(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070130
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/00 20220101AFI20220502BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20220502BHJP
【FI】
F24H1/18 301Z
F24H1/18 302T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179171
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 誠
(72)【発明者】
【氏名】巖 憲介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】長澤 泰洋
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA73
3L122AB22
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA34
3L122BA37
3L122BA44
3L122BB03
3L122BB05
3L122BB14
3L122DA13
3L122EA42
3L122FA04
(57)【要約】
【課題】買電となるリスクを回避しつつ、曇り予報であっても太陽光による発電量を利用して沸き上げを行う。
【解決手段】貯湯式給湯装置1の制御装置31は、気象情報判定部33Aによる判定結果に基づき、昼間沸上運転を実行可能な指定運転時間帯9:00~12:00がどの気象情報に該当するかに応じて、細かく制御を切り替える。指定運転時間帯が「曇り」に該当する場合は、指定運転時間帯の前後に隣接する時間帯における気象情報の内容に応じ、適宜、昼間沸上運転の有無を切り替える調整を行う(ステップS160、ステップS190)。このように前後の時間帯の気象情報に基づき、当該指定運転時間帯がどのような曇り空であるかを見極めた上で、細かい沸上制御を実施することで、買電となるリスクを回避しつつ、曇り予報であっても太陽光による発電量を利用して沸き上げを行うことができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンク、前記湯水の加熱を行う加熱手段を備え、太陽光発電装置と連携しつつ、前記加熱手段が前記貯湯タンク内の湯水を加熱する沸上運転を行う太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置において、
晴天情報を有する第1気象情報、雨天情報を有する第2気象情報、曇天情報を有する第3気象情報、を含む複数の気象情報のうちいずれかに分類される、所望日の翌日における所定の時間区分ごとの翌日気象情報を取得する気象情報取得手段と、
前記翌日の所定の夜間帯を除く昼間帯のうち、前記太陽光発電装置からの電力を用いた昼間沸上運転の実行を前記太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置が許容する許容時間帯を取得する許容時間帯取得手段と、
前記気象情報取得手段により取得された前記翌日気象情報に基づき、前記許容時間帯が、前記複数の気象情報のうちいずれに該当するかを判定する気象情報判定手段と、
前記気象情報判定手段による判定結果に応じて、前記加熱手段の前記沸上運転を制御する沸上制御手段と、
を有し、
前記沸上制御手段は、
前記許容時間帯が前記第1気象情報に該当する場合には、当該許容時間帯に前記昼間沸上運転を行うとともに、当該昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御し、
前記許容時間帯が前記第2気象情報に該当する場合には、当該許容時間帯における前記昼間沸上運転を行うことなく前記夜間帯において前記夜間沸上運転を実行するように、前記加熱手段を制御し、
前記許容時間帯が前記第3気象情報に該当する場合には、当該許容時間帯の前に隣接する前隣接時間帯及び当該許容時間帯の後に隣接する後隣接時間帯における前記翌日気象情報の内容に応じて、前記昼間沸上運転の有無、若しくは、実際に前記昼間沸上運転を行う実運転時間帯、を調整する
ことを特徴とする太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記許容時間帯取得手段は、前記許容時間帯として、前記昼間沸上運転を行うように指定された指定運転時間帯を取得する指定時間帯取得手段であり、
前記気象情報判定手段は、
前記指定運転時間帯が、前記第1気象情報、前記第2気象情報、前記第3気象情報のうちいずれに該当するかを判定し、
前記沸上制御手段は、
前記指定運転時間帯が前記第1気象情報に該当する場合には、当該指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行うとともに、当該昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御し、
前記指定運転時間帯が前記第2気象情報に該当する場合には、前記指定運転時間帯における前記昼間沸上運転を行うことなく前記夜間帯において前記夜間沸上運転を実行するように、前記加熱手段を制御し、
前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当する場合には、当該指定運転時間帯の前に隣接する前記前隣接時間帯及び当該指定運転時間帯の後に隣接する前記後隣接時間帯における前記翌日気象情報の内容に応じて、前記昼間沸上運転の有無、若しくは、前記実運転時間帯、を調整する
ことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記沸上制御手段は、
前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記前隣接時間帯及び前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当しない場合、前記指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行い、かつ、当該昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御する
ことを特徴とする請求項2記載の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記沸上制御手段は、
前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記前隣接時間帯または前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合、前記指定運転時間帯における前記昼間沸上運転を行うことなく前記夜間帯において前記夜間沸上運転を実行するように、前記加熱手段を制御する
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記沸上制御手段は、
前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記前隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合、前記実運転時間帯を前記指定運転時間帯よりも繰り下がった時間帯に調整するとともに、前記昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御する
ことを特徴とする請求項2記載の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【請求項6】
前記沸上制御手段は、
前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合、前記実運転時間帯を前記指定運転時間帯よりも繰り上がった時間帯に調整するとともに、前記昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御する
ことを特徴とする請求項2または請求項5記載の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【請求項7】
前記沸上制御手段は、
前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合に、前記繰り上がった前記実運転時間帯が前記気象情報判定手段による判定タイミングよりも前のタイミングを含むこととなる場合は、前記指定運転時間帯における前記昼間沸上運転を行わないように、前記加熱手段を制御する
ことを特徴とする請求項6記載の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置においては、特許文献1記載のように、気象情報に基づき、日照条件が良好な晴天予報の場合等には太陽光発電装置が太陽光を受光して発電を行い、貯湯式給湯装置がこの発電された電力を用いて貯湯タンク内の湯水を加熱する昼間沸上運転を行うものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、少なくとも発電電力値がある程度大きい必要がある。具体的には、例えば、所望日の翌日の太陽光発電装置での発電電力予測値から貯湯式給湯装置を除く電気負荷の消費する負荷消費電力予測値を差し引いた余剰電力予測値が、貯湯式給湯装置の消費する装置消費電力予測値以上となるときに、前記太陽光発電装置からの電力による前記沸上運転を実行することができる。
【0005】
その場合、前記翌日の昼間帯における太陽光発電を利用した沸上運転での沸上量が見込まれる分、昼間帯以外の夜間帯においてシステム外から購入する電力を使用して実行される夜間沸上運転での沸上量(買電沸上量)を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。その際、例えば、前記昼間帯においては太陽光発電を利用した沸上運転を実行可能な制御態様とし、前記夜間帯においては太陽光発電を利用せず前記した購入電力による沸上運転を行う制御態様とすることができる。
【0006】
ここで、発電電力の予測に用いられる気象情報は、通常、所定の時間区分ごとに、「晴れ予報」「曇り予報」「雨予報」等の態様で発せられることが多い。雨天予報の場合は太陽光発電装置での発電がほとんど期待できないことから、昼間沸上運転を行わずに通常の夜間沸上運転を行えば足りる。これに対して曇り予報の場合は、いわゆる薄曇り等のときにはある程度の日照が確保できるため太陽光発電装置での発電を期待できる可能性があるが、雨雲のときには発電量をほとんど期待できない可能性がある。
【0007】
そのため、上記従来のものにおいて、例えば曇り予報の場合に、一律に昼間沸上運転を行うこととすると雨雲等の場合には発電量が足りずに買電となってコスト高を招く恐れがあり、逆に一律に昼間沸上運転を行わないこととすると薄曇り等の場合に十分な発電量があるのに活用できず無駄が生じる恐れがある、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンク、前記湯水の加熱を行う加熱手段を備え、太陽光発電装置と連携しつつ、前記加熱手段が前記貯湯タンク内の湯水を加熱する沸上運転を行う太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置において、晴天情報を有する第1気象情報、雨天情報を有する第2気象情報、曇天情報を有する第3気象情報、を含む複数の気象情報のうちいずれかに分類される、所望日の翌日における所定の時間区分ごとの翌日気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記翌日の所定の夜間帯を除く昼間帯のうち、前記太陽光発電装置からの電力を用いた昼間沸上運転の実行を前記太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置が許容する許容時間帯を取得する許容時間帯取得手段と、前記気象情報取得手段により取得された前記翌日気象情報に基づき、前記許容時間帯が、前記複数の気象情報のうちいずれに該当するかを判定する気象情報判定手段と、前記気象情報判定手段による判定結果に応じて、前記加熱手段の前記沸上運転を制御する沸上制御手段と、を有し、前記沸上制御手段は、前記許容時間帯が前記第1気象情報に該当する場合には、当該許容時間帯に前記昼間沸上運転を行うとともに、当該昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御し、前記許容時間帯が前記第2気象情報に該当する場合には、当該許容時間帯における前記昼間沸上運転を行うことなく前記夜間帯において前記夜間沸上運転を実行するように、前記加熱手段を制御し、前記許容時間帯が前記第3気象情報に該当する場合には、当該許容時間帯の前に隣接する前隣接時間帯及び当該許容時間帯の後に隣接する後隣接時間帯における前記翌日気象情報の内容に応じて、前記昼間沸上運転の有無、若しくは、実際に前記昼間沸上運転を行う実運転時間帯、を調整するものである。
【0009】
また、請求項2では、前記許容時間帯取得手段は、前記許容時間帯として、前記昼間沸上運転を行うように指定された指定運転時間帯を取得する指定時間帯取得手段であり、前記気象情報判定手段は、前記指定運転時間帯が、前記第1気象情報、前記第2気象情報、前記第3気象情報のうちいずれに該当するかを判定し、前記沸上制御手段は、前記指定運転時間帯が前記第1気象情報に該当する場合には、当該指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行うとともに、当該昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御し、前記指定運転時間帯が前記第2気象情報に該当する場合には、前記指定運転時間帯における前記昼間沸上運転を行うことなく前記夜間帯において前記夜間沸上運転を実行するように、前記加熱手段を制御し、前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当する場合には、当該指定運転時間帯の前に隣接する前記前隣接時間帯及び当該指定運転時間帯の後に隣接する前記後隣接時間帯における前記翌日気象情報の内容に応じて、前記昼間沸上運転の有無、若しくは、前記実運転時間帯、を調整するものである。
【0010】
また、請求項3では、前記沸上制御手段は、前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記前隣接時間帯及び前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当しない場合、前記指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行い、かつ、当該昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御するものである。
【0011】
また、請求項4では、前記沸上制御手段は、前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記前隣接時間帯または前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合、前記指定運転時間帯における前記昼間沸上運転を行うことなく前記夜間帯において前記夜間沸上運転を実行するように、前記加熱手段を制御するものである。
【0012】
また、請求項5では、前記沸上制御手段は、前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記前隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合、前記実運転時間帯を前記指定運転時間帯よりも繰り下がった時間帯に調整するとともに、前記昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御するものである。
【0013】
また、請求項6では、前記沸上制御手段は、前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合、前記実運転時間帯を前記指定運転時間帯よりも繰り上がった時間帯に調整するとともに、前記昼間沸上運転による沸上容量の分と同じ容量を未加熱のまま残して前記夜間帯における夜間沸上運転を完了するように、前記加熱手段を制御するものである。
【0014】
また、請求項7では、前記沸上制御手段は、前記指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、かつ、前記後隣接時間帯が前記第2気象情報に該当する場合に、前記繰り上がった前記実運転時間帯が前記気象情報判定手段による判定タイミングよりも前のタイミングを含むこととなる場合は、前記指定運転時間帯における前記昼間沸上運転を行わないように、前記加熱手段を制御するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の請求項1によれば、気象情報判定手段による判定結果に応じて沸上制御手段が加熱手段の沸上運転を制御する際、昼間沸上運転の実行を許容する許容時間帯がどの気象情報に該当するかに応じて、細かく制御を切り替える。
主に晴天に対応する第1気象情報に該当する場合には、昼間帯における前記許容時間帯に昼間沸上運転を行い、それに先立つ夜間帯においては昼間沸上運転と同じ容量を未加熱のまま残す夜間沸上運転を行うようにする。
主に雨天に対応する第2気象情報に該当する場合は、前記許容時間帯における昼間沸上運転を行わず、それに先立つ夜間帯において通常の夜間沸上運転を行うようにする。
そして、主に曇天に対応する第3気象情報に該当する場合は、前記許容時間帯の前後に隣接する前隣接時間帯又は後隣接時間帯における前記翌日気象情報の内容に応じ、適宜、昼間沸上運転の有無を切り替えたり実運転時間帯を変更したり等の調整を行うようにする。このように、請求項1の発明によれば、前記許容時間帯に曇天が予想されるときに一律な制御とせず、前後の時間帯の気象情報に基づき、当該許容時間帯がどのような曇り空であるかを見極めた上で、細かい沸上制御を実施する。これにより、買電となるリスクを回避しつつ、曇り予報であっても太陽光による発電量を利用して沸き上げを行うことができる。
【0016】
また、請求項2によれば、例えば操作者が外部の情報端末等を用いて、貯湯式給湯装置に昼間沸上運転を行わせたい所望の時間帯を指定することで、気象情報判定手段においてその指定された指定運転時間帯が前記第1~第3気象情報のどれに該当するかが判定される。そして、沸上制御手段では、前記指定運転時間帯が第3気象情報に該当する場合、その指定運転時間帯の前・後隣接時間帯の気象情報の内容に応じ、適宜、昼間沸上運転の有無を切り替えたり実運転時間帯を変更したり等の調整を行う。これにより、操作者による沸上運転の時間帯の指定に対応して、買電となるリスクを回避しつつ太陽光による発電量を利用して沸き上げを行うことができる。
【0017】
また、指定運転時間帯の前・後ともに雨天が予想されていない場合は、例えば天気が下り坂であっても指定運転時間帯にはまだ雨雲が生じていない、若しくは、天気が回復し始めて十分時間がたっており指定運転時間帯には雨雲が残存していない、等の可能性が高いため、少なくとも当該指定運転時間帯においてある程度の日照を得られる可能性が高い。そこで請求項3によれば、指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、前・後隣接時間帯が第2気象情報に該当しない場合には、指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行い、その昼間沸上運転の沸上容量の分を差し引いた夜間沸上運転を行うようにする。これにより、曇り予報であっても太陽光による発電量を確実に利用して沸き上げを行うことができる。
【0018】
また、指定運転時間帯の前後に雨天が予想されている場合は、例えば天気が下り坂で指定運転時間帯に雨雲が生じる、あるいは、天気が回復し始めて間がなく雨雲が残存している、等の可能性が高いため、当該指定運転時間帯において日照を得られる可能性は低い。そこで請求項4によれば、指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、前・後隣接時間帯のいずれかが第2気象情報に該当する場合には、指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行わず、その昼間沸上運転の沸上容量の分を見込まない通常の夜間沸上運転を行うようにする。これにより、昼間帯においてコスト高を招く買電となるリスクを回避することができる。
【0019】
また、指定運転時間帯に曇天が予想され、指定運転時間帯の前に雨天が予想されている場合は、指定運転時間帯の前から指定運転時間帯にかけて、天気が徐々に回復している状態である可能性が高い。そこで請求項5によれば、指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、前隣接時間帯が第2気象情報に該当する場合には、実運転時間帯を指定運転時間帯よりも繰り下げる形ですなわち開始時間を遅らせて昼間沸上運転を行うようにする。これにより、天気がなるべく回復した状態で少しでも強い日照を受けるようにし、確実に太陽光による発電量を利用した沸き上げを行うことができる。
【0020】
また、指定運転時間帯に曇天が予想され、指定運転時間帯の後に雨天が予想されている場合は、指定運転時間帯から指定運転時間帯の後にかけて天気が下り坂となっている状態、言い換えれば指定運転時間帯の前のほうが指定運転時間帯よりも雲が少ない状態である可能性が高い。そこで請求項6によれば、指定運転時間帯が前記第3気象情報に該当し、後隣接時間帯が第2気象情報に該当する場合には、実運転時間帯を指定運転時間帯よりも繰り上げる形ですなわち開始時間を早めて昼間沸上運転を行うようにする。これにより、天気がなるべく悪くならない状態で少しでも強い日照を受けるようにし、確実に太陽光による発電量を利用した沸き上げを行うことができる。
【0021】
また、前述のように実運転時間を繰り上げて雨雲の回避等を行おうとしたときに、その時点で既に指定運転時間がある程度近接していて繰り上げが事実上不可能である場合もあり得る。そこで請求項7によれば、上記のような場合、具体的には、繰り上がった前記実運転時間帯が気象情報判定手段による判定タイミングよりも前のタイミングを含むこととなる場合には、昼間沸上運転を断念し実行しないように制御する。これにより、買電により確実に沸き上げを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システムのシステム構成図
【
図4】天気が晴れの場合の、太陽光発電による発電電力量、及び、電気負荷機器における消費電力量、の経時挙動を概念的に表すグラフ図
【
図5】天気が雨又は曇り等の場合の、太陽光発電による発電電力量、及び、電気負荷機器における消費電力量、の経時挙動を概念的に表すグラフ図
【
図6】指定運転時間帯及びそれ以外の時間帯に関して種々の気象情報が取得されたときの昼間沸上運転の時間区分設定の例を表す説明図
【
図7】貯湯式給湯装置の制御装置が実行する制御手順を表すフローチャート図
【
図8】実運転時間を繰上げ又は繰下げ変更して昼間沸上運転する変形例において、指定運転時間帯及びそれ以外の時間帯に関して種々の気象情報が取得されたときの昼間沸上運転の時間区分設定の例を表す説明図
【
図9】貯湯式給湯装置の制御装置が実行する制御手順を表すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
<システム構成>
本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システムのシステム構成を
図1に示す。なお、
図1においては、図示の煩雑防止のために、後述する信号授受のうち一部は図示省略している。
図1において、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、図示しない家屋等の建造物に設置されたヒートポンプ式の貯湯式給湯装置1と、商用電源49に接続された分電盤2と、前記家屋の屋根等に設置された太陽光発電パネル4、及び、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換するインバータ5を備えた太陽光発電装置3と、前記貯湯式給湯装置1以外の他の負荷を構成する、例えばエアコン等からなる電気負荷機器6(
図1中では単に「エアコン」と図示)と、ネットワーク通信網8と、サーバ9と、スマートフォン等からなる情報端末200と、を有している。
【0025】
このとき、貯湯式給湯装置1には制御装置31が設けられており、この制御装置31が、前記ネットワーク通信網8を介し前記サーバ9及び前記情報端末200に接続され、必要な情報を相互にやりとり可能となっている。
【0026】
前記貯湯式給湯装置1は、リモコン装置50と、湯水を貯湯する貯湯タンク10と、前記貯湯タンク10の底部に給水する給水管11と、前記貯湯タンク10の頂部から出湯する出湯管12と、前記給水管11から分岐した給水バイパス管13と、前記出湯管12からの湯と前記給水バイパス管13からの水を、前記リモコン装置50によって設定された給湯設定温度になるように混合する混合弁14と、図示しない給湯端末に給湯する給湯管15と、給湯流量を検出し対応する検出信号を出力する給湯流量センサ16と、給湯温度を検出し対応する検出信号を出力する給湯温度センサ17と、前記貯湯タンク10内の湯水の貯湯温度を検出し対応する検出信号を出力する貯湯温度センサ18とを有している。前記貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力するように構成されている。これにより、前記複数の貯湯温度センサ18のうち何個のセンサから前記検出信号が出力されているかに基づき、前記制御装置31は、前記貯湯タンク10内において十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出することができる。
【0027】
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、前記貯湯タンク10内の湯水を沸上目標温度に加熱するヒートポンプ装置19(加熱手段、ヒートポンプ式加熱手段に相当)を有している。このヒートポンプ装置19は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する圧縮機20と、前記高温の高圧の冷媒と前記貯湯タンク10からの水との熱交換を行う水冷媒熱交換器21と、前記水冷媒熱交換器21で熱交換後の冷媒を減圧膨張させる膨張弁22と、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる空気熱交換器23と、前記空気熱交換器23へ外気を送風する送風機24(送風ファン)と、前記圧縮機20から吐出される前記冷媒の温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する吐出温度センサ25と、前記送風機24における例えば通風経路上に設けられ、外気温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する外気温度センサ30(外気センサ)とを備えている。
【0028】
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、貯湯式給湯装置1全体の作動を制御する前記制御装置31と、前記貯湯タンク10の下部と前記水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する加熱往き管26と、水冷媒熱交換器21の水側出口と前記貯湯タンク10の上部とを接続する加熱戻り管27と、前記加熱往き管26の途中に設けられた加熱循環ポンプ28と、前記加熱戻り管27に設けられ検出信号を前記制御装置31へ出力する沸上温度センサ29とを有している。なお、前記の加熱往き管26、加熱戻り管27、及び加熱循環ポンプ28により加熱循環回路が構成されている(以下適宜、単に「加熱循環回路26,27,28」という)。
【0029】
<貯湯式給湯装置の制御装置の構成>
ここで、前記太陽光発電装置3のない通常の貯湯式給湯装置の沸上運転は、電力料金単価が安価な夜間帯(この例では23:00~7:00)において、上記商用電源49からの給電により行われる。これに対して、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、前記のように、太陽光発電装置3が備えられている。日照条件が良好な場合、前記太陽光発電装置3は、前記太陽光発電パネル4で太陽光を受光して発電を行うことができ、前記貯湯式給湯装置1は、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて、前記ヒートポンプ装置19が加熱循環回路26,27,28を介し貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸上運転を行うことができる(以下適宜、「昼間沸上運転」と称する)。ユーザは、前記情報端末200を適宜に操作することで、前記昼間沸上運転を行うべき時間帯を指定することができる。このようにして太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、少なくとも発電電力値がある程度大きい必要がある。詳細には、貯湯式給湯装置1に供給される電力値、すなわち、発電電力値から貯湯式給湯装置1を除く前記電気負荷機器6の消費する負荷使用電力値を差し引いた余剰電力値が、ある程度大きい必要がある。そこで、前記沸上運転を円滑に行うために、太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100には、前記制御装置31に、
図2に示す各機能部が設けられている。
【0030】
すなわち、
図2に示すように、前記制御装置31には、気象情報取得部32Aと、指定時間取得部32Bと、気象情報判定部33Aと、余剰沸上時間区分決定部33Bと、余剰沸上制御部40と、余剰沸上容量算出部37と、使用湯量学習部34と、必要熱量決定部35と、夜間沸上容量算出部36と、補正夜間沸上容量算出部38と、夜間沸上制御部39と、昼間沸増制御部42とが設けられている。
【0031】
前記気象情報取得部32A(気象情報取得手段に相当)は、例えばサーバ9から発せられるこの貯湯式給湯装置1の設置場所の所定の時間区分ごと(例えば3時間ごと、1時間ごと、等)の気象情報、すなわち天気予報情報や日照時間情報等を取得する。この例では、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、気象情報として、晴天情報としての「晴れ」(第1気象情報)、雨天情報としての「雨」(第2気象情報)、曇天情報としての「曇り」(第3気象情報)、の3種類が3時間ごとに取得される。なお、図示の例において、「時間」の欄の下部に示す気象情報の内容は、その時刻を含む直前3時間の内容を示している。すなわち「6時」の「曇り」は、その直前3時間である3:00(正確には3:00の直後。以下同様)~6:00が曇天であることを示し、「9時」の「晴れ」は6:00~9:00が晴天であることを示し、「18時」の「雨」は15:00~18:00が雨天であることを示している。
【0032】
また、上記「晴れ」「雨」「曇り」以外の細かい内容の気象情報が取得される場合については、予め定めたルールにより分類し、前記「晴れ」「雨」「曇り」と同様に取り扱えばよい。例えば「晴れ時々曇り」については「晴れ」と同様に晴天情報として、「曇り一時雨」については「曇り」と同様に曇天情報として、「雪」については「雨」と同様に雨天情報として取り扱えば足りる。なお、サーバ9以外の適宜の箇所から公知情報としての気象情報を取得して利用しても良い。
【0033】
指定時間取得部32B(指定時間帯取得手段、許容時間帯取得手段に相当)は、情報端末200においてユーザの適宜の操作により指定された指定運転時間帯(許容時間帯の一例に相当)を取得する。
【0034】
前記気象情報判定部33A(気象情報判定手段に相当)は、前記気象情報取得部32Aにより取得された気象情報に基づき、指定時間取得部32Bから入力された前記指定運転時間帯が、前記複数の気象情報のうちいずれに該当するか(前記の晴天情報か、曇天情報か、雨天情報か)を判定する。なお以下適宜、晴天情報に対応する天気を単に「晴れ」、曇天情報に対応する天気を単に「曇り」、雨天情報に対応する天気を単に「雨」、等と表記する。
【0035】
またこの例では、前記の気象情報取得部32Aによる気象情報の取得は、この気象情報判定部33Aの判定対象となる特定期間(この例では、例えば後述の
図7及び
図9に示すフローによる制御手順が実行される所望の日の翌日の1日間。以下適宜、単に「翌日」という)の前の日(所望日に相当)の23:00に行われる。すなわち、前記気象情報取得部32Aにおいて取得される前記気象情報は、翌日気象情報に相当している。なお、この23:00に加え、その後の適宜の時間(例えば前記翌日の7:00)に再度気象情報を取得するようにしてもよい(後述の
図8(c)に示す変形例参照)。
【0036】
前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、前記気象情報取得部32Aにより取得された気象情報に対する前記気象情報判定部33Aによる判定結果に応じて、前述のようにして指定された指定運転時間帯(又はその時間帯から適宜に繰り上げ又は繰り下げた時間帯。詳細は後述)を、実際に昼間沸上運転を実行する沸上時間区分として決定する。あるいは、所定の条件下においては、沸上時間区分を決定しない場合もある(詳細は後述)。この沸上時間区分の決定原理を、
図4を用いて説明する。
図4は、横軸に「0:00」,「1:00」,・・,「23:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸をかつ縦軸に電力量[kWh]を取り、前記翌日における、時間変動する前記太陽光発電装置3の発電電力挙動における単位時間ごとの発電電力、前記電気負荷機器6の単位時間ごとの消費電力を表す負荷使用電力、及び、前記貯湯式給湯装置1が単位時間ごとに消費する装置使用電力、の一例を概念的にそれぞれ表したグラフである。
【0037】
図4に示すように、この例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が9:00~15:00において「晴れ」であると予測された場合の当該翌日の挙動例である。すなわち、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量は、0:00~6:00までほぼ0[kWh]で推移するが、日の出(6:00~7:00の間)とともに徐々に上昇し、7:00では0.2[kWh]、8:00では1.0[kWh]、8:30で1.5[kWh]、となり、その後9:00で1.8[kWh]、10:00では2.5[kWh]、11:00での3.2[kWh]を経て、12:00における3.3[kWh]でピークを迎える。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、日の陰りとともに徐々に減少し、13:00では3.2[kWh]、14:00では2.5[kWh]となり、その後15:00で1.8[kWh]、15:30で1.5[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00での0.2[kWh]を経て、日の入り(17:00~18:00の間)により18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。
【0038】
一方、図中の灰色の棒グラフで示すように、前記電気負荷機器6における負荷使用電力は、前記翌日の0:00~24:00の間、終日、0.5[kWh]となっている。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」-「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力値は、
図4に示すように、前記翌日の8:00で初めて0.5[kWh]が生じ、8:30で1.0[kWh]、9:00で1.3[kWh]、10:00で2.0[kWh]、11:00での2.7[kWh]を経て、12:00における2.8[kWh]で最大となる。その後、徐々に減少し、13:00では2.7[kWh]、14:00では2.0[kWh]、15:00で1.3[kWh]、15:30で1.0[kWh]、16:00で0.5[kWh]となる。
【0039】
以上のような余剰電力の時間変動に対し、この例では、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの装置使用電力は、単位時間あたり1[kWh]となっている。この結果、このような日射挙動の日は、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる、9:00~15:00までが、前記余剰電力により前記貯湯式給湯装置1を運転可能な時間帯であることがわかる。
本実施形態では、上記の原理に基づき、余剰沸上時間区分決定部33Bは、前記気象情報取得部32Aにより取得された気象情報に対する前記気象情報判定部33Aによる判定結果が、上記のような良好な日射挙動を得られる見込みの内容であるか否かに基づき、当該指定運転時間帯において昼間沸上運転を実行するよう、決定することができる。すなわち本実施形態では、前記余剰電力値の値を算出したり推測したり等を行うことなく、前記気象情報がどのようなものであるかのみに基づいて、前記翌日において貯湯式給湯装置1が前記昼間沸上運転を行うべき沸上時間区分が決定される。このように前記翌日に昼間沸上運転を見込める場合は、その前日である所望日の前記夜間帯において、前記商用電源49からの買電により行う夜間沸上運転での沸上量を、その昼間沸上運転で沸き上げる予定の分、減らすことができる。
【0040】
一方、例えば前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が雨又は曇り等(太陽による日射がほとんどない)と予測された場合の当該翌日の挙動例を
図5に示す。この場合、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の値は、0:00~8:00までほぼ0[kWh]で推移し、日の出に伴ってわずかに上昇するが、9:00で0.1[kWh]、10:00では0.3[kWh]、11:00で0.5[kWh]、12:00での0.6[kWh]を経た後の13:00におけるピークでも0.7[kWh]程度に留まる。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、14:00で0.6[kWh]、15:00で0.5[kWh]、16:00では0.3[kWh]、17:00で0.1[kWh]となり、18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」-「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の値は、
図5に示すように、前記翌日の12:00~14:00までの間でわずかに生じる程度であり、その最大値も0.2[kWh]程度に留まる。このような場合、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる時間帯はない。
このような挙動原理に基づき、余剰沸上時間区分決定部33Bは、例えば
図3(b)に示すように良好な日照が見込めないような気象情報の内容である場合には、当該指定運転時間帯における昼間沸上運転を実行しない。言い換えれば、前記の実際に昼間沸上運転を実行する沸上時間区分を決定しない。この場合、
図5中に示すように、前記貯湯式給湯装置1の沸上運転は、太陽光発電による電力を用いずに上記商用電源49からの給電により、電力料金単価が安価な夜間帯(この例では23:00~7:00)に実行される。
【0041】
図2に戻り、前記のようにして余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記沸上時間区分は、前記余剰沸上容量算出部37へと出力される。余剰沸上容量算出部37は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が予め定められた沸上目標温度まで沸き上げることのできる余剰沸上容量(昼間沸上容量に相当)を算出する。この算出された余剰沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
【0042】
一方このとき、前記使用湯量学習部34には、前記給湯流量センサ16からの検出信号(前記給湯湯量を表す)と、前記給湯温度センサ17の検出信号(前記給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力される。使用湯量学習部34は、入力された前記給湯湯量を、前記給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば40[℃])の使用湯量に換算し、過去所定期間(例えば7日間)の日毎の学習湯量として学習する。その際の学習においては、単純に所定期間分の平均値をとってもよいし、公知の手法により日毎のばらつきを加味してもよい。また日毎の追焚き実績の有無を考慮するようにしてもよい。
【0043】
前記必要熱量決定部35は、前記使用湯量学習部34によって学習された前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、前記翌日における必要熱量を決定する。
【0044】
前記夜間沸上容量算出部36(目標沸上量算出手段に相当)は、前記必要熱量決定部35によって決定された前記翌日における必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して、必要容量を算出し、(後述の余剰沸上容量を用いた補正前の)夜間沸上容量(目標夜間沸上量に相当)とする。このようにして算出された夜間沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
【0045】
前記補正夜間沸上容量算出部38(補正夜間沸上量算出手段に相当)は、前記のようにして前記夜間沸上容量算出部36により算出された夜間沸上容量(言い替えれば前記翌日の一日間において必要な湯水の量に対応した沸上容量)から、前記のようにして前記余剰沸上容量算出部37により算出された余剰沸上容量(言い替えれば前記翌日のうち前記沸上時間区分において沸き上げる湯水の量に対応した沸上容量)を差し引いて、(前記翌日の昼間に余剰電力により沸上できない分に相当する)補正夜間沸上容量を算出する。この補正夜間沸上容量は、前記夜間沸上制御部39へ出力される。
【0046】
言い換えれば、補正沸上容量算出部38により、前記夜間帯において沸き上げるべき(詳細には夜間帯の終了時刻において沸き上がった状態にしておくべき)前記補正夜間沸上容量が算出される。これにより、翌日の昼間帯に前記余剰沸上容量が見込まれる分、前記夜間帯における沸上量を少なくすることができるので、前記商用電源49からの購入電力量(すなわち太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100外から購入される電力量)を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。
【0047】
なお、前記のような補正夜間沸上容量の設定の結果、前記所望日~前記翌日にわたる当該夜間帯(この例では23:00~7:00)が終了した直後(言い替えれば昼間帯が開始された直後、例えば7:00)においては、貯湯タンク10内の全ての湯水が沸き上げられた状態とはなっておらず、未加熱水が、ある程度(=前記太陽光発電の電力による前記余剰沸上容量の分)貯湯タンク10内に残ったままとなる。
【0048】
前記夜間沸上制御部39は、前記所望の日から前記翌日にかけての夜間帯(例えば前記所望の日の23:00~前記翌日の7:00)において、前記補正夜間沸上容量算出部38から出力された前記補正夜間沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
【0049】
なお、前記したように翌日の天気が晴天等の場合で、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより前記沸上時間区分(言い替えれば前記指定運転時間帯、又は、後述のようにその時間帯から繰り上げ又は繰り下げた時間帯)が設定された場合には、この沸上時間区分が前記余剰沸上制御部40へと出力されている。前記余剰沸上制御部40は、前記翌日の前記沸上時間区分において前記余剰電力を用いて前記余剰沸上容量算出部37により算出された前記余剰沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
【0050】
また前記昼間沸増制御部42は、前記夜間帯以外の昼間帯(例えば7:00~23:00)において前記貯湯タンク10内の湯水の前記貯湯量が予め定められたしきい値以下に減少(前記複数の貯湯温度センサ18により検出)すると、前記商用電源49を用いて、所定の昼間沸増容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。なお、前記夜間沸上容量算出部36において、前記のようにして算出した前記必要容量を貯湯タンク10の容量と比較し、それらのうち小さい方を前記夜間沸上容量としてもよい(以下、同様)。このとき、前記必要容量が貯湯タンク10の容量を超えている場合に、前記夜間沸上容量算出部36で算出された前記夜間沸上容量を前記昼間沸増制御部42へと入力し(
図2中の2点鎖線参照)、前記昼間沸増制御部42が前記夜間帯に沸き上げられなかった分を昼間沸増容量として算出し、この算出した昼間沸増容量を沸き上げるように前記のような制御を行うようにしても良い。
【0051】
なお、以上において、余剰沸上時間区分決定部33Bと、余剰沸上制御部40と、余剰沸上容量算出部37と、使用湯量学習部34と、必要熱量決定部35と、夜間沸上容量算出部36と、補正夜間沸上容量算出部38と、夜間沸上制御部39と、昼間沸増制御部42とが、沸上制御手段に相当している。
【0052】
<実施形態の要部>
ここで、前記「晴れ」「曇り」「雨」等の気象情報が取得された場合において、「雨」の場合は太陽光発電装置での発電がほとんど期待できないことから、昼間沸上運転を行わずに通常の夜間沸上運転を行えば足りる。これに対して「曇り」の場合は、いわゆる薄曇り等のときにはある程度の日照が確保できるため太陽光発電装置での発電を期待できる可能性があるが、雨雲のときには発電量をほとんど期待できない可能性がある。
【0053】
そのため、例えば「曇り」であった場合に、一律に昼間沸上運転を行うこととすると雨雲等の場合には昼間沸上運転の発電量が足りずに昼間帯に買電となってコスト高を招く恐れがあり、逆に一律に昼間沸上運転を行わないこととすると薄曇り等の場合に十分な発電量があるのに活用できず無駄が生じる恐れがある。
【0054】
そこで本実施形態においては、前記翌日における指定運転時間帯(例えば9:00~12:00)が「曇り」に該当する場合には、当該指定運転時間帯の前に隣接する時間帯(前記の例に沿えば6:00~9:00。以下同様。前隣接時間帯に相当)又は当該指定運転時間帯の後に隣接する時間帯(前記の例に沿えば12:00~15:00。以下同様。後隣接時間帯に相当)における気象情報の内容に応じて、前記昼間沸上運転の有無、若しくは、実際に前記昼間沸上運転を行う実運転時間帯を調整する。そのような曇天予測時の調整を含む、本実施形態による昼間沸上運転の時間区分設定の一例を
図6(a)~(d)に示す。
【0055】
<実施形態の手法の概要>
図6(a)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「曇り」、6:00~9:00が「晴れ」、9:00~12:00が「晴れ」、12:00~15:00が「晴れ」、15:00~18:00が「曇り」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「晴れ」であることから、当該指定運転時間帯9:00~12:00において昼間沸上運転が実行される。なお、この結果、その昼間沸上運転での沸上量分、前記所望日の夜間沸上運転での沸上量が減らされることとなる。
【0056】
図6(b)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「曇り」、6:00~9:00が「雨」、9:00~12:00が「雨」、12:00~15:00が「雨」、15:00~18:00が「曇り」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「雨」であることから、昼間沸上運転は実行されない。したがって、前記所望日の夜間沸上運転は、前記昼間沸上運転が行われる場合のように沸上量が減らされることなく、実行される。
【0057】
図6(c)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「晴れ」、6:00~9:00が「晴れ」、9:00~12:00が「曇り」、12:00~15:00が「曇り」、15:00~18:00が「雨」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「曇り」である一方で、その前後のいずれも(この例では前隣接時間帯である6:00~9:00及び後隣接時間帯である12:00~15:00)が「雨」ではないことから、前記指定運転時間帯9:00~12:00において昼間沸上運転が実行される。なお、この結果、その昼間沸上運転での沸上量分、前記所望日の夜間沸上運転での沸上量が減らされることとなる。
【0058】
図6(d)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「雨」、6:00~9:00が「雨」、9:00~12:00が「曇り」、12:00~15:00が「曇り」、15:00~18:00が「晴れ」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「曇り」である一方で、その前後のうちいずれか(この例では前隣接時間帯である6:00~9:00)が「雨」であるため、昼間沸上運転は実行されない。したがって、前記所望日の夜間沸上運転は、前記昼間沸上運転が行われる場合のように沸上量が減らされることなく、実行される。
【0059】
<制御手順>
次に、前記の手法を実現するために、前記制御装置31が実行する制御手順を、
図7のフローチャートにより説明する。
【0060】
図7において、まずステップS110で、制御装置31は、気象情報判定部33Aにより、前記のようにして取得された気象情報において、前記指定運転時間帯(この例では9:00~12:00。以下同様)が「晴れ」であるか否かを判定する。「晴れ」である場合は判定が満たされ(S110:Yes)、ステップS120に移行し、気象情報取得部32Aで取得された(かつ気象情報判定部33Aにて「晴れ」と判定された)気象情報のみに基づいて昼間沸上運転実行と決定した前記翌日の前記指定運転時間帯において昼間沸上運転を実行する。その後、このフローを終了する。
【0061】
前記ステップS110において前記指定運転時間帯における気象情報が「晴れ」ではない場合は判定が満たされず(S110:No)、ステップS130へ移行する。
【0062】
ステップS130では、制御装置31は、気象情報判定部33Aにより、前記取得された気象情報において前記指定運転時間帯が「雨」であるか否かを判定する。「雨」である場合は判定が満たされ(S130:Yes)、ステップS140へ移行する。ステップS140では、制御装置31は、前記翌日における昼間沸上運転を実行しないように設定する。その後、このフローを終了する。
【0063】
前記ステップS130において前記指定運転時間帯における気象情報が「雨」ではない場合は判定が満たされず(S130:No)、ステップS150へ移行する。
【0064】
ステップS150では、制御装置31は、気象情報判定部33Aにより、前記取得された気象情報において前記指定運転時間帯の前又は後に隣接する時間帯(この例では6:00~9:00又は12:00~15:00)に「雨」が含まれるか否かを判定する。「雨」が含まれる場合は判定が満たされ(S150:Yes)、ステップS160へ移行する。ステップS160では、制御装置31は、前記翌日における昼間沸上運転を実行しないように設定する。その後、このフローを終了する。
【0065】
前記ステップS150において前記指定運転時間帯の前及び後に隣接する時間帯における気象情報にいずれも「雨」が含まれない場合は判定が満たされず(S150:No)、ステップS190へ移行する。
【0066】
ステップS190では、制御装置31は、気象情報取得部32Aで取得された(かつ気象情報判定部33Aにて「雨」が含まれないと判定された)気象情報のみに基づいて昼間沸上運転実行と決定した前記翌日の前記指定運転時間帯において昼間沸上運転を実行する。その後、このフローを終了する。
【0067】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の貯湯式給湯装置1によれば、気象情報判定部33Aによる判定結果に基づき、昼間沸上運転を実行可能な指定運転時間帯(前記の例では9:00~12:00)がどの気象情報に該当するかに応じて、細かく制御を切り替える。すなわち「晴れ」に該当する場合には、前記指定運転時間帯に昼間沸上運転を行い(ステップS120参照)、それに先立つ夜間帯においては昼間沸上運転と同じ容量を未加熱のまま残す夜間沸上運転を行うようにする。指定運転時間帯が「雨」に該当する場合は、前記指定運転時間帯における昼間沸上運転を行わず(ステップS130でのYes判定の流れ参照)、それに先立つ夜間帯において通常の夜間沸上運転を行うようにする。
【0068】
そして、指定運転時間帯が「曇り」に該当する場合は、前記指定運転時間帯の前後に隣接する時間帯における気象情報の内容に応じ、適宜、昼間沸上運転の有無を切り替える調整を行うようにする(ステップS160、ステップS190参照)。このように、前記指定運転時間帯に「曇り」が予想されるときに一律な制御とせず、前後の時間帯の気象情報に基づき、当該指定運転時間帯がどのような曇り空であるかを見極めた上で、細かい沸上制御を実施する。これにより、買電となるリスクを回避しつつ、曇り予報であっても太陽光による発電量を利用して沸き上げを行うことができる。
【0069】
指定運転時間帯の前の時間帯(前記の例では6:00~9:00)及び後の時間帯(前記の例では12:00~15:00)においてともに「雨」が予想されていない場合は、例えば天気が下り坂であっても指定運転時間帯(前記の例では9:00~12:00)にはまだ雨雲が生じていない、若しくは、天気が回復し始めて十分時間がたっており指定運転時間帯には雨雲が残存していない、等の可能性が高いため、少なくとも当該指定運転時間帯においてある程度の日照を得られる可能性が高い。そこで本実施形態においては、指定運転時間帯が「曇り」に該当し、前隣接・後隣接時間帯が「雨」に該当しない場合には、指定運転時間帯に昼間沸上運転を行い(ステップS190参照)、その昼間沸上運転の沸上容量の分を差し引いた夜間沸上運転を行うようにする。これにより、曇り予報であっても太陽光による発電量を確実に利用して沸き上げを行うことができる。
【0070】
また、指定運転時間帯の前後に「雨」が予想されている場合は、例えば天気が下り坂で指定運転時間帯に雨雲が生じる、あるいは、天気が回復し始めて間がなく雨雲が残存している、等の可能性が高いため、当該指定運転時間帯において日照を得られる可能性は低い。そこで本実施形態では、指定運転時間帯が「曇り」に該当し、前・後隣接時間帯のいずれかが「雨」に該当する場合には、指定運転時間帯に前記昼間沸上運転を行わず(ステップS160参照)、その昼間沸上運転の沸上容量の分を見込まない通常の夜間沸上運転を行うようにする。これにより、昼間帯においてコスト高を招く買電となるリスクを回避することができる。
【0071】
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能である。以下、そのような変形例を示す。
【0072】
(1)実運転時間を繰上げ又は繰下げ変更して昼間沸上運転する場合
すなわち、上記実施形態においては、指定運転時間帯が「曇り」に該当する場合は、前隣接時間帯及び後隣接時間帯における気象情報の内容に応じ、適宜、昼間沸上運転の有無を切り替える調整を行い、特に、前隣接時間帯又は後隣接時間帯に「雨」が予想されていた場合には、昼間沸上運転を行わなかった(ステップS160参照)。本変形例では、前隣接時間帯又は後隣接時間帯に「雨」が予想されていた場合には、実運転時間を繰上げ又は繰下げ変更して昼間沸上運転する場合の例である。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0073】
本変形例による昼間沸上運転の時間区分設定の一例を、前記
図6に対応する
図8(a)~(d)に示す。
図8に示す例では、上記実施形態と同様、情報端末200により9:00~12:00の指定運転時間帯が指定された場合を説明する。また
図8では、特に指定運転時間帯(9:00~12:00)の気象情報が「曇り」であった場合を例にとって説明する。
【0074】
図8(a)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「曇り」、6:00~9:00が「雨」、9:00~12:00が「曇り」、12:00~15:00が「曇り」、15:00~18:00が「曇り」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「曇り」であるとともにその前後の前隣接時間帯及び後隣接時間帯のうちの少なくとも一部(この例では直前の前隣接時間帯6:00~9:00)が「雨」に該当する。本変形例ではこのような場合、前記指定運転時間帯9:00~12:00から所定時間(この例では3時間)繰り下げた時間帯である、12:00~15:00において昼間沸上運転を行う。
【0075】
図8(b)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「曇り」、6:00~9:00が「曇り」、9:00~12:00が「曇り」、12:00~15:00が「雨」、15:00~18:00が「曇り」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「曇り」であるとともにその前後の前隣接時間帯及び後隣接時間帯のうちの少なくとも一部(この例では直後の後隣接時間帯12:00~15:00)が「雨」に該当する。本変形例ではこのような場合、前記指定運転時間帯9:00~12:00から所定時間(この例では3時間)繰り上げた時間帯である、6:00~9:00において昼間沸上運転を行う。
【0076】
但し、前記の場合の例外として、上記繰り上げの手法がとれない場合があり得る。すなわち、前述したように、気象情報取得部32Aの気象情報の取得及びその後の各機能部の処理は、通常、所望日の23:00において実行される。前記した指定運転時間帯9:00~12:00から6:00~9:00への繰り上げは、例えばこのタイミングであれば、実行可能である。
【0077】
しかしながら、気象情報取得部32Aの気象情報の取得及びその後の各機能部の処理が例えば前記翌日の7:00に行われた場合(例えば23:00の気象情報では繰り上げの必要がなかったが7:00の気象情報で繰り上げの必要が生じた場合)、繰り上げるべき時間帯(6:00~9:00)の起点時間を過ぎてしまっている。したがって、このような場合は繰り上げることができないため、
図8(c)に示すように、前記指定運転時間帯9:00~12:00における昼間沸上運転を行わない(翌日の他の時間帯でも昼間沸上運転を行わない)。
【0078】
図8(d)の例は、前記翌日において、3:00~6:00が「曇り」、6:00~9:00が「曇り」、9:00~12:00が「曇り」、12:00~15:00が「曇り」、15:00~18:00が「曇り」、・・と予測された場合である。この場合、指定運転時間帯9:00~12:00が「曇り」であるとともにその前に隣接する時間帯6:00~9:00及び後に隣接する時間帯12:00~15:00も「雨」に該当しない。本変形例ではこのような場合は、特に前記の繰り上げ・繰り下げを行うことなく、前記指定運転時間帯9:00~12:00において昼間沸上運転を行う。
【0079】
<制御手順>
次に、前記の手法を実現するために、本変形例の貯湯式給湯装置1の前記制御装置31が実行する制御手順を、上記実施形態の
図7に対応する
図9のフローチャートにより説明する。
【0080】
図9のフローでは、
図7のフローにおけるステップS150、ステップS160が省略されるとともに、それらに代えて、新たにステップS155、ステップS165、ステップS175、ステップS185が設けられている。
【0081】
すなわち、
図7と同様、ステップS110において指定運転時間帯が「晴れ」か否かが判定された後、ステップS130において指定運転時間帯が「雨」か否かが判定され、指定運転時間帯が「曇り」である場合にはステップS110及びステップS130のいずれも判定が満たされず(S110;No、S130:No)、新たに設けたステップS155へ移行する。
【0082】
ステップS155では、制御装置31は、前記気象情報判定部33Aにより、前記のようにして取得された気象情報において、前記指定運転時間帯の前の前記前隣接時間帯(この例では6:00~9:00。以下同様)が「雨」であるか否かを判定する。「雨」である場合は判定が満たされ(S155:Yes)、ステップS165に移行し、前記翌日の前記指定運転時間帯から所定時間(この例では3時間)繰り下げた時間帯(この例では12:00~15:00)において昼間沸上運転を行う。その後、このフローを終了する。
【0083】
前記ステップS155において前記前隣接時間帯における気象情報が「雨」ではない場合は判定が満たされず(S155:No)、ステップS175へ移行する。
【0084】
ステップS175では、制御装置31は、気象情報判定部33Aにより、前記取得された気象情報において前記指定運転時間帯の後の前記後隣接時間帯(この例では12:00~15:00.以下同様)が「雨」であるか否かを判定する。「雨」である場合は判定が満たされ(S175:Yes)、ステップS185へ移行する。ステップS185では、制御装置31は、前記翌日の前記指定運転時間帯から所定時間(この例では3時間)繰り上げた時間帯(この例では6:00~9:00)において昼間沸上運転を行う。なお、前記の
図8(c)で説明したように繰り上げ不可の場合は、このステップS185では、前記翌日における昼間沸上運転を実行しないように設定する。その後、このフローを終了する。
【0085】
前記ステップS175において前記後隣接時間帯が「雨」でない場合は判定が満たされず(S175:No)、前記
図7と同様のステップS190へ移行する。ステップS190では、前記と同様、制御装置31は、前記翌日の前記指定運転時間帯において昼間沸上運転を実行する。その後、このフローを終了する。
【0086】
<変形例の効果>
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。また、本変形例においては特に、以下の効果を得る。
【0087】
例えば指定運転時間帯(前記の例では9:00~12:00)に「曇り」が予想され、指定運転時間帯の前の前隣接時間帯(前記の例では6:00~9:00)に「雨」が予想されている場合は、前隣接時間帯から指定運転時間帯にかけて、天気が徐々に回復している状態である可能性が高い。そこで本変形例においては、指定運転時間帯が「曇り」に該当し、前隣接時間帯が「雨」に該当する場合には、実運転時間帯を指定運転時間帯よりも繰り下げる(前記の例では12:00~15:00.ステップS165参照)形ですなわち開始時間を遅らせて昼間沸上運転を行うようにする。これにより、天気がなるべく回復した状態で少しでも強い日照を受けるようにし、確実に太陽光による発電量を利用した沸き上げを行うことができる。
【0088】
また、指定運転時間帯に「曇り」が予想され、後隣接時間帯に「雨」が予想されている場合は、指定運転時間帯から指定運転時間帯の後にかけて天気が下り坂となっている状態、言い換えれば指定運転時間帯の前のほうが指定運転時間帯よりも雲が少ない状態である可能性が高い。そこで本変形例においては、指定運転時間帯が「曇り」に該当し、後隣接時間帯が「雨」に該当する場合には、実運転時間帯を指定運転時間帯よりも繰り上げる(前記の例では6:00~9:00.ステップS185参照)形ですなわち開始時間を早めて昼間沸上運転を行うようにする。これにより、天気がなるべく悪くならない状態で少しでも強い日照を受けるようにし、確実に太陽光による発電量を利用した沸き上げを行うことができる。
【0089】
また、前記のように実運転時間を繰り上げて雨雲の回避等を行おうとしたときに、既に述べたように、その時点で既に指定運転時間がある程度近接していて繰り上げが事実上不可能である場合がある。本変形例によれば、上記のような場合、具体的には、繰り上がった前記実運転時間帯(前記の例では6:00~9:00)が気象情報判定手段による判定タイミング(前記の例では7:00)よりも前のタイミングを含むこととなる場合には、昼間沸上運転を断念し実行しないように制御する(前記のステップS185の説明での注意書き参照)。これにより、買電により確実に沸き上げを行うことができる。
【0090】
(2)その他
なお、以上においては、昼間沸上運転の実行を貯湯式給湯装置1が許容する許容時間帯の一例として、情報端末200において指定された指定運転時間帯が用いられる場合を説明したが、これに限られない。すなわち、前記昼間沸上運転を前記貯湯式給湯装置1が実行可能な沸上可能時間帯が予め設定されている場合には、前記指定運転時間帯に代えてこの沸上可能時間帯について、前記と同様の調整手法を適用してもよい。前記沸上可能時間帯は、例えば、予め、各日の夜間帯(例えば23:00~7:00)を除く昼間帯(例えば7:00~23:00)における所定の時間帯(例えば9:00~15:00)に一律に定められる。なお、沸上可能時間帯はこの例に限られず、8:00~16:00等、他の時間帯としてもよい。また、季節や貯湯式給湯装置1の設置個所によって適宜に変えるようにしてもよい。
【0091】
この場合、前記
図2に示した貯湯式給湯装置1の制御装置31の機能的構成において、指定時間取得部32Bを省略してもよい。そして前記気象情報判定部33Aは、前記気象情報取得部32Aにより取得された気象情報に基づき、前記沸上可能時間帯が、前記「晴れ」「曇り」「雨」のうちいずれに該当するかを判定する。余剰沸上時間区分決定部33Bは、気象情報判定部33Aにおける判定結果に基づき、前記沸上可能時間帯の中から、前記翌日において貯湯式給湯装置1が前記昼間沸上運転を行うべき沸上時間区分を決定する。あるいは沸上可能時間帯を昼間沸上運転を実行する沸上時間区分として決定できない場合は、昼間沸上運転を実行する沸上時間区分を決定しない。前記余剰沸上制御部40は、前記のように、余剰沸上時間区分決定部33Bにおいて実際に昼間沸上運転を実行する沸上時間区分が決定された場合に、該当する前記翌日の時間区分において、前記余剰電力を用いて前記余剰沸上容量算出部37により算出された前記余剰沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19を制御する。
【0092】
さらに、例えば、貯湯式給湯装置1の前記制御装置31に設けられた各機能部のうち少なくとも1つを、前記サーバ9に設けても良い。
【0093】
また、以上において、
図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0094】
また、
図7、
図9に示すフローチャート図は本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 貯湯式給湯装置
3 太陽光発電装置
10 貯湯タンク
19 ヒートポンプ装置(加熱手段)
31 制御装置
32A 気象情報取得部(気象情報取得手段)
32B 指定時間帯取得部(指定時間帯取得手段)
33A 気象情報判定部(気象情報判定手段)
33B 余剰沸上時間区分決定部
36 夜間沸上容量算出部
38 補正夜間沸上容量算出部
49 商用電源
100 太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム