(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069823
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】デバイス搬送装置およびジャムからの復帰処理方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20220502BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178712
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】521189123
【氏名又は名称】株式会社NSテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【弁理士】
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】實方 崇仁
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AC03
2G003AD01
2G003AG11
(57)【要約】
【課題】ドライエアの消費が小さいデバイス搬送装置を提供する。
【解決手段】電子部品搬送装置2は第1窓部49a~第7窓部56a及びドライエア104の第1吹き出し口125~第6吹き出し口120を備え、ドライエア104の吹き出し量とドライエア104を噴出させる吹き出し口との組み合わせが異なる複数の復帰モードを記憶するメモリー43と、ジャムが発生した際に、開けられた窓部の数と開けた時間とに基づいて、窓部が閉じられた後に実行する復帰モードの1つを、メモリー43が有する複数の復帰モードの中から選択する制御部4と、を有し、制御部4は、さらに選択した前記復帰モードに規定された温度及び湿度の調整を行う。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカバー及びドライエアの噴射口を備えたデバイス搬送装置であって、
ドライエアの吹き出し量とドライエアを噴出させる前記噴射口との組み合わせが異なる複数の復帰モードを記憶する記憶部と、
ジャムが発生した際に、開けられた前記カバーの数と開けた時間とに基づいて、前記カバーが閉じられた後に実行する前記復帰モードの1つを、前記記憶部が有する複数の前記復帰モードの中から選択する制御部と、を有し、
前記制御部は、さらに選択した前記復帰モードに規定された温度及び湿度の調整を行うことを特徴とするデバイス搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイス搬送装置であって、
前記復帰モードは、開けられた前記カバーの数が少なく開けた時間が短いときに選択される最小モードと、
開けられた前記カバーの数が多く開けた時間が長いときに選択される急速復帰モードと、
前記最小モードと前記急速復帰モードとの中間のジャム復帰モードと、を有することを特徴とするデバイス搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイス搬送装置であって、
各モードによって、ドライエアの吹き出し量を変えることを特徴とするデバイス搬送装置。
【請求項4】
請求項2に記載のデバイス搬送装置であって、
各モードによって、ドライエアを吹き出させる前記噴射口を変えることを特徴とするデバイス搬送装置。
【請求項5】
請求項2に記載のデバイス搬送装置であって、
各モードによって、ドライエアを吹き出させる温度を変えることを特徴とするデバイス搬送装置。
【請求項6】
デバイス搬送装置が有する制御部が実行するジャムからの復帰処理方法であって、
検査対象となるデバイスのジャムが発生した場所に対応するカバーを特定し、
ジャムが発生した場所に対応する前記カバーのロックを解除し、
ユーザーによって開けられた前記カバーの数を認識すると共に、開けられた時間を計測し、
前記カバーの数と開けられた時間に基づいて、前記カバーを閉じた後に実行する複数の復帰モードの1つを選択し、
選択された前記復帰モードを自動で実行することを特徴とするジャムからの復帰処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載のジャムからの復帰処理方法であって、
前記復帰モードの1つを選択するステップでは、開けられた前記カバーの数と開けられた時間と前記カバーの場所に対応する重みづけとのパラメーターを含む演算を行い、演算結果に基づいて前記復帰モードの1つを選択することを特徴とするジャムからの復帰処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス搬送装置およびジャムからの復帰処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)や、半導体デバイス等の電子部品の電気特性検査において、良品、不良品の検査結果に応じて電子部品を分類して収納するデバイス搬送装置がある。
【0003】
ICの検査項目には氷点より低い温度で行われる検査がある。ICのハンドリング中に搬送装置の搬送ミスが生じることがある。搬送装置の搬送ミスをジャムという。ジャムが生じるとき、ユーザーは窓を開けてICを所定の位置に設置し直す。このとき、窓から湿度の高い空気が装置内に進入するので、装置内には霜が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置内に霜が生じたとユーザーが判断したとき、ユーザーは霜取りの指示ボタンを操作する。装置内にドライエアが供給され、霜取りが行われる。ユーザーは霜の状況を目視確認してICの検査作業を再開していた。ユーザーは霜を確実に除去するためドライエアを装置内に大量に供給する。この為、ドライエアの消費量が大きいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
デバイス搬送装置は、複数のカバー及びドライエアの噴射口を備えたデバイス搬送装置であって、ドライエアの吹き出し量とドライエアを噴出させる前記噴射口との組み合わせが異なる複数の復帰モードを記憶する記憶部と、ジャムが発生した際に、開けられた前記カバーの数と開けた時間とに基づいて、前記カバーが閉じられた後に実行する前記復帰モードの1つを、前記記憶部が有する複数の前記復帰モードの中から選択する制御部と、を有し、前記制御部は、さらに選択した前記復帰モードに規定された温度及び湿度の調整を行う。
【0006】
ジャムからの復帰処理方法は、デバイス搬送装置が有する制御部が実行するジャムからの復帰処理方法であって、検査対象となるデバイスのジャムが発生した場所に対応するカバーを特定し、ジャムが発生した場所に対応する前記カバーのロックを解除し、ユーザーによって開けられた前記カバーの数を認識すると共に、開けられた時間を計測し、前記カバーの数と開けられた時間に基づいて、前記カバーを閉じた後に実行する複数の復帰モードの1つを選択し、選択された前記復帰モードを自動で実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態にかかわる電子部品検査装置を正面側から見た概略斜視図。
【
図2】電子部品検査装置の動作状態を示す概略平面図。
【
図4】エアーカーテン装置及び開閉部の構成を示す模式側断面図。
【
図9】ジャムからの復帰処理方法のフローチャート。
【
図10】ジャム発生場所と開く窓部の候補との対応関係を説明するための図。
【
図11】復帰モードの選択方法を説明するための図。
【
図12】最小モード及びジャム復帰モードの流路を説明するための配管図。
【
図13】急速復帰モードの流路を説明するための配管図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1実施形態
図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸及びZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直方向となっている。また、X軸に平行な方向をX方向とする。Y軸に平行な方向をY方向とする。Z軸に平行な方向をZ方向とする。各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」とする。
【0009】
「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干傾いた状態も含む。「鉛直」とは、完全な鉛直に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、鉛直に対して若干傾いた状態も含む。若干傾いた状態の傾き角度は5°未満である。
【0010】
図1中の上側、すなわち、Z方向正側を「上」または「上方」、下側、すなわち、Z方向負側を「下」または「下方」と言うことがある。Y方向負側を「正面」、Y方向正側を「裏側」と言うことがある。
【0011】
デバイス搬送装置としての電子部品搬送装置2を備える電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるIC(Integrated Circuit)デバイス等の電子部品の電気特性を検査・試験する装置である。電気特性の検査を電特検査とする。
図1に示すように、電子部品検査装置1は内部に電子部品搬送装置2を備える。電子部品搬送装置2は電子部品を搬送する装置である。
【0012】
電子部品搬送装置2は外装3に覆われている。電子部品検査装置1はY方向負側且つX方向負側に制御部4を備える。制御部4は電子部品検査装置1の動作を制御する。制御部4の近くにはスピーカー5が配置される。電子部品検査装置1はY方向負側且つX方向正側にモニター6、操作パネル7及びマウス台8が配置される。モニター6の表示画面6aには各種の情報が表示される。モニター6は、例えば液晶画面で構成された表示画面6aを有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。トレイ除去領域12のX方向正側には、マウスを載置するマウス台8が設けられている。ユーザーはマウス台8上のマウス及び操作パネル7を操作して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定し、指示内容を入力する。操作パネル7は電子部品検査装置1に所望の動作を命令するインターフェイスである。
【0013】
電子部品検査装置1はY方向負側且つX方向負側にシグナルランプ9を備える。シグナルランプ9及びスピーカー5は電子部品検査装置1の動作状態等を報知する。シグナルランプ9は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の動作状態等を報知する。シグナルランプ9は電子部品検査装置1の上部に配置される。
【0014】
電子部品検査装置1はY方向負側にトレイ供給領域11及びトレイ除去領域12が設けられる。ユーザーは電子部品が配列されたトレイをトレイ供給領域11に供給する。電子部品検査装置1はトレイ供給領域11からトレイを取り込んで、電特検査を行う。電子部品検査装置1は電特検査が終了した電子部品が配列するトレイをトレイ除去領域12に排出する。
【0015】
電子部品検査装置1はX方向正側に冷凍機10を備える。冷凍機10は外装3の内部を冷却する冷媒を供給する。冷媒は冷えたドライエアである。ドライエアは乾燥した空気である。冷凍機10は外装3の近くに配置される。冷凍機10のY方向正側にはドライパージ20が配置される。ドライパージ20は冷凍機10から投入される低温のドライエアを加熱し、ドライエアを所定の温度にする。ドライパージ20のY方向正側にはドライヤー30が配置される。ドライヤー30はドライエアを生成する。
【0016】
図2に示すように、説明の便宜上、検査対象にデバイスとしてのICデバイス13を用いる場合について代表して説明する。ICデバイス13は平板状をなす。ICデバイス13の下面には半球状の複数の端子が配置されている。
【0017】
ICデバイス13としては、例えば、LSI(Large Scale Integration)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)、複数のモジュールがパッケージ化されたモジュールIC、水晶デバイス、圧力センサー、慣性センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、指紋センサー等が挙げられる。
【0018】
電子部品搬送装置2は、トレイ供給領域11と、デバイス供給領域14と、検査領域15と、デバイス回収領域16と、トレイ除去領域12とを備える。これらの各領域は壁で分けられている。ICデバイス13は、トレイ供給領域11からトレイ除去領域12まで前記各領域を第1矢印17方向に順に経由し、途中の検査領域15で検査が行われる。他にも、電子部品搬送装置2は、各領域を経由するようにICデバイス13を搬送する搬送部18と、検査領域15内で検査を行なうソケットエリア19と、産業用コンピューターで構成された制御部4とを備える。ソケットエリア19はICデバイス13と導通して検査するソケットが配置された領域である。
【0019】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域11及びトレイ除去領域12が配置された方が正面側である。検査領域15が配された方が背面側である。
【0020】
電子部品搬送装置2は、ICデバイス13の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。チェンジキットには、例えば、ソークプレート21と、シャトル22と、デバイス回収部23とがある。チェンジキットとは別に、ICデバイス13の種類ごとに交換されるものとしては、例えば、トレイ24と、回収用トレイ25と、ソケットエリア19とがある。トレイ24はICデバイス13が搭載される容器である。
【0021】
トレイ供給領域11は、未検査状態の複数のICデバイス13が配列されたトレイ24が供給される給材部である。トレイ供給領域11ではトレイ24が複数積み重ねて搭載される。各トレイ24には複数の凹部が行列状に配置されている。各凹部にはICデバイス13が1つずつ収納される。
【0022】
デバイス供給領域14では、トレイ供給領域11から搬送されたトレイ24上の複数のICデバイス13がそれぞれシャトル22まで搬送される。シャトル22によりデバイス供給領域14から検査領域15へICデバイス13が搬送される。トレイ供給領域11とデバイス供給領域14とをまたぐように、トレイ24を1枚ずつ水平方向に搬送する第1トレイ搬送機構26、第2トレイ搬送機構27が設けられている。第1トレイ搬送機構26は搬送部18の一部である。第1トレイ搬送機構26はICデバイス13を搭載したトレイ24をY方向正側、すなわち、
図2中の第2矢印28方向に移動する。これにより、ICデバイス13はデバイス供給領域14に送り込まれる。また、第2トレイ搬送機構27は空のトレイ24をY方向負側、すなわち、
図2中の第3矢印29方向に移動する。第2トレイ搬送機構27は空のトレイ24をデバイス供給領域14からトレイ供給領域11に移動する。
【0023】
デバイス供給領域14には、ソークプレート21、第1デバイス搬送ヘッド31、トレイ搬送機構32及びシャトル22が設けられている。ソークプレート21の英語表記は「soak plate」であり、中国語表記は「均温板」である。ソークプレート21はICデバイス13の温度調整をする。ソークプレート21はICデバイス13の温度を検査待機時に調整する。シャトル22はデバイス供給領域14と検査領域15とをまたぐように移動する。シャトル22はICデバイス13をソークプレート21からテストハンド36の可動範囲に搬送する。
【0024】
ソークプレート21には複数のICデバイス13が載置される。ソークプレート21は載置されたICデバイス13を一括して加熱または冷却する。ソークプレート21はICデバイス13を予め加熱または冷却して、電特検査に適した温度に調整する。本実施形態では、例えば、ソークプレート21はICデバイス13を-55度以下に冷却できる。
【0025】
本実施形態では、例えば、ソークプレート21は第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bを備える。第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bはY方向に並んで配置される。第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bは同じ構造になっている。第1トレイ搬送機構26によってトレイ供給領域11から搬入されたトレイ24上のICデバイス13は、いずれかのソークプレート21に搬送される。
【0026】
第1デバイス搬送ヘッド31はICデバイス13を保持する機構を備える。第1デバイス搬送ヘッド31はデバイス供給領域14内でX方向、Y方向及びZ方向にICデバイス13を移動する。第1デバイス搬送ヘッド31は搬送部18の一部である。第1デバイス搬送ヘッド31はトレイ供給領域11から搬入されたトレイ24とソークプレート21との間のICデバイス13の搬送を行う。第1デバイス搬送ヘッド31はソークプレート21とシャトル22との間のICデバイス13の搬送を行う。尚、
図2中では、第1デバイス搬送ヘッド31のX方向の移動を第4矢印33で示し、第1デバイス搬送ヘッド31のY方向の移動を第5矢印34で示す。
【0027】
シャトル22にはソークプレート21で温度調整されたICデバイス13が載置される。シャトル22はICデバイス13をソケットエリア19近傍まで搬送する。シャトル22は「供給用シャトルプレート」または「供給シャトル」ともいう。シャトル22も搬送部18の一部である。シャトル22は、ICデバイス13が収納、載置される凹部を有する。
【0028】
シャトル22はデバイス供給領域14と検査領域15との間をX方向、すなわち、第6矢印35方向に往復移動する。これにより、シャトル22は、ICデバイス13をデバイス供給領域14から検査領域15のソケットエリア19の近傍まで搬送する。検査領域15でICデバイス13がテストハンド36によって取り去られた後、シャトル22は再度デバイス供給領域14に戻る。
【0029】
シャトル22はY方向に2つ配置されている。Y方向正側のシャトル22が第1シャトル22aである。Y方向負側のシャトル22が第2シャトル22bである。そして、ソークプレート21上のICデバイス13は、第1デバイス搬送ヘッド31によりデバイス供給領域14内で第1シャトル22aまたは第2シャトル22bまで搬送される。シャトル22はシャトル22に載置されたICデバイス13を加熱または冷却可能である。ソークプレート21で温度調整されたICデバイス13は、温度調整状態を維持して検査領域15のソケットエリア19近傍まで搬送される。また、シャトル22及びソークプレート21はシャーシへ電気的に接地されている。
【0030】
第1シャトル22aと第2シャトル22bとの間には回転ステージ40が配置される。回転ステージ40はICデバイス13を回転して、ICデバイス13の向きを変える。
【0031】
トレイ搬送機構32は、すべてのICデバイス13が除去された状態の空のトレイ24をデバイス供給領域14内でX方向正側、すなわち、第7矢印32a方向に搬送する機構である。第7矢印32a方向への搬送後、空のトレイ24は、第2トレイ搬送機構27によってデバイス供給領域14からトレイ供給領域11に戻される。
【0032】
検査領域15は、ICデバイス13の電気特性を検査する領域である。検査領域15にはICデバイス13を検査するソケットエリア19と、テストハンド36とが設けられている。テストハンド36はICデバイス13をソケットに押圧する。
【0033】
テストハンド36は搬送部18の一部であり、保持したICデバイス13を加熱または冷却可能である。検査領域15内で温度調整状態を維持したまま、テストハンド36はICデバイス13を搬送する。
【0034】
テストハンド36は、検査領域15内でY方向及びZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。テストハンド36はICデバイス13を持ち上げてシャトル22からソケットエリア19上に搬送し、載置する。
【0035】
図2では、テストハンド36のY方向の往復移動が第8矢印36cで示される。テストハンド36は、検査領域15内で、ICデバイス13の第1シャトル22aからソケットエリア19への搬送と、ICデバイス13の第2シャトル22bからソケットエリア19への搬送とを担う。また、テストハンド36はY方向に往復移動可能に支持されている。
【0036】
テストハンド36は、Y方向に2つ配置される。Y方向正側のテストハンド36が第1テストハンド36aである。Y方向負側のテストハンド36が第2テストハンド36bである。第1テストハンド36aはICデバイス13を第1シャトル22aからソケットエリア19への搬送を担う。第2テストハンド36bはICデバイス13を第2シャトル22bからソケットエリア19への搬送を担う。第1テストハンド36aはICデバイス13のソケットエリア19から第1デバイス回収部23aへの搬送を担う。第2テストハンド36bはソケットエリア19から第2デバイス回収部23bへの搬送を担う。
【0037】
ソケットエリア19にはICデバイス13が載置され、ソケットエリア19はICデバイス13の電気特性を検査する。ソケットエリア19にはICデバイス13の端子と電気的に接続される複数のプローブピンが設けられている。そして、ICデバイス13の端子とプローブピンとが電気的に接続される。そして、ソケットエリア19はICデバイス13の検査を行なう。ICデバイス13の検査はソケットエリア19と電気的に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。ソケットエリア19でもICデバイス13を加熱または冷却して、ICデバイス13を検査に適した温度に調整できる。従って、電子部品搬送装置2はICデバイス13を加熱または冷却するソークプレート21及びソケットエリア19を備える。ICデバイス13を高温または低温で検査することができる。
【0038】
デバイス回収領域16は検査が終了した複数のICデバイス13が回収される領域である。デバイス回収領域16には、回収用トレイ25と、第2デバイス搬送ヘッド37と、第3トレイ搬送機構38とが設けられている。検査領域15とデバイス回収領域16とをまたぐように移動するデバイス回収部23も設けられている。デバイス回収領域16には空のトレイ24も用意されている。
【0039】
デバイス回収部23には検査が終了したICデバイス13が載置される。デバイス回収部23はICデバイス13をデバイス回収領域16まで搬送する。デバイス回収部23は「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」ともいう。デバイス回収部23も搬送部18の一部である。
【0040】
デバイス回収部23は、検査領域15とデバイス回収領域16との間をX方向、すなわち、第9矢印23c方向に沿って往復移動可能に支持されている。デバイス回収部23はY方向に2つ配置されている。Y方向正側のデバイス回収部23が第1デバイス回収部23aである。Y方向負側のデバイス回収部23が第2デバイス回収部23bである。ソケットエリア19上のICデバイス13は第1デバイス回収部23aまたは第2デバイス回収部23bに搬送され、載置される。テストハンド36はICデバイス13のソケットエリア19から第1デバイス回収部23aへの搬送と、ICデバイス13のソケットエリア19から第2デバイス回収部23bへの搬送とを担う。また、デバイス回収部23はシャーシへ電気的に接地されている。
【0041】
回収用トレイ25にはソケットエリア19で検査されたICデバイス13が載置される。ICデバイス13はデバイス回収領域16内で移動しないよう回収用トレイ25に固定されている。第2デバイス搬送ヘッド37等の各種可動部が比較的多く配置されたデバイス回収領域16であっても、回収用トレイ25上では検査済みのICデバイス13が安定して載置される。回収用トレイ25は、X方向に沿って3つ配置されている。
【0042】
空のトレイ24もX方向に沿って4つ配置されている。空のトレイ24に検査されたICデバイス13が載置される。デバイス回収部23上のICデバイス13は回収用トレイ25または空のトレイ24のうちのいずれかに搬送され、載置される。ICデバイス13は検査結果ごとに分類されて、回収される。
【0043】
第2デバイス搬送ヘッド37は、デバイス回収領域16内でX方向及びY方向に移動可能に支持される。第2デバイス搬送ヘッド37はZ方向にも移動可能な部分を有している。第2デバイス搬送ヘッド37は搬送部18の一部である。第2デバイス搬送ヘッド37はICデバイス13をデバイス回収部23から回収用トレイ25や空のトレイ24に搬送する。
図2中では、第2デバイス搬送ヘッド37のX方向の移動を第10矢印37aで示し、第2デバイス搬送ヘッド37のY方向の移動を第11矢印37bで示す。
【0044】
第3トレイ搬送機構38は、トレイ除去領域12から搬入された空のトレイ24をデバイス回収領域16内でX方向、すなわち、第12矢印38a方向に搬送する機構である。搬送後に空のトレイ24はICデバイス13が回収される位置に配置される。
【0045】
トレイ除去領域12では検査済み状態の複数のICデバイス13が配列されたトレイ24が回収され、除去される。トレイ除去領域12には多数のトレイ24が積み重ねられる。
【0046】
デバイス回収領域16とトレイ除去領域12とをまたぐようにトレイ24を1枚ずつY方向に搬送する第4トレイ搬送機構39及び第5トレイ搬送機構41が設けられている。第4トレイ搬送機構39は搬送部18の一部でありトレイ24をY方向、すなわち、第13矢印39a方向に往復移動する。第4トレイ搬送機構39は、検査済みのICデバイス13をデバイス回収領域16からトレイ除去領域12に搬送する。第5トレイ搬送機構41はICデバイス13を回収するための空のトレイ24をY方向正側、すなわち、第14矢印41a方向に移動する。第5トレイ搬送機構41は空のトレイ24をトレイ除去領域12からデバイス回収領域16に移動する。
【0047】
制御部4は第1トレイ搬送機構26と、第2トレイ搬送機構27と、ソークプレート21と、第1デバイス搬送ヘッド31と、シャトル22と、トレイ搬送機構32と、ソケットエリア19と、テストハンド36と、デバイス回収部23と、第2デバイス搬送ヘッド37と、第3トレイ搬送機構38と、第4トレイ搬送機構39と、第5トレイ搬送機構41の各部の動作を制御する。電子部品搬送装置2は制御部4と記憶部としてのメモリー43とを有している。制御部4はCPU42(Central Processing Unit)を備える。CPU42はメモリー43に記憶されている判断用プログラム、指示・命令用プログラム等の各種情報を読み込み、判断や命令を実行する。
【0048】
制御部4は、電子部品検査装置1や電子部品搬送装置2に内蔵されていてもよいし、外部のコンピューター等の外部機器に設けられていてもよい。外部機器は、例えば、電子部品検査装置1とケーブル等を介して通信される場合、無線通信される場合、電子部品検査装置1とネットワークを介して接続されている場合等がある。
【0049】
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域11とデバイス供給領域14との間が第1隔壁44によって区切られている。第1隔壁44にはシャッターが設けられる。トレイ24が移動するときシャッターが開く。通常はシャッターが閉じている。デバイス供給領域14と検査領域15との間が第2隔壁45によって区切られている。検査領域15とデバイス回収領域16との間が第3隔壁46によって区切られている。デバイス回収領域16とトレイ除去領域12との間が第4隔壁47によって区切られている。第4隔壁47にはシャッターが設けられる。トレイ24が移動するときシャッターが開く。通常はシャッターが閉じている。デバイス供給領域14とデバイス回収領域16との間も、第5隔壁48によって区切られている。
【0050】
第2隔壁45にはシャトル22が通過するための穴が形成されている。第3隔壁46にはデバイス回収部23が通過するための穴が形成されている。従って、デバイス供給領域14及びデバイス回収領域16は検査領域15に通じる。
【0051】
図3に示すように、デバイス供給領域14のX方向負側の側面には第1開閉部49及び第2開閉部51が配置される。第1開閉部49はカバーとしての第1窓部49aを有する。第2開閉部51はカバーとしての第2窓部51aを有する。第1窓部49a及び第2窓部51aはY方向正側とY方向負側とに移動して開閉される。
【0052】
デバイス供給領域14のY方向正側の側面には第3開閉部52が配置される。検査領域15のY方向正側の側面には第4開閉部53が配置される。デバイス回収領域16のY方向正側の側面には第5開閉部54が配置される。第3開閉部52はカバーとしての第3窓部52aを有する。第4開閉部53はカバーとしての第4窓部53aを有する。第5開閉部54はカバーとしての第5窓部54aを有する。第3窓部52a、第4窓部53a及び第5窓部54aはX方向正側とX方向負側とに移動して開閉される。
【0053】
デバイス回収領域16のX方向正側の側面には第6開閉部55及び第7開閉部56が配置される。第6開閉部55はカバーとしての第6窓部55aを有する。第7開閉部56はカバーとしての第7窓部56aを有する。第6窓部55a及び第7窓部56aはY方向正側とY方向負側とに移動して開閉される。このように、第1窓部49a~第7窓部56aは一軸に沿って移動する引き戸を備える。このように、電子部品搬送装置2は複数のカバーを備える。
【0054】
第1窓部49a~第7窓部56aの構造は引き戸の構造に限らず、観音開きの構造でも良い。
【0055】
第1窓部49aのX方向負側には第1開閉ロック57が配置される。第1開閉ロック57は開閉する第1窓部49aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。第2窓部51aのX方向正側には第2開閉ロック58が配置される。第2開閉ロック58は開閉する第2窓部51aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。
【0056】
第3窓部52aのY方向正側には第3開閉ロック59が配置される。第3開閉ロック59は開閉する第3窓部52aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。第4窓部53aのY方向負側には第4開閉ロック61が配置される。第4開閉ロック61は開閉する第4窓部53aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。第5窓部54aのY方向正側には第5開閉ロック62が配置される。第5開閉ロック62は開閉する第5窓部54aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。
【0057】
第6窓部55aのX方向負側には第6開閉ロック63が配置される。第6開閉ロック63は開閉する第6窓部55aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。第7窓部56aのX方向正側には第7開閉ロック64が配置される。第7開閉ロック64は開閉する第7窓部56aを閉じた状態にロックまたはロックを解除する。
【0058】
第1開閉部49の外側には第1エアーカーテン装置65が配置される。第2開閉部51の外側には第2エアーカーテン装置66が配置される。第3開閉部52の外側には第3エアーカーテン装置67が配置される。第4開閉部53の外側には第4エアーカーテン装置68が配置される。第5開閉部54の外側には第5エアーカーテン装置69が配置される。第6開閉部55の外側には第6エアーカーテン装置71が配置される。第7開閉部56の外側には第7エアーカーテン装置72が配置される。第1エアーカーテン装置65~第7エアーカーテン装置72は塵が除去された気体を噴出する。噴出する気体は特に限定されないが乾燥した気体が好ましい。本実施形態では、例えば、気体には乾燥した空気が使用される。
【0059】
第1窓部49aと第1エアーカーテン装置65との間には第1湿度センサー73が配置される。第1湿度センサー73は第1開閉部49の湿度を検出する。第2窓部51aと第2エアーカーテン装置66との間には第2湿度センサー74が配置される。第2湿度センサー74は第2開閉部51の湿度を検出する。第3窓部52aと第3エアーカーテン装置67との間には第3湿度センサー75が配置される。第3湿度センサー75は第3開閉部52の湿度を検出する。第4窓部53aと第4エアーカーテン装置68との間には第4湿度センサー76が配置される。第4湿度センサー76は第4開閉部53の湿度を検出する。
【0060】
第5窓部54aと第5エアーカーテン装置69との間には第5湿度センサー77が配置される。第5湿度センサー77は第5開閉部54の湿度を検出する。第6窓部55aと第6エアーカーテン装置71との間には第6湿度センサー78が配置される。第6湿度センサー78は第6開閉部55の湿度を検出する。第7窓部56aと第7エアーカーテン装置72との間には第7湿度センサー79が配置される。第7湿度センサー79は第7開閉部56の湿度を検出する。
【0061】
第1開閉ロック57のZ方向負側には第1開閉センサー81が配置される。第1開閉センサー81は第1開閉部49の開閉を検出する。第2開閉ロック58のZ方向負側には第2開閉センサー82が配置される。第2開閉センサー82は第2開閉部51の開閉を検出する。第3開閉ロック59のZ方向負側には第3開閉センサー83が配置される。第3開閉センサー83は第3開閉部52の開閉を検出する。第4開閉ロック61のZ方向負側には第4開閉センサー84が配置される。第4開閉センサー84は第4開閉部53の開閉を検出する。第5開閉ロック62のZ方向負側には第5開閉センサー85が配置される。第5開閉センサー85は第5開閉部54の開閉を検出する。第6開閉ロック63のZ方向負側には第6開閉センサー86が配置される。第6開閉センサー86は第6開閉部55の開閉を検出する。第7開閉ロック64のZ方向負側には第7開閉センサー87が配置される。第7開閉センサー87は第7開閉部56の開閉を検出する。
【0062】
第1開閉センサー81~第7開閉センサー87は近接センサーである。近接センサーの検出方式は特に限定されない。光学式、電磁式、静電容量式等を用いることができる。
【0063】
第2開閉部51と第3開閉部52との間には第1解除ボタン112~第7解除ボタン118がZ方向に並んで配置される。第1解除ボタン112~第7解除ボタン118はそれぞれ第1開閉ロック57~第7開閉ロック64のロックを解除する指示を受け付ける入力装置である。例えば、ユーザーが第1解除ボタン112を押すとき、第1開閉ロック57が第1開閉部49のロックを解除するので、第1開閉部49を開くことが可能になる。
【0064】
デバイス供給領域14、検査領域15、デバイス回収領域16はそれぞれ噴射口としての第3吹き出し口119及び噴射口としての第6吹き出し口120を備える。第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120はドライエアを吹き出すノズルである。デバイス供給領域14では第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120は第1ソークプレート21aのY方向負側及びX方向負側、第2ソークプレート21bのY方向正側及びX方向負側、第2シャトル22bのY方向負側、第1シャトル22aのY方向正側に配置される。検査領域15では第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120は第2デバイス回収部23bのY方向負側及びX方向正側、第1デバイス回収部23aのY方向正側及びX方向正側に配置される。デバイス回収領域16では第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120は第2シャトル22bのY方向負側及び第1シャトル22aのY方向正側に配置される。各場所において第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120は交互に並べて配置される。
【0065】
第1開閉部49~第7開閉部56の構造は略同じである。第4開閉部53の構造を説明し、第1開閉部49~第3開閉部52、第5開閉部54~第7開閉部56の構造の説明は省略する。
【0066】
図4に示すように、電子部品搬送装置2は基台88を備える。ソケットエリア19、シャトル22及びデバイス回収部23等は基台88上に配置される。基台88のZ方向正側には天井板89が配置される。天井板89は基台88と対向する。
【0067】
基台88には第1溝91及び第2溝92が配置される。第1溝91と第2溝92とは平行になっている。天井板89には第3溝93及び第4溝94が配置される。第3溝93と第4溝94とは平行になっている。第1溝91と第3溝93とは対向する。
【0068】
第4開閉部53の第4窓部53aは第1溝91と第3溝93との間に配置される。ユーザーが第4窓部53aをX方向正側またはX方向負側に移動するとき、第4窓部53aは第1溝91及び第3溝93に沿って摺動する。
【0069】
同様に、第2溝92と第4溝94とは対向する。第5窓部54aは第2溝92と第4溝94との間に配置される。ユーザーが第5窓部54aをX方向正側またはX方向負側に移動するとき、第5窓部54aは第2溝92及び第4溝94に沿って摺動する。このように、第4開閉部53の第4窓部53a及び第5開閉部54の第5窓部54aは引き戸を備える。
【0070】
第4開閉センサー84及び第5開閉センサー85は基台88上に配置される。第4開閉センサー84は第4開閉部53の内側に配置される。第5開閉センサー85は第5開閉部54の外側に配置される。
【0071】
第4開閉ロック61及び第5開閉ロック62は天井板89のZ方向負側の面に配置される。第4開閉ロック61は第4窓部53aの内側に配置される。第5開閉ロック62は第5窓部54aの外側に配置される。
【0072】
天井板89のZ方向負側の面にはイオナイザー95が配置される。イオナイザー95はイオン化された空気96を放出する。イオナイザー95は第4開閉部53の内側及び第4エアーカーテン装置68の外側に配置される。他にも、イオナイザー95はソークプレート21、シャトル22、デバイス回収部23、ソケットエリア19の付近に配置される。このように、検査領域15、デバイス供給領域14及びデバイス回収領域16において電子部品搬送装置2はイオナイザー95を備える。第4開閉部53、ソークプレート21、シャトル22、デバイス回収部23、ソケットエリア19は静電気が中和されるので、塵や埃が付着し難くなる。
【0073】
第4エアーカーテン装置68はノズル97を備える。ノズル97はカーテン電磁弁98と第1配管99により接続される。カーテン電磁弁98はエアーフィルター101と第2配管102により接続される。エアーフィルター101はドライパージ20と第3配管103により接続される。
【0074】
ドライパージ20は冷えたドライエア104を加熱して所定の温度に調整する。ドライパージ20から第3配管103を介してエアーフィルター101にドライエア104が供給される。エアーフィルター101は湿気を除去する中空糸膜のフィルター及び清浄化するHEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)を備える。
【0075】
ドライエア104は第2配管102を通ってカーテン電磁弁98に至る。カーテン電磁弁98は制御部4により開閉が制御される。カーテン電磁弁98が弁を開くとき、ドライエア104は第1配管99を通りノズル97から噴射される。ノズル97から噴射されるドライエア104はエアーカーテン100を形成する。第4エアーカーテン装置68と第4窓部53aとの間の空気はドライエア104によりZ方向負側に移動する。第4エアーカーテン装置68と第4窓部53aとの間の空気はドライエア104と置換される。
【0076】
窓部の外にエアーカーテン装置を設置することで、外気が窓部内の空間に影響を及ぼさない。エアーカーテン100により外部の湿度入り込みが防止される。供給ドライエア圧を0.3MPa以上とすることで、理想的なエアーカーテン状態を形成することができる。
【0077】
図5に示すように、デバイス供給領域14では基台88上に第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bが配置される。第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bはほぼ同じ構造である。主に第1ソークプレート21aについて説明し、第2ソークプレート21bの説明は一部を省略する。
【0078】
第1ソークプレート21aは内部に内部ヒーター122及び内部配管123を備える。内部ヒーター122にはシリコンラバーヒーター等が用いられる。Z方向における内部ヒーター122と内部配管123との位置関係は逆でも良く、特に限定されない。内部配管123には冷却されたドライエア104が流動される。
【0079】
第1ソークプレート21aを囲んで側面カバー124が設置される。側面カバー124はICデバイス13が配置される場所と対向する場所に開口124aを備える。第1デバイス搬送ヘッド31はソークプレート21から開口124aを通過して第1シャトル22a上にICデバイス13を移動する。
【0080】
第1ソークプレート21aと側面カバー124との間には噴射口としての第1吹き出し口125及び噴射口としての第4吹き出し口126が設置される。同様に、第2ソークプレート21bと側面カバー124との間には噴射口としての第2吹き出し口127及び噴射口としての第5吹き出し口128が設置される。
【0081】
ソークプレート21がICデバイス13を冷却するとき、内部配管123、第1吹き出し口125、第4吹き出し口126、第2吹き出し口127及び第5吹き出し口128に冷却されたドライエア104が供給される。内部配管123はソークプレート21を直接冷却する。第1吹き出し口125、第4吹き出し口126、第2吹き出し口127及び第5吹き出し口128はソークプレート21の周囲の空気を冷却し、除湿する。
【0082】
ソークプレート21がICデバイス13を加熱するとき、内部配管123、第1吹き出し口125、第4吹き出し口126、第2吹き出し口127及び第5吹き出し口128に加熱されたドライエア104が供給される。内部配管123はソークプレート21を直接加熱する。第1吹き出し口125、第4吹き出し口126、第2吹き出し口127及び第5吹き出し口128はソークプレート21の周囲の空気を加熱する。
【0083】
シャトル22、テストハンド36、ソケットエリア19も周囲に側面カバー124が配置される。側面カバー124の内側に第1吹き出し口125、第4吹き出し口126、第2吹き出し口127、第5吹き出し口128が配置される。
【0084】
図6に示すように、冷凍機10と第1分岐部129とを第5配管131が接続する。第1分岐部129には第6配管132、第7配管133及び第8配管134が接続される。第6配管132は第1電磁弁135を介して第1分岐部129とドライパージ20とを接続する。第7配管133は第2電磁弁136及び第1ソークプレート21aを介して第1分岐部129とドライパージ20とを接続する。第8配管134は第3電磁弁137及び第2ソークプレート21bを介して第1分岐部129とドライパージ20とを接続する。
【0085】
第3吹き出し口119は第9配管138によりドライパージ20と接続される。第9配管138は第3吹き出し口119とドライパージ20との間に第4電磁弁139を備える。第1吹き出し口125は第10配管141によりドライパージ20と接続される。第10配管141は第1吹き出し口125とドライパージ20との間に第5電磁弁142を備える。第2吹き出し口127は第11配管143によりドライパージ20と接続される。第11配管143は第2吹き出し口127とドライパージ20との間に第6電磁弁144を備える。
【0086】
ドライヤー30と第2分岐部145との間を第12配管146が接続する。第2分岐部145には第13配管147及び第14配管148が接続される。
【0087】
第4吹き出し口126は第13配管147により第2分岐部145と接続される。第13配管147は第4吹き出し口126と第2分岐部145との間に第7電磁弁151を備える。第5吹き出し口128は第14配管148により第2分岐部145と接続される。第14配管148は第5吹き出し口128と第2分岐部145との間に第8電磁弁152を備える。第6吹き出し口120は第15配管149によりドライヤー30と接続される。第15配管149は第6吹き出し口120とドライヤー30との間に第9電磁弁153を備える。このように、電子部品搬送装置2はドライエア104の噴射口を複数備える。
【0088】
図7に示すように、通常冷却モードでは、制御部4が第2電磁弁136及び第3電磁弁137を開く。制御部4が第1電磁弁135、第4電磁弁139、第5電磁弁142、第6電磁弁144、第7電磁弁151、第8電磁弁152、第9電磁弁153を閉じる。図中の“(O)”はバルブが開かれていることを示す。図中の“(C)”はバルブが閉じられていることを示す。図中の矢印はドライエア104が流れる方向を示す。
【0089】
冷凍機10から供給されたドライエア104の一部は第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bに入る。ドライエア104は、例えば、-100℃程度に冷えており第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bを冷却する。制御部4はソークプレート21が所定の温度を維持するように、第2電磁弁136及び第3電磁弁137の開閉を制御する。第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bからでたドライエア104はドライパージ20に入る。
【0090】
通常冷却モードにおいても、除湿及び冷却のために第4電磁弁139、第5電磁弁142及び第6電磁弁144が開かれて、第1吹き出し口125、第2吹き出し口127及び第3吹き出し口119からドライエア104が噴出されることがある。
【0091】
シャトル22、テストハンド36、ソケットエリア19においても、第1吹き出し口125~第5吹き出し口128、冷凍機10、ドライパージ20、ドライヤー30を接続する配管の構成はソークプレート21における構成と同じである。
【0092】
図8において、電子部品搬送装置2は電子部品搬送装置2の動作を制御する制御部4及び各種情報を記憶するメモリー43を備える。制御部4はプロセッサーとして各種の演算処理を行うCPU42(中央演算処理装置)を備える。バルブ駆動部154、カーテン駆動部155、開閉ロック駆動部156、温度センサー駆動部157、湿度センサー駆動部158、開閉センサー駆動部159は入出力インターフェイス161及びデータバス162を介してCPU42に接続される。他にも、冷凍機10、ドライヤー30、ドライパージ20、ヒーター駆動部163、入力装置164、表示装置165が入出力インターフェイス161及びデータバス162を介してCPU42に接続されている。
【0093】
バルブ駆動部154は第1電磁弁135~第9電磁弁153を駆動する。バルブ駆動部154はCPU42の指示信号を入力する。指示信号は弁を開らくか閉じるかの情報を含んでいる。そして、バルブ駆動部154は指示信号に対応する電磁弁の開閉の切り替えを行う。
【0094】
カーテン駆動部155はカーテン電磁弁98を駆動する。カーテン駆動部155はCPU42の指示信号を入力する。指示信号はカーテン電磁弁98を開らくか閉じるかの情報を含んでいる。そして、カーテン駆動部155は指示信号に対応するカーテン電磁弁98の開閉の切り替えを行う。
【0095】
開閉ロック駆動部156は第1開閉ロック57~第7開閉ロック64を駆動する。開閉ロック駆動部156はCPU42の指示信号を入力する。指示信号は各開閉ロックが対応する窓部を閉じた状態にロックするかロックを解除するかの情報を含んでいる。そして、開閉ロック駆動部156は指示信号に対応する開閉ロックのロック状態の切り替えを行う。
【0096】
温度センサー駆動部157はデバイス供給領域14及び検査領域15に設置された温度センサーを駆動する。他にも、温度センサー駆動部157はデバイス回収領域16に設置された温度センサーを駆動する。温度センサー駆動部157はCPU42の指示信号を入力する。指示信号は各温度センサーが検出する温度のデータを要求する情報を含んでいる。そして、温度センサー駆動部157は指示信号に対応する温度センサーを駆動して、温度センサーが検出する温度データをCPU42へ送信する。
【0097】
湿度センサー駆動部158は第1湿度センサー73~第7湿度センサー79を駆動する。他にも、デバイス供給領域14及び検査領域15に設置された湿度センサーを駆動する。他にも、デバイス回収領域16に設置された湿度センサーを駆動する。湿度センサー駆動部158はCPU42の指示信号を入力する。指示信号は各湿度センサーが検出する湿度のデータを要求する情報を含んでいる。そして、湿度センサー駆動部158は指示信号に対応する湿度センサーを駆動して、湿度センサーが検出する湿度データをCPU42へ送信する。
【0098】
開閉センサー駆動部159は第1開閉センサー81~第7開閉センサー87を駆動する。開閉センサー駆動部159はCPU42の指示信号を入力する。指示信号は各開閉センサーが検出する開閉部の開閉状態のデータを要求する情報を含んでいる。そして、開閉センサー駆動部159は指示信号に対応する開閉センサーを駆動して、開閉センサーが検出する窓部の開閉状態のデータをCPU42へ送信する。開閉センサー駆動部159は第1窓部49a~第7窓部56aの開閉状態のデータをCPU42へ送信する。
【0099】
ヒーター駆動部163はドライパージ20が備えるヒーター及び内部ヒーター122を駆動する。入力装置164は操作パネル7、第1解除ボタン112~第7解除ボタン118、キーボードやマウス等の装置である。表示装置165は測定結果や測定に係わる情報を表示する装置である。表示装置165はモニター6、シグナルランプ9を含む。表示装置165には液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、表面電界ディスプレイを用いることができる。
【0100】
入力装置164及び表示装置165は、ユーザーが電子部品検査装置1及び電子部品搬送装置2に動作開始と動作終了、測定条件等の各種の指示をするための装置である。入力装置164はジャムが生じたときに開閉する窓部の指示等をユーザーが入力するための装置である。電子部品搬送装置2の搬送ミスをジャムという。
【0101】
メモリー43は、RAM、ROM等といった半導体メモリーや、ハードディスクといった記憶装置を含む。メモリー43は電子部品検査装置1及び電子部品搬送装置2の動作の制御手順や測定手順が記述されたプログラム166を記憶する。他にも、メモリー43は各種の動作モードにおける第1電磁弁135~第9電磁弁153の開閉設定を示すバルブデータ167を記憶する。他にも、メモリー43は各種の復帰モードにかかわるモードデータ168を記憶する。モードデータ168にはドライエア104の吹き出し量とドライエア104を噴出させる第1吹き出し口125~第6吹き出し口120との組み合わせが異なる複数の復帰モードのデータが含まれる。
【0102】
他にも、メモリー43はICデバイス13の電気特性検査を行うときの温度を示す検査温度データ169を記憶する。他にも、CPU42が動作するためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種の記憶領域を備える。
【0103】
CPU42は、メモリー43内に記憶されたプログラム166に従って、電子部品搬送装置2を駆動させる。制御部4は入力装置164、表示装置165及びCPU42等を搭載したコンピューターとして機能する。プログラム166が動作するCPU42は具体的な機能実現部としてバルブ制御部171を有する。バルブ制御部171は第1電磁弁135~第9電磁弁153を制御して、各配管を流れるドライエア104の流れを制御する。復帰モードをするために設けられた複数のモード中の選択されたモードに応じてバルブ制御部171が弁の開閉の制御を行う。
【0104】
他にも、CPU42は時間計測部172を有する。時間計測部172は第1窓部49a~第7窓部56aが開いている時間を計測する。他にも、CPU42はモード選択部173を有する。制御部4のモード選択部173はジャムが発生した際に、開けられた窓部の数と開けた時間とに基づいて、窓部が閉じられた後に実行する復帰モードの1つを、メモリー43が有する複数の復帰モードの中から選択する。
【0105】
他にも、CPU42はモード制御部174を有する。入力装置164から入力された指示が復帰モードの指示であるとき、指示された復帰モードに従ってモード制御部174は指示されたモードの種類に応じたバルブを開閉する指示をバルブ制御部171に伝達する。制御部4のモード制御部174は、さらに選択した復帰モードに規定された温度及び湿度の調整を行う。
【0106】
この構成によれば、温度及び湿度の変化に応じてモード選択部173が復帰モードの1つを選択する。温度及び湿度の変化が大きいときにはバルブ制御部171がドライエア104の消費量を大きくする。温度及び湿度の変化が小さいときにはバルブ制御部171がドライエア104の消費量を小さくする。従って、常時ドライエア104の消費量が大きい復帰モードを行うときに比べて、ドライエア104の消費量を減らすことができる。
【0107】
復帰モードは、最小モード、急速復帰モード、ジャム復帰モードを有する。最小モードは開けられた窓部の数が少なく開けた時間が短いときに選択される。急速復帰モードは開けられた窓部の数が多く開けた時間が長いときに選択される。ジャム復帰モードは急速復帰モードと最小モードとの中間のモードである。
【0108】
この構成によれば、温度及び湿度の変化に応じて制御部4のモード選択部173は最小モード、ジャム復帰モード、急速復帰モードのいずれかを選択する。温度及び湿度の変化が大きいときにはドライエア104の消費量を大きくする。温度及び湿度の変化が小さいときにはドライエア104の消費量を小さくする。従って、常時ドライエア104の消費量が大きい急速復帰モードを行うときに比べて、ドライエア104の消費量を減らすことができる。
【0109】
他にも、CPU42はエアーカーテン制御部175を有する。エアーカーテン制御部175はカーテン駆動部155にカーテン電磁弁98を駆動させて、幾つかの第1エアーカーテン装置65~第7エアーカーテン装置72によるエアーカーテン100の形成を制御する。
【0110】
他にも、CPU42は開閉ロック制御部176を有する。開閉ロック制御部176は第1開閉ロック57~第7開閉ロック64を制御して、第1開閉部49~第7開閉部56のロック状態を制御する。
【0111】
他にも、CPU42は温度計測部177を有する。温度計測部177は温度センサー駆動部157に温度センサーを駆動させる。温度センサー駆動部157はデバイス供給領域14及び検査領域15等の温度を計測する。
【0112】
他にも、CPU42は湿度計測部178を有する。湿度計測部178は湿度センサー駆動部158に湿度センサーを駆動させる。湿度計測部178はエアーカーテン装置と窓部との間の湿度、デバイス供給領域14及び検査領域15等の湿度を計測する。
【0113】
他にも、CPU42はヒーター制御部179を有する。ヒーター制御部179はヒーター駆動部163にドライパージ20が備えるヒーター及び内部ヒーター122を駆動させる。ヒーター制御部179はドライパージ20及び内部ヒーター122による加熱を制御する。モード制御部174はモードの種類に応じた温度の指示をヒーター制御部179に伝達する。ヒーター制御部179はドライエア104を霜取り可能な温度に調整する。
【0114】
他にも、CPU42はジャム検出部180を有する。ジャム検出部180はジャム状態の発生を検出する。ジャム検出部180はジャム状態が発生した場所を特定する。ジャムが発生した場所に対応する窓部をジャム検出部180が特定する。
【0115】
他にも、CPU42は表示制御部181を有する。表示制御部181は表示装置165に表示させるメッセージを制御する。ジャムが生じたとき、ジャム状態になっているICデバイス13に対応する窓部の場所を含むメッセージが表示装置165に表示される。ジャム状態とはICデバイス13が正規の場所からずれている状態を示す。
【0116】
次に上述した電子部品搬送装置2のジャムからの復帰処理方法について説明する。
図9のフローチャートにおいて、ステップS1は稼働停止工程である。電子部品搬送装置2では不定期にジャムが発生する。例えば、第1デバイス搬送ヘッド31がICデバイス13を把持できないとき、ジャム検出部180は電子部品搬送装置2の稼働を停止する。ジャム検出部180はジャム状態が生じた場所を検出する。次にステップS2に移行する。
【0117】
ステップS2は対応窓表示工程である。この工程では、検査対象となるICデバイス13のジャムが発生した場所に対応する窓部をジャム検出部180が特定する。窓部の候補はジャム状態をユーザーが保守するときに開ける窓部の候補である。表示制御部181が窓部の候補の情報を表示装置165のモニター6に出力する。モニター6は開く窓部の候補を表示する。次にステップS3に移行する。
【0118】
ステップS3はジャム直し工程である。この工程では、窓部の候補を参照してユーザーが開く窓部を選択する。ユーザーは選択した窓部に対応する解除ボタンを押す。エアーカーテン制御部175は押された解除ボタンの信号を入力し、カーテン駆動部155にエアーカーテン100を形成する指示信号を出力する。カーテン駆動部155は指示された場所にエアーカーテン100を形成する。湿度センサーが窓部とエアーカーテン装置の間の湿度を検出する。窓部とエアーカーテン装置の間の湿度が所定の湿度より下がったとき、開閉ロック制御部176が開閉ロック駆動部156に所定の窓部のロックを解除する指示信号を出力する。開閉ロック駆動部156は指示された窓部のロックを解除する。このように、ジャムが発生した場所に対応する窓部のロックを制御部4が解除する。
【0119】
ユーザーはロック解除された窓部を開く。時間計測部172は窓部が開いている時間の計測を開始する。制御部4はユーザーによって開けられた窓部の数を認識すると共に、開けられた時間を計測する。ユーザーはICデバイス13を移動してジャム状態を解消する。ユーザーは保守が終了したら、開けた窓部を閉じる。開閉センサー駆動部159は窓部が閉じられていることを検出する。時間計測部172は窓部が開いている時間の計測を終了する。開閉ロック駆動部156は閉じられた窓部をロックする。エアーカーテン装置はエアーカーテン100の形成を停止する。
【0120】
尚、窓部の候補から外れてユーザーが窓部を開く場合には、着霜の懸念をアラートした上で、トータル使用可能なドライエア量の範囲内で、エアーカーテン100の起動総数に応じた供給圧力を算出し、低圧力の下、エアーカーテン100の気流を発生させる。次にステップS4に移行する。
【0121】
ステップS4は復帰モード選択工程である。この工程では、モード選択部173が復帰モードを選択する。モード選択部173は開けられた窓部の数、場所、時間で最小モード、急速復帰モード、ジャム復帰モードのいずれかを選択する。つまり、開けられた窓部の数と開けられた窓部の時間に基づいて、窓部を閉じた後に実行する複数の復帰モードの1つを制御部4のモード選択部173が選択する。次にステップS5に移行する。
【0122】
ステップS5は復帰モード実施工程である。この工程では、モード制御部174がバルブ制御部171及びヒーター制御部179に指示信号を出力する。モード制御部174は選択されたモードに対応してドライエア104を噴出する。制御部4は選択された復帰モードを自動で実行する。次にステップS6に移行する。
【0123】
ステップS6は稼働再開工程である。この工程では、電子部品搬送装置2が稼働を再開する。以上の工程でジャムからの復帰処理が完了する。
【0124】
この方法によれば、ジャムが発生した場所に対応する窓部が開けられる。窓部が開けられた時間の長さに応じて制御部4のモード選択部173は1つの復帰モードを選択する。窓部の開放時間が長いと装置内の温度及び湿度の変化が大きいので、着霜の懸念が高くなる。窓部が開けられた時間が長いときには窓部が開けられた場所でドライエア104を大量に消費する。窓部が開けられた時間が短いときにはドライエア104の消費を小量にする。従って、常時装置の全体でドライエア104の消費を大きい復帰モードを行うときに比べて、ドライエア104の使用量を減らすことができる。
【0125】
図10はステップS2の対応窓表示工程で開ける窓部の候補をジャム検出部180が選択するときに使用するデータの表を示す。表の左側の列にはジャムが発生した場所を示す。中央の列には開く窓部の候補が示される。右側の列には候補以外の選択例が示される。ジャム検出部180はこのデータを用いて開く窓部の候補を選択する。候補の窓部の個数は2つに限定している。このため、装置内に空気が浸入することを低減できる。
【0126】
図11はステップS4の復帰モード選択工程でモード選択部173が復帰モードを選択するときに参照するデータの表を示す。このデータはモードデータ168の一部である。第1窓部49aから第7窓部56aにはそれぞれ重み付けの係数が設定されている。例えば、第1窓部49a~第4窓部53aの重み付けの係数は1である。第5窓部54a~第7窓部56aの重み付けの係数は0.8~0.6である。第1窓部49a~第4窓部53aは第5窓部54a~第7窓部56aより湿度の影響が大きいので、重み付けの係数が高くなっている。
【0127】
例えば、ユーザーが第3窓部52a及び第4窓部53aを180秒開いたとき、評価時間の計算式は1×180+1×180=360秒である。評価時間の計算結果は360秒である。評価時間が300秒以上600秒未満のとき最小モードとする。評価時間が600秒以上1200秒未満のときジャム復帰モードとする。評価時間が1200秒以上のとき急速復帰モードとする。
【0128】
ジャム直し作業時、エアーカーテン100の作動時には、300秒以内であれば窓部内を低湿度状態に維持できる。その結果、ジャム直し作業終了後、窓部を閉じて電子部品搬送装置2がICデバイス13のハンドラー動作を再開しても着霜することは無い。一方、300秒以上の場合、窓部内を低湿度状態に維持することが困難となる。窓部内に外部の高湿度の空気の混入影響の可能性が出てくる。この場合、ICデバイス13のハンドラー動作を再開する前に霜取りをする復帰モードのアラートを制御部4が出し、復帰モードが行われる。復帰モードでは、窓部内にドライエア104を供給することで、高湿度エリアを除去し着霜を抑える。また、すでに着霜した部位に対して、ドライエア104が着霜を溶かし水分除去を行う。
【0129】
ドライエア104の使用量は特に限定されないが、最小モードで50リットル、ジャム復帰モードで100リットル、急速復帰モードで200リットルである。復帰モードを行う時間も特に限定されないが、最小モードで5分~10分、ジャム復帰モードで10分~15分、急速復帰モードで15分~20分である。いずれのモードでも復帰モード後の湿度が0.1%未満になる。
【0130】
復帰モードの選択は、モード選択部173が自動的に選択するか、ユーザーが選択するかを事前に設定する。ユーザーが選択するときには推奨する復帰モードをモニター6に表示して、ユーザーが操作パネル7にて選択する。
【0131】
モード選択部173が自動的に選択するように設定したとき、復帰モードの1つを選択するステップS4では、開けられた窓部の数と開けられた時間と窓部の場所に対応する重みづけとのパラメーターを含む演算を行い、演算結果に基づいて復帰モードの1つを制御部4のモード選択部173が選択する。
【0132】
この方法によれば、窓部の数と開けられた時間と窓部の場所に対応する重みづけとのパラメーターを含む演算を行うことによりモード選択部173が復帰モードの1つを選択する。従って、制御部4は温度及び湿度の変化に応じた復帰モードを選択できる。
【0133】
次に、ステップS5の復帰モード実施工程で各モードにおける実施内容をソークプレート21の例にて説明する。他の場所でも同様の復帰モードが実施されるので、説明を省略する。
【0134】
図12は最小モード及びジャム復帰モードにおけるソークプレート21におけるドライエア104の流れを示す。電磁弁の“(O)”は電磁弁が開いた状態を示す。電磁弁の“(C)”は電磁弁が閉じた状態を示す。第7電磁弁151、第8電磁弁152及び第9電磁弁153が閉じられている。他の電磁弁は開かれている。
【0135】
最小モード及びジャム復帰モードでは冷凍機10で供給されるドライエア104の一部が第1ソークプレート21a及び第2ソークプレート21bを通過してドライパージ20に入る。冷凍機10で供給されるドライエア104の一部が第6配管132を通って直接ドライパージ20に入る。ドライパージ20から第1吹き出し口125、第2吹き出し口127及び第3吹き出し口119にドライエア104が供給される。第1吹き出し口125、第2吹き出し口127及び第3吹き出し口119はドライエア104を噴射する。ドライエア104の噴射によりソークプレート21周辺の空気が置換されるので湿度が低下する。
【0136】
例えば、第1吹き出し口125及び第2吹き出し口127から噴出するドライエア104の温度は-10度から-20度であり、ドライエア104がソークプレート21を低温に維持する。第3吹き出し口119から噴出するドライエア104の温度は10度である。ドライパージ20はドライエア104の温度を調整可能であり、霜取り可能なドライエア104を供給する。
【0137】
ジャム復帰モードは最小モードより復帰モードにかける時間が長い。詳しくは、ジャム復帰モードは最小モードより1.5倍の時間をかけている。
【0138】
図13は急速復帰モードにおけるソークプレート21におけるドライエア104の流れを示す。すべての電磁弁が開かれている。急速復帰モードでは、第1吹き出し口125、第2吹き出し口127及び第3吹き出し口119がドライエア104を噴射する。さらに、ドライヤー30から第4吹き出し口126、第5吹き出し口128及び第6吹き出し口120へドライエア104が供給される。第4吹き出し口126、第5吹き出し口128及び第6吹き出し口120はドライエア104を噴射する。
【0139】
第4吹き出し口126及び第5吹き出し口128から噴出するドライエア104の温度は-10度から-20度であり、ドライエア104がソークプレート21を低温に維持する。第6吹き出し口120から噴出するドライエア104の温度は10度である。ドライヤー30からは特に限定されないが、最大200リットルのドライエア104が供給される。尚、冷凍機10の能力が高いときには、第4吹き出し口126及び第5吹き出し口128を設置しなくても良い。
【0140】
第1吹き出し口125~第6吹き出し口120がドライエア104を噴射する。従って、噴射されるドライエア104によりソークプレート21周辺の空気が置換されるので湿度がさらに速く低下する。
【0141】
制御部4のバルブ制御部171は各モードによって、ドライエア104の吹き出し量を変えても良い。この構成によれば、温度及び湿度の変化が小さいときにはドライエア104の消費を小さくする。従って、ドライエア104の消費が大きい急速復帰モードを常時行うときに比べて、ドライエア104の使用量を減らすことができる。
【0142】
制御部4のバルブ制御部171は各モードによって、ドライエア104を吹き出させる噴射口を変えても良い。この構成によれば、最小モード、ジャム復帰モード、急速復帰モードでドライエア104の噴射口が変わる。急速復帰モードではドライエア104が必要となる場所に集中してドライエア104が供給される。従って、電子部品搬送装置2は湿度の変化に伴う着霜、結露等の問題の発生を抑制できる。
【0143】
制御部4のヒーター制御部179は各モードによって、ドライエア104を吹き出させる温度を変えても良い。この構成によれば、最小モード、ジャム復帰モード、急速復帰モードでドライエア104の温度が変わる。急速復帰モードでは温度変化により問題が生ずるとき温度を元に戻す温度のドライエアが供給される。従って、電子部品搬送装置2は温度の変化に伴う問題の発生を抑制できる。
【0144】
第2実施形態
前記第1実施形態では電子部品搬送装置2の裏側に第1解除ボタン112~第7解除ボタン118が配置された。裏側の解除ボタンは1つでも良い。モニター6にて裏側の解除ボタンを押したときに開く窓部を設定する。センサーにて保守が必要なICデバイス13を検出して、裏側の解除ボタンを押したときには保守し易い場所の窓部を開いても良い。詳しくは、
図10の“ジャム発生時開く窓部の候補”の欄に示す窓部を開いても良い。解除ボタンが少なので操作性を良くすることができる。
【0145】
第3実施形態
前記第1実施形態では各領域に第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120が多数設置された。各領域に設置される第3吹き出し口119及び第6吹き出し口120の数は少数でも良い。各領域にドライエア104が供給されれば良い。
【0146】
第4実施形態
前記第1実施形態ではイオナイザー95は第4開閉部53の内側及び第4エアーカーテン装置68の外側に配置された。開閉部への帯電が問題にならないときには、イオナイザー95は開閉部の内側にのみ設置されても良い。イオナイザー95の設置個数を減らすことができる。
【0147】
第5実施形態
前記第1実施形態では内部配管123に供給されたドライエア104がソークプレート21を直接加熱した。ソークプレート21はヒーターを備えても良い。ソークプレート21をドライエア104だけが加熱しても良く、ヒーターだけが加熱しても良い。ソークプレート21をドライエア104とヒーターとの両方が加熱しても良い。電子部品搬送装置2は昇温時間に合わせてソークプレート21を加熱する方法を選択できる。
【符号の説明】
【0148】
2…デバイス搬送装置としての電子部品搬送装置、4…制御部、13…デバイスとしてのICデバイス、43…記憶部としてのメモリー、49a…カバーとしての第1窓部、51a…カバーとしての第2窓部、52a…カバーとしての第3窓部、53a…カバーとしての第4窓部、54a…カバーとしての第5窓部、55a…カバーとしての第6窓部、56a…カバーとしての第7窓部、104…ドライエア、119…噴射口としての第3吹き出し口、120…噴射口としての第6吹き出し口、125…噴射口としての第1吹き出し口、126…噴射口としての第4吹き出し口、127…噴射口としての第2吹き出し口、128…噴射口としての第5吹き出し口。