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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069749
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】装具の角度校正方法および装具
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20220502BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20220502BHJP
   A61F 5/01 20060101ALN20220502BHJP
【FI】
A61H1/02 R
G01B7/30 B
A61F5/01 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178579
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 勝正
【テーマコード(参考)】
2F063
4C046
4C098
【Fターム(参考)】
2F063AA33
2F063BA29
2F063BB08
2F063CA40
2F063CB03
2F063DA02
2F063DA05
2F063DA24
2F063EA01
4C046AA22
4C046AA29
4C046AA50
4C046BB03
4C046BB08
4C046CC01
4C046EE02
4C098AA02
4C098BB11
4C098BC03
4C098BD13
(57)【要約】
【課題】計測対象部位に応じて適切に校正することができる角度校正方法を提供する。
【解決手段】人または動物の計測対象部位に装着する装着部と、前記装着部に取付けられ前記計測対象部位の屈曲または伸展に伴う姿勢変化を角度変化として検出する角度センサと、を備えて構成される装具の角度校正方法であって、前記計測対象部位に前記装具を装着し、前記角度センサから出力される電気信号を角度情報に変換する角度変換回路を前記角度センサと電気的に接続した状態で、前記計測対象部位を第1姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第1基準角度を示し、前記計測対象部位を第2姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第2基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位の任意の姿勢に対する前記角度変換回路の出力を内挿法または外挿法により算出する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または動物の計測対象部位に装着する装着部と、前記装着部に取付けられ前記計測対象部位の屈曲または伸展に伴う姿勢変化を角度変化として検出する角度センサと、を備えて構成される装具の角度校正方法であって、
前記計測対象部位に前記装具を装着し、前記角度センサから出力される電気信号を角度情報に変換する角度変換回路を前記角度センサと電気的に接続した状態で、前記計測対象部位を第1姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第1基準角度を示し、前記計測対象部位を第2姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第2基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位の任意の姿勢に対する前記角度変換回路の出力を内挿法または外挿法により算出する装具の角度校正方法。
【請求項2】
前記内挿法または外挿法を適用する近似関数が前記計測対象部位に応じて設定される請求項1記載の装具の角度校正方法。
【請求項3】
前記第1基準角度または前記第2基準角度の一方が0°である請求項1または2記載の装具の角度校正方法。
【請求項4】
人または動物の計測対象部位に装着する装着部と、前記装着部に取付けられ前記計測対象部位の屈曲または伸展に伴う姿勢変化を角度変化として検出する角度センサと、を備えて構成される装具であって、
前記計測対象部位に前記装具を装着し、前記角度センサから出力される電気信号を角度情報に変換する角度変換回路を前記角度センサと電気的に接続した状態で、前記計測対象部位を第1姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第1基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位を第2姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第2基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位の任意の姿勢に対する前記角度変換回路の出力を内挿法または外挿法により算出する演算部と、前記演算部の演算結果を出力する表示部と、を含む角度校正部を備えている装具。
【請求項5】
前記内挿法または外挿法を適用する近似関数が前記計測対象部位に応じて設定される請求項4記載の装具。
【請求項6】
前記装具が前記計測対象部位を特定するIDコードと関連付けられ、前記演算部は前記IDコードに基づいて前記近似関数を特定可能に構成されている請求項5記載の装具。
【請求項7】
前記IDコードに基づいて校正手順を案内する案内部を備えている請求項6記載の装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装具の角度校正方法および装具に関する。
【背景技術】
【0002】
身に纏う衣服などの装具に機械電気変換装置を取り付けて、着用者の身体の姿勢の変化などの動きを計測することを目的とするセンサ付き衣服が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、編物又は織物の伸縮を静電容量の変化として検出することにより、検知システムとしての消費電力を抑制する引張変形検知布が提案されている。
【0004】
当該引張変形検知布は、複数の導電糸を含んで構成された編物又は織物を一方向に伸縮自在にすると共に、その伸縮に伴って前記導電糸の隣接するもの同士の間隔が変化し、その隣接する導電糸同士間は絶縁状態が維持されるように構成され、隣接する各導電糸の端部が静電容量を測定するための一対の電極とされていることを特徴とする。
【0005】
また、特許文献2には、伸縮状態により電気抵抗値が変化する特性を備えた導電糸を用いた導電性伸縮生地なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-177565号公報
【特許文献2】特開2018-202058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した引張変形検知布や導電性伸縮生地を用いて、関節部位の動きをモニタする装具を製作する場合、例えばサポータなど関節部位を被覆する伸縮性を備えた布帛に引張変形検知布や導電性伸縮生地を配置することが考えられる。
【0008】
本願発明者らは、表裏其々に配された一対の可撓性の外側電極層と、外側電極層の間に配された可撓性の内側電極層と、外側電極層と内側電極層との間の其々に配された一対の可撓性の外側絶縁層と、を備え、内側電極層は外側絶縁層の端縁より内側に延在するように配置された積層型曲げセンサを提案している(特願2019-206847号)。
【0009】
また、第1の骨部と第2の骨部とを屈曲および伸展可能に連結する蝶番関節の動作をモニタする装具であって、前記蝶番関節を挟んで前記第1及び第2の骨部の周囲を被覆するベース部材と、前記ベース部材に取付けられ、前記蝶番関節の屈曲または伸展に応動して前記蝶番関節の軸心に沿う軸心周りに相対回転可能に連結された第1および第2の剛性プレートと、前記第1および第2の剛性プレートの相対回転に基づいて前記蝶番関節の屈曲角度または伸展角度を検出する角度センサと、を備えた装具を提案している(特願2020-120306号)。
【0010】
上述した積層型曲げセンサや角度センサを備えた装具を人または動物の計測対象部位に装着することにより、計測対象部位の姿勢の変化や程度を計測することができ、例えば、機能回復訓練を行なう被訓練者などの患部である関節に装具を装着することで、機能回復訓練の程度や機能回復の程度を数値化して管理することが望まれている。
【0011】
そのような装具として、人または動物の計測対象部位に装着する装着部と、装着部に取付けられ計測対象部位の屈曲または伸展に伴う姿勢変化を角度変化として検出する角度センサと、角度センサから出力される電気信号を角度情報に変換する角度変換回路と、を備えて構成される装具が想定される。
【0012】
しかし、装具で検出される姿勢変化に伴う特性は計測対象部位によって様々であり、また計測対象部位が同じであっても被訓練者の状態によっても様々である。そのため、装具の出力特性を予め想定される姿勢に基づいて一律に初期設定すると機能回復訓練の程度や機能回復の程度を適切に把握できない虞がある。
【0013】
例えば、膝関節の機能回復訓練で、伸展姿勢を基準にして屈曲姿勢への姿勢変化を計測する場合に、被訓練者の膝関節の状態によっては基準となる伸展姿勢でも若干曲がっている場合もある。そのような場合に、被訓練者の伸展姿勢を基準となる0°に設定して計測したい場合に対応できないという不便が生じる。
【0014】
また、足関節では直立姿勢で略90°に屈曲した状態を初期姿勢として、歩行に伴って屈曲角度が90°から大きくまたは小さくなるように変化する。そのような場合に、屈曲した初期姿勢を0°に設定したい場合もある。
【0015】
本発明の目的は、上述の事情に鑑み、計測対象部位に応じて適切に校正することができる装具の角度校正方法および装具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため、本発明による装具の角度校正方法の第一の特徴構成は、人または動物の計測対象部位に装着する装着部と、前記装着部に取付けられ前記計測対象部位の屈曲または伸展に伴う姿勢変化を角度変化として検出する角度センサと、を備えて構成される装具の角度校正方法であって、前記計測対象部位に前記装具を装着し、前記角度センサから出力される電気信号を角度情報に変換する角度変換回路を前記角度センサと電気的に接続した状態で、前記計測対象部位を第1姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第1基準角度を示し、前記計測対象部位を第2姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第2基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位の任意の姿勢に対する前記角度変換回路の出力を内挿法または外挿法により算出する点にある。
【0017】
計測対象部位に装具を装着した状態で、少なくとも第1姿勢と第2姿勢の二つの姿勢を採ったときに角度変換回路の出力を其々の姿勢に対する基準角度になるように校正する。例えば、第1姿勢に対応して第1基準角度を0°に、第2姿勢に対応して第2基準角度を90°になるように校正する。その後、計測対象部位の任意の姿勢に対応した角度変換回路の出力が内挿法または外挿法を用いて算出される。従って、装具を装着する計測対象部位に応じて、そして被装着者の装着部位の状態に応じて適切に姿勢の変位を計測することができるようになる。なお、校正時に設定される第1基準角度0°および第2基準角度90°は例示であり、この角度に限るものではない。また、計測対象部位が正確に0°および90°に姿勢調節される必要もない。
【0018】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記内挿法または外挿法を適用する近似関数が前記計測対象部位に応じて設定される点にある。
【0019】
装具が装着される計測対象部位の変位と、変位に伴って変化する角度センサの出力との間に表れる相関関係は、計測対象部位および計測対象部位に対する角度センサの相対位置などに依存するため、当該相関関係を示す近似関数を計測対象部位に応じて設定することで、計測対象部位の変位を正確に検出できるようになる。
【0020】
同第三の特徴構成は、上述した第一または第二の特徴構成に加えて、前記第1基準角度または前記第2基準角度の一方が0°である点にある。
【0021】
計測対象部位の状態が定常的な姿勢であるとき、例えば常時安定的に採り得る屈曲姿勢や伸展姿勢を第1姿勢または第2姿勢に選択し、その何れかを基準姿勢を示す0°に設定することで、被装着にかかわらず計測対象部位の変位を客観的に把握することができる。
【0022】
本発明による装具の第一の特徴構成は、人または動物の計測対象部位に装着する装着部と、前記装着部に取付けられ前記計測対象部位の屈曲または伸展に伴う姿勢変化を角度変化として検出する角度センサと、を備えて構成される装具であって、前記計測対象部位に前記装具を装着し、前記角度センサから出力される電気信号を角度情報に変換する角度変換回路を前記角度センサと電気的に接続した状態で、前記計測対象部位を第1姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第1基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位を第2姿勢に姿勢調節したときに前記角度変換回路の出力が第2基準角度を示すように校正し、前記計測対象部位の任意の姿勢に対する前記角度変換回路の出力を内挿法または外挿法により算出する演算部と、前記演算部の演算結果を出力する表示部と、を含む角度校正部を備えている点にある。
【0023】
計測対象部位に装具を装着した状態で角度変換回路の出力が角度校正部によって校正されるので、装具を装着する計測対象部位に応じて、そして装着部位の状態に応じて適切に姿勢の変位を計測することができるようになる。
【0024】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記内挿法または外挿法を適用する近似関数が前記計測対象部位に応じて設定される点にある。
【0025】
装具が装着される計測対象部位の変位と、変位に伴って変化する角度センサの出力との間に表れる相関関係は、計測対象部位および計測対象部位に対する角度センサの相対位置などに依存するため、当該相関関係を示す近似関数を計測対象部位に応じて設定することで、計測対象部位の変位を正確に検出できるようになる。
【0026】
同第三の特徴構成は、上述した第二の特徴構成に加えて、前記装具が前記計測対象部位を特定するIDコードと関連付けられ、前記演算部は前記IDコードに基づいて前記近似関数を特定可能に構成されている点にある。
【0027】
予め設定されたIDコードに基づいて各装具が装着される計測対象部位が定まり、計測対象部位に適した近似関数で計測対象部位の変位を適切に検出できるようになる。
【0028】
同第四の特徴構成は、上述した第三の特徴構成に加えて、前記IDコードに基づいて校正手順を案内する案内部を備えている点にある。
【0029】
IDコードに基づいて定まる装具の計測対象部位に応じて、案内部により計測対象部位に対応した校正手順が示されるので、正確かつ迅速に校正作業が行なえるようになる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、計測対象部位に応じて適切に校正することができる装具の角度校正方法および装具を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】(a)は本発明が適用される装具の表面の説明図、(b)は同裏面(肌側面)の説明図
図2】装具を膝関節に装着した状態の説明図
図3】(a)は第1の剛性プレートに設けられた導電体の第1のパターンの説明図、(b)は第2の剛性プレートに設けられた導電体の第2のパターンの説明図、(c)は第1の剛性プレートと第2の剛性プレートを相対回転可能に連結した状態の説明図、(d)は連結された状態での第1のパターンと第2のパターンの相対位置関係の説明図
図4】角度変換回路および校正処理回路の説明図
図5】校正処理の手順を示すフローチャート
図6】(a)は角度センサの別実施形態を示し、積層型曲げセンサの通常姿勢の説明図、(b)は曲げ姿勢の説明図、(c)は積層型曲げセンサの信号処理回路の説明図
図7】(a),(b)は装具の別実施形態を示す説明図
図8】(a)から(d)は人の背部の曲がりを計測するための装具の例で、人に装着した状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明による装具を図面に基づいて説明する。
[本発明が適用される装具の構成]
図1(a),(b)には、本発明が適用される装具1の一例が例示されている。当該装具1は膝関節の機能回復を目的とする被訓練者に装着されるもので、第1の骨部(本実施形態では脛骨)と第2の骨部(本実施形態では大腿骨)とを屈曲および伸展可能に連結する蝶番関節(本実施形態では膝関節)の動作をモニタする装具1で、厚手の布帛で構成されるベース部材2と、ベース部材2に取付けられた第1の剛性プレート10と、第2の剛性プレート20と、ベース部材2を膝関節に巻き付けた状態で固定する固定具30を備えている。
【0033】
ベース部材2は、第1の骨部を被覆する第1被覆片2Aと、第2の骨部を被覆する第2被覆片2Bを備え、第1被覆片2Aと第2被覆片2Bの隣接部に形成された開口2Cを挟んで一体に形成され、周囲及び縦横中央部で縫製処理されている。
【0034】
ベース部材2の表面には、第1被覆片2Aと第2被覆片2Bの一端側(図1(a)では上方側)に、硬質樹脂製の板状体でなる第1の剛性プレート10と第2の剛性プレート20の基端部が取付部11,21を介して固定されている。
【0035】
第1の剛性プレート10と第2の剛性プレート20の先端部は円形状の連結部10F,20Fに形成され、連結部10F,20Fの中心で連結軸Pを介して相対回転可能に連結されている。剛性プレートとして、プラスチック製プレート(繊維強化プラスチック製プレートを含む)、金属製プレート、セラミック製プレート、木製プレートなどを用いることができる。厚さ0.2~3mmの範囲で形成され、自重で撓まない程度の曲げ剛性を備えているプレートであればよく、プラスチック製プレートやアルミ製プレートのような軽量なプレートが好ましい。
【0036】
固定具30は、ベース部材2の表面に設けられ、第1被覆片2Aと第2被覆片2Bの他端側(図1(a)では下方側)に固定金具31,32を介して固定された一対の固定ベルト33,34と、固定金具31,32の近傍に縫着され、固定ベルト33,34を固定する面ファスナ35,36とを備えて構成されている。固定ベルト33,34の先端側裏面には、面ファスナ35,36を係合する係合用の面ファスナが縫着されている。
【0037】
開口2Cが膝窩に位置するように、第1被覆片2Aと第2被覆片2Bの其々を、蝶番関節を挟んで第1の骨部及び第2の骨部の外周に巻き付けた状態で、固定ベルト33,34をさらにその上から巻き付けて、先端を面ファスナ35,36に押し付けて固定する。
【0038】
図2には、膝関節部に装具1が装着された状態が示されている。このような状態で膝関節を屈曲または伸展させると、屈曲または伸展に応動して膝関節の軸心(紙面に垂直な方向)に沿う軸心P周りに第1および第2の剛性プレート10,20の先端の連結部10F,20Fが相対回転するように構成されている。
【0039】
図3(a)に示すように、第1の剛性プレート10の連結部10Fには第1のパターンで配した第1の導電体Lが配され、図3(b)に示すように、第2の剛性プレート20の連結部20Fには第2のパターンで配した第2の導電体Eが配されている。
【0040】
第1のパターンつまり第1の導電体Lは渦巻きコイルパターンで構成され、第2のパターンつまり第2の導電体Eは相対回転により渦巻きコイルパターンと重畳する面積が単調変化するように厚みが変化する弧状パターンで構成され、それぞれのパターンは絶縁基板上にエッチング加工された銅箔のパターンで表面が絶縁シールで被覆されている。
【0041】
図3(c),(d)に示すように、第2のパターンは、第1のパターンである渦巻きコイルパターンの導電体Lに第2のパターンの導電体Eが重畳し、相対回転する際に重畳面積が単調変化するように構成されている。そのため、渦巻きコイルパターンのインダクタンスに重畳面積の変化に応じた値の誘導インダクタンスの影響が表れるようになる。当該影響に基づいて相対回転角度がモニタできる。
【0042】
詳述すると、渦巻きコイルパターンの導電体Lに交流電流を流すと、それに応じて近傍空間に磁場が誘起され、第2のパターンの導電体Eに渦電流が流れるようになる。渦電流に起因して導電体Eに磁場が誘起され、その磁場の影響で渦巻きコイルパターンの導電体Lに相互インダクタンスの影響が表れる。この相互インダクタンスの影響が相対回転に応じて単調変化するので、その変化をとらえることにより相対回転角度が求まるようになる。
【0043】
即ち、第1および第2の剛性プレート10,20と、第1の剛性プレート10の連結部10Fに第1のパターンで配した第1の導電体Lと、第2の剛性プレート20の連結部20Fに第2のパターンで配した第2の導電体Eにより角度センサSが構成されている。
【0044】
図4には、渦巻きコイルパターンの導電体L(以下、「コイルL」とも記す。)をインダクタとする並列共振回路40と、並列共振回路40に接続された角度変換回路50が示されている。並列共振回路40は、コイルLと抵抗Rの直列回路にコンデンサCが並列接続されている。また、角度変換回路50には装具1の用途つまり被装着部を示すIDコードが格納されたメモリ回路50Mが設けられ、駆動電源となるバッテリbatが接続されている。
【0045】
角度変換回路50から並列共振回路40に所定周波数の交流電圧を印加して、第1および第2の剛性プレート10,20の先端の連結部10F,20Fを軸心P周りに相対回転させると、導電体Eに生じる渦電流の影響で相互インダクタンスが変化して共振周波数が変化する。
【0046】
例えば、膝関節を単純に屈曲させると屈曲の程度が大きくなるに連れて次第に共振周波数が高くなり、膝関節を単純に伸展させると伸展の程度が大きくなるに連れて次第に共振周波数が低くなる。このような特性に基づいて膝関節の曲げ角度の変化を把握することができる。
【0047】
角度変換回路50で共振周波数の変化に対応する電圧信号を、膝関節の曲げ角度に変換して把握することができ、角度変換回路50から膝関節の曲げ角度に相当する電圧信号が生成される。
【0048】
角度変換回路50から出力される電圧信号は通信インタフェース50Aを介して本発明の角度校正部として機能する角度校正装置60に入力される。角度校正装置60は、通信インタフェース60Aと、角度校正処理回路62、メモリ回路60M、入力回路64、表示回路66、スピーカを備えた音響出力回路68などを備えている。
【0049】
本実施形態では、角度校正装置60はスマートフォンやタブレット型のコンピュータのような可搬性の情報処理端末で構成され、通信インタフェース50A,60AがBluetooth(登録商標)のような短距離無線通信インタフェース回路で構成されている。以下の説明では角度校正装置60がスマートフォンで構成された例を説明する。
【0050】
スマートフォンに備えたメモリ回路60Mに校正処理や角度表示処理のためのアプリケーションプログラムが格納され、スマートフォンに備えたCPUで実行されることにより、角度校正処理回路62、入力回路64、表示回路66などの各機能が具現化され、スマートフォンに備えたタッチパネル式の液晶表示装置によって入力回路64および表示回路66が構成される。
【0051】
角度校正処理回路62は、人の身体の計測対象部位(本実施形態では膝関節)に装具1を装着した状態で、計測対象部位を第1姿勢に姿勢調節したときに角度変換回路50の出力が第1基準角度を示し、計測対象部位を第2姿勢に姿勢調節したときに角度変換回路50の出力が第2基準角度を示すように校正し、計測対象部位の任意の姿勢に対する角度変換回路50の出力を内挿法または外挿法により算出する演算部を備えており、演算結果が表示回路(表示部)66に出力される。
【0052】
[装具の校正方法の説明]
図5に基づいて、角度校正処理回路62で実行される角度校正処理を説明する。スマートフォンにインストールされた装具専用のアプリケーションプログラムを起動し(SA1)、初期画面に表示される角度校正モードと角度表示モードから角度校正モードを選択する(SA2)。
【0053】
通信インタフェース50A,60Aを介して装具1のメモリ50Mに記憶されたIDコードが読み込まれ(SA3)、IDコードに対応する近似関数がメモリ回路60Mから読み出される(SA4)。
【0054】
近似関数とは、装具1が装着される計測対象部位の変位と、変位に伴って変化する角度センサSの出力との間に表れる相関関係を示す関数をいい、角度センサSの角度検出原理や、計測対象部位と角度センサSの相対位置による影響などを吸収する関数でもある。人の計測対象部位に応じて設定されるIDコードに対応して予め複数の近似関数をメモリ回路60Mに格納しておけばよい。
【0055】
換言すると、角度センサSの角度検出原理は上述した図3に示す態様に限るものではなく、エンコーダやホール素子を用いて回転角度を検出するような構成であってもよいし、回転角度以外の物理量を検出するような構成であってもよい。
【0056】
次に、液晶表示部(表示回路66)やスピーカ(音響出力回路68)を介して、装具1の装着を促し、校正処理を開始する旨のメッセージが出力され、計測対象部位(膝関節)を第1姿勢に保ち、液晶表示部に表示された校正スイッチ(入力回路64)をタッチするように案内される(SA5)。
【0057】
被装着者が計測対象部位(膝関節)を第1姿勢に姿勢調節した後に校正スイッチをタッチすると(SA6,Y)、角度変換回路50の出力を読み込み、その値を第1基準角度に設定つまり対応付ける(SA7)。
【0058】
さらに、液晶表示部(表示回路66)やスピーカ(音響出力回路68)を介して、計測対象部位(膝関節)を第2姿勢に保ち、液晶表示部に表示された校正スイッチ(入力回路64)をタッチするように案内される(SA8)。
【0059】
被装着者が計測対象部位(膝関節)を第2姿勢に姿勢調節した後に校正スイッチをタッチすると(SA9,Y)、角度変換回路50の出力を読み込み、その値を第2基準角度に設定つまり対応付ける(SA10)。
【0060】
第1基準角度および第2基準角度に対応する角度変換回路50の出力に基づいて近似関数を調整することで、その後の計測対象部位(膝関節)の任意の変位に対する角度が内挿法または外挿法により算出されるようになる(SA11)。
【0061】
角度校正モードによる構成処理が終了すると初期画面に戻り、角度表示モードが選択されると、計測対象部位(膝関節)の任意の変位に対する角度が内挿法または外挿法により算出され、スマートフォンの表示画面に角度が表示される。
【0062】
なお、表示画面への表示態様は単なる角度の数値表示に限らず、機能回復訓練で伸展および屈曲が繰り返される角度変化を、横軸を時間、縦軸を角度とする二次元座標系にプロットした表示態様や、伸展および屈曲の1サイクルを同じ二次元座標系に重畳表示する態様など、複数の表示態様が選択可能に構成できる。後者の態様では訓練開始時と訓練後の状態を対比して効果を目視確認することができるようになる。
【0063】
上述したステップSA5,SA8は、通信インタフェース50A,60Aを介して装具1と交信し、IDコードに基づいて校正手順を案内する案内部(角度校正処理回路62に含まれる機能の一つである)により実行される。
【0064】
例えば、膝を伸展させた姿勢を第1姿勢とし、第1基準角度を0°に設定し、膝を略直角に屈曲させた姿勢を第2姿勢とし、第2基準角度を90°に設定すると、0°~90°の範囲の屈曲角度が内挿法により算出され、90°以上の屈曲角度が外挿法により算出される。つまり、膝を伸展させた姿勢を第1姿勢が正確に0°である必要はなく、膝を略直角に屈曲させた姿勢を第2姿勢が正確に90°である必要はなく、被装着者が膝を伸展させたと認識する姿勢が第1姿勢であり、膝を略直角に屈曲させたと認識する姿勢が第2姿勢であればよい。
【0065】
近似関数は線形関数、二次関数など特性に合わせて設定することができる。例えば、計測対象部位(膝関節)の屈曲角度Φが角度変換回路50の出力である変数Xの線形関数Fを用いてΦ=F(x)=aX+bで表わされる場合には、第1基準角度および第2基準角度とその時の変数Xの値から定数a,bを算出することにより近似関数が得られる。
【0066】
この例では、校正処理時に第1姿勢と第2姿勢の二つの姿勢を用い、第1姿勢に対する基準角度を0°、第2姿勢に対する基準角度を90°とする例を説明しているが、基準角度の値は特に限定するものではなく適宜設定すればよい。少なくとも一つの基準角度を0°に設定することが好ましく、その値を基準にして計測対象部位(膝関節)の屈曲角度の大きさを相対評価できるようになる。
【0067】
例えば、膝を伸展させた第1姿勢で関節がある程度曲がった状態の被着用者であっても、その状態を0°に設定することで初期状態が認識でき、機能回復訓練の結果、マイナスの値が表示されるようになると膝の伸展状態が改善されたと評価できるようになる。予め一律に校正処理された装具を装着する場合には、膝を伸展させた第1姿勢で0°を示すことが困難な場合があるが、このような校正方法を採用すると、個々の装着者に応じて適切に構成することができる。
【0068】
また、校正処理時に第1姿勢と第2姿勢の二つの姿勢以外に第3姿勢を設定するようにしてもよい。計測対象部位の関節が蝶番関節であっても屈曲時に単純に円運動するのではなく、ある角度で滑りなどの他の要素が加わるような場合に好適に対応できる。また近似関数が二次関数(Φ=F(x)=aX+bX+c)など定数が2より多くなる場合には、定数の数だけ基準角度を設定することで適切に近似関数を調整できる。
【0069】
上述した例では、計測対象部位が膝関節であり、伸展姿勢を第1姿勢とする場合を説明したが、計測対象部位は膝関節に限るものではなく、伸展姿勢を第1姿勢とするものに限るものではない。例えば、計測対象部位が足関節である場合には、直立姿勢で伸展と屈曲の中間位置(略90°)となり、歩行に伴って中間位置から伸展または屈曲する。
【0070】
そのような場合には、例えば中間位置を第1姿勢、第1基準角度を0°とし、屈曲姿勢を第2姿勢、第2基準角度を45°などに設定することが好ましい。つまり、基準角度と実際の関節の屈曲角度を一致させる必要はなく、基準姿勢を基に関節の相対変位を数値化できればよい。
【0071】
このように、装具1の装着位置により校正手順を異ならせることで、様々な機能回復訓練に柔軟に対応できるようになる。そのために装具1に設定するIDコードを装具1の装着位置に対応付け、IDコードによって校正処理を異ならせるようにアプリケーションを構成することが好ましい。
【0072】
以上の説明では、装具1に角度センサSと角度変換回路50が組み込まれた態様を説明したが、装具1から角度変換回路50が分離するように構成され、角度センサSと角度変換回路50との間が有線または無線で接続されるような構成であってもよい。この場合に角度センサSを電気的に駆動するための一部の回路が角度変換回路50から角度センサSの側に組み込まれていてもよい。つまり、角度センサSから出力される電気信号を角度情報に変換する機能のみが角度変換回路50に備わっていればよい。
【0073】
以上の説明では、角度校正装置を装具1とは別体の携帯型情報端末で構成した例を説明したが、角度校正装置を装具1と一体に校正してもよい。例えば、校正手順を案内表示する液晶表示装置と、校正処理用の入力スイッチと、校正処理を実行するマイクロコンピュータなどを備えて構成することができる。
【0074】
[装具1の別の実施形態1]
図6(a),(b),(c)には、角度センサとして静電容量の変化を検出する積層型曲げセンサSを備えた装具1が示されている。装具1は積層型曲げセンサSと、積層型曲げセンサSを支持し姿勢計測対象部に取付ける取付け部材80とを備えている。計測対象部位として人の手足の関節部、背骨の屈曲姿勢、腰部の屈曲姿勢などが想定される。
【0075】
積層型曲げセンサSは、伸縮性を有する基材8と、基材8に両端縁が重畳するように固定され中間部が基材8から遊離するように取り付けられた可撓性のセンサ本体S´と、を備えている。センサ本体S´の端部の歪を回避する姿勢保持部材6が重畳配置された領域を介して取付け部材80に縫着により取り付けられている。
【0076】
図6(a)の例では、取付け部材80は姿勢計測対象部を挟んで両側から巻き付けるように取り付けるバックルタイプのベルトで構成されている。取付け部材80としてベルトの一端側に縫着されたパイル部80aとベルトの他端側に縫着されたフック部80bで構成される面ファスナを用いている。ベルトとして織ゴムなどを用いた伸縮性ベルトを用いることが好ましい。
【0077】
例えば人の関節部など曲げ検出対象となる姿勢計測対象部に、取付け部材80を介して積層型曲げセンサSが取付けられる。そして関節部の曲げ伸ばし運動に伴って積層型曲げセンサSが湾曲または湾曲から復帰することによりその状態が把握できる。
【0078】
図6(b)には、装具1が伸長状態の膝関節部に取り付けられ、積層型曲げセンサSの基材8が収縮状態となった様子が示され、図6(c)には、膝関節部が屈曲変形し、基材8が伸長状態となるとともに屈曲した状態が示されている。この例では、積層型曲げセンサSの長手方向に沿う2ケ所にセンサ本体S´の浮き上がりを回避する位置規制部材1Fが設けられている。
【0079】
図7(a),(b),(c)には、センサ本体S´の構成が示されている。図7(a)に示すように、センサ本体S´は、平面視で細幅の帯状に形成され、表裏其々に配された一対の可撓性の外側電極層20A,20Bと、外側電極層20A,20Bの間に配された可撓性の内側電極層40と、外側電極層20A,20Bと内側電極層40との間の其々に配された一対の可撓性の外側絶縁層30A,30Bとを備えている。外力が付与されていない自由状態で外側電極層20A,20Bの厚みは互いに等しくなるように構成されている。
【0080】
外側電極層20A、外側絶縁層30A、内側電極層40により一つの静電容量センサ(コンデンサ)SAが形成され、外側電極層20B、外側絶縁層30B、内側電極層40により他の一つの静電容量センサ(コンデンサ)SBが形成されている。つまり、静電容量センサ(コンデンサ)SA,SBが厚み方向に重畳するように配されている。外側電極層20A,20B及び内側電極層40として編地などの伸縮性を備えた導電性布帛が好適に用いられる。
【0081】
図7(b)に示すように、一対の外側電極層20A,20Bの何れか一方の面、例えば外側電極層20Aが凸となるようにセンサ本体S´が湾曲変形すると、一方の外側電極層20Aの表面が凸状に湾曲し、他方の外側電極層20Bの表面が凹状に湾曲する。内側電極層40を基準にすると、凸状に湾曲する一方の外側電極層20A側に配された外側絶縁層30Aは湾曲頂部から周辺に向けて引っ張り力が作用して相対的に層厚が薄くなるように変形し、凹状に湾曲する他方の外側電極層20B側に配された外側絶縁層30Bは周辺から湾曲底部に向けて圧縮力が作用して相対的に層厚が厚くなるように変形する。その結果、凸側に位置するコンデンサの容量が凹側に位置するコンデンサの容量よりも大きくなり、この容量の変化に基づいて曲げの角度が検出できる。
【0082】
具体的には、厚み方向に重畳配置された一対のコンデンサSA,SBの湾曲変形時に変化する容量(C1,C2)の差(ΔC=C1-C2)に基づいて曲げ角度を算出することができる。容量の差ΔCを変数とする所定の関数に基づいて曲げ角度を算出し、或いは容量の差ΔCに対応して予め設定した角度テーブルに基づいて曲げ角度を求めることができる。
【0083】
所定の関数として線形関数を好適に用いることができる。容量の差以外に容量の比率C1/C2を用い、或いは(C1-C2)/(C1+C2)を用いることも可能である。この場合も、容量の比率C1/C2や(C1-C2)/(C1+C2)を変数とする所定の関数に基づいて曲げ角度を算出し、或いは容量の比率C1/C2や(C1-C2)/(C1+C2)に対応して予め設定した角度テーブルに基づいて曲げ角度を求めることができる。
【0084】
なお、電極の面積S、電極間距離d、絶縁層の誘電率εとすると、静電容量C=ε・(S/d)の関係があり、電極間の距離dが短くなると静電容量は増大し、電極間の距離dが長くなると静電容量は減少する。また、電極の面積Sが大きくなると静電容量は増大し、電極の面積Sが小さくなると静電容量は減少する。
【0085】
図7(c)には、センサ本体S´に対する信号処理回路70、つまり角度変換回路の構成が示されている。信号処理回路70は、クロック発振回路を備え、1kHzから100kHz程度の矩形波信号を基準信号として出力する基準信号生成部71、ダイオードブリッジで構成される整流回路72A,72B、抵抗とコンデンサが信号端子とグランド端子間に並列接続されたローパスフィルタ73A,73B、オペアンプを備えた増幅器74A,74B、ADコンバータ75、論理演算回路を備えた信号処理部76の各機能ブロックを備えて構成されている。
【0086】
基準信号生成部71から出力された基準信号が内側電極層40に印加されると、対向電極である外側絶縁層30A,30Bからそれぞれの時定数に応じた参照信号が出力される。各外側絶縁層30A,30Bから出力された参照信号が整流回路72A,72Bで整流され、ローパスフィルタ73A,73Bでノイズが除去された直流成分が増幅器74A,74Bで増幅された後にADコンバータ75に入力される。
【0087】
信号処理部76は、ADコンバータ75でAD変換された値に基づいて静電容量C1,C2を算出し、上述したように容量の差(ΔC=C1-C2)を変数とする所定の関数、或いは容量の比率C1/C2や(C1-C2)/(C1+C2)を変数とする所定の関数に基づいて曲げ角度を算出する。
【0088】
外側電極層20A,20B及び内側電極層40と信号処理回路70とを電気的に接続するために、外側電極層20A,20B及び内側電極層40の其々に端子を形成し、端子と信号処理回路70とがリード線で接続される。例えば、端子として凹側ボタンに凸側ボタンを嵌め込み固定する金属製のスナップボタンが好適に用いられる。凹側ボタンに凸側ボタンの何れか一方を外側電極層20A,20B及び内側電極層40に取り付け、他方を信号処理回路70に接続されるリード線の端部に固定すればよい。
【0089】
[装具1の別の実施形態2]
図8(a)から(d)には、背中の曲がり姿勢を検知するための装具1が示されている。着用者の背面側で背骨に沿って積層型曲げセンサSが位置するように取り付ける取付け部材80が構成されている。
【0090】
取付け部材80は、一端が積層型曲げセンサSの上端部に固定され、他端が積層型曲げセンサSの下端側に固定された一対のベルト81,82と、一端が積層型曲げセンサSの下端部に固定され、他端がズボンの胴部に固定するバックル84を備えた胴部固定ベルト83で構成されている。
【0091】
着用者が前屈み姿勢となった場合でも積層型曲げセンサSが上方にずれ上がることが無いように、ベルト81,82は着用者の左右の肩部から胸部に向けて積層型曲げセンサSを牽引し、脇部を通って積層型曲げセンサSの下端側に連結されている。左右のベルト81,82が胸部で交差するように配されていてもよい。そして、胴部固定ベルト83によって積層型曲げセンサSの下端が下方に牽引される。積層型曲げセンサSの上端に設けられた箱体70は、図6(c)で説明した信号処理回路である。
【0092】
図6または図8に示したセンサ本体S´を校正する場合にも本発明による校正装置及び構成方法が適用可能である。
【0093】
上述した実施形態では、角度変換回路50に装具1の用途つまり被装着部を示すIDコードが格納されたメモリ回路50Mを備えた構成を説明したが、装具1に通信インタフェースを備えて、携帯端末などの外部機器と通信可能に構成されるような場合には、通信ネットワーク上で各通信主体を一意に識別するために物理的に割り当てられたMACアドレス(Media Access Control address)をIDコードとして活用してもよい。予め装着される部位に応じてMACアドレスを管理しておけば、MACアドレスに基づいて装着部位を識別でき、適切な手順で校正処理を実行することができる。
【0094】
上述した実施形態では装具が装着される計測対象部位が人の身体である場合を説明したが、本発明の装具は動物の計測対象部位に装着することも可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明により、機能回復訓練用の補助具として利用される装具を、計測対象部位に応じて適切に校正することができ、効果的に訓練できる角度校正方法および角度校正装置として活用される。
【符号の説明】
【0096】
1:装具
2:ベース部材
2A:第1被覆片
2B:第2被覆片
2C:開口
10:第1の剛性プレート
10F:連結部
11:取付部
20:第2の剛性プレート
20F:連結部
21:取付部
30:固定具
31,32:固定金具
33,34:固定ベルト
35,36:面ファスナ
40:並列共振回路
50:角度変換回路
50A:通信インタフェース
50M:メモリ回路
60:角度校正装置
60A:通信インタフェース
60M:メモリ回路
62:角度校正処理回路
64:入力回路
66:表示回路
68:音響出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8