(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069744
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】口腔内撮影補助具
(51)【国際特許分類】
A61B 1/247 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
A61B1/247
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178572
(22)【出願日】2020-10-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】519065330
【氏名又は名称】株式会社スクリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】岡本 孝博
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161CC06
4C161JJ19
4C161UU08
(57)【要約】
【課題】
患者が容易に自己の口腔内画像を撮影できる口腔内撮影補助具を低コストで実現する。
【解決手段】
口腔内に挿入する挿入プレート102と、挿入プレート102の基端側に、挿入プレート102の表面に対して180°を超えて270°未満の角度を成すように形成されたスマートフォン保持プレート110と、スマートフォン保持プレート110にスマートフォン10を固定するためのスマートフォン固定手段と、を備え、挿入プレート102先端側表面の少なくとも一部が鏡面処理された鏡面処理部102aを備えて口腔内撮影補助具を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内に挿入する挿入プレートと、
当該挿入プレートの基端側に、当該挿入プレート表面に対して180°を超えて270°未満の角度を成すように形成されたスマートフォン保持プレートと、
当該スマートフォン保持プレートにスマートフォンを固定するためのスマートフォン固定手段と、を備え、
前記挿入プレート先端側表面の少なくとも一部が鏡面処理されている
ことを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項2】
請求項1において、
前記挿入プレートと前記スマートフォン保持プレートは、一枚の金属製プレートを折り曲げて構成されている
ことを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記挿入プレートと前記スマートフォン保持プレートとの角度が可変とされている
ことを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記挿入プレート先端略中央には口蓋垂への接触を回避するための凹部が形成されている
ことを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記挿入プレートには、基端側から先端側に向かう途中位置が幅狭となるように括れ部が形成されている
ことを特徴とする口腔内撮影補助具。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記スマートフォン固定手段は、前記スマートフォン保持プレートに形成された複数のベルト穴とベルトにより構成される
ことを特徴とする口腔内撮影補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科医業の技術分野に属し、特に詳しくは、口腔内の撮影を容易に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、口腔内を撮影するための装置は種々のものが知られている。例えば特許文献1に開示される口腔内撮影装置は、上下に配置された魚眼レンズと、二つの魚眼レンズを支持する筐体と、筐体の側面に実装されたLEDとを有した撮像部を備え、この撮像部を口腔内に挿入し、LEDを点灯させて撮影するというものである。これにより、上顎および下顎の全ての歯を同時に撮影できるようにするとともに、照明光が直接魚眼レンズに写り込まないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される口腔内撮影装置は高価な専用機器であり、手軽に購入できるものではない。特に、インターネットを利用した遠隔診療を見据えた場合、患者が手軽に利用できるものではない。
【0005】
一方で、歯科の遠隔診療では、医師が診断等するために口腔内画像は必須の情報の1つであり、患者が容易に自分で口腔内画像を撮影できる環境が強く要望されている。
【0006】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、患者が容易に自己の口腔内画像を撮影でき、且つ、低コストで実現できる口腔内撮影補助具を提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本願発明は、口腔内に挿入する挿入プレートと、当該挿入プレートの基端側に、当該挿入プレート表面に対して180°を超えて270°未満の角度を成すように形成されたスマートフォン保持プレートと、当該スマートフォン保持プレートにスマートフォンを固定するためのスマートフォン固定手段と、を備え、前記挿入プレート先端側表面の少なくとも一部が鏡面処理されていることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用したことにより、既に普及しているスマートフォンを利用して患者等が自身で口腔内を撮影することができる。特に、スマートフォンの画面に映る画像を自分で確認しながら撮影できるので簡単・確実に口腔内の画像を撮影することができる。
【0009】
また、前記挿入プレートと前記スマートフォン保持プレートを、一枚の金属製プレートを折り曲げて構成してもよい。
【0010】
このような構成を採用したことにより、非常に低廉なコストで口腔内撮影補助具を実現できる。
【0011】
また、前記挿入プレートと前記スマートフォン保持プレートとの角度が可変として構成してもよい。
【0012】
このように構成すれば、調整幅が広がるので撮影がしやすくなるとと共に、フラットにした状態で搬送や収納を行うことができるため、搬送コスト低減や収納スペース低減に効果的である。
【0013】
また、前記挿入プレート先端略中央には口蓋垂への接触を回避するための凹部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成を採用したことにより、撮影時の嗚咽を防止・低減することができる。
【0015】
また、前記挿入プレートには、基端側から先端側に向かう途中位置が幅狭となるように括れ部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成を採用したことにより、撮影時の口(特に口角)の負担を軽減できる。
【0017】
また、前記スマートフォン固定手段は、前記スマートフォン保持プレートに形成された複数のベルト穴とベルトにより構成される。
【0018】
このような構成を採用したことにより、 低コストを実現すると共に、多種のスマートフォンへの対応や、背面・正面カメラの位置が異なる場合でも柔軟に対応することが可能となっている。
【発明の効果】
【0019】
本発明を適用することで、患者が容易に自己の口腔内画像を撮影でき、且つ、低コストで口腔内撮影補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態の一例である口腔内撮影補助具であって、(a)が全体正面図、(b)が側面図、(c)がスマートフォン固定プレート部分の正面図である。
【
図2】(a)がスマートフォンを固定した状態の正面図、(b)が同側面図である。
【
図3】口腔内(上顎側)を撮影している状態の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である口腔内撮影補助具100について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0022】
〈口腔内撮影補助具の構成〉
図1に示しているように、本発明の実施形態の一例として示す口腔内撮影補助具100は、先端中央に凹部104が形成されると共に、途中が僅かに幅狭となるように両サイドに括れ部106が形成された挿入プレート102と、当該挿入プレート102の基端側に一体成形されたスマートフォン固定プレート110の2枚のプレート状部材を主たる構成要素として成立している。
【0023】
スマートフォン固定プレート110の表面は、挿入プレート102の表面に対して180°を超えて270°未満の角度θ(
図1(b)参照)を成すように形成される。この角度θは上記範囲の中で種々の角度を設定できるが、210°~240°程度の範囲で設定するのが望ましい。
【0024】
また、スマートフォン保持プレート110には、幅方向の異なる位置に複数のベルト穴112が形成される。このベルト穴112は、ベルト120と共に「スマートフォン固定手段」として機能する。なお、ベルト120は例えば、面ファスナを備えたベルトやゴム等の伸縮部材を備えたベルトなどで構成する。
【0025】
また、本実施形態においては、全体がステンレススチールで構成され、特に挿入プレート102の表面側は磨かれて鏡面仕上げとされている。また、挿入プレート102とスマートフォン固定プレート110は一枚のステンレス板(金属製プレート)を折り曲げて構成されている。
【0026】
〈口腔内撮影補助具の作用・機能〉
続いて、口腔内撮影補助具100の使い方を説明する。
【0027】
最初に、付属のベルト120を使ってスマートフォン固定プレート110にスマートフォン10を固定する(
図2参照)。この時、撮影スタイルに応じて、スマートフォン10の向きはいずれでも良い(スマートフォン10の画面14を見ながら撮影を行うが、撮影スタイルによって見やすい方を利用できる)。
【0028】
スマートフォン10のカメラ12(背面カメラ若しくは正面カメラのいずれか)が、挿入プレート102の鏡面処理部102aに向いていることを確認した後(カメラアプリを立ち上げて画面14で確認すればよい)、
図3に示しているように、挿入プレート102の先端側を口腔内に入れて撮影する。
【0029】
図3は、上顎側を撮影している状態を示しているが、下顎側を撮影する場合は上下を反転させて撮影すればよい。
【0030】
上記構成で説明した通り、本願発明にかかる口腔内撮影補助具100は、口腔内に挿入する挿入プレート102と、この挿入プレート102の基端側に、挿入プレート102の表面に対して180°を超えて270°未満の角度を成すように形成されたスマートフォン保持プレート110と、スマートフォン保持プレート110にスマートフォン10を固定するためのスマートフォン固定手段(ベルト穴112及びベルト120)と、を備え、挿入プレート102先端側表面の少なくとも一部が鏡面処理された鏡面処理部102aを備えていた。
【0031】
このような構成を採用したことにより、既に普及しているスマートフォン10を利用して患者等が自身で口腔内を撮影することができる。特に、スマートフォン10の画面14に映る画像を自分で確認しながら(直接画面14を見たり鏡に映る画面14を見ながら)撮影できるので簡単・確実に口腔内の画像を撮影することができる。
【0032】
また、挿入プレート102とスマートフォン保持プレート110とが、一枚の金属製プレートを折り曲げて構成されているため、非常に低廉なコストで口腔内撮影補助具を実現できている。
【0033】
また、挿入プレート102の先端略中央には口蓋垂への接触を回避するための凹部104が形成されているため、撮影時の嗚咽を防止・低減することができる。
【0034】
また、挿入プレート102には、基端側から先端側に向かう途中位置が幅狭となるように括れ部106形成されているため、撮影時の口(特に口角)の負担を軽減できる。
【0035】
また、スマートフォン固定手段は、スマートフォン保持プレート110に形成された複数のベルト穴112とベルト120によりシンプルに構成されるため、低コストを実現すると共に、多種のスマートフォンへの対応や、背面・正面カメラの位置が異なる場合でも柔軟に対応することが可能となっている。
【0036】
〈その他の構成例〉
上記では、挿入プレート102とスマートフォン保持プレート110との角度が固定されていたが、可変として構成してもよい。可変とすれば、調整幅が広がるので撮影がしやすくなるとと共に、フラットにした状態で搬送や収納を行うことができるため、搬送コスト低減や収納スペース低減に効果的である。
【0037】
また、上記では、全体が金属で構成されている例として説明しているが、それ以外にも例えば樹脂で構成してもよい。
【0038】
また上記では、スマートフォン固定手段は、スマートフォン保持プレートに形成された複数のベルト穴とベルトにより構成されていたが、これに限られない。スマートフォンを固定できる限りにおいてその例外の手段を選択することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10・・・スマートフォン
12・・・カメラ
14・・・画面
100・・・口腔内撮影補助具
102・・・挿入プレート
102a・・・鏡面処理部
104・・・先端凹部
106・・・括れ部
110・・・スマートフォン保持プレート
112・・・ベルト穴
120・・・ベルト