(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069528
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】抗APOC3抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220428BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20220428BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220428BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220428BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220428BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220428BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220428BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220428BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220428BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20220428BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220428BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220428BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/366 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20220428BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20220428BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/18 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 P
A61P3/06
A61P9/00
A61P9/10 101
A61P9/10
A61K45/00
A61K31/12
A61K31/40
A61K31/404
A61K31/366
A61K31/47
A61K31/505
A61K39/395 N
A61K31/397
A61K45/06
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022036090
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2020524201の分割
【原出願日】2018-10-31
(31)【優先権主張番号】62/579,449
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519005473
【氏名又は名称】スターテン・バイオテクノロジー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ダシルヴァ-ジャーディン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・デ・ハールト
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、血漿トリグリセリドを低下させるために改善された治療法を提供することである。
【解決手段】本発明は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能に拮抗する抗体を提供する。これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらの抗体を使用して対象を治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含む重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIHTX1X2GGTAYRDSVKG(式中、X1が、G、E、またはDであり、X2が、GまたはAである)(配列番号87)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、AGYSD(配列番号10)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSXGKTYFY(式中、Xが、DまたはGである)(配列番号88)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AXGTYYPHT(式中、Xが、QまたはHである)(配列番号8のアミノ酸配列を含み、
前記抗体の前記CDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号3、9、10;3、11、10;3、9、12;または3、11、12ではない、単離された抗体。
【請求項2】
CDRH2が、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)、またはSIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
CDRL1が、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)またはKTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
CDRL3が、AHGTYYPHT(配列番号14)またはAQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項5】
前記CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が、それぞれ、配列番号3、36、10、6、7、および14;3、37、10、40、7、および14;3、38、10、40、7、および14;3、38、10、6、7、および14;3、39、10、6、7、および14;または3、37、10、40、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項6】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号42~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体。
【請求項7】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号54~65からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗体。
【請求項8】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域が、それぞれ、配列番号42および54、43および55、44および56、45および57、46および58、46および54、47および58、47および54、48および58、48および54、49および59、49および60、50および59、50および60、51および61、52および62、53および62、43および63、44および64、または45および65に示されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項9】
前記抗体が、ヒト化抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項10】
前記抗体が、ヒト定常領域をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項11】
前記定常領域が、野生型ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域のバリアントであり、前記バリアントヒト免疫グロブリン重鎖定常領域が、pH6でヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する前記野生型ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域の親和性と比較して、pH6でヒトFcRnに対する増加した前記親和性を有する、請求項10に記載の単離された抗体。
【請求項12】
前記定常領域が、ヒトIgGの重鎖定常領域である、請求項10または11に記載の単離された抗体。
【請求項13】
前記定常領域が、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4の重鎖定常領域である、請求項12に記載の単離された抗体。
【請求項14】
前記定常領域が、それぞれ、EU位置433、434、および436でアミノ酸K、F、およびYを含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項15】
前記定常領域が、それぞれ、EU位置252、254、および256でアミノ酸Y、T、およびEを含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項16】
前記定常領域が、それぞれ、EU位置428および434でアミノ酸LおよびSを含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項17】
前記定常領域が、配列番号22~24、76~78、および81~86からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項18】
配列番号66~73からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項19】
配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項20】
重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖および前記軽鎖が、それぞれ、配列番号66および74、67および74、68および74、69および74、70および74、71および74、72および74、または73および74に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項21】
前記ApoC3が、ヒトApoC3である、請求項1~20のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体の前記重鎖可変領域および/または前記軽鎖可変領域をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項24】
請求項23に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項25】
請求項23に記載のポリヌクレオチドまたは請求項24に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項26】
請求項25に記載の宿主細胞を、前記抗体の発現を可能にする条件下で培養することを含む、ApoC3に結合する抗体を産生するための方法。
【請求項27】
対象におけるApoC3の活性を阻害するための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
対象の血中トリグリセリドレベルを低下させるための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項29】
対象における食後脂肪血症を阻害するための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項30】
対象における高トリグリセリド血症を治療するための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項31】
対象におけるカイロミクロン血症を治療するための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項32】
高トリグリセリド血症を伴う対象における心血管疾患のリスクを軽減するための方法であって、前記対象に、有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体または医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記心血管疾患が、心筋梗塞である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記心血管疾患が、狭心症である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記心血管疾患が、脳卒中である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記心血管疾患が、アテローム性動脈硬化症である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体が、前記対象の血液中のカイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントのレベルを低下させる、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が、追加の脂質低下剤を受けている、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記追加の脂質低下剤が、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記HMG-CoAレダクターゼ阻害剤が、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記追加の脂質低下剤が、PCSK9阻害剤である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記PCSK9阻害剤が、アリロクマブ、エボロクマブ、またはボコシズマブである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記追加の脂質低下剤が、エゼチミブである、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記追加の脂質低下剤が、エゼチミブおよびHMG-CoAレダクターゼ阻害剤の組み合わせである、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記追加の脂質低下剤が、エゼチミブ、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、およびPCSK9阻害剤の組み合わせである、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/579,449号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体およびその使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血中トリグリセリドレベルの上昇(高トリグリセリド血症)は、アテローム性動脈硬化症の原因因子であり、心血管系死亡、狭心症、心筋梗塞、および脳卒中などの心血管系イベントのリスクを高める。
【0004】
ApoC3は、非常に高濃度(10μMを超える)で血中を循環するタンパク質であり、ほとんどがトリグリセリドリッチリポタンパク質(TRL)、TRLレムナント、および高密度リポタンパク質に結合する。ApoC3は、血中トリグリセリドレベルの重要な調節因子であると思われる。例えば、ヒトにおけるApoC3レベルは、血中トリグリセリドレベルと正の相関があることが示されており、ApoC3レベルの上昇は、高トリグリセリド血症に関連する。さらに、ApoC3は、リポタンパク質リパーゼ(TRLのトリグリセリドを加水分解する酵素)の活性を阻害し、TRLレムナントの肝臓への取り込みも阻害し、これらの両方が、血中トリグリセリドレベルの上昇を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2014/131008
【特許文献2】WO2018/193427
【特許文献3】WO2018/007999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの治療法は、フィブラート、ナイアシン、およびオメガ-3脂肪酸などの高トリグリセリド血症の治療に承認されている。しかしながら、これらの治療法は、血漿トリグリセリドを低下させるのに多少有効的であるのみである。したがって、血漿トリグリセリドを低下させるために改善された治療法が当該技術分野で必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能を阻害する抗体を提供する。これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらの抗体を使用して対象を治療する方法も、提供される。
【0008】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、肝細胞によるTRLの取り込みを阻害するApoC3の能力を弱めることができ、対象に投与されると、ApoC3およびApoBの血清レベルを急速かつ持続的に低下させることができる。したがって、開示された抗ApoC3抗体は、高トリグリセリド血症および関連疾患(例えば、心血管疾患および膵炎)の治療および予防に有用である。
したがって、一態様では、本開示は、pH7.4で第1の解離定数(KD)で、pH5.5で第2のKDでApoC3に特異的に結合する単離された抗体を提供し、第2のKDと第1のKDの比率は、少なくとも約5、10、20、または50である。特定の実施形態では、第1のKDは、10、5、2、1、0.5、0.2、または0.1nM未満である。特定の実施形態では、ApoC3を発現するマウスにおける抗体の半減期は、少なくとも約3、7、14、21、または28日間である。
【0009】
特定の実施形態では、抗体は、ApoC3が超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞の取り込みを阻害する能力を弱める。特定の実施形態では、抗体は、対象の血液からのApoC3のクリアランス速度を増加させることができる。特定の実施形態では、抗体は、対象の血液からのApoBのクリアランス速度を増加させることができる。特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoC3のレベルを低下させることができる。特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoC3のレベルを少なくとも2週間、少なくとも40%低下させることができる。特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoBのレベルを低下させることができる。特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoBのレベルを少なくとも2週間、少なくとも20%低下させることができる。特定の実施形態では、抗体は、対象における食後脂肪血症を阻害することができる。特定の実施形態では、抗体は、脂質結合ApoC3に結合することができる。
【0010】
特定の実施形態では、抗体は、配列番号2に示されるアミノ酸配列内のエピトープに結合する。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、8、または10位に少なくとも1つのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の5位および6位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、および8位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の10位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の6、8、および10位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の6位および8位にアミノ酸を含む。
【0011】
特定の実施形態では、抗体(例えば、ヒト化抗体)は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIHTX1X2GGTAYRDSVKG(式中、X1が、G、E、またはDであり、X2が、GまたはAである)(配列番号87)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、AGYSD(配列番号10)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSXGKTYFY(式中、Xが、DまたはGである)(配列番号88)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AXGTYYPHT(式中、Xが、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含み、任意に、抗体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3が、それぞれ、配列番号3、9、10;3、11、10;3、9、12;または3、11、12ではない。
【0012】
特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)、またはSIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL1は、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)またはKTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL3は、AHGTYYPHT(配列番号14)またはAQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む。
【0013】
特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、配列番号3、36、10、6、7、および14;3、37、10、40、7、および14;3、38、10、40、7、および14;3、38、10、6、7、および14;3、39、10、6、7、および14;または3、37、10、40、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号42~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号54~65からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号42および54、43および55、44および56、45および57、46および58、46および54、47および58、47および54、48および58、48および54、49および59、49および60、50および59、50および60、51および61、52および62、53および62、43および63、44および64、または45および65に示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
特定の実施形態では、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIX1TDGGGTAYRDSVKG(式中、X1が、SまたはHである)(配列番号4)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3は、X2GYSD(式中、X2が、AまたはHである)(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AX3GTYYPHT(式中、X3が、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含み、
式中、X1、X2、およびX3のうちの少なくとも1つが、Hである。
【0015】
特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、配列番号3、11、10、6、7、および13;3、9、12、6、7、および13;3、9、10、6、7、および14;3、11、10、6、7、および14;3、9、12、6、7、および14;3、11、12、6、7、および13;または3、11、12、6、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号16~18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号16および19、17および19、18および19、15および20、16および20、17および20、または18および20に示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含む、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIHTX1X2GGTAYRDSVKG(式中、X1が、G、E、またはDであり、X2が、GまたはAである)(配列番号87)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、AGYSD(配列番号10)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSXGKTYFY(式中、Xが、DまたはGである)(配列番号88)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AXGTYYPHT(式中、Xが、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含む。
【0017】
特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)、またはSIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL1は、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)またはKTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL3は、AHGTYYPHT(配列番号14)またはAQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、配列番号3、36、10、6、7、および14;3、37、10、40、7、および14;3、38、10、40、7、および14;3、38、10、6、7、および14;3、39、10、6、7、および14;または3、37、10、40、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、抗体は、配列番号42~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0019】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、抗体は、配列番号54~65からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0020】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号42および54、43および55、44および56、45および57、46および58、46および54、47および58、47および54、48および58、48および54、49および59、49および60、50および59、50および60、51および61、52および62、53および62、43および63、44および64、または45および65に示されるアミノ酸配列を含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含む、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体を提供し、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIX1TDGGGTAYRDSVKG(式中、X1が、SまたはHである)(配列番号4)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3は、X2GYSD(式中、X2が、AまたはHである)(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AX3GTYYPHT(式中、X3が、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含み、
式中、X1、X2、およびX3のうちの少なくとも1つが、Hである。
【0022】
特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、配列番号3、11、10、6、7、および13;3、9、12、6、7、および13;3、9、10、6、7、および14;3、11、10、6、7、および14;3、9、12、6、7、および14;3、11、12、6、7、および13;または3、11、12、6、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体を提供し、抗体は、配列番号16~18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0024】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体を提供し、抗体は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0025】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体を提供し、抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号16および19、17および19、18および19、15および20、16および20、17および20、または18および20に示されるアミノ酸配列を含む。
【0026】
前述の態様のいずれか1つの特定の実施形態では、抗体は、ヒトまたはヒト化定常領域をさらに含む。特定の実施形態では、定常領域は、野生型ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域のバリアントであり、バリアントヒト免疫グロブリン重鎖定常領域は、pH6でヒトFcRnに対する野生型ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域の親和性と比較して、pH6でヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する増加した親和性を有する。特定の実施形態では、定常領域は、ヒトIgGの重鎖定常領域である。特定の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4の重鎖定常領域である。
【0027】
特定の実施形態では、定常領域は、それぞれ、EU位置433、434、および436でアミノ酸K、F、およびYを含む。特定の実施形態では、定常領域は、それぞれ、EU位置252、254、および256でアミノ酸Y、T、およびEを含む。特定の実施形態では、定常領域は、それぞれ、EU位置428および434でアミノ酸LおよびSを含む。特定の実施形態では、定常領域は、配列番号22~24、76~78、および81~86からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0028】
特定の実施形態では、単離された抗体は、配列番号66~73からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、単離された抗体は、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、単離された抗体は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖および軽鎖は、それぞれ、配列番号66および74、67および74、68および74、69および74、70および74、71および74、72および74、または73および74に示されるアミノ酸配列を含む。
【0029】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0030】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に開示される発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0031】
別の態様では、本開示は、ApoC3に結合する抗体を産生するための方法を提供し、本方法は、本明細書に開示される宿主細胞を、抗体の発現を可能にする条件下で培養することを含む。
【0032】
別の態様では、本開示は、対象におけるApoC3の活性を阻害するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む。別の態様では、本開示は、対象の血液中のトリグリセリドレベルを低下させるための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む。別の態様では、本開示は、対象における食後脂肪血症を阻害するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む。別の態様では、本開示は、対象における高トリグリセリド血症を治療するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む。別の態様では、本開示は、対象におけるカイロミクロン血症を治療する方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む。
【0033】
別の態様では、本開示は、高トリグリセリド血症に罹患している対象における心血管疾患のリスクを軽減するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、心血管疾患は、心筋梗塞である。特定の実施形態では、心血管疾患は、狭心症である。特定の実施形態では、心血管疾患は、脳卒中である。特定の実施形態では、心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症である。
【0034】
治療方法に関する前述の態様の特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のカイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントのレベルを低下させる。特定の実施形態では、対象は、追加の脂質低下剤を受けている。特定の実施形態では、追加の脂質低下剤は、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤である。特定の実施形態では、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンまたはシンバスタチンである。特定の実施形態では、追加の脂質低下剤は、PCSK9阻害剤である。特定の実施形態では、PCSK9阻害剤は、アリロクマブ、エボロクマブ、またはボコシズマブである。特定の実施形態では、追加の脂質低下剤は、エゼチミブである。特定の実施形態では、追加の脂質低下剤は、エゼチミブおよびHMG-CoAレダクターゼ阻害剤の組み合わせである。特定の実施形態では、追加の脂質低下剤は、エゼチミブ、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、およびPCSK9阻害剤の組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】5E5WT(
図1A)、5E5VH5_VL8(
図1B)、および5E5VHWT_VL8(「VL8」)、5E5VH12_VLWT(「VH12」)、5E5VH5_VLWT(「VH5」)、および5E5VH5_VL8(「VH5_VL8」)(
図1C)抗体は、ApoC3がHepG2細胞による超低密度リポタンパク質(VLDL)の取り込みを阻害する能力を弱めたことを示す一連のグラフである。HepG2細胞を、DiI VLDLでインキュベートし、示されるように、単独でまたは抗ApoC3抗体の存在下のいずれかでApoC3を精製した。HepG2細胞によって摂取されたDiI VLDLは、DiI色素の蛍光分光法によって測定された。DiI VLDLのみ(「VLDL」)でインキュベートしたHepG2細胞は、陽性対照として機能し、DiI VLDLでインキュベートし、ApoC3を精製したHepG2細胞は、抗ApoC3抗体(「ApoC3」)の非存在下で陰性対照として機能した。
【
図1B】5E5WT(
図1A)、5E5VH5_VL8(
図1B)、および5E5VHWT_VL8(「VL8」)、5E5VH12_VLWT(「VH12」)、5E5VH5_VLWT(「VH5」)、および5E5VH5_VL8(「VH5_VL8」)(
図1C)抗体は、ApoC3がHepG2細胞による超低密度リポタンパク質(VLDL)の取り込みを阻害する能力を弱めたことを示す一連のグラフである。HepG2細胞を、DiI VLDLでインキュベートし、示されるように、単独でまたは抗ApoC3抗体の存在下のいずれかでApoC3を精製した。HepG2細胞によって摂取されたDiI VLDLは、DiI色素の蛍光分光法によって測定された。DiI VLDLのみ(「VLDL」)でインキュベートしたHepG2細胞は、陽性対照として機能し、DiI VLDLでインキュベートし、ApoC3を精製したHepG2細胞は、抗ApoC3抗体(「ApoC3」)の非存在下で陰性対照として機能した。
【
図1C】5E5WT(
図1A)、5E5VH5_VL8(
図1B)、および5E5VHWT_VL8(「VL8」)、5E5VH12_VLWT(「VH12」)、5E5VH5_VLWT(「VH5」)、および5E5VH5_VL8(「VH5_VL8」)(
図1C)抗体は、ApoC3がHepG2細胞による超低密度リポタンパク質(VLDL)の取り込みを阻害する能力を弱めたことを示す一連のグラフである。HepG2細胞を、DiI VLDLでインキュベートし、示されるように、単独でまたは抗ApoC3抗体の存在下のいずれかでApoC3を精製した。HepG2細胞によって摂取されたDiI VLDLは、DiI色素の蛍光分光法によって測定された。DiI VLDLのみ(「VLDL」)でインキュベートしたHepG2細胞は、陽性対照として機能し、DiI VLDLでインキュベートし、ApoC3を精製したHepG2細胞は、抗ApoC3抗体(「ApoC3」)の非存在下で陰性対照として機能した。
【
図2A】AAV8-ヒトApoC3マウスモデルにおける2つの抗ApoC3抗体、5E5および5E5VH5_VL8、ならびに抗鶏卵リソソームヒトIgG
1抗体(HyHEL5)の注射後の様々な時点における血清レベルを示すグラフである。
【
図2B】AAV8-ヒトApoC3マウスモデルにおけるヒトApoC3を循環するレベルに対する5E5および5E5VH5_VL8の効果を示すグラフである。
【
図2C】AAV8-ヒトApoC3マウスモデルにおけるApoBを循環するレベルに対する5E5および5E5VH5_VL8の効果を示すグラフである。
【
図3A】ヒトApoC3がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連の表面プラズモン共鳴(SPR)センサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、25nMの濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図3B】ヒトApoC3がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連の表面プラズモン共鳴(SPR)センサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、25nMの濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図3C】ヒトApoC3がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連の表面プラズモン共鳴(SPR)センサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、25nMの濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図3D】ヒトApoC3がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連の表面プラズモン共鳴(SPR)センサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、25nMの濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図3E】ヒトApoC3がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連の表面プラズモン共鳴(SPR)センサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、25nMの濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図4A】ApoC3抗体がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連のSPRセンサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、600nMの標的nhuApoC3濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図4B】ApoC3抗体がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連のSPRセンサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、600nMの標的nhuApoC3濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図4C】ApoC3抗体がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連のSPRセンサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、600nMの標的nhuApoC3濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図4D】ApoC3抗体がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連のSPRセンサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、600nMの標的nhuApoC3濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図4E】ApoC3抗体がバイオセンサーチップ上に固定されているときの、ヒトApoC3に対する20個のヒト化抗ApoC3抗体(mAb1~mAb20)の結合反応速度を示す一連のSPRセンサーグラムである。点線および実線のセンサーグラムは、それぞれ、pH7.4および5.5をアッセイするのに対応する。参考のために、600nMの標的nhuApoC3濃度での5E5VH5_VL8に対応するセンサーグラムは、全てのグラフに含まれる(pH7.4の破線およびpH5.5の長破線)。
【
図5A】4℃で1時間インキュベートした対応する抗体の活性と比較して、指示された温度で1時間抗体をインキュベートした後の選択したヒト化抗体および5E5VH5_VL8の活性の割合を示すグラフである。活性は、
図5Aでは会合速度として測定され、
図5Bおよび5CではRU最大値(R0)として測定された。
【
図5B】4℃で1時間インキュベートした対応する抗体の活性と比較して、指示された温度で1時間抗体をインキュベートした後の選択したヒト化抗体および5E5VH5_VL8の活性の割合を示すグラフである。活性は、
図5Aでは会合速度として測定され、
図5Bおよび5CではRU最大値(R0)として測定された。
【
図5C】4℃で1時間インキュベートした対応する抗体の活性と比較して、指示された温度で1時間抗体をインキュベートした後の選択したヒト化抗体および5E5VH5_VL8の活性の割合を示すグラフである。活性は、
図5Aでは会合速度として測定され、
図5Bおよび5CではRU最大値(R0)として測定された。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能を阻害する抗体を提供する。これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらの抗体を使用して対象を治療する方法も、提供される。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、肝細胞によるTRLの取り込みを阻害するApoC3の能力を弱めることができ、対象に投与されると、ApoC3およびApoBの血清レベルを急速かつ持続的に低下させることができる。したがって、開示された抗ApoC3抗体は、高トリグリセリド血症および関連疾患(例えば、心血管疾患および膵炎)の治療および予防に有用である。
【0037】
1.定義
本明細書で使用される場合、「ApoC3」という用語は、アポリポタンパク質C3タンパク質を指す。特定の実施形態では、ApoC3は、ヒトApoC3である。例示的なヒトApoC3アミノ酸配列は、RefSeq受入番号NP_000031.1に示されている。NP_000031.1の成熟アミノ酸配列は、次のとおりである。
SEAEDASLLSFMQGYMKHATKTAKDALSSVQESQVAQQARGWVTDGFSSLKDYWSTVKDKFSEFWDLDPEVRPTSAVAA(配列番号1)。
【0038】
本明細書で使用される場合、「抗体」および「複数の抗体」という用語には、全長抗体、全長抗体の抗原結合断片、および抗体のCDR、VH領域またはVL領域を含む分子が含まれる。抗体の例には、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖および2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、scFv-Fc、ラクダ抗体(例えば、ラマ抗体)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかの抗原結合断片が含まれる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、もしくはIgA2)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)であり得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、IgG抗体、またはそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)またはそのサブクラスである。特定の一実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」という用語は、同定され、その天然環境の少なくとも1つの構成要素から分離および/または回収された抗体を指す。「単離された抗体」という用語には、組換え宿主細胞内での原位置の抗体が含まれる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非隣接の抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabat et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)によって、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)によって、ならびにMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)によって記載されており、これらは全て、参照によりそれらの全体が組み込まれており、互いに比較した場合、定義は、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。特定の実施形態では、「CDR」という用語は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabat et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)によって定義される、CDRである。CDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、重鎖CDRを示し、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、軽鎖CDRを示す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク(FR)アミノ酸残基」という用語は、免疫グロブリン鎖のフレームワーク領域中のアミノ酸を指す。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」または「FR領域」という用語には、可変領域の一部であるが、CDR(例えば、CDRのKabat定義を使用する)の一部ではないアミノ酸残基が含まれる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「可変領域」および「可変ドメイン」という用語は、交換可能に使用され、当該技術分野において一般的である。可変領域とは、典型的には、抗体の一部分、一般に、軽鎖または重鎖の一部分、典型的には、成熟重鎖におけるアミノ末端の約110~120アミノ酸または110~125アミノ酸および成熟軽鎖における約90~115アミノ酸を指し、これらは、配列が抗体間で大きく異なり、かつそれらの特定の抗原に対する特定の抗体の結合および特異性において使用される。配列における変動性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれるそのような領域に集中しているが、可変ドメインにおけるより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれている。いかなる特定の機構または理論にも拘束されることは望まないが、軽鎖および重鎖のCDRは、抗体の抗原との相互作用および特異性に主に関与している。特定の実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は、齧歯類またはマウスのCDRおよびヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施形態では、可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は、齧歯類またはマウスのCDRおよび霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0043】
「VL」および「VLドメイン」という用語は、抗体の軽鎖可変領域を指すように、交換可能に使用される。
【0044】
「VH」および「VHドメイン」という用語は、抗体の重鎖可変領域を指すように、交換可能に使用される。
【0045】
本明細書で使用される場合、「定常領域」および「定常ドメイン」という用語は、交換可能であり、当該技術分野において一般的である。定常領域は、抗体部分、例えば、抗原への抗体の結合に直接関与していないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示し得る、軽鎖または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比べて、より多くの保存されたアミノ酸配列を有する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「重鎖」という用語は、抗体に言及して使用される場合、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、任意の異なる種類、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、およびミューμ)を指し得、それらから抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMクラス(IgGのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)がそれぞれ生じる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「軽鎖」という用語は、抗体に言及して使用される場合、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、任意の異なる種類、例えば、カッパ(κ)またはラムダ(λ)を指し得る。軽鎖アミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態では、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0048】
本明細書で使用する場合、「EU位置」という用語は、Edelman,G.M.et al,Proc.Natl.Acad.USA,63,78-85(1969)、およびKabat et al,in“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,U.S.Dept.Health and Human Services,5th edition,1991に記載されるように、抗体の定常領域のEU番号付け慣習によるアミノ酸位置を指し、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「に特異的に結合する」という用語は、約1×10-6M未満、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M、1×10-11M、1×10-12M、もしくはそれ以下の解離定数(KD)で抗原に結合するか、または非特異的抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で抗原に結合する抗体の能力を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合することができる抗原の局所化領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの隣接アミノ酸(線形もしくは隣接エピトープ)であり得るか、またはエピトープは、例えば、ポリペプチド(複数可)の2つ以上の非隣接領域(立体構造、非線形、非連続、もしくは非隣接エピトープ)から形成され得る。特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)を伴う水素/重水素交換、ペプチド走査アッセイ、または変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、本明細書に開示される治療または予防手段を指す。「治療」の方法は、疾患もしくは障害、または再発性疾患もしくは障害のうちの1つ以上の症状を予防するか、治癒するか、遅延させるか、その重度を低減させるか、それを発症するリスクを軽減するか、または改善させるため、あるいはかかる治療の不在下で予想される対象の生存期間よりも長く延長させるために、疾患もしくは障害を有するか、または疾患もしくは障害にかかりやすい対象への抗ApoC3抗体の投与を用いる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、対象への療法剤の投与の文脈では、所望の予防または治療効果を達成する療法剤の量を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、および/またはを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、数値または数的範囲を修飾するために使用される場合、値または範囲を5%~10%上回る、および5%~10%下回る偏差が、引用された値または範囲の意図される意味の範囲内であることを示す。
【0056】
2.抗ApoC3抗体
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能を阻害する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供する。
【0057】
特定の実施形態では、単離された抗体は、哺乳動物のApoC3タンパク質に結合する。特定の実施形態では、単離された抗体は、ヒトApoC3に結合する。ある特定の実施形態では、単離された抗体は、Macaca fascicularis(カニクイザル)ApoC3に結合する。
【0058】
ある特定の実施形態では、単離された抗体は、酸性pH(例えば、pH5.5~pH6)下よりも生理学的pH(例えば、pH7.4)で、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)により高い親和性で結合する。かかるpH依存性抗体を生成するための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、1つの例示的な方法において、抗ApoC3抗体の重鎖および/または軽鎖CDRにおける1つ以上のアミノ残基は、Igawa et al.,Nat Biotechnol.(2010)28(11):1203-1207、Chaparro-Riggers et al.,J BiolChem.(2012)287(14):11090-11097、米国特許第9,096,651号、および米国特許公開第2011/0111406A1号に記載されるように、ヒスチジン残基で置換され、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、かかる方法は当該技術分野で周知であるが、当業者は、任意の所与の抗体について、抗原に対する抗体の親和性を破壊することなく、抗原へのpH依存性結合を達成するためにヒスチジンに変異され得る正確なCDRアミノ酸が、経験的にのみ判定することができることを理解する(例えば、Edgcomb and Murphy,Proteins(2002)49:1-6を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0059】
当業者は、抗原に対する抗体の親和性が、解離定数(KD)によって示すことができ、KDが小さいほど親和性が高いことを示すことを理解し得る。したがって、特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、pH7.4で第1のKDおよびpH5.5で第2のKDでApoC3(例えば、ヒトApoC3)に結合し、第2のKDと第1のKDの比率は、少なくとも1(例えば、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100)である。
【0060】
特定の実施形態では、第1のKDは、100nM未満(例えば、50、20、10、5、2、1、0.5、0.2、または0.1nM未満)である。特定の実施形態では、第2のKDは、1nMを超える(例えば、2、5、10、20、もしくは50nMを超える、または0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、50、もしくは100μMを超える)。特定の実施形態では、第1のKDは、100nM未満(例えば、50、20、10、5、2、1、0.5、0.2、または0.1nM未満)、およびApoC3(例えば、ヒトApoC3)を発現する動物(例えば、ヒトまたはマウス)における抗体の半減期は、少なくとも約1日である(例えば、少なくとも約2、3、4、5、6、もしくは7日間、または約1、2、3、4、6、または8週間を超える)。特定の実施形態では、ApoC3は、ヒトApoC3であり、ApoC3を発現する動物は、ヒトである。特定の実施形態では、ApoC3は、ヒトApoC3であり、ApoC3を発現する動物は、ヒトApoC3を発現するマウスである。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞の取り込みを阻害するApoC3の能力を弱める(インビボまたはインビトロ)。特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞の取り込みを阻害するApoC3の能力を、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%弱める。特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞の取り込みを阻害するApoC3の能力を、少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍弱める。
【0062】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後脂肪血症を阻害することができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後脂肪血症を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%阻害することができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後脂肪血症を少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍阻害することができる。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後カイロミクロンレベルまたはカイロミクロンレムナントレベルを低下させることができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後カイロミクロンレベルまたはカイロミクロンレムナントレベルを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低下させることができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後カイロミクロンレベルまたはカイロミクロンレムナントレベルを少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低下させることができる。
【0064】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を増加させることができる。特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%増加させることができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍増加させることができる。ApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスを評価するための方法には、同位体トレーサー技術が含まれるが、これらに限定されず、同位体は、放射性または安定のいずれかであってもよい。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを低下させることができる。特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低下させることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低下させることができる。特定の実施形態では、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルの低下は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50日間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間維持される。
【0066】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、脂質結合ApoC3(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナントに結合したApoC3)に結合することができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、脂質またはリポタンパク質へのApoC3の結合を阻害しない。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、ApoC3と脂質またはリポタンパク質との結合について競合しない。特定の実施形態では、脂質は、脂肪酸鎖を含む。特定の実施形態では、脂質は、ホスファチジル基を含む。特定の実施形態では、脂質は、ホスファチジルコリン(例えば、DMPC)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、またはホスファチジルグリセロールを含む。特定の実施形態では、脂質は、トリグリセリドである。特定の実施形態では、リポタンパク質は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントである。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体の存在下で脂質およびリポタンパク質(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナント)に結合するApoC3の能力は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、抗ApoC3抗体の非存在下での、ApoC3の同じ脂質およびリポタンパク質への結合の能力の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%である。
【0067】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞の取り込みを阻害するApoC3の能力を弱める。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体の存在下での肝細胞(例えば、HepG2細胞)によるTRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの取り込みは、抗ApoC3抗体の非存在下での、肝細胞(例えば、HepG2細胞)によるTRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの取り込みよりも、少なくとも1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍高い。
【0068】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞の取り込みを阻害するApoC3の能力を弱め、かつ脂質結合ApoC3(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナントに結合したApoC3)に結合することができる。
【0069】
特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、アミノ酸配列FSEFWDLDPE(配列番号2)内のApoC3のエピトープに結合する。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2内の少なくとも1つのアミノ酸を含み、任意に、配列番号2に隣接する配列番号1からの1つ以上のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、8、または10位に少なくとも1つのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、8、または10位に少なくとも2つのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、8、または10位に少なくとも3つのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、8、または10位に少なくとも4つのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の5位および6位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、および6位のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、および8位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の2、5、6、および8位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の10位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の6位および10位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の8位および10位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の6位および8位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の6、8、および10位にアミノ酸を含む。特定の実施形態では、抗体は、脂質結合ApoC3(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナントに結合したApoC3)に結合することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を弱めることはできない。特定の実施形態では、抗体はまた、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞の取り込みを阻害するApoC3の能力を弱める。特定の実施形態では、抗体はまた、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後脂肪血症を阻害することもできる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体はまた、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後カイロミクロンレベルまたはカイロミクロンレムナントレベルを低下させることもできる。
【0070】
任意の好適なアッセイを使用して、本明細書に開示される抗体の前述の機能活性を測定することができる。例示的なアッセイには、本明細書の実施例に開示される機能アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
例示的な抗ApoC3抗体のアミノ酸配列は、本明細書の表1~13に示される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表7-1】
【表7-2】
【0072】
例示的なヒト化抗ApoC3抗体のアミノ酸配列は、本明細書の表8~13に示される。
【表8】
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【表11-1】
【表11-2】
【表12】
【表13-1】
【表13-2】
【0073】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、本明細書の表3または10に示されるVHドメインのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、抗体は、表3または10に示されるVHドメインのうちの1つのCDRH1を含む。特定の実施形態では、抗体は、表3または10に示されるVHドメインのうちの1つのCDRH2を含む。特定の実施形態では、抗体は、表3または10に示されるVHドメインのうちの1つのCDRH3を含む。
【0074】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、本明細書の表4または11に開示されるVLドメインのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含むVLドメインを含む。特定の実施形態では、抗体は、表4または11に示されるVLドメインのうちの1つのCDRL1を含む。特定の実施形態では、抗体は、表4または11に示されるVLドメインのうちの1つのCDRL2を含む。特定の実施形態では、抗体は、表4または11に示されるVLドメインの1つのCDRL3を含む。
【0075】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、表5または12に示される抗体の、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含む。
【0076】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabat et al.,Sequences of protein of immunological interest(1991)に従って判定することができる。特定の実施形態では、抗体の軽鎖CDRは、Kabatに従って判定され、抗体の重鎖CDRは、MacCallum(上記)に従って判定される。
【0077】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、免疫グロブリン構造ループの位置を指すChothia番号付けスキーム従って判定することができる(例えば、Chothia Chothia C&Lesk AM,(1987),J Mol Biol 196:901-917、Al-Lazikani B et al.,(1997)J Mol Biol 273:927-948、Chothia C et al,(1992)J Mol Biol 227:799-817、Tramontano A et al.,(1990)J Mol Biol 215(1):175-82、および米国特許第7,709,226号を参照されたい)。典型的には、Kabat番号付け規則を使用する場合、Chothia CDRH1ループは、重鎖アミノ酸26~32、33、または34に存在し、Chothia CDRH2ループは、重鎖アミノ酸52~56に存在し、Chothia CDRH3ループは、重鎖アミノ酸95~102に存在し、一方Chothia CDRL1ループは、軽鎖アミノ酸24~34に存在し、Chothia CDRL2ループは、軽鎖アミノ酸50~56に存在し、Chothia CDRL3ループは、軽鎖アミノ酸89~97に存在する。Kabat番号付け規則を使用して番号付けされた場合のChothia CDRH1ループの末端は、ループの長さによってH32とH34との間で変化する(これは、Kabat番号付けスキームがH35AおよびH35Bに挿入を配置しているためである;35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終結する;35Aのみが存在する場合、ループは33で終結する;35Aおよび35Bの両方が存在する場合、ループは34で終結する)。
【0078】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、Lefranc M-P,(1999)The Immunologist 7:132-136およびLefranc M-P et al.,(1999)Nucleic Acids Res 27:209-212に記載されるように、IMGT番号付けシステムに従って判定することができる。IMGT番号付けスキームによると、CDRH1は、26~35位にあり、CDRH2は、51~57位にあり、CDRH3は、93~102位にあり、CDRL1は、27~32位にあり、CDRL2は、50~52位にあり、CDRL3は、89~97位にある。
【0079】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、AbM超可変領域を指すAbM番号付けスキームに従って判定することができ、これは、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の折衷案を表し、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group,Inc.)によって使用される。
【0080】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、MacCallum RM et al.,(1996)J Mol Biol 262:732-745に従って判定することができる。例えば、Antibody Engineering,Kontermann and Dubel,eds.,Chapter 31,pp.422-439,Springer-Verlag,Berlin(2001)におけるMartin A.「Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains」も参照されたい。
【0081】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、表3に示されるVHドメインのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、表4に示されるVLドメインのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含み、各CDRは独立して、本明細書に開示されるように、Kabat、Chothia、IMGT、MacCallum、またはAbMによるCDRの定義に従って定義される。
【0082】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、当該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIX1TX2X3GGTAYRDSVKG(式中、X1が、SまたはHであり、X2が、G、E、またはDであり、かつX3が、GまたはAである)(配列番号93)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、X4GYSD(式中、X4が、AまたはHである)(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSX5GKTYFY(式中、X5が、DまたはGである)(配列番号88)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AX6GTYYPHT(式中、X6が、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含み、
式中、X1、X4、およびX6のうちの少なくとも1つが、Hである。
【0083】
特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)、SIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)、SISTDGGGTAYRDSVKG(配列番号9)、またはSIHTDGGGTAYRDSVKG(配列番号11)のアミノ酸配列を含む。
【0084】
特定の実施形態では、CDRH3は、AGYSD(配列番号10)またはHGYSD(配列番号12)のアミノ酸配列を含む。
【0085】
特定の実施形態では、CDRL1は、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)またはKTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含む。
【0086】
特定の実施形態では、CDRL3は、AHGTYYPHT(配列番号14)またはAQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む。
【0087】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、当該抗体は、それぞれ、配列番号3、36、および10;3、37、および10;3、38、および10;3、39、および10;3、9、および10;3、11、および10;3、9、12;または3、11、および12に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。
【0088】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ、配列番号6、7、および14;40、7、および14;40、7、および13;または6、7、および13に示されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0089】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)であって、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0090】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)であって、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、19、または20に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、19、または20に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0091】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)であって、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、19、または20に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、19、または20に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0092】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、当該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIHTX1X2GGTAYRDSVKG(式中、X1が、G、E、またはDであり、X2が、GまたはAである)(配列番号87)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、AGYSD(配列番号10)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSXGKTYFY(式中、Xが、DまたはGである)(配列番号88)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AXGTYYPHT(式中、Xが、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含む。
【0093】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、当該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)、またはSIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、AGYSD(配列番号10)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)またはKTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AHGTYYPHT(配列番号14)またはAQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む。
【0094】
特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)、またはSIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)、またはSIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTGGGGTAYRDSVKG(配列番号36)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTEAGGTAYRDSVKG(配列番号37)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTDAGGTAYRDSVKG(配列番号38)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH2は、SIHTEGGGTAYRDSVKG(配列番号39)のアミノ酸配列を含む。
【0095】
特定の実施形態では、CDRL1は、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)またはKTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL1は、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL1は、KTSQGLVHSGGKTYFY(配列番号40)のアミノ酸配列を含む。
【0096】
特定の実施形態では、CDRL3は、AHGTYYPHT(配列番号14)またはAQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL3は、AHGTYYPHT(配列番号14)のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL3は、AQGTYYPHT(配列番号13)のアミノ酸配列を含む。
【0097】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、当該抗体は、それぞれ、配列番号3、36、および10;3、37、および10;3、38、および10;または3、39、および10に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、VHドメインは、それぞれ、配列番号3、36、および10に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VHドメインは、それぞれ、配列番号3、37、および10に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VHドメインは、それぞれ、配列番号3、38、および10に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含む。
【0098】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ、配列番号6、7、および14;40、7、および14;または40、7、および13に示されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。特定の実施形態では、VLドメインは、それぞれ、配列番号6、7および14に示されるCDRL1、CDRL2およびCDRL3のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VLドメインは、それぞれ、配列番号40、7および14に示されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含む。
【0099】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)を提供し、当該抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、36、10、6、7、および14;3、37、10、40、7、および14;3、38、10、40、7、および14;3、39、10、6、7、および14;3、37、10、40、7、および13;または3、38、10、40、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、36、10、6、7、および14に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、37、10、40、7、および14に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、38、10、40、7、および14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0100】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)であって、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、89、または90に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、89、または90に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号42に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号43に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号44に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号45に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号48に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号49に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号50に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号51に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号52に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号53に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号89に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、任意に、この重鎖可変領域は、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を含まない。特定の実施形態では、抗体は、配列番号90に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含み、任意に、この重鎖可変領域は、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を含まない。
【0101】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)であって、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、91、または92に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、91、または92に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号54に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号55に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号59に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号60に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号61に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号62に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号63に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号64に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号65に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号91に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号92に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0102】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体(例えば、ヒト化抗体)であって、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、89、または90に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、91、または92に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、89、または90に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、91、または92に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号42および54、43および55、44および56、45および57、46および58、46および54、47および58、47および54、48および58、48および54、49および59、49および60、50および59、50および60、51および61、52および62、53および62、43および63、44および64、45および65、89および91、または90および92に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号42および54に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号43および55に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号44および56に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号45および57に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号46および58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号46および54に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号47および58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号47および54に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号48および58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号48および54に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号49および59に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号49および60に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号50および59に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号50および60に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号51および61に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号52および62に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号53および62に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号43および63に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号44および64に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号45および65に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号89および91に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、任意に、この重鎖可変領域は、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を含まない。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号90および92に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、任意に、この重鎖可変領域は、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を含まない。
【0103】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIX1TDGGGTAYRDSVKG(式中、X1が、SまたはHである)(配列番号4)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、X2GYSD(式中、X2が、AまたはHである)(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ/または
(f)CDRL3が、AX3GTYYPHT(式中、X3が、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含む。
【0104】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、
(a)CDRH1が、TYSMR(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、
(b)CDRH2が、SIX1TDGGGTAYRDSVKG(式中、X1が、SまたはHである)(配列番号4)のアミノ酸配列を含み、
(c)CDRH3が、X2GYSD(式中、X2が、AまたはHである)(配列番号5)のアミノ酸配列を含み、
(d)CDRL1が、KTSQGLVHSDGKTYFY(配列番号6)のアミノ酸配列を含み、
(e)CDRL2が、QVSNRAS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、かつ
(f)CDRL3が、AX3GTYYPHT(式中、X3が、QまたはHである)(配列番号8)のアミノ酸配列を含み、
式中、X1、X2、およびX3のうちの少なくとも1つが、Hである。
【0105】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH1、
(b)配列番号9もしくは11のアミノ酸配列を含むCDRH2、
(c)配列番号10もしくは12のアミノ酸配列を含むCDRH3、
(d)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDRL1、
(e)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDRL2、および/または
(f)配列番号13もしくは14のアミノ酸配列を含むCDRL3、を含む。
【0106】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDRH1、
(b)配列番号9もしくは11のアミノ酸配列を含むCDRH2、
(c)配列番号10もしくは12のアミノ酸配列を含むCDRH3、
(d)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDRL1、
(e)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDRL2、および
(f)配列番号13もしくは14のアミノ酸配列を含むCDRL3、を含み、
単離された抗体は、それぞれ、配列番号3、9、10、6、7、および13に示されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3配列を含まない。
【0107】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ、配列番号3、9、および10;3、11、および10;3、9、および12;または3、11、および12に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、VHドメインは、それぞれ、配列番号3、11、および10に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VHドメインは、それぞれ、配列番号3、9、および12に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VHドメインは、それぞれ、配列番号3、11、および12に示されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含む。
【0108】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ、配列番号6、7、および13;または6、7、および14に示されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。特定の実施形態では、VLドメインは、それぞれ、配列番号6、7、および14に示されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含む。
【0109】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、11、10、6、7、および13;3、9、12、6、7、および13;3、9、10、6、7、および14;3、11、10、6、7、および14;3、9、12、6、7、および14;または3、11、12、6、7、および13;または3、11、12、6、7、および13に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、11、10、6、7、および14に示されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ、配列番号3、9、12、6、7、および14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0110】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0111】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号19または20に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0112】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号19または20に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号15、16、17、または18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号19または20に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号16および19、17および19、18および19、15および20、16および20、17および20、または18および20に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号16および20に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号17および20に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。
【0113】
任意のIg定常領域は、本明細書に開示される単離された抗体において使用することができる。特定の実施形態では、Ig定常領域は、ヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY免疫グロブリン(Ig)分子の定常領域であり、かつ/または免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、もしくは任意のサブクラス(例えば、IgG2aおよびIgG2b)の定常領域である。特定の実施形態では、Ig定常領域は、ヒトまたはヒト化Ig定常領域である。
【0114】
特定の実施形態では、定常領域は、野生型ヒトIg(例えば、IgG)重鎖定常領域のバリアントであり、バリアントヒトIg重鎖定常領域は、同じ条件下でのヒトFcRnに対して対応する野生型ヒトIg重鎖定常領域の親和性と比較して、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する酸性pH(例えば、pH5.5~pH6)での増加した(例えば、少なくとも1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20倍増加した)親和性を有する。特定の実施形態では、バリアントヒトIg重鎖定常領域は、同じ条件下でのヒトFcRnに対して野生型ヒトIg重鎖定常領域の親和性と比較して、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に対する生理学的pH(例えば、pH7.4)での同様のまたは減少した(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2倍以下の、同等の、または減少した)親和性を有する。特定の実施形態では、定常領域は、野生型Ig(例えば、IgG)定常ドメインまたはそのFcRn結合断片(例えば、Fcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)から、1つ、2つ以上のアミノ酸(例えば、1つ以上の置換、挿入、または欠失を有する)を含む。特定の実施形態では、インビボでの野生型定常ドメインまたはそのFcRn結合断片を有する対応する抗体の半減期と比較して、インビボでのバリアント定常領域を有する抗体の半減期は増加する。例えば、インビボでの抗体の半減期を増加させる変異の例に関して、国際公開第WO02/060919号、同第WO98/23289号、および同第WO97/34631号、ならびに米国特許第5,869,046号、同第6,121,022号、同第6,277,375号、同第6,165,745号、同第8,088,376号、および同第8,163,881号を参照されたく、これらの全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、1つ以上の異なるアミノ酸は、EU番号付けシステムに従って番号付けされた、第2の定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)、および/または第3の定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)である。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体のIgG(例えば、IgG1、IgG2、またはIgG4)の定常領域は、EU番号付けシステムに従って番号付けされた、それぞれ、252、254、および256位のアミノ酸チロシン(Y)、スレオニン(T)、およびグルタミン酸(E)を含む。米国特許第7,658,921号を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。「YTE IgG」と称されるこのIgG型は、同じ抗体の野生型バージョンと比較して、4倍に増加した半減期を表示することが示されている(Dall’Acqua WF et al.,(2006)J Biol Chem 281:23514-24を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体のIgG(例えば、IgG1)の定常領域は、EU番号付けシステムに従って番号付けされた、434位のアミノ酸アラニン(A)、セリン(S)、チロシン(Y)、またはフェニルアラニン(F)を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体のIgGの定常領域(例えば、IgG1、IgG2、またはIgG4)の定常領域は、EU番号付けシステムに従って番号付けされた、それぞれ、433、434、および436位のアミノ酸リジン(K)、フェニルアラニン(F)、およびチロシン(Y)を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体のIgG(例えば、IgG1、IgG2、またはIgG4)の定常領域は、EU番号付けシステムに従って番号付けされた、それぞれ、428および434位のアミノ酸ロイシン(L)およびセリン(S)を含む。酸性条件下でFcRnに対して増加した親和性を有し得る追加のIgG定常領域は、Ward et al.,Mol.Immunol.(2015)67(200):131-41に記載され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、抗体は、EU番号付けシステムに従って番号付けされた、251~257、285~290、308~314、385~389、および428~436位のアミノ酸残基のうちの1つ、2つ、または3つ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常ドメインを含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、配列番号21、22、23、24、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、または86に示されるアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、配列番号25または26に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0115】
特定の実施形態では、本開示、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号66、67、68、69、70、71、72、または73に示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号74に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、それぞれ、配列番号66および74、67および74、68および74、69および74、70および74、71および74、72および74、または73および74に示されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む、単離された抗体を提供する。
【0116】
特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号27、28、29、30、31、32、33、または34に示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号35に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、それぞれ、配列番号27および35、28および35、29および35、30および35、31および35、32および35、33および35、または34および35に示されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む、単離された抗体を提供する。
【0117】
3.使用方法
ApoC3は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの取り込みおよびクリアランスを阻害し、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害し、それにより対象の血液中のトリグリセリドレベルを増加させるように機能する。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの取り込みおよびクリアランスを阻害するApoC3の能力を弱めるか、またはTRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を弱めることができる。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象の血液中のApoC3の活性を阻害するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示の抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、ApoC3の活性は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの取り込みおよびクリアランスの阻害である。特定の実施形態では、ApoC3の活性は、TRLのリポタンパク質リパーゼ媒介脂肪分解の阻害である。特定の実施形態では、ApoC3の活性は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの取り込みおよびクリアランスの阻害、ならびにTRLのリポタンパク質リパーゼ媒介脂肪分解の阻害である。
【0118】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を増加させるために有用である。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を増加させるための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。
【0119】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを低下させるために有用である。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを低下させるための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低下させる。特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルを少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低下させる。特定の実施形態では、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のレベルの低下は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50日間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、もしくは8週間維持される。
【0120】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象の血液中のトリグリセリドレベルを低下させるために有用である。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象の血液中のトリグリセリドレベルを低下させるための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。
【0121】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、高トリグリセリド血症の治療のために有用である。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象における高トリグリセリド血症を治療するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、対象におけるカイロミクロン血症を治療するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は、対象におけるカイロミクロン血症症候群を治療するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。
【0122】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象における食後脂肪血症の治療および予防のために有用である。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象における食後脂肪血症を阻害するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。抗ApoC3抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与され得る。
【0123】
理論に拘束されることを望むものではないが、出願人らは、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低下せることができると考える。したがって、特定の実施形態では、本開示は、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低下させるための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。抗ApoC3抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与され得る。
【0124】
高トリグリセリド血症を有する患者の血中のトリグリセリドレベルの低下は、膵炎の発症のリスクを軽減させ得る。したがって、特定の実施形態では、本開示は、高トリグリセリド血症を有する対象における膵炎のリスクを軽減するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。
【0125】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象における心血管疾患のリスクを軽減するために有用である。したがって、特定の実施形態では、本開示は、高トリグリセリド血症の対象における心血管疾患のリスクを軽減するための方法を提供し、本方法は、対象に、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を投与することを含む。高トリグリセリド血症または過剰な食後脂肪血症に関連するかまたはそれらによって引き起こされる任意の心血管疾患を発症するリスクは、本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物の投与によって軽減され得る。リスクが軽減され得る心血管疾患には、冠状動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、および脳卒中が含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物は、単独で、または追加の治療剤と組み合わせてのいずれかで投与され得る。特定の実施形態では、追加の治療剤は、別の脂質低下剤である。任意の1つ以上の脂質低下剤が、本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物と組み合わせて使用され得る。好適な脂質低下剤には、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン)、フィブラート、ニコチン酸、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、およびコレセベラム)、食事性コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤(例えば、ロミタピド)、フィトステロール、膵リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット)、コレステリルエステル転送タンパク質阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤(例えば、TAK-475、ザラゴジン酸、およびRPR 107393)、ApoA-1 Milano、サクシノブコール(AGI-1067)、アポタンパク質B阻害剤(例えば、ミポメルセン)、およびプロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシンタイプ9(PCSK9)阻害剤(例えば、アリロクマブ、エボロクマブ、およびボコシズマブ)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、追加の脂質低下剤は、エゼチミブおよびHMG-CoAレダクターゼ阻害剤の組み合わせである。特定の実施形態では、脂質低下剤は、エゼチミブ、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、およびPCSK9阻害剤の組み合わせである。
【0127】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物は、様々な経路によって対象に送達され得る。これらには、非経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下経路が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体または医薬組成物は、皮下または静脈内に送達される。
【0128】
病気の治療または予防に有効であるであろう、本明細書に開示される抗ApoC3または医薬組成物の量は、疾患の性質に依存することになり、標準的な臨床技術によって経験的に判定することができる。組成物に使用される正確な用量は、投与経路、およびそれによって引き起こされる感染または疾患の重篤度にも依存し、開業医の判断および各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量はまた、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態(年齢、体重、および健康状態を含む)、患者がヒトであるか動物であるか、投与された他の薬物、または治療が予防的であるか治療的であるかに応じて異なり得る。本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物は、任意の頻度(例えば、約1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、1カ月ごと、または2カ月ごと)で投与することができる。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を治療することもできる。治療投薬量およびレジメンは、安全性および有効性を最適化するために、最適に滴定される。
【0129】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体はまた、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫沈降法、またはウェスタンブロッティングなどの免疫測定法を含む、当業者に既知である古典的な免疫組織学的方法を使用して生体試料中のApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質レベルをアッセイするために使用することもできる。好適なアッセイ標識は、当該技術分野で既知であり、これには、グルコース酸化酵素などの酵素標識、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、およびテクネチウム(99Tc)などの放射性同位体、ルミノールなどの発光標識、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、ならびにビオチンが含まれる。かかる標識は、本明細書に開示される抗体を標識付けするために使用され得る。代替的には、本明細書に開示される抗ApoC3抗体を認識する二次抗体が標識付けられ得、これを抗ApoC3抗体と組み合わせて使用してApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質レベルを検出することができる。
【0130】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質の発現レベルについてアッセイすることは、直接的(例えば、絶対的タンパク質レベルを判定もしくは予測することによって)、または相対的に(例えば、第2の生体試料中の疾患関連タンパク質レベルと比較することによって)のいずれかで、第1の生体試料中のApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質のレベルを定性的または定量的に測定または予測することを含むように意図される。第1の生体試料中のApoC3(例えば、ヒトApoC3)ポリペプチドの発現レベルは、測定または推定および標準的なApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質レベルと比較することができ、標準は、疾患を有しない個人から得られた第2の生体試料から取得されるか、または疾患を有しない個人の集団のレベルを平均することによって決定される。当該技術分野で理解されるように、「標準」ApoC3(例えば、ヒトApoC3)ポリペプチドレベルが分かると、比較のための標準として繰り返し使用することができる。
【0131】
本明細書で使用される場合、「生体試料」という用語は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)を発現する可能性がある対象、細胞株、組織、または他の細胞源から得られた任意の生体試料を指す。組織生検および体液を動物(例えば、ヒト)から得るための方法は、当該技術分野で周知である。生体試料には、末梢血単核球が含まれる。
【0132】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、予後診断、診断、監視、およびスクリーニング用途に使用することができ、これには、当業者に周知および標準的であり、かつ本明細書に基づくインビトロおよびインビボ用途が含まれる。免疫系状態または免疫応答のインビトロ評価および査定のための予後診断、診断、監視、およびスクリーニングアッセイおよびキットを利用して、予測、診断、および監視して、上昇したApoC3活性を有することが知られているか、またはそれを有することが疑われるものを含む、患者試料を査定することができる。一実施形態では、抗ApoC3抗体は、生検試料の免疫組織化学的検査に使用され得る。別の実施形態では、抗ApoC3抗体を使用して、ある特定の疾患症状に繋がり得る、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)レベルを検出することができる。本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、検出可能な標識または機能標識を保有し得る。蛍光標識が使用される場合、現在利用可能な顕微鏡法および経口蛍光標識細胞分取分析(FACS)、または当該技術分野で既知である両方の方法手順の組み合わせを利用して、特異的結合メンバーを同定および定量化することができる。本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、蛍光標識を担持し得る。例示的な蛍光標識としては、例えば、反応性およびコンジュゲートされたプローブ、例えば、アミノクマリン、フルオレセイン、およびテキサスレッド、Alexa Fluor染料、Cy染料、およびDyLight染料が挙げられる。抗ApoC3抗体は、同位体3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、90Y、99Tc、111In、117Lu、121I、124I、125I、131I、198Au、211At、213Bi、225Ac、および186Reなどの放射性標識を担持し得る。放射性標識が使用される場合、当該技術分野で既知である現在利用可能な計数手順を利用して、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)への抗ApoC3抗体の特異的結合を同定および定量化することができる。標識が酵素である場合には、検出は、当該技術分野で既知である現在利用されている比色分析、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法、または気体定量技術のいずれかによって達成され得る。これは、抗体とApoC3(例えば、ヒトApoC3)との複合体の形成を可能にする条件下で、試料または対照試料を抗ApoC3抗体と接触させることによって達成することができる。抗体とApoC3(例えば、ヒトApoC3)との間で形成される任意の複合体が試料および対照において検出され、比較される。本明細書に開示される抗体はまた、免疫親和性精製を介してApoC3(例えば、ヒトApoC3)を精製するために使用され得る。本明細書には、例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)の存在の程度の定量分析のための試験キットの形態で調製され得るアッセイシステムも含まれる。システムまたは試験キットは、標識成分、例えば、標識ApoC3抗体と、1つ以上の追加の免疫化学的試薬と、を含み得る。
【0133】
4.医薬組成物
薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤中で所望の純度を有する本明細書に開示される抗ApoC3抗体を含む医薬組成物が、本明細書に提供される(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、これらには、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0134】
特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中で、本明細書に開示される抗ApoC3抗体と、任意で、1つ以上の追加の予防または治療剤と、を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中で、有効量の本明細書に開示される抗体と、任意で、1つ以上の追加の予防または治療剤と、を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、医薬組成物に含まれる唯一の有効成分である。本明細書に開示される医薬組成物は、ApoC3活性の阻害、および癌または感染症などの病気の治療に有用であり得る。
【0135】
非経口調製物に使用される薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質が含まれる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンガー液が挙げられる。非水性経口ビヒクルには、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、およびピーナッツ油が含まれる。複数用量容器にパッケージ化された経口調製物に、静菌的または静真菌的濃度の抗菌剤が添加されてもよく、これには、フェノールまたはクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張剤には、塩化ナトリウムおよびデキストロースが含まれる。緩衝液には、リン酸およびクエン酸が含まれる。抗酸化剤には、重硫酸ナトリウムが含まれる。局所麻酔剤には、塩酸プロカインが含まれる。懸濁化剤および分散剤には、カルボキシメチルセルオースナトリウム(sodium carboxymethylcelluose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、Polysorbate 80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤には、EDTAが含まれる。薬学的担体には、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール、ならびにpH調節のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も含まれる。
【0136】
医薬組成物は、対象への任意の投与経路用に製剤化され得る。投与経路の具体的な例としては、鼻腔内、経口、肺、経皮、皮内、および非経口が挙げられる。皮下、筋肉内、または静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与も本明細書において企図される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液としてのいずれかの従来の形態で、注射前の液体中での溶解もしくは懸濁化に好適な固体形態で、または乳濁液として調製することができる。注射剤、溶液、および乳濁液は、1つ以上の賦形剤も含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望の場合、投与される医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、可溶性増強剤、ならびに例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、およびシクロデキストリンなどの他のかかる薬剤も含有し得る。
【0137】
抗体の非経口投与のための調製物には、注射用の滅菌溶液、使用直前に溶媒と合わせるための凍結乾燥粉末剤などの乾燥した滅菌可溶性生成物(皮下錠剤を含む)、注射用の滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせるための乾燥した滅菌不溶性生成物、および滅菌乳濁液が含まれる。溶液は、水性または非水性のいずれかでもよい。
【0138】
静脈内に投与される場合、好適な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤が含まれる。
【0139】
抗体を含む局所混合物は、局所および全身投与について記載されるように調製される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液などであり得、クリーム、ゲル、軟膏、乳濁液、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、泡状物質、エアロゾル、潅注剤、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ、または局所投与に好適な任意の他の製剤として製剤化され得る。
【0140】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、例えば吸入による局所投与のためにエアロゾルとして製剤化され得る(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルを説明する、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、および同第4,364,923号を参照されたい)。呼吸器への投与のためのこれらの製剤は、単独で、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせた、ネブライザー用のエアロゾルもしくは溶液の形態、または吹送のための微小粉末剤であり得る。かかる場合において、製剤の粒子は、一実施形態では、50ミクロン未満、一実施形態では、10ミクロン未満の直径を有することになる。
【0141】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、局所(local)または局所(topical)投与用に、例えば、皮膚、および眼中などの粘膜への局所適用のためにゲル、クリーム、およびローションの形態で、ならびに眼への適用または槽内もしくは脊髄内の適用のために、製剤化され得る。局所投与は、経皮送達について企図され、眼もしくは粘膜への投与、または吸入療法についても企図される。抗体単独の、または他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた点鼻薬も投与され得る。
【0142】
イオン振とうデバイスおよび電気泳動デバイスを含む経皮パッチは、当該技術分野で周知であり、抗体を投与するために使用され得る。例えば、かかるパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010,715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、および同第5,860,957号に開示されている。
【0143】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるものを含む医薬組成物は、凍結乾燥粉末剤であり、溶液、乳濁液、および他の混合物としての投与のために再構成することができる。また、再構成し、固体またはゲルとして製剤化することもできる。凍結乾燥した粉末剤は、本明細書に開示される抗体またはその薬学的に許容される誘導体を好適な溶媒中に溶解することによって調製される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した粉末剤は、滅菌である。溶媒は、安定性を改善させる賦形剤、または粉末剤もしくは粉末剤から調製された再構成された溶液の他の薬理成分を含有し得る。使用され得る賦形剤には、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の好適な薬剤が含まれるが、これらに限定されない。溶媒はまた、一実施形態では、約中性pHの、緩衝液、例えば、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはカリウム、または当業者に既知である他のかかる緩衝液も含有し得る。当業者に既知である標準条件下でのその後の溶液の滅菌濾過に続く凍結乾燥によって、所望の製剤が提供される。一実施形態では、得られた溶液は、凍結乾燥用のバイアルに配分される。各バイアルは、単回投薬量または複数回投薬量の化合物を含有することになる。凍結乾燥した粉末剤は、約4℃~室温などの適切な条件下で保管され得る。この凍結乾燥した粉末剤を注射用に水で再構成することにより、非経口投与における使用のための製剤が提供される。再構成のために、凍結乾燥した粉末剤は、滅菌水または他の好適な担体に添加される。正確な量は、選択される化合物によって異なる。かかる量は、経験的に判定され得る。
【0144】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体および本明細書に提供される他の組成物はまた、特定の組織、受容体、または治療される対象の身体の他の場所を標的化するように製剤化され得る。多くのかかる標的化の方法は、当業者には周知である。全てのかかる標的化の方法は、本組成物における使用のために本明細書において企図される。標的化の方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、および同第5,709,874号を参照されたい。
【0145】
インビボ投与に使用される組成物は、滅菌であり得る。これは、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0146】
5.ポリヌクレオチド、ベクター、および抗ApoC3抗体を産生する方法
別の態様では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体(例えば、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにベクター、例えば、宿主細胞(例えば、E.coliおよび哺乳動物細胞)における組換え発現のためのかかるポリヌクレオチドを含むベクターが、本明細書に提供される。
【0147】
本明細書で使用される場合、「単離された」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然源において(例えば、マウスまたはヒトにおいて)存在する他の核酸分子から分離したものである。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、他の細胞形質成分、もしくは組換え技術によって産生された場合には培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成された場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないことがある。例えば、「実質的に含まない」という表現は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満(特に、約10%未満)の他の物質、例えば、細胞物質、培養培地、他の核酸分子、化学的前駆体、または他の化学物質を有するポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製物を含む。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体をコードする核酸分子(複数可)は、単離または精製される。
【0148】
具体的な態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)ペプチドに特異的に結合し、本明細書に開示されるアミノ酸配列を含む抗体、ならびにApoC3(例えば、ヒトApoC3)ポリペプチドへの結合についてかかる抗体と競合する(例えば、用量依存的な様式で)か、またはかかる抗体のエピトープと同じエピトープに結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが、本明細書に提供される。
【0149】
特定の態様では、本明細書に開示される抗体の軽鎖または重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが、本明細書に提供される。ポリヌクレオチドは、本明細書に開示される抗体のVH、VL、またはCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る(例えば、本明細書の表1~4を参照されたい)。
【0150】
また、例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列での置き換え、およびmRNA不安定エレメントの排除によって最適化されている、抗ApoC3抗体をコードするポリヌクレオチドも、本明細書に提供される。コドン変化を導入するか、またはmRNAにおける阻害領域を排除することによって、組換え発現のための抗ApoC3抗体(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメイン、またはVLドメイン)をコードする最適化された核酸を生成する方法は、例えば、米国特許第5,965,726号、同第6,174,666号、同第6,291,664号、同第6,414,132号、および同第6,794,498号に記載される最適化方法を適宜適応させることによって実施することができる。例えば、RNA内の潜在的なスプライス部位と不安定エレメント(例えば、A/TまたはA/Uリッチエレメント)は、核酸配列によってコードされるアミノ酸を改変せずに変異させて、組換え発現のためのRNAの安定性を高めることができる。改変は、例えば、同一のアミノ酸の代替コドンを使用して、遺伝暗号の縮重を利用する。いくつかの実施形態では、1つ以上のコドンを改変して、保存的変異、例えば、元のアミノ酸と類似の化学構造および特性または機能を有する類似のアミノ酸をコードすることが望ましい場合がある。かかる方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされた抗ApoC3抗体の発現と比べて、抗ApoC3の発現を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍以上増加させることができる。
【0151】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体(例えば、VLドメインまたはVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に開示される抗ApoC3抗体(例えば、VLドメインまたはVHドメイン)をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、補体)ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体または断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー条件下で、本明細書に開示される抗ApoC3抗体をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に開示される抗ApoC3抗体の最適化されていないヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション条件に関する情報が記載されており、例えば、米国特許出願公開第2005/0048549号(例えば、段落72~73)を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
当該技術分野で既知の任意の方法によって、ポリヌクレオチドが得られ得、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定され得る。本明細書に開示される抗体、例えば、表1に記載される抗体、およびこれらの抗体の修飾バージョンをコードするヌクレオチド配列は、当該技術分野で周知の方法を使用して、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンを、抗体をコードする核酸を生成するように集合させて、判定することができる。抗体をコードするかかるポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから集合させることができ(例えば、Kutmeier G et al.,(1994),BioTechniques 17:242-6に記載されるように)、これは簡潔には、抗体をコードする配列の一部分を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、ならびにその後の、ライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を伴う。
【0153】
代替的には、本明細書に開示される抗体をコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法(例えば、PCRおよび他の分子クローニング法)を使用して、好適な供給源(例えば、ハイブリドーマ)からの核酸から生成することができる。例えば、目的の抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られたゲノムDNAを使用して、既知の配列の3’および5’末端にハイブリダイズすることができる合成プライマーを使用するPCR増幅を実施することができる。かかるPCR増幅法は、抗体の軽鎖または重鎖をコードする配列を含む核酸を得るために使用することができる。かかるPCR増幅法は、抗体の可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得るために使用することができる。増幅した核酸は、宿主細胞における発現のため、ならびに例えば、キメラおよびヒト化抗体を生成するためのさらなるクローニングのためにベクター内にクローニングすることができる。
【0154】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手できないが、抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、配列の3’および5’末端にハイブリダイズすることができる合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または例えば、抗体をコードするcDNAライブラリからのcDNAクローンを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって、好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリ、または本明細書に開示される抗体を発現するために選択されたハイブリドーマ細胞などの、抗体を発現する任意の組織または細胞から生成された抗体cDNAライブラリ、もしくはそれから単離された核酸、好ましくはポリA+RNA)から化学的に合成されるか、またはそれから得ることができる。次いで、PCRにより生成された増幅された核酸は、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
【0155】
本明細書に開示される抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定され得る。ハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの供給源として機能し得る。一旦単離されると、DNAは発現ベクター内に置かれ、これは次いで、別様に免疫グロブリンタンパク質を産生しない、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(登録商標)(Lonza)からのCHO細胞)、または骨髄腫細胞などの宿主細胞内にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞中の抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体の合成を得る。
【0156】
完全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーは、scFvクローンのVHまたはVL配列を増幅させるために使用することができる。当業者に既知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインを、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ4定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅したVLドメインを、軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。特定の実施形態では、VHまたはVLドメインを発現するためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変領域のためのクローニング部位、定常領域、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングされてもよい。次いで、当業者に既知である技術を使用して、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株に同時にトランスフェクトして、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定または一過性細胞株を生成する。
【0157】
DNAはまた、例えば、マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することによって、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を共有結合させることによって修飾され得る。
【0158】
本明細書に開示される抗体をコードするポリヌクレオチドに、高、中、または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも、提供される。特定の実施形態では、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、高、中、または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に提供されるVHドメインまたはVLドメインをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0159】
ハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野で記載されており、当業者には既知である。例えば、ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションは、約45℃の6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、続いて約50~65℃の0.2×SSC/0.1%SDS中での1回以上の洗浄を伴い得る。高ストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーションは、約45℃の6×SSC中でのフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーション、続いて約68℃の0.1×SSC/0.2%SDS中での1回以上の洗浄を伴い得る。他のストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは、当業者には既知であり、記載されており、例えば、Ausubel FM et al.,eds.,(1989)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.I,Green Publishing Associates,Inc.およびJohn Wiley&Sons,Inc.,New Yorkの6.3.1~6.3.6および2.10.3頁を参照されたい。
【0160】
特定の態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体を発現する(例えば、組換えで)細胞(例えば、宿主細胞)、ならびに関連するポリヌクレオチドおよび発現ベクターが、本明細書に提供される。宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞における組換え発現のための抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体または断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)が、本明細書に提供される。また、本明細書に開示されるApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体(例えば、ヒトまたはヒト化抗体)を組換え発現するためのかかるベクターを含む宿主細胞も、提供される。特定の態様では、宿主細胞からのかかる抗体を発現させることを含む、本明細書に開示される抗体を産生するための方法が、本明細書に提供される。
【0161】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体(例えば、本明細書に開示される全長抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、または一本鎖抗体)の組換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を伴う。本明細書に開示される抗体分子、抗体の重鎖または軽鎖(例えば、重鎖または軽鎖可変領域)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当該技術分野で周知の技術を使用する組換えDNA技術によって産生され得る。したがって、ヌクレオチド配列をコードする抗体または抗体断片(例えば、軽鎖または重鎖)を含有するポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製するための方法が、本明細書に開示される。当業者に周知である方法は、配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルをコードする抗体または抗体断片(例えば、軽鎖または重鎖)を含有する発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが含まれる。また、プロモーターに操作可能に連結した、本明細書に開示される抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変領域、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターも、提供される。かかるベクターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列(例えば、国際公開第WO86/05807号および同第WO89/01036号、ならびに米国特許第5,122,464号を参照されたい)を含んでもよく、抗体の可変領域は、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖および軽鎖全体の両方の発現のためのかかるベクターにクローニングされてもよい。
【0162】
発現ベクターは、従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に転送され得、得られた細胞はその後、本明細書に開示される抗体を産生するために従来の技術によって培養され得る。したがって、宿主細胞におけるかかる配列の発現のためのプロモーターに操作可能に連結した、本明細書に開示される抗体、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその断片、または本明細書に開示される一本鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、二本鎖抗体の発現の場合、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、個々に、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞中で共発現され得る。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に開示される抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に開示される抗体またはその断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に開示される抗体またはその断片の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターと、の2つの異なるベクターを含有する。他の実施形態では、第1の宿主細胞は、本明細書に開示される抗体またはその断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターを含み、第2の宿主細胞は、本明細書に開示される抗体の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。特定の実施形態では、第1の細胞によって発現された重鎖/重鎖可変領域は、第2の細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と会合して、本明細書に開示される抗ApoC3抗体を形成した。特定の実施形態では、そのような第1の宿主細胞およびそのような第2の宿主細胞を含む宿主細胞の集団が、本明細書で提供される。
【0163】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に開示される抗ApoC3抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターと、を含むベクターの集団が、本明細書に提供される。
【0164】
多様な宿主発現ベクター系は、本明細書に開示される抗体分子を発現するために使用することができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。かかる宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、その後精製され得るビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされた場合に本明細書に開示される抗体分子を原位置で発現することができる細胞も表す。これらには、抗体コード配列を含有する、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)などの微生物;抗体コード配列を含有する、組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母菌(例えば、Saccharomyces Pichia);抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したか、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Ti plasmid)で形質転換された植物細胞系(例えば、Chlamydomonas reinhardtiiなどの緑藻類);または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS(例えば、COS1もしくはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK 293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7030、HsS78Bst、HeLa、およびNIH 3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、およびBMT10細胞)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体を発現させるための細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(登録商標)(Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体を発現させるための細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。特定の実施形態では、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(登録商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に、全組換え抗体分子の発現の場合、Escherichia coliなどの細菌細胞または真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)が、組換え抗体分子の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルスからの主要な中間体である初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併せて、抗体のための有効な発現系である(Foecking MK&Hofstetter H(1986)Gene 45:101-5およびCockett MI et al.,(1990)Biotechnology 8(7):662-7)。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、CHO細胞またはNS0細胞によって産生される。特定の実施形態では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成型プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターによって制御される。
【0165】
細菌系において、発現される抗体分子について意図される用途に応じて、いくつかの発現ベクターが、有利に選択され得る。例えば、大量のかかる抗体が産生される場合、抗体分子の医薬組成物の生成のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが、望ましくあり得る。かかるベクターには、融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列がlac Zコード領域を有するフレーム中でベクター内に個々にライゲーションされ得る、E.coli発現ベクターpUR278(Ruether U&Mueller-Hill B(1983)EMBO J 2:1791-1794);pINベクター(Inouye S&Inouye M(1985)Nuc Acids Res 13:3101-3109、Van Heeke G&Schuster SM(1989)J Biol Chem 24:5503-5509)などが含まれるが、これらに限定されない。例えば、pGEXベクターは、外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現するために使用することもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合に続く遊離グルタチオンの存在下での溶離により溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されているため、クローニングされた標的遺伝子産物は、GST部分から放出される。
【0166】
昆虫系において、外来遺伝子を発現するためのベクターとして例えば、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を使用することができる。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非本質的な領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)内へ個々にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
【0167】
哺乳動物宿主細胞において、いくつかのウイルスベースの発現系を利用することができる。発現ベクターとしてアデノウイルスが使用される場合、目的の抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび3つに分かれた(tripartite)リーダー配列にライゲーションされ得る。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボ組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非本質的な領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入は、感染した宿主において生存可能であり、抗体分子を発現することができる組換えウイルスをもたらすことになる(例えば、Logan J&Shenk T(1984)PNAS 81(12):3655-9を参照されたい)。また、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために特定の開始シグナルも必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接する配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然と合成の両方の様々な起源のものであり得る。発現の有効性は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含むことによって増強され得る(例えば、Bitter G et al.,(1987)Methods Enzymol.153:516-544を参照されたい)。
【0168】
加えて、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾および加工する宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)および加工(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後加工および修飾のための特徴的かつ特定の機構を有する。適切な細胞株または宿主システムを選択して、発現された外来タンパク質の正しい修飾および加工を保証することができる。この目的のために、遺伝子産物の一次転写物の適切な加工、グリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を保有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(内因的にいずれの免疫グロブリン鎖も産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10、およびHsS78Bst細胞が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体は、CHO細胞などの哺乳動物細胞において産生される。
【0169】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、フコース含有量が低下しているか、またはフコースを含有しない。かかる抗体は、当業者に既知である技術を使用して産生され得る。例えば、抗体は、フコシル化の能力が不足または欠損している細胞において発現され得る。特定の例では、α1,6-フコシル転移酵素の両方のアレルのノックアウトを有する細胞株は、低下したフコース含有量を有する抗体を産生するために使用することができる。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、低下したフコース含有量を有する抗体を産生するために使用することができるようなシステムの一例である。
【0170】
組換えタンパク質の長期的な高収量の産生のために、安定的な発現細胞が生成され得る。例えば、本明細書に開示される抗ApoC3抗体を安定的に発現する細胞株は、操作され得る。特定の実施形態では、本明細書に提供される細胞は、本明細書に開示される抗体を形成するために会合する軽鎖/軽鎖可変領域および重鎖/重鎖可変領域を安定的に発現する。
【0171】
特定の態様では、ウイルス複製開始点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって制御されたDNAで形質転換され得る。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後、改変された細胞を濃縮培地で1~2日間増殖させ、その後選択培地に切り替える。組換えプラスミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを染色体に安定して組み込み、増殖して、結果的に細胞株にクローニングして増殖させることのできるフォーカスを形成することを可能にする。この方法は、本明細書に開示される抗ApoC3抗体を発現する細胞株を操作するために有利に使用することができる。かかる操作された細胞株は、抗体分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価においてとりわけ有用であり得る。
【0172】
いくつかの選択システムを使用することができ、これには、それぞれ、tk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞中の単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler M et al.,(1977)Cell 11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH&Szybalski W(1962)PNAS 48(12):2026-2034)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al.,(1980)Cell 22(3):817-23)遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性は、以下の遺伝子に対する選択の基礎として使用できる:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler M et al.,(1980)PNAS 77(6):3567-70、O’Hare K et al.,(1981)PNAS 78:1527-31);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan RC & Berg P(1981)PNAS 78(4):2072-6);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu GY&Wu CH(1991)Biotherapy 3:87-95、Tolstoshev P(1993)Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573-596、Mulligan RC(1993)Science 260:926-932、およびMorgan RA&Anderson WF(1993)Ann Rev Biochem 62:191-217、Nabel GJ&Felgner PL(1993)Trends Biotechnol 11(5):211-5);ならびにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre RF et al.,(1984)Gene 30(1-3):147-56)。組換えDNA技術の技術分野で一般的に知られている方法は、所望の組換えクローンを選択するために日常的に適用でき、そのような方法は、例えば、Ausubel FM et al.,(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY(1993)、Kriegler M,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990)、およびChapters 12 and 13,Dracopoli NC et al.,(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY(1994)、Colbere-Garapin F et al.,(1981)J Mol Biol 150:1-14(これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0173】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加させることができる(概説について、Bebbington CR&Hentschel CCG,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を参照されたい)。抗体を発現するベクター系のマーカーが増幅可能であるとき、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが増加すると、マーカー遺伝子のコピー数が増加するであろう。増幅された領域が抗体遺伝子に関連するため、抗体の産生も増加することになる(Crouse GF et al.,(1983)Mol Cell Biol 3:257-66)。
【0174】
宿主細胞を、重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクターの、本明細書に記載される2つ以上の発現ベクターで同時にトランスフェクトすることができる。2つのベクターは同一の選択可能なマーカーを含有し得、これらは重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする。宿主細胞を、異なる量の2つ以上の発現ベクターで同時にトランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞は、第1の発現ベクターと第2の発現ベクターの比率の1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50のうちのいずれか1つでトランスフェクトすることができる。
【0175】
代替的には、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、かつこれらを発現することができる単一のベクターを使用することができる。かかる状況では、過剰な毒性を有しない重鎖を回避するために、重鎖の前に軽鎖が置かれるべきである(Proudfoot NJ(1986)Nature 322:562-565およびKohler G(1980)PNAS 77:2197-2199)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。発現ベクターは、モノシストロン性またはマルチシストロン性であり得る。マルチシストロン性核酸構築物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上、または2~5、5~10、もしくは10~20個の範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列をコードすることができる。例えば、バイシストロン性核酸構築物は、以下の順序で、プロモーター、第1の遺伝子(例えば、本明細書に開示される抗体の重鎖)、および第2の遺伝子および(例えば、本明細書に開示される抗体の軽鎖)を含み得る。かかる発現ベクターにおいて、両方の遺伝子の転写はプロモーターによって駆動され得る一方、第1の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存性スキャニング機構によるものであり得、第2の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存性機構、例えばIRESによるものであり得る。
【0176】
一旦本明細書に開示される抗体分子が組換え発現によって産生されると、これは、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にタンパク質Aの後の特定の抗原に対する親和性、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解度、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的技術によって精製され得る。さらに、本明細書に開示される抗体を、本明細書に開示されるか、または他の様式で当該技術分野において既知である異種ポリペプチド配列に融合させて、精製を容易にすることができる。
【0177】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、単離または精製されている。一般に、単離された抗体は、単離された抗体とは異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体の調製物は、細胞物質または化学的前駆体を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という表現は、抗体が、それがそこから単離または組換え産生された細胞の細胞成分から分離されている抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まない抗体には、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満(乾燥重量で)の異種タンパク質(本明細書において「混在タンパク質」とも称される)を有する抗体の調製物、または抗体のバリアント、例えば、抗体の異なる翻訳後修飾形態もしくは抗体の他の異なるバージョン(例えば、抗体断片)が含まれる。抗体が組換え産生された場合、これはまた、培養培地も概して実質的に含まず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満を占める。抗体が化学的合成によって産生された場合、これは化学的前駆体または他の化学物質を概して実質的に含まず、すなわち、これは、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離されている。したがって、抗体のかかる調製物は、約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)の化学的前駆体または目的の抗体以外の化合物を有する。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、単離または精製されている。
【0178】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体は、抗体の合成のための当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、化学的合成によって、または組換え発現技術によって産生され得る。本明細書に開示される方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成および修飾、核酸ハイブリダイゼーション、ならびに当該技術分野内の関連分野における従来の技術を用いる。これらの技術は、例えば、本明細書に引用された参考文献に記載されており、文献に完全に説明されている。例えば、Maniatis T et al.,(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Sambrook J et al.,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Sambrook J et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、Ausubel FM et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons(1987 and annual updates)、Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons(1987 and annual updates)Gait(ed.)(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press、Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press、Birren B et al.,(eds.)(1999)Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0179】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、例えば、合成、遺伝子操作を介したDNA配列の作製を伴う任意の手段によって調製、発現、作製、または単離された抗体(例えば、組換え抗体)である。特定の実施形態では、かかる抗体は、インビボで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖系列レパートリー内に天然で存在しない配列(例えば、DNA配列またはアミノ酸配列)を含む。
【0180】
一態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体を作製する方法であって、本明細書に開示される細胞または宿主細胞を培養することを含む、方法が本明細書に提供される。特定の態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体を作製する方法であって、本明細書に開示される細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に開示される抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞)を使用して抗体を発現させること(例えば、組換え発現させること)を含む、方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、細胞は、単離された細胞である。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドが、細胞に導入されている。特定の実施形態では、本方法は、細胞または宿主細胞から得られた抗体を精製するステップをさらに含む。
【0181】
ポリクローナル抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel FM et al.,eds.,John Wiley and Sons,New Yorkの第11章を参照されたい)。
【0182】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはこれらの組み合わせの使用を含む、当該技術分野で既知の幅広い技術を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知であり、かつ例えば、Harlow E&Lane D,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、1988)、Hammerling GJ et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563 681(Elsevier,N.Y.,1981)に教示されるものを含む、ハイブリドーマ技術を使用して産生され得る。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生された抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、本明細書に開示される抗体、例えば、かかる抗体の軽鎖または重鎖を外因的に発現する宿主細胞から組換え産生され得る。
【0183】
特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、単一の細胞(例えば、組換え抗体を産生するハイブリドーマまたは宿主細胞)によって産生され、抗体は、例えば、ELISA、または当該技術分野で既知であるか、もしくは本明細書に提供される実施例における他の抗原結合もしくは競合結合アッセイによって判定されるように、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体であり得る。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、一価抗体または多価(例えば、二価)抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、単一特異性または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。本明細書に開示されるモノクローナル抗体は、例えば、Kohler G&Milstein C(1975)Nature 256:495に記載されるハイブリドーマ法により作製され得るか、または例えば、本明細書に開示される技術を用いてファージライブラリーから単離され得る。クローン細胞株、およびそれにより発現されたモノクローナル抗体の調製のための他の方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel FM et al.,(上記)の第11章を参照されたい)。
【0184】
ハイブリドーマ技術を使用して特定の抗体を産生およびスクリーニングするための方法は、慣例的であり、当該技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマ法において、マウス、またはヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、もしくはマカクザルなどの他の適切な宿主動物に免疫付与して、免疫付与に使用されるタンパク質(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))に特異的に結合することになる抗体を産生するか、またはそれを産生することができるリンパ球を誘発する。代替的には、リンパ球は、インビトロで免疫付与され得る。その後、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用してリンパ球を骨髄腫細胞に融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding JW(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。さらに、RIMMS(繰り返し免疫複数部位)技術を使用して、動物に免疫付与することができる(Kilpatrick KE et al.,(1997)Hybridoma 16:381-9、参照によりその全体が組み込まれる)。
【0185】
いくつかの実施形態では、マウス(またはラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、もしくはイヌなどの他の動物)に、抗原(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))で免疫付与することができ、一旦免疫応答が検出される(例えば、抗原に特異的な抗体がマウス血清中で検出される)と、マウス脾臓を採取し、脾細胞を単離した。次いで、周知の技術によって脾細胞を任意の好適な骨髄腫細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))(Manassas,VA)から入手可能な細胞株SP20に融合させて、ハイブリドーマを形成する。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によってクローニングする。特定の実施形態では、免疫付与したマウスのリンパ節を採取し、NS0骨髄腫細胞と融合させる。
【0186】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、未融合の親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する好適な培養培地中で播種および増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含むことになり(HAT培地)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0187】
特定の実施形態は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定的な高レベルの産生を支持し、HAT培地などの培地に対して感応性である骨髄腫細胞を用いる。これらの骨髄腫細胞株の中には、マウス骨髄腫細胞株、例えば、NS0細胞株、またはSalk Institute Cell Distribution Center(San Diego,CA,USA)から入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍、ならびにAmerican Type Culture Collection(Rockville,MD,USA)から入手可能なSP-2もしくはX63-Ag8.653細胞に由来するものがある。ヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor D(1984)J Immunol 133:3001-5、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0188】
ハイブリドーマ細胞を増殖させている培養培地を、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、当該技術分野で既知の方法、例えば、免疫沈降法によって、または放射免疫測定法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって判定される。
【0189】
所望の特異性、親和性、または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の同定後、クローンは、限界希釈手順によりサブクローニングされ、標準方法によって増殖され得る(Goding JW(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(上記))。この目的のために好適な培養培地には、例えば、D-MEMまたはRPMI 1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖され得る。
【0190】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、好適には、例えば、タンパク質A-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、透析、または親和性クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水液、または血清から分離される。
【0191】
本明細書に開示される抗体には、特異的ApoC3(例えば、ヒトApoC3)を認識し、かつ当業者に既知である任意の技術によって生成され得る抗体断片が含まれる。例えば、本明細書に開示されるFabおよびF(ab’)2断片は、パパイン(Fab断片を産生するため)またはペプシン(F(ab’)2断片を産生するため)などの酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって産生され得る。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームのうちの一方に対応し、かつ重鎖のVHおよびCH1ドメインと対になった完全な軽鎖を含有する。F(ab’)2断片は、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合によって結合した抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0192】
さらに、本明細書に開示される抗体はまた、当該技術分野で既知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成することもできる。ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリ(例えば、患部組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリ)から増幅される。VHおよびVLドメインをコードするDNAを、PCRによってscFvリンカーと共に組換え、ファージミドベクターにクローニングする。ベクターをE.coliにエレクトロポレーションし、E.coliにヘルパーファージを感染させる。これらの方法に使用するファージは、典型的には、fdおよびM13を含む繊維状ファージであり、VHおよびVLドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換え融合されている。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、例えば、標識抗原、または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して選択または同定され得る。本明細書に開示される抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例としては、Brinkman U et al.,(1995)J Immunol Methods 182:41-50、Ames RS et al.,(1995)J Immunol Methods 184:177-186、Kettleborough CA et al.,(1994)Eur J Immunol 24:952-958、Persic L et al.,(1997)Gene 187:9-18、Burton DR & Barbas CF(1994)Advan Immunol 57:191-280、PCT出願第PCT/GB91/001134号、国際公開第WO90/02809号、同第WO91/10737号、同第WO92/01047号、同第WO92/18619号、同第WO93/11236号、同第WO95/15982号、同第WO95/20401号、および同第WO97/13844号、ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、および同第5,969,108号に開示されるものが挙げられる。
【0193】
上記の参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージからの抗体コード領域は、単離され、ヒト抗体を含む全抗体、または任意の他の所望の抗原結合断片を生成するために使用され、例えば、以下に記載されるように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母菌、および細菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。PCT公開第WO92/22324号、Mullinax RL et al.,(1992)BioTechniques 12(6):864-9、Sawai H et al.,(1995)Am J Reprod Immunol 34:26-34、およびBetter M et al.,(1988)Science 240:1041-1043に開示されものなどの当該技術分野で既知の方法を使用して、Fab、Fab’、およびF(ab’)2断片などの抗体断片を組換え産生する技術も用いられ得る。
【0194】
特定の実施形態では、完全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、鋳型、例えばscFvクローンからVHまたはVL配列を増幅させることができる。当業者に既知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインを、VH定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅したVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VHおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。次いで、当業者に既知である技術を使用して、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを、細胞株に同時にトランスフェクトして、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定または一過性細胞株を生成する。
【0195】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合した、マウスまたはラットモノクローナル抗体の可変領域を含有し得る。キメラ抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、Morrison SL(1985)Science 229:1202-7、Oi VT & Morrison SL(1986)BioTechniques 4:214-221、Gillies SD et al.,(1989)J Immunol Methods 125:191-202、ならびに米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、および同第6,331,415号を参照されたい。
【0196】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域と、非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グロブリン)のアミノ酸配列を実質的に有するCDRと、を含む。特定の実施形態では、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的には、ヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも一部分も含む。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含むことができる。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリン、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む任意のアイソタイプから選択することができる。ヒト化抗体は、CDR移植(欧州特許第EP239400号、国際公開第WO91/09967号、および米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、および同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)または再表面化(resurfacing)(欧州特許第EP592106号および同第EP519596号、Padlan EA(1991)Mol Immunol 28(4/5):489-498、Studnicka GM et al.,(1994)Prot Engineering 7(6):805-814、およびRoguska MA et al.,(1994)PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第WO93/17105号、Tan P et al.,(2002)J Immunol 169:1119-25、Caldas C et al.,(2000)Protein Eng.13(5):353-60、Morea V et al.,(2000)Methods 20(3):267-79、Baca M et al.,(1997)J Biol Chem 272(16):10678-84、Roguska MA et al.,(1996)Protein Eng 9(10):895 904、Couto JR et al.,(1995)Cancer Res.55(23 Supp):5973s-5977s、Couto JR et al.,(1995)Cancer Res 55(8):1717-22、Sandhu JS(1994)Gene 150(2):409-10、およびPedersen JT et al.,(1994)J Mol Biol 235(3):959-73を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の多様な技術を使用して産生され得る。米国特許出願公開第2005/0042664A1号(2005年2月24日)も参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0197】
多重特異性(例えば、二重特異性抗体)を作製するための方法は記載されており、例えば、米国特許第7,951,917号、同第7,183,076号、同第8,227,577号、同第5,837,242号、同第5,989,830号、同第5,869,620号、同第6,132,992号、および同第8,586,713号を参照されたい。
【0198】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当該技術分野で周知の方法によって産生され得る。Riechmann L&Muyldermans S(1999)J Immunol 231:25-38、Nuttall SD et al.,(2000)Curr Pharm Biotechnol 1(3):253-263、Muyldermans S,(2001)J Biotechnol 74(4):277-302、米国特許第6,005,079号、および国際公開第WO94/04678号、同第WO94/25591号、および同第WO01/44301号を参照されたい。
【0199】
さらに、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体は、同様に、当業者に周知の技術を使用して、抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成するために利用することができる。(例えば、Greenspan NS&Bona CA(1989)FASEB J 7(5):437-444およびNissinoff A(1991)J Immunol 147(8):2429-2438を参照されたい)。
【0200】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体と同じApoC3(例えば、ヒトApoC3)のエピトープに結合する本明細書に開示される抗体は、ヒト抗体である。特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体のいずれか1つのApoC3(例えば、ヒトApoC3)への結合を(例えば、用量依存的様式で)競合的にブロックする本明細書に開示される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当業者に既知である任意の方法を使用して産生され得る。例えば、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用することができる。特に、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムに、または相同組換えによって、マウス胚幹細胞内に導入され得る。代替的には、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域がマウス胚幹細胞内に導入され得る。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別個に、または同時に非機能性となってもよい。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体産生を防止する。改変された胚性幹細胞を増殖し、胚盤胞に微量注入して、キメラマウスを産生する。その後、キメラマウスを繁殖させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を産生する。トランスジェニックマウスに通常の様式で、選択された抗原、例えば、抗原(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))の全てまたは一部分で免疫付与する。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫付与したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞分化中に再構成し、その後、クラススイッチおよび体細胞変異を受ける。このように、かかる技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概説については、Lonberg N&Huszar D(1995)Int Rev Immunol 13:65-93を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、ならびにかかる抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、国際公開第WO98/24893号、同第WO96/34096号、および同第WO96/33735号、ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、および同第5,939,598号を参照されたい。ヒト抗体を産生することができるマウスの例としては、Xenomouse(登録商標)(Abgenix,Inc.、米国特許第6,075,181号および同第6,150,184号)、HuAb-Mouse(登録商標)(Mederex,Inc./Gen Pharm、米国特許第5,545,806号および同第5,569,825号)、Trans Chromo Mouse(登録商標)(Kirin)、ならびにKM Mouse(登録商標)(Medarex Kirin)が挙げられる。
【0201】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用する上記のファージディスプレイ法を含む、当該技術分野で既知の多様な方法によって作製され得る。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、および同第5,885,793号、ならびに国際公開第WO98/46645号、同第WO98/50433号、同第WO98/24893号、同第WO98/16654号、同第WO96/34096号、同第WO96/33735号、および同第WO91/10741号も参照されたい。
【0202】
いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、マウス-ヒトハイブリドーマを使用して産生することができる。例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)で形質転換されたヒト末梢血リンパ球をマウス骨髄腫細胞と融合させて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリドーマを産生することができ、これらのマウス-ヒトハイブリドーマをスクリーニングして、標的抗原(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを判定することができる。かかる方法は既知であり、当該技術分野で記載されている(例えば、Shinmoto H et al.,(2004)Cytotechnology 46:19-23、Naganawa Y et al.,(2005)Human Antibodies 14:27-31を参照されたい)。
【0203】
6.キット
本明細書に開示される1つ以上の抗体またはその医薬組成物もしくはコンジュゲートを含むキットも提供される。特定の実施形態では、本明細書に提供される1つ以上の抗体などの、本明細書に開示される医薬組成物の1つ以上の成分で充填した1つ以上の容器を含む薬学的パックまたはキットが、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される医薬組成物と、本明細書に開示されるものなどの任意の予防剤または治療剤と、を含有する。このような容器に必要に応じて付随するのは、医薬品または生物学的製剤の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知であり得、この通知はヒトの投与のために製造、使用、または販売の代理店による承認を反映している。
【0204】
さらに提供されるのは、上述の方法で使用できるキットである。一実施形態では、キットは、本明細書に開示される抗体、好ましくは精製された抗体を1つ以上の容器に含む。特定の実施形態では、本明細書に開示されるキットは、実質的に単離されたApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原を対照として含有する。別の特定の実施形態では、本明細書に開示されるキットは、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)と反応しない対照抗体をさらに含む。別の特定の実施形態では、本明細書に開示されるキットは、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原への抗体の結合を検出するために1つ以上のエレメントを含有する(例えば、抗体は、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物、または発光化合物などの検出可能な基質にコンジュゲートされ得るか、第1の抗体を認識する第2の抗体は、検出可能な基質にコンジュゲートされ得る)。特定の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、組換えにより生成または化学合成されたApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原を含むことができる。キットで提供されるApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原はまた、固体支持体に結合していてもよい。より具体的な実施形態では、上記のキットの検出手段は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原が結合している固体支持体を含む。かかるキットはまた、非結合リポーター標識抗ヒト抗体または抗マウス/ラット抗体を含んでもよい。この実施形態では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原への抗体の結合は、当該リポーター標識抗体の結合によって検出され得る。
【実施例0205】
以前に同定された抗体クローン5E5は、pH7.4での高い親和性、およびpH5.5での若干低減した親和性でApoC3に結合する(米国仮特許出願第62/360,084号を参照されたい)。本開示は、5E5と比較して、pH7.4でのApoC3への高親和性結合を示すが、pH5.5でのApoC3へのより低減した親和性を示すクローン5E5の新規誘導体を提供する。以下の実施例は、新規5E5誘導体の特性評価について記載する。5E5のアミノ酸配列は、米国仮特許出願第62/360,084号に記載されおり、新規5E5誘導体のアミノ配列は、本明細書の表1~7に示される。
【0206】
このセクション中の実施例は、本出願の利点および特徴をさらに明瞭にするために提供されるが、本出願の範囲を限定することは意図しない。実施例は、例示目的のみのためのものである。
【0207】
実施例1:抗ApoC3 scFv-Fc抗体のインビトロ特性評価。
この実施例は、抗ApoC3 scFv-Fc抗体のpH7.4およびpH5.5の両方での抗原-結合速度を判定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)ベース実験を記載する。
【0208】
抗体クローン5E5の新規誘導体のパネルを、5E5のVHおよび/またはVL内で、ヒスチジンと共に1種以上のCDRアミノ酸の置換によって生成した。各5E5誘導体のpH7.4およびpH5.5の両方での抗原-結合速度を、SPRベース法を使用して評価し、5E5と比較して、pH7.4でのApoC3への高親和性結合を示すが、pH5.5でのApoC3へのより低減した親和性を示すクローンを、さらなる特性評価のために選択した。例示的な5E5誘導体5E5VH5_VLWT、5E5VH12_VLWT、および5E5VHWT_VL8の結合速度を、表14に示す。
【0209】
試験抗体を、50mlの小規模培養でトランスフェクトHEK293細胞から産生し、AKTA純粋クロマトグラフィーシステムを使用してタンパク質Aクロマトグラフィーによって精製した。精製された抗体断片の品質および収量を、分光光度法およびSDS-PAGEによって判定した。
【0210】
SPRベース法を用い、ビオチン化ヒトApoC3を、ストレプトアビジン(SA)でコーティングしたチップ上に捕捉し、コーティングしたチップに対する試験抗体の結合速度を、pH7.4およびpH5.5の両方で測定した。簡潔には、約500RUの表面密度に達するように、20μlのビオチン化ヒトApoC3を、10μg/mlの濃度で注入した。60μlの各試験抗体を、HBS-EP緩衝液(GE、カタログ番号BR-1008-26;0.010MのHEPES、0.150MのNaCl、3mMのEDTA、0.05(v/v)%界面活性剤P20、pH7.4)中で希釈し、1~100nMの濃度で注入した。試験抗体を、30μl/分の流量でフローセルに通し、続いてpH7.4またはpH5.5で5分間オフ速度洗浄した。ラングミュア1:1結合モデルを適用するBIAevaluation4.1ソフトウェアを使用して、得られたセンサーグラムを分析して、結合速度を得た。データをゼロ調節し、参照セルセンサーグラムを減じた。
【表14】
【0211】
試験される全てのscFv-Fc抗体は、pH5.5よりもpH7.4でApoC3に対してより高い親和性を示し、抗体5E5VH12_VLWTは、最も顕著なpH依存性結合を示した(表14を参照されたい)。pH依存性結合の大きさは、酸性条件下で解離速度と正の相関関係にあった。
【0212】
実施例2:抗ApoC3ヒトIgG
1抗体のインビトロ特性評価。
実施例1の結果に基づいて、試験scFv-Fc抗体を、ヒトIgG
1抗体として生成した。SPRベースアッセイを用い、ヒトApoC3タンパク質を、CM5チップ上に固定し、コーティングしたチップに対する試験抗体の結合速度を、pH7.4およびpH5.5の両方で測定した。簡潔には、10mMの酢酸緩衝液(pH4.5)中、50μg/mlの天然ヒトApoC3の溶液を調製し、表面密度が約500RUに達するまで注入した。60μlの各試験抗体を、HBS-EP緩衝液(GE、カタログ番号BR-1008-26、0.010MのHEPES,0.150MのNaCl、3mMのEDTA、0.05(v/v)%界面活性剤P20、pH7.4)中で希釈し、表9に記載される濃度で注入した。試験抗体を、30μl/分の流量でフローセルに通し、続いてpH7.4またはpH5.5で5分間オフ速度洗浄した。ラングミュア1:1結合モデルを適用するBIAevaluation4.1ソフトウェアを使用して、得られたセンサーグラムを分析して、結合速度を得た。データをゼロ調節し、参照セルセンサーグラムを減じた。
【表15】
【0213】
試験される全ての抗体は、pH7.4でヒトApoC3に結合し、かつpH5.5でApoC3への低減した親和性を有した(表15を参照されたい)。5E5VH5_VLWT、5E5VH12_VLWT、5E5VH5_VL8、および5E5VH12_VL8は、部分的に顕著なpH依存性結合を示す。
【0214】
実施例3:肝細胞によるVLDLの取り込みに対する抗ApoC3抗体の効果。
この実施例では、肝細胞によるVLDLの取り込みを減衰させるための抗ApoC3抗体の能力が、判定された。
【0215】
簡潔には、HepG2細胞(ATCC Hb-8065)を、10%FCSを補充した完全最小必須培地(MEM)中、24時間、かつ0.0125%ウシ血清アルブミン(MEM-BSA培地)を補充した完全MEM中、さらに24時間、ポリ-d-リジンでコーティングした表面上で培養した。細胞を、新鮮なMEM-BSA培地中で、3μΜのヒトApoC3タンパク質(Athens Research and Technology)、およびIgG1フォーマットの3μΜの試験抗体で15分間プレインキュベートし、30μg/mLのApoC3枯渇DiI標識VLDL(Kalen Biomedical,LLC#770130-9)を、培地に添加した。4時間のインキュベーション後、細胞を、1%イントラリピドを補充した新鮮な完全MEMで20分間さらにインキュベートした。細胞によって取り込まれるDiI標識VLDLの量を、室温で15分間、細胞をイソプロパノールで溶解し、溶解物(ex=520nm、em=580)中でDiI標識の蛍光を測定し、標準曲線を使用してDiI標識VLDLの量を計算し、溶解物中の全タンパク質量に基づいてデータを正規化することにより判定した。データは、GraphPad Prism 6を使用してグラフ化され、平均+/-標準誤差として報告される。GraphPad Prism 6を使用して複数の比較を伴う一元配置分散分析を計算した。
【0216】
図1A、1B、および1Cに示されるように、5E5WT、5E5VHWT_VL8、5E5VH5_VLWT、5E5VH12_VLWT、および5E5VH5_VL8抗体は、HepG2細胞によるVLDLの取り込みを増加させた。特に、5E5VHWT_VL8、5E5VH5_VLWT、5E5VH12_VLWT、および5E5VH5_VL8抗体は全て、ApoC3の存在下でVLDLの取り込みを完全に回復した。
【0217】
実施例4:抗ApoC3抗体の薬物動態学および薬力学。
この実施例は、ヒトApoC3のトランスジェニック発現によってトリグリセリドクリアランスが正常に機能しないマウスモデルを使用して、5E5VH5_VL8抗体のインビボ特性評価を記載する。
【0218】
4.1 マウスモデルの生成
標準的な食物の食餌で維持される60~63日齢の野生型C57BL/6雄マウスに、チロキシン結合グロブリン(TBG)プロモーター(RegenXBio)に操作可能に連結した、ヒトApoC3遺伝子を保有するAAV8ベクターの3×1011個のウイルス粒子を腹腔内投与によって感染させた。投与から12日後に、血液試料を後眼窩洞から採集し、血液試料中のヒトApoC3のレベルを、一次抗ApoC3抗体(Abcamウサギポリクローナル抗ヒトApoC3#ab21032)、および二次ApoC3抗体(AbcamヤギポリクローナルビオチンコンジュゲートApoC3#ab21024)を使用して、ELISAによって測定した。感染マウスにおいて、ヒトApoC3の平均血清レベルは、9.9μΜであった。4時間の絶食後の平均循環トリグリセリドレベルは、これらのマウスにおいて163mg/dLであり、一方対照マウスにおける平均循環トリグリセリドレベルは、109mg/dL(p=0.0065)であった。
【0219】
その後、全ての群が12日目に同様の平均ApoC3レベルを有するようにマウスを群分けした。AAV感染から14日後に、後眼窩洞から血液試料を採集して、ベースライン(T=0)ApoC3レベルを確立した。25mg/kgの試験抗ApoC3ヒトIgG1抗体を、背部皮下腔内への注射により各マウスに投与した。抗鶏卵リソソームヒトIgG1抗体(HyHEL5)をアイソタイプ対照として使用した。試験抗体の投与から0、2、4、8、および24時間後、ならびにその後30日間にわたりおよそ2日ごとに血液試料を、後眼窩洞から採集した。全ての動物実験は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animals of the National Institutes of Healthにおける推奨に従って実施した。全ての手順は、Institutional Animal Care and Use Committee of Vascumab,LLCによって承認された。
【0220】
4.2 抗ApoC3抗体の薬物動態
ヒトApoC3を発現するマウスを生成し、セクション4.1に記載されるように処置した。ELISAアッセイを用いてヒトIgG1抗体の血漿レベルを判定した。具体的には、96ウェルプレート(Griener#655061)を、PBS中で希釈した50μLの一次IgG抗体(Fitzgerald 41-XG57ヤギ抗ヒトIgG Fcポリクローナル)で、4℃で一晩コーティングした。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、PBS中の、3%BSA(Roche BSA画分Vプロテアーゼ不含#03 117 332 001)およびクリアミルク(Pierce Clear Milk Blocker#37587)からなる200μLのブロック緩衝液を用いて30℃で90分間ブロックした。ブロック緩衝液を除去し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの試験試料を添加し、300rpmでの回転と共に室温で2時間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの二次抗体(Abcamヤギ抗ヒトIgG-Fc(ビオチン)ポリクローナル#ab97223)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で1時間インキュベートさせた。TBS-Tでプレートを1回洗浄し、PBS中で100倍希釈した50μLのSA-HRP(Abcam#64269)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で30分間インキュベートさせた。次いで、200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、80μLのTMBで開発した。50μLの0.5N HCLにより発色反応を停止させた。吸光度を波長450nmで読み出した。精製された試験抗体を使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメーター適合から試験ウェル中のヒトIgGの量を計算した。この方法は、ヒトApoC3を特異的に検出し、マウスApoC3と交差反応しない。
【0221】
図2Aに示されるように、5E5抗体は、ヒトApoC3を発現するマウス内で急速に分解された。これは、ApoC3含有脂質粒子の取り込みを通して、ApoC3の急速な交代によって説明することができる。より低いpHでのApoC3への低減した親和性を有する5E5VH5_VL8抗体は、酸性オルガネラ中でApoC3から解離し得、エンドソーム再利用を介して血流に戻り得る。5E5VH5_VL8の半減期は、約1週間であり、アイソタイプ対照抗体HyHel5(マウス内の特定の抗原に結合しない抗体)の半減期と同様である。5E5VH5_VL8の血漿レベルは、注射後約1カ月でベースラインに戻る。5E5VH5_VL8の延長された半減期は、血清中の抗体の治療レベルを維持するために必要な低い投与頻度のため、この抗体を臨床用途の優れた候補にする。
【0222】
4.3 抗ApoC3抗体の薬力学
ヒトApoC3を発現するマウスを生成し、セクション4.1に記載されるように処置した。ELISAアッセイを用いてヒトApoC3およびApoBの血漿レベルを判定した。具体的には、96ウェルプレート(Griener#655061)を、PBSで希釈した50μLの一次ApoC3抗体(Abcamウサギポリクローナル抗ヒトApoC3#ab21032)または50μLの一次ApoB抗体(Meridian Life Sciencesヤギポリクローナル抗ヒトApoB#K45253G)で、4℃で一晩コーティングした。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、200μLのブロック緩衝液(PBS中のPierce Clear Milk Blocker#37587)を用いて30℃で90分間ブロックした。ブロック緩衝液を除去し、ブロック緩衝液で希釈した50μLの試験試料を添加し、300rpmでの回転と共に室温で2時間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、ブロック緩衝液で希釈した50μLの二次ApoC3抗体(AbcamヤギポリクローナルビオチンコンジュゲートApoC3#ab21024)または二次ApoB抗体(Meridian Life SciencesヤギポリクローナルビオチンコンジュゲートApoB48/100#34003G)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で1時間インキュベートさせた。TBS-Tでプレートを1回洗浄し、PBS中で100倍希釈した50μLのSA-HRP(Abcam#64269)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で30分間インキュベートさせた。次いで、200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、80μLのTMB(Thermo Ultra-TMB ELISA#34028)、続いて50μLの0.5N HCLで開発した。吸光度を450nmで読み出した。精製されたApoC3(Athens Research and Technology)を使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメーター適合から試験ウェル中のApoC3の量を計算した。遠心分離によって単離したマウスVLDLを使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメーター適合から、試験ウェル中のApoBの量を計算した(ApoB含量は全タンパク質含量の20%であると想定する)。データを計算し、HyHel5対照抗体で処置したマウスにおける対応するレベルと比較して、パーセンテージ値としてプロットした。
【0223】
図2Bおよび2Cに示されるように、5E5抗体は、初めにヒトApoC3およびApoBの血漿レベルを低減させたが、レベルは、約2日後正常に戻った。対照的に、5E5VH5_VL8は、約1カ月間ヒトApoC3およびApoBの血漿レベルを低減させた。この長い有効期間は、5E5VH5_VL8の長い半減期に一致し、5E5VH5_VL8は、優れた臨床候補であろうことを確認した。
【0224】
実施例5:抗ApoC3抗体のヒト化。
5E5VH5_VL8のヒト化バリアントは、WO2012123586A1に記載されている「生殖系列化」方法に従って生成された。簡潔には、同じ標準的な折り畳み構造と5E5VH5_VL8のVHおよびVL領域に対する最高のアミノ酸配列同一性を持つヒト生殖系列遺伝子セグメントは、既知のヒト生殖系列遺伝子配列と比較することによって識別された。最も近いヒト重鎖および軽鎖生殖系列配列は、それぞれ、ヒトIGHV3-23*01およびヒトIGKV2-28*01であった。5E5VH5_VL8バリアントのファージディスプレイFabライブラリが構築され、ヒトIGHV3-23*01およびIGKV2-28*01生殖系列配列とは異なる5E5VH5_VL8のアミノ酸残基にヒト化変異が組み込まれ、各標的位置のラマ残基およびヒト残基がライブラリでも同様に提示された。配列責任モチーフDG、DS、NR、またはMを削除する変異もまた、ライブラリに組み込まれた。いくつかのラウンドの親和性駆動型ファージディスプレイ選択の後に、最高の標的結合特性(例えば、pH7.4でのApoC3への高親和性結合、ただしpH5.5でのApoC3へのより低減した親和性)を持つヒト化5E5VH5_VL8バリアントが、特定された。
【0225】
上記の初期選択およびスクリーニングから、高い親和性、pH依存性結合を保持する20個のヒト化抗ApoC3抗体が、特定された。これらの抗体のVHおよびVκコード配列を発現ベクターにクローニングし、完全長IgG1分子としてExpiCHO-S細胞で産生した。次いで、AKTA PureシステムでHitrap MabSelect Sureカラム(GE、カタログ番号11-0034-94)を使用して抗体を精製した。抗体を、pH3.0で1.0mlの0.1Mクエン酸塩緩衝液を使用して溶出し、溶出画分を、中和のために0.1mlのTris-HCl pH9.0を含むチューブに収集した。AKTA PureシステムのHiTrap脱塩カラムを使用して、抗体含有画分をプールし、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS;NaCl 137mM、KCl 3mM、Na2HPO4 8mM、KH2PO4 15mM、pH7.4)で脱塩した。タンパク質濃度は、280nmでの吸光度を測定し、減衰係数を次のように補正して決定した:(A280nm-A340nm)/ε(減衰係数(g/L))。精製された試料は、試料の正しいサイズおよび純度を確認するために、還元および非還元条件下でSDS-PAGEによって検査された。
【0226】
2つの異なる表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイは、ヒト化抗ApoC3抗体のpH依存性会合および解離パラメーターを評価するために行われた。2つのアッセイの方法および結果を以下に示す。
【0227】
5.1 固定化ApoC3に結合するヒト化抗ApoC3抗体のSPR分析
ビオチン化天然ヒトApoC3を、Biacoreによって提供される方法に従い、20μlの10μg/mlのビオチン化天然ヒトApoC3の注入によって、pH7.4でストレプトアビジンでコーティングしたSPRチップ(GE Healthcare、カタログ番号BR100032)上で捕捉し、それにより約500RUの表面密度に達した。HBS-EP緩衝液(GE、カタログ番号BR-1008-26、0.010MのHEPES、0.150MのNaCl、3mMのEDTA、0.05(v/v)%界面活性剤P20、pH7.4)中で希釈された1~50nMの範囲の60μLの試験抗体を注入し、30μl/分の流量でフローセルに通し、続いてpH7.4で5分間オフ速度洗浄した。解離後、10μlの10mMのNaOH/1MのNaClおよび10μlの10mMのグリシン(pH1.5)を注入することによってフローセル表面を再生させた。同じ一般的なプロトコルを使用して、pH5.5でアッセイを繰り返した。ここで、ランニングおよび試料希釈緩衝液を、10mMの最終濃度までクエン酸緩衝液を補充したHBS-EP緩衝液で置き換え、pHを5.5に調整した。
【0228】
ラングミュア1:1結合モデルを使用するBIAevaluation4.1ソフトウェアを使用して、得られたセンサーグラムを分析して、結合速度を得た。データをゼロ調節し、参照セルセンサーグラムを減じた。センサーグラムは、検体を含まないブランクアッセイに二重に参照された。オフ速度値が装置の検出限界kd:1×10-6 1/sを下回る場合、適合したパラメーターは適用できないと見なされた。
【0229】
生成されたヒト化抗体について、計算された速度論的パラメーターの概要を表16に示す。
図3は、2つのアッセイpH値で、25nMの均一なmAb濃度で生成された各ヒト化mAbのオーバーレイされたセンサーグラムを示す。
【表16-1】
【表16-2】
【0230】
図3に示されるように、mAb1からmAb6は、pH7.4とpH5.5の両方で非常に低いオフ速度を示した。それらのpH5.5での見かけの親和性は、5E5VH5_VL8と比較して改善され、pH依存性の標的結合は、観察されなかった。mAb7抗体は、pH5.5でオフ速度が高く、pHに依存する明確な標的結合を示す。しかしながら、両方のpH値での結合フェーズのRmax値は、5E5VH5_VL8の値よりも高かった。mAb8からmAb12への抗体は、pH7.4で非常に低いオフ速度を示し、pH7.4よりもpH5.5でより高いRmaxレベルを示した。それらのpH5.5での見かけの親和性は、5E5VH5_VL8と比較して改善され、pH依存性の標的結合は、観察されなかった。mAb13およびmAb14抗体は、HCDRおよびLCDR配列を最も近いヒト生殖細胞系フレームワーク配列に移植することによって生成され、明確なpH依存性の標的結合特性を示した。しかしながら、ヒトApoC3へのそれらの親和性は、5E5VH5_VL8と比較してpH7.4で低減した。mAb15、mAb17、およびmAb19抗体は、LCDR3(Q90H)にヒスチジン残基を含んでいなかったが、画面上に所望のpH依存性標的結合特性を提示した。mAb16、mAb18、およびmAb20抗体の配列は、H90 5E5VH5_VL8に対応する残基がヒスチジンであることを除いて、それぞれ、mAb15、mAb17、およびmAb19と同一であった。
図3に示されるように、mAb16、mAb18、およびmAb20は、pH5.5では標的への親和性が低減し、pH7.4ではオフ速度が増加したため、明確なpH依存性標的結合を示した。
【0231】
5.2 固定化したヒト化抗ApoC3抗体へのApoC3結合のSPR分析
試験抗体をSPRチップ上に捕捉し、ヒトApoC3タンパク質を注入し、抗体へのApoC3の結合を測定する逆SPRアッセイを設計した。具体的には、ヤギ抗ヒトIgGFcγ特異的抗体(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号109-005-098)を、CM5チップ表面(GE Healthcare、カタログ番号BR100012)上に固定した。固定化は、NHS/EDCキット(Biacore AB、カタログ番号BR-1000-50)を使用してBiacore/GEによって提供された方法に従い、チップの活性化後、pH5.0の10mMの酢酸緩衝液中の30μg/mlの抗ヒトFcγ抗体の溶液を調製し、表面密度が約10000RUに達するまで注入した。分析サイクルは、次のステップで構成された。
(1)抗体の捕捉:HBS-EP緩衝液(GE、カタログ番号BR-1008-26;0.010 MのHEPES、0.150MのNaCl、3mMのEDTA、0.05(v/v)%界面活性剤P20、pH7.4)で希釈したpH7.4またはpH5.5での、50nMの濃度で抗体を注入し、最大800RUの高親和性抗huFcγ抗体による捕捉を可能にする。
(2)ベースラインの安定化:30μl/mlの流量で100μlのHBS-EP緩衝液を注入する。
(3)標的結合:HBS-EP緩衝液で400nM、200nM、100nM、および50nMの濃度で希釈した60μlの標的ApoC3タンパク質を注入する。
(4)オフ速度洗浄:解離相を評価するために、HBS-EP緩衝液を30μl/mlの流量で5分間注入する。
(5)pH1.5で20μlの10mMのグリシンを注入することによるチップの再生。
【0232】
ラングミュア1:1結合モデルを使用するBIAevaluation4.1ソフトウェアを使用して、得られたセンサーグラムを分析して、結合速度を得た。データをゼロ調節し、参照セルセンサーグラムを減じた。検体を含まないブランクアッセイを、検体の注入に対応するセンサーグラムを二重に参照するために使用した。解離および会合相センサーグラムは、4つの異なる濃度曲線に個別に適合した。到達した最大RU値が機器の検出限界(<5RU)、Biacore 3000(Biacore AB)を下回る場合、センサーグラムはフィッティングから除外された。
【0233】
生成されたヒト化抗体について、計算された速度論的パラメーターの概要を表17に示す。
図4は、生成されたバリアントの結合特性を示す。標的タンパク質の提示が異なるため、このセットアップでは全ての抗体のオフ速度が増加した。
【表17-1】
【表17-2】
【0234】
図4に示されるように、mAb1からmAb6は、pH7.4でApoC3に対する改善された見かけの親和性を示し、pH依存性の標的結合が観察されたことを示した。mAb7抗体は、両方のpH値でオフ速度が高く、pHに依存する明確な標的結合を示した。会合期のpH5.5でのRmax値は、5E5VH5_VL8と比較して増加した。mAb8からmAb12への抗体は、5E5VH5_VL8よりもpH7.4でより低いオフ速度を示し、pH7.4よりもpH5.5でより高いRmaxレベルを示し、5E5VH5_VL8のオフ速度よりもpH5.5でより高いオフ速度を示し、pHに依存する標的結合を示した。mAb13およびmAb14抗体(HCDRおよびLCDR配列を最も近いヒト生殖細胞系列フレームワーク配列に移植することによって生成された)は、両方のpHレベルで結合の喪失を示したため、pH5.5での親和性値は計算されなかった。mAb16、mAb18、およびmAb20抗体は、pH5.5では標的への親和性が低減し、pHに依存する明確な標的結合を示したが、pH7.4でのそれらのオフ速度も増加したことを示した。
【0235】
要約すると、以下の結合プロファイルグループは、SPRアッセイの結果に従って、ヒト化抗体について特定された。
グループ1:mAb1、2、3、4、5、6、8、9、10、11、および12、
グループ2:mAb15、17、および19、
グループ3:mAb16、18、および20、
グループ4は、mAb7を含み、かつ
グループ5:mAb13および14。
【0236】
各グループ内で、全てのバリアントは、同様のSPRの関連付けおよび解離プロファイルを示した。したがって、各グループの代表的な抗体を選択して、最高のヒト相同性パーセンテージの基準に基づいて、それらの開発可能性パラメーターのうちの1つとしてそれらの耐熱性を評価した。
【0237】
5.3 選択したヒト化抗ApoC3抗体の耐熱性の特性評価
ヒト化抗体の耐熱性は、56~68℃の範囲の異なる温度で1時間インキュベートした後に評価された。抗体の活性は、500RUの天然huApoC3タンパク質がCM5チップ(GE Healthcare、カタログ番号BR100012)上に固定したSPRアッセイで決定された。Biacoreによって提供される方法に従い、NHS/EDCキット(Biacore AB)を使用して固定化を実施し、チップの活性化後、10mMの酢酸緩衝液(pH4.5)中、60μg/mlのヒトApoC3の溶液を調製し、表面密度が約500RUに達するまでこれを注入した。
【0238】
HBS-EP緩衝液(GE、カタログ番号BR-1008-26、0.010MのHEPES、0.150MのNaCl、3mMのEDTA、0.05(v/v)%界面活性剤P20、pH7.4)中で希釈された10nMで100μLの試験抗体を注入し、30μl/分の流量でフローセルに通し、続いてpH7.4で10分間、HBS-EP緩衝液でオフ速度洗浄した。解離後、10μlの10mMのNaOH/1MのNaClおよび10μlの10mMのグリシン(pH1.5)を注入することによってフローセル表面を再生させた。
【0239】
会合速度および結合段階で到達した最大RU値が、読み出しパラメーターとして測定された。会合速度(勾配)は、200秒までの初期結合段階で評価され、RU最大値(R0)は、345秒の解離段階の開始時に読み取られた。機能的抗体のパーセンテージは、100%に設定された参照(4°Cでインキュベートされた試料)に基づいて計算された。各抗体の融解温度は、活性対温度曲線での変曲点として決定された。
【0240】
図5Aおよび5Bに示されるように、また表18に示されるように、試験したほとんどのヒト化抗体は、親クローン5E5VH5_VL8と比較して、大幅に改善された融解温度を示した。しかしながら、mAb14は、5E5VH5_VL8よりも大幅に低い溶融温度を有した。
【表18】
【0241】
mAb13の耐熱性も前述のアッセイで評価され、観察された耐熱性の変化が、バリアント13および14のCDRグラフトに使用された生殖細胞系列フレームワーク配列に関連しているかどうかを判定した。アッセイは、ヒト化抗体および5E5VH5_VL8(対照としてアッセイされた)の予想される到達温度を網羅するために、拡張した温度範囲で実行された。
図5Cに示されるように、mAb13およびmAb14は、類似の耐熱性曲線を有し、5E5VH5_VL8の溶融温度よりも約6℃低い約57℃の溶融温度を示した。
【0242】
本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、説明されたものに加えて、本発明の様々な修正が、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかになるであろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【0243】
本明細書に引用される全ての参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)は、各個々の参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)が具体的かつ個々に全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれると示されているのと同程度に、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0244】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。