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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069837
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】給湯装置および給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/40 20220101AFI20220502BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
F24H1/00 H
H04M3/42 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178726
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 裕之
(72)【発明者】
【氏名】古川 隆史
(72)【発明者】
【氏名】津川 明彦
【テーマコード(参考)】
3L122
5K201
【Fターム(参考)】
3L122AA63
3L122AA64
3L122AA65
3L122BA24
3L122BA43
3L122FA02
3L122FA04
3L122FA05
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA27
3L122FA28
5K201BC12
5K201BC28
5K201BC29
5K201CA02
5K201CC02
5K201ED05
5K201ED08
5K201EF02
5K201EF10
(57)【要約】
【課題】 浴室内のユーザからの呼び出しに対して浴室外のユーザが応答することによって適切に通話を開始することができる給湯装置および給湯システムを提供する。
【解決手段】 給湯装置は、浴室に設けられた浴室リモコンと、制御部と、を備え、制御部は、予め登録された外部の通信端末と外部通信網を介して通信可能に接続され、浴室リモコンは、所定の呼出操作が可能に構成され、制御部は、呼出操作が行われた場合に、通信端末に対して呼出信号を送信し、呼出信号を受信した前記通信端末に対する通話要求操作に基づいて送信された通話要求信号を受信した場合に、所定の通話許可条件を満足しているか否かの判定を行い、通話許可条件を満足していると判定した場合に、浴室リモコンと通話要求信号を送信した通信端末との間で外部通信網を介した音声通話を可能とする通信接続を確立する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に設けられた浴室リモコンと、制御部と、を備えた給湯装置において、
前記制御部は、予め登録された外部の通信端末と外部通信網を介して通信可能に接続され、
前記浴室リモコンは、所定の呼出操作が可能に構成され、
前記制御部は、
前記呼出操作が行われた場合に、前記通信端末に対して呼出信号を送信し、
前記呼出信号を受信した前記通信端末に対する通話要求操作に基づいて送信された通話要求信号を受信した場合に、所定の通話許可条件を満足しているか否かの判定を行い、
前記通話許可条件を満足していると判定した場合に、前記浴室リモコンと前記通話要求信号を送信した前記通信端末との間で前記外部通信網を介した音声通話を可能とする通信接続を確立する、給湯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通話要求信号を受信した場合であって、前記浴室リモコンに対する所定の通話許可操作が行われた場合に、前記通話許可条件を満足していると判定する、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、呼出操作が行われてから所定の第1期間を経過するまでは、前記通話要求信号を受信した場合に、前記通話許可条件を満足していると判定し、前記第1期間経過後は、前記通話要求信号を受信した場合であって、前記浴室リモコンに対する所定の通話許可操作が行われた場合に、前記通話許可条件を満足していると判定する、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記給湯装置は、前記浴室外に設けられた浴室外リモコンを備え、
前記制御部は、前記呼出操作が行われた場合に、前記浴室外リモコンでの呼出報知を行うとともに前記通信端末に前記呼出信号を送信する、請求項1から3の何れかに記載の給湯装置。
【請求項5】
前記給湯装置は、前記浴室外に設けられた浴室外リモコンを備え、
前記制御部は、前記呼出操作が行われた場合に、前記浴室外リモコンでの呼出報知を行い、前記浴室外リモコンでの呼出報知を開始してから所定の第2期間経過後に、前記通信端末に前記呼出信号を送信する、請求項1から3の何れかに記載の給湯装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の給湯装置と、
前記制御部と前記外部通信網を介して通信接続される管理装置と、を備え、
前記管理装置は、前記通信端末と前記外部通信網を介して通信接続される、給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置および給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室へ給湯するための給湯システムおよび給湯装置は、浴室に設けられる浴室リモコンを備えている。この浴室リモコンには、浴槽への給湯操作の他に、浴室内のユーザ(入浴者等)が浴室外の他のユーザ(浴室外ユーザ)を呼び出すための呼出操作が実行可能に構成されているものがある。
【0003】
浴室リモコンに対して呼出操作が行われると、浴室リモコンから台所リモコン等の浴室外に設けられた浴室外リモコンに対して呼出信号が送信される。呼出信号を受信した浴室外リモコンは、呼出音または呼出ランプの点灯等により浴室外ユーザに浴室内のユーザからの呼び出しを報知する。
【0004】
しかし、このような従来の構成では、浴室外リモコンの近くに浴室外ユーザがいない場合には、浴室内のユーザからの呼び出しに気付き難いという問題がある。
【0005】
これに対して、下記特許文献1には、呼出信号に基づいて浴室外リモコン以外の警報装置にも呼び出しを報知する構成が開示されている。また、下記特許文献2には、複数の部屋に配置されたリモコンにも呼び出しを報知する構成が開示されている。
【0006】
また、最近、給湯装置の制御部とサーバ装置等の管理装置とを通信接続し、管理装置と外部通信網を介して接続された携帯電話等の外部の通信端末を用いて給湯装置を遠隔操作するシステムが開発されている。例えば、下記特許文献3においては、専用リモコン以外の通信端末を用いて給湯に関する操作(追いだき操作およびふろ自動操作)を行うことが可能となっている。このような構成を応用して、外部の通信端末に呼び出しを報知することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5524638号公報
【特許文献2】特許第4039764号公報
【特許文献3】特開2018-115787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、呼出信号に基づく呼び出しの報知を複数のリモコンまたは通信端末上で行うことにより、浴室内のユーザからの呼び出しを浴室外ユーザに気付き易くすることができる。
【0009】
ここで、外部の通信端末を所持するユーザは、屋内および屋外にかかわらず、浴室から離れた場所にいる場合が考えられる。そのため、呼び出しを受けたユーザは、浴室内のユーザと通話を行いたいと考えることが想定される。このために、呼び出しを受けた外部の通信端末と浴室リモコンとの間で通話が可能なように通信接続する態様が考えられる。しかし、浴室はプライベートな空間であるため、浴室内のユーザのプライベートを守りながら浴室外のユーザとの通話を開始するためには、さらなる改善の余地がある。
【0010】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、浴室内のユーザからの呼び出しに対して浴室外のユーザが応答することによって適切に通話を開始することができる給湯装置および給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る給湯装置は、浴室に設けられた浴室リモコンと、制御部と、を備えた給湯装置において、前記制御部は、予め登録された外部の通信端末と外部通信網を介して通信可能に接続され、前記浴室リモコンは、所定の呼出操作が可能に構成され、前記制御部は、前記呼出操作が行われた場合に、前記通信端末に対して呼出信号を送信し、前記呼出信号を受信した前記通信端末に対する通話要求操作に基づいて送信された通話要求信号を受信した場合に、所定の通話許可条件を満足しているか否かの判定を行い、前記通話許可条件を満足していると判定した場合に、前記浴室リモコンと前記通話要求信号を送信した前記通信端末との間で前記外部通信網を介した音声通話を可能とする通信接続を確立するように構成される。
【0012】
上記構成によれば、浴室リモコンにおいて呼出操作が行われた場合に、外部通信網を介して通信端末に呼出信号が送信され、通信端末において浴室内のユーザからの呼び出しを通知することができる。浴室内のユーザからの呼び出しを受けて、通信端末を所持するユーザが通信端末に対して通話要求操作を行った場合、制御部に通話要求信号が送信される。通話要求信号を受信した制御部は、所定の通話許可条件を満足しているか否かの判定を行い、通話許可条件を満足していると判定した場合に、浴室リモコンと通話要求信号を送信した通信端末との間で音声通話可能となる。このように、浴室リモコンからの呼び出しであっても外部の通信端末と通話を開始する前には給湯装置側で条件判定を行うことにより、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話を、浴室内のユーザのプライベートに配慮して適切に開始することができる。
【0013】
前記制御部は、前記通話要求信号を受信した場合であって、前記浴室リモコンに対する所定の通話許可操作が行われた場合に、前記通話許可条件を満足していると判定してもよい。
【0014】
これによれば、浴室内のユーザが通話許可操作をすることにより、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話が可能となる。したがって、浴室内のユーザの通話の意思を契機として両者の通話を開始することができるため、浴室内のユーザのプライベートを適切に保護することができる。
【0015】
前記制御部は、呼出操作が行われてから所定の第1期間を経過するまでは、前記通話要求信号を受信した場合に、前記通話許可条件を満足していると判定し、前記第1期間経過後は、前記通話要求信号を受信した場合であって、前記浴室リモコンに対する所定の通話許可操作が行われた場合に、前記通話許可条件を満足していると判定してもよい。
【0016】
これによれば、浴室内のユーザが呼出操作を行ってから第1期間を経過した後は、浴室内のユーザが通話許可操作をすることにより、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話が可能となる一方、第1期間を経過するまでは、通話許可操作を要することなく両者の通話が可能となる。したがって、浴室内のユーザが呼出操作を行ってから第1期間が経過するまでは呼出操作自体を浴室内のユーザの通話の意思とし、第1期間経過後は別途浴室内のユーザの通話の意思を要することにより、浴室内のユーザの通話の意思を契機とした両者の通話を開始しつつ、浴室内のユーザにかかる手間が増大することを防止することができる。
【0017】
前記給湯装置は、前記浴室外に設けられた浴室外リモコンを備え、前記制御部は、前記呼出操作が行われた場合に、前記浴室外リモコンでの呼出報知を行うとともに前記通信端末に前記呼出信号を送信してもよい。
【0018】
これによれば、浴室リモコンにおいて呼出操作が行われた場合に、通信端末だけでなく浴室外リモコンでも呼び出しが報知される。これにより、より多くの場所で浴室からの呼び出しが報知されるため、浴室からの呼び出しに対する応答可能性が高くなり、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0019】
前記給湯装置は、前記浴室外に設けられた浴室外リモコンを備え、前記制御部は、前記呼出操作が行われた場合に、前記浴室外リモコンでの呼出報知を行い、前記浴室外リモコンでの呼出報知を開始してから所定の第2期間経過後に、前記通信端末に前記呼出信号を送信してもよい。
【0020】
これによれば、浴室リモコンにおいて呼出操作が行われた場合に、まず浴室外リモコンで呼出報知が行われ、その後通信端末に送信される。これにより、浴室外リモコンの近くに人がいない状態または浴室外リモコンの近くの人が応答できない状態が予想される場合に外部の通信端末に呼出信号が送信されるため、外部の通信端末への不必要な通知を減らすことができる。
【0021】
本発明の他の態様に係る給湯システムは、上記構成の給湯装置と、前記制御部と前記外部通信網を介して通信接続される管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記通信端末と前記外部通信網を介して通信接続されるように構成される。
【0022】
上記構成によれば、管理装置が制御部および浴室リモコンと通信端末との間の通信を中継するため、通信端末が屋外等の浴室から離れた場所に位置する場合でも、制御部と通信端末との間の信号送受信および浴室内のユーザと浴室外のユーザとの通話を、管理装置を介して容易に確立することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上に説明した構成を有し、浴室内のユーザからの呼び出しに対して浴室外のユーザが応答することによって適切に通話を開始することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る給湯システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態における浴室リモコンからの通話処理の流れを例示するフローチャートである。
図3図3は、図1のシステムにおける呼び出し時の各構成の状態を示す模式図である。
図4図4は、図3の状態において一の通信端末に対して通話要求操作が行われたときの各構成の状態を示す模式図である。
図5図5は、図4の状態において浴室リモコンと一の通信端末との間で音声通話が可能となったときの各構成の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
【0026】
(一実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る給湯システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態における給湯システム1は、給湯装置10と、管理装置64と、を備えている。
【0027】
給湯装置10は、所定の給湯箇所に給湯する給湯装置本体2と、給湯装置本体2に接続され、給湯装置本体2の制御を行う主制御部4を含む制御装置8と、浴室に設けられる浴室リモコン3aと、浴室外に設けられる浴室外リモコン3bと、を備えている。制御装置8は、通常、給湯装置本体2の筐体内に設けられる。給湯装置本体2は、例えば、風呂または台所等における給湯機能、風呂の追い焚き機能等を備えている。
【0028】
浴室リモコン3aおよび浴室外リモコン3bは、室内の壁面等に設置される壁面設置型のリモコン機器(専用リモコン)である。主制御部4および各リモコン3a,3bは、通信線5により互いに通信可能に接続されている。主制御部4は、通信部6を介して各リモコン3a,3bと通信する。各リモコン3a,3bは、主制御部4に対する操作信号を出力可能に構成される。リモコン3a,3b同士も、通信線5を介して互いに通信可能に構成される。
【0029】
通信線5は、例えば電源線上に通信情報を重畳させることが可能な2芯通信線が用いられる。給湯装置本体2(主制御部4)と各リモコン3a,3bとの間で相互通信される情報は、給湯に関する指令データ(給湯装置本体2の運転モードのオン/オフ切り替え、給湯設定温度変更等)、給湯結果の報知データ(風呂設定温度到達の報知、異常報知等)、浴室リモコン3aからの呼出信号、後述する音声通話データ等が含まれる。
【0030】
主制御部4は、CPU、ROM、およびRAM等で構成されたマイクロコントローラや集積回路を備えている。主制御部4と、給湯装置本体2を構成する送風機、風呂ポンプをはじめとする各電装品等との間には、各電装品等を制御する信号経路(図示せず)が設けられている。制御装置8は、主制御部4に接続される記憶部7を備えている。記憶部7は、例えば、フラッシュメモリのような不揮発性メモリ等により構成される。主制御部4は、ROMに記憶された制御プログラムに従って給湯装置本体2の各種制御を実行する。制御プログラムには、各電装品の運転に関する各種プログラムが含まれており、これらのプログラムに基づいて各電装品の制御が行われる。
【0031】
浴室リモコン3aは、浴室内に設置される。浴室外リモコン3bは、例えば台所の近傍に設置される台所リモコンとして構成される。
【0032】
各リモコン3a,3bは、主制御部4に対する操作信号を出力可能に構成されている。このために、各リモコン3a,3bは、ユーザによる入力操作を行うための入力操作部34a,34bと、給湯装置本体2からの情報を報知する報知部31a,31bと、給湯装置本体2(主制御部4)との通信を行うための通信部32と、記憶部33と、リモコン制御部38a,38bと、を備えている。報知部31a,31bは、図示しないが、例えば、給湯および/または風呂湯水についての現在の設定温度、動作確認表示、現在時刻等が表示されるディスプレイ(表示部)と設定温度到達音、警告音、所定のアナウンス等を出力するスピーカ(音声出力部)とを含む。
【0033】
入力操作部34a,34bは、複数の操作ボタンを備えている。リモコン制御部38a,38bは、マイクロコントローラ等により構成され、複数の操作ボタンの何れかが押下操作された場合に、当該押下操作された操作ボタンに応じた操作信号を生成する。生成された操作信号は、通信部32,6を介して主制御部4に送られ、主制御部4は、受信した操作信号に基づいて給湯装置本体2の制御を行う。
【0034】
また、浴室リモコン3aは、浴室外リモコン3bとの間で音声通話が可能に構成されている。本実施の形態において、浴室リモコン3aの入力操作部34aは、通話ボタン41を備えている。また、浴室外リモコン3bの入力操作部34bは、通話ボタン42を備えている。
【0035】
上記ボタン41,42の他、例えば、浴室外リモコン3bの入力操作部34bには、図示しないが、温度上昇ボタン、温度低下ボタン、オンオフボタン、追いだきボタンおよびふろ自動ボタンが含まれる。また、浴室リモコン3aの入力操作部34aには、図示しないが、浴室外リモコンの上記各ボタンに加えて、優先ボタンが含まれる。
【0036】
主制御部4および各リモコン3a,3bのリモコン制御部38a,38bにより構成される給湯装置10の制御部は、インターネット等の外部通信網63を介して管理装置64と通信接続される。管理装置64は、外部通信網63を介してリモコン3a,3bとは別の外部の通信端末(図1の例では2つの通信端末61A,61B)と通信接続されるサーバ装置として構成される。制御部は、無線LANルータ等のルータ62と中継装置を介して通信接続される。本実施の形態において、浴室外リモコン3bは、当該中継装置として機能する。このため、浴室外リモコン3bは、ルータ62と通信接続される外部通信部39を備えている。ルータ62は外部通信網63を介して管理装置64と通信を行う。
【0037】
通信端末61A,61Bは、例えばスマートフォン等の携帯端末であり、3G(第3世代)ないし5G(第5世代)携帯電話網の基地局等を介して外部通信網63に接続可能である。また、通信端末61A,61Bは、無線LAN接続が可能である。すなわち、ルータ62が無線LANルータとして構成される場合であって、通信端末61A,61Bがルータ62と無線LAN接続可能な場所に位置している場合(例えば通信端末61A,61Bを所持しているユーザが屋内にいる場合)には、通信端末61A,61Bは、ルータ62および外部通信網63を介して管理装置64と通信を行う。また、通信端末61A,61Bがルータ62と無線LAN接続可能な場所に位置していない場合、または、ルータ62が無線LANルータとして構成されていない場合には、通信端末61A,61Bは、外部通信網63を介して管理装置64と通信を行う。
【0038】
中継装置として機能する浴室外リモコン3bは、制御部との間の通信処理を実行するとともに、ルータ62および外部通信網63を介して行う管理装置64との間の通信処理を実行する。浴室外リモコン3bは、例えば、主制御部4から送信されてきた機器情報を、通信形式を変換してルータ62および外部通信網63を介して管理装置64へ送信する。また、浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、管理装置64から外部通信網63およびルータ62を介して送信されてきた情報を取得し、必要であれば、通信形式を変換して主制御部4または浴室リモコン3aのリモコン制御部38aへ送信する。
【0039】
通信端末61A,61Bは、管理装置64によって給湯装置10(浴室外リモコン3b)ごとに予め登録される。管理装置64は、関連付け情報を記憶する記憶部64aを備えている。関連付け情報は、浴室外リモコン3bのシリアル番号(中継装置の識別情報)に、通信端末61A,61Bから送信されたユーザアカウント(使用者識別情報)が関連付けされてなる情報である。ユーザアカウントの情報は、アプリのログインID、ユーザ名、または通信端末61A,61Bの識別ID等の情報を含み得る。管理装置64は、一の給湯装置10に対して複数(例えば最大8アカウント)の通信端末61A,61Bを登録し得る。
【0040】
また、管理装置64の記憶部64aには、浴室外リモコン3bから送信された機器情報が記憶される。ここで、機器情報としては、主制御部4から電源投入後に最初に浴室外リモコン3bへ送信される機器構成情報、主制御部4から定期的(例えば1時間間隔)に浴室外リモコン3bへ送信される給湯装置本体2の運転状態を示す運転状態情報、エラー情報等がある。ここで、機器構成情報は、給湯装置本体2の種類等を示す情報であり、運転状態情報は、給湯装置本体2の給湯設定温度、燃焼運転回数、燃焼運転時間等を含む情報である。エラー情報は、給湯装置本体2に何らかの異常が発生したときに、その異常を示す情報であり、各リモコン3a,3bにも表示される情報である。
【0041】
また、管理装置64の記憶部64aには、ユーザの浴室への入室状況を示す入室情報が記憶されてもよい。例えば、浴室リモコン3a等に人感センサが設けられている場合、入室情報にはユーザが浴室内にいるかどうかの情報および/またはユーザが浴室に入ってからの経過時間が含まれ得る。また、給湯装置10が浴槽の水位を検出する水位センサを備えている場合、水位の単位時間あたりの増減量によりユーザが浴槽に入っているかどうかを検出してもよい。この場合、入室情報にはユーザが浴槽に入っているかどうかの情報および/またはユーザが浴槽に入ってからの経過時間が含まれ得る。
【0042】
また、給湯装置10は、浴室リモコン3aにおいて風呂温度、給湯(シャワー)温度、水位等の風呂設定の組み合わせ(個人設定)を複数の操作ボタンのうちの1つに割り当てて登録できる機能を有していてもよい。これにより、複数の操作ボタンに複数のユーザのそれぞれの個人設定が登録され得る。この場合、入室情報には、何れの個人設定が有効になっているか(何れの操作ボタンが押下操作されたか)についての情報が含まれ得る。これにより、例えば1番の操作ボタンが有効になっていればユーザAが入浴していることが類推され、2番の操作ボタンが有効になっていればユーザBが入浴していることが類推される。
【0043】
これらの機器情報および/または入室情報は、浴室外リモコン3bから浴室外リモコン3bのシリアル番号とともに管理装置64へ送信される。そして管理装置64では、受信した機器情報および/または入室情報を、浴室外リモコン3bのシリアル番号と関連付けて記憶部64aに記憶している。
【0044】
通信端末61A,61Bには、給湯装置専用のアプリケーションプログラムがインストールされており、管理装置64の記憶部64aに関連付け情報が記憶されていれば、浴室外リモコン3bのシリアル番号と関連付けられているユーザアカウントを用いて、管理装置64等を介して給湯装置本体2の遠隔操作および状態確認を行うことができる。すなわち、管理装置64は、記憶部64aに記憶された関連付け情報において関連付けられた通信端末61A,61Bと浴室外リモコン3b(中継装置)との間の管理装置64を介した通信を許可する。これにより、管理装置64は、制御部および浴室リモコン3aと通信端末61,61Bとの間の通信を中継可能となる。
【0045】
一の浴室外リモコン3bのシリアル番号には、複数の通信端末61A,61Bが関連付けされ得る。したがって、複数の通信端末61A,61Bと一の浴室外リモコン3b(中継装置)との間の管理装置64を介した通信が可能である。
【0046】
通信端末61A,61Bは、タッチ操作による操作入力が可能なタッチパネルを有する表示部70を有している。表示部70に表示される給湯操作画面には、当該通信端末61A,61Bを用いて操作する(操作信号を伝送する)給湯装置10を特定する情報(例えば給湯装置10の機種名、機種番号等)および当該給湯装置10に対応する複数の動作項目が表示される。複数の動作項目のそれぞれは、タッチ操作が可能な仮想操作ボタンとして構成される。複数の仮想操作ボタンが通信端末61A,61Bにおける給湯装置10に対する入力操作部を構成する。
【0047】
複数の仮想操作ボタンは、浴室外リモコン3bの入力操作部34bに対応した各種仮想操作ボタンを含んでいる。したがって、通信端末61A,61Bは、表示部70に、通話ボタン71、オンオフボタン、追いだきボタン、ふろ自動ボタン等の仮想操作ボタンを表示可能である。
【0048】
例えば、通信端末61A,61Bの表示部70に表示される追いだきボタンをタッチ操作すると、通信端末61A,61Bから管理装置64を介して対応する給湯装置10の主制御部4に追いだき操作開始信号を送信する。また、ふろ自動ボタンをタッチ操作すると、通信端末61A,61Bから管理装置64を介して対応する給湯装置10の主制御部4にふろ自動操作開始信号を送信する。
【0049】
また、通信端末61A,61Bは、表示部70に仮想操作ボタンとして予約ボタンを表示し得る。予約ボタンは、湯張り、湯沸しを設定時刻において完了する予約操作を実行するためのボタンである。予約ボタンをタッチ操作すると、設定時刻設定画面(図示せず)が表示され、設定時刻を入力することにより、通信端末61A,61Bから管理装置64を介して対応する給湯装置10の主制御部4または浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bに予約信号を入力された設定時刻とともに送信する。
【0050】
このように、主制御部4は、通信端末61A,61Bからの操作に基づいて給湯装置本体2に対して給湯温度の変更操作以外の給湯操作を実行する。このようにして、通信端末61A,61Bは、給湯装置10の操作を行うことができる汎用(またはサブ)リモコンとして機能する。
【0051】
本実施の形態における給湯システム1は、浴室リモコン3aと浴室外リモコン3bまたは通信端末61A,61Bとの間で音声通話が可能に構成されている。以下では、浴室リモコン3aからの通話処理について説明する。なお、本実施の形態における通話処理においては、外部通信部39を備えた浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bが通話処理の主体として動作する。
【0052】
図2は、本実施の形態における浴室リモコンからの通話処理の流れを例示するフローチャートである。また、図3から図5は、図1のシステムにおいて浴室リモコンからの通話処理における所定のタイミングでの各構成の状態を示す模式図である。なお、図2においては浴室リモコン3aと通信端末61A,61Bとの間で通話するための処理の流れを示す。
【0053】
浴室リモコン3aは、浴室外リモコン3bまたは通信端末61A,61Bと音声通話を行うための所定の呼出操作が可能に構成されている。本実施の形態において、呼出操作は、浴室リモコン3aの通話ボタン41を押下操作することに設定されている。制御部(浴室外リモコン3bのリモコン制御部38b)は、浴室リモコン3aの通話ボタン41が押下操作されるか否かを監視する(ステップS1)。
【0054】
浴室リモコン3aのリモコン制御部38aは、通話ボタン41の押下操作を検出した場合に、浴室外リモコン3bに通話ボタン操作検出信号を送信する。浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、通話ボタン操作検出信号を受信することにより、浴室リモコン3aの通話ボタン41が押下されたことを検出する。
【0055】
通話ボタン41の押下操作を検出した場合(ステップS1でYes)、リモコン制御部38bは、呼出操作に基づく呼出信号を生成し、各通信端末61A,61Bに呼出信号を送信する(ステップS2)。
【0056】
通信端末61A,61Bに呼出信号を送信する場合、呼出信号は、浴室外リモコン3bの外部通信部39からルータ62および外部通信網63を介して管理装置64に送信される。呼出信号を受信した管理装置64は、対応する通信端末61A,61Bに呼出信号を送信する。管理装置64は、受信した呼出信号を、外部通信網63(および場合によってはルータ62)を介して対応する通信端末61A,61Bに送信する。
【0057】
図3は、図1のシステムにおける呼び出し時の各構成の状態を示す模式図である。図3に示すように、通信端末61A,61Bは、呼出信号を受信した場合、表示部70に浴室からの呼び出しがある旨の報知(表示および/または音声出力)を行う。アプリが起動していない場合にはアプリを自動的に起動してもよい。図3の例では、表示部70に呼出状態を表示する呼出状態表示画面72を表示する。さらに、通信端末61A,61Bは、表示部70に仮想の通話ボタン71を表示する(タッチ操作可能にする)。
【0058】
さらに、通信端末61A,61Bは、表示部70に浴室状態表示画面73を表示する。浴室状態表示画面73には、通信端末61A,61B(ユーザアカウント)に関連付けられた給湯装置10における機器情報および/または入室情報が表示され得る。図3の例では、浴室状態表示画面73には、入浴を開始してから(浴室に入室してからまたは浴槽に入ってから)の経過時間および風呂の設定温度が表示されている。これらの情報は、管理装置64から取得される。
【0059】
なお、本実施の形態において、リモコン制御部38bは、呼出信号の作成および送信とともに、浴室外リモコン3bの報知部31bにおいて浴室からの呼出を報知(表示および/または音声出力)する。
【0060】
リモコン制御部38bは、呼出信号送信後、通信端末61A,61Bからの通話要求信号の受信を監視する(ステップS3)。通信端末61A,61Bは、表示部70に表示される通話ボタン71がタッチ操作された場合に、通話要求操作が行われたと判定し、管理装置64を介して浴室リモコン3aのリモコン制御部38aに通話要求信号を送信する。
【0061】
通話要求信号を受信した場合(ステップS3でYes)、リモコン制御部38bは、後述する所定の通話許可条件を満足しているか否かの判定(条件判定処理)を行う(ステップS4)。
【0062】
条件判定処理において、通話要求信号を受信したリモコン制御部38bは、浴室リモコン3aに判定要求信号を送信する。浴室リモコン3aのリモコン制御部38aは、判定要求信号を受信した場合、浴室リモコン3aの報知部31aに通話要求がなされたことを報知する。
【0063】
図4は、図3の状態において一の通信端末に対して通話要求操作が行われたときの各構成の状態を示す模式図である。図4の例では、通信端末61Aにおいて通話要求操作(通話ボタン71の押下操作)がなされた場合を示している。このとき、管理装置64は、通話要求信号とともに通信端末61Aを所持するユーザ(ユーザA)に対応するユーザアカウント情報(ユーザ名等)をリモコン制御部38bに送信する。
【0064】
通話要求操作を行った通信端末61Aの呼出状態表示画面72には、通話要求中であることを示す表示が行われる。また、通話要求信号を受信した浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、報知部31bに他のユーザ(ユーザA)が応答中である旨を報知してもよい。
【0065】
ここで、本実施の形態において、管理装置64の記憶部64aは、通話処理において浴室外リモコン3bと各通信端末61A,61Bとの間で送受信される信号に応じた、浴室リモコン3aからの呼出状態を記憶する。管理装置64は、呼出状態の変化に応じて所定の通信端末61A,61Bに状態変更信号を送信してもよい。
【0066】
例えば、図4に示すように、管理装置64は、通信端末61Aから通話要求信号を受信した場合に、他の通信端末61Bに状態変更信号を送信し、他の通信端末61Bの呼出状態表示画面72に、他のユーザが応答中である旨(通話要求操作を行った旨)を表示してもよい。
【0067】
また、浴室外リモコン3bおよび各通信端末61A,61Bにおいて浴室からの呼出を報知している間に、通信端末61A,61Bより先に浴室外リモコン3bの通話ボタン42が押下操作された場合、浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、条件判定処理を行い、通話許可条件を満たす場合、浴室リモコン3aと浴室外リモコン3bとの間で音声通話を開始する。
【0068】
この場合、リモコン制御部38bは、管理装置64に浴室外リモコン3bの通話ボタン42において通話要求操作が行われた旨の信号を送信してもよい。管理装置64は、その信号を受信した場合に、各通信端末61A,61Bに状態変更信号を送信し、通信端末61A,61Bの呼出状態表示画面72に、他のユーザが応答中である旨を表示してもよい。
【0069】
図4に示すように、浴室リモコン3aの報知部31aは、通話要求がなされたことを報知(表示および/または音声等で報知)する。さらに、浴室リモコン3aの報知部31aは、通話要求信号に含まれるユーザアカウント情報に基づいて通話要求が誰から来ているのかを報知する。さらに、浴室リモコン3aの報知部31aは、通話要求を受諾して通信端末61Aを所持するユーザと通話を開始する場合の通話許可操作の内容を報知する。本実施の形態において、通話許可操作は、通話要求の報知中に通話ボタン41を押下操作することに設定されている。
【0070】
浴室リモコン3aのリモコン制御部38aは、通話許可操作の有無を監視し、通話許可操作を検出した場合、浴室外リモコン3bに通話許可操作信号を送信する。浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、判定要求信号を送信してから所定期間内に通話許可操作信号を受信した場合に、通話許可条件を満足すると判定する。
【0071】
リモコン制御部38bは、通話許可条件を満足していると判定した場合(ステップS4でYes)、浴室リモコン3aと通話要求信号を送信した通信端末61Aとの間で外部通信網63を介した音声通話を可能とする通信接続を確立する(ステップS5)。浴室リモコン3aと通信端末61Aとの間の通話は、VOIP(Voice over Internet Protocol)による相互通信により確立される。
【0072】
図5は、図4の状態において浴室リモコンと一の通信端末との間で音声通話が可能となったときの各構成の状態を示す模式図である。浴室リモコン3aと通信端末61Aとの間に音声通話を可能とする通信接続が確立されると、図5に示すように、浴室リモコン3aの報知部31aおよび通信端末61Aの呼出状態表示画面72に通話中である旨が表示され、浴室内のユーザと通信端末61Aを所持するユーザとの間で通話を行うことができる。
【0073】
なお、このとき他の通信端末61Bにおいては、アプリが自動的に終了してもよいし、呼出状態表示画面72において浴室内のユーザが他者と通話中である旨を報知してもよい。また、浴室外リモコン3bの報知部31bにおいても同様に、通話に関する報知を終了してもよいし、浴室内のユーザが他者と通話中である旨を報知してもよい。
【0074】
浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、通話開始後、浴室リモコン3aまたは通信端末61Aからの通話停止信号の受信を監視する(ステップS6)。通話中の浴室リモコン3aの通話ボタン41が押下操作された場合、浴室リモコン3aのリモコン制御部38aは、浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bに通話停止信号を送信する。同様に、通話中の通信端末61Aの通話ボタン71が押下操作された場合、通信端末61Aは、浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bに通話停止信号を送信する。
【0075】
リモコン制御部38bは、通話停止信号を受信すると(ステップS6でYes)、音声通話の通信接続を解除する等の音声通話修了処理を実行し、音声通話を終了する(ステップS7)。このとき、管理装置64は、記憶部64aに記憶される呼出状態を呼出なしの状態にリセットする。これに伴い、各通信端末61A,61Bにおいて、アプリが終了する、または、アプリが所定のホーム画面を表示(リセット)する。
【0076】
条件判定処理において、通話許可条件を満たさない場合(ステップS4)、リモコン制御部38bは、所定の呼出終了条件を満足するかどうかを判定する(ステップS8)。リモコン制御部38bは、呼出終了条件を満足すると判定した場合(ステップS8でYes)、呼出終了処理を行う(ステップS9)。
【0077】
例えば、呼出期間が経過した場合に呼出終了条件を満足するとしてもよい。呼出期間は、通話要求信号を受信してからの経過時間として設定されてもよいし、呼出信号を送信してからの経過時間として設定されてもよい。これに加えて、または、これに代えて、通話要求を行った通信端末61Aにおいて再度通話ボタン71が押下操作された場合に呼出終了条件を満足するとしてもよい。
【0078】
リモコン制御部38bは、呼出終了処理として、リモコン3a,3bの報知部31a,31bにおける報知の終了を行う。さらに、リモコン制御部38bは、各通信端末61A,61Bにおける報知を終了するべく報知終了信号を送信する。
【0079】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、浴室リモコン3aにおいて呼出操作が行われた場合に、外部通信網63を介して通信端末61A,61Bに呼出信号が送信され、通信端末61A,61Bにおいて浴室内のユーザからの呼び出しを通知することができる。これにより、浴室外リモコン3bの近くにいないユーザに対しても呼び出しが可能となる。また、複数の通信端末61A,61Bに対して呼び出しを行うことができるため、呼び出しに対する応答可能性を高めることができる。
【0080】
さらに、浴室内のユーザからの呼び出しを受けて、通信端末61A,61Bを所持するユーザが通信端末61A,61Bに対して通話要求操作を行った場合、制御部(リモコン制御部38b)に通話要求信号が送信される。通話要求信号を受信した制御部は、所定の通話許可条件を満足しているか否かの判定を行い、通話許可条件を満足していると判定した場合に、浴室リモコン3aと通話要求信号を送信した通信端末61A,61Bとの間で音声通話可能となる。
【0081】
このように、浴室リモコン3aからの呼び出しであっても外部の通信端末61A,61Bと通話を開始する前には給湯装置10側で条件判定を行うことにより、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話を、浴室内のユーザのプライベートに配慮して適切に開始することができる。
【0082】
さらに、本実施の形態では、管理装置64が制御部(リモコン制御部38b)および浴室リモコン3aと通信端末61A,61Bとの間の通信を中継するため、通信端末61A,61Bが屋外等の浴室から離れた場所に位置する場合でも、制御部と通信端末61A,61Bとの間の信号送受信および浴室内のユーザと浴室外のユーザとの通話を、管理装置64を介して容易に確立することができる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、浴室内のユーザが通話許可操作をすることにより、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話が可能となる。したがって、浴室内のユーザの通話の意思を契機として両者の通話を開始することができるため、浴室内のユーザのプライベートを適切に保護することができる。
【0084】
さらに、本実施の形態では、制御部は、呼出操作が行われた場合に、浴室外リモコン3bでの呼出報知を行うとともに通信端末61A,61Bに呼出信号を送信する。これにより、浴室リモコン3aにおいて呼出操作が行われた場合に、通信端末61A,61Bだけでなく浴室外リモコン3bでも呼び出しが報知される。これにより、より多くの場所で浴室からの呼び出しが報知されるため、浴室からの呼び出しに対する応答可能性が高くなり、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話が開始されるまでの時間を短縮することができる。
【0085】
さらに、本実施の形態では、通信端末61A,61Bが浴室からの呼出報知を行う際、その浴室の状態が表示部70に呼出報知の内容に併せて表示される。したがって、浴室からの呼出が報知された場合に、通話を行わなくても浴室内の状態をある程度把握することができる。これにより、浴室からの呼び出しにおける緊急度の参考とすることができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、浴室リモコン3aからの呼出操作に基づいて浴室外リモコン3bおよび通信端末61A,61Bに呼び出しを行う態様を説明したが、浴室外リモコン3bまたは通信端末61A,61Bの何れかから浴室リモコン3aを呼び出すことも可能である。
【0087】
例えば、通信端末61Aにおいて通話ボタン71が押下操作された場合、その情報が管理装置64に送られる。これを受けて、管理装置64は呼出信号を生成し、浴室外リモコン3bに送信する。その後の流れは、浴室リモコン3aから呼出操作を行った場合の通話処理に関する上記説明において、通話要求信号を呼出信号に読み替えることで説明できる。
【0088】
(他の実施の形態)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【0089】
例えば、上記実施の形態では、通信端末61A,61Bからの通話要求信号に対して通話許可操作が必要である態様を例示したが、呼出操作が行われてから所定の第1期間を経過するまでは、通話許可操作を不要(省略)としてもよい。
【0090】
この場合、制御部(浴室外リモコン3bのリモコン制御部38b)は、呼出操作が行われてからの時間をリモコン制御部38bに内蔵されたタイマ等で計測する。制御部は、呼出操作が行われてから所定の第1期間を経過するまでは、通話要求信号を受信した場合に、通話許可条件を満足していると判定し、第1期間経過後は、浴室リモコン3aに対する所定の通話許可操作を許可し、通話許可操作が行われた場合に、通話許可条件を満足していると判定する。
【0091】
これによれば、浴室内のユーザが呼出操作を行ってから第1期間を経過した後は、浴室内のユーザが通話許可操作をすることにより、浴室内のユーザと浴室外のユーザとの間の通話が可能となる一方、第1期間を経過するまでは、通話許可操作を要することなく両者の通話が可能となる。したがって、浴室内のユーザが呼出操作を行ってから第1期間が経過するまでは呼出操作自体を浴室内のユーザの通話の意思とし、第1期間経過後は別途浴室内のユーザの通話の意思を要することにより、浴室内のユーザの通話の意思を契機とした両者の通話を開始しつつ、浴室内のユーザにかかる手間が増大することを防止することができる。
【0092】
また、上記実施の形態においては、呼出操作が行われた場合に、浴室外リモコン3bでの呼出報知が行われるとともに通信端末61A,61Bに呼出信号が送信される態様を例示したが、浴室外リモコン3bでの呼出報知を行った後に、通信端末61A,61Bに呼出信号が送信されるようにしてもよい。
【0093】
この場合も、制御部(浴室外リモコン3bのリモコン制御部38b)は、呼出操作が行われてからの時間をリモコン制御部38bに内蔵されたタイマ等で計測する。制御部は、呼出操作が行われた場合に、浴室外リモコン3bでの呼出報知を行い(開始し)、浴室外リモコン3bでの呼出報知を開始してから所定の第2期間経過後に、通信端末61A,61Bに呼出信号を送信する。
【0094】
これによれば、浴室リモコン3aにおいて呼出操作が行われた場合に、まず浴室外リモコン3bで呼出報知が行われ、その後通信端末61A,61Bに送信される。これにより、浴室外リモコン3bの近くに人がいない状態または浴室外リモコン3bの近くの人が応答できない状態が予想される場合に外部の通信端末61A,61Bに呼出信号が送信されるため、外部の通信端末61A,61Bへの不必要な通知を減らすことができる。
【0095】
なお、第2期間の経過時に浴室外リモコン3bの報知は終了してもよいし、第2期間の経過後も浴室外リモコン3bでの呼出報知を継続してもよい。また、呼出操作が行われてから所定の第1期間を経過するまで通話許可操作を不要とする態様と、浴室外リモコン3bでの呼出報知を行ってから所定の第2期間経過後に、通信端末61A,61Bに呼出信号を送信する態様とを組み合わせてもよい。
【0096】
このとき、第2期間は第1期間と同じ期間に設定されてもよい。この場合、浴室外リモコン3bのみ応答可能な期間(第2期間)は通話許可操作が不要であり、通信端末61A,61Bからの通話要求時は通話許可操作が必要となる。
【0097】
あるいは、第2期間は、第1期間より短い期間に設定されてもよい。この場合、浴室外リモコン3bのみ応答可能な期間(第2期間)の経過後、通話許可操作が不要となる期間(第1期間)が終了する。すなわち、通信端末61A,61Bからの通話要求時でも通話許可操作不要の場合があり得る。
【0098】
あるいは、第2期間は、第1期間より長い期間に設定されてもよい。この場合、通話許可操作が不要となる期間(第1期間)の経過後、浴室外リモコン3bのみ応答可能な期間(第2期間)が終了する。すなわち、通信端末61A,61Bからの通話要求時は通話許可操作が必要となり、かつ浴室外リモコン3bのみ応答可能な期間(第2期間経過前)でも通話許可操作が必要となる場合があり得る。
【0099】
また、本実施の形態においては、呼出操作が浴室リモコン3aの通話ボタン41を押下操作することに設定されている態様を例示したが、これに加えて、または、これに代えて他の操作が呼出操作に設定されてもよい。例えば、浴室リモコン3aは、通話ボタン41に加えて図示しない緊急通報ボタンを備えてもよい。
【0100】
この場合、緊急ボタンが押下操作された場合も、通話ボタン41が押下操作された場合と同様に、通信端末61A,61Bに呼出信号が送信される。ただし、緊急ボタン操作に基づく呼出信号を受信した通信端末61A,61Bの浴室状態表示画面73には、緊急である旨(緊急ボタンが押下操作された旨)の報知がなされてもよい。また、緊急ボタン操作に基づく呼出信号に対して通信端末61A,61Bから通話要求を行った場合には、浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bは、通話許可条件を満足しているとして(または条件判定を行わずに)浴室リモコン3aと通信端末61A,61Bとの音声通話を可能とする通信接続を確立してもよい。
【0101】
また、制御部は、入室情報に基づく所定の呼出条件を満足するか否かの判定を行い、呼出条件を満足した場合に、呼出操作が行われたと擬制して(自動的に呼出操作を行い)呼出信号を送信してもよい。例えば、呼出条件は、浴室内または浴槽内に入ってからの時間が基準時間以上となった場合等に満たされる。
【0102】
また、上記実施の形態においては、浴室外リモコン3bがルータ62と通信接続される中継装置として機能する態様を例示したが、これに限られない。例えば、浴室リモコン3aが中継装置として機能してもよいし、これらのリモコン3a,3bとは別に中継装置が設けられていてもよい。すなわち、上記実施の形態においては、外部通信部39が浴室外リモコン3bに設けられている構成を例示したが、これに代えて、外部通信部39が、浴室リモコン3a、給湯装置本体2、制御装置8または通信線5に接続される中継装置に設けられていてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態においては、浴室外リモコン3bを1つ備えた構成を例示したが、複数の浴室外リモコン3bを備えていてもよい。この場合、複数の浴室外リモコン3bのうちの何れか1つが中継装置として機能してもよい。また、一の給湯装置10に対応する通信端末の数は、上記実施の形態における2つに限られず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0104】
また、上記実施の形態において、通信端末61A,61Bは、スマートフォン等の携帯端末を例示したが、これに限られない。通信端末61A,61Bは、据え置き型の通信端末であってもよい。例えば、通信端末61A,61Bは、パーソナルコンピュータであってもよいし、音声による操作入力が可能なスマートスピーカであってもよいし、外部通信網63と通信接続の可能なスマートテレビ等の電子機器であってもよい。
【0105】
また、上記実施の形態においては、外部通信網63としてインターネットを例示したが、外部通信網63は、有線通信または無線通信を問わず、給湯装置10の中継装置と通信可能な所定の通信規格による通信網であれば特に限定されない。例えば外部通信網63としてECHONET Lite(登録商標)規格等が用いられ得る。この場合、中継装置として通信規格専用の通信アダプタが設けられる。また、通信端末61A,61Bは、複数の設備機器(エアコン、照明器具、家庭用発電設備等)を一括して操作可能なコントローラ(HEMSコントローラ等)を採用することができる。
【0106】
また、上記実施の形態では、通信端末61A,61Bが管理装置64を介して給湯装置10(浴室外リモコン3bのリモコン制御部38b)と通信を行う態様を例示したが、管理装置64を介さずに通信を行ってもよい。例えば、通信端末61A,61Bがルータ62に無線LANによって通信接続され、ルータ62を介して通信端末61A,61Bと給湯装置10とがペアリングされてもよい。
【0107】
言い換えると、管理装置64は、サーバ装置でなくてもよい。例えば、管理装置64は、給湯装置10に設けられてもよい。例えば、管理装置64は、制御装置8における制御ブロックの1つとして構成されてもよい。また、管理装置64は、リモコン3a,3bに設けられてもよい。また、別途、中継装置が設けられる場合には、中継装置に設けられてもよい。これらの場合、制御部(主制御部4、リモコン制御部38a,38b)は、管理装置64とは外部通信網63を介さずに通信接続される。また、管理装置64と通信端末61A,61Bとを通信接続する外部通信網63は、LANでもよい。
【0108】
また、上記実施の形態において、浴室外リモコン3bのリモコン制御部38bが通話処理の主体として動作する(呼出信号の生成、条件判定処理等を行う)例を示したが、主制御部4または浴室リモコン3aのリモコン制御部38aが通話処理の主体として動作してもよい。あるいは、別途中継装置が設けられる場合には、中継装置の制御部が通話処理の主体として動作してもよい。あるいは、主制御部4、リモコン制御部38a,38bまたは中継装置の制御部の何れかが一括して通話処理の主体となる代わりに、複数の制御部が協動して通話処理を行ってもよい。
【0109】
以上より、特許請求の範囲における「制御部」は、主制御部4であってもよいし、何れかのリモコン3a,3bのリモコン制御部38a,38bであってもよいし、別途中継装置が設けられる場合には、中継装置の制御部であってもよいし、これらのいくつかまたは全部により構成されてもよい。
【0110】
また、上記実施の形態において、記憶部64aは、現在の呼出状態を記憶することを説明したが、これに加えて、または、これに代えて、過去の通話履歴を記憶してもよい。さらに、通信端末61A,61Bからの通話履歴の閲覧を可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、浴室内のユーザからの呼び出しに対して浴室外のユーザが応答することによって適切に通話を開始するために有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 給湯システム
3a 浴室リモコン
3b 浴室外リモコン
4 主制御部(制御部)
10 給湯装置
38a,38b リモコン制御部(制御部)
61A,61B 通信端末
63 外部通信網
64 管理装置
図1
図2
図3
図4
図5