず、例えば、図示した繰り返しユニットの配列を傾斜させたものでもよい。この場合、90°傾斜させたもの、即ち、フィルムの長手方向と短手方向を入れ替えた態様も含まれる。また、繰り返しユニットの間隔や繰り返しユニット内の導電粒子の間隔を変更したものであってもよい。
【0037】
<導電粒子の最短粒子間距離>
導電粒子の最短粒子間距離は、繰り返しユニット内で隣接する導電粒子間においても、繰り返しユニット間で隣接する導電粒子間においても、導電粒子の平均粒子径の0.5倍以上が好ましい。この距離が短すぎると導電粒子相互の接触によりショートが起こりやすくなる。隣接する導電粒子の距離の上限は、バンプ形状やバンプピッチに応じて定める。例えば、バンプ幅200μm、バンプ間スペース200μmの場合に、バンプ幅又はバンプ間スペースのいずれかに導電粒子を最低1個存在させるとき、導電粒子の最短粒子間距離は400μm未満とする。導電粒子の捕捉性を確実にする点からは、200μm未満とすることが好ましい。
【0038】
<導電粒子の個数密度>
導電粒子の個数密度は、異方性導電フィルムの製造コストを抑制する点、及び異方性導電接続時に使用する押圧治具に必要とされる推力が過度に大きくならないようにする点から、導電粒子の平均粒子径が10μm未満の場合、50000個/mm2以下が好ましく、35000個/mm2以下がより好ましく、30000個/mm2以下が更に好ましい。一方、導電粒子の個数密度は、少なすぎると端子で導電粒子が十分に捕捉されないことによる導通不良が懸念されることから、300個/mm2以上が好ましく、500個/mm2以上がより好ましく、800個/mm2以上が更に好ましい。
【0039】
また、導電粒子の平均粒子径が10μm以上の場合は、15個/mm2以上が好ましく、50個/mm2以上がより好ましく、160個/mm2以上が更に好ましい。導電粒子径が大きくなれば、導電粒子の占有面積率も高まるからである。同様の理由から、1800個/mm2以下が好ましく、1100個/mm2以下がより好ましく、800個/mm2以下が更に好ましい。
【0040】
なお、導電粒子の個数密度は、局所的(一例として、200μm×200μm)には、上述の個数密度を外れていても良い。
【0041】
<絶縁性樹脂バインダ>
絶縁性樹脂バインダ3としては、公知の異方性導電フィルムにおいて絶縁性樹脂バインダとして使用されている熱重合性組成物、光重合性組成物、光熱併用重合性組成物等を適宜選択して使用することができる。このうち熱重合性組成物としては、アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合性樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合性樹脂組成物、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合性樹脂組成物等をあげることができ、光重合性組成物としては、アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合性樹脂組成物等をあげることができる。特に問題が生じないのであれば、複数種の重合性組成物を併用してもよい。併用例としては、熱カチオン重合性組成物と熱ラジカル重合性組成物の併用などがあげられる。
【0042】
ここで、光重合開始剤としては波長の異なる光に反応する複数種類を含有させてもよい。これにより、異方性導電フィルムの製造時における、絶縁性樹脂層を構成する樹脂の光硬化と、異方性導電接続時に電子部品同士を接着するための樹脂の光硬化とで使用する波長を使い分けることができる。
【0043】
絶縁性樹脂バインダ3を光重合性組成物を使用して形成する場合に、異方性導電フィルムの製造時の光硬化により、絶縁性樹脂バインダ3に含まれる光重合性化合物の全部又は一部を光硬化させることができる。この光硬化により、絶縁性樹脂バインダ3における導電粒子2の配置が保持乃至固定化され、ショートの抑制と捕捉の向上が見込まれる。また、この光硬化の条件を調整することにより、異方性導電フィルムの製造工程における絶縁性樹脂層の粘度を調整することができる。
【0044】
絶縁性樹脂バインダ3における光重合性化合物の配合量は30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、2質量%未満が更に好ましい。光重合性化合物が多すぎると異方性導電接続時の押し込みにかかる推力が増加するためである。
【0045】
一方、熱重合性組成物は、熱重合性化合物と熱重合開始剤とを含有するが、この熱重合性化合物として、光重合性化合物としても機能するものを使用してもよい。また、熱重合性組成物には、熱重合性化合物とは別に光重合性化合物を含有させると共に光重合性開始剤を含有させてもよい。好ましくは、熱重合性化合物とは別に光重合性化合物と光重合開始剤を含有させる。例えば、熱重合開始剤として熱カチオン系重合開始剤、熱重合性化合物としてエポキシ樹脂を使用し、光重合開始剤として光ラジカル開始剤、光重合性化合物としてアクリレート化合物を使用する。絶縁性バインダ3には、これらの重合性組成物の硬化物を含めてもよい。
【0046】
熱又は光重合性化合物として使用されるアクリレート化合物としては従来公知の熱重合型(メタ)アクリレートモノマーを使用することができる。例えば、単官能(メタ)アクリレート系モノマー、二官能以上の多官能(メタ)アクリレート系モノマーを使用することができる。
【0047】
また、重合性化合物として使用されるエポキシ化合物は、3次元網目構造を形成し、良好な耐熱性、接着性を付与するものであり、固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを併用することが好ましい。ここで、固形エポキシ樹脂とは、常温で固体であるエポキシ樹脂を意味する。また、液状エポキシ樹脂とは、常温で液状であるエポキシ樹脂を意味する。また、常温とは、JIS Z 8703で規定される5~35℃の温度範囲を意味する。本発明では2種以上のエポキシ化合物を併用することができる。また、エポキシ化合物に加えてオキセタン化合物を併用してもよい。
【0048】
固形エポキシ樹脂としては、液状エポキシ樹脂と相溶し、常温で固体であれば特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙られ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0049】
液状エポキシ樹脂としては、常温で液状であれば特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、フィルムのタック性、柔軟性などの観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0050】
熱重合開始剤のうち熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ系化合物等を挙げることができる。特に、気泡の原因となる窒素を発生しない有機過酸化物を好ましく使用することができる。
【0051】
熱ラジカル重合開始剤の使用量は、少なすぎると硬化不良となり、多すぎると製品ライフの低下となるので、(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し、好ましくは2~60質量部、より好ましくは5~40質量部である。
【0052】
熱カチオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱カチオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により酸を発生するヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、フェロセン類等を用いることができ、特に、温度に対して良好な潜在性を示す芳香族スルホニウム塩を好ましく使用することができる。
【0053】
熱カチオン重合開始剤の使用量は、少なすぎても硬化不良となる傾向があり、多すぎても製品ライフが低下する傾向があるので、エポキシ化合物100質量部に対し、好ましくは2~60質量部、より好ましくは5~40質量部である。
【0054】
熱アニオン重合開始剤としては、通常用いられる公知のものを使用することができる。例えば、有機酸ジヒドラジド、ジシアンジアミド、アミン化合物、ポリアミドアミン化合物、シアナートエステル化合物、フェノール樹脂、酸無水物、カルボン酸、三級アミン化合物、イミダゾール、ルイス酸、ブレンステッド酸塩、ポリメルカプタン系硬化剤、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
【0055】
熱重合性組成物には、膜形成樹脂を含有させることが好ましい。膜形成樹脂は、例えば平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000~80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等の種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂を好適に用いることが好ましい。
【0056】
熱重合性組成物には、溶融粘度調整のために、絶縁フィラーを含有させてもよい。これはシリカ粉やアルミナ粉などが挙げられる。絶縁性フィラーの大きさは粒子径20~1000nmが好ましく、また、配合量はエポキシ化合物等の熱重合性化合物(光重合性化合物)100質量部に対して5~50質量部とすることが好ましい。
【0057】
更に、上述の絶縁フィラーとは異なる充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤(顔料、染料)、有機溶剤、イオンキャッチャー剤などを含有させてもよい。
【0058】
また、必要に応じて、応力緩和剤、シランカップリング剤、無機フィラー等を配合してもよい。応力緩和剤としては、水添スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン-イソプレンブロック共重合体等を挙げることができる。また、シランカップリング剤としては、エポキシ系、メタクリロキシ系、アミノ系、ビニル系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。また、無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を挙げることができる。
【0059】
絶縁性樹脂バインダ3は、上述した樹脂を含むコーティング組成物を塗布法により成膜し乾燥させることや、更に硬化させることにより、あるいは予め公知の手法によりフィルム化することにより形成することができる。絶縁性樹脂バインダ3は、必要に応じて樹脂層を積層することにより得ても良い。また、絶縁性樹脂バインダ3は、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム等の剥離フィルム上に形成することが好ましい。
【0060】
(絶縁性樹脂バインダの粘度)
絶縁性樹脂バインダ3の最低溶融粘度は異方性導電フィルムの製造方法等に応じて適宜定めることができる。例えば、異方性導電フィルムの製造方法として、導電粒子を絶縁性樹脂バインダの表面に所定の配置で保持させ、その導電粒子を絶縁性樹脂バインダに押し込む方法を行うとき、絶縁性樹脂バインダがフィルム成形を可能とする点から樹脂の最低溶融粘度を1100Pa・s以上とすることが好ましい。また、後述するように、図14又は図15に示すように絶縁性樹脂バインダ3に押し込んだ導電粒子2の露出部分の周りに凹み3bを形成したり、図16に示すように絶縁性樹脂バインダ3に押し込んだ導電粒子2の直上に凹み3cを形成したりする点から、最低溶融粘度は、好ましくは1500Pa・s以上、より好ましくは2000Pa・s以上、更に好ましくは3000~15000Pa・s、特に3000~10000Pa・sである。この最低溶融粘度は、一例として回転式レオメータ(TA instruments社製)を用い、昇温速度が10℃/分、測定圧力が5gで一定に保持し、直径8mmの測定プレートを使用して求めることができる。また、好ましくは40~80℃、より好ましくは50~60℃で絶縁性樹脂バインダ3に導電粒子2を押し込む工程を行う場合に、上述と同様に凹み3b又は3cの形成の点から、60℃における粘度は、下限は好ましくは3000Pa・s以上、より好ましくは4000Pa・s以上、更に好ましくは4500Pa・s以上であり、上限は、好ましくは20000Pa・s以下、より好ましくは15000Pa・s以下、更に好ましくは10000Pa・s以下である。
【0061】
絶縁性樹脂バインダ3を構成する樹脂の粘度を上述のように高粘度とすることにより、異方性導電フィルムの使用時において、対向する電子部品等の接続対象物の間に導電粒子2を挟んで加熱加圧する場合に、異方性導電フィルム内の導電粒子2が、溶融した絶縁性樹脂バインダ3の流動により流されてしまうことを防止することができる。
【0062】
(絶縁性樹脂バインダの厚み)
絶縁性樹脂バインダ3の厚みLaは、好ましくは1μm以上60μm以下、より好ましくは1μm以上30μm以下、更に好ましくは2μm以上15μm以下である。また、絶縁性樹脂バインダ3の厚みLaは、導電粒子2の平均粒子径Dとの関係では、それらの比(La/D)が0.6~10が好ましい。絶縁性樹脂バインダ3の厚みLaが大き過ぎると異方性導電接続時に導電粒子が位置ズレしやすくなり、端子における導電粒子の捕捉性が低下する。この傾向はLa/Dが10を超えると顕著である。そこでLa/Dは8以下が好ましく、6以下がより好ましい。反対に絶縁性樹脂バインダ3の厚みLaが小さすぎてLa/Dが0.6未満となると、導電粒子を絶縁性樹脂バインダ3によって所定の粒子分散状態あるいは所定の配列に維持することが困難となる。特に、接続する端子が高密度COGの場合、絶縁性樹脂バインダ3の層厚Laと導電粒子2の粒子径Dとの比(La/D)は、好ましくは0.8~2である。
【0063】
(絶縁性樹脂バイダにおける導電粒子の埋込態様)
絶縁性樹脂バインダ3における導電粒子2の埋込状態については特に制限がないが、異方性導電フィルムを対向する部品の間で挟持し、加熱加圧することにより異方性導電接続を行う場合、図14図15に示すように、導電粒子2を絶縁性樹脂バインダ3から部分的に露出させ、隣接する導電粒子2間の中央部における絶縁性樹脂バインダ3の表面3aの接平面3pに対して導電粒子2の露出部分の周りに凹み3bが形成されているか、又は図16に示すように、絶縁性樹脂バインダ3内に押し込まれた導電粒子2の直上の絶縁性樹脂バインダ部分に、前記と同様の接平面3pに対して凹み3cが形成され、導電粒子2の直上の絶縁性樹脂バインダ3の表面にうねりが存在するようにすることが好ましい。導電粒子2が対向する電子部品の電極間で挟持されて加熱加圧される際に生じる導電粒子2の偏平化に対し、図14図15に示した凹み3bがあることにより、導電粒子2が絶縁性樹脂バインダ3から受ける抵抗が、凹み3bが無い場合に比して低減する。このため、対向する電極間において導電粒子2が挟持され易くなり、導通性能も向上する。また、絶縁性樹脂バインダ3を構成する樹脂のうち、導電粒子2の直上の樹脂の表面に凹み3c(図16)が形成されていることにより、凹み3cが無い場合に比して加熱加圧時の圧力が導電粒子2に集中し易くなり、電極において導電粒子2が挟持され易くなり、導通性能が向上する。
【0064】
上述の凹み3b、3cの効果を得やすくする点から、導電粒子2の露出部分の周りの凹み3b(図14図15)の最大深さLeと導電粒子2の平均粒子径Dとの比(Le/D)は、好ましくは50%未満、より好ましくは30%未満、更に好ましくは20~25%であり、導電粒子2の露出部分の周りの凹み3b(図14図15)の最大径Ldと導電粒子2の平均粒子径Dとの比(Ld/D)は、好ましくは100%以上、より好ましくは100~150%であり、導電粒子2の直上の樹脂における凹み3c(図16)の最大深さLfと導電粒子2の平均粒子径Dとの比(Lf/D)は、好ましくは0より大きく、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である。
【0065】
なお、導電粒子2の露出部分の径Lcは、導電粒子2の平均粒子径D以下とすることができ、好ましくは粒子径Dの10~90%である。導電粒子2の頂部2tの1点で露出するようにしてもよく、導電粒子2が絶縁性樹脂バインダ3内に完全に埋まり、径Lcがゼロとなるようにしてもよい。
【0066】
(絶縁性樹脂バインダの厚さ方向における導電粒子の位置)
上述の凹み3bの効果を得やすくする点から、接平面3pからの導電粒子2の最深部の距離(以下、埋込量という)Lbと、導電粒子2の平均粒子径Dとの比(Lb/D)(以下、埋込率という)は60%以上105%以下であることが好ましい。
【0067】
<絶縁性接着層>
本発明の異方性導電フィルムでは、導電粒子2を配置させている絶縁性樹脂バインダ3上に、絶縁性樹脂バインダ3を構成する樹脂と粘度や粘着性が異なる絶縁性接着層4が積層されていてもよい。
【0068】
絶縁性樹脂バインダ3に上述の凹み3bが形成されている場合、図17に示す異方性導電フィルム1dのように、絶縁性接着層4は、絶縁性樹バインダ3に凹み3bが形成されている面に積層されてもよく、図18に示す異方性導電フィルム1eのように、凹み3bが形成されている面と反対側の面に積層されてもよい。絶縁性樹脂バインダ3に凹み3cが形成されている場合も同様である。絶縁性接着層4の積層により、異方性導電フィルムを用いて電子部品を異方性導電接続するときに、電子部品の電極やバンプによって形成される空間を充填し、接着性を向上させることができる。
【0069】
また、絶縁性接着層4を絶縁性樹脂バインダ3に積層する場合、絶縁性接着層4が凹み3b、3cの形成面上にあるか否かに関わらず、絶縁性接着層4がICチップ等の第1電子部品側にある(言い換えると、絶縁性樹脂バインダ3が基板等の第2電子部品側にある)ことが好ましい。このようにすることで、導電粒子の不本意な移動を避けることができ、捕捉性を向上させることができる。なお、通常はICチップ等の第1電子部品を押圧治具側とし、基板等の第2電子部品をステージ側とし、異方性導電フィルムを第2電子部品と仮圧着した後に、第1電子部品と第2電子部品を本圧着するが、第2電子部品の熱圧着領域のサイズ等によっては、異方性導電フィルムを第1電子部品と仮貼りした後に、第1電子部品と第2電子部品を本圧着する。
【0070】
絶縁性接着層4としては、公知の異方性導電フィルムにおいて絶縁性接着層として使用されているものを適宜選択して使用することができる。絶縁性接着層4は、上述した絶縁性樹脂バインダ3と同様の樹脂を用いて粘度をより低く調整したものとしてもよい。絶縁性接着層4と絶縁性樹脂バインダ3との最低溶融粘度は、差があるほど電子部品の電極やバンプによって形成される空間が絶縁性接着層4で充填されやすくなり、電子部品同士の接着性を向上させる効果が期待できる。また、この差があるほど異方性導電接続時に絶縁性樹脂バインダ3を構成する樹脂の移動量が相対的に小さくなるため、端子における導電粒子の捕捉性が向上しやすくなる。実用上は、絶縁性接着層4と絶縁性樹脂バインダ3との最低溶融粘度比は、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは8以上である。一方、この比が大きすぎると長尺の異方性導電フィルムを巻装体にした場合に、樹脂のはみだしやブロッキングが生じるおそれがあるので、実用上は15以下が好ましい。絶縁性接着層4の好ましい最低溶融粘度は、より具体的には、上述の比を満たし、かつ3000Pa・s以下、より好ましくは2000Pa・s以下であり、特に100~2000Pa・sである。
【0071】
絶縁性接着層4の形成方法としては、絶縁性樹脂バインダ3を形成する樹脂と同様の樹脂を含むコーティング組成物を塗布法により成膜し乾燥させることや、更に硬化させることにより、あるいは予め公知の手法によりフィルム化することにより形成することができる。
【0072】
絶縁性接着層4の厚みは、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは2μm以上15μm以下である。
【0073】
また、絶縁性樹脂バインダ3と絶縁性接着層4を合わせた異方性導電フィルム全体の最低溶融粘度は、絶縁性樹脂バインダ3と絶縁性接着層4の厚みの比率にもよるが、実用上は8000Pa・s以下としてもよく、バンプ間への充填を行い易くするためには200~7000Pa・sであってもよく、好ましくは、200~4000Pa・sである。
【0074】
更に、絶縁性樹脂バインダ3や絶縁性接着層4には、必要に応じてシリカ微粒子、アルミナ、水酸化アルミニウム等の絶縁性フィラーを加えてもよい。絶縁性フィラーの配合量は、それらの層を構成する樹脂100質量部に対して3質量部以上40質量部以下とすることが好ましい。これにより、異方性導電接続の際に異方性導電フィルムが溶融しても、溶融した樹脂で導電粒子が不用に移動することを抑制することができる。
【0075】
<異方性導電フィルムの製造方法>
異方性導電フィルムの製造方法としては、例えば、導電粒子を所定の配列に配置するための転写型を製造し、転写型の凹部に導電粒子を充填し、その上に、剥離フィルム上に形成した絶縁性樹脂バインダ3を被せ圧力をかけ、絶縁性樹脂バインダ3に導電粒子2を押し込むことにより、絶縁性樹脂バインダ3に導電粒子2を転着させる。あるいは更にその導電粒子2上に絶縁性接着層4を積層する。こうして、異方性導電フィルム1Aを得ることができる。
【0076】
また、転写型の凹部に導電粒子を充填した後、その上に絶縁性樹脂バインダを被せ、転写型から絶縁性樹脂バインダの表面に導電粒子を転写させ、絶縁性樹脂バインダ上の導電粒子を絶縁性樹脂バインダ内に押し込むことにより異方性導電フィルムを製造してもよい。この押し込み時の押圧力、温度等により導電粒子の埋込量(Lb)を調整することができる。また、凹み3b、3cの形状及び深さを、押し込み時の絶縁性樹脂バインダの粘度、押込速度、温度等により調整することができる。例えば、導電粒子の押し込み時の絶縁性樹脂バインダの粘度を、下限は好ましくは3000Pa・s以上、より好ましくは4000Pa・s以上、更に好ましくは4500Pa・s以上とし、上限は、好ましくは20000Pa・s以下、より好ましくは15000Pa・s以下、更に好ましくは10000Pa・s以下とする。また、このような粘度を好ましくは40~80℃、より好ましくは50~60℃で得られるようにする。より具体的には、絶縁性樹脂バインダの表面に図14に示した凹み3bを有する異方性導電フィルム1aを製造する場合、導電粒子の押し込み時の絶縁性樹脂バインダの粘度を8000Pa・s(50~60℃)とすることが好ましく、図16に示した凹み3cを有する異方性導電フィルム1cを製造する場合、導電粒子の押し込み時の絶縁性樹脂バインダの粘度を4500Pa・s(50~60℃)とすることが好ましい。
【0077】
なお、転写型としては、凹部に導電粒子を充填するものの他、凸部の天面に微粘着剤を付与してその天面に導電粒子が付着するようにしたものを用いても良い。
【0078】
これらの転写型は機械加工、フォトリソグラフィ、印刷法等の公知の技術を用い、また応用して製造することができる。
【0079】
また、導電粒子を所定の配列に配置する方法としては、転写型を用いる方法に代えて、二軸延伸フィルムを用いる方法等を使用してもよい。
【0080】
<巻装体>
異方性導電フィルムは、電子部品の接続に連続的に供するため、リールに巻かれたフィルム巻装体とすることが好ましい。フィルム巻装体の長さは、5m以上であればよく、10m以上であることが好ましい。上限は特にないが、出荷物の取り扱い性の点から、5000m以下であることが好ましく、1000m以下であることがより好ましく、500m以下であることが更に好ましい。
【0081】
フィルム巻装体は、全長より短い異方性導電フィルムを繋ぎテープで連結したものでもよい。連結箇所は複数個所存在してもよく、規則的に存在してもよく、ランダムに存在してもよい。繋ぎテープの厚みは、性能に支障を来たさない限り特に制限はないが、厚すぎると樹脂のはみ出しやブロッキングに影響を及ぼすため、10~40μmであることが好ましい。また、フィルムの幅は特に制限はないが、一例として0.5~5mmである。
【0082】
フィルム巻装体によれば、連続した異方性導電接続ができ、接続体のコスト削減に寄与することができる。
【0083】
<接続構造体>
本発明の異方性導電フィルムは、FPC、ICチップ、ICモジュールなどの第1電子部品と、FPC、リジッド基板、セラミック基板、ガラス基板、プラスチック基板などの第2電子部品とを熱又は光により異方性導電接続する際に好ましく適用することができる。また、ICチップやICモジュールをスタックして第1電子部品同士を異方性導電接続することもできる。このようにして得られる接続構造体及びその製造方法も本発明の一部である。
【0084】
異方性導電フィルムを用いた電子部品の接続方法としては、例えば、異方性導電フィルムのフィルム厚方向で導電粒子が近くに存在する側の界面を配線基板などの第2電子部品に仮貼りし、仮貼りされた異方性導電フィルムに対し、ICチップなどの第1電子部品を搭載し、第1電子部品側から熱圧着することが、接続信頼性を高める点から好ましい。また、光硬化を利用して接続することもできる。なお、この接続では接続作業効率の点から、電子部品の端子の長手方向を異方性導電フィルムの短手方向に合わせることが好ましい。
【実施例0085】
実験例1~実験例8
(異方性導電フィルムの作製)
COG接続に使用する異方性導電フィルムについて、絶縁性樹脂バインダの樹脂組成と導電粒子の配置がフィルム形成能と導通特性に及ぼす影響を次のようにして調べた。
【0086】
まず、表1に示した配合で絶縁性樹脂バインダ及び絶縁性接着層を形成する樹脂組成物をそれぞれ調製した。この場合、絶縁性樹脂組成物の調製条件により樹脂組成物の最低溶融粘度を調整した。絶縁性樹脂バインダを形成する樹脂組成物をバーコーターでフィルム厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンにて5分間乾燥させ、PETフィルム上に表2に示す厚さLaの絶縁性樹脂バインダ層を形成した。同様にして、絶縁性接着層を表2に示す厚さでPETフィルム上に形成した。

【0087】
【表1】
【0088】
次に、導電粒子の平面視における配置が表2に示した配置となり、その繰り返しユニットにおける最近接導電粒子の中心間距離が6μmとなるように金型を作製した。その金型に公知の透明性樹脂のペレットを溶融させた状態で流し込み、冷やして固めることで、凹みが表2に示す配置の樹脂型を形成した。ここで、実験例8では導電粒子の配置を6方格子配列(個数密度32000個/mm2)とし、その格子軸の一つを異方性導電フィルムの長手方向に対して15°傾斜させた。
【0089】
導電粒子として、金属被覆樹脂粒子(積水化学工業(株)、AUL703、平均粒子径3μm)を用意し、この導電粒子を樹脂型の凹みに充填し、その上に上述の絶縁性樹脂バインダを被せ、60℃、0.5MPaで押圧することで貼着させた。そして、型から絶縁性樹脂バインダを剥離し、絶縁性樹脂バインダ上の導電粒子を、加圧(押圧条件:60~70℃、0.5Mpa)することで絶縁性樹脂バインダに押し込み、絶縁性樹脂バインダに導電粒子が表2に示す状態で埋め込まれたフィルムを作製した。この場合、導電粒子の埋め込み状態は、押し込み条件でコントロールした。その結果、実験例4では、導電粒子を押し込んだ後にフィルム形状が維持されなかったが、それ以外の実験例では、導電粒子を埋め込んだフィルムを作製することができた。金属顕微鏡による観察で、埋め込まれた導電粒子の露出部分の周り又は埋め込まれた導電粒子の直上には表2に示すように凹みが認められた。なお、実験例4を除く各実験例では導電粒子の露出部分周りの凹みと、導電粒子直往の凹みの双方が観察されたが、表4には、各実験例ごとに凹みが最も明確に観察されたものの計測値を示した。
【0090】
導電粒子を埋め込んだフィルムの導電粒子を押し込んだ側に絶縁性接着層を積層することにより樹脂層が2層タイプの異方性導電フィルムを作製した。ただし、実験例4では、導電粒子を押し込んだ後にフィルム形状が維持されなかったので以降の評価を行わなかった。
【0091】
(評価)
各実験例の異方性導電フィルムに対し、次のようにして(a)初期導通抵抗と(b)導通信頼性を測定した。結果を表2に示す。
【0092】
(a)初期導通抵抗
各実験例の異方性導電フィルムを、ステージ上のガラス基板と押圧ツール側の導通特性評価用ICとの間に挟み、押圧ツールで加熱加圧(180℃、5秒)して各評価用接続物を得た。この場合、押圧ツールによる推力を低(40MPa)、中(60MPa)、高(80MPa)の3段階に変えて3通りの評価用接続物を得た。
【0093】
ここで、導通特性評価用ICとガラス基板は、それらの端子パターンが対応しており、サイズは次の通りである。また、評価用ICとガラス基板を接続する際には、異方性導電フィルムの長手方向とバンプの短手方向を合わせた。
【0094】
導通特性評価用IC
外形 1.8×20.0mm
厚み 0.5mm
バンプ仕様 サイズ30×85μm、バンプ間距離50μm、バンプ高さ15μm
【0095】
ガラス基板(ITO配線)
ガラス材質 コーニング社製1737F
外形 30×50mm
厚み 0.5mm
電極 ITO配線
【0096】
得られた評価用接続物の初期導通抵抗を測定し、次の3段階の評価基準で評価した。
初期導通抵抗の評価基準(実用上、2Ω未満であれば問題はない)
A:0.4Ω未満
B:0.4Ω以上0.8Ω未満
C:0.8Ω以上
【0097】
(b)導通信頼性
(a)で作製した評価用接続物を、温度85℃、湿度85%RHの恒温槽に500時間おく信頼性試験を行い、その後の導通抵抗を、初期導通抵抗と同様に測定し、次の3段階の評価基準で評価した。
【0098】
導通信頼性の評価基準(実用上、5Ω未満であれば問題はない)
A:1.2Ω未満
B:1.2Ω以上2Ω未満
C:2Ω以上




































【0099】
【表2】
【0100】
表2から絶縁性樹脂層の最低溶融粘度が800Pa・sの実験例4では導電粒子近傍の絶縁性樹脂バインダに凹みを有するフィルムの形成は難しいことがわかる。一方、絶縁性樹脂バインダの最低溶融粘度が1500Pa・s以上の実験例では、導電粒子の埋込時の条件の調整により絶縁性樹脂バインダの導電粒子近傍に凸部を形成できること、こうして得られた異方性導電フィルムはCOG用に導通特性が良好であることがわかる。また、6方格子配列の実験例8に比して導電粒子の個数密度が低い実験例1~7では、異方性導電接続をより低圧で行えることがわかる。
【0101】
(c)ショート発生率
実験例1~3と5~8の異方性導電フィルムを使用し、次のショート発生率の評価用ICを使用して180℃、60MPa、5秒の接続条件で評価用接続物を得、得られた評価用接続物のショート数を計測し、評価用ICの端子数に対する計測したショート数の割合としてショート発生率を求めた。
【0102】
ショート発生率の評価用IC(7.5μmスペースの櫛歯TEG(test element group): 外形 15×13mm
厚み 0.5mm
バンプ仕様 サイズ25×140μm、バンプ間距離7.5μm、バンプ高さ15μm
【0103】
ショートは50ppm未満であれば実用上好ましく、実験例1~3と5~8の異方性導電フィルムは全て50ppm未満であった。
【0104】
なお、実験例4を除く各実験例に対し、バンプ1個当たりに捕捉されている導電粒子を計測したところ、いずれも10個以上の導電粒子が捕捉されていた。
【0105】
実験例9~16
(異方性導電フィルムの作製)
FOG接続に使用する異方性導電フィルムについて、絶縁性樹脂バインダの樹脂組成と導電粒子の配置がフィルム形成能と導通特性に及ぼす影響を次のようにして調べた。
【0106】
即ち、表3に示した配合で絶縁性樹脂バインダと絶縁性接着層を形成する樹脂組成物を調製し、これらを用いて実験例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。この場合の導電粒子の配置と最近接導電粒子の中心間距離を表4に示す。実験例16では導電粒子の配置を6方格子配列(個数密度15000個/mm2)とし、その格子軸の一つを異方性導電フィルムの長手方向に対して15°傾斜させた。
【0107】
この異方性導電フィルムの作成工程において、絶縁性樹脂バインダに導電粒子を押し込んだ後に実験例12ではフィルム形状が維持されなかったが、それ以外の実験例ではフィルム形状が維持された。そのため、実験例12を除く実験例の異方性導電フィルムについて導電粒子の埋込状態を金属顕微鏡で観察して計測し、更に以降の評価を行った。各実験例における導電粒子の埋込状態を表4に示す。表4に示した埋込状態は、表2と同様に各実験例ごとに絶縁性樹脂バインダの凹みが最も明確に観察されたものの計測値である。
【0108】
(評価)
各実験例の異方性導電フィルムに対し、次のようにして(a)初期導通抵抗と(b)導通信頼性を測定した。結果を表4に示す。
【0109】
(a)初期導通抵抗
各実験例で得た異方性導電フィルムを2mm×40mmで裁断し、導通特性の評価用FPCとガラス基板との間に挟み、ツール幅2mmで加熱加圧(180℃、5秒)して各評価用接続物を得た。この場合、押圧ツールによる推力を低(3MPa)、中(4.5MPa)、高(6MPa)の3段階に変えて3通りの評価用接続物を得た。得られた評価用接続物の導通抵抗を実験例1と同様に測定し、その測定値を次の基準で3段階に評価した。
【0110】
評価用FPC:
端子ピッチ 20μm
端子幅/端子間スペース 8.5μm/11.5μm
ポリイミドフィルム厚(PI)/銅箔厚(Cu)=38/8、Sn plating
【0111】
ノンアルカリガラス基板:
電極 ITO配線
厚み 0.7mm
【0112】
初期導通抵抗の評価基準
A:1.6Ω未満
B:1.6Ω以上2.0Ω未満
C:2.0Ω以上
【0113】
(b)導通信頼性
(a)で作製した評価用接続物を、温度85℃、湿度85%RHの恒温槽に500時間おき、その後の導通抵抗を初期導通抵抗と同様に測定し、その測定値を次の基準で3段階に評価した。
【0114】
導通信頼性の評価基準
A:3.0Ω未満
B:3.0Ω以上4Ω未満
C:4.0Ω以上
【0115】
表4から絶縁性樹脂層の最低溶融粘度が800Pa・sの実験例12では、凹みを有するフィルムの形成は難しいことがわかる。一方、絶縁性樹脂層の最低溶融粘度が1500Pa・s以上の実験例では、導電粒子の埋込時の条件の調整により絶縁性樹脂バインダの導電粒子近傍に凹みを形成できること、こうして得られた異方性導電フィルムはFOG用に導通特性が良好であることがわかる。
【0116】
(c)ショート発生率
初期導通抵抗を測定した評価用接続物のショート数を計測し、計測されたショート数と評価用接続物のギャップ数からショート発生率を求めた。ショート発生率は100ppm未満であれば実用上問題はない。
実験例9~11と13~16のいずれもショート発生率は100ppm未満であった。
【0117】
なお、実験例12を除く各実験例に対し、バンプ1個当たりに捕捉されている導電粒子を計測したところ、いずれも10個以上の導電粒子が捕捉されていた。
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【符号の説明】
【0120】
1A、1Ba、1Bb、1Ca、Cb、1Da、Db、1Ea、Eb、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L、1M、1a、1b、1c、1d、1e 異方性導電フィルム
2、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2p、2q、2r、2s、2t、2u 導電粒子
3 絶縁性樹脂バインダ
4 絶縁性接着層
5、5B 繰り返しユニット
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18