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特開2022-69741空気噴射構造及びこれを備えたテンターオーブン
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  • 特開-空気噴射構造及びこれを備えたテンターオーブン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069741
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】空気噴射構造及びこれを備えたテンターオーブン
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/02 20060101AFI20220502BHJP
   B29C 35/04 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
B29C55/02
B29C35/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178563
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】592088666
【氏名又は名称】株式会社市金工業社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】森 雄一
(72)【発明者】
【氏名】藤下 雄司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】卯ノ田 正彦
(72)【発明者】
【氏名】濱 博志
(72)【発明者】
【氏名】水瀬 雄一
(72)【発明者】
【氏名】金澤 亨仁
【テーマコード(参考)】
4F203
4F210
【Fターム(参考)】
4F203AC03
4F203AG01
4F203DA12
4F203DB02
4F203DC03
4F203DF01
4F203DL03
4F203DM02
4F203DN05
4F210AG01
4F210AJ08
4F210QA02
4F210QD32
4F210QG01
4F210QG18
4F210QL17
(57)【要約】
【課題】フィルムに対してより均一な熱量を付与できる空気噴射構造を提供する。
【解決手段】搬送路を所定方向D1に搬送されるフィルムに空気を吹き付けるための空気噴射構造であって、多数の噴射孔が設けられたノズル壁61を有する噴射ノズル6と、フィルムの幅方向D2に沿って配列された複数枚の案内板7と、を備える。各案内板7は、ノズル壁61の内側又は外側に設けられ、所定方向D1に延びる旋回軸を中心に旋回可能とされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を所定方向に搬送されるフィルムに空気を吹き付けるための空気噴射構造であって、
多数の噴射孔が設けられたノズル壁を有する噴射ノズルと、
前記フィルムの幅方向に沿って配列された複数枚の案内板と、を備え、
前記複数枚の案内板の各々は、前記ノズル壁の内側又は外側に設けられ、前記所定方向に延びる旋回軸を中心に旋回可能である空気噴射構造。
【請求項2】
搬送路を所定方向に搬送されるフィルムに空気を吹き付けるための空気噴射構造であって、
多数の噴射孔が設けられたノズル壁を有する噴射ノズルと、
前記フィルムの幅方向に沿って配列された複数枚の案内板と、を備え、
前記複数枚の案内板のうち、少なくとも一部の案内板は、前記フィルムの厚さ方向に対して傾斜し、
前記複数枚の案内板は、前記ノズル壁の内側又は外側に設けられている空気噴射構造。
【請求項3】
前記複数枚の案内板の各々は、前記所定方向に延びる旋回軸を中心に旋回可能である請求項2に記載の空気噴射構造。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の空気噴射構造を有するテンターオーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気噴射構造及びこれを備えたテンターオーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムの製造装置として、フィルムの両側縁をクリップで把持して延伸させながらテンターオーブン内を搬送して加熱処理するものが知られている。テンターオーブンは、フィルムを挟んで配置された上下一対の空気噴射部材を備え、各空気噴射部材に設けられた噴射孔からフィルムに向けて加熱空気を噴射するように構成されている。
【0003】
このようなテンターオーブンにおいては、フィルムを幅方向に均一に加熱するための工夫が種々提案されている。例えば、特許文献1に開示のテンターオーブンでは、噴流の曲がりを解消して、フィルム面に対してほぼ垂直にエアを吹き付けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-289051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアの噴出方向をフィルム面に対して垂直とするだけでは、加熱ムラを防止できない場合がある。例えば、フィルムの両側縁を把持するクリップにより風流が乱されると、フィルムの幅方向両側において熱量が低下し、加熱ムラが発生してしまう。
【0006】
本発明は、フィルムに対してより均一な熱量を付与できる空気噴射構造及びこれを備えたテンターオーブンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気噴射構造は、搬送路を所定方向に搬送されるフィルムに空気を吹き付けるための空気噴射構造であって、多数の噴射孔が設けられたノズル壁を有する噴射ノズルと、前記フィルムの幅方向に沿って配列された複数枚の案内板と、を備え、前記複数枚の案内板の各々は、前記ノズル壁の内側又は外側に設けられ、前記所定方向に延びる旋回軸を中心に旋回可能である。
【0008】
また、本発明に係る他の空気噴射構造は、搬送路を所定方向に搬送されるフィルムに空気を吹き付けるための空気噴射構造であって、多数の噴射孔が設けられたノズル壁を有する噴射ノズルと、前記フィルムの幅方向に沿って配列された複数枚の案内板と、を備え、前記複数枚の案内板のうち、少なくとも一部の案内板は、前記フィルムの厚さ方向に対して傾斜し、前記複数枚の案内板は前記ノズル壁の内側又は外側に設けられている。
【0009】
また、本発明に係るテンターオーブンは上記空気搬送構造を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気噴射構造及びテンターオーブンによれば、複数枚の案内板の各々は、所定方向に延びる旋回軸を中心に旋回可能とされているので、フィルム特性やテンターオーブンの構造等に応じて空気の噴射方向を調整することができ、これによりフィルムをより均一に加熱することができる。
【0011】
また、本発明に係る他の空気噴射構造及びテンターオーブンによれば、少なくとも一部の案内板はフィルムの厚さ方向に対して傾斜しているので、傾斜方向に向けて空気が案内され、全体としてフィルムを幅方向全域においてより均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るテンターオーブンの全体構造を示す概略縦断面図。
図2図1に示すテンターオーブンが備える下側のダクトを示す透視斜視図。
図3】(a)は図2のIIIa-IIIa線断面図、(b)は(a)に示すダクトが備える噴射ノズルを示す平面図、(c)は(a)のIIIc-IIIc線断面図。
図4】本発明の第2実施形態に係るテンターオーブンが備える下側のダクトを示す断面図。
図5】(a)は、本発明の実施形態の変形例に係るダクトを示す透視斜視図、(b)は(a)のVb-Vb線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るテンターオーブンについて説明する。図1を参照して、本実施形態のテンターオーブン1は、フィルム(熱可塑性樹脂フィルム/図示せず)の延伸成形等において用いられるものであって、ハウジング2と、ハウジング2内にてフィルムに空気を吹き付けるエア噴射手段3と、を備え、ハウジング2の前壁21と後壁22にはそれぞれフィルムの搬入口21aと搬出口22aが設けられている。フィルムは両側縁をクリップ(図示せず)により把持されて、ハウジング2内の搬送路Rを所定方向D1に移送される。
【0014】
エア噴射手段3は、上下一対のダクト4と、上下一対のダクト4に空気(加熱空気)を送るためのファン(図示せず)と、を備える。上下一対のダクト4は、上下方向D3に隙間を空けて対向配置され、当該隙間がフィルムの搬送路Rとなっている。上下一対のダクト4は実質同一の構成を有するので、ここでは下側のダクト4についてのみ説明する。
【0015】
図2及び図3を参照して、ダクト4は、フィルムの幅方向D2に沿って延びる筒状のヘッダボックス5と、所定方向D1に並列配置された複数個(図1に示す例では2個)の噴射ノズル6と、を備える。ヘッダボックス5は、移送路Rと対向する壁面51と、幅方向D2に相互に対向する一対の側壁52、53と、を有する。各噴射ノズル6は幅方向D2に沿って延び、ヘッダボックス5の壁面51から移送路Rに向かう方向(下側のダクト4の場合には上方に)延出し、ヘッダボックス5と連通している。噴射ノズル6の先端壁61は搬送路Rと対向し、多数の噴射孔62(図3(b))が設けられたノズル壁61とされ、これら多数の噴射孔62は、幅方向D2に延びる噴射孔列が所定方向D1に複数列並ぶように面状に配置されている。ヘッダボックス5の一方の側壁52にはエア供給口52aが設けられ、ファン(図示せず)によって送り出された空気は、エア供給口52aを介してヘッダボックス5内へ供給される。
【0016】
エア噴射手段3は、各ノズル壁61の内側(噴射ノズル6内)に幅方向D2に沿って配置された複数枚の案内板7を更に備える。各案内板7は所定方向D1に沿って延びる第1端面7a及び第2端面7bを有する。第1端面7a(ここでは上側端面)は搬送路Rに対して第2端面7b(ここでは下側端面)よりも近くに位置している。また、各案内板7は所定方向D1に延びる旋回軸Pを中心に個別に旋回自在とされている。ここで、噴射ノズル6と複数枚の案内板7により空気噴射構造が構成される。
【0017】
かかる構成において、エア供給口52aを介してヘッダボックス5内へ供給された空気は噴射ノズル6に流入し、各噴射孔62からフィルムに向けて噴射される。このとき、空気は噴射ノズル6内において複数枚の案内板7(ノズル壁61と交差する方向に延びる案内板7の幅広面)に沿って流れることから、上下方向(フィルムの厚さ方向)D3に対する案内板7の傾斜角度を調整することにより噴射ノズル6から噴射される空気の噴射方向を調整することができる。
【0018】
例えば、図3に示す例では、各案内板7は上下方向D3に対して傾斜し、その傾斜方向は第2端面7bが第1端面7aよりも幅方向D2中心寄りとなるように(即ち、搬送路Rに近づくに従い幅方向D2外方に傾斜するように)設定されている。これにより、空気は案内板7によって幅方向D2外方に向かうように案内され、フィルムを把持するクリップ等により幅方向D2両側において風流が乱れても、全体としてフィルムを幅方向D2全域においてより均一に加熱することができる。
【0019】
なお、旋回軸Pを中心とする案内板7の旋回は、手動で行うようにしても良く、或いはモータ等の駆動手段を用いて行うようにしても良い。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るテンターオーブンについて説明する。なお、以下の説明において第1実施形態のものと実質同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明は省略する。
【0020】
図4を参照して、本実施形態に係るテンターオーブンは、複数枚の案内板7に代えて複数枚の案内板71を備える。これら複数枚の案内板71は案内板7と略同一であるが、案内板7と異なり旋回自在とはされてなく、噴射ノズル6に対して固定されている。これら複数枚の案内板71のうち少なくとも一部の案内板71は上下方向D3に対して傾斜しており、このように傾斜する案内板71の枚数や傾斜方向及び傾斜角度はテンターオーブンの特性等に応じて適宜設定される。
【0021】
例えば、図4に示す例では、全ての案内板71が第1端面71a間の距離が幅方向D2中心部から外側に向かうに従い漸増するように配置され、その傾き方向は幅方向D2において対称となるように設定されている。即ち、幅方向D2両端に位置する案内板71は、上下方向D3に対して傾斜して配置され、その傾斜角度は幅方向D2中心部に向かうに従い漸減し、第2端面71bが第1端面71aよりも幅方向D2中心寄りとなるように設定されている。
【0022】
このように上下方向D3に対して傾斜する案内板71をテンターオーブンの特性等に応じて設置することにより、空気を所望の方向に向けて案内することができ、フィルムの加熱ムラを抑制することができる。
【0023】
なお、案内板71の傾斜方向などは図4に示す例に限定されず、例えば第1実施形態の図3に示すのと同様に案内板71の傾斜角度を同一としても良く、これに代えて全ての案内板71の傾斜方向を同一としても良い。更に、上下方向D3に沿って延びる案内板71を一部に含むものであっても良い。
【0024】
以上、本発明の実施形態に係るテンターオーブンについて添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0025】
例えば、上記各実施形態においては、複数枚の案内板7(71)はノズル壁61の内側に設けられたが、図5に示す様に、ノズル壁61の外側に設けても良く、これによっても上述したのと同様の効果を得ることができる。なお、この場合には、複数枚の案内板7(71)を囲う周壁8を設けるのが好ましい。
【0026】
また、ヘッダボックス5の壁面51から延出する噴射ノズル6の数は複数個である必要はなく、1個であっても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 テンターオーブン
4 ダクト
5 ヘッダボックス
6 噴射ノズル
61 ノズル壁
62 噴射孔
7,71 案内板
7a,71a 第1端面
7b,71b 第2端面
P 旋回軸
R 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5