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  • 特開-組立式滑り台 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069866
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】組立式滑り台
(51)【国際特許分類】
   A63B 17/00 20060101AFI20220502BHJP
   A63G 21/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A63B17/00 Z
A63G21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178767
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】511139051
【氏名又は名称】Jパックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】水谷 嘉浩
(57)【要約】
【課題】幼稚園や保育園で子どもたちの遊具として室内で使用でき、しかもある程度の大きさを有することで、子どもたちの興味をかきたてることができる安全性に優れた組立式滑り台とする。
【解決手段】階段の各ステップSにセットされる複数個の三角土台100と、この三角土台100の斜面110が連なって構成される傾斜面140の上に載置されるトンネル部材200とを備えており、前記三角土台100は、水平面120が階段の踏み面S1の寸法と、垂直面130が階段の蹴上げ面S2の寸法と略等しく設定された三角柱状となっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段の各ステップにセットされる複数個の三角土台と、この三角土台の斜面が連なって構成される傾斜面の上に載置されるトンネル部材とを具備しており、前記三角土台は、水平面が階段の踏み面の寸法と、垂直面が階段の蹴上げ面の寸法と略等しく設定された三角柱状であることを特徴とする組立式滑り台。
【請求項2】
前記トンネル部材の側面を支持する支持部材を有することを特徴とする請求項1記載の組立式滑り台。
【請求項3】
前記支持部材は、三角土台と同形、同サイズであることを特徴とする請求項2記載の組立式滑り台。
【請求項4】
前記三角土台及びトンネル部材は、段ボールから構成されることを特徴とする請求項1記載の組立式滑り台。
【請求項5】
前記三角土台、トンネル部材及び支持部材は、段ボールから構成されることを特徴とする請求項3記載の組立式滑り台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段を簡単に滑り台とする組立式滑り台に関する。
【背景技術】
【0002】
階段を滑り台とするものとしては、特開平10-192428号公報記載の「階段設置型避難用滑り台」がある。
この「階段設置型避難用滑り台」は、「不使用時には、階段の左右両側垂面のいずれか一方側垂面に対し、階段の昇降方向に沿って立て掛け状態で係止され、使用時には、上記係止が解除されて、階段の各ステップの幅方向の一部を覆って階段の昇降方向に平置き状態で設置されるもの」である。
【0003】
【特許文献1】特開平10-192428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この「階段設置型避難用滑り台」は、火災や地震等の災害が起こったときに、すぐさま建物から避難、脱出するためのものである。
従って、不使用時には階段の壁に立て掛け状態で係止され、使用時に階段の各ステップの一部を覆った状態で使用されるものとなっている。
【0005】
幼稚園や保育園には、子どもたちの遊具としての滑り台がある。この滑り台は、屋外に設置されるものであるため、雨天時には使用できないという問題点がある。屋内設置用の滑り台もあるが、屋外のものと比較すると小型であるため、子どもたちの興味をかきたてにくいという問題点がある。
上述の「階段設置型避難用滑り台」は、不使用時といえども階段の壁に立て掛けられた状態で露出しているものなので、保育者の目が届かない時に子どもたちが自分たちで使用状態としてしてしまう危険性がある。従って、幼稚園や保育園では子どもたちの安全性を考慮した場合、このような「階段設置型避難用滑り台」は使用できないものとなっている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、幼稚園や保育園で既設の階段を利用して子どもたちの遊具として室内で使用でき、しかもある程度の大きさを有することで、子どもたちの興味をかきたてることができる安全性に優れた組立式滑り台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る組立式滑り台は、階段の各ステップにセットされる複数個の三角土台と、この三角土台の斜面が連なって構成される傾斜面の上に載置されるトンネル部材とを備えており、前記三角土台は、水平面が階段の踏み面の寸法と、垂直面が階段の蹴上げ面の寸法と略等しく設定された三角柱状となっている。
【0008】
また、前記トンネル部材の側面を支持する支持部材を有するとよい。
さらに、前記三角土台、トンネル部材及び支持部材は、段ボールから構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る組立式滑り台は、階段の各ステップにセットされる複数個の三角土台と、この三角土台の斜面が連なって構成される傾斜面の上に載置されるトンネル部材とを備えており備しており、前記三角土台は、水平面が階段の踏み面の寸法と、垂直面が階段の蹴上げ面の寸法と略等しく設定された三角柱状であるので、既設の階段を簡単に滑り台とすることができる。
【0010】
また、この組立式滑り台は、トンネル部材の側面を支持する支持部材を有するので、横方向への力にも対応することができて安全性が高い。
さらに、支持部材と三角土台とを同形、同サイズとすることで、部品の種類を抑えることができるので、安価に提供することができる。
【0011】
また、この組立式滑り台を構成する三角土台、トンネル部材、支持部材を段ボールから構成するので、安価かつ保管が容易とすることができる。
【0012】
この組立式滑り台は、組立簡単、保管容易等の特性を有していることから、自然災害時の避難所にも容易に設置することができる。避難所では、子どもたちの遊び、運動も抑制されがちであるが、この組立簡単、保管容易な組立式滑り台は避難所での子どもたちの遊び、運動をサポートすることができるので、避難所での子どもたちの身心のの安定にも資するというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る組立式滑り台の概略的斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る組立式滑り台の概略的分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る組立式滑り台を構成する部品の図面であって、同図(A)は三角土台の概略的斜視図、同図(B)はトンネル部材の概略的斜視図、同図(C)は補助板の概略的斜視図である。である。
図4】本発明の実施の形態に係る組立式滑り台のトンネル部材と支持部材との関係を示す図面であって、同図(A)はトンネル部材の両側面を支持部材で支持した状態を示す概略的斜視図、同図(B)はトンネル部材の一方の側面のみを支持部材で支持した状態を示す概略的斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る組立式滑り台の三角土台と階段のステップとの関係を示す概略的説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る組立式滑り台を構成する三角土台を形作る段ボールを示す概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る組立式滑り台1000は、階段の各ステップSにセットされる複数個(図面では12個)の三角土台100と、この三角土台100の斜面110が連なって構成される傾斜面140の上に載置されるトンネル部材200とを備えており、前記三角土台100は、水平面120が階段の踏み面S1の寸法と、垂直面130が階段の蹴上げ面S2の寸法と略等しく設定された三角柱状となっている。
【0015】
なお、以下の説明では、この組立式滑り台1000は、直線状の階段の踊り場と下階との間に設置されるものとする。ただし、この発明に係る組立式階段1000は踊り場と下階との間に設置されるものに限定されるのではなく、踊り場のない階段の上階と下階との間に設置するものであってもよいことはいうまでもない。
【0016】
前記三角土台100は、図6に示す段ボール100Aを折曲形成して構成される。折曲形成前の段ボール100Aは、三角土台100の斜面110を構成する第1面110Aと、三角土台100の水平面120を構成する第2面120Aと、三角土台100の垂直面130を構成する第3面130Aと、この第3面130Aと積層状態で接続されて垂直面130を補強する第4面140Aとが連なった状態で一枚に構成されている。
第1面110Aと第2面120Aとの間の第1折曲線151A、第1面110Aと第4面140Aとの間の第2折曲線152A、第2面120Aと第3面130Aとの間の第3折曲線153Aをそれぞれ折曲し、第3面130Aと第4面140Aとを積層した状態で接続することで三角土台100が構成される。
従って、三角土台100は、中空の三角柱状に形成されることになる。
【0017】
この三角土台100は、組立式滑り台1000を設置する階段のステップ数だけ必要となる。いわば階段のすべてのステップSを三角土台100で埋めることになる。
すべてのステップSを三角土台100で埋めると、複数個の三角土台100の斜面110は連なって平坦な傾斜面140を形作ることになる。
なお、三角土台100の垂直面130を階段の蹴上げ面S2に、水平面120を階段の踏み面S1にそれぞれ両面粘着テープ等でしっかりとつなぎ止めると、より強固になり高い安全性を確保することができる。
【0018】
前記トンネル部材200は、段ボールを折曲形成して形成されたたトンネル状の部材である。このトンネル部材200は、前記三角土台100の斜面110が連なって形成された傾斜面140の上に載置されることになる。
このトンネル部材200は、三角土台100の幅寸法と略同等の幅寸法を有する角筒状のものである。なお、三角土台100の斜面110と、トンネル部材200とを両面粘着テープ等でしっかりとつなぎ止めると、より強固になり高い安全性を確保することができる。さらに、このトンネル部材200を階段の壁面に両面粘着テープ等でしっかりとつなぎ止めると、より強固になり高い安全性を確保することができる。
このトンネル部材200の内部が子どもたちが滑り降りる部分となり、トンネル部材200の底面が滑り面となる。
なお、このトンネル部材200の高さ寸法、幅寸法は、子どもたちが充分に滑り降りることができる寸法に設定されている。
【0019】
さらに、このトンネル部材200の上端と下端とには、子どもたちがスムーズに入り込むこと、滑り出ることができるように、補助板310、320を設けるとよい。補助板310と補助板320は同一サイズの段ボール製である。
上端側の補助板310は、組立式滑り台1000が設置される一番上、すなわち階段の踊り場の床面と、トンネル部材200の上端の内側面との間にわたって設置される。また、下端側の補助板320は、組立式滑り台1000が設置される一番下、すなわち下階の床面と、トンネル部材200の下端の内側面との間にわたって設置される。
【0020】
なお、補助板310と踊り場の床面、補助板310とトンネル部材200の上端、補助板320と下階の床面、補助板320とトンネル部材200の下端は、それぞれ両面粘着テープ等でしっかりとつなぎ止められる。
この補助板310、320を設置することで、上側では子どもたちがスムーズにトンネル部材200の内部に入り込ことができ、下側では子どもたちがスムーズにトンネル部材200から滑り出ることができるようになる。
また、下側に設けられた補助板320は、下階の床面との間でクッション的な役割を果たすので、より安全性を高めることができる。
【0021】
この組立式滑り台1000では、トンネル部材200の内部を滑り降りることにしたので、滑り降りる子どもたちが横方向に飛び出る危険性が皆無となった。また、トンネル部材200の内部を滑り降りるため、子どもたちにとっては普通の滑り台よりワクワク感、スリル感を得ることができる。
【0022】
また、トンネル部材200を横方向から支えるための支持部材400がある。
この支持部材400は、上述した三角土台100とまったく同形、同サイズのものである。
かかる支持部材400は、図4に示すように、ステップ側固定面420(三角土台100では水平面120に相当する)をステップSの踏み面S1に、トンネル側固定面430(三角土台100では垂直面130に相当する)をトンネル部材200の側面にそれぞれ密着させてトンネル部材200を横方向から支えるのである。
【0023】
なお、トンネル部材200の一方の側面を階段の壁面に密着させる場合には、支持部材400はトンネル部材200の他方の側面のみを横方向から支えるようにする(図4(B)参照)。
トンネル部材200のいずれの側面も階段の壁面に密着していない場合には、支持部材400はトンネル部材200の両方の側面を横方向から支えるようにする(図4(A)参照)。
いずれの場合も階段の踏み面S1、トンネル部材200の側面は、両面粘着テープ等でしっかりとつなぎ止めると、より強固になり高い安全性を確保することができる。
なお、この支持部材400は、前記三角土台100と同形、同サイズである。このため、支持部材400として三角土台100とは異なる形状、サイズの部品を準備しなくてもよいというメリットがある。
【0024】
この支持部材400を設けることにより、トンネル部材200に対する横方向への力、具体的には滑り降りる子どもたちが接触することによる力を支えることができるので、より安全性を高くすることができる。
【0025】
この組立式滑り台1000は、三角土台100、トンネル部材200、補助板310、320、支持部材400の4種の部品(実際には三角土台100と支持部材400とは同一部材であるので合計3種)から構成されているが、すべてが段ボール製であるため、その組立、分解は極めて容易である。その上、各構成部品が、段ボール製であるため、分解時にはすべての部品を平らに折り畳むことができるので、保管スペースも小さくて済むというメリットがある。
これらのことから、この組立式滑り台1000は、幼稚園や保育園での室内遊びに最適である。
【0026】
なお、上述した実施の形態では、三角土台100の斜面110が連なって構成される傾斜面140の上に直接トンネル部材200を載置するとしたが、傾斜面140の上に三角土台100の幅寸法と等しい幅寸法を有する長方形状の上板を載置し、この上板の上にトンネル部材200を設置することも可能である。
三角土台100とトンネル部材200との間に上板を介在させることで、クッション性をより高くし、安全性を高めることができるというメリットがある。
【符号の説明】
【0027】
100 三角土台
110 斜面
120 水平面
130 垂直面
140 傾斜面
200 トンネル部材
S1 階段の踏み面
S2 階段の蹴上げ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6