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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069498
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】種子コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   A01C 1/06 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
A01C1/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022031763
(22)【出願日】2022-03-02
(62)【分割の表示】P 2018522948の分割
【原出願日】2016-11-08
(31)【優先権主張番号】15193624.2
(32)【優先日】2015-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516248587
【氏名又は名称】インコテック ホールディング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】エイミー ニコール ブエノ
(72)【発明者】
【氏名】テリー ユークレア マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】レニル ジョン アンソニー
(57)【要約】
【課題】本発明は、1つ又はそれ以上の活性成分を含む種子コーティング組成物、種子コーティング中の活性成分の生物有効性を改善するための方法及び使用、及び被覆種子に関する。
【解決手段】本発明の種子コーティング組成物は、ワックス及び/又はポリマー炭水化物をさらに含み、ここで前記種子コーティング組成物は、ワックス及び/又はポリマー炭水化物を除く、該ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%又はそれ以下の量のポリマーバインダーを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれ以上の生物活性成分並びにワックス及び/又はポリマー炭水化物を含む種子コーティング組成物であって、ここで該種子コーティング組成物中のワックス及びポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーの量が、該ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%以下である、種子コーティング組成物。
【請求項2】
前記ワックスが、天然ワックス、ミネラルワックス及び合成ワックスからなる群から選択され、好ましくは、該ワックスは、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、オゾセライト、ピートワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、エチレンアクリル酸ワックス、ポリオレフィンワックス、エチレンビスステアルアミドワックス、ミツロウ(bees wax)、ラノリンワックス、サトウキビワックス、パームワックス、及び植物ロウ(vegetable wax)からなる群から選択される、請求項1に記載の種子コーティング組成物。
【請求項3】
前記ワックスが、アニオン性又は非イオン性である、請求項1又は2に記載の種子コーティング組成物。
【請求項4】
前記ワックスが、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、及びカルナウバワックスからなる群から選択される、請求項1~3の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項5】
前記種子コーティング組成物中のワックス及びポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーの量が、該ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の8%以下、好ましくは6%以下、例えば4%以下、2%以下、又は1%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項6】
前記種子コーティング組成物が、ワックス及びポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーを本質的に含まない、請求項1~5の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項7】
前記種子コーティング組成物中のワックス及びポリマー炭水化物の合計量が、種子コーティング組成物の総重量の10~50%の量、好ましくは15~45%の量、より好ましくは20~40%の量である、請求項1~6の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項8】
前記活性成分が、少なくとも1つの疎水性及び/又は水不溶性活性成分を含む、請求項1~7の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項9】
種子コーティング組成物中の1つ又はそれ以上の活性成分の生物有効性及び/又は植物による浸透性摂取を改善するための方法であって、請求項1~8の何れか1項に記載の種子コーティング組成物を調製し、前記種子コーティング組成物を種子に塗布することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1~8の何れか1項に記載の種子コーティング組成物を含む、被覆種子。
【請求項11】
水分含量基準でさらに15~25%乾燥を促進し、これにより被覆種子の架橋/凝集を著しく減少させる、請求項1~8の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項12】
被覆種子間の該摩擦係数を著しく減少させ、処理時の流動性を改善する、請求項1~8の何れか1項に記載の種子コーティング組成物。
【請求項13】
1つ又はそれ以上の生物活性成分並びにワックス及び/又はポリマー炭水化物を含む種子コーティング組成物の、被覆種子の架橋/凝集を低減し、及び/又は被覆種子間の摩擦係数を低減し及び処理時の流動性を改善するための使用であって、ここで該種子コーティング組成物中のワックス及びポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーの量が、該ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%以下である、種子コーティング組成物の使用。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、少なくとも1つの疎水性及び/又は水不溶性活性成分を含む、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2015年11月9日に出願された欧州特許出願EP 15193624.2、タイトル「種子コーティング組成物」に関連すると共に、斯かる出願に基づく優先権を主張しており、その内容は、本明細書において出典明記により全体に組み込まれる。
【0002】
本発明は、1つ又はそれ以上の活性成分を含む種子コーティング組成物、種子コーティング中の活性成分の生物有効性を改善する方法、及びコーティングされた種子に関する。
【背景技術】
【0003】
植物種子は多くの場合、例えば、種子を処理中に損傷から保護し、及び/又は取り扱い特性を改善するために、播種前にコーティングされる。種子は多くの場合、発芽時の種子及び実生に、例えば、植物栄養素、生長促進剤、及び植物保護製品等の有用物質(活性成分)を提供するために、コーティングされる。種子コーティングにおいて活性成分を提供することの重要なアドバンテージは、実生あたり正確且つ、コントロールされた放出及び用量を可能にすることである。典型的な種子コーティング法には、種子のフィルムコーティング、ペレッティング(pelleting)及びエンクラスティング(encrusting)が含まれる。
【0004】
種子コーティングは多くの成分を含むことができ、これらそれぞれの成分は、長所及び短所を有する。コーティング組成物中に活性成分を適用するときに起こり得る欠点の1つは、コーティングの性質、活性成分のタイプ、及びその溶解性に依存して、活性成分が、必要以上にコーティング中に保持されるか、又はゆっくりと放出され得、その結果として生じる種子又は植物に対する活性成分の有効性が減少される可能性があるという点である。特に、疎水性及び/又は水不溶性活性成分の増加は、種子コーティング組成物に新たな課題(challenge)をもたらす。有効成分は、それらの機能を十分に果たすために、さらに十分な移動性を有するべきであるが、他方では、種子コーティング自体は、水透過性等の従来の望ましい種子コーティング特性を有するべきであり、種子発芽に影響を与えるべきではない。
【0005】
種子コーティング中に疎水性活性成分を含めるためのいくつかの試みが当該分野でなされている。
【0006】
WO-A 2001/010212は、例えば、疎水性活性成分を含んでもよい組成物を記載し、ここで組成物は、油中水型ポリマー分散液に基づく。
【0007】
これらの以前の試みにも関わらず、種子コーティングの通常の重要な特性を維持しながら、活性成分の全体的な動きを促進する種子コーティング組成物を提供する必要性が、当技術分野において依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、当該分野におけるこの必要性に対処し、従来技術の種子コーティング組成物の欠点を克服することである。
【0009】
本発明者達は、この目的が、本明細書に記載されているような特殊な種子コーティング製剤を使用することによって、少なくとも部分的に満たされ得ることを見出した。
【0010】
従って、第1の態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の生物活性成分並びにワックス及び/又はポリマー炭水化物を含む種子コーティング組成物に関連し、ここで、前記種子コーティング組成物は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%又はそれ以下の量のワックス及び/又はポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーを有する。
【0011】
第2の態様において、本発明は、種子コーティング組成物中の1つ又はそれ以上の活性成分の生物有効性及び/又は植物による浸透性摂取(systemic uptake)を改善するための方法に関連し、1つ又はそれ以上の生物活性成分及び/又はポリマー炭水化物を含む種子コーティング組成物を調製することを含み、ここで、前記種子コーティング組成物は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%又はそれ以下の量のワックス及び/又はポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーを有し、及び前記種子コーティング組成物を種子に塗布すること、に関する。
【0012】
第3の態様において、本発明は、1つ又はそれ以上の生物活性成分並びにワックス及び/又はポリマー炭水化物を含む種子コーティング組成物の使用に関連し、ここで、前記種子コーティング組成物は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%又はそれ以下の量のワックス及び/又はポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーを有し、コーティングされた種子の架橋/凝集(bridging/clumping)を減少させ、及び/又はコーティングされた種子の摩擦係数を減少させること及び加工中の流動性を改善させることに関する。
【0013】
驚くべきことに、本発明の種子コーティング組成物は、活性成分の改善された生物有効性を与えることが見出された。活性成分は、所望の効果を発揮するために種子コーティングからより良好に放出され、良好な生物有効性を引き起こした。同時に、本発明の非従来の種子コーティング組成物は、驚くべきことに、例えば、水透過性、良好な耐摩耗性、短い乾燥時間、良好な流動能力及び植物能力、低凝集性、良好な化粧性及び/又は被覆性等の所望の種子コーティングの特徴を維持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、被覆ダイズ種子で測定された水中の疎水性殺虫剤の放出パターンを示す。
図2図2は、被覆コーン種子で測定された水中の疎水性殺虫剤の放出パターンを示す。
図3図3は、バイオアッセイのための第1葉のダイズ葉のサンプリング手順を示す。
図4図4は、種々のフィルムコートのダイズ葉ディスクの葉の消費量%を、未処理の種子及びPPPのみで処理した種子のものと比較して示す。
図5図5は、コーンバイオアッセイに用いた、葉の番号を示す。
図6図6は、異なるフィルムコートで処理されたコーンからの葉組織の葉消費量%を示す。
図7図7は、異なるフィルムコートで処理されたダイズからのダストオフ(dust-off)の値を示す。
図8図8は、コーンで試験した異なるフィルムコート製剤のダスト(g/100,000種子)を示す。
図9図9は、4分間のホイバッハ試験の後に測定されたコーンの摩耗スコアを示す(1:高い耐摩耗性、5:低い耐摩耗性)。
図10図10は、ダイズへのPPP及び従来のフィルムコートの添加による乾燥フローへの影響を示す。
図11図11は、異なるフィルムコートで処理した種子の最後の種子が漏斗から出るのに要した時間(流速(s/kg))を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願で使用される用語「種子」は、特に、裸子植物及び被子植物の熟成した胚珠を指すことの意味であり、これは、保護皮膜で囲まれた胚を含む。特に、この用語は、穀物粒を対象とする。保護皮膜は、種皮(seed coat)((種皮)testa)を含むことが出来る。いくつかの種子は、種皮の周りに果皮又はフルーツコート(fruit coat)を含む。特に、この層が穀物粒の核のように種子に密着している場合、いくつかのケースでは、穎果(caryopsis)又はそう果(achene)と呼ばれる。この出願において使用される際、用語「種皮(seed coat)」は、穎果又はそう果を含むことを意味する。特に、用語「種子」は、限定されないが、ペレット状の種子、真正種子(true seeds)、植物実生、根茎(rootstock)、再生可能及び植物形成組織、並びに塊根又は球根等、植物を産生するために農業において植え付けることが出来るものを含む。
【0016】
本出願で使用される用語「コーティング」は、原料を種子の表面に、例えば種子の周りに原料の層として塗布することを意味する。コーティングは、フィルムコーティング、ペレッティング、及びエンクラスティング又はそれら技術の組み合わせを含む。ペレッティングで得られたペレットは、種子錠剤(seed pill)としても知られている。コーティングは、層を形成するために、例えば種子の表面のほぼ90%又はそれ以上のように、種子の実質的に全面に施されることが好ましい。しかしながら、コーティングは、完全又は部分的であってもよく、例えば、種子の表面積の20%若しくはそれ以上、又は50%若しくはそれ以上であり得る。
【0017】
本出願で使用される用語「種子コーティング組成物」は、組成物、好ましくは水性組成物、を種子のコーティングに使用すること、あるいは、例えば植物保護製品製剤、水等の希釈液、栄養素、及び/又は有益な菌類又は細菌等の接種剤等の他の添加物と組み合わせた後に種子のコーティングに使用することを意味する。
【0018】
本出願で使用される用語「植物強化剤」は、例えば、植物、種子、又は真菌類、害虫及び昆虫等の植物に有害な生物上での生物効果を通じて、植物又は植物の種子にとって直接的又は間接的に有利である何れかの成分を指すことを意味する。植物強化剤は、植物保護製品、毒性緩和剤、生長促進剤、生長制御剤、及び同様のものを含む。
【0019】
種子は、例えば、農業作物の種子、野菜の種子、ハーブの種子、野生の花の種子、鑑賞植物の種子(ornamental seed)、イネ科牧草の種子(grass seed)、樹木の種子(tree seed)、又は低木の種子(bush seed)等の植物の種子である。
【0020】
好ましくは、植物の種子は、農業作物である。種子は、単子葉類の目又は双子葉類の目であり得る。適切な種子は、ダイズ、ワタ、コーン、ピーナッツ、メイズ、コムギ、オオムギ、オート、ライコムギ、マスタード、アブラナ(又はキャノーラ)、ヒマワリ、テンサイ、ベニバナ、キビ、チコリー、アマ、ナタネ、ソバ、タバコ、アサ種子、アルファルファ、シグナルグラス、クローバー、ソルガム、ヒヨコマメ、マメ、エンドウ、ベッチ、ライス、サトウキビ、及びアマ種子、の種子を含む。適切な野菜の種子は、アスパラガス、チャイブ、セロリ、リーク、ニンニク、ビートルーツ、ホウレンソウ、ビート、ケールキャベツ、カリフラワー、ブロッコリースプラウト、チリメンキャベル、ホワイトキャベツ、レッドキャベツ、コールラビ、ハクサイ、カブ、エンダイブ、チコリー、スイカ、メロン、キュウリ、ガーキン、マロー、パセリ、フェンネル、エンドウ、マメ、ラディッシュ、ブラックサルシフィー、ナス、スィートコーン、ポップコーン、ニンジン、タマネギ、トマト、コショウ、レタス、サヤインゲン、ククルビット、エシャロット、ブロッコリー、アブラナ属、メキャベツを含む。
【0021】
好ましくは、植物種子は、発芽することが出来る。あるいは、種子は殻(いわゆる殻をとった種子又は脱皮種子)を取り除かれてもよい。種子は、薬物刺激されてもよく、又は薬物刺激されていなくてもよい(発芽率を向上させる処理が施されている、例えば、オスモプライミング(osmopriming)、ハイドロプライミング(hydropriming)、マトリックスプライミング(matrix priming))。
【0022】
ワックス及び/又はポリマー炭水化物を除く種子コーティング組成物において、ポリマーバインダーの量は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の10%又はそれ以下であり得、好ましくは、ワックス及び/又はポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーの量は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の8%又はそれ以下、例えば6%又はそれ以下、4%又はそれ以下、2%又はそれ以下、又は1%又はそれ以下である。より好ましくは、種子コーティング組成物が、ワックス及び/又はポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーを本質的に含まない。これは、ワックス又はポリマー炭水化物又はワックスとポリマー炭水化物の組み合わせ以外に、本質的にポリマーバインダーが種子コーティング組成物中に存在しないことを意味する。微量であるが、例えば、ワックスとポリマー炭水化物を合わせて0.1%若しくはそれ以下、又は0.05%若しくはそれ以下の量等が存在する可能性がある。より好ましくは、種子コーティング組成物は、ワックス及び/又はポリマー炭水化物を除くポリマーバインダーを含まない。
【0023】
様々なポリマー炭水化物が存在する。その例は、デンプン、セルロース(及びその派生体)及びデキストリン(シクロデキストリンを含む)を含む。一実施形態において、ワックス及び/又はデンプン及び/又はセルロースを除く種子コーティング組成物中のポリマーバインダーの量は、ワックス及びポリマー炭水化物の総重量の10%又はそれ以下であり得、好ましくは、ワックス及び/又はデンプン及び/又はセルロースを除くポリマーバインダーの量は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の8%又はそれ以下であり、例えば、6%若しくはそれ以下、4%若しくはそれ以下、2%若しくはそれ以下、又は1%若しくはそれ以下である。さらなる実施形態において、ワックス及び/又はデンプンを除く種子コーティング組成物中のポリマーバインダーの量は、ワックス及びポリマー炭水化物の総重量の10%又はそれ以下であり得、好ましくは、ワックス及び/又はデンプンを除くポリマーバインダーの量は、ワックス及びポリマー炭水化物を合わせた総重量の8%又はそれ以下であり、例えば、6%若しくはそれ以下、4%若しくはそれ以下、2%若しくはそれ以下、又は1%若しくはそれ以下である。
【0024】
本発明によれば、前記種子コーティング組成物は、ワックス及びポリマー炭水化物の総重量(すなわち、種子コーティング組成物中のワックス及びデンプンの総計)の10~50%の量、好ましくは10~45%の量、より好ましくは20~40%の量のワックス及び/又はポリマー炭水化物を含むことが出来る。
【0025】
ワックスは、天然ワックス、ミネラルワックス及び合成ワックス又はそれら組み合わせからなる群から選択され得る。好ましくは、ワックスは、ポリエチレンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックス、セレシンワックス、オゾセライト、ピートワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、エチレンアクリル酸ワックス、ポリオレフィンワックス、エチレンビスステアルアミドワックス、ミツロウ(bees wax)、ラノリンワックス、サトウキビワックス、パームワックス、及び植物ロウ(vegetable wax)からなる群から選択される。2つ又はそれ以上のワックスの混合物が、本発明の種子コーティング組成物中に存在することも可能である。好ましい実施形態において、ワックスは、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、及びカルナウバワックスからなる群から選択される。ワックスは、アニオン性ワックス、非イオン性ワックス又はカチオン性ワックスであり得る。最も好ましくは、ワックスは、アニオン性又は非イオン性であり得る。種子コーティング組成物を、アニオン的に安定化された活性成分と組み合わせた場合、カチオン性ワックスは、凝集問題を引き起こす可能性がある。
【0026】
デンプンは、コーン/メイズ、ライス、タピオカ、及びポテトを含む植物ソース由来であり得る。限定されないが、加水分解、エステル化、エーテル化、架橋、グラフト化、酸化及びアセチル化又はこれらの組み合わせを含む、化学的/物理的プロセスによって改変された植物ソースから得られたデンプンの派生体もここでは考慮される。また、例えば、ワキシーメイズデンプン、難消化性デンプン及び他の物等の育種及び遺伝子改変によって改変されたデンプンを含む。
【0027】
セルロースは、植物ソース又はリサイクルされた材料由来であり得る。この実施形態において、エステル化及びエーテル化を用いて合成されたセルロース派生体も考慮される。加えて、植物材料由来のヘミセルロース及びその派生体が本明細書に含まれる。
【0028】
ワックス又はデンプン以外のポリマーバインダーが存在する場合、その後バインダーは、例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリウレタン、セルロース(エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシメチルプロピルセルロースを含む)、ポリビニルピロリドン、デキストリン、マルトデキストリン、ポリサッカライド(デンプン以外)、脂肪、オイル、タンパク質、アラビアゴム、シェラック、塩化ビニリデン、塩化ビニリデンコポリマー、リグノスルホネートカルシウム、ポリアクリレート、アクリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、ゼイン、カゼイン、ゼラチン、キトサン、プルラン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレンビニルアセテート、アクリルアミドポリマー、アクリルアミドコポリマー、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリミドモノマー(methylacrylimide monomers)、ポリ(N-ビニルアセトアミド)、アルギン酸ナトリウム、ポリクロロプレン及びシロップ、からなる群から選択され得る。これらバインダーは、単独又は1つ又はそれ以上を組み合わせて用いられ得る。好ましいバインダーは、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリサッカライド(デンプン以外)、タンパク質、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びポリアクリレートからなる群から選択され得る。
【0029】
種子コーティング組成物は、1つ又はそれ以上の活性成分(植物強化剤、特に植物保護製品(PPPsとも呼ばれる))を含む。活性成分、特に植物強化剤の適切な例は、殺真菌剤(fungicidal agent)、殺菌剤(bactericidal agent)、殺虫剤、殺線虫剤、殺軟体動物剤、生物学的製剤、ダニ駆除剤(acaricides)又は殺ダニ剤(miticides)、駆除薬(pesticides)、及び殺生物剤である。さらに、可能な活性成分は、消毒薬、微生物、殺齧歯動物剤(rodent killer)、除草剤(weed killer)(除草剤(herbicides))、誘引剤、(鳥)忌避剤、植物生長制御剤(例えば、ジベレリン、オーキシン又はサイトカイニン)、栄養(例えば、硝酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄キレート剤)、植物ホルモン、ミネラル、植物抽出物、発芽刺激剤、フェロモン、生物学的製剤等を含む。
【0030】
本発明によれば、1つ又はそれ以上の活性成分が、少なくとも1種の疎水性及び/又は水不溶性活性成分を含むことが好ましい。
【0031】
適用される活性成分の量は、当然、活性成分の種類及び使用される種子のタイプに強く依存する。通常、しかしながら、1つ又はそれ以上の活性成分の量は、種子1kgあたり0.001~200gの範囲である。当業者は、活性成分及び使用される種子のタイプに応じて、活性成分の適切な量を決定することが出来る。例えば、テクニカルデータシートを使用すること及び/又は推奨事項に従うこと等によって、活性成分の供給者(例えば、BASF、バイエル(Bayer)、シンジェンタ(Syngenta)、デュポン(DuPont)等)のアドバイスを用いること及び従うことは、当業者にとって当然なことである。
【0032】
典型的な殺真菌剤は、キャプタン(N-トリクロロメチル)チオ-4-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシイミド)、チラムテトラメチルチオペルオキシジカルボニックジアミド(Proseed(商標)として市販されている)、メタラキシル(メチル-N-(2,6-ジメチルフェニル)-N-(メトキシアセチル)d,l-アラニネート)、フルジオキソニル(4-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソル-4-イル)-1-H-ピロール-3-カルボニトリル; マキシム(Maxim)(商標)XLとしてのメフォノキサムとのブレンドで市販されている)、ジフェノコナゾール(ディバイデント(Dividend)(商標)3FSとして市販されている)、カルベンダジンイプロジオン(ロブラル(Rovral)(商標)として市販されている)、イプコナゾール(Aristaから、以前はAgriphar又はChemturaからRanconaとして市販されている)、メフォノキサム(アプロン(Apron)(商標)XLとして市販されている)、テブコナゾール、カルボキシン、チアベンダゾール、アゾキシストロビン、プロクロラズ、プロチオコナゾール(バイエルからレジゴ(Redigo)として市販されている)、セダキサン(シンジェンタからバイブランス(Vibrance)として市販されている)、シモキサニル(1-(2-シアノ-2-メトキシイミノアセチル)-3-エチルウレア)、フルジオキソニル、メタラキシルの混合物、シンジェンタのワキル(Wakil)として市販されているシモキサニル及びフルジオキソニル及びオキサジキシル(N-(2,6-ジメチルフェニル)-2-メトキシ-N-(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)アセタミド)を含む。殺真菌剤(fungicide)を、被覆種子の総重量の0.0001~10%の量で種子コーティング組成物に含めることが出来る。
【0033】
典型的な殺菌剤は、ストレプトマイシン、ペニシリン類、テトラサイクリン類、アンピシリン、及びオキソリン酸を含む。
【0034】
典型的な殺虫剤は、ピレスロイド類、有機リン酸塩類、カラモイルオキシム類、ピラゾール類、アミジン類、ハロゲン化炭化水素類、ネオニコチノイド類、及びカルバメート類及びその誘導体を含む。特に適したクラスの殺虫剤は、有機リン酸塩類、フェニルピラゾール類及びピレトイド類を含む。好ましい殺虫剤は、テルブフォス、クロルピリホス、フィプロニル、クロレトキシフォス、テフルトリン、カルボフラン、イミダクロプリド及びテブピリムフォスとして知られるものである。市販の殺虫剤は、イミダクロプリド(ガウチョ(Gaucho)(商標)として市販されている)、及びクロチアニジン(バイエルからポンチョ(Poncho)(商標)として市販されている)、チアメトキサム(シンジェンタからクルーザー(Cruiser)(商標)として市販されている)、チアクロプリドバイエルからソニド(Sonido)(商標)として市販されている)、シプメトリン(ケムチュラからランギス(Langis)(登録商標)として市販されている)、メチオカルブ(バイエルからメスロールとして市販されている)、フィプロニル(BASFからリージェント(商標)として市販されている)、クロラントラニリプロール(リナキシピル(rynaxypyr)、5-ブロモ-N-[4-クロロ-2-メチル-6 (メチルカルバモイル)フェニル]-2-(3-クロロピリジン-2-イル)ピラゾール-3カルボキサミドとしても知られ、デュポンからコラゲン(Coragen)(登録商標)として市販されている)及びシアントラニリプロール(シアジパル、3-ブロモ-1-(3-クロロ-2-ピリジニル)-4’-シアノ-2’-メチル-6’-(メチルカルバモイル)ピラゾール-5-カルボキサニリドとしても知られる)を含む。
【0035】
市販されている殺線虫剤は、アバメクチン(シンジェンタからアクティバ(商標)として市販されている)、チオジカルブ(バイエルからアエリス(商標)として市販されている)を含む。
【0036】
典型的な殺軟体動物剤は、メタアルデヒド(ロンザからメタ(登録商標)として市販されている)又はニクロサミド(バイエルからバイルスシドとして市販されている)、リナキシピル(Rynaxypir)(デュポンから市販されている)を含む。
【0037】
適した生物学的製剤の例は、桿菌、トリコデルマ(Trichoderma)、及び同様のものを含み、それは、植物を保護するため及び/又はそれらの健康及び/又は生産能力を高めるための種子処理原料として同定されている。
【0038】
これらのリストは網羅的ではない。新しい活性成分が連続的に開発されているが、それらも種子コーティング組成物に組み込むことが出来る。コーティング製剤は、多くの場合、包装され、貯蔵され及び/又は輸送され、その後、そのような植物強化剤の製剤とのみ組み合わせられる。
【0039】
本発明の種子コーティング組成物は、例えば湿潤及び分散添加剤(時にはピグメント分散剤とも呼ばれる)、フィラー、溶媒、増粘剤、着色剤、消泡剤、防腐剤、界面活性剤、滑剤及びエフェクトピグメント(effect pigment)、から選択される1つ又はそれ以上の組成物をさらに含み得る。
【0040】
コーティング組成物は、典型的に、1つ又はそれ以上の成分を適切なバインダー及び/又はワックスと混合し、包装し、貯蔵及び/又は輸送(transporting)することによって調製され、その後、植物強化剤の製剤とのみ、組み合わせられる。
【0041】
湿潤及び分散剤は、種子コーティング組成物中の無機粒子を混合することを助けることが出来る。適切な湿潤及び分散添加剤は、イオン性及び非イオン性製品を含み、及び有機変性ポリアクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリレートナトリウム、ポリウレタン、リン酸エステル、スターポリマー及び/又は変性ポリエーテルの溶液を含む。湿潤及び分散添加剤を、例えば、本発明の種子コーティング組成物のいくつかの実施形態において、無機粒子の総重量の0~40%、例えば0.10~10%の量で存在させることが出来る。
【0042】
適切な増粘剤は、アガー、カルボキシメチルセルロース、カラギーン、キチン質、フコイダン、ガッティ、アラビアゴム、カラヤ、ラミナラン、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸、グァーガム、キサンタンガム、ジウタンガム、並びにトラガカント、ベントナイト粘土、HEUR(疎水変性、エトキシル化ウレタン)増粘剤、HASE(疎水変性、アルカリ膨潤性エマルジョン)増粘剤及びポリアクリレートを含む。ガムは、低コスト、有用性及び得られるフィルムの物理的特性を高める優れた能力のために、一般的に好ましい。
【0043】
着色剤の例は、染料又はピグメント分散剤を含む。適切な染料の例は、アントラキノン、トリフェニルメタン、フタロシアニン及びその派生体、並びにジアゾニウム塩を含む。ピグメント分散剤は、例えば、ピグメントレッド112(CAS No. 6535-46-2)、ピグメントレッド2 (CAS No. 6041-94-7)、ピグメントレッド48:2(CAS No. 7023-61-2)、ピグメントブルー15:3(CAS No. 147-14-8)、ピグメントグリーン36(CAS No. 14302-13-7)、ピグメントグリーン7(CAS No. 1328-53-6)、ピグメントイエロー74(CAS No. 6358-31-2)、ピグメントオレンジ5(CAS No. 3468-63-1)、ピグメントバイオレット23(CAS No. 6358-30-1)、ピグメントブラック7(CAS No. 97793 37 8)、及びピグメントホワイト6(CAS No. 98084-96-9)等のピグメントを含む。着色剤は、種子コーティング組成物中に、種子コーティング組成物の総重量の0~50%、例えば1~10%の量で存在し得る。
【0044】
適切な消泡剤の例は、ポリエチレングリコール、グリセリン、ミネラルオイルデフォーマー、シリコンデフォーマー、並びに非シリコンデフォーマー(例えば、ポリエーテル、ポリアクリレート)、ジメチルポリシロキサン(シリコンオイル)、アリールアルキド変性ポリシロキサン、ヒュームドシリカを含むポリエーテルシロキサンコポリマーを含む。消泡剤は、種子コーティング組成物のいくつかの実施例において、種子コーティング組成物の総重量の少なくとも1重量ppm、又は0.1~0.3%の量で存在し得る。
【0045】
適切なエフェクトピグメントの例は、異なる粒子サイズの真珠光沢のピグメントを含む。粒子サイズが、15μm若しくはそれ以下、又は粒子サイズが、60μm若しくはそれ以下のエフェクトピグメントが、一般的に使用されている。エフェクトピグメントの粒子サイズは、通常200μm以下、このましくは100μm以下である。通常、エフェクトピグメントの粒子サイズは、1μm若しくはそれ以上である。他のエフェクトピグメントは、アルミニウムであり得る。全てのエフェクトピグメントは、種子上で美しい外観を作り出すために一般的に使用される。
【0046】
例えば保存される際に、種子に塗布される前に種子コーティング組成物の貯蔵寿命を延長する目的で、殺生物剤を、種子コーティング組成物のいくつかの実施形態において、保存剤等として含めることが出来る。適切な殺生物剤の例は、MIT(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン; CAS No. 2682 20-4)、BIT(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン; CAS No. 2632-33-5))、CIT(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、ブロノポール(2-ブロモ-2-ニトロ-プロパン-1,3-ジオール)及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0047】
一実施形態において、種子コーティング組成物は、WO-A-03/003812に記載されているように、種子に光反射外観を付与するために、不活性担体上(検出可能でなく、環境に対して、特に、存在量で、種子又は出芽植物に対して有害な影響を及ぼさない担体)に半透明ポリマーフィルムのフレークをさらに含む。好ましくは、半透明ポリマーフィルムは、光反射粒子を含む。
【0048】
種子コーティング組成物は、多くの場合、1つ又はそれ以上の溶媒をさらに含む。溶媒は、水、アルコール及び炭化水素からなる群から選択され得る。また、溶媒の混合物も使用することが出来る。溶媒は20℃及び1気圧で液体であることが好ましい。適切な溶媒の例は、グリセロール及びそれらのエステル及びエーテル、特に、エチレン及びプロピレングリコール及びそれらのエステル及びエーテル、例えば、C1-C6アルキル基及び/又は芳香族基を有するエステル及びエーテル、例えばモノエーテル及びジアルキルエーテルを含むメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル及びフェニルエーテル、並びにこれらエーテルのエステル、例えばアセテート、並びにエチレン及びプロピレングリコールエステル、例えば脂肪酸; 特に脂肪酸を有する、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール及びそのエステル; ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ポリエチレングリコール; Nメチルピロリドン、グリセリン、炭素原子数10までのアルキルアルコール、例えばエタノール、プロパノール及びブタノールを含む。他の溶媒の例は、ジプロピレングリコールメチルエーテル及びプロピレングリコールメチルエーテルを含む。重要な溶媒は、エチレングリコールである。さらに例は、プロピレンテトラマー及び合成エステルオイル、例えば乳酸エステル、特に乳酸エチル及び安息香酸エステル、例えばイソプロピル又は2-エチルヘキシルベンゾアートを含む。キシレン等の芳香族炭化水素、脂肪族及びパラフィン系溶媒及び植物オイルも溶媒として使用することが出来る。芳香族溶媒は、あまり好ましくない。
【0049】
種子コーティング組成物はまた、界面活性剤又は不凍剤等の可逆化効果を有する組成物を含み得る。一般的な界面活性剤は、両親媒性有機化合物を含み、一般的に、末端及び親水基として、分枝鎖、直鎖又は芳香族炭化水素、フルオロカーボン又はシロキサン鎖を含む。いくつかのタイプの界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性界面活性剤、並びにオルガノシリコーン及び有機フッ素界面活性剤を含む。界面活性剤のいくつかの例は、ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシプロピレンエーテル及びエステルを含み、特に、アルキル、アリール及びそれらのアルキルアリールエステル、このようなエーテルの硫酸塩、リン酸塩及びスルホン酸化合物、グルコシド(アルキル)エーテル、グリセロールエステル、例えばアルキル及び脂肪酸エステル、ソルビタン(アルキル)エステル、アセチレン化合物、コカミド化合物、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールのブロックコポリマーを含む。界面活性剤のさらなる例は、アルキルアミン塩及びアルキル第4級アンモニウム塩、例えば、ベタインタイプ界面活性剤、アミノ酸タイプ界面活性剤; 並びに多価アルコール、脂肪酸エステル、特にC12-C18脂肪酸、例えばポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、並びにスクロース、多価アルコールアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、並びにプロポキシル化及びエトキシル化化合物、例えば脂肪アルコールエトキシレート、ポリエトキシ化タローアミン及びアルキルフェノールエトキシレートを含む。アニオン性界面活性剤のいくつかの例は、カルボン酸、カルボン酸のコポリマー、硫酸塩、スルホン酸化合物及びリン酸塩、例えば、リグニンスルホン酸塩及び(直鎖)アルキルアリールスルホン酸塩を含む。
【0050】
凍結防止剤は、例えば: エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、及びグリセリンを含み、エチレングリコール及びプロピレングリコールであるグリコールが好ましい。
【0051】
本発明の種子コーティング組成物は、従来の方法で種子に塗布することが出来る。
【0052】
一実施形態において、種子コーティング組成物を塗布する前に、種子はまだ、例えばポリマー等のバインダーを含むレイヤー等の人工レイヤーが与えられていない。従って、種子コーティング組成物は、好ましくは、種子の天然の外面上に直接塗布される。それにもかかわらず、種子コーティング組成物を塗布する前に種子表面が表面処理されている可能性がある。このような表面処理は、人工レイヤーを設けることを必要としないが、種子の一部又は種子の表面全体の物理的変化又は改変を伴う可能性がある。例えば、表面処理は、例えば種子コートの選択的除去、種子コートの選択的変形、又はそれらの組み合わせによって、種子の表面の粗さを増加させることを含み得る。典型的には、処理は、種子表面上に微細な粗さを導入することを含み得る。また、種子表面にプライマーコーティングレイヤーの塗布等の種子表面に人工レイヤーを設けることを伴う表面処理を施すことも可能である。他の適した表面処理は、例えば、プラズマ表面処理、種子を研磨剤と接触させること、高温及び多湿風に曝すこと、火炎処理、レーザー処理、及び電子ビーム表面処理を含む。
【0053】
好ましくは、種子コーティング組成物は、液体組成物及び/又はラテックス組成物として塗布され、及びその後、固化(硬化及び/又は乾燥を含む)されて種子コーティングを形成する。本発明において使用される用語「液体コーティング組成物」は、懸濁、溶液、エマルジョン、又は分散液、好ましくはエマルジョン又は分散液の形態のコーティング組成物を含むことを意味する。
【0054】
種子をコーティングするために従来のコーティング方法を使用することが出来る。種々のコーティング装置が当業者に利用可能である。いくつかの周知技術には、ドラムコーター、流動層技術(fluidised bed techniques)、ロータリーコーター(一体乾燥有り及び無し)( rotary coaters (with and without integrated drying))、及び噴流層(spouted beds)の使用を含む。適切には、種子コーティング組成物は、ロータリーコーター、ロータリードライコーター、パンコーター又は連続処理装置によって種子に塗布される。
【0055】
典型的には、種子に塗布される種子コーティング組成物の量は、種子1kg当たり0.5~50g、例えば種子1kg当たり1~40g、種子1kg当たり2~35g、又は種子1kg当たり3~30gの範囲であり得る。
【0056】
種子コーティング組成物は、例えば、種子コーティング組成物のフィルムコーティング、噴霧、浸漬、又はブラッシングによって塗布され得る。任意で、-25℃~50℃の温度、例えば-5℃~35℃、大抵15℃~30℃の温度、例えば18℃~25℃等の室温で塗布される。好ましくは、種子コーティング組成物は、フィルムコーティングによって種子に塗布される。フィルムコーティングは、典型的には、種子がコーティング装置を通って落下又は流れる間に、液体コーティング組成物を種子上に噴霧することによって塗布され得る。好ましくは、この方法は、種子コーティング組成物をフィルムコーティング組成物の形態で塗布するために種子のフィルムコーティングを含む。
【0057】
種子コーティングは、通常、種子の表面上にしっかりと接着する透湿性コーティングを形成することを含む。このプロセスは、典型的には、植え付け前に液体種子コーティング組成物を種子に塗布することを含む。
【実施例0058】
実施例1
フィルムコーティング配合物を表1に従って調製した。52.7重量%の疎水性殺虫剤及び47.3重量%の殺真菌剤からなるPPP(植物保護製品)カクテルを使用した。ダイズ種子を、43.1重量%のPPPカクテルのスラリー、43.3重量%のフィルムコーティング製剤及び13.6重量%のカラーコートレッド(BASFから得たピグメント濃縮物)を用いコートした; 塗布量は、種子1kg当たり5.5gであり、種子1kg当たり2.38gのフィルムコーティング製剤が塗布された。標準試料は、ダイズ種子を、43.1重量%のPPPカクテル、43.3重量%の水及び13.6重量%のカラーコートレッドからなるスラリーを用いコートすることにより調製した。
【0059】
表1: フィルムコーティング製剤の組成
【表1】
【0060】
被覆ダイズ種子からの水中の疎水性殺虫剤の放出を以下のプロトコルに従って測定した。6個の処理ダイズ種子を20mlの脱イオン水を入れたプラスチック遠心管に入れた。1時間後、水を種からデカントし、LCMS分析のために採取し、及び種子を含む遠心管内で20mlのきれいな脱イオン水と交換した。同じ手順を2、3、4、24及び48時間後に繰り返した。48時間の水試料を採取した後、種子を10mlのアセトニトリル(AcN)に浸漬して残留活性成分を抽出し、全ての溶媒を蒸発させた。液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)分析を、1、2、3、4、24、48時間及びAcN抽出試料で実施した。バイアルに2 mlのアセトニトリル(0.1 vol%トリフルオロ酢酸を含む)を加え、40℃で30分間振盪して試料を調製した。続いて、2mlの脱イオン水(0.1vol%のトリフルオロ酢酸を含む)を加え、総試料ボリューム4mlを得た。これらの試料を40℃でさらに30分間振盪し、その後0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した。
【0061】
図1は、被覆ダイズ種子で測定された水中の疎水性殺虫剤の放出パターンを示す。図1に示す水中の疎水性殺虫剤の放出パターンは、フィルムコート液を用いずにコーティングされた標準ダイズ種子試料が最も速い放出プロフィールを示したことを表す。ポリビニルアセテートバインダーをベースとするフィルムコートAのような標準的なフィルムコート製剤を使用すると、活性成分が放出されなかった。フィルムコートB製剤は、高含有量のワックスに基づいて、放出試験の終了時に種子上の水中での活性物質の早い放出と、残留疎水性殺虫剤の低下をもたらした。
【0062】
実施例2
フィルムコーティング製剤を、表2及び3に従って調製した。45.2重量%の疎水性殺虫剤、47.3重量%の殺虫剤及び7.5重量%の殺真菌剤からなるPPPカクテルを使用した。コーン種子を、46.3重量%のPPPカクテル、2.7重量%のカラーコートレッド(BASFから得たピグメント濃縮物)、19.4重量%のフィルムコーティング製剤、及び31.6重量%の水のスラリーでコーティングした; 塗布量は、種子1kg当たり16.5gであり、種子1kg当たり3.20gのフィルムコーティング製剤が塗布された。
【0063】
表2: フィルムコート製剤の組成
【表2】
【0064】
表3: フィルムコート製剤の組成
【表3】
【0065】
処理されたコーン種子からの水中の疎水性殺虫剤の放出パターンを、実施例1に記載した同じプロトコルに従い、試験当たり6個の被覆コーン種子を用いて特徴付けた。
【0066】
図2は、被覆コーン種子で測定された水中の疎水性殺虫剤の放出パターンを示す。図2に示される被覆コーン種子からの水中の疎水性殺虫剤放出パターンは、フィルムコート製剤を用いずに実施されたスラリー処理が、水中での活性物質の高い放出速度を可能にすることを再び示す。スチレンアクリレートバインダーをベースとするフィルムコートD等のフィルムコート製剤を使用する場合、放出は相当に遅延した。より低いバインダー/ワックス比をベースとするフィルムコートEは、水中に活性物質の放出を促した一方、高いワックス含有量及びバインダーを含まないことをベースとするフィルムコートBは、フィルムコート製剤の非存在下で得られたものと同様に、種子上のより高い放出速度及び活性成分の残留量を得ることを可能にした。
【0067】
実施例3
ダイズバイオアッセイは、51%の沈泥、29%の粘度及び20%の砂からなる土壌混合物中に、処理当たり12個の種子を植えることによって実施した。植物を約20~25℃で生育させ、1日当たり12時間光に暴露し、毎日給水し、及び1週間に1回肥料を与えた。それぞれ関連する三つ葉(第1から第4)において、合計8枚の葉を、植物1つにつき1つの葉のみを切り取ることで、葉の基部で各処理タイプのために取った。図3は、バイオアッセイのための第1葉のダイズ葉のサンプリング手順を示す。葉は、25℃の密閉トレイ中で直径22mmの1つのダイズ葉に1つのダイズルーパー(Pseudoplusia includens)を置くことによってバイオアッセイし、葉の材料上で4日間飼育することが出来た。その際、葉の消費量及び昆虫の死亡率は各試料で記憶され、ここで各データポイントは、同じ処理の葉8枚の平均である。
【0068】
図4は、種々のフィルムコートのダイズ葉ディスクの葉の消費量%を、未処理の種子及びPPPのみで処理した種子のものと比較して示す。未処理種子のポジティブコントロールは、高い葉の消費及び不十分な昆虫防除を示し、一方、PPPで処理された種子のネガティブコントロールは、葉の消費量が少なく、昆虫防除が良好であることのみを示す。放出データを反映して、フィルムコートAは、比較的高い葉の消費量を示し、植物に活性物質をうまく取り込ませることが出来ず、殺虫活性で保護することが出来ない。ワックス(B及びF)を含み、バインダー(C)としてデンプンも含有するフィルムコートは全て、PPP単独種子と同様の低い葉消費量を示す。フィルムコートBは、活性物質を取り込むことに最も効果的であることが明らかであり、従って、昆虫を防除すること、葉の消費量を4番目の三つ葉までで10%以下に保つことに最も効果的であることが明らかである。
【0069】
実施例4
コーンバイオアッセイは、51%の沈泥、29%の粘度及び20%の砂からなる土壌混合物中に、処理当たり4個の種子を植えることによって実施した。植物を約20~25℃で生育させ、1日当たり12時間光に暴露し、毎日給水した。植物生長の典型的な期間は、播種からバイオアッセイのための葉の切り取り(clipping)まで3週間であった。第3及び第4の葉は、第5の葉が依然として輪生(whorl)の中にあった成長段階で切り取られた。図5に示すように、葉に番号を付けた。3枚目の葉を基部から3cmで切り取り及びバイオアッセイように2つの断片(試料1及び2)にさらに分けた。第4葉は基部で切り取られ、図5に示すようにさらに2つの部分に切断された。各処理について、3つの植物からの葉を1回の処理につき合計12試料を採取した。次いで、各試料(4.5cm切片)を別個のバイオアッセイトレイに入れ、一匹のツマジロクサヨトウ(fall armyworm (Spodoptera frugiperda))の第2虫齢幼虫を各トレイに導入した。次いで、トレイを密封し、25℃で4日間静置した。4日後、各処理(12試料)の葉の消費量%を平均して、種々の処理にわたっての有効性を比較した。
【0070】
図6は、異なるフィルムコートで処理されたコーンからの葉組織の葉消費量%を示す。葉の消費量が少ないほど、活性成分を放出する際のコーティングの有効性が高くなり、それによってより良好な昆虫防除につながる。未処理のコーン種子から葉組織をネガティブコントロールとして試験し、非常に高い葉の消費をもたらした。フィルムコートを有しない活性物質は、容易に活性物質を放出し、植物による取り込みを向上することができるという事実のために、ポジティブコントロールとして試験された。試験したフィルムコートのうち、フィルムコートBは、ポジティブコントロールに匹敵する優れた生物有効性を提供し、その後にフィルムコートGが続いた。これらのフィルムコートにおける高いワックス含量は、コーティングからの活性物質のより速い放出をもたらし、植物によるより良好な取り込みをもたらした。さらに、高いワックスをベースにしたコーティングに対して、水溶性バインダーフィルムコートCをベースにしたコーティングは、水中でのフィルムコートCのより良好な溶解性のために10%未満の葉の消費を示し、活性成分のより早い放出をもたらした。
【0071】
実施例5
活性成分の取り込みを促進することに加えて、新しいフィルムコートはまた、ダイズによって生産されるダストオフ(dust-off)の量を低減することが出来る。100グラムの種子を2分間ホイバッハ(Heubach)試験に2回供し、その結果を平均して100,000種子当たりのダストオフの総量とした(図7)。ダイズの場合において、未処理種子は100,000種子当たり約0.14897gのダストオフを放出し、これは種子がPPP単独又は従来のフィルムコートAで処理された際に、約4倍減少させることが出来る。しかしながら、ワックスをベースにしたフィルムコートB及びフィルムコートFの使用は、PPP単独処理種子のダストよりもさらに、それぞれ4.5倍及び2倍の減少をもたらす。デンプンをベースにしたフィルムコートCはまた、PPP単独処理種子よりも1.5倍ダストの減少を可能にする。
【0072】
実施例6
注意深く扱われない場合、活性物質及び他の増強物質(enhancement)で被覆された種子は、大量の種子の取り扱い及びプロセッシング中に有害なレベルのダストをもたらす。フィルムコーティングの主目的の1つは、活性物質を種子に保持させること、操作中にダストを減少させることである。生物有効性を改善することに加えて、フィルムコートはまた、ダストの減少及び耐摩耗性についても試験された。フィルムコートで処理したコーンのダスト及び摩耗データを、業界標準に従って得た。特定量の種子をホイバッハ装置に入れ、4分間試験した。濾紙上に集められたダストを重量測定し、異なるフィルムコート配合物を評価した。
【0073】
図8は、コーンで試験した異なるフィルムコート製剤のダスト(g/100,000種子)を示す。フィルムコートBは、PPP単独と比較して約75%低いダストを示した。フィルムコートDは同様の性能を示し、これは、ダストレベルを含有することで良く知られているアクリレートベースのバインダーシステムを含むこととして予想された。フィルムコートE、F及びGは、すべて高ワックス含量をベースにしており、統計学的に同様のダストレベルを示し、ダストをPPP単独よりも約60~65%減少させた。
【0074】
ホイバッハ装置でのダスト実験の後、コーン種子の摩耗が肉眼で観察された。磨耗スコアは、業界での取り扱い条件を厳密にシミュレートする、ホイバッハ装置で4分間共した後の種子品質の視覚的定量化である。磨耗スコアは、1(高耐摩耗性/良質の種)から5(低耐摩耗性/低品質の種)に割り当てられた。全てのフィルムコート製剤は、2~2.5の摩耗スコアを示した一方、PPPのみ /フィルムコートなしの種子は高い摩耗及び種子品質不良を示した。図9は、4分間のホイバッハ試験の後に測定されたコーンの摩耗スコアを示す(1:高い耐摩耗性、5:低い耐摩耗性)。
【0075】
実施例7
種子の乾燥速度は、フィルムコートを選択する際に考慮されるもう1つの重要な特徴である。乾燥速度は、綿指示薬を用いて確認する。被覆種子は、コーターから出た後、平らなトレイに集められ、タイマーを作動させる。毎回種子トレイで新しい種子の表面に未使用の綿指示薬を置くことによって、乾燥が5~10秒毎に確認される。種子からの綿指示薬に色移りの兆候がない瞬間にタイマーが止められ、時間が記録される。
【0076】
種子の凝集/架橋は、コーターから出てくる湿った種子が貯蔵ホッパーに集められ、次の種子によって詰められたときに起こる。これは、装置のブロッキング、労力及び時間の観点から種子処理施設に課題(challenge)を提示する。この実施形態において記載されたフィルムコートは、より速い乾燥時間及び凝集を最小限に抑えることを示す。
【0077】
新しいフィルムコートは、ダイズの乾燥時間、粘着性(tack)、及び凝集を最小限に抑える。従来のフィルムコートA及びPPP単独処理種子の使用は、より長い乾燥時間、コーターを出る際の目立つ粘着性、及び1kg重量の下で5分間静置した後の凝集をもたらす。新しいフィルムコートは、顕著に速い乾燥時間、コーターを出る際の粘着性の減少、及び一緒に凝集することの排除を可能にする(表4)。
【0078】
表4: ダイズでのフィルムコートの乾燥時間、粘着性及び凝集の比較
【表4】
【0079】
ダイズの乾燥フローは、1kgの種子が漏斗を通過するのに要した時間として測定した。典型的に、ダイズへのPPP及び従来のフィルムコートの添加は、種子の流れを相当に遅くし(図10)、これは所望の特性ではない。実際には、フィルムコートAをダイズ種子に添加すると、未処理の種子と比較して1秒以上の流れが減少した。新しいフィルムコートB、C及びFは、流れ時間を効果的に大幅に減少させ、未処理の種子とほとんど同じ速度で流すことが可能である。
【0080】
実施例8
種子の乾燥速度は、フィルムコートを選択する際に考慮されるもう1つの重要な特徴である。乾燥速度は、綿指示薬を用いて確認する。被覆種子は、コーターから出た後、平らなトレイに集められ、タイマーを作動させる。毎回種子トレイで新しい種子の表面に未使用の綿指示薬を置くことによって、乾燥が5~10秒毎に確認される。種子からの綿指示薬に色移りの兆候がない瞬間にタイマーが止められ、時間が記録される。
【0081】
種子の凝集/架橋は、コーターから出てくる湿った種子が貯蔵ホッパーに集められ、次の種子によって詰められたときに起こる。これは、装置のブロッキング、労力及び時間の観点から種子処理施設に課題を提示する。この実施形態において記載されたフィルムコートは、より速い乾燥時間及び凝集を最小限に抑えることを示す。
【0082】
表5: コーン種子での乾燥時間、粘着性及び凝集の比較
【表5】
【0083】
処理された/被覆種子の流れは、種子処理施設並びに農園において、プランターを通過する際に重要である。種子間の摩擦を低くすることは、種々の段階での効率が良い。フロー剤又はスリップ剤をフィムコート製剤に組み込むことによって、流れが典型的に改善される。フロー剤は、典型的には摩擦を低下させ、種子の外観を改善するワックスをベースにした添加剤である。処理した種子の流れの試験のため、1kgの種子を、ストッパーを備えた漏斗に入れる。ストッパーを開けてタイマーを同時にスタートさせる。最後の種子が漏斗から出るのに要した時間は、流速(s/kg)として記録される。結果を、図11に示すと共に本発明による被覆種子の改善された流動特性を説明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【外国語明細書】