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特開2022-695486’-シアリルラクトースナトリウム塩の結晶およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069548
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】6’-シアリルラクトースナトリウム塩の結晶およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 7/027 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
C07H7/027 CSP
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038512
(22)【出願日】2022-03-11
(62)【分割の表示】P 2020201994の分割
【原出願日】2016-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2015225652
(32)【優先日】2015-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308032666
【氏名又は名称】協和発酵バイオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将大
(72)【発明者】
【氏名】横井 友哉
(72)【発明者】
【氏名】三平 崇太郎
(72)【発明者】
【氏名】福本 一成
(72)【発明者】
【氏名】長野 宏
(57)【要約】
【課題】本発明は、取り扱いしやすく、常温および高温条件下における保存安定性が高い、6’-シアリルラクトース(以下、6SLという)の結晶を提供すること、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、6SLナトリウム塩の結晶、および該結晶の製造方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノールに6’-シアリルラクトース(以下、6SLという)ナトリウム塩のアモルファスを溶解させる工程、該溶液を静置または撹拌することにより、6SLナトリウム塩・n水和物結晶(ただし、nは4.0、4.6、3.3、2.7または2.3の数字を表す)または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程、および該溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または該6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の製造法。
【請求項2】
ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、種晶として6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を添加する工程、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程、および該水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または該6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の製造法(nは請求項1と同義)。
【請求項3】
前記水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程が、該水溶液にアルコール溶液を添加または滴下することにより、該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程である、請求項2に記載の製造法。
【請求項4】
前記6SLナトリウム塩・n水和物結晶または前記6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を乾燥する工程、をさらに含む請求項1~3のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項5】
前記6SLナトリウム塩・n水和物結晶が下記(i)~(iii)のいずれか1に記載の6SLナトリウム塩・n水和物結晶である請求項1~4のいずれか1項に記載の製造法。
(i)粉末X線回折において、回折角(2θ)が6.7±0.2°、13.3±0.2°、17.7±0.2°、18.5±0.2°、および20.0±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(ii)粉末X線回折において、前記(i)に記載の回折角(2θ)におけるピークに加えて、回折角(2θ)が、さらに16.5±0.2°、21.3±0.2°、21.8±0.2°、23.6±0.2°、および28.8±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(iii)粉末X線回折において、前記(i)および(ii)に記載の回折角(2θ)におけるピークに加えて、回折角(2θ)が、さらに17.3±0.2°、23.9±0.2°、24.0±0.2°、25.7±0.2°、および26.7±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
【請求項6】
前記6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶が6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶である請求項1に記載の製造法。
【請求項7】
6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶。
【請求項8】
単結晶X線構造解析において、-173℃にて測定した場合、次の概略的単位胞パラメーター:a=9.0695Å;b=12.4146Å;c=14.6177Å;α=71 .326°;β=79.972°;γ=14.6177°;V=1533.3Å;Z= 1;を有し、かつ空間群がP1;である、請求項7に記載の結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、健康食品、医薬品若しくは化粧品等の製品、原料または中間体等として有用である6’-シアリルラクトースナトリウム塩の結晶、および該結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
6’-シアリルラクトース[O-(N-acetyl-α-neuraminosyl)-(2→6)-O-β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-Glucose](以下、6SLという。)は、シアル酸とラクトースが結合した酸性オリゴ糖である。
【0003】
6SLは、例えば、健康食品、医薬品若しくは化粧品等の製品、原料または中間体等として有用である。6SLは、ヒト母乳に含まれる重要なオリゴ糖の1つであり、ウイルス若しくは細菌に対する感染防御作用、または乳酸菌増殖活性のような生理活性があるとされている。
【0004】
6SLの精製方法としては、ゲルろ過カラム(非特許文献1および2)、疑似移動床式クロマト分離装置(特許文献1)等による手法が開示されている。また、特許文献2~4には、6SL塩の結晶が取得されたとの記載はあるが、取得された結晶の性質に関する記載はなく、実際に6SLの塩の結晶を取得しうる方法は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国 特開平08-252403号公報
【特許文献2】日本国 特表平10-513437号公報
【特許文献3】国際公開第2010/116317号
【特許文献4】国際公開第2011/100979号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Carbohydrate Research., Vol. 337, p473, 2002
【非特許文献2】Carbohydrate Research., Vol. 345, p1394, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、取り扱いしやすく、常温および高温条件下における保存安定性が高い、6SLの結晶を提供すること、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の(1)~(21)に関する。
(1)6’-シアリルラクトース(以下、6SLという)ナトリウム塩の結晶。
(2)6SLナトリウム塩・n水和物結晶(ただし、nは0~5の任意の数字を表し、n=0の場合は、6SLナトリウム塩・無水物という)である、上記(1)の結晶。
(3)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、6.7±0.2°、13.3±0.2°、17.7±0.2°、18.5±0.2°、および20.0±0.2°にピークを有する、上記(2)の結晶。
(4)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、さらに、16.5±0.2°、21.3±0.2°、21.8±0.2°、23.6±0.2°、および28.8±0.2°にピークを有する、上記(3)の結晶。
(5)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、さらに、17.3±0.2°、23.9±0.2°、24.0±0.2°、25.7±0.2°、および26.7±0.2°にピークを有する、上記(4)の結晶。
(6)アルコール溶液に6SLナトリウム塩のアモルファスを溶解させる工程、該溶液を静置または撹拌することにより、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程、および該溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または該6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の製造法[nは上記(2)と同義]。
(7)ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、種晶として6SLナトリウム塩・n水和物結晶を添加する工程、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程、および該水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または該6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の製造法[nは上記(2)と同義]。
(8)前記水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程が、該水溶液にアルコール溶液を添加または滴下することにより、該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程である、上記(7)の製造法。
(9)前記6SLナトリウム塩・n水和物結晶または前記6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を乾燥する工程、をさらに含む上記(6)~(8)のいずれか1つの製造法。
(10)前記6SLナトリウム塩・n水和物結晶が下記(i)~(iii)のいずれか1に記載の6SLナトリウム塩・n水和物結晶である上記(6)~(9)のいずれか1つの製造法。
(i)粉末X線回折において、回折角(2θ)が6.7±0.2°、13.3±0.2°、17.7±0.2°、18.5±0.2°、および20.0±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(ii)粉末X線回折において、前記(i)に記載の回折角(2θ)におけるピークに加えて、回折角(2θ)が、さらに16.5±0.2°、21.3±0.2°、21.8±0.2°、23.6±0.2°、および28.8±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(iii)粉末X線回折において、前記(i)および(ii)に記載の回折角(2θ)におけるピークに加えて、回折角(2θ)が、さらに17.3±0.2°、23.9±0.2°、24.0±0.2°、25.7±0.2°、および26.7±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(11)前記アルコール溶液が、C1~C6のアルコールの溶液である、上記(6)および(8)~(10)のいずれか1つの製造法。
(12)前記C1~C6のアルコールがメタノールである上記(11)の製造法。
(13)前記6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶が6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶である上記(12)の製造法。
(14)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、5.9±0.2°、11.7±0.2、20.1±0.2°、21.0±0.2°、および23.6±0.2°にピークを有する、上記(2)の結晶。
(15)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、さらに、17.8±0.2°、14.5±0.2°、17.4±0.2°、19.7±0.2°、および24.6±0.2°にピークを有する、上記(14)の結晶。
(16)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、さらに、14.9±0.2°、18.9±0.2°、22.1±0.2°、28.3±0.2°、および31.5±0.2°にピークを有する、上記(15)の結晶。
(17)ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドを溶解することにより、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶を析出させる工程、および該水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶の製造法[nは上記(2)と同義]。
(18)ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、種晶として6SLナトリウム塩・n水和物結晶を添加する工程、該水溶液にN,N-ジメチルホルムアミドを添加または滴下することにより6SLナトリウム塩・n水和物結晶を析出させる工程、および該水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶の製造法[nは上記(2)と同義]。
(19)前記6SLナトリウム塩・n水和物結晶が下記の(iv)~(vi)のいずれか1に記載の6SLナトリウム塩・n水和物結晶である上記(17)または(18)の製造法。
(iv)粉末X線回折において、回折角(2θ)が、5.9±0.2°、11.7±0.2°、20.1±0.2°、21.0±0.2°、および23.6±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(v)粉末X線回折において、前記(iv)に記載の回折角(2θ)におけるピークに加えて、回折角(2θ)が、さらに17.8±0.2°、14.5±0.2°、17.4±0.2°、19.7±0.2°、および24.6±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(vi)粉末X線回折において、前記(iv)および(v)に記載の回折角(2θ)におけるピークに加えて、回折角(2θ)が、さらに14.9±0.2°、18.9±0.2°、22.1±0.2°、28.3±0.2°、および31.5±0.2°にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶
(20)6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶である、上記(1)の結晶。
(21)単結晶X線構造解析において、-173℃にて測定した場合、次の概略的単位胞パラメーター:a=9.0695Å;b=12.4146Å;c=14.6177Å;α=71.326°;β=79.972°;γ=14.6177°;V=1533.3Å;Z=1;を有し、かつ空間群がP1;である、上記(20)の結晶。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、取り扱いしやすく、常温および高温条件下における保存安定性が高い、6SLの結晶およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1で得られた、6SLナトリウム塩・4.0水和物結晶の粉末X線回折の結果を表わす。
図2図2は、実施例2で得られた、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶の粉末X線回折の結果を表わす。
図3図3は、実施例2で得られた、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶の赤外分光(IR)分析の結果を表わす。
図4図4は、実施例3で得られた、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶の熱重量示差熱分析(TG・DTA)の結果を表わす。
図5図5は、実施例3で得られた、6SLナトリウム塩・3.3水和物結晶の粉末X線回折の結果を表わす。
図6図6は、実施例4で得られた、6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶の単結晶X線構造解析のORTEP図を表わす。
図7図7は、実施例5で得られた、6SLナトリウム塩・2.7水和物結晶の粉末X線回折の結果を表わす。
図8図8は、実施例7で得られた、6SLナトリウム塩・2.3水和物結晶の粉末X線回折の結果を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.本発明の結晶
本発明の結晶は、6SLナトリウム塩の結晶である。本発明の結晶としては、6SLナトリウム塩・n水和物(ただし、nは0~5の任意の数字、好ましくは0より大きく且つ5以下の任意の数字、より好ましくは0より大きく且つ5以下の任意の少数第一位までの数字である。n=0の場合は、6SLナトリウム塩・無水物という)の結晶、および6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶が挙げられる。
【0012】
本発明の結晶が6SLの結晶であることは、後述の分析例に記載のHPLCを用いた方法により確認することができる。
【0013】
本発明の結晶がナトリウム塩の結晶であることは、当該結晶中に含まれるナトリウム含量を、後述の分析例に記載の原子吸光光度計を用いて測定することにより確認することができる。
【0014】
例えば、本発明の結晶が1ナトリウム塩の結晶であることは、該結晶中のナトリウム含量が、通常3.5±1.0重量%、好ましくは3.5±0.5重量%、最も好ましくは3.5±0.3重量%であることにより確認することができる。
【0015】
本発明の結晶がn水和物結晶であることは、後述の分析例に記載のカールフィッシャー法を用いて測定した水分含量が、通常0.0~12.0重量%であることにより確認することができる。
【0016】
6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶は、水と水以外の1種以上の溶媒で形成されるものであればよく、水と水以外の1種の溶媒により形成されるものが好ましい。水と水以外の1種以上の溶媒で形成される溶媒和物結晶を構成する、水以外の溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールなど)を挙げることができ、好ましくはメタノールを挙げることができる。
【0017】
本発明において、例えば、「水と水以外の溶媒から形成される溶媒和物結晶」である場合は「水和物・溶媒和物結晶」と、「水とメタノールとから形成される溶媒和物結晶」である場合は「水和物・メタノール和物結晶」等と表す。
【0018】
水と1種以上の溶媒で形成される水和物・溶媒和物結晶において、6SLナトリウム塩1モルに対する、水と溶媒の総量のモル比は通常0.6モル~6モルとすることが好ましい。水と1種以上の溶媒で形成される水和物・溶媒和物結晶において、水と溶媒の構成比は特に限定されず、例えば、水和物・アルコール和物結晶の場合、水:アルコール=0.5:1~50:1の範囲とすることが好ましい。
【0019】
水と1種以上の溶媒で形成される水和物・溶媒和物結晶としては、水和物・メタノール和物結晶が好ましく、具体例としては、0.5~5水和物・0.1~1メタノール和物結晶が挙げられ、2.5水和物・0.5メタノール和物の結晶が特に好ましい。
【0020】
本発明の6SLナトリウム塩・n水和物結晶としては、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図1および表1に示す値で規定される6SLナトリウム塩・4.0水和物結晶、図2および表2に示す値で規定される6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶、図5および表6に示す値で規定される6SLナトリウム塩・3.3水和物結晶、図7および表8に示す値で規定される6SLナトリウム塩・2.7水和物結晶、並びに図8および表9に示す値で規定される6SLナトリウム塩・2.3水和物結晶を挙げることができる。
【0021】
また、本発明の6SLナトリウム塩・n水和物結晶としては、後述の分析例に記載の赤外分光(IR)分析に供した場合、図3に示す赤外吸収スペクトルを示す6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶を挙げることができる。
【0022】
本発明の6SLナトリウム塩・n水和物結晶としては、具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折において、下記(i)に記載の回折角(2θ)にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶が好ましく、下記(i)に記載の回折角(2θ)に加えてさらに下記(ii)に記載の回折角(2θ)にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶がより好ましく、下記(i)および(ii)に記載の回折角(2θ)に加えてさらに下記(iii)に記載の回折角(2θ)にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶がさらに好ましい。
(i)6.7±0.2°、好ましくは6.7±0.1°、13.3±0.2°、好ましくは13.3±0.1°、17.7±0.2°、好ましくは17.7±0.1°、18.5±0.2°、好ましくは18.5±0.1°、および20.0±0.2°、好ましくは20.0±0.1°
(ii)16.5±0.2°、好ましくは16.5±0.1°、21.3±0.2°、好ましくは21.3±0.1°、21.8±0.2°、好ましくは21.8±0.1°、23.6±0.2°、好ましくは23.6±0.1°、および28.8±0.2°、好ましくは28.8±0.1°
(iii)17.3±0.2°、好ましくは17.3±0.1°、23.9±0.2°、好ましくは23.9±0.1°、24.0±0.2°、好ましくは24.0±0.1°、25.7±0.2°、好ましくは25.7±0.1°、および26.7±0.2°、好ましくは26.7±0.1°
【0023】
また、本発明の6SLナトリウム塩・n水和物結晶としては、具体的には、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折において、下記(iv)に記載の回折角(2θ)にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶が好ましく、下記(iv)に記載の回折角(2θ)に加えてさらに下記(v)に記載の回折角(2θ)にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶がより好ましく、下記(iv)および(v)に記載の回折角(2θ)に加えてさらに下記(vi)に記載の回折角(2θ)にピークを有する6SLナトリウム塩・n水和物結晶がさらに好ましい。
(iv)5.9±0.2°、好ましくは5.9±0.1°、11.7±0.2°、好ましくは11.7±0.1°、20.1±0.2°、好ましくは20.1±0.1°、21.0±0.2°、好ましくは21.0±0.1°、および23.6±0.2°、好ましくは23.6±0.1°
(v)17.8±0.2°、好ましくは17.8±0.1°、14.5±0.2°、好ましくは14.5±0.1°、17.4±0.2°、好ましくは17.4±0.1°、19.7±0.2°、好ましくは19.7±0.1°、および24.6±0.2°、好ましくは24.6±0.1°
(vi)14.9±0.2°、好ましくは14.9±0.1°、18.9±0.2°、好ましくは18.9±0.1°、22.1±0.2°、好ましくは22.1±0.1°、28.3±0.2°、好ましくは28.3±0.1°、および31.5±0.2°、好ましくは31.5±0.1°
【0024】
本発明の6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶としては、単結晶X線構造解析により表7に示す値で規定される6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶を挙げることができる。
また、本発明の6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶としては、具体的には、単結晶X線構造解析において、-173℃にて測定した場合、次の概略的単位胞パラメーター:a=9.0695Å;b=12.4146Å;c=14.6177Å;α=71.326°;β=79.972°;γ=14.6177°;V=1533.3Å;Z=1;を有し、かつ空間群がP1;である6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶が挙げられる。
【0025】
2.本発明の結晶の製造法
本発明の結晶の製造法(以下、「本発明の方法」ともいう。)としては、以下の2.1~2.3に記載の製造法が挙げられる。
【0026】
2.1.本発明の結晶の製造法-1
本発明の結晶の製造法としては、アルコール溶液に6SLナトリウム塩のアモルファスを溶解させる工程、該溶液を静置または撹拌することにより、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程、および該溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または該6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の製造法を挙げることができる。
【0027】
アルコール溶液は、本発明の方法に使用できる限りにおいて、複数種のアルコールの混合物、またはアルコールと他の有機溶媒もしくは水との混合物であってもよく、好ましくはC1~C6のアルコールを、より好ましくはC1~C3のアルコールを、さらに好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選ばれるアルコールを、よりさらに好ましくはメタノールまたはエタノールを、最も好ましくはメタノールを挙げることができる。
【0028】
また、本発明の方法で用いられるアルコール溶液がアルコール水溶液である場合、含水量としては、通常40重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下を挙げることができる。
【0029】
アルコール溶液に6SLナトリウム塩のアモルファスを溶解させる方法としては、例えば、6SLナトリウム塩のアモルファスを該溶液に懸濁させた後、得られた溶解液を濾過して濾液を得る方法を挙げることができる。
【0030】
6SLナトリウム塩のアモルファスは、例えば、後述する参考例に記載の方法によって取得することができる。
【0031】
6SLナトリウム塩のアモルファスを溶解させて得られた溶解液を、静置または撹拌することにより、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させることができる。静置または撹拌する温度としては、通常0~80℃、好ましくは5~50℃、最も好ましくは10~30℃を挙げることができる。
【0032】
静置または撹拌する時間としては、通常1~100時間、好ましくは3~48時間、最も好ましくは5~24時間を挙げることができる。
【0033】
6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する方法としては、特に限定されないが、例えば、濾取、加圧濾過、吸引濾過または遠心分離等を挙げることができる。さらに結晶への母液の付着を低減し、結晶の品質を向上させるために、結晶を採取した後、適宜、結晶を洗浄することができる。
【0034】
結晶洗浄に用いる溶液に特に制限はないが、水、メタノール、エタノール、アセトン、n-プロパノール、イソプロピルアルコールおよびそれらから選ばれる1種類または複数種類を任意の割合で混合した溶液を用いることができる。
【0035】
このようにして得られた湿晶を乾燥させることにより、本発明の結晶を取得することができる。すなわち、本発明の結晶の製造法は、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を乾燥する工程をさらに含んでもよい。
【0036】
乾燥条件としては、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の形態を保持できる方法ならばいずれでもよく、例えば、減圧乾燥、真空乾燥、流動層乾燥または通風乾燥等が挙げられる。
【0037】
乾燥温度としては、付着水分または溶液を除去できる範囲ならばいずれでもよいが、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下を挙げることができる。
【0038】
上記の方法によって、高純度の6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を取得することができる。当該結晶の純度としては、通常97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上を挙げることができる。
【0039】
上記の製造法によって製造することができる本発明の結晶としては、例えば、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図1及び表1に示す値で規定される、6SLナトリウム塩・4.0水和物結晶を挙げることができる。
【0040】
2.2.本発明の結晶の製造法-2
また、本発明の結晶の製造法としては、ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、種晶として6SLナトリウム塩・n水和物結晶を添加する工程、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程、および該水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶または該6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の製造法を挙げることができる。
【0041】
6SLナトリウム塩の水溶液に含有される6SLは、発酵法、酵素法、天然物からの抽出法または化学合成法等のいずれの製造法によって製造されたものであってもよい。
【0042】
6SLの水溶液に、結晶化の障害となる固形物が含まれる場合には、遠心分離、濾過またはセラミックフィルタ等を用いて固形物を除去することができる。また、6SLの水溶液に、結晶化の障害となる水溶性の不純物または塩が含まれる場合には、イオン交換樹脂等を充填したカラムに通塔する等により、水溶性の不純物または塩を除去することができる。
【0043】
また、6SLの水溶液に、結晶化の障害となる疎水性の不純物が含まれる場合には、合成吸着樹脂または活性炭等を充填したカラムに通塔する等により、疎水性の不純物を除去することができる。
【0044】
該水溶液は、6SLの濃度が通常300g/L以上、好ましくは400g/L以上、より好ましくは500g/L以上、最も好ましくは600g/L以上となるように調製することができる。該水溶液の濃度を前記濃度とするために、該水溶液を加熱濃縮法または減圧濃縮法などの一般的な濃縮方法により濃縮することができる。
【0045】
ナトリウム含有化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液のような塩基性化合物、またはナトリウムの炭酸化物、ナトリウムの硫酸化物、ナトリウムの硝酸化物若しくはナトリウムの塩化物のような中性塩を挙げることができる。中性塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムまたは塩化ナトリウムを挙げることができる。
【0046】
ナトリウム含有化合物として塩基性化合物を用いる場合、当該塩基性化合物を使用して6SLの水溶液のpHを調整することにより、pHが通常3.0~9.0、好ましくは4.5~8.5、最も好ましくは5.5~8.0であるナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液を取得することができる。
【0047】
ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、種晶として6SLナトリウム塩・n水和物結晶を添加する。種晶として添加する6SLナトリウム塩・n水和物結晶としては、本発明の方法で取得した結晶を用いることができる。
種晶は、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶が析出する前であれば、結晶を析出させる工程の前に添加しても、結晶を析出させる工程において添加してもよい。
種晶は、水溶液中の濃度が通常0.2~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、最も好ましくは2~7重量%となるように添加する。
【0048】
該水溶液中に、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる方法としては、例えば、該水溶液を冷却する方法、該水溶液を減圧濃縮する方法、または該水溶液にアルコール溶液若しくはN,N-ジメチルホルムアミドを添加または滴下する方法等を挙げることができる。また、これらの方法は、1以上の方法を組み合わせて用いることもできる。
【0049】
該水溶液を冷却する方法における、該水溶液の温度としては、通常0~50℃、好ましくは0~30℃、最も好ましくは0~10℃を挙げることができ、冷却時間としては、通常2~100時間、好ましくは3~50時間、最も好ましくは5~30時間を挙げることができる。
【0050】
該水溶液を減圧濃縮する方法における、該水溶液の温度としては、通常0~100℃、好ましくは10~90℃、最も好ましくは20~80℃を挙げることができ、減圧時間としては、通常1~120時間、好ましくは2~60時間、最も好ましくは3~50時間を挙げることができる。
【0051】
該水溶液中にアルコール溶液またはN,N-ジメチルホルムアミドを添加または滴下することにより、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる方法においては、アルコール溶液の添加または滴下を開始した後、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶が析出する前に、種晶を添加してもよい。
【0052】
アルコール溶液またはN,N-ジメチルホルムアミドの添加または添加を開始した後に種晶を添加する時間としては、アルコール溶液またはN,N-ジメチルホルムアミドの滴下または添加を開始してから、通常0~5時間後、好ましくは0~4時間後、最も好ましくは0~3時間後を挙げることができる。
【0053】
アルコール溶液としては、上記2.1に記載したものと同じ例を挙げることができる。
【0054】
アルコール溶液またはN,N-ジメチルホルムアミドを添加または滴下するときの該水溶液の温度としては、6SLが分解しない温度であればいずれの温度でもよいが、溶解度を下げて6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の結晶化率を向上させるために、通常80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、最も好ましくは50℃以下を挙げることができる。温度の下限値としては、通常0℃以上、好ましくは10℃以上を挙げることができる。
【0055】
アルコール溶液またはN,N-ジメチルホルムアミドを添加または滴下する液量としては、該水溶液の通常1~30倍量、好ましくは2~25倍量、最も好ましくは3~10倍量を挙げることができる。アルコール溶液の添加または滴下に要する時間としては、通常1~48時間、好ましくは2~30時間、最も好ましくは3~20時間を挙げることができる。
【0056】
上記のようにして6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させた後、析出した結晶を採取する工程の前に、さらに析出した結晶を通常1~72時間、好ましくは1~48時間、最も好ましくは1~24時間熟成させてもよい。
【0057】
熟成させるとは、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程を一旦停止して、結晶を成長させることをいう。結晶を熟成させた後は、6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を析出させる工程を再開してもよい。
6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を採取する方法としては、上記2.1に記載した方法と同様の方法を挙げることができる。
【0058】
上記の方法によって、高純度の6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶を取得することができる。6SLナトリウム塩・n水和物結晶または6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶の純度としては、通常97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは99.5%以上を挙げることができる。
【0059】
上記の製造法によって製造することができる6SLナトリウム塩・n水和物結晶としては、例えば、X線源としてCuKαを用いた粉末X線回折パターンが、図2および表2に示す値で規定される、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶、図5および表5に示す値で規定される、6SLナトリウム塩・3.3水和物結晶、図7および表8に示す値で規定される、6SLナトリウム塩・2.7水和物結晶、図8および表9で示す値で規定される6SLナトリウム塩・2.3水和物結晶ならびに図3に示す赤外吸収スペクトルを示す6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶を挙げることができる。
また、上記の製造法によって製造することができる6SLナトリウム塩・n水和物の溶媒和物結晶としては、例えば、単結晶X線構造解析において、表7に示す値で規定される、6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物を挙げることができる。
【0060】
2.3.本発明の結晶の製造法-3
さらに、本発明の結晶の製造法としては、ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドを溶解することにより、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶を析出させる工程、および該水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶を採取する工程、を含む6SLナトリウム塩・n水和物結晶の製造法を挙げることができる。
【0061】
ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液としては、上記2.1に記載したものと同じ例を挙げることができる。
【0062】
ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に、N,N-ジメチルホルムアミドを溶解することにより、該水溶液中に6SLナトリウム塩・n水和物結晶を析出させる方法としては、例えば、蒸気拡散方法が挙げられる。蒸気拡散方法としては、具体的には、ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に対して、N,N-ジメチルホルムアミド蒸気を曝露させる方法が挙げられる。
【0063】
ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に対して、N,N-ジメチルホルムアミド蒸気を曝露させる温度としては、6SLが分解しない温度であればいずれの温度でもよいが、溶解度を下げて6SLナトリウム塩・n水和物結晶の結晶化率を向上させるために、通常80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、最も好ましくは50℃以下を挙げることができる。温度の下限値としては、通常0度以上、好ましくは10℃以上を挙げることができる。
【0064】
ナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に対して、N,N-ジメチルホルムアミド蒸気を曝露させる時間としては、通常3日間~6ヶ月間、好ましくは14日間~5ヵ月間、最も好ましくは1~4ヵ月間を挙げることができる。
【0065】
前記方法においてナトリウム含有化合物を含む6SLの水溶液に曝露させるN,N-ジメチルホルムアミドの液量としては、該水溶液に対して、通常0.5~10倍量、好ましくは1~9倍量、最も好ましくは2~8倍量を挙げることができる。
【0066】
前記水溶液から該6SLナトリウム塩・n水和物結晶を採取する方法としては、上記2.1および2.2に記載した方法と同様の方法を挙げることができる。
【0067】
[分析例]
(1)粉末X線回折
粉末X線回折装置(XRD)Ultima IV(リガク社製)を用い、測定は使用説明書に従って行った。
(2)濃度・純度測定
以下のHPLC分析条件を用いて、6SLの濃度および純度を測定した。
カラム:DionexCarboPac(商標)PA1 BioLC(商標),4×250mm
ガードカラム:DionexCarboPac(商標)PA1 BioLC(商標),4×50mm
カラム温度:30℃
流速:1mL/分
溶離液:水/0.5M水酸化ナトリウム水溶液/0.3M酢酸ナトリウム水溶液
(3)カールフィッシャー法による結晶の水分含量の測定
自動水分測定装置AQV-2200(平沼産業社製)を用い、使用説明書に従って、以下の条件を用いて結晶の水分含量を測定した。
加熱気化法、110~171℃、14分間
(4)ナトリウム含量の測定
原子吸光光度計Z-2310(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、6SLナトリウム塩の結晶を1mol/Lの硝酸に溶解し、使用説明書に従って、結晶中に含まれるナトリウムイオンの濃度を測定した。
(5)融点の測定
Melting Point M-565(BUCHI社製)を用い、使用説明書に従って、以下の条件を用いて融点を測定した。
140℃~200℃、0.5℃/分
(6)赤外分光(IR)分析
FTIR-8400型(島津製作所製)を用い、使用説明書に従って行った。
(7)熱重量示差熱分析(TG・DTA)
EXSTAR6000(セイコーインスツル社製)を用い、使用説明書に従って、以下の条件を用いて重量変化・示差熱を測定した。
30~175℃、0.5℃/分
(8)単結晶X線構造解析
SuperNova(アジレント社製)を用い、使用説明書に従って行った。
【0068】
[参考例1]
6SLナトリウム塩の非結晶性アモルファスの取得
6SLのアモルファス200.5gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.80に調整し、6SLナトリウム塩含有水溶液1000mLとした。この水溶液の一部を凍結乾燥することで、白色の粉末を得た。当該粉末の粉末X線回折を測定したところ、X線回折ピークが確認されなかったことから、当該粉末は非結晶性アモルファスであるであることがわかった。
【0069】
[参考例2]
6SLナトリウム塩の結晶の取得検討-1
特許文献2を参考に6SLナトリウム塩の結晶化を試みた。参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス100gを水250mLに溶解し、1mol/LのNaOHを用いてpHを9.0に調整した。得られた水溶液のうち17mLを次の工程に供した。
【0070】
当該水溶液17mLを濃縮(45℃、15hPa)して得られる8.0gの固形物に200mLの90%-エタノールを加え、24時間撹拌した後、上澄みの溶液を除去して白色固形物を得た。該固形物は、偏光顕微鏡で偏光を示さず、非結晶性アモルファスであることを確認し、6SLナトリウム塩の結晶は得られなかった。
【0071】
[参考例3]
6SLナトリウム塩の結晶の取得検討-2
特許文献3を参考に6SLナトリウム塩の結晶化を試みた。参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス100gを水250mLに溶解し、1mol/LのNaOHを用いてpHを9.0に調整した。得られた水溶液のうち17mLを次の工程に供した。
【0072】
当該水溶液17mLを濃縮(50℃、20hPa)してアメ状のシロップが得られた。得られたシロップに100mLの100%-エタノールを添加したところ、白色沈殿が生じ、懸濁液が得られた。
【0073】
当該沈殿物を濾取して50mLの100%-エタノールで2回洗浄し、25℃にて10分間通風乾燥させることにより、沈殿物2.09gが得られた。得られた沈殿物は、偏光顕微鏡で偏光を示さず、非結晶性アモルファスであることを確認した。
【0074】
該沈殿物2.09gに96%-エタノールを70mL加え、25℃にて30分間撹拌して白色の懸濁液とした後、該懸濁液を濾過することにより0.58gのアメ状固形物が得られた。得られたアメ状固形物は、偏光顕微鏡で偏光を示さず、非結晶性アモルファスであることを確認し、6SLナトリウム塩の結晶は得られなかった。
【0075】
[参考例4]
6SLナトリウム塩の結晶の取得検討-3
特許文献4を参考に6SLナトリウム塩の結晶化を試みた。参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス100gを水250mLに溶解し、1mol/LのNaOHを用いてpHを9.0に調整した。得られた水溶液のうち17mLを次の工程に供した。
【0076】
当該水溶液17mLに200mLの100%-メタノールを加えたところ、沈殿は生じず、溶液に変化は見られなかった。得られた懸濁液を濃縮(40℃、100hPa)して20mLとした所、シロップ状の溶液が得られ、結晶は得られなかった。
【0077】
得られたシロップをさらに濃縮(50℃、20hPa)して乾固したところ、白色の固体が4.4g得られた。得られた沈殿物は、偏光顕微鏡で偏光を示さず、非結晶性アモルファスであることを確認し、6SLナトリウム塩の結晶は得られなかった。
【0078】
[参考例5]
6SLナトリウム塩の結晶の取得検討-4
特許文献4を参考に6SLナトリウム塩の結晶化を試みた。参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス100gを水250mLに溶解し、1mol/LのNaOHを用いてpHを9.0に調整した。得られた水溶液のうち17mLを次の工程に供した。
【0079】
当該水溶液17mLに200mLの100%-エタノールを加えたところ、白色沈殿が生じ、懸濁液が得られた。得られた懸濁液を濃縮して100mLとした後、当該沈殿物を濾取し、25℃にて通風乾燥させることにより、6.3gの沈殿物を取得した。得られた沈殿物は、偏光顕微鏡で偏光を示さず、非結晶性のアモルファスであることを確認し、6SLナトリウム塩の結晶は得られなかった。
【0080】
[参考例6]
6SLナトリウム塩の結晶の取得検討-5
特許文献4を参考に6SLナトリウム塩の結晶化を試みた。参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス100gを水250mLに溶解し、1mol/LのNaOHを用いてpHを9.0に調整した。得られた水溶液のうち17mLを次の工程に供した。
【0081】
当該水溶液17mLに200mLの100%-イソプロパノールを加えたところ、白色沈殿が生じ、懸濁液が得られた。得られた懸濁液を濃縮して100mLとした後、当該沈殿物を濾取し、25℃にて通風乾燥させることにより、4.9gの沈殿物を取得した。得られた沈殿物は、偏光顕微鏡で偏光を示さず、非結晶性アモルファスであることを確認し、6SLナトリウム塩の結晶は得られなかった。
【実施例0082】
以下に実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0083】
[実施例1]
6SLナトリウム塩・n水和物結晶の取得-1
参考例1で得られた6SLナトリウム塩のアモルファス6.10gを、100%メタノール100mL中に10分間懸濁させた後、濾過によって濾液を95mL得た。得られた濾液のうち30mLを次の工程に供した。
【0084】
当該濾液30mLを25℃下で12時間撹拌することによって、結晶を自然起晶させた。当該結晶スラリーをさらに12時間熟成させた後に当該結晶を濾取し、25℃にて通風乾燥させることにより、550mgの結晶を得た。
【0085】
当該結晶の粉末X線回折の結果を表1に示す。表中、「2θ」は回折角(2θ°)を、「相対強度」は、相対強度比(I/I)を示す。また、相対強度比は5以上を表示する。
【0086】
【表1】
【0087】
当該結晶に含まれる水分量をカールフィッシャー法により測定した結果、9.3重量%であり、理論水分量との比較から、当該6SLナトリウム塩の結晶は6SLナトリウム塩・4.0水和物であることがわかった。
【0088】
[実施例2]
6SLナトリウム塩・n水和物結晶の取得-2
フリー体換算で、6SLのアモルファス225.1gを水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.81に調整し、1166mLとした。この水溶液を濃縮して323mLとし、得られた濃縮溶液のうち81mLを次の工程に供した。
【0089】
当該81mLの濃縮溶液を25℃に維持しつつ、実施例1で得られた結晶を種結晶として3.0g添加した。これに700mLの95%-メタノールを4時間かけて滴下添加し、結晶を析出させた。結晶スラリーを12時間熟成させた後に当該結晶を濾取し、95%メタノール水溶液で洗浄した後、25℃にて通風乾燥させることにより、61.2gの結晶を得た。
【0090】
HPLCによる純度測定では99.6%(面積%)以上の6SLの結晶が得られていることが確認され、当該結晶をもう一度水に溶解して上記の晶析操作を繰り返すことにより、99.8%(面積%)以上の6SLの結晶を取得することができた。
【0091】
当該結晶の粉末X線回折の結果を表2に示す。表中、「2θ」は回折角(2θ°)を、「相対強度」は、相対強度比(I/I)を示す。また、相対強度比は5以上を表示する。
【0092】
【表2】
【0093】
当該結晶のナトリウム含量を原子吸光法により測定した結果、3.66重量%であり、1ナトリウム塩の理論値(3.50重量%)とほぼ一致した。
【0094】
また、当該結晶に含まれる水分量をカールフィッシャー法により測定した結果、10.2重量%であり、理論水分量との比較から、当該6SLナトリウム塩の結晶は6SLナトリウム塩・4.6水和物であることがわかった。
【0095】
実施例2で取得した結晶の各種物性を表3に示す。pHは、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶として100g/Lの水溶液を測定した。
【0096】
【表3】
【0097】
表3に示すように、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶の融点が179.9℃と、既知の6SLナトリウム塩アモルファスの160℃付近よりも高いことから、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶は、高温条件下においても安定であることがわかった。
【0098】
また、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶、および既知の6SLナトリウム塩アモルファスについて、60℃の熱負荷を与えた場合の着色度を比較した結果を表4に示す。
【0099】
着色度は、それぞれの物質を6SLの無水和物換算で100g/Lとなるように溶解して測定した透過率T%430nm=100×10-A(A=Abs:430nm、1cm)で表す。
【0100】
【表4】
【0101】
表4に示すように、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶の方が、既知の6SLナトリウム塩アモルファスに比べて保存中の着色度が少なかったことから、6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶は、既知の6SLナトリウム塩アモルファスに比べて保存安定性に優れることが分かった。
【0102】
取得した6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶と、6SLナトリウム試薬(Carbosynth社製、アモルファス)の吸湿性を、以下の条件下で比較した。
保管条件:30℃、相対湿度80%(装置:THE051FA、アドバンテック東洋社製)
測定方法:サンプル約100mgを精密天秤によって秤量後、ガラス容器に充填し、上記条件にて保管後、再度サンプルを秤量して重量変化率を算出した。
【0103】
結果を表5に示す。なお、試験開始時のそれぞれの重量を100%として各経過時間のサンプルの重量を測定した。
【0104】
【表5】
【0105】
表5に示すように、取得した6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶の方が、アモルファスと比較して吸湿性が低く、保存安定性に優れていることが確認された。
【0106】
[実施例3]
6SLナトリウム塩・n水和物結晶の取得-3
実施例2で得られた6SLナトリウム塩・4.6水和物結晶12.0gを、真空乾燥機を用いて室温で21時間乾燥することにより、11.6gの結晶を得た。
【0107】
当該結晶に含まれる水分量をカールフィッシャー法により測定した結果、8.3重量%であり、理論水分量との比較から、当該6SLナトリウム塩の結晶は6SLナトリウム塩・3.3水和物であることがわかった。
【0108】
また、当該結晶の粉末X線回折の結果を表6に示す。表中、「2θ」は回折角(2θ°)を、「相対強度」は、相対強度比(I/I)を示す。また、相対強度比は5以上を表示する。
【0109】
【表6】
【0110】
表6に示すように、当該結晶は、実施例1および2で取得した結晶の粉末X線回折の結果とほぼ一致したことから、6SLナトリウム塩・n水和物結晶には、n数の異なる同一の結晶構造が存在することがわかった。
【0111】
さらに、実施例2で得られた4.6水和物の熱重量示差熱分析の結果(図4)から、4.6水和物の水分子は、温度上昇(30℃~127℃)に伴って徐々に脱水され、127℃にて無水物(n=0)に至ること、またその過程で吸熱・発熱を伴う結晶転移を確認しなかったことから、6SLナトリウム塩・n水和物結晶には、無水物から5.0水和物までの連続したn水和物結晶状態が存在することが明らかとなった。
【0112】
[実施例4]
6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶の取得
参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス100gを水300mLに溶解し、体積が150mLとなるまで濃縮(50℃、15hPa)した。
【0113】
得られた濃縮液に83mLの100%-メタノールを25℃下で2時間かけて添加した後、実施例2で取得した6SLナトリウム塩・4.6水和物の結晶を種結晶として1.0g添加し、結晶を析出させた。
【0114】
さらに259mLの100%-メタノールを25℃下で12時間かけて添加した後、40℃にて3日間熟成させることにより6SLナトリウム塩結晶を成長させ、スラリーを取得した。
【0115】
析出した結晶の構造を決定するために析出した6SLナトリウム塩結晶に対し、測定装置(リガク社製単結晶X線構造解析装置R-AXIS RAPID)を用いて単結晶X線回折(SXRD)を実施した。
【0116】
まず、6SLナトリウム塩の単結晶を回折計に取り付け、室温の大気中または所定の温度の不活性ガス気流中で、所定の波長のX線を用いて、回折画像を測定した。
【0117】
次に、回折画像から算出された面指数と回折強度の組から、直接法による構造決定と最小二乗法による構造精密化[Acta Cryst.A64,112(2008)]を行い、単結晶構造を得た。その結果を表7にまとめる。
【0118】
【表7】
【0119】
表7に示すように、上記測定の結果、当該結晶が6SLナトリウム塩の結晶であり、単位格子内に水分子、およびメタノール分子を有する2.5水和物・0.5メタノール和物であることが確認された。
単結晶X線構造解析の結果得られた6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶のORTEP図を図6に示す。
【0120】
[実施例5]6SLナトリウム塩・n水和物結晶の取得-4
実施例4で取得された結晶スラリーを遠心分離することにより6SLナトリウム塩・2.5水和物・0.5メタノール和物結晶を濾取し、137.9gの結晶を得た。さらに当該結晶を真空乾燥(35℃、50hPa、24時間)させることにより、73.9gの結晶を得た。
【0121】
当該結晶の粉末X線回折の結果を図7及び表8に示す。表中、「2θ」は回折角(2θ°)を、「相対強度」は、相対強度比(I/I)を示す。また、相対強度比は5以上を表示する。
【0122】
【表8】
【0123】
また、当該結晶に含まれるメタノール量をガスクロマトグラフにより測定した結果、0.39重量%であり、6SLナトリウム・2.5水和物・0.5メタノール和物の結晶格子中からメタノールが脱離していることを確認した。
【0124】
また、当該結晶に含まれる水分量をカールフィッシャー法により測定した結果、6.3重量%であり、理論水分量との比較から、当該6SLナトリウム塩の結晶は6SLナトリウム塩・2.7水和物であることがわかった。
【0125】
図7のチャート図と実施例2で取得した結晶のチャート図とを比較したところ、これらはよく一致した。よって、当該結晶は、実施例2で取得された結晶と同一の結晶形であることが確認された。
【0126】
[実施例6]6SLナトリウム塩・n水和物結晶の取得-5
参考例1で取得した6SLナトリウムアモルファス100gを水300mLに溶解し、体積が105mLとなるまで濃縮(50℃、15hPa)した。得られた濃縮液1mLを次の工程に供した。
【0127】
該水溶液1mLを5mLガラスサンプル瓶へ充填し、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)約5mLを充填した50mLガラスサンプル瓶に静置保管し、該水溶液に対して室温下で3ヶ月間DMF蒸気を曝露させた所、該水溶液中から針状の結晶が析出した。
【0128】
[実施例7]
6SLナトリウム塩・n水和物結晶の取得-6
参考例1で取得した6SLナトリウム塩のアモルファス10gを水で溶解して体積を20mLとした。得られた濃縮液1mLを次の工程に供した。
【0129】
該水溶液1mLにDMF20mLを室温下で1時間かけて添加した後、実施例6で得られた針状の結晶を約10mg添加した所、結晶が析出した。該結晶を濾取し、25℃にて通風乾燥させることにより、70mgの結晶を取得した。
【0130】
当該結晶の粉末X線回折の結果を図8及び表9に示す。表中、「2θ」は回折角(2θ°)を、「相対強度」は、相対強度比(I/I)を示す。
【0131】
【表9】
【0132】
当該結晶の純度を測定した所、98.8%であり、当該結晶が確かに6SLナトリウム塩の結晶であることがわかった。また、当該結晶に含まれる水分量をカールフィッシャー法により測定した結果、5.3重量%であり、理論水分量との比較から、当該6SLナトリウム塩の結晶は6SLナトリウム塩・2.3水和物であることがわかった。
【0133】
図8のチャート図と実施例2で取得した結晶のチャート図とを比較したところ、これらは一致しなかった。よって、当該結晶は、実施例2で取得された結晶と異なる結晶形であることが確認された。
当該結晶の融点を測定した結果、169.9℃であった。
【0134】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2015年11月18日付けで出願された日本特許出願(特願2015-225652)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明により、例えば、健康食品、医薬品若しくは化粧品等の製品、原料または中間体等として有用である6SLナトリウム塩の結晶、およびその製造方法が提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8