(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069538
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】いびき防止用ベルト
(51)【国際特許分類】
A61F 5/56 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
A61F5/56
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037112
(22)【出願日】2022-03-10
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】518361158
【氏名又は名称】有限会社▲吉▼岡商事
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼岡 猛
(57)【要約】
【課題】就寝中の口呼吸を防止して、いびきの発生を防止するためのいびき防止用ベルトが求められていた。
【解決手段】使用者の顎の下部に当接し、顎を持ち上げて口を閉じるための長手の帯状体111を含む顎ベルト11と、顎ベルト11とは別体に形成され、使用者の下唇の下縁に沿って当接し、下唇が下がって口が開くのを阻止するための長手の帯状体121を含む下唇ベルト12と、顎ベルト11の長手方向の一端112及び下唇ベルト12の長手方向の一端125に一方端部が接続され、顎ベルト11の長手方向の他端113及び下唇ベルト12の長手方向の他端126に他方端部が接続されていて、一方端部から他方端部へと伸びる本体部を有し、本体部は、使用者の頭頂部辺りに沿って配置され、顎ベルト11及び下唇ベルト12の両端に張力を付与するための頭部装着部13と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顎の下部に当接し、顎を持ち上げて口を閉じるための長手の帯状体を含む顎ベルトと、
前記顎ベルトとは別体に形成され、使用者の下唇の下縁に沿って当接し、下唇が下がって口が開くのを阻止するための長手の帯状体を含む下唇ベルトと、
前記顎ベルトの長手方向の一端及び前記下唇ベルトの長手方向の一端に一方端部が接続され、前記顎ベルトの長手方向の他端及び前記下唇ベルトの長手方向の他端に他方端部が接続されていて、前記一方端部から前記他方端部へと伸びる本体部を有し、当該本体部は、使用者の頭頂部辺りに沿って配置され、前記顎ベルト及び下唇ベルトの両端に張力を付与するための頭部装着部と、
を含むことを特徴とする、いびき防止用ベルト。
【請求項2】
前記顎ベルトの一端及び前記下唇ベルトの一端は、弾力性のある一方帯状体で接続されており、
前記顎ベルトの他端及び前記下唇ベルトの他端も、弾力性のある他方帯状体で接続されており、
前記頭部装着部の一方端部及び他方端部は、それぞれ、前記一方帯状体及び他方帯状体に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載のいびき防止用ベルト。
【請求項3】
使用者の下唇の下縁に沿って当接する前記下唇ベルトの長手の帯状体の上辺は、下唇の下縁に沿った曲線形状とされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のいびき防止用ベルト。
【請求項4】
前記顎ベルトの帯状体及び前記下唇ベルトの帯状体は、裏面が起毛されたポリウレタンで構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のいびき防止用ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いびき防止対策のための簡易な器具に関する。
【背景技術】
【0002】
いびき防止具に関しては、従来より、種々の提案がなされている。
特許文献1には、「口、首周りの筋力補強バンド」が開示されている。
特許文献2には、就寝時の下顎下降を抑止するための「いびき防止具」が開示されている。
特許文献3には、使用者の首の一部分を拡張するようにした新規の「いびき防止装置」が提案されている。
さらに、特許文献4、5、6には、口内に装着して使用するいびき防止装具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-89662号公報
【特許文献2】登録実用新案第3106876号公報
【特許文献3】特開2008-302223号公報
【特許文献4】特開2006-20986号公報
【特許文献5】特表2011-519598号公報
【特許文献6】登録実用新案第3194178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のいびき防止器具は、それなりの効果は得られるものの、装着がわずらわしいとか装着が面倒であるとか、使い難いといった課題があった。
ところで、いびきが生じる原因は就寝中に口が開き、口呼吸になるからだと言われている。口呼吸では、舌が下がり、「舌根」が喉に落ち込んで気道を狭めるので、気道と舌根が触れ合ってノイズ(いびき)が生じるのである。一方、口が閉じられた状態では、鼻からの気道が確保され、鼻呼吸であればいびきは生じない。
本発明は、係る背景の基になされたものであり、就寝中の口呼吸を防止して、いびきの発生を防止するためのいびき防止用ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するためのものであり、請求項1に係る発明は、使用者の顎の下部に当接し、顎を持ち上げて口を閉じるための長手の帯状体を含む顎ベルトと、前記顎ベルトとは別体に形成され、使用者の下唇の下縁に沿って当接し、下唇が下がって口が開くのを阻止するための長手の帯状体を含む下唇ベルトと、前記顎ベルトの長手方向の一端及び前記下唇ベルトの長手方向の一端に一方端部が接続され、前記顎ベルトの長手方向の他端及び前記下唇ベルトの長手方向の他端に他方端部が接続されていて、前記一方端部から前記他方端部へと伸びる本体部を有し、当該本体部は、使用者の頭頂部辺りに沿って配置され、前記顎ベルト及び下唇ベルトの両端に張力を付与するための頭部装着部と、を含むことを特徴とする、いびき防止用ベルトである。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記顎ベルトの一端及び前記下唇ベルトの一端は、弾力性のある一方帯状体で接続されており、前記顎ベルトの他端及び前記下唇ベルトの他端も、弾力性のある他方帯状体で接続されており、前記頭部装着部の一方端部及び他方端部は、それぞれ、前記一方帯状体及び他方帯状体に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載のいびき防止用ベルトである。
【0007】
請求項3に係る発明は、使用者の下唇の下縁に沿って当接する前記下唇ベルトの長手の帯状体の上辺は、下唇の下縁に沿った曲線形状とされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のいびき防止用ベルトである。
請求項4に係る発明は、前記顎ベルトの帯状体及び前記下唇ベルトの帯状体は、裏面が起毛されたポリウレタンで構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のいびき防止用ベルトである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に装着でき、いびき予防、いびき防止を実現することができる。また、無呼吸対策にもなるいびき防止用ベルトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るいびき防止用ベルト10の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、いびき防止用ベルト10を人形モデルに装着した状態を正面側から見た図である。
【
図3】
図3は、いびき防止用ベルト10を人形モデルに装着した状態を右側面側から見た図である。
【
図4】
図4は、本発明の他の実施形態に係るいびき防止用ベルト30の構成を示す図であり、人形モデルに装着した状態を右側面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、本発明の一実施形態に係るいびき防止用ベルト10の全体構成を示す斜視図である。
図2は、いびき防止用ベルト10を人形モデルに装着した状態を正面側から見た図であり、
図3は、いびき防止用ベルト10を人形モデルに装着した状態を右側面側から見た図である。
【0011】
図1~3を参照して、いびき防止用ベルト10について説明をする。
いびき防止用ベルト10は、顎ベルト11、下唇ベルト12及び頭部装着部13の3つの部材を含んでいる。
顎ベルト11は、使用者の顎の下部に当接し、顎を持ち上げて使用者の口を閉じる機能を奏するものである。そのために、顎ベルト11は、長手の帯状体111を含んでいる。帯状体111は、一例として、少なくとも肌に接する面が、表面に極小の起毛が形成されるか、柔軟な細かい凹凸加工がされ、肌当りが柔らかいポリウレタンで構成されていてもよい。または、帯状体111は、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の素材によって形成されたものでもよい。
【0012】
下唇ベルト12は、使用者の下唇の下縁に沿って当接し、下唇が下がって口が開く(口を通しての呼吸ができる)のを阻止するという機能を奏するものである。そのために、下唇ベルト12は、長手の帯状体121を含んでいる。帯状体121の上辺122は、使用者の下唇の下縁に沿う形状に曲成されている。一例として、上辺122には、長さ方向中央部が下方に向かって穏やかに凹湾曲した下唇受部123が形成され、長さ方向に見て、下唇受部123の両側には、上方に向かって穏やかな山形に盛り上がる口元受部124が形成されていてもよい。
【0013】
下唇ベルト12も、一例として、少なくとも肌に接する面が、表面に極小の起毛が形成されるか、柔軟な細かい凹凸加工がされ、肌当りが柔らかいポリウレタンで構成されていてもよい。また、帯状体121は、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の素材によって形成されたものでもよい。
顎ベルト11の一端、すなわち帯状体111の一端112と、下唇ベルト12の一端、すなわち帯状体121の一端125とは、弾力性のある一方帯状体14で接続されている。一方帯状体14は、一例として、布製ゴム帯14で形成してもよい。そして、布製ゴム帯14の一端と帯状体111の一端112とが接合されており、布製ゴム帯14の他端と帯状体121の一端125とが接合されている。接合は、一例として、布製ゴム帯14の端部を帯状体121の端部で挟み込んで接着または溶着により接続するという形態を採用できる。あるいは、縫合により接続してもよい。
【0014】
同様に、顎ベルト11の他端、すなわち帯状体111の他端113と、下唇ベルト12の他端、すなわち帯状体121の他端126とは、弾力性のある他方帯状体15により、接続されている。
頭部装着部13は、一方帯状体14に一端が連結された一側バンド21と、他方帯状体15に一端が連結された他側バンド22と、一側バンド21の他端及び他側バンド22の他端に連結された頭頂バンド23とを含んでいる。
【0015】
顎ベルト11及び下唇ベルト12の一端同士を接続する一方帯状体14と一側バンド21との連結には、小円環リング24が用いられている。小円環リング24は、例えば樹脂製のリングで、このリング24に一方帯状体14が通されている。また、小円環リング24には、一側バンド21の一端側が通されている。そして、一側バンド21には、その長さを調整するための長さ調整具25が備えられている。
【0016】
顎ベルト11及び下唇ベルト12の他端同士を接続する他方帯状体15と他側バンド22との連結も、上記と同様に、小円環リング24によって達成されている。
一側バンド21の他端及び他側バンド22の他端と頭頂バンド23との連結にも、それぞれ、小円環リング24が用いられている。この実施形態では、頭頂バンド23は、前方側頭頂バンド231と後方側頭頂バンド232とを有し、2本の頭頂バンド231及び232で頭頂部の前後に確実に装着できる構成とされている。
【0017】
なお、この実施形態の構成に代えて、頭部装着部13は、次のような構成であってもよい。
図4は、本発明の他の実施形態に係るいびき防止用ベルト30の構成を示す図であり、人形モデルに装着した状態を右側面側から見た図である。
図4を参照して、いびき防止用ベルト30の頭部装着部31は、メッシュキャップ(またはネットキャップ)32と、メッシュキャップ32の左右側部から下方へ伸び出た連結部33とを含む構成であってもよい。
【0018】
なお、連結部33と顎ベルト11及び下唇ベルト12との連結は、前記実施形態と同様に小円環リング24が用いられた例を示しているが、顎ベルト11及び下唇ベルト12の各端部がメッシュキャップ32の連結部33に直接接続された構成であってもよい。
本発明に係るいびき防止用ベルト10、30によれば、いびき防止用ベルト10、30を装着した状態において、顎ベルト11は、その両端部が頭部装着部13、31によって引き上げるように張力が与えられている。よって、いびき防止用ベルト10、30を装着した使用者は、就寝中に不用意に顎を下げて口を開くことがない。また、顎ベルト11とは別体に設けられた下唇ベルト12にも、その両端部が頭部装着部13、31によって引き上げるように張力が与えられている。よって、いびき防止用ベルト10、30を装着した使用者は、就寝中に不用意に下唇が下がり唇が開いて口呼吸をすることがない。
【0019】
つまり、使用者は、就寝中に口が開かず、口呼吸をせず、鼻呼吸を行うので、口呼吸に起因して生じるいびきの発生を効果的に防止することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載した構成の範囲内において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0020】
10、30 いびき防止用ベルト
11 顎ベルト
12 下唇ベルト
13、31 頭部装着部
14 一方帯状体(布製ゴム帯)
15 他方帯状体
21 一側バンド
22 他側バンド
23 頭頂バンド
24 小円環リング
25 長さ調整具
32 メッシュキャップ
33 連結部
111、121 帯状体
112、125 一端
113、126 他端
122 上辺
123 下唇受部
124 口元受部
231 前方側頭頂バンド
232 後方側頭頂バンド