(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070098
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】配電機器
(51)【国際特許分類】
H02B 1/28 20060101AFI20220502BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20220502BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
H02B1/28 D
H05K5/02 L
H05K7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179128
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】日比野 貴郁
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将
【テーマコード(参考)】
4E360
5E322
5G016
【Fターム(参考)】
4E360AB64
4E360BA06
4E360BB02
4E360BB23
4E360BD02
4E360EB03
4E360EC11
4E360EC14
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED28
4E360GA24
4E360GA29
4E360GA30
4E360GB92
4E360GB93
4E360GB94
5E322AB01
5E322AB07
5E322BA01
5E322BA04
5E322EA04
5G016CG13
5G016CG21
(57)【要約】
【課題】
筐体内部の冷却性能を維持しながら水の排出を促進させて水が滞留することを抑制し、筐体や電気機器の発錆を抑制することができる配電機器を提供する。
【解決手段】
配電機器は、筐体と、案内部材と、を備える。筐体は、電気機器を収納する。案内部材は、傾斜面を有しており、傾斜面上の水を案内する。筐体には、内部と外部を連通する換気口が形成されている。筐体には、外部へ水を排出するための水抜き穴が形成されている。案内部材は、傾斜面が換気口に向けられ、且つ、傾斜面の下流側に水抜き穴が位置するように、筐体の内側に配置される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を収納する筐体と、
傾斜面を有しており、前記傾斜面上の水を案内する案内部材と、
を備え、
前記筐体には、内部と外部を連通する換気口が形成されており、
前記筐体には、外部へ水を排出するための水抜き穴が形成されており、
前記案内部材は、前記傾斜面が前記換気口に向けられ、且つ、前記傾斜面の下流側に前記水抜き穴が位置するように、前記筐体の内側に配置される、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項2】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材は、複数の傾斜面を有しており、
前記筐体の背面側の角部において、側面と背面に換気口が形成されており、
前記筐体には、複数の水抜き穴が形成されており、
前記案内部材は、それぞれの換気口に異なる傾斜面が向けられ、且つ、側面の換気口に向けられた傾斜面と背面の換気口に向けられた傾斜面それぞれの下流側に異なる前記水抜き穴が位置するように、前記筐体の内側に配置される、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項3】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材は、前記傾斜面が向けられた換気口と前記電気機器との間に配置される、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項4】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材には、前記水抜き穴に向けられた溝が形成されている、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項5】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材は、前記傾斜面の上流側に頂点を有しており、
前記案内部材は、前記電気機器の放熱部の下部に前記頂点を近接させて配置される、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項6】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材は、前記傾斜面の上流側に上面を有しており、
前記案内部材は、前記電気機器の放熱部の下部に前記上面を近接させて配置される、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項7】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材は、前記筐体の底板に固定されている、
ことを特徴とする配電機器。
【請求項8】
請求項1に記載の配電機器であって、
前記案内部材は、前記電気機器に固定されている、
ことを特徴とする配電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配電機器に関する。詳細には変圧器、開閉器、断路器等の電気機器を同一の箱に収納した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、地上に設置される配電機器において、例えば、電気機器を収納する筐体の側面(側面の上部や側面の下部)には、筐体の内部と外部を連通する換気口が設けられ、下部の換気口から吸気を行って上部の換気口から排気を行うことによって、収納する電気機器から発生した熱に対する冷却性能を高めている。
【0003】
しかしながら、換気口を形成することで、当該換気口を介して、例えば雨水が筐体内部に浸入することがある。そこで、この問題に対応するために、筐体の底部に水抜き穴を形成して、筐体内部に侵入する水を排水することが考えられる。そして、水抜き穴は、一般的に換気口の下方に設けられ、水抜き穴の穴径は、小動物や湿気の流入を加味して最低限に設定されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記で説明したように、例えば変圧器を収納する筐体内部の冷却性能を向上させるために換気口が設けられるが、換気口から雨水が侵入する問題がある。そして、筐体の底部は一般的に水平となっており、水抜き穴から水の排出が促進されないことにより、筐体の底部に水が滞留して筐体や変圧器が発錆する問題が考えられる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、筐体内部の冷却性能を維持しながら水の排出を促進させて水が滞留することを抑制し、筐体や電気機器の発錆を抑制することができる配電機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、筐体と、案内部材と、を備える配電機器が提供される。筐体は、電気機器を収納する。案内部材は、傾斜面を有しており、傾斜面上の水を案内する。筐体には、内部と外部を連通する換気口が形成されている。筐体には、外部へ水を排出するための水抜き穴が形成されている。案内部材は、傾斜面が換気口に向けられ、且つ、傾斜面の下流側に水抜き穴が位置するように、筐体の内側に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筐体内部の冷却性能を維持しながら水の排出を促進させて水が滞留することを抑制し、筐体や電気機器の発錆を抑制することができる配電機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における配電機器を正面側から見た図である。
【
図2】実施形態における配電機器の内部を上面側から見た図である。
【
図3】実施形態における配電機器を右側面から見た図である。
【
図4】
図3のA-A’断面図であって正面側から見た図である。
【
図5】
図1のB-B’断面図であって上面側から見た図である。
【
図6】
図5のC-C’断面図であって正面側から見た図である。
【
図7】実施形態における配電機器の内部を示す図である。
【
図8】
図7のE-E’断面図であって上面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態における配電機器を正面側から見た図である。
図2は、実施形態における配電機器の内部を上面側から見た図である。
図3は、実施形態における配電機器を右側面から見た図である。
図4は、
図3のA-A’断面図であって正面側から見た図である。
図5は、
図1のB-B’断面図であって上面側から見た図である。
図6は、
図5のC-C’断面図であって正面側から見た図である。
図7は、実施形態における配電機器の内部を示す図である。
図8は、
図7のE-E’断面図であって上面側から見た図である。
【0011】
配電機器1は、地上に設置され、例えば電力を負荷機器に適した電圧にして電力を供給するために用いられる。
図1から
図4に示すように、配電機器1は、箱状に形成された配電機器収納箱2(筐体)を備え、配電機器収納箱2は、側板101と、底板102と、第1扉103と、第2扉104と、上板105と、背面部106と、を備える。側板101は、配電機器収納箱2の左右両側を形成しており、底板102は、配電機器収納箱2の底を形成している。第1扉103は、配電機器収納箱2の正面右端の位置に回転可能に取り付けられており、当該位置を中心として回転することができる。第2扉104は、第1扉103よりも大きく、配電機器収納箱2の正面左端の位置に回転可能に取り付けられており、当該位置を中心として回転することができる。第1扉103や第2扉104を回転させることで、配電機器収納箱2を開閉することができる。上板105は、配電機器収納箱2の上側を形成しており、収納される電気機器を上方から覆う。背面部106は、配電機器収納箱2の背面側を形成する。背面部106は、背面側に設けられた板によって形成されている。なお、本実施形態では、底板102と設置面との間にベース3が設けられ、配電機器収納箱2は、ベース3を介して(つまり、ベース3に支持されて)設置される。
【0012】
配電機器収納箱2は、電気機器を収納する。
図2に示すように、電気機器は、配電機器収納箱2の奥側(つまり、背面側)に配置される。電気機器は、電力の電圧変換や力率調整、電力の接続や遮断などを行う機器であり、本実施形態では、配電機器収納箱2には、電気機器として変圧器タンク401が収納されている。
【0013】
配電機器収納箱2に収納される電気機器の使用により、配電機器収納箱2の内部には、熱が溜まる。そのため、
図3と
図4に示すように、配電機器収納箱2には、内部を冷却するための換気口201が形成されている。換気口201は、配電機器収納箱2の内部と外部を連通する開口であり、配電機器収納箱2の側板101及び背面部106に形成されている。
【0014】
本実施形態では、
図3に示すように、右側の側板101の上部と下部の位置に換気口201が形成されている。これらの換気口201は、収納される電気機器(本実施形態において、変圧器タンク401)に対向するように形成されている。また、左側の側板101にも同様にして、換気口201が形成されている。
【0015】
本実施形態では、
図4に示すように、背面部106の上部と下部の位置に換気口201が形成されている。すなわち、左側の上部の位置に、2つの換気口201が並んで形成されている。また、左側の下部の位置、右側の上部の位置、右側の下部の位置にも、同様に換気口201が形成されている。
【0016】
このように、本実施形態では、電気機器の周囲(つまり、配電機器収納箱2の側面側と背面側)に複数の換気口201が形成されており、配電機器収納箱2の内部が効果的に冷却される。
【0017】
配電機器収納箱2には、内部の水を外部へ排出するための水抜き穴202が形成されている。
図5に示すように、配電機器収納箱2の内側であって、側板101や背面部106の一部には、窪み203が形成されており、水抜き穴202は、この窪み203の内側で底板102を貫通して形成されている。本実施形態では、水抜き穴202は、換気口201の位置に合わせて(すなわち、換気口201の下方に位置するように)複数形成されている。
【0018】
なお、水抜き穴202の下方の位置(例えば、
図6に示されている側板101の近傍であって底板102の下方の位置)には、空間が形成されており、ベース3には、当該空間と水抜き穴202を連通する開口が形成されている。
【0019】
図7と
図8に示すように、配電機器収納箱2の内側の底板102上には、傾斜台4(案内部材)が配置される。そして、この傾斜台4の傾斜面5は、換気口201から侵入する雨水を下流側へ案内する面として形成されており、傾斜台4は、水抜き穴202へ水を案内することができるように配置される。すなわち、傾斜台4は、雨水を受け止めて、傾斜面5によって下流側の水抜き穴202に向けて雨水が案内されるように、配電機器収納箱2の内部に配置される。
【0020】
本実施形態では、傾斜台4は、複数(2つ)設けられており、換気口201の下方であって、変圧器タンク401の両側に、変圧器タンク401を挟むようにして配置されている。また、傾斜台4は、配電機器収納箱2の側板101の換気口201と、変圧器タンク401と、の間に位置しており、傾斜台4の傾斜面5は、換気口201に向けられる。これにより、例えば冷却機能を考慮して変圧器タンク401に対向するように換気口201を形成しても、傾斜面5が換気口201に向けられ、且つ、換気口201の直下に位置するように傾斜台4が配置されることによって、換気口201から浸入する雨水を水抜き穴202へ効果的に案内することができ、換気口201から侵入する雨水に対して効率的な排水が可能となる。
【0021】
上記の説明では、第1扉103は、第2扉104よりも小さくされていたが、第1扉103は、第2扉104よりも大きくてもよい。また、第1扉103と第2扉104は、同程度の大きさであってもよい。第1扉103や第2扉104に取手や鍵機構を設けてもよい。また、第1扉103と第2扉104のうちの何れか一方の扉の大きさが配電機器収納箱2の正面側を形成することができる大きさに設定され、もう一方の扉が省略されてもよい。
【0022】
背面部106は、例えば、1枚の板によって形成されてもよいし、
図4や
図8に示すように、複数の板(例えば、上板105から底板102までの間の長さと同程度に長さが設定されており、且つ、左右の側板101の間の長さの半分程度に幅が設定された、2枚の板)によって形成されてもよい。
【0023】
本実施形態の配電機器1は、雨水の侵入を防ぐために換気口201の形状を変更することなく、配電機器収納箱2の内部の冷却性能を維持しながら、配電機器収納箱2の内部に侵入する水を水抜き穴202に案内して、配電機器収納箱2の外部への水の排出促進が可能である。ただし、図に示された換気口201は、一例であり、冷却性能の維持を考慮しつつ、その大きさや形状を適宜に変更してもよい。また、換気口201には、適宜のメッシュ部材が取り付けられてもよい。
【0024】
配電器収納箱2に収納される電気機器としては、例えば、変圧器、開閉器、断路器等を挙げることができ、配電機器1は、変圧器、開閉器、断路器等を同一の箱(配電機器収納箱2)に収納した機器として構成することができる。
【0025】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、様々な構造の傾斜台を用いた例について説明する。
図9から
図13は、傾斜台の構造の一例を示す3面図(正面図、平面図、右側面図)である。なお、上記の実施形態の場合と同じ説明については省略することがある。
【0026】
図9に示す傾斜台4aは、三角錐形状を有しており、傾斜面5aの上流側に頂点Tが形成されている。また、傾斜台4aの側面(
図9では、左側面)は、下面に対して垂直な面である。そして、この傾斜台4aの傾斜面5aは、正面側から背面側に向かうに従って低くなり、且つ、前記側面から離れるに従って低くなっている。従って、この傾斜台4aは、例えば、配電機器収納箱2の角部に位置させることで、傾斜面5aによって、配電機器収納箱2の側面側と背面側それぞれに設けられた水抜き穴202への水の案内が可能である。
【0027】
図10に示す傾斜台4bは、四角柱を斜めに切り取って傾斜面5bを形成した構造となっており、この傾斜台4bは、正面視において台形状を有している。この傾斜台4bの上面Sと下面は互いに平行する面である。また、傾斜面5bと反対側に位置する側面(図では、左側面)は、上面Sと下面に対して垂直な面である。この傾斜台4bは、傾斜面5bを換気口201に向けて配置されることにより、当該換気口201側に形成された水抜き穴202へ水を案内することができる。
【0028】
図11に示す傾斜台4cは、傾斜の上流側に、頂点Tが形成されており、正面から背面に向かうに従って低くなり、且つ、側面(
図11では、左側面)から離れるに従って低くなっている。この傾斜台4cには、水を案内するための溝Gが形成されており、傾斜台4cは、傾斜面5cで受け止めた水を、当該溝Gを通して下流側へ案内することができる。傾斜台4cに溝Gを設ける場合、水抜き穴202に向けて溝Gが形成されることによって、水抜き穴202に水が直接的に案内されるので、効率的な排水を行うことができる。なお、
図11に示す溝Gは、一例であり、長さや形状等を適宜に変更してもよい。また、傾斜台4cとは異なる他の傾斜台4にも溝を形成してもよい。
【0029】
図12に示す傾斜台4dは、
図10に示す構造を変更し、
図10に示す構造の背面側にも傾斜面5dを設けた構造となっている。2つの傾斜面5dを設けた構造とすることによって、側面及び背面の換気口201からの水の侵入に対して、それぞれ異なる傾斜面5dによる水抜き穴202への水の誘導が可能となる。従って、例えば、配電機器収納箱2の角部に位置させることで、側面側と背面側それぞれに設けられた水抜き穴202への水の案内が可能である。
【0030】
また、
図13に示す傾斜台4eのように、多面体(例えば、6面体以上)であってもよく、このようにすれば、多方向の水の侵入に対して水抜き穴202への案内が可能となる。例えば、3つの傾斜面5eをそれぞれ異なる換気口201に向けて傾斜台4eが配置されることにより、傾斜台4eは、3つの方向に形成された水抜き穴202へ水を案内することができる。
【0031】
なお、上記で説明された傾斜台4の形状は一例であり、傾斜台4は、換気口201からの水を適切に案内することができればよく、適宜に変更してもよい。
【0032】
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、電気機器と傾斜台の位置関係の詳細について、
図7と
図8を用いて説明する。なお、上記の実施形態の場合と同じ説明については省略することがある。
【0033】
上述したように、
図7と
図8は、傾斜台4の配置を示している。変圧器ベース402によって支持された変圧器タンク401と底板102の間にスペースが形成されており、傾斜台4は、当該スペースに入り込んだ状態で配置される。更に詳しく説明すると、傾斜台4は、変圧器タンク401等の内蔵している電気機器に側面が対向するように(例えば、
図7に示すように、変圧器タンク401の側面に傾斜台4の側面が合わせられ)、且つ、電気機器の放熱部(本実施形態では、変圧器放熱部403)の下部に頂点Tまたは上面Sが近接するように、配置される。
【0034】
このように傾斜台4を配置することによって、下部の換気口201から流入した空気が傾斜台4の斜面(傾斜面5)に沿って上昇し易くなり、配電機器収納箱2の内部での空気の循環が促進される。そして、変圧器タンク401等の電気機器の放熱部においては冷却性能を向上させることが可能となる。
【0035】
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、傾斜台の固定構造について説明する。変圧器タンク等の電気機器と傾斜台を固定することで、機材全体の設置面積の増加を図ることができる。また、固定することで、例えば、輸送時の振動に対して安定させた状態での移動が可能となる。
図14から
図16は、傾斜台の固定構造の一例を示す図である。なお、上記の実施形態の場合と同じ説明については省略することがある。
【0036】
図14に示す固定構造においては、変圧器タンク401の側面側には、溶接によって固定された突起物601が設けられている。また、傾斜台4には、当該突起物601が入る挿入穴Hが形成されている。当該固定構造では、突起物601は2つ設けられており、これに対応する挿入穴Hが2つ形成されている。そして、変圧器タンク401の突起物601と傾斜台4の挿入穴Hは、略同じ大きさに設定されている。
【0037】
すなわち、当該固定構造では、傾斜台4を固定するために、突起物601と挿入穴Hが利用され、当該固定構造では、突起物601が挿入穴Hに入ることによって、傾斜台4が変圧器タンク401に固定される。当該固定構造では、傾斜台4の側面側を近接させて固定するので、コンパクトにまとまった固定構造となる。
【0038】
なお、突起物601の位置や数は適宜に変更してもよく、挿入穴Hは突起物601に対応させて形成すればよい。また、
図14においては、突起物601の形状は、断面丸状であるが、突起物601の形状は適宜に変更してもよい。例えば、突起物601の形状は、断面四角状であってもよい。そして、突起物601の形状に合わせて、挿入穴Hの形状も適宜に変更することができる。
【0039】
図15に示す固定構造においては、傾斜台4の固定に用いる傾斜台固定ベース602が溶接等の適宜の方法により取り付けられている。傾斜台固定ベース602は、一方向に延びた板状であり、傾斜台固定ベース602の先端側には、固定ボルト603による固定に用いるネジ穴が形成されている。また、当該固定構造では、変圧器ベース402と底板102にも、固定用ボルト603による固定に用いるネジ穴が形成されている。
【0040】
当該固定構造では、2つの傾斜台固定ベース602が傾斜台4に取り付けられており、一方の傾斜台固定ベース602は、正面側の側面端部の位置に取り付けられている。他方の傾斜台固定ベース602は、背面側の側面端部の位置に取り付けられている。そして、当該固定構造では、傾斜台4を固定するために、傾斜台固定ベース602が利用される。
【0041】
すなわち、当該固定構造では、変圧器タンク401の下部と底板102との間に傾斜台4の一部が入っており、傾斜台固定ベース602の上部からネジ穴に挿入された固定ボルト603によって傾斜台4が固定されている。
【0042】
ここで、傾斜台固定ベース602の他の部材に対する干渉(当該固定構造においては、変圧器ベース402に対する干渉)が考えらえる場合、傾斜台固定ベース602を切り欠いてもよく(例えば、
図15に示すように、傾斜台固定ベース602の先端側を段付きにしてもよく)、これにより、傾斜台固定ベース602の位置合わせを容易に行うことができる。
【0043】
なお、傾斜台固定ベース602の傾斜台4への取り付け位置は、上記で説明した位置に限定されず、傾斜台固定ベース602は、例えば、正面側の側面端部と背面側の側面端部の間の位置に取り付けてもよい。また、傾斜台固定ベース602の形状を変更してもよく、傾斜台固定ベース602は、例えば、平板状に形成されていてもよい。また、傾斜台固定ベース602の数は、傾斜台4の適切な固定を行うことができればよく、複数であっても単数であってもよい。
【0044】
図16に示す固定構造においては、配電機器収納箱2の底板102にスタッド701が溶接されている。傾斜面5の下流側の端部には、突出部702が設けられる。そして、この突出部702には、スタッド701が通る丸穴が形成されている。すなわち、当該固定構造では、傾斜台4を固定するために、スタッド701が利用され、突出部702の丸穴にスタッド701が通った状態でナットによって締め付けられることにより、傾斜台4が固定される。このように、スタッド701を用いることで、内蔵する機材を問わずに簡易に設置することが可能である。
【0045】
なお、固定構造に用いる傾斜台4は、
図14から
図16に開示された傾斜台4に限定されず、例えば、第2実施形態で説明した他の傾斜台4であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 配電機器
2 配電機器収納箱
3 ベース
4 傾斜台
5 傾斜面
101 側板
102 底板
103 第1扉
104 第2扉
105 上板
106 背面部
201 換気口
202 水抜き穴
203 窪み
401 変圧器タンク
402 変圧器ベース
403 変圧器放熱部
601 突起部
602 傾斜台固定ベース
603 固定ボルト
701 スタッド