(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006995
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】張出し歩道ブロック、及び張出し歩道ブロックを用いた歩道の構築方法
(51)【国際特許分類】
E01C 1/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
E01C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109614
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】591077678
【氏名又は名称】インフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】カタパディ ドゥルバ ナラヤナ
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章次
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AB03
2D051AF03
2D051BA06
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、施工作業性の向上を図った張出し歩道ブロック、及び張出し歩道ブロックを用いた歩道の構築方法を提供することにある。
【解決手段】張出し歩道ブロック1は、縦壁2と、該縦壁の上端から一方側に張出して形成されて先端部に立上がり部300を有する張出し床版3と、張出し床版を片持ち式に支持する埋設基礎部4と、を備え、張出し床版には、厚肉部3Aと、薄肉部3Bと、が交互に設けられ、厚肉部は、平坦な基準底面310と、該基準底面に対向する厚肉第1上面311と、該厚肉第1上面より上方に位置するとともに立上がり部の上面の一部を成す厚肉第2上面313と、を有し、薄肉部は、厚肉第1上面と同じ高さ位置にある薄肉第1上面321と、厚肉第2上面と同じ高さ位置にある薄肉第2上面323と、基準底面より上方に位置する薄肉第1底面324と、薄肉第1底面より上方に位置する薄肉第2底面325と、を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩道部を構築するために設置される張出し歩道ブロックであって、
上方に立設する縦壁と、
該縦壁の上端から一方側に張出して形成されて先端部に立上がり部を有する平面視が矩形状の張出し床版と、
該縦壁の下端に連続され、前記張出し床版と反対の他方側に延びて前記張出し床版を片持ち式に支持する埋設基礎部と、を備え、
前記張出し床版には、厚肉部と、薄肉部と、が前記一方に交差する交差方向に交互に設けられ、
前記厚肉部は、基端から前記一方側の先端まで連続する平坦な基準底面と、該基準底面に対向する厚肉第1上面と、該厚肉第1上面より上方に位置するとともに前記立上がり部の上面の一部を成す厚肉第2上面と、を有し、
前記薄肉部は、前記厚肉第1上面と同じ高さ位置にある薄肉第1上面と、前記厚肉第2上面と同じ高さ位置にあって前記立上がり部の上面の一部を成す薄肉第2上面と、前記基準底面より上方に位置する薄肉第1底面と、前記薄肉第2上面と対向する位置にあり、前記薄肉第1底面より上方に位置する薄肉第2底面と、を有していることを特徴とする張出し歩道ブロック。
【請求項2】
前記薄肉第2底面は、前記厚肉第1上面より上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の張出し歩道ブロック。
【請求項3】
前記埋設基礎部は、平面視が、前記縦壁側の基端から前記縦壁から前記他方側に離間した先端に進むにしたがって徐々に幅狭になるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の張出し歩道ブロック。
【請求項4】
前記厚肉部が、前記張出し床版の前記交差方向の両端部を構成することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の張出し歩道ブロック。
【請求項5】
前記厚肉部が、前記張出し床版の前記交差方向の中央部に設けられ、
中央部に位置する前記厚肉部には、前記厚肉第2上面に、手摺りを設置するための挿入部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の張出し歩道ブロック。
【請求項6】
前記張出し床版の前記交差方向の端面それぞれには、前記一方側の端部から前記他方側の端部まで連続する案内レールが設けられ、
前記案内レールは、隣接する前記張出し床版の間に設置される埋設型枠に係合されて、前記埋設型枠を前記他方側の端部まで案内することを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の張出し歩道ブロック。
【請求項7】
請求項1~6のうち何れか一項に記載の張出し歩道ブロックを複数用いた歩道の構築方法であって、
前記張出し床版の基端側または先端側を離隔させ、他方側を当接するように前記張出し歩道ブロックを、基礎の上に設置する設置工程と、
前記埋設基礎部を、前記基礎に固定する埋設基礎部固定工程と、
隣接する前記張出し床版の間に埋設型枠を設置して、前記張出し床版の間にコンクリートを打設する現場打ち工程と、を備えることを特徴とする歩道の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張出し歩道ブロック、及び張出し歩道ブロックを用いた歩道の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道幅員を確保しつつ、歩道部を構築するために車道から張り出して設置される片持ち式ブロックが知られている。従来の片持ち式ブロックは、歩道部を構成する張出し部と、該張出し部を片持ち式に支持するとともに車道に埋設される埋設部と、を有して構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の片持ち式ブロックは、埋設部を車道下に埋設し、張出し部を車道より道幅方向の外側に張り出させて設置する必要があった。このため、埋設部には、張出し部の自重に加えて、歩道に加わる荷重を支承するための重量が必要であり、現場までの搬送及び、現場での設置作業の負担が大きかった。即ち、施工作業性の向上が求められていた。
【0005】
本発明の目的は、施工作業性の向上を図った張出し歩道ブロック、及び張出し歩道ブロックを用いた歩道の構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、以下の本発明によって解決される。
即ち、本発明は、歩道部を構築するために設置される張出し歩道ブロックであって、 上方に立設する縦壁と、該縦壁の上端から一方側に張出して形成されて先端部に立上がり部を有する平面視が矩形状の張出し床版と、該縦壁の下端に連続され、前記張出し床版と反対の他方側に延びて前記張出し床版を片持ち式に支持する埋設基礎部と、を備え、前記張出し床版には、厚肉部と、薄肉部と、が前記一方に交差する交差方向に交互に設けられ、前記厚肉部は、基端から前記一方側の先端まで連続する平坦な基準底面と、該基準底面に対向する厚肉第1上面と、該厚肉第1上面より上方に位置するとともに前記立上がり部の上面の一部を成す厚肉第2上面と、を有し、前記薄肉部は、前記厚肉第1上面と同じ高さ位置にある薄肉第1上面と、前記厚肉第2上面と同じ高さ位置にあって前記立上がり部の上面の一部を成す薄肉第2上面と、前記基準底面より上方に位置する薄肉第1底面と、前記薄肉第2上面と対向する位置にあり、前記薄肉第1底面より上方に位置する薄肉第2底面と、を有していることを特徴とするものである。
【0007】
以上のような本発明によれば、張出し床版には、厚肉部と、薄肉部と、が交差方向に交互に設けられ、厚肉部は、基端から前記一方側の先端まで連続する平坦な基準底面と、該基準底面に対向する厚肉第1上面と、該厚肉第1上面より上方に位置するとともに立上がり部の上面の一部を成す厚肉第2上面と、を有し、薄肉部は、厚肉第1上面と同じ高さ位置にある薄肉第1上面と、厚肉第2上面と同じ高さ位置にあって立上がり部の上面の一部を成す薄肉第2上面と、基準底面より上方に位置する薄肉第1底面と、薄肉第2上面と対向する位置にあり、薄肉第1底面より上方に位置する薄肉第2底面と、を有している。これによれば、薄肉部が設けられていることによって、張出し床版の軽量化が図られる。これにより、埋設基礎部の重量を軽量化しても、張出し歩道ブロックを安定した姿勢で設置できる。このような張出し歩道ブロックを複数用いて歩道部を構築する際には、張出し歩道ブロックが軽量化されていることで、張出し歩道ブロックの現場までの搬送や、現場での設置作業の手間を軽減することができる。
【0008】
また、薄肉第2底面は、厚肉第1上面より上方に位置することが好ましい。これによれば、より一層、張出し床版の軽量化が図られる。
【0009】
また、埋設基礎部は、平面視が、縦壁側の基端から縦壁から他方側に離間した先端に進むにしたがって徐々に幅狭になるように形成されていることが好ましい。これによれば、車道のカーブに合わせて、張出し床版の先端(一端)側を離隔させ、基端(他端)側が当接するように張出し歩道ブロックを設置した場合に、隣接する張出し床版の一端部間の距離、及び隣接する張出し床版の他端部間の距離を最小限にすることができる。これにより、歩道部を構築するにあたり、隣接する張出し歩道ブロック間にコンクリートを現場打ちする際に、現場打ちするコンクリートの量を少なくすることができ、かつ工事期間を短縮することができる。
【0010】
また、厚肉部が、張出し床版の交差方向の両端部を構成することが好ましい。これによれば、張出し床版を安定した状態で設置できる。
【0011】
また、厚肉部が、張出し床版の交差方向の中央部に設けられ、中央部に位置する厚肉部には、厚肉第2上面に、手摺りを設置するための挿入部が設けられていることが好ましい。これによれば、挿入部を形成するための十分な深さを得ることができ、手摺りを安定した状態で設置できる。
【0012】
また、張出し床版の交差方向の端面それぞれには、一方側の端部から他方側の端部まで連続する案内レールが設けられ、案内レールは、隣接する張出し床版の間に設置される埋設型枠に係合されて、埋設型枠を他方側の端部まで案内することが好ましい。これによれば、作業性の向上を図りつつ、埋設型枠を安定した状態で設置することができる。
【0013】
一方、本発明は、請求項1~4のうち何れか一項に記載の張出し歩道ブロックを複数用いた歩道の構築方法であって、前記張出し床版の基端側または先端側を離隔させ、他方側を当接するように前記張出し歩道ブロックを、基礎の上に設置する設置工程と、前記埋設基礎部を、前記基礎に固定する埋設基礎部固定工程と、隣接する前記張出し床版の間に埋設型枠を設置して、前記張出し床版の間にコンクリートを打設する現場打ち工程と、を備えることを特徴とする歩道の構築方法である。
【0014】
以上のような本発明によれば、設置工程において、車道のカーブに合わせて、張出し床版の先端(一端)側を離隔させ、基端(他端)側が当接するように張出し歩道ブロックを設置した場合に、隣接する張出し床版の一端部間の距離、及び隣接する張出し床版の他端部間の距離を最小限にすることができる。これにより、現場打ちするコンクリートの量を少なくすることができ、かつ工事期間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薄肉部が設けられていることによって、張出し床版の軽量化が図られる。これにより、埋設基礎部の重量を軽量化しても、張出し歩道ブロックを安定した姿勢で設置できる。このような張出し歩道ブロックを複数用いて歩道部を構築する際には、張出し歩道ブロックが軽量化されていることで、張出し歩道ブロックの現場までの搬送や、現場での設置作業の手間を軽減することができる。これにより、施工作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる張出し歩道ブロックを示す斜視図である。
【
図2】前記張出し歩道ブロックを示す平面図である。
【
図5】前記張出し歩道ブロックを一方側から見た側面図である。
【
図6】前記張出し歩道ブロック間に埋設型枠が設置された様子を示す斜視図である。
【
図7】
図6の後工程を示す図であり、前記張出し歩道ブロック間にコンクリートが打設された様子を示す斜視図である。
【
図8】車道のカーブに合わせて、前記張出し歩道ブロックを設置する様子を示す平面図である。
【
図9】車道のカーブに合わせて、前記張出し歩道ブロックを設置する様子を示す平面図である。
【
図10】本発明の変形例にかかる張出し歩道ブロックを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる張出し歩道ブロック、及び張出し歩道ブロックを用いた歩道の構築方法を、
図1~9を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる張出し歩道ブロック1を示す斜視図である。
【0018】
張出し歩道ブロック1は、
図1に示すように、上方に立設する縦壁2と、該縦壁2の上端から一方側に張り出して形成されて先端部に立上がり部300を有する張出し床版3と、該縦壁2の下端から他方側に張り出して形成されて張出し床版3を片持ち式に支持する埋設基礎部4と、を備えて構成されている。
【0019】
この張出し歩道ブロック1は、車道幅員を確保しつつ、歩道部を構築するためのものであり、縦壁2及び埋設基礎部4の各設置面210、410が車道の端部に設置され、張出し床版3が車道から道幅方向の外側(一方側)張り出して設置される。張出し床版3によって、歩道部が構成される。
【0020】
なお、本実施形態では、縦壁2が立設する方向を「上下方向」と記し、張出し床版3及び埋設基礎部4が縦壁2から張出す方向を「左右方向」と記し、これら上下方向及び左右方向に直交する方向を「前後方向」と記す場合がある。また、「左右方向」において、縦壁2から張出し床版3が張出す方向を「(左右方向の)一方側」と記し、縦壁2から埋設基礎部4が延びる方向を「(左右方向の)他方側」と記す場合がある。
【0021】
縦壁2は、
図1、3に示すように、平坦な縦壁設置面210を含む縦壁基礎部21と、該縦壁基礎部21の上方に板状に立設される縦壁上方部22と、水抜き孔23(
図3に示す)と、を有して構成されている。
【0022】
縦壁基礎部21は、
図3、4に示すように、前後方向及び左右方向を含む平面から構成された縦壁設置面210と、該縦壁設置面210の一端部から立ち上がる立壁面211と、該立壁面211に連続するとともに、上方に向かうにしたがって左右方向の他方側に向けて傾斜する第1縦壁傾斜面212と、を有して構成されている。縦壁上方部22は、上下方向及び前後方向を含む平面上に延在する一方側の面221及び他方側の面222と、一方側の面221の上方に向かうにしたがって左右方向の一方側に傾斜する第2縦壁傾斜面223と、を有している。水抜き孔23は、
図3に示すように、縦壁上方部22の一方側の面221及び他方側の面222を貫通して設けられている。
【0023】
張出し床版3には、
図1、2に示すように、厚肉部3Aと、薄肉部3Bと、が、前後方向に交互に設けられている。厚肉部3Aは本実施形態では3個設けられ、薄肉部3Bは本実施形態では2個設けられている。
【0024】
厚肉部3Aは、張出し床版3の前後方向の両端部、及び、張出し床版3の前後方向の中央部に位置している。即ち、厚肉部3Aは、張出し床版3の前後方向の両端部を構成する。
【0025】
厚肉部3Aは、
図3に示すように、基準底面310と、基準底面310に対向する厚肉第1上面311と、該厚肉第1上面311の左右方向の一端部30aから立ち上がる厚肉立上面312と、該厚肉立上面312に連続する厚肉第2上面313と、基準底面310と厚肉第2上面313とに連続する厚肉先端面314と、を有している。
【0026】
基準底面310は、第2縦壁傾斜面223の上端に連続して、左右方向の一方側に延びて形成されている。厚肉第2上面313は、基準底面310に対向して、厚肉第1上面311より上方に位置している。
【0027】
薄肉部3Bは、
図3、4に示すように、厚肉第1上面311(
図3に示す)の前後方向に連続する薄肉第1上面321と、厚肉立上面312(
図3に示す)の前後方向に連続する薄肉立上面322と、厚肉第2上面313(
図3に示す)の前後方向に連続する薄肉第2上面323と、薄肉第1上面321に対向する薄肉第1底面324と、薄肉第2上面323に対向する薄肉第2底面325と、薄肉第1立上面326と、薄肉第2立上面327と、薄肉第2底面325と薄肉第2上面323とに連続する薄肉先端面328と、を有している。
【0028】
薄肉第1底面324は、基準底面310より上方に位置し、薄肉第2底面325より下方に位置している。この薄肉第1底面324は、平面視が矩形状に形成され、他端部は、張出し床版3の上面30の他端部30bから一方側に離間した位置にあり、一端部は、薄肉先端面328に連続して設けられている。
【0029】
薄肉第2底面325は、
図4に示すように、薄肉第1底面324より上方に位置し、かつ薄肉第1上面321と薄肉第2上面323との間に位置している。薄肉第1立上面326は、薄肉第1底面324から上方に立ち上がって薄肉第1底面324に連続する下方側立上面326Aと、下方側立上面326Aから上方に立ち上がって薄肉第2底面325に連続する上方側立上面326Bと、を有して構成されている。薄肉第2立上面327は、薄肉第1底面324の他端部において、上方に立ち上がって薄肉第2底面325に連続して設けられている。
【0030】
ここで、
図1に示すように、薄肉第1上面321は、厚肉第1上面311とともに、張出し床版3の上面30を構成する。張出し床版3の上面30は、左右方向の他方に進むにしたがって下方に向かう所定の勾配(2%)を有する勾配面から構成されている。勾配面は、張出し床版3の上面30の左右方向の一端部30aから他端部30bからまで連続形成されている。
図2に示すように、薄肉立上面322は、薄肉第1上面321の左右方向の一端部から立ち上がり、厚肉立上面312とともに、張出し床版3の立上面31を構成する。薄肉第2上面323は、厚肉第2上面313とともに、張出し床版3の立上がり部300の上面32を構成する。薄肉先端面328は、厚肉先端面314とともに、張出し床版3の一方側の先端面33を構成する。
【0031】
また、張出し床版3は、
図1、2に示すように、前後方向に対向する一対の側端面34、34(張出し床版の交差方向の端面)を有している。各側端面34は、基準底面310、厚肉第1上面311、厚肉立上面312、厚肉第2上面313、厚肉先端面314に囲まれている。各側端面34には、後述する鉄筋6を固定するためのアンカー部5(
図6に示す)が複数設けられている。
【0032】
さらに、張出し床版3には、不図示の手摺りを挿入するための挿入部35(挿入部)と、挿入凹部35の下方に連続する水抜き孔36と、が設けられている。挿入凹部35及び水抜き孔36は、立上がり部300の上面32における前後方向の中央部に設けられている。即ち、挿入凹部35及び水抜き孔36は、厚肉部3Aに設けられている。
【0033】
また、張出し床版3には、
図1、2に示すように、後述する埋設型枠Kを設置案内するための案内レール37が設けられている。案内レール37は、各側端面34の表面から凹に形成されるとともに張出し床版3の先端3a(
図2に示す)から基端30b(
図2に示す)まで連続形成されたレール部38と、該レール部38の下面に連続するとともに各側端面34の表面から張り出して形成されて埋設型枠Kを設置可能な設置部39と、を有して構成されている。この案内レール37は、レール部38に埋設型枠Kが係合されるとともに、埋設型枠Kが設置部39に載置されて、該埋設型枠Kを張出し床版3の先端3aから基端30b側までスライド案内する。
【0034】
埋設基礎部4は、
図1に示すように、平坦な基礎設置面410を含む板状の埋設部本体41と、該埋設部本体41に設けられたボルト固定用のボルト孔部42と、該埋設部本体41の他端部において、上方に立ち上がる立設壁部43と、を有して構成されている。
【0035】
埋設部本体41は、
図1に示すように、縦壁2の縦壁設置面210に連続して設けられる基礎設置面410と、該基礎設置面410の前後方向の各縁410c、410dから上方に連続する埋設側端面411(端面)と、該埋設側端面411の上端に連続するとともに該基礎設置面410に対向する埋設部上面412と、該埋設部上面412の一端部から斜め上方に向かう一方側傾斜面413と、を有している。
【0036】
また、
図2に示すように、各縁410c、410d間の前後方向の寸法は、縦壁2側の基端4aから他方側の先端4bに進むにしたがって徐々に幅狭になるように形成されている。これによれば、
図8に示すように、埋設基礎部4の前後方向(交差方向)の埋設側端面411(端面)同士が当接するように、複数の埋設基礎部4を設置することで、隣接する張出し床版3の一端部3a間の距離L21、及び隣接する張出し床版3の他端部30b間の距離を最小限にすることができる。
【0037】
ボルト孔部42は4個設けられている。4個のボルト孔部42は、前後方向に間隔をあけて設けられているとともに、埋設部本体41の左右方向の両端部に設けられている。各ボルト孔部42は、埋設部上面412及び基礎設置面410を貫通して設けられている。
【0038】
立設壁部43は、埋設部上面412の他端部から斜め上方に向かう他方側傾斜面431と、該他方側傾斜面431の上端に連続するとともに基礎設置面410に対向する壁部上面432と、該壁部上面432の他端部から下方に向かう壁部側面433と、を有して構成されている。
【0039】
次に、上述した張出し歩道ブロック1の各寸法について、
図2、3を参照して説明する。張出し床版3の上面30の左右方向の他端部30b(基端)から一端部3aまでの寸法L1が1520mm、張出し床版3の上面30の左右方向の基端30bから埋設基礎部4の他端部4bまでの寸法L2が900mm、張出し床版3の薄肉第1底面324の他端部324bから一端部3aまでの寸法L3が1170mm、張出し床版3の薄肉第1底面324の他端部324bから埋設基礎部4の他端部4bまでの寸法L4が1250mm、張出し床版3の前後方向の寸法L5が1500mm、埋設基礎部4の他端部4bにおける前後方向の寸法L6が1300mm、張出し床版3の一端部3aから埋設基礎部4の他端部4bまでの寸法L7が2420mm、縦壁基礎部21の立壁面211から張出し床版3の先端面33までの寸法L8が1270mm、縦壁基礎部21の立壁面211から埋設基礎部4の壁部側面433までの寸法L9が1150mm、張出し床版3の立上がり部300の上下寸法L10が230mm、埋設基礎部4の設置面410から張出し床版3の上面30の他端部30bまでの寸法L11が750mm、薄肉第1上面321から薄肉第1底面324までの張出し床版3の上面30の左右方向の一端部30aにおける上下寸法L12が60mm、厚肉第1上面311(薄肉第1上面321)から基準底面310までの張出し床版3の上面30の左右方向の一端部30aにおける上下寸法L13が90mm、薄肉第2上面323から薄肉第2底面325までの上下寸法L14が50mm、となるように形成した。なお、本実施形態において、上記各寸法等はあくまでも一例であり、本発明においては用途に応じて適宜設計すればよい。なお、寸法L1は1000mm~2600mm、寸法L2は500mm~1900mm、寸法L3は700mm~2100mm、寸法L4は800mm~2400mm、寸法L5は1000mm~2500mm、法L6は800mm~2300mm、寸法L7は1500mm~4500mm、寸法L8は800mm~2200mm、寸法L9は700mm~2300mm、寸法L10は200mm~250mm、寸法L11は500mm~2000mm、寸法L12は50mm~200mm、寸法L13は50mm~150mm、寸法L14は50mm~250mm、となるように形成されていてもよい。
【0040】
また、張出し歩道ブロック1には、
図1等に示すように、不図示のバールの先端を引っ掛ける切欠き部24が複数設けられている。各切欠き部24は、縦壁2および埋設基礎部4の各設置面210、410と、各設置面210、410に連続して立ち上がる面211、411、433との境界に位置する角部を切り欠いて形成されている。各切欠き部24は、所定の間隔をあけて適宜の位置に形成されている。
【0041】
次に、上述した張出し歩道ブロック1を用いた歩道の建築方法を説明する。
【0042】
まず、道路端を掘削し、基礎砕石や切込砕石を用いて整地して、その上に、基礎コンクリートを打設して養生することで、基礎面を得る。または、予め工場で型枠生産された基礎面を用いてもよい。この際、基礎面からアンカーボルトBが立設するように、所定の位置にアンカーボルトBを固定しておく。
【0043】
この後、予め工場で型枠生産された張出し歩道ブロック1を現場に搬入する。基礎コンクリート上に、敷モルタルを敷き均し、立設したアンカーボルトBが各ボルト孔部42に挿通するように、張出し歩道ブロック1を載置する。この際、張出し歩道ブロック1は、埋設基礎部4を道路端に設置し、張出し床版3が道幅方向(左右方向)の外側に位置する格好で、道路が延在する方向に沿って、隣接する張出し床版3の上面30同士が略同一面上に位置するように、道路が延在する方向に沿って全ての張出し歩道ブロック1を設置する(設置工程)。
【0044】
この後、アンカーボルトBに不図示のナットを螺合させ、各ボルト孔部42にモルタルを充填して、基礎コンクリートに埋設基礎部4を固定する。こうして、張出し歩道ブロック1は安定した状態で固定される(埋設基礎部固定工程)。
【0045】
次に、
図6に示すように、アンカー部5に鉄筋6を固定し、さらに、鉄筋6に交差して主筋7を固定する。隣接する張出し歩道ブロック1の張出し床版3間に埋設型枠Kを近づけて、埋設型枠Kを案内レール37に係合させ、埋設型枠Kをスライドさせて、埋設型枠Kを設置して、
図7に示すように、張出し床版3間にコンクリートCを打設する(現場打ち工程)。
【0046】
最後に、間詰土砂を埋設基礎部4上に投入して、当該間詰土砂で道路を埋め戻す。この後、手摺りを挿入凹部35に挿入して設置する。こうして歩道部が完成する。最後にアスファルトを舗装することで車道部が完成する。
【0047】
ここで、
図8に示すように、車道のカーブに合わせて、張出し床版3の先端(一端)3a同士を離隔させ、基端(他端)3b同士が当接するように各張出し歩道ブロック1を設置してもよい。また、
図9に示すように、車道のカーブに合わせて、張出し床版の先端(一端)3a同士を離隔させ、基端(他端)3b同士が当接するように各張出し歩道ブロック1を設置してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、張出し床版3には、厚肉部3Aと、薄肉部3Bと、が交差方向に交互に設けられ、厚肉部3Aは、基端から前記一方側の先端まで連続する平坦な基準底面310と、該基準底面310に対向する厚肉第1上面311、及び該厚肉第1上面311より上方に位置するとともに立上がり部300の上面32の一部を成す厚肉第2上面313と、を有し、薄肉部3Bは、厚肉第1上面311と同じ高さ位置にある薄肉第1上面321と、厚肉第2上面313と同じ高さ位置にあって立上がり部300の上面32の一部を成す薄肉第2上面323と、基準底面310より上方に位置する薄肉第1底面324と、薄肉第2上面323と対向する位置にあり、薄肉第1底面324より上方に位置する薄肉第2底面325と、を有している。これによれば、薄肉部3Bが設けられていることによって、張出し床版3の軽量化が図られる。これにより、埋設基礎部4の重量を軽量化しても、張出し歩道ブロック1を安定した姿勢で設置できる。このような張出し歩道ブロック1を複数用いて歩道部を構築する際には、張出し歩道ブロック1が軽量化されていることで、張出し歩道ブロック1の現場までの搬送や、現場での設置作業の手間を軽減することができる。これにより、施工作業性の向上を図ることができる。即ち、施工作業性の向上を図りつつ、張出し歩道ブロック1を安定した姿勢で設置できるから、施工の安全性の向上を図ることができる。
【0049】
また、薄肉第2底面325は、厚肉第1上面厚肉第1上面311より上方に位置している。これによれば、より一層、張出し床版3の軽量化が図られる。
【0050】
また、埋設基礎部4は、平面視が、縦壁2側の基端4aから縦壁2から他方側に離間した先端4bに進むにしたがって徐々に幅狭になるように形成されている。これによれば、車道のカーブに合わせて、張出し床版3の先端(一端)3a側を離隔させ、基端(他端)3b側が当接するように張出し歩道ブロック1を設置した場合に、隣接する張出し床版3の一端部3a間の距離L21、及び隣接する張出し床版3の他端部3b間の距離を最小限にすることができる。これにより、歩道部を構築するにあたり、隣接する張出し歩道ブロック1間にコンクリートCを現場打ちする際に、現場打ちするコンクリートCの量を少なくすることができ、かつ工事期間を短縮することができる。
【0051】
また、厚肉部3Aが、張出し床版3の前後方向(交差方向)の両端部を構成する。これによれば、張出し床版3を安定した状態で設置できる。
【0052】
また、厚肉部3Aが、張出し床版3の前後方向(交差方向)の中央部に設けられ、中央部に位置する厚肉部3Aには、厚肉第2上面313に、手摺りを設置するための挿入凹部35(挿入部)が設けられている。これによれば、挿入凹部35(挿入部)を形成するための十分な深さを得ることができ、手摺りを安定した状態で設置できる。
【0053】
なお、上述した実施形態では、張出し床版3に、埋設型枠Kを設置案内するための案内レール37が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図10に示すように、張出し床版3の各側端面34に設けられた案内レールは省略してもよい。即ち、各側端面34には、鉄筋6を固定するためのアンカー部5が設けられていればよい。
【0054】
また、上述した実施形態では、厚肉部3Aは3個設けられ、薄肉部3Bは2個設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。厚肉部3A及び薄肉部3Bは、それぞれ1個以上設けられていればよい。
【0055】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
1 張出し歩道ブロック
2 縦壁
300 立上がり部
3 張出し床版
4 埋設基礎部
3A 厚肉部
3B 薄肉部
35 挿入凹部(挿入部)
310 基準底面
311 厚肉第1上面
313 厚肉第2上面
321 薄肉第1上面
323 薄肉第2上面
324 薄肉第1底面
325 薄肉第2底面
K 埋設型枠