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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069916
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20220502BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20220502BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20220502BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20220502BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220502BHJP
【FI】
H01M2/10 K
B62D21/00
B23K20/12 364
F16B5/08 Z
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178865
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真三樹
(72)【発明者】
【氏名】今村 美速
(72)【発明者】
【氏名】今井 智恵子
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
3J001
4E167
5H040
【Fターム(参考)】
3D203BA16
3D203BB14
3D203CA04
3D203CA57
3D203CA73
3D203CA74
3D203CB04
3D203CB05
3D203CB06
3D203CB07
3D203CB29
3D203DA20
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB18
3D235BB19
3D235BB20
3D235BB36
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF12
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH04
3D235HH42
3D235HH52
3D235HH55
3J001FA02
3J001GA03
3J001GB01
3J001HA02
3J001JD11
3J001KA19
3J001KA21
3J001KB01
4E167AA06
4E167BG25
4E167DA10
5H040AA03
5H040AA14
5H040AS07
5H040CC59
(57)【要約】
【課題】耐衝撃性に優れ、しかも、容易に作製することが可能な格子状の構造体を提供する。
【解決手段】複数の第1骨格部11と複数の第2骨格部12とが直交に配列されて格子状に構成され、第1骨格部11と第2骨格部12とで囲われた複数の空間部Sを有した構造体100であって、互いに重ね合わされて接合される二つの板状部材21,22を備え、二つの板状部材21,22が格子状に形成され、第1骨格部11及び第2骨格部12が閉断面とされている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1骨格部と複数の第2骨格部とが直交に配列されて格子状に構成され、前記第1骨格部と前記第2骨格部とで囲われた複数の空間部を有した構造体であって、
互いに重ね合わされて接合される二つの板状部材を備え、
前記二つの板状部材の少なくとも一方が格子状に形成され、
前記第1骨格部及び前記第2骨格部の少なくとも一方が閉断面とされている、
構造体。
【請求項2】
前記格子状の前記板状部材は、前記空間部となる穴部が打ち抜かれて格子状に形成されている、
請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記格子状の前記板状部材は、前記穴部の縁部が屈曲されて凹状の断面形状に形成されている、
請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記二つの板状部材がそれぞれ格子状に形成されるとともに前記凹状の断面に形成され、前記凹状の断面の開放側を対向させて互いに重ね合わされて接合され、前記凹状の断面部分が前記閉断面とされている、
請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記二つの板状部材は、
一方が前記空間部となる穴部が打ち抜かれて格子状に形成された打抜板からなり、
他方が前記打抜板に重ね合わされることにより前記閉断面を形成する凹部を有する成形材からなる、
請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記成形材は、複数の押出材を面方向へ接合させることにより構成されている、
請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記押出材は、底壁部と、側壁部とを有し、前記側壁部の上縁に幅広部を有する、
請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
前記打抜板には、前記空間部となる前記穴部の縁部にリブが形成されている、
請求項5~7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
前記板状部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力により駆動する車両(電気自動車、ハイブリッド自動車等を含む)の開発が進展している。このような車両に搭載する電池システムでは、一般的に、多数のバッテリ(電池、電池セル)を所定のフレーム等により構成した構造体に収納される。このような電池システムの構造体としては、バッテリーが収容可能な収容空間を有する格子状に形成されたものがある。
【0003】
特許文献1には、構造体における格子を構成する技術として、アルミニウム製押出型材からな二つの部材に形成した嵌合用切欠きを互いに嵌合させて十字状に組合せ、その嵌合部を摩擦溶接法によって接合させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-323179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の技術では、互いに接合させるそれぞれの部材に切欠きを形成するため、強度低下を招いてしまい、十分な耐衝撃性が得られないおそれがある。
【0006】
また、部材同士を接合させるために、互いに嵌合可能な切欠きを各部材に精度良く形成する複雑な加工作業及び切欠きの嵌合部を全周にわたって摩擦溶接法によって接合させる煩雑な接合作業が必要であった。
【0007】
そこで本発明は、耐衝撃性に優れ、しかも、容易に作製することが可能な格子状の構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記構成からなる。
複数の第1骨格部と複数の第2骨格部とが直交に配列されて格子状に構成され、前記第1骨格部と前記第2骨格部とで囲われた複数の空間部を有した構造体であって、
互いに重ね合わされて接合される二つの板状部材を備え、
前記二つの板状部材の少なくとも一方が格子状に形成され、
前記第1骨格部及び前記第2骨格部の少なくとも一方が閉断面とされている、
構造体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、しかも、容易に作製することが可能な格子状の構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る構造体の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る構造体の分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係る構造体の構造を示す図であって、(A)は第1骨格部を断面視した斜視図、(B)は第1骨格部の断面図である。
図4】第1実施形態の変形例に係る構造体の斜視図である。
図5】第1実施形態の変形例に係る構造体の分解斜視図である。
図6】第2実施形態に係る構造体の斜視図である。
図7】第2実施形態に係る構造体の分解斜視図である。
図8】第2実施形態に係る構造体の構造を示す図であって、(A)は第1骨格部を断面視した斜視図、(B)は第1骨格部の断面図である。
図9】成形材からなる板状部材を構成する押出材の斜視図である。
図10】リブを設けた打抜板からなる板状部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る構造体について説明する。
図1は、第1実施形態に係る構造体100の斜視図である。図2は、第1実施形態に係る構造体100の分解斜視図である。図3は、第1実施形態に係る構造体100の構造を示す図であって、(A)は第1骨格部11を断面視した斜視図、(B)は第1骨格部11の断面図である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る構造体100は、車載用のバッテリートレイを構成するフレームとして用いられる。バッテリートレイは、例えば、電力により駆動する車両(電気自動車、ハイブリッド自動車等を含む)の車体フロアの下側に配置されて車体に固定される。バッテリートレイのフレームとして用いられる構造体100は、複数の空間部Sを有する格子状に構成されている。構造体100に設けられた空間部Sには、バッテリーが収容可能とされている。
【0013】
構造体100は、縦方向に沿う複数の第1骨格部11と横方向に沿う複数の第2骨格部12とが直交に配列されている。これにより、構造体100は、第1骨格部11と第2骨格部12とが交差する複数のクロス部Cを有する格子状に構成されている。そして、第1骨格部11と第2骨格部12とで囲われた部分が空間部Sとされている。
【0014】
図2図3の(A)及び(B)に示すように、構造体100は、二つの板状部材21,22を備えている。構造体100は、板状部材21,22を互いに重ね合わせて接合することにより構成されている。
【0015】
これらの板状部材21,22は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用することが好ましいが、これに限定されない。板状部材21,22に使用されるアルミニウム合金としては、例えば、強度が優れて、より薄肉化が可能である点で、JIS乃至AAで言う5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金が適用される。
【0016】
板状部材21,22は、それぞれプレス成形による穴あけ加工によって空間部Sとなる穴部25を形成することにより格子状に形成されている。これにより、板状部材21,22は、縦方向に延びる縦延在部27と横方向に延びる横延在部29とを有している。
【0017】
また、板状部材21,22は、プレス成形による絞り加工によって穴部25の縁部が同一方向へ屈曲されて凹状の断面形状に形成されている。これにより、板状部材21,22の縦延在部27及び横延在部29は、平板部31と、平板部31の両側縁から立ち上がる側板部33とを有する断面形状とされている。また、縦延在部27及び横延在部29には、側板部33の縁部を側方へ屈曲させることによりフランジ部35が形成されている。
【0018】
板状部材21,22は、凹状の断面の開放側を対向させて互いに重ね合わされている。そして、重ね合わせた状態で、縦延在部27及び横延在部29のフランジ部35同士が接合される。フランジ部35同士は、穴部25に沿って連続的に接合される。これにより、板状部材21,22は、縦延在部27及び横延在部29のフランジ部35が接合されて構造体100とされる。フランジ部35同士を接合する方式としては、摩擦撹拌工具41(図3の(B)参照)による摩擦撹拌接合(FSW:Friction Stir Welding)が好ましい。
【0019】
この構造体100は、互いに突き合わされた縦延在部27及び横延在部29が第1骨格部11及び第2骨格部12とされる。この第1骨格部11及び第2骨格部12は、縦延在部27及び横延在部29のフランジ部35が接合部43で封鎖された閉断面を有する。このように接合部43で封鎖された閉断面を有する第1骨格部11及び第2骨格部12を備えた構造体100は、内部空間NSが接合部43でシールされる。つまり、内部空間NSのシール性に優れた構造体100とされる。なお、構造体100の第1骨格部11及び第2骨格部12のシール性に優れた内部空間NSは、例えば、バッテリーに接続されるケーブルの配索スペースや冷却媒体を流す流路として用いることが可能である。
【0020】
なお、フランジ部35同士の接合方法としては、摩擦撹拌接合法に限らず、例えば、レーザ溶接(Laser beam welding)、MIG溶接(Metal Insert Gas Welding)、TIG溶接(Tungsten Inert Gas Welding)等の各種溶接法を利用することができる。なお、内部空間NSのシール性が不要の場合は、スポット溶接によって縦延在部27及び横延在部29のフランジ部35を完結的に接合してもよい。
【0021】
以上、説明したように、第1実施形態に係る構造体100によれば、複数の第1骨格部11と複数の第2骨格部12とが直交に配列されて格子状に構成され、第1骨格部11と第2骨格部12とで囲われた複数の空間部Sを有している。これにより、例えば、空間部Sをバッテリーの収容空間とした電池システムのフレームとして好適に用いることができる。
【0022】
また、この構造体100は、格子状に形成された二つの板状部材21,22を互いに重ね合わせて接合させることにより、容易に作製することができる。また、第1骨格部11及び第2骨格部12が閉断面を有するので、優れた耐衝撃性を得ることができる。しかも、二つの板状部材21,22から構成されているので、骨格となる複数の部材を格子状に組み合わせる構造体と比べ、部品点数の削減による低コスト化、剛性及び精度の向上を図ることができる。
【0023】
また、この構造体100は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板状部材21,22によって構成されているので、高い強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。
【0024】
また、構造体100を構成する格子状の板状部材21,22は、空間部Sとなる穴部25が打ち抜かれて格子状に形成されている。つまり、打ち抜き加工によって、空間部Sとなる穴部25が形成された格子状の板状部材21,22を容易に作製することができる。
【0025】
しかも、板状部材21,22は、穴部25の縁部が屈曲されて凹状の断面形状に形成されているので、強度を高めることができる。
【0026】
また、構造体100によれば、凹状の断面形状を有する格子状の板材部材21,22同士を、凹状の断面の開放側を対向させて互いに重ね合わせて接合させることにより、閉断面の第1骨格部11及び第2骨格部12を有する耐衝撃性に優れた構造体とすることができる。
【0027】
次に、第1実施形態に係る構造体100の変形例について説明する。
なお、第1実施形態と同一構造部分は同一符号を付して説明を省略する。
図4は、第1実施形態の変形例に係る構造体100Aの斜視図である。図5は、第1実施形態の変形例に係る構造体100Aの分解斜視図である。
【0028】
図4及び図5に示すように、変形例に係る構造体100Aでは、格子状の板状部材22に代えて、平板状の板状部材22Aを備えている。
【0029】
板状部材21は、凹状の断面の開放側を板状部材22Aに向けて重ね合わされている。そして、重ね合わせた状態で、板状部材21の縦延在部27及び横延在部29のフランジ部35が穴部25に沿って連続的に板状部材22Aに接合されている。
【0030】
この構造体100Aは、平板状の板状部材22Aに接合された板状部材21の縦延在部27及び横延在部29が第1骨格部11及び第2骨格部12とされる。この第1骨格部11及び第2骨格部12は、縦延在部27及び横延在部29がフランジ部35で封鎖された閉断面を有する。
【0031】
この構造体100Aによれば、格子状に形成された板状部材21と平板状の板状部材22Aを互いに重ね合わせて接合させることにより、容易に作製することができる。また、第1骨格部11及び第2骨格部12が閉断面を有するので、優れた耐衝撃性を得ることができる。しかも、二つの板状部材21,22Aから構成されているので、骨格となる複数の部材を格子状に組み合わせる構造体と比べ、部品点数の削減による低コスト化、剛性及び精度の向上を図ることができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る構造体について説明する。
図6は、第2実施形態に係る構造体200の斜視図である。図7は、第2実施形態に係る構造体200の分解斜視図である。図8は、第2実施形態に係る構造体200の構造を示す図であって、(A)は第1骨格部51を断面視した斜視図、(B)は第1骨格部51の断面図である。図9は、成形材からなる板状部材62を構成する押出材71の斜視図である。
【0033】
図6に示すように、第2実施形態に係る構造体200の場合も、車載用のバッテリートレイを構成するフレームとして用いられる。バッテリートレイのフレームとして用いられる構造体200は、複数の空間部Sを有する格子状に構成されている。構造体200に設けられた空間部Sには、バッテリーが収容可能とされている。
【0034】
構造体200は、縦方向に沿う複数の第1骨格部51と横方向に沿う複数の第2骨格部52とが直交に配列されている。これにより、構造体200は、第1骨格部51と第2骨格部52とが交差する複数のクロス部Cを有する格子状に構成されている。そして、第1骨格部51と第2骨格部52とで囲われた部分が空間部Sとされている。
【0035】
図7図8の(A)及び(B)に示すように、構造体200は、二つの板状部材61,62を備えている。構造体200は、板状部材61,62を互いに重ね合わせて接合することにより構成されている。
【0036】
これらの板状部材61,62は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用することが好ましいが、これに限定されない。板状部材61,62に使用されるアルミニウム合金としては、例えば、強度が優れて、より薄肉化が可能である点で、JIS乃至AAで言う5000系、6000系、7000系などのアルミニウム合金が適用される。
【0037】
板状部材61は、プレス成形による穴あけ加工によって空間部Sとなる穴部65を形成することにより格子状に形成された打抜板である。この板状部材61は、縦方向に延びる縦延在部67と横方向に延びる横延在部69とを有している。
【0038】
板状部材61が重ね合わされる板状部材62は、複数の押出材71を接合させた成形材である。
【0039】
図9に示すように、板状部材62を構成する押出材71は、底壁部73と、底壁部73に一体に成形された側壁部75とを有している。底壁部73は、押出方向が長手方向とされた平面視長方形状に形成されている。側壁部75は、底壁部73の両縁部近傍にそれぞれ立設されており、長手方向に沿って延在されている。側壁部75には、その上縁に、幅方向へ張り出す幅広部77が長手方向にわたって形成されている(図8の(A)及び(B)参照)。
【0040】
板状部材62は、複数の押出材71の両側縁部同士を互いに接合することにより構成されている。これらの押出材71同士の接合には、例えば、摩擦撹拌接合、レーザ溶接、MIG溶接、TIG溶接等の各種溶接法を利用することができる。
【0041】
複数の押出材71を接合させて構成された板状部材62は、押出材71同士の接合箇所に、底壁部73と側壁部75とから構成される凹部79を有している。
【0042】
板状部材61,62は、板状部材62の凹部79の開放側を板状部材61側に向けて互いに重ね合わされている。そして、重ね合わせた状態で、板状部材61の縦延在部67と板状部材62の側壁部75の上縁とが接合される。縦延在部67と側壁部75とは、それぞれの長手方向に沿って連続的に接合される。これにより、板状部材61,62は、縦延在部67と側壁部75とが接合されて構造体200とされる。縦延在部67と側壁部75とを接合する方式としては、摩擦撹拌工具81(図8の(B)参照)による摩擦撹拌接合が好ましい。このとき、側壁部75の上縁には、幅方向へ張り出す幅広部77が設けられているので、摩擦撹拌工具81によって縦延在部67を側壁部75の上縁へ円滑に接合させることができる。
【0043】
この構造体200は、板状部材61の縦延在部67及び横延在部69が第1骨格部51及び第2骨格部52とされる。一方の第1骨格部51は、縦延在部67と板状部材62の凹部79とが接合部83で長手方向にわたって封鎖された閉断面を有する。このように接合部83で長手方向にわたって封鎖された閉断面を有する第1骨格部51を備えた構造体200は、内部空間NSが接合部83でシールされる。つまり、内部空間NSのシール性に優れた構造体200とされる。なお、構造体200の第1骨格部11のシール性に優れた内部空間NSは、例えば、バッテリーに接続されるケーブルの配索スペースや冷却媒体を流す流路として用いることが可能である。
【0044】
なお、縦延在部67と側壁部75との接合方法としては、摩擦撹拌接合法に限らず、例えば、レーザ溶接、MIG溶接、TIG溶接等の各種溶接法を利用することができる。なお、内部空間NSのシール性が不要の場合は、スポット溶接によって縦延在部67と側壁部75とを長手方向に沿って完結的に接合してもよい。
【0045】
以上、説明したように、第2実施形態に係る構造体200によれば、複数の第1骨格部51と複数の第2骨格部52とが直交に配列されて格子状に構成され、第1骨格部51と第2骨格部52とで囲われた複数の空間部Sを有している。これにより、例えば、空間部Sをバッテリーの収容空間とした電池システムのフレームとして好適に用いることができる。
【0046】
また、この構造体200は、格子状に形成された打抜板からなる板状部材61と凹部79を有する成形材からなる板状部材62とを互いに重ね合わせて接合させることにより、容易に作製することができる。また、第1骨格部51が閉断面を有するので、優れた耐衝撃性を得ることができる。しかも、二つの板状部材61,62から構成されているので、骨格となる複数の部材を格子状に組み合わせる構造体と比べ、部品点数の削減による低コスト化、剛性及び精度の向上を図ることができる。
【0047】
また、この構造体200の場合も、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板状部材61,62によって構成されているので、高い強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。
【0048】
また、構造体200を構成する格子状の板状部材61は、空間部Sとなる穴部65が打ち抜かれて格子状に形成されている。つまり、打ち抜き加工によって、空間部Sとなる穴部65が形成された格子状の板状部材61を容易に作製することができる。
【0049】
しかも、成形材からなる板状部材62は、複数の押出材71を面方向へ接合させることにより容易に作製することができる。
【0050】
なお、第2実施形態に係る構造体200において、打抜板からなる板状部材61としては、図10に示すように、空間部Sとなる穴部65の縁部に、絞り加工やバーリング加工によってリブ87を形成するのが好ましい。このように、穴部65の縁部にリブ87を形成することにより、打抜板からなる板状部材61の強度を高めて全体の剛性を向上させることができる。なお、リブ87は、空間部Sとなる穴部65の縁部に全周にわたって形成するのが好ましいが、穴部65の縁部に間欠的に形成してもよい。
【0051】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0052】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 複数の第1骨格部と複数の第2骨格部とが直交に配列されて格子状に構成され、前記第1骨格部と前記第2骨格部とで囲われた複数の空間部を有した構造体であって、
互いに重ね合わされて接合される二つの板状部材を備え、
前記二つの板状部材の少なくとも一方が格子状に形成され、
前記第1骨格部及び前記第2骨格部の少なくとも一方が閉断面とされている、構造体。
この構造体によれば、複数の第1骨格部と複数の第2骨格部とが直交に配列されて格子状に構成され、第1骨格部と第2骨格部とで囲われた複数の空間部を有している。これにより、例えば、空間部をバッテリーの収容空間とした電池システムのフレームとして好適に用いることができる。
この構造体は、少なくとも一方が格子状に形成された二つの板状部材を互いに重ね合わせて接合させることにより、容易に作製することができる。また、第1骨格部及び第2骨格部の少なくとも一方が閉断面を有するので、優れた耐衝撃性を得ることができる。しかも、二つの板状部材から構成されているので、骨格となる複数の部材を格子状に組み合わせる構造体と比べ、部品点数の削減による低コスト化、剛性及び精度の向上を図ることができる。
【0053】
(2) 前記格子状の前記板状部材は、前記空間部となる穴部が打ち抜かれて格子状に形成されている、(1)に記載の構造体。
この構造体によれば、打ち抜き加工によって、空間部となる穴部が形成された格子状の板状部材を容易に作製することができる。
【0054】
(3) 前記格子状の前記板状部材は、前記穴部の縁部が屈曲されて凹状の断面形状に形成されている、(2)に記載の構造体。
この構造体によれば、格子状の板状部材は、穴部の縁部が屈曲されて凹状の断面形状に形成されているので、格子状の板状部材の強度を高めることができる。
【0055】
(4) 前記二つの板状部材がそれぞれ格子状に形成されるとともに前記凹状の断面に形成され、前記凹状の断面の開放側を対向させて互いに重ね合わされて接合され、前記凹状の断面部分が前記閉断面とされている、(3)に記載の構造体。
この構造体によれば、凹状の断面形状を有する格子状の板状部材同士を、凹状の断面の開放側を対向させて互いに重ね合わせて接合させることにより、閉断面の骨格部を有する耐衝撃性に優れた構造体とすることができる。
【0056】
(5) 前記二つの板状部材は、
一方が前記空間部となる穴部が打ち抜かれて格子状に形成された打抜板からなり、
他方が前記打抜板に重ね合わされることにより前記閉断面を形成する凹部を有する成形材からなる、(1)に記載の構造体。
この構造体によれば、格子状に形成された打抜板と、凹部を有する成形材とを重ね合わせて接合させることにより、成形材の凹部が打抜板によって閉鎖されて閉断面とされた骨格部を有する耐衝撃性に優れた構造体とすることができる。
【0057】
(6) 前記成形材は、複数の押出材を面方向へ接合させることにより構成されている、(5)に記載の構造体。
この構造体によれば、複数の押出材を面方向へ接合させることにより、打抜板に接合させる成形材を容易に作製することができる。
【0058】
(7) 前記押出材は、底壁部と、側壁部とを有し、前記側壁部の上縁に幅広部を有する、(6)に記載の構造体。
この構造体によれば、摩擦撹拌工具によって縦延在部を側壁部の上縁へ円滑に接合させることができる。
【0059】
(8) 前記打抜板には、前記空間部となる前記穴部の縁部にリブが形成されている、(5)~(7)のいずれか一つに記載の構造体。
この構造体によれば、打抜板における空間部となる穴部の縁部にリブが形成されているので、打抜板の強度を高めて全体の剛性を向上させることができる。
【0060】
(9) 前記板状部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる、(1)~(8)のいずれか一つに記載の構造体。
この構造体によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる板状部材によって構成されているので、高い強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。
【符号の説明】
【0061】
11,51 第1骨格部
12,52 第2骨格部
21,22,22A,61,62 板状部材
25,65 穴部
71 押出材
79 凹部
87 リブ
100,100A,200 構造体
S 空間部
図1
図2
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図10