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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069721
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】毛髪洗浄用組成物および毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20220502BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220502BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20220502BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/39
A61K8/42
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178524
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】川越 紘
(72)【発明者】
【氏名】岡 直輝
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB332
4C083AC231
4C083AC232
4C083AC432
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD212
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、並びに脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが配合され、かつ、水洗除去する際の指通りに優れる毛髪洗浄用組成物、及び毛髪洗浄用組成物を水洗除去する際の指通りに優れる毛髪処理方法の提供。
【解決手段】毛髪洗浄用組成物は、所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、並びにN-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が配合されたものであり、毛髪処理方法は、所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、並びにN-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が配合された毛髪洗浄用組成物を使用するものである。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分が配合されていることを特徴とする毛髪洗浄用組成物。
(A)下記一般式(A)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(A)及び/又はその塩
-(OCHCH-OCHCOOH (A)
[上記一般式(A)において、Rは炭素数10以上16以下の直鎖状アルキル基を表し、Xは酸化エチレンの平均付加モル数が4以上16以下であることを表す。]
(B)脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン
(C)N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩
【請求項2】
前記(A)成分として、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(11)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(13)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上が配合されている請求項1に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分として、
ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上と、
ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(11)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(13)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上と、
が配合されている請求項1に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項4】
前記(B)成分として、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びイソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインから選ばれた一種又は二種以上が配合されている請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項5】
前記(C)成分として、N-ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩及び/又はN-ヤシ油脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が配合されている請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪洗浄用組成物を使用することを特徴とする毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄用組成物および当該組成物を使用する毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪を洗浄するための毛髪洗浄用組成物(シャンプー)にはアニオン界面活性剤の配合が一般的となっている。カルボン酸系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、硫酸エステル系アニオン界面活性剤、リン酸系アニオン界面活性剤などの様々なアニオン界面活性剤から、洗浄力などの特徴に基づいて配合するものが選定され、カルボン酸系アニオン界面活性剤の一種であるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその塩は、皮膚への刺激性が低いものと言われている。また、両性界面活性剤は、毛髪洗浄用組成物の増粘、泡安定性などのために配合され、両性界面活性剤の一種である脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインは、皮膚への刺激性が低いものと言われている。
【0003】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、並びに脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを配合する毛髪洗浄用組成物として、特許文献1には、(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、(B)脂肪酸N-メチルエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム及び/又はカチオン化カッシア、(C)ピロ亜硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステイン及び/又はジブチルヒドロキシトルエンが配合された毛髪洗浄用組成物が開示され、特許文献2には、(A)ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-47及び/又はポリクオタニウム-53、(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、(C)脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、(D)モノカプリン酸グリセリル及び/又はモノカプリル酸グリセリルが配合された毛髪洗浄用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-150265号公報
【特許文献2】特開2019-38785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、毛髪洗浄過程において毛髪洗浄用組成物を頭髪から水洗除去する際、頭髪の指通りが悪いと、スムーズな水洗除去を行うことができない。アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤の配合が指通りの悪化を生じ易くする要因の一つであり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩及び脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインの配合でも同様であるが、頭皮への低刺激性などの求められる特性のために、これら界面活性剤の配合を避け難い場合がある。このような状況に対応するためには、カチオン化セルロースなどのカチオン化高分子の配合が一般的に知られており、他の手段による対応も望ましいといえる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、並びに脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが配合され、かつ、水洗除去する際の指通りに優れる毛髪洗浄用組成物、及び毛髪洗浄用組成物を水洗除去する際の指通りに優れる毛髪処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等が鋭意検討を行った結果、所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、並びに脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを配合する毛髪洗浄用組成物において、N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩の配合が、当該組成物を水洗除去する際の毛髪の指通りを向上させることを見出し、更に泡立ちの早さに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る毛髪洗浄用組成物は、下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分が配合されていることを特徴とする。
(A)下記一般式(A)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(A)及び/又はその塩
-(OCHCH-OCHCOOH (A)
[上記一般式(A)において、Rは炭素数10以上16以下の直鎖状アルキル基を表し、Xは酸化エチレンの平均付加モル数が4以上16以下であることを表す。]
(B)脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン
(C)N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩
【0009】
本発明に係る毛髪洗浄用組成物は、前記(A)成分として、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(11)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(13)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上が配合されているものが良い(ポリオキシエチレンに続く括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を表す。以下、同じ。)。
【0010】
また、本発明に係る毛髪洗浄用組成物は、前記(A)成分として、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上と、ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(11)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(13)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上と、が配合されているものが良い。このような配合によれば、泡立ちの早さ、水洗除去の際の指通りがより向上する。
【0011】
また、本発明に係る毛髪洗浄用組成物は、例えば、前記(B)成分として、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びイソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインから選ばれた一種又は二種以上が配合されているものである。
【0012】
本発明に係る毛髪洗浄用組成物は、例えば、前記(C)成分として、N-ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩及び/又はN-ヤシ油脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が配合されているものである。
【0013】
本発明に係る毛髪処理方法は、本発明に係る毛髪洗浄用組成物を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る毛髪洗浄用組成物によれば、所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、並びに脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを配合する際に、N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩を配合するので、水洗除去する際の指通り、泡立ちの早さが優れるものとなる。
【0015】
また、本発明に係る毛髪処理剤によれば、所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩、並びに脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインと共に、N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩を配合した毛髪洗浄用組成物を使用するので、水洗除去する際の指通り、泡立ちの早さが優れるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態の毛髪洗浄用組成物は、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び水が配合されたものである(水の配合量は、例えば70質量%以上。)。また、使用上許容されるのであれば、公知の毛髪洗浄用組成物に配合されている成分を、任意成分として更に配合しても良い。
(A)所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩
(B)脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン
(C)N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩
【0017】
((A)成分:所定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はその塩)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物に配合される(A)成分は、下記一般式(A)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(A)及び/又はその塩である。塩の態様としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩である。
-(OCHCH-OCHCOOH (A)
[上記一般式(A)において、Rは炭素数10以上16以下の直鎖状アルキル基を表し、Xは酸化エチレンの平均付加モル数が4以上16以下であることを表す。]
【0018】
上記(A)成分としては、例えば、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(11)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(13)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上を配合すると良く、本実施形態の毛髪洗浄用組成物における(A)成分の配合量は、例えば1質量%以上5質量%以下である。
【0019】
本実施形態の毛髪洗浄用組成物には、下記に示す、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a1)及び/又はその塩と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a2)及び/又はその塩とを配合すると良い。ここで、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a1)及び/又はその塩は、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a2)及び/又はその塩は、ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(11)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(13)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(14)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(16)ラウリルエーテル酢酸、及びそれらの塩から選ばれた一種又は二種以上である。乾燥させた後の毛髪の柔らかな感触の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a1)及びその塩の総配合量に対するポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a2)及びその塩の総配合量の質量比は、0.5未満が良く、0.1未満が好ましく、0.05未満がより好ましい(当該質量比の下限は、例えば0.01である。)。
【0020】
((B)成分:脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物に配合される(B)成分は、下記一般式(B)で表される脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインである。
【化1】
[上記一般式(B)において、Rは、アルキル基を表し、例えば炭素数9以上17以下の直鎖状又は分岐状アルキル基である。]
【0021】
上記(B)成分は、公知の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインであると良く、例えば、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びイソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインから選ばれた一種又は二種以上が、本実施形態の毛髪洗浄用組成物に配合される。本実施形態の毛髪洗浄用組成物における(B)成分の配合量は、2質量%以上10質量%以下が良く、3質量%以上7質量%以下が好ましい。3質量%以上であると、使用時の泡立ちに適し、10質量%以下であると、皮膚への刺激抑制に適する。
【0022】
((C)成分:N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物に配合される(C)成分は、下記一般式(C)で表されるN-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩である。
【化2】
[上記一般式において、Rは、アルキル基を表し、例えば炭素数9以上17以下の直鎖状又は分岐状アルキル基である。]
【0023】
上記(C)成分は、公知のN-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩であると良く、例えば、N-ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N-ヤシ油脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、又は、N-ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩及びN-ヤシ油脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が、本実施形態の毛髪洗浄用組成物に配合される。本実施形態の毛髪洗浄用組成物における(C)成分の配合量は、(C)成分の配合量/(B)成分の配合量の質量比として、0.01以上0.5以下が良く、0.03以上0.1以下が好ましい。0.01以上であると、泡立ちや水洗除去の際の指通りに好適であり、0.5以下であると、水洗除去の際の指通りに好適である。
【0024】
(任意成分)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物には、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分以外にも、上記の通り任意成分が配合される。この任意成分としては、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン化セルロースなどのカチオン性高分子、エステル油、シリコーン、高級アルコール、増粘剤、キレート剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料などが挙げられる。
【0025】
(剤型)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物の剤型は、毛髪洗浄に適した液状が良い。液状に調整する場合、B型粘度計を使用して25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば800mPa・s以上2000mPa・s以下である。
【0026】
(pH)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物の25℃におけるpHは、泡立ちの観点から、4.5以上7.5以下が良く、5.0以上7.0以下が好ましい。
【0027】
(毛髪処理)
本実施形態の毛髪洗浄用組成物を使用して毛髪を洗浄する毛髪処理を行う場合、公知の毛髪洗浄と同様、毛髪を水洗し、本実施形態の洗浄用組成物を毛髪に塗布してから、当該組成物を水洗除去すると良い。
【実施例0028】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
実施例及び比較例の毛髪洗浄用組成物の評価を行った。詳細は、以下の通りである。
【0029】
(毛髪洗浄用組成物)
水と他の成分を配合し、実施例1a~1b、比較例1、及び実施例2a~2cの液状毛髪洗浄用組成物を製造した。ここで水と配合した成分は、POE(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(「POE」は、「ポリオキシエチレン」の意味。以下、同じ。)、POE(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N-ラウリン酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム液、N-ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、ピログルタミン酸イソステアリン酸POE(40)硬化ヒマシ油、ポリクオタニウム-10、トレハロース、ジプロピレングリコール、塩化ナトリウム、防腐剤、抗炎症剤、キレート剤、及び香料から選定し、その配合量は下記表1~2の通りとした。
【0030】
(評価)
一般女性の頭髪を温水で洗い流した後、左右に異なる毛髪洗浄用組成物(上記実施例及び比較例のいずれか)を使用して泡立て、頭髪から毛髪洗浄用組成物を温水で水洗除去した。この過程での「泡立ちの早さ」、「水洗除去の際の指通り」を評価者8名で評価した。
【0031】
下表1~2に、実施例及び比較例の毛髪洗浄用組成物ついて、水と配合した成分及びその配合量と共に評価結果を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
上記表1において、評価における「1」、「2」、「3」は、実施例1a~1b及び比較例1における相対評価を示すものであり、「1」が最も良い評価、「2」が次に良い評価、「3」が更に続く評価であったことを意味する(なお、評価者全員が同一の評価であった。)。表1において、(C)成分を配合した実施例1a~1bは、比較例1よりも、「泡立ちの早さ」、「水洗除去の際の指通り」に優れる評価であった。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a1)の塩(POE(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a2)の塩(POE(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)を併用した実施例1aは、実施例1bよりも、「泡立ちの早さ」、「水洗除去の際の指通り」に優れる評価であった。
【0034】
【表2】
【0035】
上記表2において、評価における「1」、「2」は、実施例2a~2cにおける相対評価を示すものであり、「1」が最も良い評価、「2」が次に良い評価であったことを意味する(なお、評価者全員が同一の評価であった。)。表2において、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a1)の塩(POE(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(a2)の塩(POE(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)を併用した実施例2b~2cは、実施例2aよりも、「泡立ちの早さ」、「水洗除去の際の指通り」に優れる評価であった。