(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069892
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】おにぎり搬送仲介装置
(51)【国際特許分類】
B65B 35/20 20060101AFI20220502BHJP
B65B 57/10 20060101ALI20220502BHJP
B65B 57/14 20060101ALI20220502BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
B65B35/20
B65B57/10 D
B65B57/14
B65G47/68 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178832
(22)【出願日】2020-10-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年8月5日~令和2年8月6日に双葉産業株式会社にて動作検証試験を行った。
(71)【出願人】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【テーマコード(参考)】
3E054
3F070
【Fターム(参考)】
3E054AA05
3E054CA07
3E054CA08
3E054DB03
3E054DC02
3E054DC03
3E054DD01
3E054DE01
3E054DE02
3E054EA03
3E054FA04
3E054GA01
3E054GB01
3E054HA03
3E054JA04
3F070AA12
3F070BA03
3F070BA10
3F070BC02
3F070BC07
3F070BD02
3F070BG01
3F070EB01
3F070EB07
(57)【要約】
【課題】おにぎり製造装置で製造されたおにぎりを効率よくおにぎり包装装置まで搬送できるおにぎり搬送仲介装置を提供する。
【解決手段】おにぎり製造装置とおにぎり包装装置との間におにぎり搬送仲介装置を介設すると共に、おにぎり搬送仲介装置は、おにぎり製造装置から整列して搬送されるおにぎり列の各前後するおにぎりの間隔をより長く保持して受け取るように構成した間隔調整ベルトと、間隔調整ベルトの伸延方向に連続して配設した一列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトに並設した二列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトにおにぎりを横移動させるために一列目搬送ベルトに直交する方向に押出し自在に配設した押出し機構とより構成し、おにぎり製造装置から一列で搬送されるおにぎり列を押出し機構により一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの二列に分けてそれぞれおにぎり包装装置に移送可能に構成したおにぎり搬送仲介装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おにぎり製造装置とそれから搬送されるおにぎりを包装するためのおにぎり包装装置との間におにぎり搬送仲介装置を介設すると共に、
おにぎり搬送仲介装置は、おにぎり製造装置から一定間隔を保持して整列して搬送される製造おにぎり列を受け取って各前後するおにぎりの間隔をより長く保持して受け取るように構成した間隔調整ベルトと、
間隔調整ベルトの伸延方向に連続して配設した一列目搬送ベルトと、
一列目搬送ベルトの横側方に並設した二列目搬送ベルトと、
一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトにおにぎりを横移動させるために一列目搬送ベルトに直交する方向に押出し自在に配設した押出し機構とより構成し、おにぎり製造装置から一定間隔で一列として搬送されるおにぎり列を押出し機構により一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの二列に分けてそれぞれおにぎり包装装置に移送可能に構成した
ことを特徴とするおにぎり搬送仲介装置。
【請求項2】
間隔調整ベルトの上方におにぎりのり巻き海苔の位置を検出するための監視カメラを配設した
ことを特徴とする請求項1に記載のおにぎり搬送仲介装置。
【請求項3】
互いに併設した一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの走行基端部に横方向に摺動する押出し機構を設けると共に、一列目搬送ベルトの走行基端部に巻き海苔の不良検出をした不良おにぎりを排斥する不良品排斥機構を配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のおにぎり搬送仲介装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定形状におにぎりを成形するおにぎり製造装置と成形したおにぎりを包装するためのおにぎり包装装置を連結するためのおにぎり搬送仲介装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで販売されるおにぎりは、短時間で大量に生産することが求められるため、おにぎり製造装置によって人手を要することなく自動的に製造されている。
【0003】
このようなおにぎり製造の自動化は、米飯を所定の形態に成形するおにぎり製造装置と、成形されたおにぎりを所定の場所まで搬送するおにぎり搬送装置と、搬送されたおにぎりを包装フィルムで包装するおにぎり包装装置の3つの装置で構成されている。
【0004】
このようなおにぎりの製造を自動化する装置としては、例えば、特許文献1に記載のおにぎり製造機がある。
【0005】
特許文献1に記載のおにぎり製造機は、米飯を所定のおにぎり形態に成形するための成形工程と、成形工程で成形されたおにぎりを包装するための包装工程まで搬送する送り出しコンベアと、を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のおにぎり搬送装置は、成形工程で製造されたおにぎりを包装工程まで単に搬送するだけの搬送装置であって、成形工程や包装工程で使用される装置の生産能力に対応しておにぎりを搬送できる搬送装置ではなかった。
【0008】
また、自動生産されるおにぎりの生産能力は、おにぎり製造装置、おにぎり搬送装置、およびおにぎり包装装置を連続して配置しているため、それぞれの処理能力の内、最も低いものに依存している。
【0009】
上記おにぎりの自動生産装置において、おにぎり搬送装置は、おにぎり製造装置で成形されたおにぎりを何も包装せずおにぎり単体でコンベアベルト上面に載置して搬送するため、搬送速度を上昇すると搬送装置を構成するコンベアベルトの終端部からおにぎりが飛び出す虞があり、搬送できる速度に制限があった。
【0010】
また、おにぎり搬送装置の終端部では、おにぎり搬送装置からおにぎり包装装置に成形されたおにぎりを移し替える必要があった。この移し替え作業は、搬送された成形おにぎりを一時的に停止し、進行方向に向けて押出すことで実施される。そのため、成形おにぎりを押出す装置の押出し速度を向上することでおにぎりの搬送能力を向上することができる。しかしながら、成形おにぎりを押出す装置の押出し速度を向上すると、押出し装置の押圧力によりおにぎりを変形させる虞があった。
【0011】
本発明は、かかる問題を解消するために、おにぎり製造装置で製造されたおにぎりを効率よくおにぎり包装装置に搬送し、搬送コンベアからおにぎりが飛び出すことなく、さらに搬送コンベアからおにぎり包装装置におにぎりを移し替える際におにぎりが押圧変形することなく移し替えることができるおにぎり搬送仲介装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、おにぎり製造装置とそれから搬送されるおにぎりを包装するためのおにぎり包装装置との間におにぎり搬送仲介装置を介設すると共に、おにぎり搬送仲介装置は、おにぎり製造装置から一定間隔を保持して整列して搬送される製造おにぎり列を受け取って各前後するおにぎりの間隔をより長く保持して受け取るように構成した間隔調整ベルトと、間隔調整ベルトの伸延方向に連続して配設した一列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトの横側方に並設した二列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトにおにぎりを横移動させるために一列目搬送ベルトに直交する方向に押出し自在に配設した押出し機構とより構成し、おにぎり製造装置から一定間隔で一列として搬送されるおにぎり列を押出し機構により一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの二列に分けてそれぞれ包装装置に移送可能に構成したことを特徴とするおにぎり搬送仲介装置である。
【0013】
本発明の第2の態様は、間隔調整ベルトの上方におにぎりの巻き海苔の位置を検出するための監視カメラを配設したことを特徴とするおにぎり搬送仲介装置である。
【0014】
本発明の第3の態様は、互いに併設した一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの走行基端部に横方向に摺動する押出し機構を設けると共に、一列目搬送ベルトの走行基端部に巻き海苔の不良検出をした不良おにぎりを排斥する不良品排斥機構を配設したことを特徴とするおにぎり搬送仲介装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、おにぎり製造装置とそれから搬送されるおにぎりを包装するためのおにぎり包装装置との間におにぎり搬送仲介装置を介設すると共に、おにぎり搬送仲介装置は、おにぎり製造装置から一定間隔を保持して整列して搬送される製造おにぎり列を受け取って各前後するおにぎりの間隔をより長く保持して受け取るように構成した間隔調整ベルトと、間隔調整ベルトの伸延方向に連続して配設した一列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトの横側方に並設した二列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトにおにぎりを横移動させるために一列目搬送ベルトに直交する方向に押出し自在に配設した押出し機構とより構成し、おにぎり製造装置から一定間隔で一列として搬送されるおにぎり列を押出し機構により一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの二列に分けてそれぞれ包装装置に移送可能に構成したため、隣接して搬送される搬送おにぎりの間隔を密の状態から一定間隔離間した疎の状態に調整できる。これにより、搬送されるおにぎりは、隣接するおにぎりと干渉することなく一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトに移送できる。
また、一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトにおにぎりを水平移動できることにより、一列目搬送ベルトおよび二列目搬送ベルトに載置したおにぎりを並列して搬送でき、各搬送ベルトの搬送速度を変更することなく搬送可能なおにぎりの数量を向上できる。
【0016】
また、本発明の第2の態様によれば、間隔調整ベルトの上方におにぎりの巻き海苔の位置を検出するための監視カメラを配設したため、おにぎりに巻き付けた巻き海苔の位置を検知して、のりの巻き付け不良を確実に検出できる。また、おにぎりに対するのりの巻き付け位置および角度を一定とすることができるため、包装フィルムに印字された情報と巻き海苔の位置を確実に合わせることができ、包装後のおにぎりの見栄えを向上できる。
【0017】
また、本発明の第3の態様によれば、互いに並設した一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの走行基端部に横方向に摺動する押出し機構を設けると共に、一列目搬送ベルトの走行基端部に巻き海苔の不良検出をした不良おにぎりを排斥する不良品排斥機構を配設したため、間隔調整ベルトの上方の監視カメラで検出したおにぎりの巻き海苔の位置の正誤判定結果に基づき不良おにぎりを搬送ラインから確実に排斥でき、見栄えのよいおにぎりだけを製造できる。また、不良品排斥機構により搬送ラインから排斥されたおにぎりは、向きを修正した上で再び搬送ラインに戻すことができるため、成形したおにぎりを無駄にすることなく包装おにぎりを生産できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置を後方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置を前方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる監視カメラで撮像した状態を示す模式図であり、(a)はおにぎりに巻き付けた巻き海苔の正しい形態と、誤った形態を示す図であり、(b)は誤った形態のおにぎりを包装袋に包装した状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置の押出し機構の動作を示す斜視図であり、(a)は二列目搬送ベルトにおにぎりを引き込む状態を示す斜視図であり、(b)は不良品排斥機構におにぎりを押出す状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置の移載装置の動作を示す斜視図であり、(a)はおにぎりを移載装置で押出す前の状態を示す斜視図であり、(b)はおにぎりを移載装置で包装装置に押出した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置の位置関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の要旨は、おにぎり製造装置とそれから搬送されるおにぎりを包装するためのおにぎり包装装置との間におにぎり搬送仲介装置を介設すると共に、おにぎり搬送仲介装置は、おにぎり製造装置から一定間隔を保持して整列して搬送される製造おにぎり列を受け取って各前後するおにぎりの間隔をより長く保持して受け取るように構成した間隔調整ベルトと、間隔調整ベルトの伸延方向に連続して配設した一列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトの横側方に並設した二列目搬送ベルトと、一列目搬送ベルトから二列目搬送ベルトにおにぎりを横移動させるために一列目搬送ベルトに直交する方向に押出し自在に配設した押出し機構とより構成し、おにぎり製造装置から一定間隔で一列として搬送されるおにぎり列を押出し機構により一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの二列に分けてそれぞれ包装装置に移送可能に構成したことにある。
【0020】
また、本発明の他の要旨は、間隔調整ベルトの上方におにぎりの巻き海苔の位置を検出するための監視カメラを配設したことにある。
【0021】
また、本発明の他の要旨は、互いに併設した一列目搬送ベルトと二列目搬送ベルトとの走行基端部に横方向に摺動する押出し機構を設けると共に、一列目搬送ベルトの走行基端部に巻き海苔の不良検出をした不良おにぎりを排斥する不良品排斥機構を配設したことにある。
【0022】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1および
図2は、本発明のおにぎり搬送仲介装置を示す斜視図であり、
図3は、監視カメラでおにぎりを撮像した状態を示す模式図であり、
図4は、搬送仲介装置の全体像を示す平面図であり、
図5は、押出し機構の動作を示す斜視図であり、
図6は、移載装置の動作を示す斜視図であり、
図7は、おにぎり製造工程におけるおにぎり搬送仲介装置の位置を示す正面図である。
【0023】
おにぎり搬送仲介装置100は、
図7に示すように、おにぎり製造装置200で成形されたおにぎりRをおにぎり包装装置300に搬送するための装置であり、おにぎり製造装置200とおにぎり包装装置300との間に介設している。
【0024】
おにぎり搬送仲介装置100は、
図1および
図7に示すように、おにぎり製造装置200の終端部に連結した間隔調整ベルト10と、間隔調整ベルト10の上方に位置する監視カメラ20と、間隔調整ベルト10の伸延方向に連続して配設した一列目搬送ベルト30と、一列目搬送ベルト30の横側方に並設した二列目搬送ベルト40と、一列目搬送ベルト30から二列目搬送ベルト40におにぎりRを横移動させるために一列目搬送ベルト30に直交する方向に押出し自在とする押出し機構50と、一列目搬送ベルト30の基端部に配設した不良品排斥機構60と、で構成している。
【0025】
間隔調整ベルト10は、おにぎり製造装置200で成形され連続して載置したおにぎり列の各前後するおにぎりRの間隔を調整するためのコンベアベルトである。
【0026】
間隔調整ベルト10は、
図1および
図7に示すように、おにぎり製造装置200の終端部に始端部を連結した搬送部11と、搬送部11の伸延方向に連続して配設した間隔調整部12と、を有している。
【0027】
搬送部11は、おにぎり製造装置200に連結した無端状のコンベアベルト11aからなり、おにぎり製造装置200で成形されたおにぎりR(
図3参照)を間隔調整部12まで間隔を維持しながら連続的に搬送するものである。なお、搬送部11のコンベアベルト11aは、おにぎり製造装置200で1つのおにぎりRが成形される間に、載置されたおにぎりRが進行方向に向けてその略直径分だけ移動できる速さに設定している。これにより、搬送部11のコンベアベルト11aは、おにぎり製造装置200で製造されたおにぎりRをコンベアベルト11a上面に可能な限り載置できるように構成している。
【0028】
間隔調整部12は、搬送部11の終端部に連続して配設され、搬送部11で搬送されるおにぎりR同士の間隔を所定の間隔に離間するための距離調整部である。
【0029】
間隔調整部12は、間欠的に作動する無端状のコンベアベルト12aからなる。このコンベアベルト12aは、コンベアベルト11aの動作速度よりも速く動作するように設定している。コンベアベルト12aは、コンベアベルト12aの始端部の左右にセンサカメラ13を配設しており、前後方向略中央部の上方に監視カメラ20を配設している。
【0030】
センサカメラ13は、光電センサからなり、間隔調整部12に進入したおにぎりRを検知するとともに、センサカメラ13を通過したおにぎりRの数量を計測している。
センサカメラ13は、おにぎりRを検知すると、コンベアベルト12aと後述の監視カメラ20、一列目搬送ベルト30、および二列目搬送ベルト40を同時に始動させる。これにより、各ベルトを同期することができ、各ベルト間でのおにぎりRの受け渡しをスムーズにして効率よく搬送できる。
【0031】
監視カメラ20は、コンベアベルト12aを通過するおにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nの形態を撮像するための撮像手段である。
【0032】
監視カメラ20は、
図1に示すように、支持台Sに立設した支持アーム21の先端部に配設している。監視カメラ20は、センサカメラ13がおにぎりRを検知してから一定時間経過後に撮像するように設定されている。これにより、おにぎりRは、コンベアベルト12aの間欠動作により、隣接するおにぎりRから一定距離離間した状態で撮像される。すなわち、おにぎりRは、他のおにぎりRに干渉されることなく単独で撮像でき、おにぎりRに巻き海苔Nが正しく巻き付けられているかを確実に検知できる。
【0033】
監視カメラ20で撮像されたおにぎりRの撮像情報は、正誤判定部22に伝達される。
正誤判定部22は、監視カメラ20で撮像したおにぎりRの撮像情報のうち、おにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nが所定の向きに巻き付けられているかを判定するための判定部である。
【0034】
正誤判定部22は、
図7に示すように、間隔調整部12の左側(
図7では手前側)に位置しており、支持台Sに立設している。正誤判定部22は、おにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nが正しく取り付けられているかどうかを判定するための判定部22aと、判定部22aで判定した結果を出力するための判定出力部22bと、を有している。
【0035】
判定部22aは、おにぎりRに巻き付ける巻き海苔Nの正しい形態(以下、「正形態」と称する。)を予め記憶している。この正形態とは、
図3(a)に示すように、間隔調整ベルト10の搬送方向に対して直交する向きに巻き海苔NがおにぎりRに巻き付けられている状態のことを指す。なお、正誤判定は、一定の公差を有しており、巻き海苔Nが間隔調整ベルト10の搬送方向に対して直交する向きを0°に設定し、そこから±1°の範囲内であれば正形態と判定する。なお、
図3(a)に示す白抜き矢印は、間隔調整ベルト10の搬送方向を示しており、コンベアベルト12aの左側に位置するおにぎりRが正形態のおにぎりであり、右側に位置するおにぎりRが誤った形態(以下、「誤形態」と称する。)のおにぎりである。誤形態と判断されたおにぎりRを包装フィルムで包装した場合、
図3(b)に示すように、包装フィルムに印字された商品の文字情報と、おにぎりRを囲繞した巻き海苔Nとが略平行な状態を形成できず見栄えが悪い。正形態と判断されたおにぎりRを包装フィルムで包装した場合、包装フィルムに印字された商品の文字情報と、おにぎりRを囲繞した巻き海苔Nとが略平行な状態を形成でき、商品としての見栄えを向上できる。
【0036】
判定部22aは、撮像した巻き海苔Nと正形態の巻き海苔Nの角度を比較して、おにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nが前述の角度範囲内であれば正形態であると判定する。判定部22aで正形態と判定されたおにぎりRは、一列目搬送ベルト30を構成する分岐部32に受け渡される。
【0037】
また、判定部22aは、撮像した巻き海苔Nの形態と正形態の巻き海苔Nの形態とを比較して、おにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nが前述の角度範囲から外れている場合、誤形態であると判定して、コンベアベルト12aから一列目搬送ベルト30の分岐部32におにぎりRを受け渡した後、後述の不良品排斥機構60におにぎりRを排斥する。
【0038】
一列目搬送ベルト30は、間隔調整ベルト10の後端部に連続して配設し、間隔調整ベルト10によって一定間隔離間したおにぎりRをおにぎり包装装置300の近傍まで搬送するための搬送コンベアである。
【0039】
一列目搬送ベルト30は、
図4および
図5に示すように、おにぎり包装装置300の近傍までおにぎりRを搬送する位置調整部31と、後述の押出し機構50により搬送するおにぎりRを二列目搬送ベルト40、不良品排斥機構60または位置調整部31のいずれかに受け渡すための分岐部32とを有している。
【0040】
分岐部32は、間隔調整ベルト10の搬送方向と同一の方向におにぎりRを搬送可能とした無端状のコンベアベルトである。コンベアベルト32aは、左側に不良品排斥機構60を配設し、右側に二列目搬送ベルト40を配設している。また、分岐部32および二列目搬送ベルト40との間には、図示しないローラコンベアを配設しており、当該ローラコンベアの上方に押出し機構50を配設している。
【0041】
位置調整部31は、分岐部32に連続して配設した無端状のコンベアベルト31aであり、始端部の左側に位置調整装置33を配設している。
位置調整装置33は、コンベアベルト31aに載置されるおにぎりRのコンベアベルト31a上面における左右位置を調整するための装置である。
【0042】
位置調整装置33は、進退自在に構成した押圧調整部33aと、押圧調整部33aの進退動作を制御するための制御部33bとを有している。
【0043】
押圧調整部33aは、略平板状の板体であり、前端部(
図4の右側)を前部側から後部側に向けて拡開している。これにより押圧調整部33aは、コンベアベルト31a上面のおにぎりRを押圧する際、おにぎりRの周面を面で押圧することとなり、おにぎりRを変形させる虞を可及的に低減できる。また、押圧調整部33aは、制御部33bによってコンベアベルト31aの進行方向と直交する向きに進退自在に構成している。
【0044】
制御部33bは、押圧調整部33aの左側後方に位置するサーボ機構であり、押圧調整部33aを所定の距離だけ進退自在としている。制御部33bは、センサカメラ13の検知情報と連動して動作するように構成している。すなわち、制御部33bは、センサカメラ13がおにぎりRを検知すると、その検知信号を受信し、信号受信後の一定時間経過後に押圧調整部33aの前進動作を開始するように構成している。これにより、一列目搬送ベルト30の位置調整装置33近傍まで搬送されたおにぎりRは、押圧調整部33aの前進動作によりコンベアベルト31aの左右略中央部に位置するように位置調整されておにぎり包装装置300の近傍まで搬送される。
【0045】
二列目搬送ベルト40は、一列目搬送ベルト30に並設しており、一列目搬送ベルト30と同様におにぎり包装装置300の近傍までおにぎりRを搬送するためのコンベアベルトである。
【0046】
二列目搬送ベルト40は、おにぎりRを所定の方向に搬送するための無端状のコンベアベルト41と、分岐部32から移送したおにぎりRをコンベアベルト41の左右略中央に載置するための位置調整機構42と、を有している。コンベアベルト41は、並設した位置調整部31および分岐部32を足し合わせた全長と略同一長に構成している。
【0047】
コンベアベルト41は、始動タイミングをセンサカメラ13で制御している。すなわち、センサカメラ13がおにぎりRを検知するとコンベアベルト41が作動するように構成している。これにより、コンベアベルト41は、一列目搬送ベルト30の位置調整部31と略同一のタイミングで始動できる。また、コンベアベルト41は、間欠的に動作している。この間欠動作は、コンベアベルト31aの間欠動作と同期している。これにより、一列目搬送ベルト30と二列目搬送ベルト40に載置されたおにぎりR、Rは、前後の位置関係を維持しつつ並列しておにぎり包装装置300の近傍まで搬送される。
なお、おにぎり包装装置300は、
図4に示すように、平面視略円形状に構成している。そのため、一列目搬送ベルト30の終端部からおにぎり包装装置300のおにぎりRが投入される所定箇所までの距離aと、二列目搬送ベルト40の終端部からおにぎり包装装置300のおにぎりRが投入される所定箇所までの距離bと、を比較すると、距離bが距離aよりも長距離となる。そのため、二列目搬送ベルト40に載置されるおにぎりRは、一列目搬送ベルト30に載置されたおにぎりRよりも距離bと距離aの差分だけ進行方向の前方に位置するように載置している。これにより、各ベルト30、40に載置したおにぎりR、Rを共通の移動距離cだけ移動することによりおにぎり包装装置300に移載できる。
【0048】
押出し機構50は、間隔調整ベルト10で間隔を調整されたおにぎりRを二列目搬送ベルト40、不良品排斥機構60、または一列目搬送ベルト30の位置調整部31のいずれかに振り分ける搬送されたおにぎりRの振り分け装置である。
【0049】
押出し機構50は、
図5(a)、(b)に示すように、支持台Sに内包した図示しない電動アクチュエータに連結し上下左右に移動自在とした支持アーム部51と、支持アーム部51の先端部に連結した押出しアーム52と、を有している。これにより、押出しアーム52は、支持アーム部51の上下左右の動きに連動して上下左右に自由に移動できる。
【0050】
支持アーム部51は、略L字状の部材を2つ連結した構成であり、先端部を一列目搬送ベルト30と二列目搬送ベルト40との間に配設した図示しないローラコンベアの上方に位置している。支持アーム部51の先端部には、押出しアーム52を垂設している。
【0051】
押出しアーム52は、
図4及び
図5(a)、(b)に示すように、押出し部52aと、押出し部52aの前端下部から右側に延設した受部52bとを連結して平面視略L字状に構成している。
【0052】
押出し部52aは、
図1および
図5(a)、(b)に示すように、略平板状で右側面の平坦に形成した引き込み部52cと、左側面の上下略中央部から下端部にかけて右側に傾斜した切り欠け部52dとを有している。
切り欠け部52dの傾斜角度は、鉛直面に対して略25度に構成している。これにより、一列目搬送ベルト30と二列目搬送ベルト40との間隔を近接しても、分岐部32から位置調整部31に直進するおにぎりRに押出し部52aが干渉する虞がない。また、押出し部52aは切り欠け部52dを有することで一列目搬送ベルト30と二列目搬送ベルト40とをできるだけ近接することができ、一列目搬送ベルト30から二列目搬送ベルト40に移送するおにぎりRの移動距離を短くして移送によるおにぎりRへのダメージを小さくしておにぎりRが型崩れする虞を低減できる。また、一列目搬送ベルト30と二列目搬送ベルト40との間には、図示しないローラコンベアを配設している。これにより、一列目搬送ベルト30から二列目搬送ベルト40におにぎりRを受け渡す際、おにぎりRの底面が摺る距離を低減して、おにぎりRが型崩れする虞を低減できる。
【0053】
押出し部52aは、前端部近傍の下部に右側に向けて受部52bを延設している。
受部52bは、押出し部52aとの連結基端部におにぎりRの半径と略同一径の円弧部52eを有している。これにより、分岐部32のコンベアベルト32aから二列目搬送ベルト40におにぎりRを移送する際、おにぎりRと円弧部52eとの接触面積を増大して、移送する際のおにぎりR周面への受部52bによる押圧力が分散されておにぎりRが変形する虞を可及的に低減できる。
【0054】
不良品排斥機構60は、監視カメラ20で撮像されたおにぎりRの巻き海苔Nの向きが誤形態と判断された場合に搬送ラインからおにぎりRを排斥するための不良品排斥部である。
【0055】
不良品排斥機構60は、分岐部32に直交する向きに延設した排斥ベルト61と、排斥ベルト61の先端部に位置する修正ボックス62と、を有している。
【0056】
排斥ベルト61は、
図4に示すように、分岐部32に直交する向きのうち左側に延設している。排斥ベルト61は、押出し機構50の動きに連動して動作するように構成している。すなわち、排斥ベルト61は、切り欠け部52dでおにぎりRを左側に押出す動作をした際、その動きに連動しておにぎりRの直径と略同径分だけ回転動作する。これにより、排斥ベルト61は、必要な場合にのみ動作して排斥ベルト61の上面におにぎりRをできるだけ保持できる。
【0057】
また、排斥ベルト61の先端部には、修正ボックス62を配設している。修正ボックス62は、上方開口の箱形状に形成しており、監視カメラ20で誤形態と判断され、排斥ベルト61に排斥されたおにぎりRのうち、排斥ベルト61の上面に収まりきらなかったもののみを収納する箱体である。
【0058】
修正ボックス62は、平面視略矩形状で排斥ベルト61の終端部下方に配設した辺の長さを排斥ベルト61の進行方向に対する左右幅よりも長く形成している。また、修正ボックス62の開口部は、上方に向けて拡開形状に構成しており、上方から落下投入されるおにぎりRが修正ボックス62の外に落下しないように構成している。
なお、排斥ベルト61に載置、または修正ボックス62に収納されたおにぎりRは、おにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nが搬送方向に対して垂直となる方向からずれたことによる不良である。そのため、誤形態と判定されたおにぎりRは、作業従事者によっておにぎりRに巻き付けた巻き海苔Nが正形態となるようにコンベアベルト11aに再度載置され、再度正誤判定部22で良否を判断して、正形態と判定された場合に、おにぎり包装装置300で包装され、商品形態となる。
【0059】
一列目搬送ベルト30および二列目搬送ベルト40の終端部近傍には、各搬送ベルトからおにぎり包装装置300におにぎりRを投入するための移載装置70を配設している。
【0060】
移載装置70は、一列目搬送ベルト30および二列目搬送ベルト40の先端部からおにぎり包装装置300におにぎりR、Rを投入するための装置である。
【0061】
移載装置70は、
図6(a)、(b)に示すように、支持台Sに収納した制御部と、制御部に連結した支持アーム部71と、支持アーム部71の先端部に垂設した移載部72、72と、を有している。
【0062】
制御部は、前後方向および上下方向にそれぞれ進退自在に構成した電動のアクチュエータからなり、支持アーム部71を前後方向、上下方向に移動自在としている。
【0063】
支持アーム部71は、略L字状の部材を2つ連結して構成しており、先端部を一列目搬送ベルト30と二列目搬送ベルト40を合わせた左右幅と略同一幅になるように構成している。先端部は、一列目搬送ベルト30に該当する位置および二列目搬送ベルト40に該当する位置にそれぞれ移載部72、72を垂設している。
【0064】
移載部72は、おにぎりRを前方に一定距離だけ移動させるための移送装置である。
移載部72は、
図2及び
図6(a)、(b)に示すように、一列目搬送ベルト30と略同一幅に構成した第1凹部72aと、二列目搬送ベルト40と略同一幅に構成した第2凹部72bと、を有している。
【0065】
第1凹部72aおよび第2凹部72bは、おにぎりRの半径と略同一径とする円弧状に形成し、中央下部に半円弧形状の凹部を複数有する押圧部72c、72dを備えている。これにより、移載部72、72がおにぎりR、Rを前方に移動させる際、押圧部72c、72dとおにぎりR、R周面との接触面積が可及的に低減され、押圧部72c、72dにおにぎりRの米粒が残留する虞を可及的に低減できる。
【0066】
本実施形態にかかるおにぎり搬送仲介装置100は、以上のように構成されており、当該構成により、搬送途中の各コンベア間での受渡しの際におにぎりRが飛び出すことなく受渡しができ、さらに、一列目搬送ベルト30および二列目搬送ベルト40の終端部からおにぎり包装装置300におにぎりRを移し替える際におにぎりRが押圧変形することなく移し替えることができ、おにぎり製造装置200で製造されたおにぎりをおにぎり包装装置300まで効率よく搬送できる。また、おにぎり製造装置200からおにぎり包装装置300までおにぎりRを搬送する際、その中途部で搬送コンベアを2つに分けることで搬送速度を変化させることなく搬送されるおにぎりRの数量を増加できる。
【0067】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0068】
10 間隔調整ベルト
11 搬送部
11a コンベアベルト
12 間隔調整部
12a コンベアベルト
13 センサカメラ
20 監視カメラ
21 支持アーム
22 正誤判定部
22a 判定部
22b 判定出力部
30 一列目搬送ベルト
31 位置調整部
31a コンベアベルト
32 分岐部
32a コンベアベルト
33 整列部
33a 押圧調整部
33b 制御部
40 二列目搬送ベルト
41 コンベアベルト
50 押出し機構
51 支持アーム部
52 押出しアーム
52a 押出し部
52b 受部
52c 引き込み部
52d 切り欠け部
52e 円弧部
60 不良品排斥機構
61 排斥ベルト
62 修正ボックス
70 移載装置
71 支持アーム部
72 移載部
72a 第1凹部
72b 第2凹部
72c、72d 押圧部
100 おにぎり搬送仲介装置
200 おにぎり製造装置
300 おにぎり包装装置
S 支持台
N 巻き海苔
R おにぎり
a、b、c 距離