(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070084
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】パターン作成装置、模様表示体、パターン作成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/80 20060101AFI20220502BHJP
G06T 11/20 20060101ALI20220502BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20220502BHJP
H04N 1/393 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
G06T11/80 B
G06T11/20
H04N1/387 700
H04N1/393
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179112
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】520418466
【氏名又は名称】坪田 利英
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】坪田 利英
【テーマコード(参考)】
5B050
5B080
5C076
【Fターム(参考)】
5B050BA07
5B050BA18
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA13
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B080AA03
5B080AA15
5B080BA08
5B080DA06
5B080FA02
5C076AA21
5C076AA22
5C076AA23
5C076AA24
5C076CA10
(57)【要約】
【課題】 ユーザが簡便にデザインを作成できるパターン作成装置を提供する。
【解決手段】 本実施形態に係るパターン作成装置3は、ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形5を作成する基本図形作成部300と、基本図形作成部300により作成された基本図形5を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形部302と、変形部302により変形した変形後の基本図形5を複数配列する配列部306とを有し、基本図形作成部300により作成された基本図形5を拡大又は縮小する倍率変更部304をさらに有し、配列部306は、倍率変更部304により拡大又は縮小した複数の基本図形5を互いに連結して配列する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形を作成する基本図形作成部と、
前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形部と、
前記変形部により変形した変形後の前記基本図形を複数配列する配列部と
を有する
パターン作成装置。
【請求項2】
前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を拡大又は縮小する倍率変更部
をさらに有し、
前記配列部は、前記倍率変更部により拡大又は縮小した複数の前記基本図形を互いに連結して配列する
請求項1に記載パターン作成装置。
【請求項3】
前記変形部は、所定の位置を中心として、中心角が鋭角である部分円環の形状に、前記基本図形を変形し、
前記配列部は、前記倍率変更部により拡大又は縮小した変形後の前記基本図形を、倍率順に配列する
請求項2に記載パターン作成装置。
【請求項4】
前記変形部は、半径方向において外側の弧及び内側の弧の一部が重ならない位置となるよう、部分円環の外側の弧又は内側の弧の円周方向に、外側の弧又は内側の弧を相対的に離間し変形する
請求項3に記載パターン作成装置。
【請求項5】
前記基本図形作成部は、格子模様の四角形を前記基本図形として作成し、
前記変形部は、前記基本図形の対向する各辺を、部分円環の形状における外側の弧及び内側の弧にそれぞれ対応させ変形し、
前記配列部は、前記倍率変更部により同じ倍率で縮小した変形後の前記基本図形を、所定の位置にある中心に向かって縮小率が大きくなる順に複数配列する
請求項3に記載のパターン作成装置。
【請求項6】
前記配列部は、前記変形部により変形された変形後の前記基本図形を、円形の形状に配列する
請求項4に記載のパターン作成装置。
【請求項7】
ユーザにより指定された本数の斜線を描く斜線描写部と、
ユーザにより指定された分割数で、前記斜線描写部により描かれた斜線を方眼状に分割する分割部と
前記斜線描写部により描かれた斜線と、前記分割部により分割された方眼とにより囲まれた領域を着色する着色部と
をさらに有し、
前記基本図形作成部は、前記斜線描写部、前記分割部、及び前記着色部を含む
請求項1に記載のパターン作成装置。
【請求項8】
所定の配色又は模様に基づいて形成された第1の図形と、
前記第1の図形と同じ配色又は模様に基づいて形成された第2の図形と
を有し、
前記第2の図形は、前記第1の図形と異なる倍率で形成され、
前記第1の図形及び前記第2の図形は、互いに連結して配列される
模様表示体。
【請求項9】
ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形を作成する基本図形作成ステップと、
前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形ステップと、
前記変形部により変形した変形後の前記基本図形を複数配列する配列ステップと
を有する
パターン作成方法。
【請求項10】
ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形を作成する基本図形作成ステップと、
前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形ステップと、
前記変形部により変形した変形後の前記基本図形を複数配列する配列ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン作成装置、模様表示体、パターン作成方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、2次元配列のマス上に"0"と"1"が交互に配置された0・1情報を格納する0・1情報格納部と、ユーザが市松模様を作成したいか否かを認識する市松模様認識部と、市松模様を作成したい範囲を示す範囲情報を格納する範囲情報格納部と、描画したい色を示す色情報を格納する色情報格納部と、市松模様を作成する基準となる特定のマスを指定するマス情報を格納する指定マス情報格納部と、前記指定マス情報格納部に格納されたマス情報で示されるマスが"0"か"1"かを判別する指定マス判別部と、前記範囲情報格納部に格納された範囲情報で示される範囲内で、前記指定マス判別部が判別した値によって、前記0・1情報格納部に格納された0・1情報に基づいて、色情報格納部に格納された色情報で示される色で塗潰すべきマスを判別する塗潰し域判別部とを有する市松模様自動作成装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ホログラム中に、多数の微小なマイクロ文字あるいは幾何学的なマイクロ図形の3次元集合体からなり、それら多数の微小なマイクロ文字あるいは幾何学的なマイクロ図形が3 次元的に集合して特定の立体形状体を構成するように配置されてなる立体像が再生可能に記録されてなることを特徴とする立体マイクロパターン表示体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-153144号公報
【特許文献2】特開2004-138688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ユーザが簡便にデザインを作成できるパターン作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパターン作成装置は、ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形を作成する基本図形作成部と、前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形部と、前記変形部により変形した変形後の前記基本図形を複数配列する配列部とを有する。
【0007】
好適には、前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を拡大又は縮小する倍率変更部をさらに有し、前記配列部は、前記倍率変更部により拡大又は縮小した複数の前記基本図形を互いに連結して配列する。
【0008】
好適には、前記変形部は、所定の位置を中心として、中心角が鋭角である部分円環の形状に、前記基本図形を変形し、前記配列部は、前記倍率変更部により拡大又は縮小した変形後の前記基本図形を、倍率順に配列する。
【0009】
好適には、前記変形部は、半径方向において外側の弧及び内側の弧の一部が重ならない位置となるよう、部分円環の外側の弧又は内側の弧の円周方向に、外側の弧又は内側の弧を相対的に離間し変形する。
【0010】
好適には、前記基本図形作成部は、格子模様の四角形を前記基本図形として作成し、前記変形部は、前記基本図形の対向する各辺を、部分円環の形状における外側の弧及び内側の弧にそれぞれ対応させ変形し、前記配列部は、前記倍率変更部により同じ倍率で縮小した変形後の前記基本図形を、所定の位置にある中心に向かって縮小率が大きくなる順に複数配列する。
【0011】
好適には、前記配列部は、前記変形部により変形された変形後の前記基本図形を、円形の形状に配列する。
【0012】
好適には、ユーザにより指定された本数の斜線を描く斜線描写部と、ユーザにより指定された分割数で、前記斜線描写部により描かれた斜線を方眼状に分割する分割部と前記斜線描写部により描かれた斜線と、前記分割部により分割された方眼とにより囲まれた領域を着色する着色部とをさらに有し、前記基本図形作成部は、前記斜線描写部、前記分割部、及び前記着色部を含む。
【0013】
本発明に係る模様表示体は、所定の配色又は模様に基づいて形成された第1の図形と、前記第1の図形と同じ配色又は模様に基づいて形成された第2の図形とを有し、前記第2の図形は、前記第1の図形と異なる倍率で形成され、前記第1の図形及び前記第2の図形は、互いに連結して配列される。
【0014】
本発明に係るパターン作成方法は、ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形を作成する基本図形作成ステップと、前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形ステップと、前記変形部により変形した変形後の前記基本図形を複数配列する配列ステップとを有する。
【0015】
本発明に係るプログラムは、ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、基本となる基本図形を作成する基本図形作成ステップと、前記基本図形作成部により作成された前記基本図形を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する変形ステップと、前記変形部により変形した変形後の前記基本図形を複数配列する配列ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが簡便にデザインを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】パターン作成装置3によるパターン作成の概要を説明する図である。
【
図2】パターン作成装置3の機能構成を例示する図である。
【
図3】(A)は、ユーザが指定した本数のライン50が描かれた四角形1を例示する図であり、(B)は、ライン50をユーザが指定した分割数で分割した四角形1を例示する図である。
【
図4】(A)は、着色部3004による行方向の着色方法を例示する図であり、(B)は、着色部3004よる列方向の着色方法を例示する図である。
【
図5】基本図形作成部300により作成された基本図形5を例示する図である。
【
図6】(A)は、変形前の基本図形5例示し、(B)は、基本図形5を変形後の部分円環7を例示する図である。
【
図7】(A)は、変形前の基本図形5を例示し、(B)は、基本図形5を変形後の部分螺旋9を例示する図である。
【
図8】複数の部分円環7の配列により作成された扇形11を例示する図である。
【
図9】複数の部分螺旋9の配列により作成された螺旋形13を例示する図である。
【
図10】扇形11に基づいて作成された円110を例示する図である。
【
図11】螺旋形13に基づいて作成された円130を例示する図である。
【
図12】パターン作成装置3によるパターン作成処理(S10)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、パターン作成装置3によるパターン作成の概要を説明する図である。
図1に例示するように、パターン作成装置3は、ユーザが操作するコンピュータ端末であり、具体的には、スマートフォン(パターン作成装置3a)、タブレット端末(パターン作成装置3b)、パーソナルコンピュータ(パターン作成装置3c)である。パターン作成装置3は、
図5に例示する格子模様を有する基本図形5を作成するための基本情報をユーザから受け付ける。基本情報とは、格子模様を構成するライン50の本数、分割されてできるマス52の数を決める分割数、格子模様の着色領域、及び着色する色である。パターン作成装置3は、基本情報に基づいて、基本図形5を作成し、作成した基本図形5を変形及び配列することにより、パターン模様、すなわち幾何学模様を作成し、出力する。本例では、パターン作成装置3により作成・出力された幾何学模様の一例として円形形状の模様である円110及び円130を具体例とし、円110をサーキュラーチェック(circular check)と命名し、円130をスパイラルチェック(spiral check)と命名する。以下、説明の便宜上、サーキュラーチェックを円110と称呼し、スパイラルチェックを円130と称呼する。
パターン作成装置3に構築されたプログラム(後述する図形描写プログラム30)は、例えば、アプリケーションソフトウェアとして実装される。例えば、ユーザは、ソフトウェアを携帯アプリとしてパターン作成装置3にダウンロードでき、ユーザは、携帯アプリを起動することにより、図形描写プログラム30を実行できる。
【0019】
図2は、パターン作成装置3の機能構成を例示する図である。
図2に例示するように、パターン作成装置3には、図形描写プログラム30がインストールされる。
図形描写プログラム30は、基本図形作成部300、斜線描写部3000、分割部3002、着色部3004、変形部302、倍率変更部304、配列部306、パターン作成部308、入力受付部310、及び出力部312を有する。基本図形作成部300は、斜線描写部3000、分割部3002、及び着色部3004を含む。なお、本プログラムの一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアによって実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0020】
基本図形作成部300は、ユーザにより指定された配色又は模様に基づいて、
図5に例示する基本となる基本図形5を作成する。具体的には、基本図形作成部300は、
図3に例示する格子模様を有する四角形1を基本となる基本図形5として作成する。より具体的には、基本図形作成部300は、複数本引かれた斜線(ライン50)と、縦縞と、横縞とにより描かれた格子模様を有する四角形1を作成する。また、基本図形作成部300は、ユーザが指定した色を、格子模様を有する四角形1に着色する。
【0021】
斜線描写部3000は、ユーザにより指定された本数の斜線を描く。具体的にはユーザにより指定された斜線の本数を受け付け、
図3(A)に例示するように、等間隔で四角形1に斜線55を描き、ライン50を形成する。
分割部3002は、ユーザにより指定された分割数で、斜線描写部3000により描かれた斜線を方眼状に分割する。具体的には、
図3(B)に例示するように、斜線描写部3000により描かれたライン50を有する四角形1の列方向及び行方向を、ユーザにより指定された分割数で等間隔に分割する。
着色部3004は、斜線描写部3000により描かれた斜線と、分割部3002により分割された方眼とにより囲まれた領域を着色する。具体的には、
図5に例示するように、着色部3004は、ユーザにより指定された領域を、ユーザにより指定された色で着色する。なお、着色部3004は、RGBまたはCMYKの組み合わせにより色を表現する。
【0022】
変形部302は、基本図形作成部300により作成された基本図形5を、ユーザにより指定された角度に基づいて変形する。具体的には、
図6に例示するように、変形部302は、所定の位置を中心として、基本図形作成部300により作成された基本図形5を中心角が鋭角である部分円環7の形状に変形する。以下、
図6(B)に例示した変形後の基本図形5を部分円環7と称呼する。部分円環とは、所定の位置を中心とした2つの同心円と、中心角が鋭角となる2つの半径で形成した図形であり、円環扇形又は扇形環ともいう。より具体的には、変形部302は、基本図形作成部300により作成された基本図形5の対向する各辺を、部分円環7の形状における外側の弧7a及び内側の弧7bにそれぞれ対応させ変形し、部分円環7の中心7cに向かって縮小率が大きくなるよう縮小する。換言すると、変形部302は、外側の弧7a又は内側の弧7bの長さに比例して基本図形5内のマス52を均等縮小又は均等拡大する。例えば、
図6(B)に例示するように、変形部302は、外側の弧7の長さに比例して、半径方向に存在する部分円環7-a、部分円環7-b、部分円環7-c、部分円環7-d、及び部分円環7-eを縮小する。すなわち、部分円環7-a、部分円環7-b、部分円環7-c、部分円環7-d、及び部分円環7-eは、それぞれ相似関係にある。
【0023】
また、変形部302は、
図7に例示するように、作成した部分円環7の半径方向において外側の弧9a及び内側の弧9bの一部が重ならない位置となるよう、外側の弧9a又は内側の弧9bの円周方向に、外側の弧9a又は内側の弧9bを相対的に離間し、歪曲された四角形である部分螺旋9を作成する。部分螺旋9は、部分円環7をさらに変形した図形である。以下、
図7(B)に例示した変形後の基本図形5を部分螺旋9と称呼する。なお、部分円環7又は部分螺旋9は、本発明に係る第1の図形の一例である。
【0024】
倍率変更部304は、基本図形作成部300により作成された基本図形5を拡大又は縮小する。具体的には、倍率変更部304は、変形部302におり変形された部分円環7又は部分螺旋9を同じ倍率で拡大又は縮小していく。換言すると、倍率変更部304は、
図8に例示する扇形11を形成するために、縮小した部分円環7が滑らかに繋がるよう、部分円環7を縮小する倍率を変更する。また、倍率変更部304は、
図9に例示する螺旋形13を形成するために、縮小した部分螺旋9が滑らかに繋がるよう、部分螺旋9を縮小する倍率を変更する。なお、部分円環7又は部分螺旋9を拡大又は縮小した図形(例えば、
図8に例示する部分円環70又は部分円環72)は、本発明に係る第2の図形の一例である。
【0025】
配列部306は、変形部302により変形した基本図形5を複数配列する。具体的には、配列部306は、倍率変更部304により拡大又は縮小した複数の基本図形5を互いに連結して配列する。より具体的には、配列部306は、倍率変更部304により拡大又は縮小した変形後の基本図形5を、倍率順に配列する。さらに具体的には、配列部306は、倍率変更部304により同じ倍率で縮小した変形後の基本図形5を、所定の位置にある中心(例えば、部分円環の中心7c)に向かって縮小率が大きくなる順に複数配列する。すなわち、配列部306は、
図8に例示するように、変形部302により変形した部分円環7に基づいて、扇形11を作成する。
また、配列部306は、
図9に例示するように、扇形11と同様に、変形部302により作成された部分螺旋9を、倍率変更部304により同じ倍率で縮小していき、螺旋形13の先端9cに向かって縮小率が大きくなる順に複数配列し、螺旋形13を作成する。
さらに、配列部306は、変形部302により変形された基本図形5を、円形の形状に配列する。具体的には、配列部306は、作成した扇形11、又は螺旋形13を複数配列し、
図10に例示する円110又は
図11に例示する円130を作成する。なお、円110又は円130は、本発明に係る模様表示体の一例である。
【0026】
パターン作成部308は、基本図形作成部300により作成された基本図形5、変形部302により作成された部分円環7、配列部306により作成された円(円110又は円130)、螺旋形9、又はこれらを切り取り、組み合わせた図形に基づいて、パターンを作成する。具体的には、パターン作成部308は、アラベスク模様、リング状の模様を作成する。さらに、パターン作成部308は、基本図形5、部分円環7、部分螺旋9、扇形11、螺旋形13、又は円(円110又は円130)へのグラデーション付けや、これらを反転させることで様々なパターンを作成する。
【0027】
入力受付部310は、ユーザがパターン作成装置3へ入力した情報を受け付ける。具体的には、入力受付部310は、基本図形5を作成するための基本情報、及び基本図形5の変形角度、作成する形状、変形した形状に基づいて作成するパターンの指定を受け付ける。
出力部312は、パターン作成部308により作成されたパターンを出力する。具体的には、出力部312は、作成されたパターンをパターン作成装置3に表示する。
【0028】
図3(A)は、ユーザが指定した本数のライン50が描かれた四角形1を例示する図である。
図3(A)では、ユーザが指定したライン数が10本の場合について説明する。
斜線描写部3000は、四角形1の縦方向(以下、列方向と称呼することもある)及び横方向(以下、列方向と称呼することもある)において、ユーザが斜線本数を10本と指定した場合に、四角形1内に斜線55を縦方向及び横方向にそれぞれ10本描いた結果、横方向のライン50の数は10本となり、縦方向のライン50の数は10本となる。なお、本例の斜線描写部3000は、斜線55を描画するが、ライン50を描画してもよい。斜線描写部3000は、四角形1の縦方向及び横方向において、ユーザが指定する斜線55の本数により、細いライン50や太いライン50を表現可能である。また、斜線描写部3000は、縦方向及び横方向において、斜線55同士の間隔は等間隔で描写する。
【0029】
図3(B)は、ライン50をユーザが指定した分割数で分割した四角形1を例示する図である。
図3(B)では、ユーザが指定した四角形1の行方向及び列方向の分割数が「5」である場合について説明する。
分割部3002は、四角形1の縦方向及び横方向において、ユーザが分割数を5分割と指定した場合に、縦方向及び横方向において四角形1を5分割した結果、縦方向のマス52の数は5つとなり、縦方向のマス52の数も5つとなる。ユーザが指定する分割数により、大きなマス52や小さなマス52を表現可能である。以下、着色の際の領域指定のために、行方向の各ライン50をA1~A10と称呼し、列方向の各ライン50をB1~B10と称呼する。
【0030】
図4(A)は、着色部3004による行方向の着色方法を例示する図であり、(B)は、着色部3004による列方向の着色方法を例示する図である。
初めに、行方向の着色について説明する。
図4(A)に例示するように、分割されたマス52のうち、1行目、2行目及び4行目のマス52のライン50に着色する場合、1行目、2行目、及び4行目のマス52の基準となるライン50を決定する。例えば、ユーザが1行目を選択した場合、着色部3004は、ラインA1を基準として、1行目のラインA1、A3、A5、A7、及びA9をユーザが選択した色で着色する。さらに、ユーザが2行目を選択した場合、着色部3004は、ラインA1を基準として、2行目のラインA1、A3、A5、A7、及びA9をユーザが選択した色で着色する。また、4行目に1行目及び2行目とは異なる色を着色する場合、ユーザは4行目を選択し、着色部3004は、ラインA1を基準として、ユーザの選択に基づいて、4行目のラインA1、A3、A5、A7、及びA9をユーザが選択した色で着色する。これにより、1、2、及び4行目の縞模様が完成する。なお、着色部3004は、ラインA2を基準として、ラインA2、A4、A6、A8、及びA10を着色してもよい。
【0031】
次に、列方向の着色について説明する。
図4(B)に例示するように、分割されたマス52のうち、1列目、2列目、及び4列目のマス52のライン50に着色する場合、1列目、2列目、及び4列目のマス52の基準となるライン50を決定する。例えば、ユーザが1列目を選択した場合、着色部3004は、ラインB1を基準として、1列目のラインB1、B3、B5、B7、及びB9をユーザが選択した色で着色する。さらに、ユーザが2列目を選択した場合、着色部3004は、ラインB1を基準として、2列目のラインB1、B3、B5、B7、及びB9をユーザが選択した色で着色する。また、4列目に1行目及び2行目とは異なる色を着色する場合、ユーザは4列目を選択し、着色部3004は、ラインB1を基準として、ユーザの選択に基づいて、4列目のラインB1、B3、B5、B7、及びB9をユーザが選択した色で着色する。これにより、1、2、及び4列目の縞模様が完成する。なお、行方向の着色と同様に、着色部3004は、ラインB2を基準として、ラインB2、B4、B6、B8、及びB10を着色してもよい。
【0032】
図5は、基本図形作成部300により作成された基本図形5を例示する図である。
基本図形作成部300は、
図4(A)にて説明した行方向の着色方法と、
図4(B)にて説明した列方向の着色方法とを行うことにより、
図5に例示する基本図形5を作成する。なお、基本図形作成部300は、
図4(A)に例示する行方向のライン50に着色した四角形1と、
図4(B)に例示する列方向のライン50に着色した四角形1とを重ね合わせ、
図5に例示する基本図形5を作成してもよい。
ユーザによる、着色する行方向及び列方向のライン50の選択、及び配色次第で多様な格子模様を作成可能である。
【0033】
図6(A)は、変形前の基本図形5を例示し、
図6(B)は、変形後の基本図形5である部分円環7を例示する図である。
図6に例示するように、変形部302は、基本図形5の対向する位置にある所定の2辺を仮に延ばし、交わる角度が鋭角となるように、四角形の基本図形5を部分円環の形状に変形する。変形部302は、20度以上90度以下の範囲において、ユーザが指定した角度に、四角形の基本図形5を部分円環の形状に変形する。好ましくは、変形部302は、変形の角度が30度以上60度以下の範囲において、ユーザが指定した角度に変形する。本例では、ユーザが変形の角度を30度に指定した場合、変形部302は、基本図形5の対向する2辺を延ばし、交わる角度が30度となるように、
図6(A)の基本図形5を
図6(B)の部分円環7に変形する。変形部302は、延ばした2辺とは異なる2辺のうち一辺を部分円環の外側の弧7a、他方の辺を部分円環7の内側の弧7bとなるように変形する。
【0034】
図7(A)は、変形前の基本図形5を例示し、
図7(B)は、変形後の基本図形5である部分螺旋9を例示する図である。
図7に例示するように、ユーザが変形の角度を30度に指定した場合、変形部302は、作成した変形角度が30度である部分円環2つ(部分円環7-1及び部分円環7-2)を隣接して配置し、半径を表す2辺を延ばし、交わる角度が60度となる部分円環に基づいて、
図7(A)の基本図形5を
図7(B)の歪曲した部分円環の形状に変形する。具体的には、変形部302は、
図7(A)の基本図形5の対向する2辺のうち一辺を、隣接して配置した一つの部分円環7-2の外側の弧9aと対応させ、基本図形5の他方の辺を、もう一つの部分円環7-1の内側の弧9bに対応するよう変形する。すなわち、外側の弧9a又は内側の弧9bの円周方向に、外側の弧9a又は内側の弧9bを相対的に離間し、部分螺旋9を作成する。なお、外側の弧9a側のライン50の間隔、及び、内側の弧9b側のライン50の間隔は、それぞれ等間隔を維持する。
【0035】
図8は、複数の部分円環7の配列により作成された扇形11を例示する図である。
図9は、複数の部分螺旋9の配列により作成された螺旋形13を例示する図である。
図8に例示するように、倍率変更部304は、変形部302によりユーザが指定した角度で変形された部分円環7を、所定の倍率で縮小し、新たに部分円環70を作成する。さらに、倍率変更部304は、所定の倍率で縮小した部分円環70をさらに同じ倍率で縮小した部分円環72を作成する。例えば、部分円環7、及び、部分円環70に着目すると、倍率変更部304は、部分円環7の内側の弧7bの弧長と、部分円環70の外側の弧7aの弧長とが同じ長さとなるよう、相対的に部分円環7、及び、部分円環70の倍率を変更する。倍率変更部304は、縮小した部分円環7を同じ倍率によりさらに縮小していくことで、複数の縮小された部分円環7を作成する。配列部306は、縮小した各部分円環7を、部分円環7の中心7cに向かって縮小率が大きくなる順に複数で配列し、扇形11を作成する。
また、
図9に例示するように、扇形11と同様に、配列部306は、倍率変更部304によりユーザが指定した角度で変形された部分螺旋9を、所定の倍率で縮小していき、複数の縮小された部分螺旋9を作成する。配列部306は、縮小した部分螺旋9を、縮小率が大きくなる順に複数配列し、螺旋形13を作成する。
なお、配列部306は、倍率変更部304により縮小した変形後の基本図形5(部分円環7及び部分螺旋9)を縮小率が大きくなる順に複数配列しているが、これに限定するものではなく、倍率変更部304により拡大した変形後の基本図形5を拡大率が大きくなる順に複数配列してもよい。
【0036】
図10は、配列部306により作成された扇形11に基づいた円110を例示する図である。
図11は、配列部306により作成された螺旋形13に基づいた円130を例示する図である。
図10に例示するように、配列部306は、
図8に例示した扇形11の中心7cを中心として、円周方向に複数の扇形11を互いに連結するよう配列し、円110を作成する。また、
図11に例示するように、配列部306は、
図9に例示した螺旋形13の先端9cを中心として、円周方向に複数の螺旋形13を互いに連結するよう配列し、円130を作成する。
【0037】
図12は、パターン作成装置3によるパターン作成処理(S10)を説明するフローチャートである。
図12に例示するように、ステップ100(S100)において、ユーザは、パターン作成装置3に四角形1に描写するライン50の本数を入力する。入力受付部310は、ライン50の本数を受け付け、斜線描写部3000は、入力受付部310により受け付けた本数のライン50を四角形1に等間隔で描写する。
ステップ102(S102)において、ユーザは、パターン作成装置3に四角形1の行方向及び列方向の分割数を入力する。入力受付部310は、分割数の入力を受け付け、分割部3002は、入力受付部310により受け付けた分割数で四角形1の行方向及び列方向を分割する。
ステップ104(S104)において、ユーザは、パターン作成装置3に着色領域とF着色する色とを入力する。入力受付部310は、領域と色との入力を受け付け、着色部3004は、入力受付部310により受け付けた領域と色とに基づいて、S102において作成された四角形1に着色する。その結果、
図5に例示した、ライン50及びマス52により格子模様を有する基本図形5が作成される。
【0038】
ステップ106(S106)において、パターン作成処理(S10)は、ユーザにパターン作成作業を続行するか否かを選択させる。ユーザがパターン作成作業を続行すると指示した場合(S106:Yes)、パターン作成処理(S10)は、パターン作成を引き続き行うために、S108へ移行する。また、ユーザがパターン作成作業を続行しないと指示した場合(S106:No)、パターン作成処理(S10)は、本処理を終了する。
ステップ108(S108)において、ユーザは、パターン作成装置3に基本図形5の変形角度を入力する。入力受付部310は、S104において作成された基本図形5の変形角度を受け付ける。
ステップ110(S110)において、ユーザは、作成する模様形状をパターン作成装置3に入力する。具体的には、ユーザは、
図10に例示した円形模様又は
図11に例示した螺旋模様(後述)を選択する。ここでは、円形模様を作成する場合について説明する。変形部302は、S108において受け付けた変形角度に基づいて、S104において作成された基本図形5を、
図6(B)に例示した部分円環7に変形する。倍率変更部304は、変形部302により作成された部分円環7を同じ倍率で縮小し、かつ、配列部306は、サイズ順に配列することで、
図8に例示した扇形11を作成する。配列部306は、扇形の中心角7cを中心として複数配列し、
図10に例示した円110を作成する。
ステップ112(S112)において、パターン作成処理(S10)は、ユーザにパターン作成作業を続行するか否かを選択させる。ユーザがパターン作成作業を続行すると指示した場合(S112:Yes)、パターン作成処理(S10)は、パターン作成を引き続き行うために、S114へ移行する。また、ユーザがパターン作成作業を続行しないと指示した場合(S112:No)、パターン作成処理(S10)は、本処理を終了する。
【0039】
ステップ114(S114)において、パターン作成部308は、S110において作成された円110に基づいて、表示パターンを設定する。例えば、パターン作成部308は、円110を三角形に切り取り、組み合わせて四角形、または六角形を作成し、これらに基づいて、アラベスク模様を作成する。この他にも、パターン作成部308は、部分円環7を複数配置することにより、リング状の模様を作成したり、リング状の模様をさらに連ねた模様を作成してもよい。
このように、本パターン作成方法によれは、多様なパターンを簡便に作成できる。
【0040】
なお、本処理S10のS110において、作成する模様パターンに円形模様を選択した場合を具体例として説明した。次に、
図11に例示した螺旋模様を選択した場合を説明する。変形部302は、S108において受け付けた変形角度に基づいて部分円環7を作成し、さらに、変形部302は、部分円環7の半径方向において外側の弧9a及び内側の弧9bの一部が重ならない位置となるよう、外側の弧9a又は内側の弧9bの円周方向に、外側の弧9a又は内側の弧9bを相対的に離間し、
図7(B)に例示した部分螺旋9を作成する。倍率変更部304は、変形部302により作成された部分螺旋9を同じ倍率で縮小していき、順に配列することで
図9に例示した螺旋形13を作成する。
【0041】
以上説明したように、パターン作成装置3は、ユーザが指定した基本情報(ライン50の本数、分割数、着色領域、色)に基づいて基本図形5を作成し、ユーザが指定した角度に基づいて、基本図形5を変形し、配列する。さらに、パターン作成装置3は、基本図形5を部分円環7に変形後、円形(円110又は円130)及び螺旋形9を作成し、作成した図形を切り取り、組み合わせ、編集することにより様々なパターンを作成することができる。このように、ユーザは、自身で描く必要はなく、基本図形5を作成するための基本情報、及び部分円環7を作成するための角度、そして、部分円環7に基づいた形状を選択するだけで、多様なパターンを簡便に作成できる。
【符号の説明】
【0042】
1 四角形
3 パターン作成装置
5 基本図形
7 部分円環
9 部分螺旋
11 扇形
13 螺旋形
50 ライン
52 マス
110、130 円
300 基本図形作成部
3000 斜線描写部
3002 分割部
3004 着色部
302 変形部
304 倍率変更部
306 配列部
308 パターン作成部
310 入力受付部
312 出力部