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  • 特開-変形爪矯正具および変形爪矯正セット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069804
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】変形爪矯正具および変形爪矯正セット
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/11 20060101AFI20220502BHJP
   A45D 29/06 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A61F5/11
A45D29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178678
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】520418569
【氏名又は名称】菅原 武士
(71)【出願人】
【識別番号】517274073
【氏名又は名称】株式会社立志伝
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】菅原 武士
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB10
4C098BC45
4C098DD12
4C098DD23
(57)【要約】
【課題】一般家庭でも貼りやすく、復元力が確保できることで、手軽に、かつ容易に変形した爪の矯正やケア、再発予防対策を行うことができる変形爪矯正具および変形爪矯正セットを提供する。
【解決手段】変形爪矯正具20は、巻き爪Nにおける幅方向F5の湾曲面に沿って湾曲させた状態で接着剤30により貼り付けられる樹脂板21により形成されている。この樹脂板21には、繊維体23による強化体22を面方向Fsに沿って内包させている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き爪等の変形した爪の湾曲面に沿って湾曲させた状態で接着剤により貼り付けられる樹脂板であり、繊維体による強化体を面方向に沿って内包させた前記樹脂板により形成された変形爪矯正具。
【請求項2】
前記強化体は、長さ方向に延びる前記繊維体が幅方向に並べて配置された、または長さ方向に対して傾斜する繊維体が傾斜方向に並べて配置された請求項1記載の変形爪矯正具。
【請求項3】
前記強化体は、短片状の前記繊維体が前記樹脂板にランダムに配置された請求項1記載の変形爪矯正具。
【請求項4】
前記樹脂板の接着面が、微小凹凸面に形成された請求項1から3のいずれかの項に記載の変形爪矯正具。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれかの項に記載の変形爪矯正具と、前記巻き爪に前記変形爪矯正具を貼り付けるための接着剤とを備えた変形爪矯正セット。
【請求項6】
更に、前記接着剤の硬化を促進させる硬化促進剤を備えた請求項5記載の変形爪矯正セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き爪等の変形した爪(以下、変形爪と称す。)を正常な状態に戻すことを目的とした変形爪矯正具および変形爪矯正セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
巻き爪は、爪先部の両端が丸まってしまうなどの爪が変形した状態であり、放置すると疼痛・炎症や化膿、肉芽ができたり、化膿を放置すると骨髄炎を起こしたりすることがある。
そのため、患者は、専門の治療院や、サロン、病院にて、変形爪矯正具を用いて、巻き爪などの変形爪を施術している。このような変形爪矯正具について、例えば、特許文献1-3に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の巻き爪修正具は、適度の復元力を持った樹脂製等の薄い小片を巻き爪に陥った爪の表面に貼ることで、元の形態に戻ろうとする力で爪を正常な形態にし、数日から数週間で簡単に爪きりができるように、更には巻き爪を予防できるようにしたものである。
【0004】
特許文献2に記載の陥入爪矯正具は、形状記憶合金又は形状記憶樹脂により板状体を形成し、予め所定温度で所定形状を記憶させ、常温において母趾の陥入爪の屈曲部に合わせて板状体を屈曲させておき、接着剤を介して陥入爪の表面に貼着した状態で、雰囲気温度を所定温度に上昇させ、板状体の矢印方向の復元力により陥入爪を矯正するというものである。
【0005】
特許文献3に記載の巻き爪矯正具および巻き爪矯正方法は、接着剤により屈曲した爪の表面に、鋼板や樹脂板などの板ばね、形状記憶合金板や形状記憶樹脂板などの形状記憶板等の変形した爪の矯正力を有する素材により形成された矯正板を接着した後、矯正板の表面を含む爪の表面に固化剤を塗布し、矯正板の原形復元力により、爪は徐々に正常な形状に矯正されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-37535号公報
【特許文献2】特開平8-215227号公報
【特許文献3】特開2005-66003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
巻き爪の矯正は、専門の治療院や、サロン、病院で行うのではなく、一般家庭で患者自身や家族の協力を得て施術できると、施術が手軽にでき、安価にできるので、望ましい。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の巻き爪修正具では、樹脂製等の薄い小片を巻き爪に陥った爪の表面に貼るだけであるため、簡単に薄い小片を爪に貼り付けることができるが、単なる樹脂板の小片では、貼り付ける際に折れ曲がりやすく、復元力が不足して矯正の効果が薄い可能性がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の陥入爪矯正具や、特許文献3に記載の巻き爪矯正具および巻き爪矯正方法では、矯正具として、形状記憶合金板や形状記憶樹脂板を使用しているが、爪の巻等の爪の変形状態は患者ごとに異なる。そのため、常温において母趾の陥入爪の屈曲部に合わせて板状体を屈曲させる際には、患者ごとの巻き爪状態に合わせて屈曲させる必要があり、専門の施術者による施術が必要となる場合が多い。また、形状記憶合金板や形状記憶樹脂板では過熱を要するため、火傷等の危険性も伴うおそれがある。従って、特許文献2,3の従来の矯正具では、一般家庭で施術することは難しい。
【0010】
そこで本発明は、一般家庭でも貼りやすく、復元力が確保できることで、手軽に、かつ容易に変形爪の矯正やケア、再発予防対策を行うことができる変形爪矯正具および変形爪矯正セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の変形爪矯正具は、巻き爪等の変形した爪の湾曲面に沿って湾曲させた状態で接着剤により貼り付けられる樹脂板であり、繊維体による強化体を面方向に沿って内包させた前記樹脂板により形成されたことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の変形爪矯正具によれば、巻き爪等の変形した爪における湾曲面に沿って湾曲させた状態で接着剤により貼り付けられる樹脂板が、繊維体による強化体を面方向に沿って内包させて形成されている。
従って、樹脂板を接着剤により変形爪に貼り付ける際に、折れてしまう等の失敗も起こりにくく、一般家庭でも簡単に貼り付けることができる。
また、樹脂板には、繊維体による強化体を、樹脂板の面方向に沿って内包させているので、樹脂板の強度が強化すると共に、復元力が向上して充分な弾性を付与することができる。
従って、樹脂板を湾曲させて貼り付けると繊維体の配置方向によって強化体が元の状態に復帰しようとするので、充分な復元力を確保することができると共に、樹脂板が折れてしまう等の失敗も少なくなる。
【0013】
前記強化体は、長さ方向に延びる前記繊維体を幅方向に並べて配置された、または長さ方向に対して傾斜する繊維体を傾斜方向に並べて配置されたものとすることができる。強化体を、繊維体を長さ方向に沿って配置したり、長さ方向に対して傾斜させて配置したりすることで、樹脂板を強化することができ、樹脂板を変形爪の湾曲面に沿って湾曲させて貼り付けた際に、充分な復元力を確保することができる。
また、前記強化体は、短片状の前記繊維体が前記樹脂板にランダムに配置されたものとすることができる。そうすることでも、樹脂板を強化することができ、樹脂板を変形爪の湾曲面に沿って湾曲させて貼り付けた際に、充分な復元力を確保することができる。
【0014】
前記樹脂板の接着面が、微小凹凸面に形成されたものとすることができる。接着面が微小凹凸面に形成されていると、爪との接触面積を増加させることができ、接着剤の溶液が塗布されると、微小な凹部に溶液が入り込み、塗布量を増加させることができるので、接着力の増加が期待できる。
【0015】
本発明の変形爪矯正セットは、本発明の変形爪矯正具と、前記巻き爪に前記変形爪矯正具を貼り付けるための接着剤とを備えたことを特徴としたものである。
本発明の変形爪矯正具と接着剤とをセットにした本発明の変形爪矯正セットを患者または患者の家族が購入すれば、一般家庭でもすぐに変形爪に対する矯正やケア、再発予防対策を開始することができ、本発明の変形爪矯正具の効果を得ることができる。
【0016】
更に、前記接着剤の硬化を促進させる硬化促進剤を備えたものとすることができる。硬化促進剤により接着剤の硬化を促進させることができるため、本発明の変形爪矯正具を変形爪に接着させるときに短時間で処置できるため、手慣れない患者や患者の家族でも、容易に、かつ手軽に処置することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、樹脂板を接着剤により変形爪に貼り付けるだけであるため、一般家庭でも簡単に貼り付けることができ、樹脂板を湾曲して貼り付けると繊維体の配置方向によって強化体が元の状態に復帰しようとするので、充分な復元力を確保することができ、折れ曲がり難くなる。よって、本発明は、一般家庭でも貼りやすく、復元力が確保できることで、手軽に、かつ容易に変形爪の矯正やケア、再発予防対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る変形爪矯正セットを示す図である。
図2図1に示す変形爪矯正具を説明するための図であり、(A)はおもて面から見た図、(B)は裏面から見た図、(C)は長手方向の一方の端部における端面を見た図である。
図3図1に示す変形爪矯正具の強化体を説明するための図であり、(A)は、強化体が長さ方向に沿って延びる繊維体により形成された図、(B)は強化体が幅方向に沿って延びる繊維体により形成された図、(C)は強化体が(A)および(B)を重ねた繊維体により形成された図、(D)は強化体が傾斜方向の沿って延びる繊維体により形成された図、(E)は強化体が(D)の傾斜方向とは反対となる傾斜方向に沿って延びる繊維体により形成された図、(F)は強化体が(D)および(E)を重ねた繊維体により形成された図、(G)は強化体が長さ方向に沿った短片状の繊維体により形成された図、(H)は強化体が幅方向に沿った短片状の繊維体により形成された図、(I)は強化体が(G)および(H)を重ねた繊維体により形成された図、(J)は、強化体が樹脂板にランダムに配置された短片状の繊維体により形成された図である。
図4図1に示す変形爪矯正セットの使用状態を説明するための図であり、(A)は変形爪矯正具を変形爪に貼り付けた状態の図、(B)は変形爪矯正具の弾性力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る変形爪矯正セットを図面に基づいて説明する。
図1に示す爪矯正セット10は、一般家庭にて巻き爪等の変形爪に対する矯正やケア、再発予防対策が行えるものである。
爪矯正セット10は、多数個が袋詰めされた変形爪矯正具20と、変形爪矯正具20を爪に貼り付ける接着剤30と、接着剤30による接着を促進させる硬化促進剤40と、変形爪矯正具20の貼り付け方が記載された取扱説明書50とを備えている。
【0020】
多数個の変形爪矯正具20は、取り出し容易な袋61に収納されている。
図2(A)から同図(C)に示す変形爪矯正具20は、細長板状の樹脂板21により形成されている。樹脂板21は、例えば、長さが約2cm~3cmに形成され、幅が約2mm~3mm程度に形成されたものとすることができる。
【0021】
図2(A)に示すように、この樹脂板21のおもて面21S1は鏡面に形成されている。また、図2(B)に示すように、接着面となる裏面21S2は微小な凹凸が形成された微小凹凸面22Rとなっている。図2(C)に示すように、この樹脂板21は、繊維体23による強化体22を面方向Fsに沿って内包させている。強化体22は、樹脂板21の上層21aと下層21bとの間に配置されている。
【0022】
ここで、強化体22について、図3(A)から同図(J)に基づいて説明する。
図3(A)に示す強化体22Aは、樹脂板21の長さ方向F1の両端部に延びる繊維体23Lが幅方向F2に並べて配置されたものである。このように繊維体23Lを配置した強化体22Aとすることで、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、増強させることができる。
【0023】
図3(B)に示す強化体22Bは、樹脂板21の幅方向F2の両端部に延びる繊維体23Wが長さ方向F1に並べて配置されたものである。このように繊維体23Wを配置した強化体22Bとしても、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、増強させることができる。
【0024】
図3(C)に示す強化体22Cは、図3(A)に示す繊維体23Lと、同図(B)に示す繊維体23Wを重ねて格子状に形成したものである。
このように繊維体23L,23Wを配置した強化体22Cとすることで、強化体22A,22Bより更に、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、より一層向上させることができる。
【0025】
図3(D)に示す強化体22Dは、長さ方向F1に対して傾斜する繊維体23K1が傾斜方向F3に沿って延びるように形成され、傾斜方向F3とは長さ方向F1に対して反対に傾斜した傾斜方向F4に沿って並べて配置されたものである。
このように繊維体23K1を配置した強化体22Dとしても、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、増強させることができる。
【0026】
図3(E)に示す強化体22Eは、繊維体23K2が、傾斜方向F4に沿って延びるように形成され、傾斜方向F3に沿って並べて配置されたものである。
このように繊維体23K2を配置した強化体22Eとしても、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、増強させることができる。
【0027】
図3(F)に示す強化体22Fは、図3(D)に示す繊維体23K1と、同図(E)に示す繊維体23K2を重ねて傾斜した格子状に形成したものである。
このように繊維体23K1,23K2を配置した強化体22Fとすることで、強化体22D,22Eより更に、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、より一層向上させることができる。
【0028】
図3(G)に示す強化体22Gは、樹脂板21の長さ方向F1に沿って延びる短片状の繊維体23S1が幅方向F2に並べて配置されたものである。このように繊維体23S1を配置した強化体22Gとしても、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を増強させることができる。
【0029】
図3(H)に示す強化体22Hは、樹脂板21の幅方向F2に沿って延びる短片状の繊維体23S2が長さ方向F1に並べて配置されたものである。このように繊維体23S2を配置した強化体22Hとしても、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を増強させることができる。
【0030】
図3(I)に示す強化体22Iは、図3(G)に示す繊維体23S1と、同図(H)に示す繊維体23S2を重ねて、部分的に隙間が空いた格子状に形成したものである。
このように繊維体23S1,23S2を配置した強化体22Iとすることで、強化体22G,22Hより更に、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を、より一層向上させることができる。
【0031】
図3(J)に示す強化体22Jは、短片状の繊維体23S3が樹脂板21にランダムに配置されたものである。このように繊維体23S3を配置した強化体22Jとしても、樹脂板21全体を強化することができ、長さ方向F1に沿って湾曲する樹脂板21を折れ曲がり難くすることができ、元の状態に戻ろうとする復元力を増強させることができる。
【0032】
なお、図3(A)から同図(J)に示す強化体22A~22Jは、それぞれ組み合わせることが可能である。強化体22A~22Jのそれぞれを組み合わせることで、樹脂板21を、更に強固なものとすることができ、樹脂板21を変形爪の湾曲面に沿って湾曲させて貼り付けた際に、充分な弾性力が得られるので、より一層高い復元力を確保することができる。
【0033】
図1に示す接着剤30は、短時間に変形爪矯正具20を爪に貼り付けるための瞬間接着剤である。接着剤30は、液剤が収納される容器本体31と、容器本体31の開口を塞ぐ蓋部32とを備えている。蓋部32は、蓋部32の下端から容器本体31の底部に向かって延びる棒部材33と、棒部材33の先端部に設けられた変形爪矯正具20の接着面に塗布するための刷毛34とによる、ブラシキャップである。
【0034】
硬化促進剤40は、接着剤30の液剤の硬化を促進させるものである。硬化促進剤40は、例えば、アセトン系やシクロペンタン系とすることができる。硬化促進剤40は、液剤が収納される容器本体41と、容器本体41の開口を塞ぐ蓋部42とを備えている。蓋部42は、頭頂部43を押し込むことで、ノズル口44から液剤が噴霧されるスプレーキャップである。
取扱説明書50は、変形爪矯正具20の貼り付け方などが、文章と絵などにより説明されたマニュアルである。
【0035】
これらの変形爪矯正具20と、接着剤30と、硬化促進剤40と、取扱説明書50とは、バッグを備えた状態で販売される。バッグは、例えば、ポーチとすることができる。
【0036】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る変形爪矯正セット10の機能および使用状態について、図面に基づいて説明する。
患者または患者の家族が、図1に示す取扱説明書50を読むことで、変形爪矯正セット10の使用方法について、事前に理解することができる。
【0037】
まず、図1に示す変形爪矯正具20を袋61から1つ取り出し、図2(B)に示す樹脂板21の裏面21S2に、図1に示す接着剤30の溶液を塗布する。この塗布は、接着剤30の蓋部32を容器本体31から引き抜き、刷毛34に付着した溶液を、樹脂板21の裏面21S2に塗り付けることで行われる。
そして、図4(A)に示すように、樹脂板21を変形爪の一例である巻き爪Nにおける幅方向F5の湾曲面に沿って湾曲させて貼り付ける。
【0038】
図2(B)に示す樹脂板21の裏面21S2は、微小凹凸面22Rに形成されているため、爪との接触面積を増加させることができ、図1に示す接着剤30の溶液を塗布すると、微小な凹部に溶液が入り込み、塗布量を増加させることができる。従って、図4(A)に示す変形爪矯正具20を強固に巻き爪Nに貼り付けることができる。また、図1に示す接着剤30が変形爪矯正セット10に準備されているため、変形爪矯正セット10を患者または患者の家族が購入すれば、一般家庭でもすぐに変形爪に対する矯正やケア、再発予防対策を開始することができ、変形爪矯正具20の効果を得ることができる。
【0039】
また、変形爪矯正セット10には、図1に示すように硬化促進剤40が準備されている。そのため、接着剤30の溶液により貼り付けられた樹脂板21(図4(A)参照)の周囲に、硬化促進剤40の溶液を噴霧する。この噴霧は、硬化促進剤40のキャップを外し、頭頂部43を押し込むことで、溶液が容器本体41から吸い上げられノズル口44から霧状になって吐出されることで行われる。
【0040】
そうすることで、硬化促進剤40により、樹脂板21の周囲の接着剤30の硬化を促進させることができる。
従って、変形爪矯正具20を巻き爪Nに接着させるときに短時間で施術できるため、手慣れない患者や患者の家族でも、容易に、かつ手軽に施術することができる。
【0041】
図4(B)に示すように、巻き爪Nに貼り付けた変形爪矯正具20は、繊維体23による強化体22を、樹脂板21の面方向Fsに沿って内包させているので、樹脂板21に充分な弾性を付与することができる。従って、樹脂板21を湾曲させて貼り付けると、強化体の配置方向によって強化体22が元の状態に復帰しようとするので、充分な復元力を確保することができる。
【0042】
よって、変形爪矯正具20は、一般家庭でも貼りやすく、復元力が確保できることで、手軽に、かつ容易に変形爪に対する矯正やケア、再発予防対策を行うことができる。
【0043】
なお、本実施の形態では、図2(C)に示すように、強化体22が、樹脂板21の上層21aと下層21bとの間に、1層配置されていたが、多層配置されていてもよい。その場合、繊維体同士を交差するように配置するのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の変形爪矯正具および変形爪矯正セットは、病院や専門の治療院、サロン、病院に好適であり、特に、巻き爪等の変形爪に対する矯正やケア、再発予防対策を望む一般家庭に最適である。
【符号の説明】
【0045】
10 爪矯正セット
20 変形爪矯正具
21 樹脂板
21a 上層
21b 下層
21S1 おもて面
21S2 裏面
22R 微小凹凸面
22,22A~22J 強化体
23,23L,23W,23K1,23K2,23S1,23S2,23S3 繊維体
30 接着剤
31 容器本体
32 蓋部
33 棒部材
34 刷毛
40 硬化促進剤
41 容器本体
42 蓋部
43 頭頂部
44 ノズル口
50 取扱説明書
61 袋
Fs 面方向
F1 長さ方向
F2 幅方向
F3,F4 傾斜方向
F5 幅方向
N 巻き爪
図1
図2
図3
図4