(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069475
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】担体の剥離
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20220428BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220428BHJP
B32B 37/06 20060101ALI20220428BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20220428BHJP
C09J 5/06 20060101ALI20220428BHJP
C09J 9/00 20060101ALI20220428BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C09J201/00
B32B27/00 M
B32B37/06
B32B7/06
C09J5/06
C09J9/00
G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023847
(22)【出願日】2022-02-18
(62)【分割の表示】P 2018559261の分割
【原出願日】2017-05-11
(31)【優先権主張番号】1608279.4
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】503430658
【氏名又は名称】フレックスエネーブル リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】バリー ワイルド
(57)【要約】
【課題】担体に一時的に接着される組立体から、容易に担体を剥離する方法を提供する。
【解決手段】接着要素により担体に一時的に接着される組立体を提供することであって、前記組立体が、少なくとも1枚のプラスチック支持シートを含む、提供することと、前記組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化するまで前記組立体および前記接着要素を加熱することであって、前記担体および/または組立体への前記接着要素の接着強度が、前記加熱することの間に部分的に低減され、前記組立体内に含まれる前記接着剤を完全に硬化した後でさらに加熱することによりさらに低減できる、加熱することと、を含む、方法。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着要素により担体に一時的に接着される組立体を提供することであって、前記組立体が、少なくとも1枚のプラスチック支持シートを含む、提供することと、
前記組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化するまで前記組立体および前記接着要素を加熱することであって、前記担体および/または組立体への前記接着要素の接着強度が、前記加熱することの間に部分的に低減され、前記組立体内に含まれる前記接着剤を完全に硬化した後でさらに加熱することによりさらに低減できる、加熱することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記担体および/または組立体への前記接着要素の前記接着強度が、前記組立体内に含まれる前記接着剤を完全に硬化した後で、まず冷却し、その後さらに加熱することによりさらに低減できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組立体内に含まれる前記接着剤が、前記組立体内に2つの構成部品を一緒に固定する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
接着要素により担体に一時的に接着される組立体を提供することであって、前記組立体が、少なくとも1枚のプラスチック支持シートを含み、前記接着要素が前記担体および/または組立体に接着される少なくとも1つの接着層を含む、提供することと、
前記組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化するまで前記組立体および前記接着要素を加熱することであって、前記担体および/または組立体への前記接着層の接着強度が、前記加熱することの間に部分的に低減される、加熱することと、
前記組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化するまで前記組立体および前記接着要素を加熱することの後、前記接着層を膨張させ、前記接着層を前記担体および/または組立体から剥離することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記担体および/または組立体への前記接着層の接着強度の部分的な低減が、前記接着層内で気体を発生させることと、前記担体および/または組立体と前記接着層の界面に前記気体の気孔を保持すること、とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記接着層の界面に前記気孔を保持することが、前記担体と前記接着層の界面に前記気孔を保持することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接着層を膨張させることが、前記担体および/または組立体への前記接着層の接着強度をさらに低減させる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記接着層を膨張させることが、前記接着層を熱板と前記組立体との間にした状態で前記担体および前記組立体を前記熱板の上に配置することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記接着層を膨張させることが、前記接着層および前記組立体にわたる温度勾配を確立することを含み、
前記温度勾配において前記接着層の方が前記組立体よりも高温である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記接着層を膨張させることが、前記組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化するまで加熱することの間に到達した最大温度より高い温度に前記接着層を加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記接着層を膨張させることが、前記組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化するまでの加熱することの間に到達した最大温度より低い温度に前記接着層を加熱することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記接着層を前記担体および/または組立体から剥離することが、前記接着層を前記担体および前記組立体の一方から剥離することと、その後、前記担体および前記組立体の他方を前記接着層からはがすことと、を含む、請求項4から請求項11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記接着層を前記担体および/または組立体から剥離することが、前記担体および前記組立体のうちの一方から前記接着層を、前記担体および前記組立体のうちの他方から前記接着層を剥離することなく剥離することを含む、請求項4から請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記組立体が、2枚のプラスチック支持シートおよび前記2枚のプラスチック支持シートの間に液晶材料を受ける空間を作るためのスペーサを含む液晶ディスプレイの構成部品を含む、請求項4から請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記組立体は、それぞれの接着要素によりそれぞれの担体に両側で一時的に接着され、
前記組立体が、2枚のプラスチック支持シートを含み、前記それぞれの担体が、前記2枚の支持シートを一緒に積み重ねて前記組立体を形成する工程の間、前記プラスチック支持シートのそれぞれを支持するために使用される、請求項4から請求項12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組立体の加工は、組立体に剥離可能に接着された2つの担体の間に組立体を一時的に支持することを含みうる。
【背景技術】
【0002】
本出願の発明者は、組立体の加工後に、組立体からの担体の剥離を改良する技術に取り組んできた。
【発明の概要】
【0003】
ここに、それぞれの接着要素によりそれぞれの担体に両側で一時的に接着する、少なくとも1枚のプラスチック支持シートを含む組立体を提供することと、担体の間で組立体を機械的に圧縮しながらその組立体を加熱することであって、機械的な圧縮を受けている組立体を加熱する間、それぞれの担体および/または組立体へのその接着要素のうちの1つの接着強度が部分的に低減される、加熱することとを含み、担体および/または組立体へのその接着要素の接着強度が、組立体が2つの担体の間で機械的に圧縮される圧力を部分的にまたは完全に緩めた後で、その接着要素をさらに加熱することによりさらに低減できる方法が提供される。
【0004】
一実施形態によれば、その方法はさらに、組立体が2つの担体の間で機械的に圧縮される圧力を部分的にまたは完全に緩めた後で、接着要素をさらに加熱して、担体および/または組立体への接着要素の接着強度をさらに低減し、接着要素を担体および/または組立体から剥離することを含む。
【0005】
一実施形態によれば、担体の間で組立体を機械的に圧縮しながら担体および/または組立体への接着要素の接着強度を部分的に低減することは、接着要素が担体および/または組立体に接触する場所に気孔を生成し、それにより接着要素の固体物と担体および/または組立体との間の接触面積を減少させることを含み、その少なくとも1つの接着要素と担体および/または組立体との間の接着強度をさらに低減することは、接着要素の固体物を熱膨張させて、接着要素の固体物と気孔の間の場所にある担体および/または組立体との間の接触を絶つことを含む。
【0006】
一実施形態によれば、その方法はさらに、接着要素から担体および組立体のうちの他方を剥離することなく接着要素から担体および組立体のうちの一方を剥離することを含む。
【0007】
一実施形態によれば、組立体は、2枚のプラスチック支持シートおよび2枚のプラスチック支持シートの間に液晶材料を受ける空間を作るためのスペーサを含む液晶ディスプレイの構成部品を含む。
【0008】
一実施形態によれば、その組立体は2枚のプラスチック支持シートを含み、その担体は、2枚の支持シートを一緒に積み重ねて組立体を形成する工程の間、プラスチック支持シートのそれぞれを支持するために使用されている。
【0009】
一実施形態によれば、組立体の少なくとも片側の接着要素は、支持シートおよび支持シートの両側で支持された2つの接着層を含む。
【0010】
一実施形態によれば、組立体は、導体、半導体およびTFTのアクティブマトリックスアレイを画定する絶縁体層のスタックを支持するプラスチック支持シートを含む。
【0011】
一実施形態によれば、その方法はさらに、組立体からその担体のうちの他方を剥離することなく組立体からその担体のうちの一方を剥離すること、およびその後、その担体の他方から組立体を剥がすことを含む。
【0012】
一実施形態によれば、加熱して接着強度を部分的に低減することはまた、組立体内に含まれる接着剤を硬化することを含む。
【0013】
一実施形態によれば、接着要素を加熱して接着強度を部分的に低減することは、接着要素をさらに加熱して接着強度をさらに低減する間、その接着要素と組立体にわたって確立された最も小さい温度勾配より小さいその接着要素と組立体にわたる温度勾配を確立することを含む。
【0014】
一実施形態によれば、その方法はさらに、担体の間で組立体を機械的に圧縮しながら加熱した後、担体の間で組立体を機械的に圧縮し続けながら組立体を冷却することを含み、それぞれの担体および/または組立体への接着要素のうちの1つの接着強度は、機械的な圧縮を受けている組立体を加熱するおよび/または冷却する間、部分的に低減され、担体および/または組立体へのその接着要素の接着強度は、組立体が2つの担体の間で機械的に圧縮される圧力を部分的にまたは完全に緩めた後で、その接着要素をさらに加熱することによりさらに低減できる。
【0015】
ここに、また、それぞれの接着要素によりそれぞれの担体に両側で一時的に接着される、少なくとも1枚のプラスチック支持シートを含む組立体を提供することと、接着要素のうちの少なくとも1つの中で気体が発生する状態でその組立体および接着要素を加熱することであって、加熱によるプラスチック支持シートの皺を妨げる圧力で担体の間で組立体を圧縮すると同時に、担体と少なくとも1つの接着要素との間の界面および/または組立体と少なくとも1つの接着要素との間の界面に発生した気体の孔を保持しながら、加熱すること、とを含む方法が提供される。
【0016】
一実施形態によれば、加熱は、組立体内に含まれる接着剤を硬化する状態の下で実施され、接着剤の硬化が完全であるとき、気孔は界面に留まる。
【0017】
一実施形態によれば、その方法はさらに、組立体が2つの担体の間で圧縮される圧力を少なくとも部分的に緩めた後で、少なくとも1つの接着要素をさらに加熱して、(i)担体および/または組立体と(ii)気孔の周りの場所の少なくとも1つの接着要素の固体物との間の接着強度を低減することを含む。
【0018】
一実施形態によれば、その方法はさらに、2つの担体の間で組立体が機械的に圧縮される圧力を少なくとも部分的に緩め、少なくとも1つの接着要素をさらに加熱して、担体および/または組立体と気孔の周りの場所の少なくとも1つの接着要素の固体物との間の接着強度をさらに低減する前に、2つの担体の間で組立体を機械的に圧縮し続けながらその組立体および接着要素を冷却することを含む。
【0019】
ここに、また、それぞれの接着要素によりそれぞれの担体に両側で一時的に接着される、少なくとも1枚のプラスチック支持シートを含む組立体を提供することと、その組立体を加熱してその組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化することとを含み、隣接する担体および/または組立体への接着要素のうちの少なくとも1つの接着強度が、その加熱の間部分的に低減され、その組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化した後でさらに加熱することによりさらに低減できる方法が提供される。
【0020】
一実施形態によれば、隣接する担体および/または組立体への少なくとも1つの接着要素の接着強度は、まず冷却し、そしてその組立体内に含まれる接着剤を完全に硬化した後でさらに加熱することにより、さらに低減できる。
【0021】
一実施形態によれば、組立体内に含まれる接着剤は、その組立体内の2つの構成部品を一緒に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】接着層が担体から剥離される工程の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが以下に説明する。
【0024】
以下の説明は、2枚の構成部品を積層して液晶ディスプレイ(LCD)装置の横アレイを提供する組立体を形成する実施例のためのものであるが、同様の技術は、単一のLCD装置あるいは例えば、アクティブマトリックスアレイにより発光が制御される有機発光材料の画素を含む1つまたは複数のカプセル化有機発光装置(OLED)などの1つまたは複数の他の種類の装置を提供する組立体を形成するため構成部品の積層に等しく適用可能である。
【0025】
図1を参照すると、第1の柔軟な構成部品8は、接着要素6を介して剛性担体4に剥離可能に固定され、剛性担体4および柔軟な構成部品の両方へのその接着強度は、組立体の加工中、柔軟な構成部品8の過度な熱膨張に耐えるのに十分高いが、(i)加工後に、少なくとも組立体から接着要素6をはがすのを妨げるほどには高すぎない、または(ii)組立体の加工後低減されて、接着要素6を少なくとも組立体からはがすのを容易にすることができる、のどちらか一方である。例えば、この接着要素6は、感圧接着剤の単一層、または第1の柔軟な構成部品8と剛性担体4のうちの1つ以上への接着強度を温度上昇によって(熱剥離)、温度低減によって(冷却剥離)または紫外線照射にさらすこと(UV剥離)によって低減することができる接着剤の単一層であってもよい。接着要素6はまた、支持膜の両側に2層の接着剤を含んでもよく、その2層は、例えば、感圧接着剤、熱剥離性接着剤、冷却剥離性接着剤およびUV剥離性接着剤の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0026】
この実施例では、LCD装置が液晶材料の両側の電極により液晶材料内に電界を生成することにより動作する種類の場合、第1の柔軟な構成部品8は、配向膜のすぐ隣の液晶材料の一部に液晶分子の配向を制御する配向膜を支持するプラスチック支持膜を備え、また、(LCD)装置のアレイ用の共通電極などの1つまたは複数のさらなる構成部品を支持してもよい。
【0027】
第2の柔軟な構成部品12は、担体16に隣接する熱剥離性接着剤14cの層および柔軟な構成部品12に隣接する接着剤14aの第2の層を支持する支持膜14bを備える両面接着剤ユニット14を介して別の剛性担体16に剥離可能に固定される。この実施例では、接着剤14aの第2の層は、その第2の柔軟な構成部品12への接着強度が、組立体の加工中、組立体の過度な熱膨張に耐えるのに十分高いが、(i)加工後に、組立体から接着要素をはがすのを妨げるほどには高すぎない、または(ii)組立体の加工後低減されて、接着要素14aを組立体から剥離するのを容易にすることができる、のどちらかである。接着剤14aの第2の層は、例えば、(a)感圧接着剤、(b)接着剤14cの第1の層より剥離温度がより高い熱剥離性接着剤の層、(c)冷却剥離性接着剤の層、または(d)UV剥離性接着剤の層を含んでもよい。第2の柔軟な構成部品12は、(i)電界を制御するための液晶媒体内のLCD装置のアレイ用のアクティブマトリックス回路のそれぞれの組みを画定する導体、半導体および絶縁体層/誘電体層のスタック、および(ii)LCD装置のアレイ用の液晶材料を受ける第1の柔軟な構成部品8と第2の柔軟な構成部品12との間に空間を作るためのスペーサ構造体10を支持するプラスチック支持膜を含んでもよい。第2の柔軟な構成部品12のプラスチック支持膜は、上述の層のアクティブマトリックススタックおよびプラスチック支持膜上のスペーサ構造体の形成前に担体16に剥離可能に固定されてもよい。言い換えると、担体16は、第2の柔軟な構成部品12を生成するためプラスチック支持膜上の構成部品の形成中に、プラスチック支持膜を支持するために使用されてもよく、そして、接着要素14は、プラスチック支持膜上の上述の構成部品の形成のため使用される加熱手順の間、プラスチック支持膜の過度な熱変形に耐えるため機能し、かつ/または、プラスチック支持膜が加熱手順後冷却された場合、プラスチック支持膜を担体16上のその元の位置に復元するために使用されてもよい。
【0028】
この実施例では、柔軟な構成部品8、12の少なくとも1つに、2つの柔軟な構成部品を一緒に固定するため熱硬化性接着剤が提供される。そして、2つの柔軟な構成部品8、12は、互いに整列し(例えば、第2の柔軟な構成部品の一部として含まれ、光透明性担体(例えば、ガラス)4、光透明性接着要素6、および光透明性第1の柔軟な構成部品8を介して上から観察できる位置合わせマークにより)、担体4と担体16の間で、一緒に機械的に圧縮される(
図1B)。機械的な圧縮を受けながら、組立体(および担体4、16)は、組立体の2つの柔軟な構成部品8と12の間の接着剤が完全に硬化する状態の下、炉内で(組立体中の温度勾配をゼロにするよう)均等に加熱される。2つの柔軟な構成部品の間の接着剤が完全に硬化するかどうかは、例えば、組立体が引きはがし強度試験を受けることおよび測定した引きはがし強度を使用される特定の接着剤用の既知のまたは所定の最大引きはがし強度と比較することによって決定することができる。また、未硬化形態の接着剤が、例えば、2つの柔軟な構成部品の間の組立体内に含有される液晶材料に有害な影響をもたらす場合、未硬化接着剤の存在(すなわち、接着剤を完全に硬化することへの失敗)は、液晶ディスプレイ装置の性能の劣化として現れる。
【0029】
こうした加熱には、一連の手順で炉の温度を上げることおよびそれぞれの期間の間、各手順の温度で炉を維持することを含みうる。接着剤を硬化するために必要な加熱は、組立体内のプラスチック支持膜の皺が発生しがちな温度まで組立体の温度を上げることを意味するが、以下で論じるように、組立体が担体の間で機械的に圧縮される圧力は、顕著な皺を実質的に防止するのに十分高い。
【0030】
十分な加熱が実施されて、2つの柔軟な構成部品8と12の間の接着剤を完全に硬化した後、炉の温度は低減され、炉の内側の組立体および担体を冷却することができると同時に、2つの担体の間の組立体を機械的に圧縮し続けて、冷却処理中のプラスチック膜の皺を防止する。この実施例では、接着要素6に使用された接着剤(第1の柔軟な構成部品と剛性担体4との間)および接着層14aに使用された接着剤はすべて、加熱工程の間組立体/担体に対するその接着強度を維持して、2つの柔軟な構成部品8と12の間の接着剤を完全に硬化する。一方、接着層14c用の熱剥離性接着剤は、組立体の加熱処理の間、気体が発生して、2つの柔軟な構成部品8と12の間の接着剤を硬化する材料である。以下に論じるように、発生した気体は、剛性担体16と接着層14cの界面に気孔を形成する。こうした気孔の形成は、接着層14cと担体16との間の接着強度を部分的に低減するように作用する。組立体を2つの担体4と16の間で圧縮する圧力は、(i)接着層14cで発生する気体を接着層14cと担体16との間の界面で気孔として保持するほど十分低い(すなわち、接着層14c内で発生した気体が接着層14cと担体16の間から横方向に追い出されないようにするほど)が、(ii)2つの柔軟な構成部品の間の接着剤を硬化する組立体の加熱処理中の組立体内のプラスチック支持膜の皺(平面のゆがみ)を防ぐほど十分高い。
【0031】
接着層14cでの気体の発生および担体16と接着層14cの界面での発生した気体の保持は、真空内で加熱することおよび真空チャンバ内の圧力の変化を監視すること、ならびに/または例えば、接着層14cと担体16の間の界面を分光法により遠隔で解析することによって、検出することができる。
【0032】
組立体内のプラスチック支持膜がもはや皺が寄ることが起こらない温度まで組立体を冷却した後(その冷却中、気孔は剛性担体16と接着層14cの界面に保持され続ける)、担体の間の組立体の機械的圧縮は終了し、組立体および担体4、16の組み合わせは、熱板の表面に最も近い接着層14cに隣接する担体16と共に熱板上に配置され、それにより、接着要素14および組立体の組み合わせにわたる温度勾配が、確立される。担体4と16の間の組立体を機械的に圧縮することなく、熱板を使用して、機械的圧縮が無いとき、接着層14cが熱膨張して接着層14cと剛性担体16との間の接着強度をさらに低減するのに十分な程度の温度まで接着層14cの温度を上げる。この接着層14cのさらなる加熱は、組立体内にプラスチック支持膜の顕著な皺が発生する傾向がある温度まで組立体の温度を上げることなく実施される。一実施例では、接着層14cの温度は、2つの柔軟な構成部品8と12の間の接着剤を硬化するため加熱工程中に到達した最大温度より上に上げられてもよい。しかし、この第2の加熱段階中の担体16の剥離はまた、より低い温度で達成されてもよい。この第2の加熱段階中の接着層14の熱膨張は、担体16と接着層14cの間の界面の気孔の周りの接触領域における接着材料と担体16の間の接着強度を低減し、担体と接着層14cの間の接着強度のこのさらなる低減により、機械的力を加えることなくまたは最小限の機械的力を加えるだけで、担体を組立体から剥離できるようになる(
図1C)。
【0033】
1つの剛性担体16の剥離により、組立体からすべての接着ユニット14をはがすこと(
図1D)が容易になり、続いて、接着ユニット6から組立体をはがすことが容易になる(
図1D)。
【0034】
液晶装置の横アレイ用液晶材料は、2つの柔軟な構成部品8、12を積層する前に下方の柔軟な構成部品12上に付与されてもよい、または、2つの柔軟な構成部品8、12の間で接着剤を積層し、硬化した後で、スペーサ構造体により生成された空間に射出されてもよい。
【0035】
例として、日東電工株式会社から取得され、製品名RAU-5HD1.SSとして識別される接着製品が、上記で論じられた接着ユニット14の1つに使用され、日東電工株式会社から取得され、製品名CX2325CA3として識別される接着製品が、上述の他の接着ユニット6で使用されている。製品名RAU-5HD1.SSによって識別される接着製品は、柔軟な支持膜の両側に熱剥離性接着剤およびUV剥離性接着剤を備え、接着製品名CX2325CA3によって識別される接着製品は、柔軟な支持膜の両側で支持される冷却剥離性接着剤および感圧接着剤を備える。
【0036】
上述の実施例では、担体に隣接する接着層14cは、2つの担体の間の接着剤を硬化する加熱工程の間、隣接する要素への接着強度が、機械的圧縮を受けて部分的に低減する層であり、2つの担体の間の接着剤を硬化するための加熱工程の完了後、さらに低減する(機械的圧縮なしで)。しかし、代替の実施例では、この層は、接着ユニット14内の組立体に隣接する接着層14aであってもよい(それによって、接着ユニット14は、組立体から最初に剥離される)、またはこの層は、組立体および担体の両方と接触する接着剤の単一層であってもよい。
【0037】
上述の実施例では、熱硬化接着剤が使用されて、2つの柔軟な構成部品を一緒に固定しているが、(a)例えば、紫外線照射にさらすことによって硬化する接着剤(UV-硬化性接着剤)、(b)感圧接着剤、または(c)レーザーによって硬化する接着剤は、、2つの柔軟な構成部品を一緒に固定するために使用することができる他の接着剤の例である。熱の適用が2つの柔軟な構成部品を一緒に固定するために要求されないときでさえ、組立体内のプラスチック支持膜の皺が発生しがちな温度まで組立体を加熱することは、他の目的のために使用されてもよく、上述の記述は、こうした状況で等しく有用である。
【0038】
上述の実施例では、その技術は、液晶ディスプレイ装置のアレイの製造に使用されているが、同様の技術が、例えば、有機発光素子が湿度バリア要素と酸素バリア要素との間でカプセル化を必要とするアクティブマトリックスOLEDディスプレイの製造などの他の装置の製造に使用されてもよい。
【0039】
柔軟な構成部品が比較的広い領域である場合でさえ、上述の技術を使用して、柔軟な構成部品のいずれかのプラスチック支持膜の顕著な皺がなく組立体を製造することができる。
【0040】
上記に明白に述べられている任意の修正に加えて、説明された実施形態の様々な他の修正が本発明の範囲内でなされてもよいことは、当業者には明白であろう。