(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069598
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】内蔵型生物学的インジケータ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20220428BHJP
C12Q 1/22 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12Q1/22
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041221
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2017035967の分割
【原出願日】2017-02-28
(31)【優先権主張番号】15/057,768
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591286579
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベーナム・アミン
(57)【要約】
【課題】生物学的滅菌インジケータを提供する。
【解決手段】生物学的滅菌インジケータは、内部側壁、内部底壁、第1のエンクロージャ、第2のエンクロージャ、及び前記内部側壁の支持体を有するハウジングと、アンプルであって、その少なくとも一部が前記第1のエンクロージャ内部に配置されており、第1端及び第2端を有する、アンプルと、内側表面及び外側表面を有するキャップと、前記内部底壁上に配置された担体と、挿入部材であって、(i)上面及び当接面を含むプラットフォームであって、前記アンプルの前記第2端が前記上面上に配置されており、前記当接面が前記支持体上に配置されている、プラットフォームと、(ii)前記内部底壁に向かって延在する脚部であって、前記脚部が、前記担体と前記脚部との間に隙間があるように前記支持体と前記内部底壁との間の距離より短い長さを有する、脚部と、を含む、挿入部材と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的滅菌インジケータであって、
(a)内部側壁、内部底壁、第1のエンクロージャ、第2のエンクロージャ、及び前記内部側壁の支持体を有するハウジングであって、前記第1のエンクロージャが前記支持体の上方に配置されており、前記第2のエンクロージャが前記内部底壁と前記支持体との間に配置されている、ハウジングと、
(b)アンプルであって、その少なくとも一部が前記第1のエンクロージャ内部に配置されており、第1端及び第2端を有する、アンプルと、
(c)内側表面及び外側表面を有するキャップであって、前記第1のエンクロージャの少なくとも一部を含む前記ハウジングの一部上に配置されている、キャップと、
(d)前記内部底壁上に配置された担体と、
(e)挿入部材であって、
(i)上面及び当接面を含むプラットフォームであって、前記アンプルの前記第2端が前記上面上に配置されており、前記当接面が前記支持体上に配置されている、プラットフォームと、
(ii)前記内部底壁に向かって延在する脚部であって、前記脚部が、前記担体と前記脚部との間に隙間があるように前記支持体と前記内部底壁との間の距離より短い長さを有する、脚部と、を含む、挿入部材と、
を含む、生物学的滅菌インジケータ。
【請求項2】
前記脚部の長さが前記支持体と前記内部底壁との間の距離より約0.1~2ミリメートル短い、請求項1に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項3】
前記プラットフォームの前記上面が少なくとも3つの応力集中部分を含み、前記アンプルの前記第2端が前記少なくとも3つの応力集中部分のそれぞれと接触する、請求項2に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項4】
前記キャップが、前記内側表面上から始まりかつ前記ハウジングの前記第2のエンクロージャに向かって延在する環状突起部を更に含み、前記アンプルの前記第1端が前記環状突起部内に配置されている、請求項3に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項5】
前記アンプルの前記第1端が摩擦嵌合によって前記環状突起部に連結されている、請求項4に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項6】
前記アンプルが前記環状突起部の内径より約0.1~1ミリメートル短い外径の環状断面を有する、請求項4に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項7】
前記キャップの前記内側表面が前記アンプルの前記第1端に接触する、請求項4に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項8】
生物学的滅菌インジケータであって、
(a)第1のエンクロージャと、第2のエンクロージャと、前記第1のエンクロージャと前記第2のエンクロージャとの間に配置された支持体を含む第1の壁と、を有するハウジングと、
(b)アンプルであって、その少なくとも一部が前記第1のエンクロージャ内部に配置されており、第1端及び第2端を有する、アンプルと、
(c)内側表面及び外側表面を有するキャップであって、前記第1のエンクロージャの少なくとも一部を含む前記ハウジングの一部上に配置されている、キャップと、
(d)挿入部材であって、
(i)プラットフォームであって、前記支持体上に配置されている、プラットフォームと、
(ii)第1の応力集中部分、第2の応力集中部分、及び第3の応力集中部分であって、それぞれが前記プラットフォーム上に配置され、それぞれが前記アンプルの前記第2端に接触している、第1の応力集中部分、第2の応力集中部分、及び第3の応力集中部分と、を有する、挿入部材と、
を含む、生物学的滅菌インジケータ。
【請求項9】
前記挿入部材が、前記プラットフォーム上から始まりかつ前記第2のエンクロージャから離れる方向に延在する第2の壁を更に含む、請求項8に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項10】
前記第1の応力集中部分、前記第2の応力集中部分、及び前記第3の応力集中部分がそれぞれ、ベース部分、高さ部分、及び斜辺部分を含む三角形状を有し、各前記ベース部分が前記プラットフォームに接触し、各前記高さ部分が前記第2の壁に接触し、各前記斜辺部分が前記アンプルの前記第2端に接触する、請求項9に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項11】
前記プラットフォームと前記第1の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度と異なる、請求項10に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項12】
前記プラットフォームと前記第1の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度と異なり、前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度と異なる、請求項11に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項13】
前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度の約5度以内である、請求項12に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項14】
前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度に等しい、請求項13に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項15】
前記キャップが第1位置から第2位置まで移動可能であり、前記生物学的滅菌インジケータが、
(a)前記キャップの前記内側表面で始まり、かつ前記挿入部材に向かって延在する突起部と、
(b)前記第2の壁で始まりかつ前記キャップに向かって延在するアームであって、前記アームが、前記突起部との干渉によって前記キャップの移動を妨げるように適合され、前記アームが、前記キャップの前記第2位置への移動を可能にするために、第1の向きから第2の向きへ移動するように更に適合されている、アームと、
を更に含む、請求項10に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項16】
前記アームが、前記アームを貫通する開口部を含み、前記突起部が、第3の向きから第4の向きへ移動するように適合されている、請求項15に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項17】
前記アームは、前記アンプルが前記第3の向きから前記第4の向きへの前記突起部の屈曲を妨げるように位置決めされるように、前記突起部に対して位置決めされている、請求項16に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項18】
前記アームは、前記アンプルが前記第1の向きから前記第2の向きへの前記アームの屈曲を妨げるように位置決めされるように、前記突起部に対して位置決めされている、請求項16に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【請求項19】
生物学的滅菌インジケータを作動させる方法であって、
(a)前記生物学的滅菌インジケータを提供することであって、前記生物学的滅菌インジケータがハウジング、キャップ、アンプル、及び挿入部材を含み、
前記キャップが、内側表面と、前記内側表面で始まりかつ前記挿入部材に向かって延在する突起部とを含み、
前記挿入部材が、少なくとも3つの応力集中部分と、前記キャップに向かって延在するアームとを含み、
前記アンプルの第1端が前記キャップ内に配置されており、前記アンプルの第2端が前記少なくとも3つの応力集中部分に載っている、ことと、
(b)前記生物学的滅菌インジケータ上に印加力を及ぼすことと、
(c)前記アンプル上の別個の位置で少なくとも5つの反力を発生させることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される内容は、内蔵型生物学的滅菌インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用装置は、対象に感染症を引き起こす恐れのある汚染した装置が対象に使用されるかもしれないという可能性を最小限度に抑えるために、通常使用前に滅菌される。種々の滅菌技術は、ガスプラズマ及び酸化エチレン(EtO)の使用又は不使用に関わらず、例えば蒸気、過酸化水素及び気相滅菌を用いてもよい。これらの方法のそれぞれは滅菌される医療用装置に応じて、ある程度滅菌流体、通常気体の拡散速度に依存する。
【0003】
滅菌前、医療用装置は半透性バリアを有する容器又はパウチ内に通常包装されており、それは滅菌流体-滅菌剤と呼ばれることもある-の透過を可能にするが、汚染微生物の進入を、特に滅菌後にパッケージが医療関係者によって開かれるまで防ぐ。有効な滅菌サイクルにおいて、滅菌サイクルを生き延びる任意の微生物は増殖しかつ医療用装置を再汚染できるので、パッケージ内の汚染微生物は死滅しなければならない。
【0004】
包装は無菌の医療用装置の汚染を防ぐのに役立つが、その内部に収容する装置又は器具に滅菌剤が到達するのを包装が妨げるので、包装は成功した滅菌サイクルを成し遂げる難しさを増加させる可能性がある。これは特にその内部に拡散制限空間を有する装置及び器具にとって問題となり、それは滅菌サイクルが効果的であり得る可能性をこれらの拡散制限空間が減らすからである。例えば内視鏡は通常、成功した滅菌サイクルを達成するために滅菌剤が十分な時間に十分な濃度で拡散しなければならない細長い内腔を有する。
【0005】
滅菌サイクルが有効であったことを確認することは、医療関係者が対象に汚染した医療用装置を使用することを回避するのに役立つ。通常、滅菌した医療用装置それ自体は汚染微生物を点検せず、それはこのような働きが他の汚染微生物を医療用装置にもたらし、それによって装置を再汚染するからである。このように間接的な点検が滅菌インジケータの形態で開発されている。
【0006】
滅菌インジケータは、滅菌サイクルに置かれる医療用装置と並んで又はそれに近接して配置されてもよい装置であり、その結果滅菌インジケータは医療用装置と同じ滅菌サイクルを受ける。例えば滅菌剤への周知の耐性を有する微生物の所定量を有する生物学的インジケータは、医療用装置と一緒に滅菌室内に入れられて、滅菌サイクルを受ける。サイクルが終了した後、生物学的インジケータの微生物は、微生物のいずれかがサイクル後も生存したか判断するために培養できる。
【0007】
特定の生物学的インジケータは「内蔵型」と称される。これらの生物学的インジケータは通常、微生物の量及び微生物の近くに配置されている壊れやすい容器の増殖培地源を含有するハウジングを含む。他の生物学的インジケータの様に、「内蔵型」生物学的インジケータ(「SCBI」)は医療用装置とともに滅菌サイクルを受ける可能性がある。サイクルの後、壊れやすい容器は、増殖培地を放出して、生存している微生物をin situ培養するために破壊され得る。SCBIを高温で、通常約50℃~60℃で培養することができ、それは生存している微生物の成長を促す。市販の製品を使用する培養は通常、約24時間の間継続する。この間、滅菌の効果は未確認のままである一方で、医療関係者が医療用装置を使用しないことが望ましい。これは、例えば、病院のようなヘルスケア提供者にとって在庫管理の非効率性を引き起こす可能性がある。これは、例えば、医療用装置を使用できない間に保管しなければならず、おそらくヘルスケア提供者がそれよりも多くの医療用装置を在庫さもなければ医療機器の十分な供給を確保するであろう。あるいはヘルスケア提供者は、培養が終了しかつ滅菌の有効性が確認される前に医療用装置を使用できる。しかし滅菌有効性が確認される前に医療用装置を使用することは、医療処置の対象を医療用装置による感染の危険性にさらすことになり得る。
【0008】
培養後、SCBIは微生物の存在を検出するために分析される。微生物が検出されれば、滅菌サイクルは効果がなかったと考えられる。微生物が検出されなければ、滅菌サイクルは有効だったと考えられる。いくつかのSCBIは、微生物の存在下で色を変える増殖培地を含むように設計されている。この色の変化は、増殖培地を代謝させる、生きている微生物による酸生成によって生じるpHの変動によるものであり得て、それはpH指示染料も含有する。他のSCBIは、蛍光が媒体に含まれる生存可能な微生物の量に依存する蛍光物質を含む、増殖培地を含むように設計されている。これらのSCBIにおいて、色の変化又は蛍光量の変化は、培養中、生存している微生物を増殖させ得ることを示す。
【0009】
液体増殖培地を含むSCBIの壊れやすい容器は、多くの場合ガラスから製造される。輸送中、例えばSCBIの製造業者からヘルスケア提供者への輸送中破損を防止するために、ガラスは十分に頑丈でなければならない。しかしこのような頑丈さは、所望の時間で医療関係者がアンプルを壊すのに必要とするより大きな力に相当する。したがっていくつかのSCBI製造業者は作動装置を病院職員に提供して、それらがアンプルの破壊を補助する。
【0010】
SCBIの微生物は多くの場合担体上に配置されている。担体は紙又はガラス繊維など種々の材料から製造することができる。壊れやすい容器などSCBI中の要素が担体へ接触しないように制限されない場合、担体は、特に輸送中、損傷を受ける可能性がある。例えば輸送中、壊れやすい容器はSCBI中でぶつかる可能性があり、それにより壊れやすい容器は担体に繰り返し激しく当たり、それを損傷する場合がある。このような損傷は、SCBIの正常機能のために配置されなければならない位置から担体が取りはずされ得る可能性を増加させ得る。
【0011】
SCBIの液体増殖培地の色の変化又は濁度変化は、自動化装置の力を借りずに、個々のヘルスケア従事者によって目視で判定することができる。あるいは色の変化、濁度変化又は蛍光変化は、自動化装置を組み込んだ色及び/又は蛍光センサの助けを借りて判定することができる。このような判定の精度は、もとは増殖培地を含有する壊れやすい容器であった破片の存在によって低下する可能性があり、それはこれらの破片がSCBIとセンサとの間の光路をブロックする若しくは部分的に遮断することができる、又はセンサが検出できるSCBIからの光の波長又は蛍光の量をそれらが変える可能性があるからである。更に、破片は、増殖培地の必要な量の全量が担体に接触するのを防止することができ、それは、破片が担体と接触し、それによって増殖培地と担体との間に障害物を提供することができるからである。破片は、また、担体に到達するため増殖培地の十分な量が移動するのに必要となり得る、例えば空気、ガス及び蒸気を含有する少ない量をその間に作成することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
いくつかの実施形態では、生物学的滅菌インジケータが開示され、それは第1のエンクロージャ及び第2のエンクロージャを有するハウジング、液体増殖培地を含有するアンプル、並びに第1のエンクロージャに少なくとも部分的に配置された挿入部材を含む。いくつかの実施形態では、アンプルの一部は第1のエンクロージャ内部に配置されており、第2のエンクロージャ内部に配置されているアンプルはない。いくつかの実施形態では、挿入部材は、上面、当接面、及び側面を含むプラットフォームを含む。いくつかの実施形態では、挿入部材は、プラットフォームに配置され、液体増殖培地の第1の量が第2のエンクロージャ内へと通過することを可能にするように構成される第1の空洞を有する。いくつかの実施形態では、挿入部材は、側面の少なくとも一部を通じて配置され、液体増殖培地の第2の量が第2のエンクロージャ内へと通過することを可能にするように構成される第2の空洞を有する。いくつかの実施形態では、挿入部材の第2の空洞は、当接面及び側面を通過する角度の付いた切り込みでもよい。いくつかの実施形態では、角度の付いた切り込みは全体的に上面の下方に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、挿入部材は、プラットフォームの上面上に配置された壁を更に含む。いくつかの実施形態では、壁は円筒形状を有する。
【0013】
生物学的滅菌インジケータ、特に前項に記載されている実施形態の少なくともいくつかに従って構成されたものは、生物学的滅菌インジケータを提供する工程と、アンプルを壊す工程と、液体増殖培地の第1の量が第1の空洞を通過することを可能にする工程と、液体増殖培地の第2の量が第2の空洞を通過することを可能にする工程と、を含む方法を実行するために使用することができる。前記方法は、液体ロックの形成を妨げる工程を更に含む。
【0014】
いくつかの他の実施形態において、ハウジング、アンプル、キャップ、担体及び挿入部材を含む、生物学的滅菌インジケータを開示する。これらの実施形態のいくつかにおいて、ハウジングは内部側壁、内部底壁、第1のエンクロージャ、第2のエンクロージャ、及び内部側壁の支持体を有しており、第1のエンクロージャは支持体の上方に配置されており、第2のエンクロージャは内部底壁と支持体との間に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、アンプルは第1端及び第2端を有しており、アンプルの少なくとも一部は第1のエンクロージャ内部に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップは内側表面及び外側表面を有しており、キャップは第1のエンクロージャの少なくとも一部を含むハウジングの一部上に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、担体は内部底壁上に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、挿入部材はプラットフォームを有しており、それは上面及び当接面を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、アンプルの第2端は上面上に配置されており、当接面は支持体上に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、挿入部材は内部底壁に向かって延在する脚部を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、脚部は支持体と内部底壁との間の距離より短い長さを有しており、その結果担体と脚部との間に隙間がある。これらの実施形態のいくつかにおいて、脚部の長さは支持体と内部底壁との間の距離より約0.1~2ミリメートル短い。これらの実施形態のいくつかにおいて、プラットフォームの上面は少なくとも3つの応力集中部分を含んでおり、アンプルの第2端は少なくとも3つの応力集中部分のそれぞれと接触している。これらの実施形態のいくつかにおいて、アンプルはキャップの内側表面上から始まる環状突起部内に配置されており、それはハウジングの第2のエンクロージャに向かって延在する。これらの実施形態のいくつかにおいて、アンプルの第1端は摩擦嵌合によって環状突起部に連結する。これらの実施形態のいくつかにおいて、アンプルは環状突起部の内径より約0.1~1ミリメートル短い外径の環状断面を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップの内側表面はアンプルの第1端に接触する。
【0015】
更に他の実施形態において、ハウジング、アンプル、キャップ及び挿入部材を含む、生物学的滅菌インジケータを開示する。これらの実施形態のいくつかにおいて、ハウジングは第1のエンクロージャ、第2のエンクロージャ、及び第1のエンクロージャと第2のエンクロージャとの間に配置されている支持体を含有する第1の壁を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、アンプルは第1端及び第2端を有しており、アンプルの少なくとも一部は第1のエンクロージャ内部に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップは第1のエンクロージャの少なくとも一部を含むハウジングの一部上に配置されており、キャップは内側表面及び外側表面を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップはプラットフォームを有する挿入部材を有しており、それは支持体上に配置されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、挿入部材は第1の応力集中部分、第2の応力集中部分、及び第3の応力集中部分を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、各応力集中部分はプラットフォーム上に配置されており、それぞれはアンプルの第2端に接触している。これらの実施形態のいくつかにおいて、挿入部材はプラットフォーム上から始まりかつ第2のエンクロージャから離れる方向に延在する第2の壁を更に含む。
【0016】
更に他の実施形態の更なる実施形態において、生物学的滅菌インジケータは、少なくとも第1の応力集中部分、第2の応力集中部分、及び第3の応力集中部分を含んでおり、各応力集中部分はベース部分、高さ部分、及び斜辺部分を含む三角形状を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、各底部はプラットフォームに接触しており、各高さ部分は第2の壁に接触しており、及び各斜辺部分はアンプルの第2端に接触している。これらの実施形態のいくつかにおいて、プラットフォームと第1の応力集中部分の斜辺部分との間の角度は、プラットフォームと第2の応力集中部分の斜辺部分との間の角度とは異なる。これらの実施形態のいくつかにおいて、プラットフォームと第1の応力集中部分の斜辺部分との間の角度は、プラットフォームと第3の応力集中部分の斜辺部分との間の角度と異なり、プラットフォームと第2の応力集中部分の斜辺部分との間の角度は、プラットフォームと第3の応力集中部分の斜辺部分との間の角度と異なる。これらの実施形態のいくつかにおいて、プラットフォームと第2の応力集中部分の斜辺部分との間の角度は、プラットフォームと第3の応力集中部分の斜辺部分との間の角度の約5度以内である。これらの実施形態のいくつかにおいて、プラットフォームと第2の応力集中部分の斜辺部分との間の角度は、プラットフォームと第3の応力集中部分の斜辺部分との間の角度に等しい。
【0017】
更に他の実施形態の更なる実施形態において、挿入部材はプラットフォーム上から始まりかつ第2のエンクロージャから離れる方向に延在する第2の壁を更に含んでおり、キャップは第1位置から第2位置へ移動可能である。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップは、キャップの内側表面で始まりかつ挿入部材に向かって延在する突起部を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップは、第2の壁で始まりかつキャップに向かって延在するアームを含んでおり、その結果アームは突起部との干渉によってキャップの移動を妨げるように適合されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、キャップの第2位置への移動を可能にするために、アームは第1の向きから第2の向きへ移動するように適合されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、アームはアームを貫通する開口部を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、突起部は第3の向きから第4の向きへ移動するように適合されている。これらの実施形態のいくつかにおいて、アームは、アンプルが第3の向きから第4の向きへの突起部の屈曲を妨げるように位置決めされるように、突起部に対して位置決めされている。これらの実施形態のいくつかにおいて、アームは、アンプルが第1の向きから第2の向きへのアームの屈曲を妨げるように位置決めされるように、突起部に対して位置決めされている。
【0018】
生物学的滅菌インジケータ、特に前2項に記載の実施形態の少なくともいくつかに従って構成されたものは、生物学的滅菌インジケータ上に印加力を及ぼす工程、及びアンプル上の別個の位置で少なくとも5つの反力を発生させる工程を含む方法を実行するために使用することができる。
【0019】
本明細書で使用する場合、「表面」という用語は、対象物の境界を形成するための特徴として理解されなければならない。
【0020】
本明細書で使用する場合、「壁」という用語は、対象物の側部、上部又は側部の少なくとも一部を形成する対象物の特徴として理解されなければならない。壁は表面の一例である。
【0021】
本明細書で使用する場合、「当接面」という用語は、別の対象物に接触する対象物の表面として理解されなければならない。
【0022】
本明細書で使用する場合、「エンクロージャ」という用語は、対象物の表面又はその内部に含有される他の対象物の表面によって少なくとも部分的に画定される、対象物内部の空間又は空洞として理解されなければならない。
【0023】
本明細書で使用する場合、「挿入部材」という用語は、対象物の1つ以上のエンクロージャ内に配置されている対象物として理解されなければならない。
【0024】
本明細書で使用する場合、「空洞」という用語は、固体材料が欠けており、及び対象物の1つの表面又は壁の少なくとも一部によって画定されている対象物の特徴として理解されなければならない。空洞は対象物を通る通路を提供できる。空洞は、対象物を通過する又はその周囲の流体連通を維持するために使用することができる。
【0025】
本明細書で使用する場合、「液体ロック」という用語は流動液体の量の経路の妨害物として理解されなければならず、妨害物は少なくともある程度は静止気体及び/又は液体の量によって形成される。
【0026】
本明細書で使用する場合、「阻害する」という用語は、液体ロックの形成などの望ましくない結果が発生する可能性を減らすこととして理解されなければならない。
【0027】
本明細書で使用する場合、「切り欠き」という用語は、対象物から材料を除去するによって作成された又は作成されたような一種の空洞として理解されなければならない。切り欠きの例としては、小さな溝及び斜角などの特徴を含む。
【0028】
本明細書で使用する場合、「支持体」という用語は、別の特徴又は対象物の位置を維持するのを助ける特徴として理解されなければならない。
【0029】
本明細書で使用する場合、「脚部」という用語は、その対象物の他の特徴で始まり、それから離れる方向に延在する細長い部材として理解されなければならない。
【0030】
本明細書で使用する場合、「担体」という用語は、微生物及び/又は酵素が配置されている対象物として理解されなければならない。
【0031】
本明細書で使用する場合、「印加力」という用語は、他の対象物若しくは装置の助けの有無に関わらず、対象物に直接的に又は間接的にユーザから加わる力として理解されなければならない。
【0032】
本明細書で使用する場合、「反力」という用語は、印加力に対応する印加力を受ける対象物によって生成される力として理解されなければならず、ここで少なくとも反力の要素は印加力の方向の反対方向を示す。
【0033】
本明細書で使用する場合、「応力集中部分」という用語は、印加力を受ける対象物に反力を及ぼすように構成されて、対象物上に直接的に又は間接的に及ぼされる表面積を含む特徴として理解されなければならず、ここで反力を及ぼすように構成される表面積は印加力が行使される対象物の表面積より狭い。
【0034】
本明細書で使用する場合、「突起部」という用語は、対象物の表面で始まりかつそれから離れる方向に延在する対象物の特徴として理解されなければならない。
【0035】
本明細書で使用する場合、「環状」という用語は、特徴が少なくとも部分的に楕円形及び/又は円形である断面を有することを示すとして理解されなければならない。
【0036】
本明細書で使用する場合、「摩擦嵌合」という用語は、摩擦によって達成される2つ以上の表面の間の連結関係として理解されなければならない。
【0037】
本明細書で使用する場合、「アーム」という用語は、対象物の別の特徴で始まり、かつそれから離れる方向に延在する対象物の細長い部材として理解されなければならない。
【0038】
本明細書で使用する場合、「妨げる」という用語は、移動の少なくとも部分的又は一時的な妨害を引き起こすこととして理解されなければならない。
【0039】
本明細書で使用する場合、「屈曲」という用語は、対象物若しくは特徴への偏向力の適用によって引き起こされる、曲げることのできる対象物又は特徴で生じる曲げ作用として理解されなければならない。
【0040】
本明細書で使用する場合、「向き」という用語は、対象物又は特徴の角度姿勢として理解されなければならない。
【0041】
本明細書にて開示される生物学的滅菌インジケータは、キャップを押圧することによってアンプルを壊すのに必要な力の量を減らしつつ、アンプルの破損又は担体の分解を生じさせず運搬を存続するのに十分に頑丈である。本明細書にて開示した生物学的滅菌インジケータは、壊れたガラスアンプルの破片などアーチファクトがハウジングの第2のエンクロージャに入るのを防止し、それによってこのようなアーチファクトが増殖培地の色又は蛍光の判定内に誤差をもたらすのを防止するのに役立つ。本明細書にて開示される生物学的滅菌インジケータは、増殖培地の所望量が担体に接触するのを妨げることができる、このようなアーチファクト中の妨害物の形成を防ぐのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本明細書は、本明細書に記載の主題を特定しかつ明確に権利主張する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、主題は下記の特定の例の説明を添付図面と併せ読むことからより深い理解が得られるものと考えられる。図中、類似の参照番号は同じ要素を示す。
【
図1】SCBIの第1の例の実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図1で示される第1のSCBIの例の等角分解図を示す。
【
図3】
図1の線A-Aに沿って切断された
図1~
図2に示す、第1のSCBIの例の断面図を示す。
【
図4】
図1~
図3に示される第1のSCBIの例の挿入部材の、第1の例の実施形態の等角図を示す。
【
図5】
図4の挿入部材の第1の例の実施形態の平面図を示す。
【
図6】
図5の線B-Bに沿って切断された
図4~
図5の挿入部材の、第1の例の実施形態の断面図を示す。
【
図7】SCBIの第2の例の実施形態の等角図を示す。
【
図8】
図7に示す第2のSCBIの例の挿入部材の、第2の例の実施形態の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の説明は、特許請求されている主題の特定の例示的例を記載する。本技術の他の例、特徴、態様、実施形態及び利点は、以下の説明から当業者には明らかになるであろう。したがって図面及び説明は、実質的に例示的なものとしてみなされなければならない。
【0044】
I.内蔵型生物学的インジケータ
図1~
図3を参照すると、内蔵型生物学的インジケータ(「SCBI」)100が示される。SCBI 100は、ハウジング102及びキャップ104を含む。キャップ104は、内側表面106、外側表面108、及び平面状、斜面状、弓状、環状、円錐状、又はいつくかのこれらの組み合わせを有する突起部112を含む。キャップ104は、SCBI内へ又はその外への気体(例えば空気又は滅菌剤)の通過を手助けするために1つ以上の貫通孔110を更に含むことができる。滅菌剤にさらされると色を変えるステッカーであり得る化学的インジケータ196は、キャップに固着されてもよい。内側表面106は湾曲部分156を更に含むことができる。ハウジング102は、内部側壁116及び外部側壁118を有する側壁114、内部底壁122及び外部底壁126を有する底壁120を含む。ハウジング102は、側壁114の圧縮により形成される支持体130を更に含む。ハウジング102の頂端部134は、底壁120の反対側で、それにより開口部132を画定することができる。ハウジング102は頂上部124及び頂上部と底部との間に配置した支持体130を有する底部128によって更に画定されることができ、ハウジング102内の第1のエンクロージャ136及び第2のエンクロージャ138を更に画定する。SCBIの当該技術において周知のように、キャップ104は第1位置のハウジング102に対して配置されており、第1位置から第2位置まで移動可能に構成されている。第1位置(
図1及び
図3に示される)において、キャップ104は、気体(例えば空気又は滅菌剤)が周囲環境からSCBI内に移動できるようにハウジング102に連結し、又は逆もまた同様である。この位置で、キャップ104の任意の貫通孔110は頂端部134の上方に配置され、その結果、第1のエンクロージャ136及び第2のエンクロージャ138は周囲環境と流体連通しており、それによって貫通孔110を介して第1のエンクロージャ136及び第2のエンクロージャ138内に及びそれから滅菌剤の導入及び中止を可能にする。キャップ104は、ハウジング102に対して第2位置へ押圧することができる。この第2位置において、貫通孔110は、ぴったりとはまっている関係のキャップ104及び外部側壁118を有する頂端部134の下方に配置されており、外部側壁は貫通孔110を遮り、周囲環境から効果的に第1のエンクロージャ136及び第2のエンクロージャ138を封止する。
【0045】
SCBI 100はまた、細菌胞子、他の形態の細菌(例えば、栄養)及び/又は活性酵素を含浸させた担体140などの微生物又は活性酵素源を含む。バチルス、ゲオバチルス、及びクロストリジウム種からの胞子が、飽和蒸気、過酸化水素、乾熱、ガンマ線照射及び酸化エチレンを利用する滅菌プロセスをモニタするためにしばしば使用される。したがって、担体140には、バチルス、ゲオバチルス、及び/又はクロストリジウム種から胞子が含浸されてもよい。担体140は吸水性でもよく、濾紙から形成され得る。布、不織ポリプロピレン、レーヨン又はナイロン、及び微孔性ポリマー材料などのシート状の材料を使用してもよい。金属(例えばアルミニウム若しくはステンレス鋼)、ガラス(例えばガラスビーズ若しくはガラス繊維)、磁器又はプラスチックなどの非吸水性材料もまた使用に適切である。そのうえ、担体140は上述した材料の組み合わせから作成することができる。いくつかの実施形態において、担体140は内部底壁122上に載っている。いくつかの実施形態において、担体140は約0.1~0.5ミリメートルの厚さを有することができる。
【0046】
SCBI 100は、また、第1端143及び第2端144を有する壊れやすいガラスアンプル142も含む。アンプル142は、液体増殖培地を含有できる。増殖培地は、担体140上に配置された任意の生微生物の成長を培養によって促進することが可能でなければならない。いくつかの実施形態において、増殖培地は、例えば担体140上に意図的に配置されていない汚染性微生物の成長を促進せず、それはこのような汚染菌が色又は蛍光変化を引き起こす可能性があり、滅菌効果の不正確な判定につながる可能性があるからである。アンプル142は、また、増殖培地内に又はそれとは別個に、成長インジケータを含むことができる。成長インジケータは酵素又は蛍光染料などの染料であり得て、それは生存している微生物の成育を検出するのに役立つ。成長インジケータはまた、酵素基質系でもよく、それは酵素が作用できかつ酵素修飾生成物又はその複数の生成物に転化し得る、基質又は基質の混合物でもよい。例えば、酵素基質系は、酵素と蛍光性基質との間の反応によって作成される酵素修飾生成物とは異なって、蛍光を発する蛍光性基質でもよい。いくつかの実施形態において、蛍光性基質は、あるとしてもほとんど蛍光を発せず、酵素修飾生成物は前記基質より著しく蛍光を発する。
【0047】
SCBI 100はまた、挿入部材146も含むことができ、それは
図3~
図6に詳細に記載されている。挿入部材146は、上面150、当接面152、底面153、並びに下部面154及び上部面155など1つ以上の側面を有するプラットフォーム148を含むことができる。挿入部材146はまた、上面150及び/又は側面154から始まり、当接面152から離れる方向に延在するプラットフォーム148上の管状壁部164を含むこともできる。管状壁部164は中空円筒形状を有することができる。この円筒の直径は、第2端144が管状壁部164内に配置され得るようにアンプル142の直径より大きくなければならない。
【0048】
第1の空洞(又は経路)178は、プラットフォーム148を通じて配置されていてもよい。第1の空洞178は、上面150から始まり、底面153で終わる孔の形を有することができる。第2の空洞(又は経路)188は加えて又は代わりにプラットフォーム148を通じて配置されていてもよい。第2の空洞188は、少なくとも部分的に側面154から始まり、少なくとも部分的に当接面152で終わる角度の付いた切り込み(例えば小さな溝又は斜角)の形状を有することができる。図示していないが、空洞188は追加として上面150を横断することができる。挿入部材146は、空洞178及び空洞188の追加的なインスタンスを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、空洞188の3つのインスタンスは、プラットフォーム148を通じて、上部側面155から当接面152に配置されている。
【0049】
挿入部材146は、底面153から始まりかつプラットフォーム148から離れる方向に延在する脚部(又は複数の脚部)166を含むこともできる。脚部166は、ハウジング102の支持体130と内部底壁122との間の距離に等しい、最大長さを有する。
図3に示すように、脚部166は、ハウジング102の支持体130と内部底壁122との間の距離よりいくらか短い長さを有する。脚部166は、ハウジング102の支持体130と内部底壁122との間の距離より約0.1~1ミリメートル短い長さを有し得る。挿入部材146は、脚部166の複数のインスタンスを含むことができる。例えば挿入部材146は、脚部166の3つのインスタンスを含むことができる。
【0050】
挿入部材146はまた、プラットフォーム148の上面150に配置した突起部又は応力集中部分170も含むことができる。例えば応力集中部分170は、丸い隆起、角度の付いた隆起又は三角形楔などの楔の形状を有することができる。
図3~
図6に示すように、応力集中部分170は三角形楔の形状を有する。三角形楔は、ベース部分171、高さ部分172、及び斜辺部分173を含む直角三角形の形状を有することができる。ベース部分171は上面150と一致してもよく、高さ部分172は上部側面155及び/又は管状壁部164と一致してもよい。このような実施形態において、応力集中部分170は、管状壁部164及びプラットフォーム148の接合を強化できるガセットとして機能できる。ベース部分171は、斜辺部分173に対して第1の角度αで配置され得る。第1の角度αは鋭角でもよい。第1の角度は、45°~85°の値を有し得る。
【0051】
挿入部材146は複数の応力集中部分を更に含むことができる。例えば、応力集中部分170に加えて、応力集中部分180及び応力集中部分190を含むこともできる。応力集中部分170の様に、応力集中部分180及び190はそれぞれ、丸い隆起、角度の付いた隆起、又は三角形楔などの楔の形状を有することができる。
図3及び
図5に示すように、応力集中部分180は三角形状を有し、ベース部分181、高さ部分182、及び斜辺部分183を含む。応力集中部分190もまた、ベース部分191、高さ部分192及び斜辺部分193を含む三角形状を有する。ベース部分181は斜辺部分183に対して第2の角度βで配置されてもよく、ベース部分191は斜辺部分193に対して第3の角度γで配置されてもよい。第2の角度及び第3の角度は鋭角でもよい。第2の角度及び第3の角度は45°~85°の値を有し得る。第2の角度及び第3の角度は互いにかつ第1の角度に等しくてもよい。第2の角度及び第3の角度は互いに等しいが、第1の角度と異なってもよい。第1の角度、第2の角度、及び第3の角度はそれぞれ、互いに異なってもよい。挿入部材146は複数の要素のアセンブリとして組み立てられることができる、又は単一の要素として、例えば射出成形によって製造されることができる。
【0052】
挿入部材146はSCBI 100内に配置されている。具体的には、プラットフォーム148の当接面152は、支持体130上に載っている-又は接する。したがって、当接面152及び支持体130は、ハウジング102の第1のエンクロージャ136と第2のエンクロージャ138との間の境界を一緒に画定する。脚部又は複数の脚部166はしたがって第2のエンクロージャ138内に延在して、担体140の位置を維持するのに役立ち、担体は内部底壁122上に載り、SCBIの寿命を通してそこに存続しなければならない。しかし、脚部又は複数の脚部166は支持体130と内部底壁122との間の距離より短いので、それらは内部底壁122に接触しない。好ましくは、担体140は、隙間が脚部又は複数の脚部166と担体140との間でも維持されるように十分に薄い。このような隙間は、SCBIが製造業者の製造施設から例えば倉庫又は健康管理施設へ輸送される間に生じる可能性がある担体140への損傷を防止するのに役立つはずである。このような輸送は、例えば製造業者の代理人若しくは従業員又は運送業者(例えば米国郵便公社、ユナイテッドパーセルサービス)により実施されることができる。トラック若しくは列車など陸上輸送車両によってを含む、陸上輸送をおそらく含む輸送中、SCBIは、例えば道路又は列車の線路の衝撃によって生じる度重なるぶつかり合いを受ける可能性がある。脚部又は複数の脚部166が担体140と接する可能性がある場合、このぶつかり合いは担体140に損害を与え得る。このような場合、ぶつかり合いによって、例えば脚部又は複数の脚部166が担体140に繰り返しぶつかる可能性があり、それによって担体140が任意の接点で摩耗する可能性がある。最悪の場合、摩耗は担体140に孔を生成するのに十分であり得る。したがってこのような損傷を防止するのを助けるために、約0.1~0.4ミリメートルの隙間が脚部又は複数の脚部166と担体140との間になければならない。したがってSCBI 100の製造後、SCBI 100はトラックなどの標準的な出荷車両上に積まれることができ、SCBI 100を目的地へ運搬するために、車両は健康管理施設又は倉庫などの目的地へ運ばれることができる。目的地の作業員は、輸送中に担体140が損傷しにくいという保証の増加に基づき、担体140への損傷についてSCBI 100を詳しく調べることを控えることができる。代替的実施形態において、脚部166は脚部に連結する環などの保持用突出部をその上に含むことができ、前記環は担体140の直径若しくは幅に等しい又はほぼ等しい直径を有する。保持用突出部は、担体140から最高0.4mmの間隔を置いて配置することができる。あるいはそれは、担体140の外縁部で担体140と接することができる。
【0053】
ガラスアンプル142の位置はその第1位置の挿入部材146及びキャップ104によってSCBI 100内に維持されており、その結果、アンプル142はハウジング104に接触しない。湾曲部分156は、アンプル142の位置を維持するのを補助し得る。
図1及び
図3に示すように、アンプル142の一部は第1のエンクロージャ136内に配置されており、アンプル142の一部はハウジング102の頂端部134より上方だがキャップ104内に配置されている。第1のエンクロージャ136において、ガラスアンプル142の第2端144はプラットフォーム148又は応力集中部分170、180、及び190のいずれか1つ以上に載置されており、その結果、第2端144は挿入部材146の管状壁部分164内に配置されている。ガラスアンプル142の第2端144は、第1点の応力集中部分170、第2点の応力集中部分180、及び第3点の応力集中部分190に接触できる。アンプル142の第1端143は、キャップ104内に配置されている。いくつかの実施形態において、アンプル142の第1端143は、キャップ104の内側表面106に、いくつかの実施形態では湾曲部分156に接触しており、その結果、ガラスアンプル142はキャップ104及び挿入部材146とのその接触によって上下運動が抑制される。いくつかの実施形態において、アンプル142の第1端143もまた、突起部112内に配置され得る。
【0054】
突起部112は、アンプル142としっかりした嵌合を形成するように構成され得る。突起部112が環形状の場合、突起部112はアンプル142の直径に類似している又は等しい直径を有することができる。したがって、アンプル142と突起部112との間に摩擦嵌合が存在し得る。あるいは、突起部112の直径は、アンプル142と突起部112との間に約0.1mm~3mmの隙間を提供するために、アンプル142の直径よりわずかに大きくてもよい。
【0055】
アンプル142の端143及び144の位置を制約することによって、アンプル142の全体の位置は、ユーザがSCBIを使用することを望むときまで、SCBI 100内に維持されることができ、それは特に製造施設から、健康管理施設などの別の場所への輸送中、ガラスアンプル142の尚早の破損を防止するのに役立つことができる。
【0056】
使用中、SCBI 100は、好ましくは滅菌サイクルによって滅菌されている医療用装置と一緒に、滅菌サイクルを受ける。滅菌サイクルの後、ユーザの手若しくは他の部位を使用して及び/又はユーザが力をキャップ104に加えるために役立つのに適している装置の補助により、キャップ104に力を加えることによって、ユーザはSCBI 100を作動させる。キャップ104、いくつかの実施形態では湾曲部分156は、ユーザがキャップ104上に及ぼされる力の少なくとも一部をアンプル142に印加し、それはキャップ104と頂端部143との間に反力を生じさせる。アンプル142は底端144を介して、ユーザがキャップ104に加える力の少なくとも一部を、挿入部材146の応力集中部分170、180、及び190に印加して、次に底端143と挿入部材146の応力集中部分170、180、及び190との間に反力を生じさせる。挿入部材146は支持体130を介して、ユーザがキャップ104に加える力の少なくとも一部を、当接面152に印加して、それは当接面152と支持体130との間に反力を生じさせる。ユーザがキャップ104に加える力がアンプル142内にアンプル142が耐え得るより大きな応力を生成するとき、ガラスから製造したアンプル142はガラス破片に砕ける。応力集中部分170、180、及び190は、ユーザが直接的にキャップ104に及び間接的にアンプル142に印加する所与の力についてアンプル142内で応力を増加させるのに役立ち、それは、アンプル142の底端部144と応力集中部分170、180、及び190との間の接点の表面積が、ユーザがSCBIを作動させるために力を加えるキャップ104の表面積未満である、及び/又は湾曲部分156を含み得るキャップ104とアンプル142の頂端部143との間の接点の表面積未満であるからである。
【0057】
一旦破壊されると、アンプル142は、ユーザによってキャップに印加された力に抵抗するために存在しなくなる。したがってユーザにより印加される力は、キャップがSCBI 100を効果的に封止する第2位置へキャップ104を移動させる。挿入部材146はガラス破片が第2のエンクロージャ138に入るのを防止し、その結果、いくつかのガラス破片はプラットフォーム148上に落ち、残りのガラス破片は他のガラス破片上に落ちる。
【0058】
アンプル142を破壊することで更に液体増殖培地のいくらかの量を放出して、破片を通じて及び空洞178を通じて下方へ流れ落ち、最終的に第2のエンクロージャ138に集まる。液体増殖培地の他の量は、ハウジング102の内部側壁116に向かって噴出する。これらの量のいくらかは内部側壁116に衝突して、次に下方へ流れ落ち、内部側壁116と挿入部材146との間の隙間を通過して、最終的に第2のエンクロージャ138に集まる。
【0059】
空洞178及び188は、増殖培地、気体(例えば空気)、蒸気及び滅菌剤などの流体が流れ得る開口部を提供する。これらの開口部は、第1のエンクロージャ136と第2のエンクロージャ138との間のハウジング102内の流体連通を維持するのに役立つ通路として機能する。具体的には、空洞178は挿入部材146による流体連通を維持するのに役立ち、空洞188はハウジング102の壁164と内部側壁116との間で挿入部材146の側に沿って流体連通を維持するのに役立つ。
【0060】
そうでなければ液体増殖培地が入るために置換されていたはずの第2のエンクロージャ138内のガラス破片、プラットフォーム148、及び気体によって生じる、液体増殖培地の下方への流れにインピーダンスを低減させることによって、空洞178及び188は第2のエンクロージャ138内へ液流増殖培地の流れを更に促進できる。空洞178及び188は、例えばガラス破片の間にたまる液体増殖培地の量によって第2のエンクロージャ138内に気体が取り込まれ得る可能性を減らし、それによって第2のエンクロージャ138内での気体の置換を防ぐことができ、それに対応して液体増殖培地の最大量が第2のエンクロージャ内138に入るのを防ぐことができる。本明細書で「液体ロック」と称されるこのメカニズムは、担体140から離れて、第1のエンクロージャの液体増殖培地の量を維持するという結果を生じさせることができ、それは滅菌サイクルを生存しているかもしれない、担体140上のいかなる微生物の成功した培養も防止できる、それによりサイクルの有効性の間違った判定の可能性を増加させることができる。
【0061】
液体ロック形成の可能性は、大部分は非妨害の支持体130上方の内部側壁116に液体増殖培地が衝突するのを可能にすることによって、更に減らされる又は防止され、それは、液体がまず最初に濡らし得る内部側壁116の表面積が最大化にされて、それによって挿入部材146に集まるガラス破片の集合物の代わりに、より大量の液体が内部側壁116に沿って下方へ流れ落ちることができるからである。破片の集合物上及びそれを通じて流れる液体の量を減らすことによって、液体が破片の間にたまって液体ロックを形成し得る可能性は最小化される。
【0062】
前述のようにアンプル142が壊れた後、かつてアンプル142だったガラス破片は挿入部材146のプラットフォーム148上に集まって第1のエンクロージャ136に残り、その一方で液体増殖培地は第2のエンクロージャ138に集まる。この時点で、ユーザは当該技術において周知であるように培養器を用いてSCBI 100をインキュベートして、生存している微生物の成育を促す。培養の後、第2のエンクロージャ138の液体増殖培地はアッセイされ、微生物が滅菌サイクルを生き残ることができたか判定することができる。第2のエンクロージャ138は液体増殖培地内にガラス破片を含まないので、ガラス破片は、視覚的に又は色又は蛍光センサによってなされるいかなる表示の精度も損なわない。したがって滅菌サイクルの有効性の判定の信頼度は、液体増殖培地とガラス破片の混合物のアッセイに基づく類似の判定よりも改善される。
【0063】
II.アンプル破損を促進する構造
ユーザは、SCBI 100を作動させてガラスアンプル142を壊すために、力をキャップ104に加える。ガラスアンプル142のより広い領域上に抵抗力を分配するのと比較して、ガラスアンプル142の狭い領域上へユーザの印加力を集中するSCBI 100内の構造を提供することによって、ユーザがキャップ104に加えなければならない力の量を最小化できる。
図1~
図4を参照すると、挿入部材146は応力集中部分170、180、及び190を含む。ガラスアンプル142はこれらの応力集中部分上に載っている。具体的にはガラスアンプル142の第2端144は、第1点の応力集中部分170、第2点の応力集中部分180、及び第3点の応力集中部分190に接触する。したがってキャップ104に加える力は、反応圧力をこれらの3点に集中させる。圧力は表面積(P=F/A)によって分割される力に等しいので、所与の力に関して、圧力は表面積に反比例する。したがって反応圧力は、キャップ104がアンプル142に印加する力に対抗する表面積を最小化することによって最大化される。前記3点はしたがって、ガラスアンプルに対する反応圧力を最大化する。理論的には1点又は2点はより大きな反応圧力をもたらす可能性があるが、いくつかの実施形態では3つの接点は、上述のとおりアンプル142の位置を維持するために使用され得る。
【0064】
前述のように、応力集中部分170、180、及び190は同一である必要はない。例えばそれらはそれぞれ三角形状を有することができるが、その各ベース部分(171、181、191)と斜辺部分(173、183、193)との間の角度はいくらか異なることができる。その角度が異なる場合、応力集中部分170、180、及び190によってアンプル142に加えられる抵抗力は、非対称的に印加される。この力の非対称の適用はアンプル142で発生する応力の増加を引き起こし、それによって、アンプル142を壊すために、ユーザがキャップ104に加えなければならない力の量を減らすと考えられる。
【0065】
キャップ104の内側表面106が非対称的にアンプル142に接触するこれらの実施形態において、前記力の間の更なる非対称を達成することができる。例えば、
図3に示すように、湾曲部分156は第1端143の右側107上ではなく、第1端143の左側105上の第1端143に接触する。したがって、ユーザによってキャップ104に加えられる下方力は、横方向成分を含む力をアンプル142に付与するキャップ104という結果を生じる。
【0066】
応力集中部分170、180、及び190を利用する実施形態において、アンプル142の別々の位置で少なくとも4つの抵抗力を発生させるキャップ104への印加力の適用後、アンプル142は壊れる可能性がある。これらの抵抗力は、アンプル142が接触する(1)キャップ104の内側表面106、いくつかの実施形態では湾曲部分156を含む、(2)応力集中部分170、(3)応力集中部分180、及び(4)応力集中部分190で、少なくとも発生する。
【0067】
図7~
図8を参照すると、本技術の別の実施形態が示される。SCBI 200は、挿入部材246、ハウジング202、及びキャップ204を含む。挿入部材246は管状壁部264を含む。管状壁部264から始まるのは、アーム(又はフィンガ)251である。アーム251は頂部253及び底部255を有する。底部255は管状壁部264上に配置されており、かつそれに連結している。アーム251はプラスチックなどの半剛性材料で作製されており、厚みを有し、その結果、アーム251は圧縮及び/又は横力を受けるとき屈曲し得る。例えば横力が頂部253に加えられるとき、アーム251が管状壁部264と接合する底部255付近で、アーム251は横方向に屈曲できる。アーム251は中空でもよく、又はアーム251をたわませるのに必要な力の量を減らすためにその内部に配置した1つ以上のチャネル若しくは開口部を有してもよい。チャネル又は開口はまた、アンプル242が壊れているときに、アーム251が液体増殖培地を内部側壁216に衝突することからブロックするのを防止するのを助けることもでき、それは、SCBI 100に関して前述したように、液体ロックの可能性を最小化することにおいて重要である。挿入部材246は複数の要素のアセンブリとして組み立てられることができる、又は単一の要素として、例えば射出成形によって製造されることができる。
【0068】
キャップ204は、平面状、斜面状、弓状、環状、円錐状、又はいつくかのこれらの組み合わせを有する突起部212を含む。
図7に示すように、アーム251の頂部253が突起部212の近くに配置されているやり方によって、アーム251は構成されている。いくつかの実施形態では、頂部253は突起部212に接触できる。他の実施態様において、頂部253と突起部212との間に約0.1mm~5mmの横方向及び/又は垂直の隙間があり得る。
【0069】
SCBI 200はSCBI 100と同様に機能するが、ガラスアンプル242を壊すためにSCBI 200のキャップ204に加えられ得る力は、アーム251が故に、ガラスアンプル142を壊すためにSCBI 100のキャップ104に加えられ得る力より小さい。使用の際、ユーザが力をキャップ204に加えるとき、アーム251が突起部212の経路の障害であるため、アーム251は妨害によってキャップ204の移動を妨げる。しかしアーム251は完全な障害ではなく、それは管状壁部264との接続付近で内部側壁216に向かって第1の向きから第2の向きへ屈曲できるからである。いくつかの構造において、アーム251の屈曲は内部側壁216により制限されている。キャップ204が印加力の適用によって押圧されるにつれて、突起部212の動きを妨げているアーム251によって生じる横力は、突起部212に作用して、第3の向きから第4の向きへの屈曲又は旋回を突起部212に生じさせる。したがって突起部212は、横方向の反力をガラスアンプル242に加える。その際にガラスアンプル242はキャップ204及び突起部212の移動を妨げて、アンプル242がSCBIの他の要素に接触する位置で発生する任意の反力は、アンプル242内の応力がそれを破壊するのに十分に大きくなるまで、アンプル242に非対称的に作用する。挿入部材146と同様に、挿入部材246は複数の応力集中部分を含むことができる。例えば、第1の応力集中部分270は、
図8で視認できる。挿入部材246のいくつかの実施形態において、挿入部材146と同様に3つの応力集中部分を用いてもよい。この力の非対称の適用はアンプル242で発生する応力の増加を引き起こし、それによって、アンプル242を壊すために、ユーザがキャップ204に加えなければならない力の量を減らすと考えられる。
【0070】
第1の応力集中部分270、第2の応力集中部分、第3の応力集中部分、及びアーム251を利用する実施形態において、アンプル242の別々の位置で少なくとも5つの抵抗力を発生させるキャップ204への印加力の適用後、アンプル242は壊れる可能性がある。これらの反力は少なくとも、(1)アンプル242の頂上部243がキャップ204に接触する、(2)アンプル242が第1の応力集中部分270に接触する、(3)アンプル242が第2の応力集中部分に接触する、(4)アンプル242が第3の応力集中部分に接触する、及び(5)アーム251が応力集中部分212をアンプル242内にゆがめるところで生じる。
【0071】
アーム251と突起部212の相対位置は逆になることができ、その結果、突起部212はアーム251より内部側壁216に近くなり、及びアーム251はアンプル242に接触してハウジング202内にその位置を維持するのに役立つようになる。この構成において、キャップ204が押圧されるとき、突起部212は横力をアーム251に加えて、次に横力をガラスアンプル242に加える。
【0072】
本明細書に記載の例及び/又は実施形態のいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて様々な他の特徴を有し得ると理解されるべきである。本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0073】
本発明に含有される主題の例示の実施形態について図示し説明したが、本明細書で記載した方法及びシステムの更なる適用例は、特許請求の範囲を逸脱することなく適切な変更により達成され得る。このようないくつかの変更態様は、当業者には明らかのはずである。例えば上述した例、実施形態、幾何学的なもの、材料、寸法、比率、工程などは例示である。したがって特許請求の範囲は、明細書及び図面に記載される構造及び動作の詳細に限定されるべきではない。
【0074】
〔実施の態様〕
(1) 生物学的滅菌インジケータであって、
(a)第1のエンクロージャと第2のエンクロージャとを有するハウジングと、
(b)液体増殖培地を含有するアンプルであって、前記アンプルの少なくとも一部が前記第1のエンクロージャ内部に配置されている、アンプルと、
(c)前記第1のエンクロージャに少なくとも部分的に配置された挿入部材であって、前記挿入部材が、
(i)上面、当接面、及び側面を含むプラットフォームと、
(ii)前記プラットフォームに配置され、前記液体増殖培地の第1の量が前記第2のエンクロージャ内へと通過することを可能にするように構成された第1の空洞と、
(iii)前記側面の少なくとも一部を通じて配置され、前記液体増殖培地の第2の量が前記第2のエンクロージャ内へと通過することを可能にするように構成された第2の空洞と、を含む、挿入部材と、
を含む、生物学的滅菌インジケータ。
(2) 前記挿入部材の前記第2の空洞が前記当接面及び前記側面を通過する角度の付いた切り込みである、実施態様1に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(3) 前記挿入部材の前記角度の付いた切り込みが全体的に前記上面の下方に配置されている、実施態様2に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(4) 前記挿入部材が、前記プラットフォームの前記上面上に配置された壁を更に含む、実施態様3に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(5) 前記壁が円筒形状を有する、実施態様4に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【0075】
(6) 生物学的滅菌インジケータの使用方法であって、
(a)前記生物学的滅菌インジケータを提供することであって、前記生物学的滅菌インジケータが、
(i)液体増殖培地を含有するアンプルと、
(ii)前記生物学的滅菌インジケータの第1のエンクロージャ内部に少なくとも部分的に配置された挿入部材であって、前記挿入部材が、
上面、当接面、及び側面を含むプラットフォームと、
前記プラットフォームを通じて配置され、前記液体増殖培地の第1の量が前記第2のエンクロージャ内へと通過することを可能にするように構成された第1の空洞と、
前記側面の少なくとも一部を通じて配置され、前記液体増殖培地の第2の量が前記第2のエンクロージャ内へと通過することを可能にするように構成された第2の空洞と、を有する、挿入部材と、を含む、ことと、
(b)前記アンプルを破壊することと、
(c)前記液体増殖培地の前記第1の量が前記第1の空洞を通過することを可能にすることと、
(d)前記液体増殖培地の前記第2の量が前記第2の空洞を通過することを可能にすることと、
を含む、方法。
(7) 液体ロックの形成を妨げることを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 生物学的滅菌インジケータであって、
(a)内部側壁、内部底壁、第1のエンクロージャ、第2のエンクロージャ、及び前記内部側壁の支持体を有するハウジングであって、前記第1のエンクロージャが前記支持体の上方に配置されており、前記第2のエンクロージャが前記内部底壁と前記支持体との間に配置されている、ハウジングと、
(b)アンプルであって、その少なくとも一部が前記第1のエンクロージャ内部に配置されており、第1端及び第2端を有する、アンプルと、
(c)内側表面及び外側表面を有するキャップであって、前記第1のエンクロージャの少なくとも一部を含む前記ハウジングの一部上に配置されている、キャップと、
(d)前記内部底壁上に配置された担体と、
(e)挿入部材であって、
(i)上面及び当接面を含むプラットフォームであって、前記アンプルの前記第2端が前記上面上に配置されており、前記当接面が前記支持体上に配置されている、プラットフォームと、
(ii)前記内部底壁に向かって延在する脚部であって、前記脚部が、前記担体と前記脚部との間に隙間があるように前記支持体と前記内部底壁との間の距離より短い長さを有する、脚部と、を含む、挿入部材と、
を含む、生物学的滅菌インジケータ。
(9) 前記脚部の長さが前記支持体と前記内部底壁との間の距離より約0.1~2ミリメートル短い、実施態様8に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(10) 前記プラットフォームの前記上面が少なくとも3つの応力集中部分を含み、前記アンプルの前記第2端が前記少なくとも3つの応力集中部分のそれぞれと接触する、実施態様9に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【0076】
(11) 前記キャップが、前記内側表面上から始まりかつ前記ハウジングの前記第2のエンクロージャに向かって延在する環状突起部を更に含み、前記アンプルの前記第1端が前記環状突起部内に配置されている、実施態様10に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(12) 前記アンプルの前記第1端が摩擦嵌合によって前記環状突起部に連結されている、実施態様11に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(13) 前記アンプルが前記環状突起部の内径より約0.1~1ミリメートル短い外径の環状断面を有する、実施態様11に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(14) 前記キャップの前記内側表面が前記アンプルの前記第1端に接触する、実施態様11に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(15) 生物学的滅菌インジケータであって、
(a)第1のエンクロージャと、第2のエンクロージャと、前記第1のエンクロージャと前記第2のエンクロージャとの間に配置された支持体を含む第1の壁と、を有するハウジングと、
(b)アンプルであって、その少なくとも一部が前記第1のエンクロージャ内部に配置されており、第1端及び第2端を有する、アンプルと、
(c)内側表面及び外側表面を有するキャップであって、前記第1のエンクロージャの少なくとも一部を含む前記ハウジングの一部上に配置されている、キャップと、
(d)挿入部材であって、
(i)プラットフォームであって、前記支持体上に配置されている、プラットフォームと、
(ii)第1の応力集中部分、第2の応力集中部分、及び第3の応力集中部分であって、それぞれが前記プラットフォーム上に配置され、それぞれが前記アンプルの前記第2端に接触している、第1、第2、及び第3の応力集中部分と、を有する、挿入部材と、
を含む、生物学的滅菌インジケータ。
【0077】
(16) 前記挿入部材が、前記プラットフォーム上から始まりかつ前記第2のエンクロージャから離れる方向に延在する第2の壁を更に含む、実施態様15に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(17) 前記第1の応力集中部分、前記第2の応力集中部分、及び前記第3の応力集中部分がそれぞれ、ベース部分、高さ部分、及び斜辺部分を含む三角形状を有し、各ベース部分が前記プラットフォームに接触し、各高さ部分が前記第2の壁に接触し、各斜辺部分が前記アンプルの前記第2端に接触する、実施態様16に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(18) 前記プラットフォームと前記第1の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度と異なる、実施態様17に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(19) 前記プラットフォームと前記第1の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度と異なり、前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度と異なる、実施態様18に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(20) 前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度の約5度以内である、実施態様19に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【0078】
(21) 前記プラットフォームと前記第2の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度が、前記プラットフォームと前記第3の応力集中部分の前記斜辺部分との間の角度に等しい、実施態様20に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(22) 前記キャップが第1位置から第2位置まで移動可能であり、前記生物学的滅菌インジケータが、
(a)前記キャップの前記内側表面で始まり、かつ前記挿入部材に向かって延在する突起部と、
(b)前記第2の壁で始まりかつ前記キャップに向かって延在するアームであって、前記アームが、前記突起部との干渉によって前記キャップの移動を妨げるように適合され、前記アームが、前記キャップの前記第2位置への移動を可能にするために、第1の向きから第2の向きへ移動するように更に適合されている、アームと、
を更に含む、実施態様17に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(23) 前記アームが、前記アームを貫通する開口部を含み、前記突起部が、第3の向きから第4の向きへ移動するように適合されている、実施態様22に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(24) 前記アームは、前記アンプルが前記第3の向きから前記第4の向きへの前記突起部の屈曲を妨げるように位置決めされるように、前記突起部に対して位置決めされている、実施態様23に記載の生物学的滅菌インジケータ。
(25) 前記アームは、前記アンプルが前記第1の向きから前記第2の向きへの前記アームの屈曲を妨げるように位置決めされるように、前記突起部に対して位置決めされている、実施態様23に記載の生物学的滅菌インジケータ。
【0079】
(26) 生物学的滅菌インジケータを作動させる方法であって、
(a)前記生物学的滅菌インジケータを提供することであって、前記生物学的滅菌インジケータがハウジング、キャップ、アンプル、及び挿入部材を含み、
前記キャップが、内側表面と、前記内側表面で始まりかつ前記挿入部材に向かって延在する突起部とを含み、
前記挿入部材が、少なくとも3つの応力集中部分と、前記キャップに向かって延在するアームとを含み、
前記アンプルの第1端が前記キャップ内に配置されており、前記アンプルの第2端が前記少なくとも3つの応力集中部分に載っている、ことと、
(b)前記生物学的滅菌インジケータ上に印加力を及ぼすことと、
(c)前記アンプル上の別個の位置で少なくとも5つの反力を発生させることと、
を含む、方法。