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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070055
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】診療用装置
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20220502BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
A61C19/00 C
A61C17/00 A
A61C17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179071
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】塚越 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】塩原 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】川西 利明
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052LL04
(57)【要約】
【課題】歯科用機器に供給される液体が通る経路上における菌の繁殖を低減する。
【解決手段】歯科用の機器である歯科用機器に供給される液体が通る管路であって、当該歯科用機器に液体が供給される際、一方向に向かって液体が流れる管路と、前記管路に、前記一方向とは反対方向に向かう液体の流れを生じさせ、当該管路内の液体を当該反対方向へ移動させる液体移動手段と、前記液体移動手段により前記反対方向へ移動する液体を収容する液体収容部と、を備える診療用装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用の機器である歯科用機器に供給される液体が通る管路であって、当該歯科用機器に液体が供給される際、一方向に向かって液体が流れる管路と、
前記管路に、前記一方向とは反対方向に向かう液体の流れを生じさせ、当該管路内の液体を当該反対方向へ移動させる液体移動手段と、
前記液体移動手段により前記反対方向へ移動する液体を収容する液体収容部と、
を備える診療用装置。
【請求項2】
前記管路上には、前記一方向に向かう前記液体が収容される液体収容部であって当該液体が下部から供給され当該液体が上部から排出される液体収容部が設けられている請求項1に記載の診療用装置。
【請求項3】
前記液体収容部は、着脱可能に設けられている請求項1に記載の診療用装置。
【請求項4】
前記管路における前記一方向に向かう液体の流れは、気体供給源から供給される気体によって生じ、
前記気体供給源から供給される気体によって、前記反対方向に向かう液体の流れが生じる請求項1に記載の診療用装置。
【請求項5】
前記気体供給源からの気体が前記一方向に向かう状態と当該気体供給源から気体が前記反対方向に向かう状態とを切り替える切り替え機構が更に設けられている請求項4に記載の診療用装置。
【請求項6】
前記管路を通って前記一方向に向かい前記歯科用機器に供給される前記液体が入れられる液体容器が設けられ、
前記液体収容部は、前記液体容器により構成され、前記液体移動手段により前記反対方向へ移動する液体は当該液体容器に収容される請求項1に記載の診療用装置。
【請求項7】
診療によって生じた廃液の吸引に用いられる吸気源が更に設けられ、
前記吸気源による吸気によって、前記反対方向に向かう液体の流れが生じる請求項1に記載の診療用装置。
【請求項8】
前記吸気源による吸気が前記反対方向への液体の流れを生じさせる状態と、当該吸気源による吸気が当該反対方向への液体の流れを生じさせない状態とを切り替える切り替え機構が更に設けられている請求項7に記載の診療用装置。
【請求項9】
前記吸気源による吸気により吸引された廃液を収容する廃液容器がさらに設けられ、
前記液体収容部は、前記廃液容器により構成され、前記反対方向へ移動する液体は当該廃液容器に収容される請求項7に記載の診療用装置。
【請求項10】
歯科用の機器である歯科用機器に供給される液体を収容する第1液体収容部と、
前記第1液体収容部に接続され又は接続可能に設けられ且つ着脱可能に設けられ、液体を収容する第2液体収容部と、
前記第1液体収容部の液体を前記第2液体収容部へ移動させる液体移動手段と、
を備える診療用装置。
【請求項11】
前記液体移動手段は、前記第1液体収容部の圧力の方が前記第2液体収容部の圧力よりも大きくなるように、当該第1液体収容部と当該第2液体収容部との間に圧力差を生じさせて、当該第1液体収容部の液体を当該第2液体収容部へ移動させる請求項10に記載の診療用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貯留空間が負圧とされ、この負圧によって吸引用インスツルメントから廃液が吸引されるとともに、排唾鉢からの廃液が重力によって貯留空間内に回収されて貯留される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-33569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯科で用いる診療用装置では、予め定められた経路に沿って液体を流して、この液体を、歯科用の機器である歯科用機器に供給することがある。ここで、経路上に液体が残った状態が放置されると、この経路上にて菌が繁殖しやすくなる。
本発明の目的は、歯科用機器に供給される液体が通る経路上における菌の繁殖を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される診療用装置は、歯科用の機器である歯科用機器に供給される液体が通る管路であって、当該歯科用機器に液体が供給される際、一方向に向かって液体が流れる管路と、前記管路に、前記一方向とは反対方向に向かう液体の流れを生じさせ、当該管路内の液体を当該反対方向へ移動させる液体移動手段と、前記液体移動手段により前記反対方向へ移動する液体を収容する液体収容部と、を備える診療用装置である。
ここで、前記管路上には、前記一方向に向かう前記液体が収容される液体収容部であって当該液体が下部から供給され当該液体が上部から排出される液体収容部が設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記液体収容部は、着脱可能に設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記管路における前記一方向に向かう液体の流れは、気体供給源から供給される気体によって生じ、前記気体供給源から供給される気体によって、前記反対方向に向かう液体の流れが生じることを特徴とすることができる。
また、前記気体供給源からの気体が前記一方向に向かう状態と当該気体供給源から気体が前記反対方向に向かう状態とを切り替える切り替え機構が更に設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記管路を通って前記一方向に向かい前記歯科用機器に供給される前記液体が入れられる液体容器が設けられ、前記液体収容部は、前記液体容器により構成され、前記液体移動手段により前記反対方向へ移動する液体は当該液体容器に収容されることを特徴とすることができる。
また、診療によって生じた廃液の吸引に用いられる吸気源が更に設けられ、前記吸気源による吸気によって、前記反対方向に向かう液体の流れが生じることを特徴とすることができる。
また、前記吸気源による吸気が前記反対方向への液体の流れを生じさせる状態と、当該吸気源による吸気が当該反対方向への液体の流れを生じさせない状態とを切り替える切り替え機構が更に設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記吸気源による吸気により吸引された廃液を収容する廃液容器がさらに設けられ、前記液体収容部は、前記廃液容器により構成され、前記反対方向へ移動する液体は当該廃液容器に収容されることを特徴とすることができる。
【0006】
他の観点から捉えると、本発明が適用される診療用装置は、歯科用の機器である歯科用機器に供給される液体を収容する第1液体収容部と、前記第1液体収容部に接続され又は接続可能に設けられ且つ着脱可能に設けられ、液体を収容する第2液体収容部と、前記第1液体収容部の液体を前記第2液体収容部へ移動させる液体移動手段と、を備える診療用装置である。
ここで、前記液体移動手段は、前記第1液体収容部の圧力の方が前記第2液体収容部の圧力よりも大きくなるように、当該第1液体収容部と当該第2液体収容部との間に圧力差を生じさせて、当該第1液体収容部の液体を当該第2液体収容部へ移動させることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歯科用機器に供給される液体が通る経路上における菌の繁殖を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】診療用装置を示した斜視図である。
図2】診療用装置の内部構造を示した図である。
図3】(A)、(B)は、診療用装置の動作を説明する図である。
図4】第2の実施形態における診療用装置の内部構造を示した図である。
図5】(A)、(B)は、診療用装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係る診療用装置1を示した斜視図である。
本実施形態の診療用装置1は、可搬型の診療用装置1であり移動可能となっている。なお、可搬型に限らず、診療用装置1は据え置き型であってもよい。
また、本実施形態の診療用装置1は、歯科用の診療用装置1である。この診療用装置1には、歯科用の機器である歯科用機器10が複数設けられている。歯科用機器10の各々には、後述する管路が接続され、歯科用機器10の各々は、この管路を介して診療用装置1の本体部1Aに接続される。
なお、「歯科」とは、人間の歯科に限らず、動物の歯科も含み、本実施形態の診療用装置1は、犬や猫などの動物の歯科についての診療にも用いることができる。
【0010】
診療用装置1には、機器保持部20が設けられ、歯科用機器10の各々は、この機器保持部20により保持されている。
機器保持部20には、歯科用機器10が挿入される挿入部が複数設けられ、この挿入部に歯科用機器10が挿入されることで、機器保持部20による歯科用機器10の保持が行われる。
また、機器保持部20には、歯科用機器10が持ち上げられたことを検知する検知部(検知センサ)(不図示)が設けられている。
【0011】
歯科用機器10としては、歯の治療に用いられる治療用機器11が一例に挙げられる。
治療用機器11としては、例えば、歯石の除去に用いる超音波スケーラ、歯を削る際に用いるハンドピース、同じく歯を削る際に用いるエアタービンが挙げられる。
本実施形態では、後述するように、この治療用機器11に対して、液体の一例としての水が供給される。これにより、治療用機器11の冷却が行われる。また、治療用機器11を介し、治療の対象となる患部へ水が供給される。
【0012】
また、歯科用機器10としては、診療となる対象(人間のみならず動物も含む)(以下、「診療対象」と称する)の口腔内の唾液など、診療に伴い生じる廃液の吸引に用いられる吸引用機器13が挙げられる。
吸引用機器13としては、バキュームシリンジやサライバエジェクタが一例に挙げられる。
また、本実施形態では、歯科医師や歯科衛生士などの操作者の足によって操作されるフットスイッチ95が設けられている。具体的には、本実施形態では、電磁弁120(後述)を開くためのフットスイッチ95が設けられている。
【0013】
図2は、診療用装置1の内部構造を示した図である。言い換えると、図2は、診療用装置1を側方から見た場合の内部構造を示した図である。
図2に示すように、診療用装置1には、診療に伴い生じる廃液の吸引を行う廃液吸引部100が設けられている。また、診療用装置1には、治療用機器11(図2では不図示)への液体の供給を行う液体供給部200が設けられている。
【0014】
廃液吸引部100は、上記の吸引用機器13を介し、診療対象の口腔内の唾液などの吸引を行う。廃液吸引部100には、吸引用機器13が取り付けられる機器取り付け部101が設けられている。
また、廃液吸引部100には、吸気源102が設けられている。この吸気源102は、例えば、バキュームモータや真空ポンプにより構成される。なお、吸気源102は、バキュームモータや真空ポンプに限らず他の公知の構成を用いてもよい。
また、廃液吸引部100には、吸気源102による吸気に伴い吸引された廃液を収容する廃液容器103が設けられている。
【0015】
また、廃液吸引部100には、吸気源102と廃液容器103とを接続する第1廃液用管路111と、廃液容器103と機器取り付け部101とを接続する第2廃液用管路112とが設けられている。
第2廃液用管路112には、電磁弁120が設けられている。本実施形態では、この電磁弁120のオン/オフ(開/閉)が行われる。
【0016】
本実施形態では、電磁弁120が開かれた状態で、吸気源102が作動すると、機器取り付け部101に取り付けられた吸引用機器13を介しての廃液の吸引が開始される。これにより、診療対象の口腔内の唾液などの廃液が吸引され、この廃液が、廃液容器103へ収容される。
より具体的には、本実施形態では、吸気源102が作動すると、廃液容器103内の空気が吸引され、廃液容器103内は減圧される。これに伴い、第2廃液用管路112に、吸引用機器13から廃液容器103に向かう空気の流れが生じ、これにより、吸引用機器13を介しての廃液の吸引が開始される。
【0017】
液体供給部200について説明する。
液体供給部200には、上記の治療用機器11に供給される液体(水)を一時的に収容する第1液体収容部201が設けられている。
この第1液体収容部201には、加熱源の一例としてのヒータHが設けられ、本実施形態では、第1液体収容部201において、第1液体収容部201内の液体の加温が行われる。
【0018】
第1液体収容部201では、第1液体収容部201の下部(底部)に、第2液体収容部202(後述)からの液体が入る入口部201Aが設けられている。また、第1液体収容部201では、第1液体収容部201の上部(天井部)に、第1液体収容部201からの液体が出る出口部201Bが設けられている。
ここで、鉛直方向と直交する面における断面積を比べた場合に、本実施形態では、第1液体収容部201の断面積の方が、入口部201Aの断面積、出口部201Bの断面積よりも大きくなっている。
【0019】
第1液体収容部201では、第1液体収容部201の下部から次第に液体が貯まり、この液体が、第1液体収容部201の上部に達すると、第1液体収容部201の出口部201Bからの液体の排出が開始される。
また、本実施形態では、液体が第1液体収容部201を通過する過程で、液体が加温され、出口部201Bからは、温度が上昇した液体が排出される。
【0020】
また、液体供給部200には、第2液体収容部202と、この第2液体収容部202に気体を供給する気体供給源の一例としてのコンプレッサー204とが設けられている。なお、気体供給源は、コンプレッサー204に限らず、ポンプを用いてもよい。
さらに、本実施形態の液体供給部200には、コンプレッサー204と第2液体収容部202とを接続し、コンプレッサー204からの気体を第2液体収容部202へ送る管路である気体用管路206が設けられている。
本実施形態では、コンプレッサー204によって、第2液体収容部202に対し、気体の一例としての空気が送られる。なお、第2液体収容部202に送られる気体は、空気以外の気体であってもよい。
【0021】
第2液体収容部202は、治療用機器11(図2では不図示)に液体が供給される際の液体の流れ方向において、第1液体収容部201よりも上流側に位置する。
第2液体収容部202は、液体用管路210(後述)を介して第1液体収容部201に接続されている。また、第2液体収容部202は、着脱可能に設けられている。
なお、本実施形態では、第1液体収容部201の容積よりも、第2液体収容部202の容積の方が大きくなっている。
【0022】
第2液体収容部202には、液体が入れられる液体容器202Aが設けられている。この液体容器202Aが、着脱可能に設けられている。
より具体的には、第2液体収容部202には、液体容器202Aと、この液体容器202Aの上部に位置する開口を塞ぐ蓋部材202Bとが設けられている。本実施形態では、蓋部材202Bに対する液体容器202Aの着脱を行える。
【0023】
また、第2液体収容部202には、コンプレッサー204の空気が入る入口部202Dが設けられている。この入口部202Dは、蓋部材202Bに設けられている。言い換えると、入口部202Dは、第2液体収容部202の上部に設けられている。
また、第2液体収容部202の内部には、管状部材202Eが設けられている。管状部材202Eは、その上端が蓋部材202Bにより支持され、蓋部材202Bから下方に向かって延びる。管状部材202Eの下端は、液体容器202Aの底部の近くまで達している。
【0024】
本実施形態では、入口部202Dを通じて、コンプレッサー204からの気体(圧縮空気)が第2液体収容部202内に供給される。これにより、第2液体収容部202内が加圧され、第2液体収容部202内の液体が、第2液体収容部202の外部に押し出される。
押し出される液体は、管状部材202Eの下端部から管状部材202Eの内部に入る。そして、液体は、この管状部材202Eを通った後に、第2液体収容部202の上部に位置する出口部202Gから排出される。
【0025】
第2液体収容部202の出口部202Gから排出された液体は、液体用管路210(詳細は後述)を通って、第1液体収容部201に向かう。
なお、第2液体収容部202に収容される液体は、特に限定されるものではない。第2液体収容部202に収容される液体の一例としては、水が挙げられる。また、その他に、第2液体収容部202に収容される液体は、薬液の成分を含む液体であってもよい。
【0026】
また、液体供給部200には、治療用機器11(図1参照)が取り付けられる機器取り付け部220が設けられている。
さらに、液体供給部200には、第2液体収容部202の出口部202Gから機器取り付け部220まで延び、第2液体収容部202から機器取り付け部220への液体の供給に用いられる管路の一例である液体用管路210が設けられている。
【0027】
本実施形態では、液体用管路210の途中に、第1液体収容部201が設けられている。
より具体的には、本実施形態の液体用管路210には、第1液体収容部201と第2液体収容部202とを接続する第1液体用管路210Aが設けられている。また、液体用管路210には、第1液体収容部201と機器取り付け部220とを接続する第2液体用管路210Bが設けられている。
本実施形態では、第1液体用管路210Aと第2液体用管路210Bとの間に、第1液体収容部201が設けられている。
【0028】
第2液体用管路210Bには、電磁弁230が設けられている。本実施形態では、この電磁弁230のオン/オフ(開/閉)によって、第2液体用管路210Bにて液体や気体の移動が可能な状態と、この移動が規制される状態との何れかの状態に切り替えられる。
本実施形態では、電磁弁230が開かれた状態で、コンプレッサー204が作動すると、第2液体収容部202からの液体が、第1液体収容部201、機器取り付け部220を経て、治療用機器11へ供給される。
より具体的には、本実施形態では、治療用機器11が操作者によって持ち上げられたことが検知部により検知されると、コンプレッサー204が作動する。そして、コンプレッサー204が作動すると、治療用機器11へ液体が供給される。
【0029】
本実施形態では、コンプレッサー204からの気体によって第2液体収容部202が加圧される。これにより、第2液体収容部202内の液体は、液体用管路210(第1液体用管路210A、第2液体用管路210B)を通って、機器取り付け部220に取り付けられた治療用機器11(図2では不図示)に供給される。
より具体的には、第2液体収容部202内の液体は、図中矢印2Xで示す一方向に向かって移動したうえで、治療用機器11に供給される。
また、第2液体収容部202内の液体は、機器取り付け部220へ向かう途中で、第1液体収容部201において加温され、本実施形態では、加温された液体が、治療用機器11に供給される。
【0030】
さらに、本実施形態では、気体用管路206に、減圧弁231が設けられている。本実施形態では、コンプレッサー204から送られてきた気体は、この減圧弁231によって減圧されたうえで、第2液体収容部202に供給される。
さらに、気体用管路206のうちの、減圧弁231と第2液体収容部202との間に位置する部分には、リリーフ弁(安全弁)233が設けられている。
【0031】
リリーフ弁233は、気体用管路206内の気体を気体用管路206の外部に排出し、気体用管路206内の圧力を下げるために用いられる。言い換えると、リリーフ弁233は、気体用管路206内の気体を、大気に放出し、気体用管路206内の圧力を下げる。その一方で、リリーフ弁233は、大気から気体用管路206内への空気の流入を規制する。
本実施形態のリリーフ弁233は、減圧弁231により減圧された後の気体(コンプレッサー204からの気体であって減圧弁231を通った後の気体)の圧力では作動しないようになっている。
【0032】
コンプレッサー204から供給され減圧弁231を通った空気が、リリーフ弁233に供給されても、リリーフ弁233は作動せず、この場合、コンプレッサー204からの気体は、第2液体収容部202に向かう。
その一方で、本実施形態では、後述するように、減圧弁231による減圧が行われていない気体(分岐管路241(後述)を経由してリリーフ弁233へ達する気体)が、このリリーフ弁233に供給された場合は、このリリーフ弁233が作動する。この場合、この気体は大気に放出される。
【0033】
また、液体供給部200には、液体用管路210内の液体を、上記の一方向とは反対方向(矢印2Yで示す方向)へ移動させる液体移動機構240が設けられている。
液体移動手段の一例としてのこの液体移動機構240は、液体用管路210に、上記の一方向とは反対方向に向かう液体や気体の流れを生じさせて、液体用管路210内の液体をこの反対方向へ移動させる。
これにより、本実施形態では、液体用管路210内の液体、第1液体収容部201内の液体が、第2液体収容部202へ移動する。
【0034】
液体移動機構240には、気体用管路206から分岐する分岐管路241が設けられている。この分岐管路241は、気体用管路206における気体の流れ方向において、減圧弁231よりも上流側にて、気体用管路206から分岐する。
そして、分岐管路241は、第2液体用管路210Bに向かって延び、この第2液体用管路210Bに接続される。より具体的には、分岐管路241は、第2液体用管路210Bのうちの、第1液体収容部201と電磁弁230との間に位置する部分に接続される。
【0035】
また、液体移動機構240には、切り替え機構の一例としての弁機構242が設けられている。
この弁機構242は、例えば、ボールバルブにより構成される。なお、弁機構242は、ボールバルブに限らず、コンプレッサー204からの気体の流通、および、この流通の停止を行えるものであれば、他の公知の構成を用いてもよい。
本実施形態では、この弁機構242が操作者によって操作されることで、液体用管路210に、上記の反対方向に向かう液体や気体の流れが生じ、これに伴い、液体用管路210内の液体、および、第1液体収容部201内の液体が、この反対方向へ移動する。
【0036】
より具体的には、本実施形態では、弁機構242が操作者によって操作され、弁機構242が、上記の一方向へ液体を送るための第1の状態から、上記の反対方向へ液体を送るための第2の状態とされることで、コンプレッサー204からの気体が、分岐管路241を通って、第2液体用管路210Bへ供給される。
より具体的には、この場合、コンプレッサー204からの気体であって分岐管路241を通った気体は、液体用管路210のうちの、第1液体収容部201と電磁弁230との間に位置する気体被供給部246に供給される。
【0037】
より具体的には、本実施形態では、第2液体用管路210Bと分岐管路241とが接続する箇所が、分岐管路241を通った気体が供給される気体被供給部246となっている。
本実施形態では、弁機構242が第2の状態とされると、コンプレッサー204からの気体は、この気体被供給部246に供給される。
【0038】
コンプレッサー204からの気体が気体被供給部246に供給されると、この気体被供給部246から第1液体収容部201に向かう気体の流れが生じる。
なお、本実施形態では、コンプレッサー204からの気体が気体被供給部246に供給される際、操作者によるフットスイッチ95(図1参照)の操作は行われず、これにより、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230は、閉じられた状態とされる。
より具体的には、本実施形態では、操作者がフットスイッチ95を踏み込むことで、電磁弁230は開いた状態とされる。コンプレッサー204からの気体が気体被供給部246に供給される際には、操作者によるフットスイッチ95の踏み込みは行われず、電磁弁230は、閉じられた状態とされる。
【0039】
気体被供給部246から第1液体収容部201に向かう気体の流れが生じると、気体被供給部246よりも第1液体収容部201側にて、上記の反対方向に向かう液体の流れが生じる。
言い換えると、気体被供給部246よりも第1液体収容部201側に位置し液体用管路210や第1液体収容部201に溜まっている液体が、上記の反対方向に向かう流れが生じる。
【0040】
言い換えると、気体被供給部246から、第1液体収容部201、第2液体収容部202に向かう液体の流れが生じる。
これにより、本実施形態では、液体用管路210内の液体、第1液体収容部201内の液体が、第2液体収容部202へ移動する。
【0041】
本実施形態では、弁機構242が第1の状態である場合、コンプレッサー204からの気体は、弁機構242を通過しない。
この場合、コンプレッサー204からの空気は、第2液体収容部202に供給される。
これに伴い、第2液体収容部202内の液体が、液体用管路210を通って、第1液体収容部201、機器取り付け部220に向かい、最終的に、機器取り付け部220に取り付けられた治療用機器11に供給される。
なお、治療用機器11に液体が供給される際には、操作者によるフットスイッチ95の操作によって、電磁弁230は開いた状態とされ、液体は電磁弁230を通過する。
より具体的には、治療用機器11に液体が供給される際には、操作者によって、フットスイッチ95に対する操作が行われ、また、操作者によって、治療用機器11が機器保持部20から取り出されて検知センサが反応する。
本実施形態では、このフットスイッチ95に対する操作によって、電磁弁230が開放され、また、検知センサの反応によって、コンプレッサー204が作動し、液体が電磁弁230を通過する。
【0042】
また、本実施形態では、弁機構242が第2の状態である場合、コンプレッサー204からの気体は、液体移動機構240に供給される。より具体的には、コンプレッサー204からの気体は、分岐管路241、気体被供給部246へ供給される。
なお、上記の通り、分岐管路241、気体被供給部246へ気体が供給される際には、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230は閉じた状態とされる。
気体被供給部246に気体が供給されると、上記の通り、液体用管路210内の液体、第1液体収容部201内の液体が、第2液体収容部202へ移動する。
【0043】
本実施形態では、気体被供給部246に気体が供給されると、第1液体収容部201と第2液体収容部202との間に圧力差が生じる状態となる。
具体的には、第1液体収容部201内の圧力の方が、第2液体収容部202内の圧力よりも大きくなる状態となる。
これにより、本実施形態では、第1液体収容部201の液体が、第2液体収容部202へ移動する。
【0044】
本実施形態では、第2液体収容部202が、液体移動機構240により反対方向へ移動する液体を収容する液体収容部として機能する。
第2液体収容部202には、液体容器202Aが設けられ、液体移動機構240により反対方向へ移動する液体はこの液体容器202Aに収容される。言い換えると、液体移動機構240により反対方向へ移動する液体は、液体の供給元となった液体容器202Aに戻される。
【0045】
第1液体収容部201や液体用管路210に液体が残った状態が継続すると、第1液体収容部201内や液体用管路210内にて雑菌が繁殖しやすくなる。このため、例えば、診療後や休診中など治療を行わない場合は、第1液体収容部201の液体や、液体用管路210内の液体は排出することが好ましい。
ここで、本実施形態では、液体の排出にあたっては、操作者が、弁機構242を操作して、弁機構242を第1の状態から第2の状態とする。また、操作者は、フットスイッチ95に対する操作を行わないようにして、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230を閉の状態とする。
より具体的には、本実施形態では、操作者が、フットスイッチ95に対する操作を行わないようにして、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230を閉の状態とした後に、操作者が、弁機構242を操作して、弁機構242を第1の状態から第2の状態とする。
【0046】
その後、本実施形態では、この状態にて、操作者が、機器取り付け部220に取り付けられた治療用機器11を持ち上げる。これにより、コンプレッサー204が作動し、コンプレッサー204からの気体が、分岐管路241を経て気体被供給部246に供給される。
これにより、上記の通り、第1液体収容部201内の液体、液体用管路210内の液体が、上記の反対方向へ向かい、最終的に、液体容器202Aに収容される。
【0047】
その後、操作者が、この液体容器202Aを取り外して、液体容器202A内の液体を廃棄する。
本実施形態では、液体収容部として機能するこの液体容器202Aは、着脱可能に設けられており、操作者は、この液体容器202Aを取り外して、液体容器202A内の液体を廃棄する。
【0048】
なお、本実施形態では、液体が上記の反対方向へ移動して液体容器202Aに収容される際、コンプレッサー204からの気体であって同じくこの反対方向へ移動した気体が、液体容器202A内(第2液体収容部202内)に供給される。供給されたこの気体は、第2液体収容部202の入口部202Dから排出される。
そして、入口部202Dから排出された気体は、気体用管路206を通ってリリーフ弁233に向かい、リリーフ弁233から、気体用管路206の外部に排出される。
【0049】
第2液体収容部202の入口部202Dから排出される気体(コンプレッサー204からの気体であって分岐管路241を経て第2液体収容部202内に供給された気体)は、減圧弁231を通っていない気体であり、圧力が減じられていない。
このため、第2液体収容部202の入口部202Dから排出される気体がリリーフ弁233に達すると、リリーフ弁233が作動し、この気体は、このリリーフ弁233を通って、気体用管路206の外部へ排出される。即ち、大気に放出される。
ここで、本実施形態では、上記の反対方向へ液体を移動させる際、第2液体収容部202は、大気に開放される形となる。これにより、この反対方向への液体の移動が起こりやすくなり、また、第2液体収容部202内へこの液体が入りやすくなる。
【0050】
本実施形態では、上記の通り、切り替え機構の一例としての弁機構242が設けられている。本実施形態では、この弁機構242によって、気体供給源であるコンプレッサー204からの気体が上記の一方向に向かう状態と、コンプレッサー204からの気体が上記の反対方向に向かう状態との何れかに切り替えられる。
言い換えると、本実施形態では、弁機構242によって、コンプレッサー204からの気体が第2液体収容部202、第1液体収容部201を経て機器取り付け部220に向かう第1の状態と、コンプレッサー204から気体が分岐管路241、第1液体収容部201、第2液体収容部202を経てリリーフ弁233に向かう第2の状態との何れかに切り替えられる。
【0051】
本実施形態では、コンプレッサー204を単に作動させて一方向に向けて液体を移動させて液体の排出を行う場合に比べ、第1液体収容部201内、液体用管路210内の液体の排出をより確実に行える。
本実施形態の第1液体収容部201では、第1液体収容部201の下部に、第1液体用管路210Aからの液体が入る入口部201Aが設けられ、第1液体収容部201の上部に、機器取り付け部220に向かう液体の出口部201Bが設けられている。
【0052】
この場合、コンプレッサー204を単に作動させただけでは、第1液体収容部201からの液体の排出が難しくなり、第1液体収容部201に液体が残った状態となる。
より具体的には、コンプレッサー204を単に作動させただけでは、第2液体収容部202が空となり、第1液体収容部201に対して空気のみが送られる状態となった場合に、第1液体収容部201内に液体が残ってしまう。
より具体的には、第1液体収容部201に対して空気のみが送られる状態となった場合、第1液体収容部201内の液体が、第1液体収容部201の出口部201Bに達しない状態となり、第1液体収容部201に液体が残ってしまう。この場合、第1液体収容部201内にて雑菌が繁殖しやすくなる。
【0053】
これに対し、本実施形態の構成では、コンプレッサー204からの気体が、分岐管路241を経て、第1液体収容部201に供給される。この場合、コンプレッサー204からの気体は、第1液体収容部201の出口部201Bから、第1液体収容部201内に供給される。
この場合、第1液体収容部201内の液体が、第1液体収容部201の入口部201Aから強制的に押し出されるようになり、第1液体収容部201内の液体は、第2液体収容部202へ移動する。また、この際、液体用管路210内の液体も、第2液体収容部202へ移動する。
【0054】
なお、第1液体収容部201内の液体は、重力によって、一応、第2液体収容部202に向かおうとする。言い換えると、コンプレッサー204からの気体を、第1液体収容部201の出口部201Bに供給しないでも、第1液体収容部201内の液体は、自重で、第2液体収容部202に向かおうとする。
しかしながら、第1液体用管路210Aが細い場合などには、この第1液体用管路210Aにて発生する毛細管力や管路抵抗によって、第1液体用管路210A内にて液体が移動しにくくなる。
この場合、第1液体収容部201内に液体が残った状態となり、また、この場合、液体用管路210内にも液体が残った状態となってしまう。
【0055】
図3(A)、(B)は、診療用装置1の動作を説明する図である。なお、図3(A)、(B)では、診療用装置1の内部構造を模式的に表示している。
図3(A)は、治療用機器11へ液体を供給する通常時の状態を示している。
治療用機器11へ液体を供給する際には、弁機構242を第1の状態とし且つ電磁弁230が開いた状態で、コンプレッサー204を作動させる。
これにより、第2液体収容部202からの液体が、第1液体収容部201を経て、治療用機器11へ供給される。
【0056】
図3(B)は、第1液体収容部201内の液体を第2液体収容部202へ移動させる際の状態を示している。
第1液体収容部201内の液体を第2液体収容部202へ移動させる際には、弁機構242を第2の状態とし且つ電磁弁230が閉じた状態で、コンプレッサー204を作動させる。言い換えると、弁機構242を第2の状態とし且つフットスイッチ95(図1参照)に対する操作を行わない状態で、治療用機器11を持ち上げコンプレッサー204を作動させる。
これにより、コンプレッサー204からの気体が、分岐管路241、第2液体用管路210Bを経て、第1液体収容部201に供給される。これにより、第1液体収容部201内の液体が、第2液体収容部202へ移動する。また、このとき、液体用管路210内の液体も、第2液体収容部202へ移動する。
【0057】
〔第2の実施形態〕
図4は、第2の実施形態における診療用装置1の内部構造を示した図である。言い換えると、図4は、第2の実施形態における診療用装置1を側方から見た場合の内部構造を示した図である。なお、第1の実施形態が有する機能と同じ機能を有する部分については、第1の実施形態における符号と同じ符号を付している。
第1の実施形態では、気体供給源であるコンプレッサー204を用いて、第1液体収容部201内の液体の排出を行ったが、第1液体収容部201内の液体の排出は、廃液吸引部100に設けられた吸気源102を用いて行ってもよい。
【0058】
本実施形態では、第2廃液用管路112と第1液体用管路210Aとを接続する接続管路400が設けられている。さらに、本実施形態では、接続管路400と第1液体用管路210Aとの接続箇所SKに、切り替え機構の一例としての弁機構450が設けられている。この弁機構450は、例えば、三方ボールバルブにより構成される。
弁機構450は、操作者による操作によって、第1の状態と第2の状態との何れかになるように構成されている。
【0059】
本実施形態では、弁機構450が第1の状態となると、第1液体用管路210Aのうちの、接続箇所SKと第1液体収容部201との間に位置する部分(以下、「第1部分210L」と称する)と、第1液体用管路210Aのうちの、接続箇所SKと第2液体収容部202との間に位置する部分(以下、「第2部分210N」と称する)とが接続される状態となる。
即ち、弁機構450が第1の状態となると、第1液体用管路210Aを液体が移動可能な状態となり、また、第1液体用管路210Aと接続管路400とが接続しない状態となる。
【0060】
また、弁機構450が第2の状態となると、接続管路400と、第1液体用管路210Aの第1部分210Lとが接続される状態となる。
また、弁機構450が第2の状態となると、第1液体用管路210Aの第1部分210Lと第2部分210Nとが接続しない状態となる。
【0061】
また、本実施形態では、第2液体用管路210Bに、逆止弁280が設けられている。より具体的には、第2液体用管路210Bのうちの、電磁弁230と第1液体収容部201との間に位置する部分に、逆止弁280が設けられている。
この逆止弁280は、第2液体用管路210B内の圧力が大気圧よりも低下した場合に、第2液体用管路210Bの外部にある空気(大気)を、この第2液体用管路210B内に流入させる。
その一方で、逆止弁280は、第2液体用管路210B内の液体が、この逆止弁280を通じて、第2液体用管路210Bの外部へ出ることを規制する。
【0062】
本実施形態でも、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230が開かれた状態で、且つ、弁機構450が第1の状態となっている状態で、コンプレッサー204が作動すると、第2液体収容部202が加圧され、機器取り付け部220に取り付けられた治療用機器11へ液体が供給される。
より具体的には、本実施形態でも、治療用機器11が持ち上げられたことが検知されると、コンプレッサー204が作動し、治療用機器11へ液体が供給される。
【0063】
また、本実施形態では、電磁弁120が開かれた状態で、且つ、弁機構450が第1の状態となっている状態で、吸気源102が作動すると、機器取り付け部101に取り付けられた吸引用機器13(図4では不図示)を介しての廃液の吸引が行われる。
これにより、診療対象の口腔内の唾液などの廃液が吸引され、この廃液が、廃液容器103へ収容される。
より具体的には、吸気源102が作動すると、廃液容器103内は減圧される。これに伴い、第2廃液用管路112に、吸引用機器13から廃液容器103に向かう空気の流れが生じ、これにより、吸引用機器13を介しての廃液の吸引が行われる。
【0064】
また、第1液体収容部201内の液体の排出を行う際には、フットスイッチ95に対する操作(踏み込み)を行わないようにして、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230を閉じた状態とし、また、吸引用機器13に設けられたスイッチ(不図示)に対する操作を操作者が行って、第2廃液用管路112に設けられた電磁弁120を閉じた状態とする。
より具体的には、本実施形態では、第2廃液用管路112に設けられた電磁弁120を閉じるためのスイッチ(不図示)が、吸引用機器13に設けられている。第1液体収容部201内の液体の排出の際には、吸引用機器13に設けられたこのスイッチに対する操作が操作者により行われて、第2廃液用管路112に設けられた電磁弁120が閉じた状態とされる。
より具体的には、本実施形態では、吸引用機器13が持ち上げられた場合に、第2廃液用管路112に設けられた電磁弁120が自動で開かれる構成となっているが、吸引用機器13に設けられたスイッチに対する操作を操作者が行うと、電磁弁120が閉じられる。
また、第1液体収容部201内の液体の排出を行う際には、操作者により弁機構450が操作され、弁機構450が第2の状態とされる。
弁機構450が第2の状態とされると、接続管路400を介して、第2廃液用管路112と、第1液体用管路210Aの第1部分210Lとが接続される。
【0065】
そして、本実施形態では、この状態にて、吸気源102が作動する。具体的には、サクションシリンジなどの吸引用機器13が持ち上げられたことが検知されると、吸気源102が作動する。
これにより、上記と同様、反対方向に向かう気体の流れが生じる。より具体的には、吸気源102が作動すると、逆止弁280を通って、空気が第2液体用管路210B内に流入する。そして、第2液体用管路210B内へ流入したこの空気は、第1液体収容部201に向かう。
【0066】
これにより、この場合、第1液体収容部201内の液体が、第1液体用管路210Aの第1部分210L、接続管路400、第2廃液用管路112を経て、廃液容器103へ移動し、廃液容器103に収容される。
なお、本実施形態では、廃液容器103の容積の方が、第1液体収容部201の容積よりも大きくなっている。
【0067】
本実施形態では、廃液容器103は、第1液体収容部201に常時接続されておらず、第1液体収容部201内の液体の排出の際に、第1液体収容部201に接続される。
言い換えると、本実施形態では、廃液容器103は、第1液体収容部201に接続可能な状態で設けられおり、必要に応じて、第1液体収容部201に接続される。
【0068】
より具体的には、通常時は、廃液容器103は、第1液体収容部201には接続されていないが、第1液体収容部201内の液体の排出の際には、弁機構450が操作されることにより、第1液体収容部201に接続される。
そして、本実施形態では、廃液容器103が第1液体収容部201に接続された状態にて、吸気源102が作動する。これにより、上記と同様、反対方向に向かう液体の流れが生じ、第1液体収容部201内の液体が、廃液容器103へ移動する。
【0069】
この実施形態では、逆止弁280、第2液体用管路210B、第1液体収容部201、第1液体用管路210Aの第1部分210L、接続管路400、第2廃液用管路112、廃液容器103、第1廃液用管路111、吸気源102によって、液体移動機構240が構成されている。
この液体移動機構240は、吸気源102を作動させて、逆止弁280から取り込まれた空気を、第2液体用管路210B、第1液体収容部201、第1液体用管路210Aの第1部分210L、接続管路400、第2廃液用管路112、廃液容器103、第1廃液用管路111の順に移動させる。
これにより、上記と同様、反対方向に向かう液体の流れが生じ、この反対方向に向かう液体が、廃液容器103に収容される。
【0070】
この実施形態では、液体移動機構240により反対方向へ移動する液体を収容する液体収容部は、廃液容器103により構成される。
廃液容器103に液体が収容されると、この廃液容器103が取り外されて、廃液容器103の内部の液体は捨てられる。言い換えると、上記と同様、廃液容器103は、着脱可能に設けられており、本実施形態では、この廃液容器103が取り外されて、廃液容器103の内部の液体が捨てられる。
【0071】
本実施形態でも、上記と同様、切り替え機構の一例としての弁機構450が設けられている。
本実施形態では、この弁機構450が操作者によって操作されることで、吸気源102による吸気が上記の反対方向への液体の流れを生じさせない第1の状態と、吸気源102による吸気が上記の反対方向への液体の流れを生じさせる第2の状態との何れかに切り替えられる。
本実施形態では、弁機構450が操作されて、弁機構450が第2の状態とされると、第1液体収容部201内の液体が廃液容器103に向かうようになる。
【0072】
また、本実施形態でも、液体移動機構240は、第1液体収容部201の圧力の方が廃液容器103の圧力よりも大きくなるように、第1液体収容部201と廃液容器103との間に圧力差を生じさせる。
具体的には、本実施形態では、液体移動機構240は、廃液容器103を減圧することで、第1液体収容部201の圧力の方を廃液容器103の圧力よりも大きくする。
これにより、第1液体収容部201の液体が廃液容器103へ移動する。
【0073】
ここで、本実施形態では、鉛直方向において、廃液容器103よりも第1液体収容部201の方が上方に位置する。より具体的には、本実施形態では、廃液容器103の上端部103Aよりも、第1液体収容部201の下端部201Pの方が上方に位置する。
これにより、本実施形態では、廃液容器103よりも第1液体収容部201の方が下方に位置する場合に比べ、廃液容器103から第1液体収容部201へ廃液が向かうことが起きにくくなる。
【0074】
また、その他に、弁機構450と廃液容器103との間に、逆止弁(不図示)を設けてもよい。
具体的には、弁機構450と廃液容器103との間に、弁機構450側から廃液容器103側に向かう液体や気体の移動は許容するが、廃液容器103側から弁機構450側に向かう液体や気体の移動を規制する逆止弁を設けてもよい。
この逆止弁を設けると、廃液容器103から第1液体収容部201へ廃液が向かうことがさらに起きにくくなる。
【0075】
図5(A)、(B)は、診療用装置1の動作を説明する図である。なお、図5(A)、(B)では、診療用装置1の内部構造を模式的に表示している。
図5(A)は、通常時の状態を示している。
通常時では、弁機構450が第1の状態となっている状態で、コンプレッサー204が作動し、第2液体収容部202が加圧され、上記と同様、治療用機器11へ液体が供給される。より具体的には、第2液体収容部202からの液体が、第1液体収容部201を経て、治療用機器11へ供給される。
また、通常時では、弁機構450が第1の状態となっている状態で、且つ、電磁弁120が開かれた状態で、吸気源102が作動し、吸引用機器13を介しての廃液の吸引が行われる。そして、この場合、廃液が、廃液容器103に収容される。
【0076】
図5(B)は、第1液体収容部201内の液体を廃液容器103へ移動させる際の状態を示している。
第1液体収容部201内の液体を廃液容器103へ移動させる際には、弁機構450を第2の状態とし、また、フットスイッチ95(図1参照)に対する操作を行わずに、第2液体用管路210Bに設けられた電磁弁230を閉じた状態とし、また、吸引用機器13に設けられたスイッチに対する操作を行って、第2廃液用管路112に設けられた電磁弁120を閉じた状態とする。
【0077】
また、第1液体収容部201内の液体を廃液容器103へ移動させる際には、吸引用機器13を持ち上げて、吸気源102を作動させる。
これにより、逆止弁280を通って、空気が第2液体用管路210B内に流入する。そして、第2液体用管路210B内へ流入したこの空気は、第1液体収容部201に向かう。そして、この場合、第1液体収容部201内の液体が、接続管路400を通って廃液容器103へ移動し、廃液容器103に収容される。
【符号の説明】
【0078】
1…診療用装置、10…歯科用機器、102…吸気源、103…廃液容器、201…第1液体収容部、202…第2液体収容部、202A…液体容器、204…コンプレッサー、210…液体用管路、240…液体移動機構、242…弁機構、450…弁機構
図1
図2
図3
図4
図5