(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070146
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】電動回転翼航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 27/57 20060101AFI20220502BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20220502BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20220502BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
B64C27/57
B64D27/24
B64C27/04
H02P5/46 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179196
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】520031346
【氏名又は名称】eVTOL Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】御法川 学
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 義広
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 静
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA20
5H572CC08
5H572DD01
5H572EE03
5H572EE04
5H572GG02
5H572HB07
5H572HC07
5H572JJ03
5H572JJ17
5H572KK05
5H572LL01
5H572LL22
5H572MM09
5H572MM11
5H572PP01
(57)【要約】
【課題】複数のモードを選択可能であり、それぞれのモードに応じて回転数とローターピッチの両方を制御可能な伝動機構を備えた電動回転翼航空機を提供すること。
【解決手段】電動回転翼航空機であって、第1の出力軸と、前記第1の出力軸に設けられ、前記第1の出力軸の軸中心に対して回転可能なメインローター及びローターブレードを有するメインローターシステムと、前記第1の出力軸に動力を伝達する動力軸と、前記動力軸に設けられ、前記メインローターシステムを駆動する電動モーターシステムと、前記電動モーターシステムに接続され、前記第1の出力軸の回転数をそれぞれのモードに応じた回転数に保つように前記電動モーターシステムを制御し、前記ローターブレードのローターピッチをそれぞれのモードに応じたローターピッチに保つように制御する飛行制御装置と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力軸と、
前記第1の出力軸に設けられ、前記第1の出力軸の軸中心に対して回転可能なメインローター及びローターブレードを有するメインローターシステムと、
前記第1の出力軸に動力を伝達する動力軸と、
前記動力軸に設けられ、前記メインローターシステムを駆動する電動モーターシステムと、
前記電動モーターシステムに接続され、電動回転翼航空機を飛行させる第1のモードと第2のモードと第3のモードと第4のモードとを選択可能であり、前記第1の出力軸の回転数をそれぞれのモードに応じた回転数に保つように前記電動モーターシステムを制御し、前記ローターブレードのローターピッチをそれぞれのモードに応じたローターピッチに保つように制御する飛行制御装置と、
を有する電動回転翼航空機であって、
前記第1のモードは、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じて、前記第1の出力軸の回転数を、前記電動回転翼航空機の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを前記電動回転翼航空機の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1のローターピッチに調整する、第1の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードであり、
前記第2のモードは、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じて、前記飛行速度に応じた前記第1の出力軸の回転数を、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じた前記電動回転翼航空機を駆動する電力を最小の電力になるような第2の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じた前記電動回転翼航空機を駆動する電力を最小の電力になるような第2のローターピッチに調整する、第2の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードであり、
前記第3のモードは、前記電動回転翼航空機の飛行速度を予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行速度になるように、前記飛行速度に応じた前記第1の出力軸の回転数を、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行させる飛行速度に応じた第3の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行させる飛行速度に応じた第3のローターピッチに調整する、第3の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードであり、
前記第4のモードは、前記飛行速度に応じた前記第1の出力軸の回転数を、メインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを、メインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4のローターピッチに調整し、前記メインローター及び前記ローターブレードが回転することで発生する騒音を抑制する第4の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードである、
電動回転翼航空機。
【請求項2】
前記メインローターシステムは、前記飛行制御装置から前記飛行速度に応じたローターピッチを受信し、前記ローターブレードのローターピッチを前記飛行速度に応じたローターピッチに調整するメインローター制御装置を有し、
前記飛行制御装置は、前記電動モーターシステムに前記飛行速度に応じた回転数のデータを送信し、
前記電動モーターシステムは、前記第1の出力軸の前記回転数を測定し、前記第1の出力軸の前記回転数を前記飛行速度に応じた回転数に調整する、
請求項1に記載の電動回転翼航空機。
【請求項3】
前記電動モーターシステムは、
前記動力軸に設けられ、前記メインローターシステムを駆動する第1のモーター及び第2のモーターと、
前記第1のモーターに接続され、前記第1のモーターの回転数を前記飛行速度に応じた回転数に保つように、前記第1のモーターを制御する第1のモーター制御装置と、
前記第2のモーターに接続され、前記第2のモーターの回転数を前記飛行速度に応じた回転数に保つように、前記第2のモーターを制御する第2のモーター制御装置と、
を有する請求項1または請求項2に記載の電動回転翼航空機。
【請求項4】
電力供給装置を備え、
前記電力供給装置は、
前記第1のモーター制御装置に電気的に接続され、前記第1のモーター及び前記第1のモーター制御装置に電力を供給する第1のバッテリーと、
前記第2のモーター制御装置に電気的に接続され、前記第2のモーター及び前記第2のモーター制御装置に電力を供給する第2のバッテリーと、
前記飛行制御装置に電気的に接続され、前記飛行制御装置に電力を供給する第3のバッテリーと、
を有する請求項3に記載の電動回転翼航空機。
【請求項5】
前記飛行制御装置は、前記第1のモーターまたは前記第2のモーターの何れかの状態を、前記第1の出力軸の回転数が前記飛行速度に応じた回転数よりも多い過回転な状態にする、
請求項3または請求項4に記載の電動回転翼航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動回転翼航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の電動化と並行し、小型航空機の電動化が注目されている。例えば、電動化された垂直離着陸可能な小型航空機は、化石燃料を使用せずに電動モーターを使用し動力を得ることができる。電動化された垂直離着陸可能な小型航空機は、化石燃料を使用しないため、内燃機関を有する航空機と比較して、CO2排出量が少なく、エネルギー補給が容易であり、システム全体の小型化が可能であり、操作性及び静音性が優れている。例えば、ヘリコプターは、垂直離着陸可能な小型航空機の一つである。電動化されたヘリコプターは、例えば、電動ヘリコプター、電動回転翼航空機などと呼ばれる。
【0003】
例えば、特許文献1乃至4は電動ヘリコプターの構成または制御方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8931732号明細書
【特許文献2】米国特許第9169027号明細書
【特許文献3】国際公開2016/009824号
【特許文献4】国際公開2015/146608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題の一つは、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、複数のモードを選択可能であり、それぞれのモードに応じて回転数とローターピッチの両方を制御可能な伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の出力軸と、前記第1の出力軸に設けられ、前記第1の出力軸の軸中心に対して回転可能なメインローター及びローターブレードを有するメインローターシステムと、前記第1の出力軸に動力を伝達する動力軸と、前記動力軸に設けられ、前記メインローターシステムを駆動する電動モーターシステムと、前記電動モーターシステムに接続され、電動回転翼航空機を飛行させる第1のモードと第2のモードと第3のモードと第4のモードとを選択可能であり、前記第1の出力軸の回転数をそれぞれのモードに応じた回転数に保つように前記電動モーターシステムを制御し、前記ローターブレードのローターピッチをそれぞれのモードに応じたローターピッチに保つように制御する飛行制御装置と、を有する電動回転翼航空機であって、前記第1のモードは、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じて、前記第1の出力軸の回転数を、前記電動回転翼航空機の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを前記電動回転翼航空機の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1のローターピッチに調整する、第1の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードであり、前記第2のモードは、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じて、前記飛行速度に応じた前記第1の出力軸の回転数を、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じた前記電動回転翼航空機を駆動する電力を最小の電力になるような第2の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを、前記電動回転翼航空機の飛行速度に応じた前記電動回転翼航空機を駆動する電力を最小の電力になるような第2のローターピッチに調整する、第2の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードであり、前記第3のモードは、前記電動回転翼航空機の飛行速度を予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行速度になるように、前記飛行速度に応じた前記第1の出力軸の回転数を、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行させる飛行速度に応じた第3の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行させる飛行速度に応じた第3のローターピッチに調整する、第3の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードであり、前記第4のモードは、前記飛行速度に応じた前記第1の出力軸の回転数を、メインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4の回転数に調整し、前記飛行速度に応じた前記ローターブレードのローターピッチを、メインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4のローターピッチに調整し、前記メインローター及び前記ローターブレードが回転することで発生する騒音を抑制する第4の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させるモードである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、複数のモードを選択可能であり、それぞれのモードに応じて回転数とローターピッチの両方を制御可能な伝動機構に置き換えた電動回転翼航空機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機の構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機のフライトモードを示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状、構成等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、b、A,Bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。なお、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0010】
本願の明細書及び特許請求の範囲(以下「本明細書等」という。)において、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機は、例えば、高速複合回転翼航空機、二重反転式回転翼航空機、同軸反転式回転翼航空機である。また、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機は、有人または無人の何れの構成も備えることができる。本明細書等では、電動回転翼航空機が、有人型の電動ヘリコプターを例に説明する。
<1.第1実施形態>
<1-1.電動回転翼航空機10の構成>
【0011】
図1~
図3を参照し、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成を示す平面図である。
図2は本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成を示すブロック図である。
図3は本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の構成を示すブロック図である。
図1~
図3に示す電動回転翼航空機10の構成は一例であって、電動回転翼航空機10の構成は、
図1~
図3に示す構成に限定されない。
【0012】
図1に示されるように、電動回転翼航空機10は、電動回転翼航空機体20、メインローターシステム30、及びテールローターシステム40を有する。電動回転翼航空機体20はメインローターシステム30及びテールローターシステム40を支持する。また、電動回転翼航空機10は、内部に、第1のモーター100Aと第2のモーターl00Bと第1のモーター制御装置102Aと第2のモーター制御装置102Bを有する電動モーターシステム100、隔壁104、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと第2のバッテリーマネジメントシステム110Bと第1のバッテリー120Aと第2のバッテリー120Bと第3のバッテリー120Cとを有する電力制御システム110、飛行制御装置130、操縦装置140、減速機150、ドライブシャフト152、メインローターシャフト154、テールローターシャフト156、メインローター160、ローターブレード170、メインローター制御装置、テールローター180、及びテールローター制御装置を有する。
【0013】
本明細書等において、ドライブシャフト152は動力軸または第1の動力軸、メインローターシャフト154は出力軸または第1の出力軸、テールローターシャフト156は出力軸または第2の出力軸と呼ぶことがある。また、本明細書等において、電動モーターシステム100を伝動機構と呼ぶことがある。また、伝動機構は、ドライブシャフト152を含んでもよく、電力制御システム110を含んでもよい。
【0014】
メインローターシステム30は、メインローター160、及びメインローター160に設けられた複数のローターブレード170、及びメインローター制御装置172を含む。テールローターシステム40は、テールローター180、及びテールローター制御装置182を含む。隔壁104は、例えば、テールローターシステム40と主体部(図示は省略)との隔壁と、電動回転翼航空機体20の内側の底部との間に設けられ、電動モーターシステム100を支持する役割を有する。また、例えば、隔壁104周辺の領域が、従来の内燃機関を使用する航空機における内燃機関に相当する部分が設けられていた領域である。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、メインローター160は、メインローターシャフト154に接続され、メインローターシャフト154の回転軸を中心に回転可能である。
【0016】
メインローター制御装置172は、飛行制御装置130、メインローター160、及び複数のローターブレード170に電気的に接続される。メインローター制御装置172は、複数のローターブレード170のローターピッチを制御する。メインローター制御装置172は、例えば、複数のローターブレード170のローターピッチをメインローター160の回転数に応じて変化させてもよく、複数のローターブレード170のローターピッチを電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じて変化させてもよく、複数のローターブレード170の迎え角を電動回転翼航空機10の各飛行速度とメインローター160の回転数との両方に応じて変化させてもよい。メインローター制御装置172は、例えば、飛行制御装置130から、電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じたローターピッチを受信し、複数のローターブレード170のローターピッチを各飛行速度に応じたローターピッチに調整してもよい。また、電動回転翼航空機10の各飛行速度とメインローター160の回転数との両方に応じたローターピッチを受信し、複数のローターブレード170のローターピッチを各飛行速度と回転数に応じたローターピッチに調整してもよい。さらに、メインローター160の回転数に応じたローターピッチを受信し、複数のローターブレード170のローターピッチを当該回転数に応じたローターピッチに調整してもよい。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、複数のローターブレード170のローターピッチを各飛行速度に応じたローターピッチに保つことができるため、安定した飛行を続けることができる。
【0017】
なお、メインローター制御装置172は、飛行制御装置130から受信した各飛行速度に応じたローターピッチ、回転数に応じたローターピッチ、各飛行速度及び回転数に応じたローターピッチを格納する記憶装置を有してもよい。また、詳細は後述するが、本明細書等において、メインローター160の回転数は、メインローターシャフト154の回転数、及びメインローター160に設けられる複数のローターブレード170の回転数と同一であり、所望の回転数、第1の回転数、第2の回転数、第3の回転数、または第4の回転数と呼ばれることがある。また、本明細書等において、前記飛行制御装置130から受信した各飛行速度に応じたローターピッチ、回転数に応じたローターピッチ、または各飛行速度及び回転数に応じたローターピッチは、所望のローターピッチ、第1のローターピッチ、第2のローターピッチ、第3のローターピッチ、または、第4のローターピッチと呼ばれることがある。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、テールローター180はテールローターシャフト156に接続され、テールローターシャフト156の回転軸を中心に回転可能である。
【0019】
テールローター制御装置182は、飛行制御装置130、及びテールローター180に電気的に接続される。テールローター制御装置182は、例えば、テールローター180の回転数を制御する。テールローター制御装置182は、例えば、テールローター180の回転数を電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じて変化させる。テールローター制御装置182は、例えば、飛行制御装置130から、電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じたテールローター180の回転数を受信し、テールローター180の回転数を各飛行速度に応じたテールローター180の回転数に調整する。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、テールローター180の回転数を各飛行速度に応じたテールローター180の回転数に調整することができるため、各飛行速度に応じて、メインローター160の回転で複数のローターブレード170が回転することにより発生するトルク(反トルク)を抑制し、安定した飛行を続けることができる。なお、テールローター制御装置182は、飛行制御装置130から受信した各飛行速度に応じたテールローター180の回転数を格納する記憶装置を有してもよい。
【0020】
図2に示されるように、ドライブシャフト152の第1の端部は減速機150(
図2)またはワンウェイクラッチ105(
図2)に接続され、ドライブシャフト152の第2の端部は電動モーターシステム100に接続される。
図1及び
図2では一例として、電動モーターシステム100に含まれる第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、ドライブシャフト152に接続される。すなわち、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは同軸に接続される。第1のモーター100Aは、ドライブシャフト152をドライブシャフト152の回転軸の中心に対して回転し、メインローターシャフト154及びテールローターシャフト156に動力を伝達し、メインローターシステム30及びテールローター180を駆動する。第2のモーター100Bは、ドライブシャフト152に対して第1のモーター100Aと直列に設けられ、第1のモーター100Aと同様に、ドライブシャフト152をドライブシャフト152の回転軸の中心に対して回転し、メインローターシャフト154及びテールローターシャフト156に動力を伝達し、メインローターシステム30及びテールローター180を駆動する。なお、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、互いに異なる動力軸に接続されてもよい。
【0021】
第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、例えば、スリップリングを有し、スリップリングを用いてドライブシャフト152に接続される。その結果、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bの個々の駆動は、個別に制御可能である。また、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bは、例えば、スリップリングを有し、スリップリングを用いてドライブシャフト152に接続される。
【0022】
ドライブシャフト152の第1の端部、メインローターシャフト154、及びテールローターシャフト156は、減速機150に接続される。ドライブシャフト152は、電動モーターシステム100が生成する動力によって、ドライブシャフト152の回転軸を中心に回転可能である。
【0023】
ここで、例えば、地面が、第1の軸(D1)と第2の軸(D2)とで設けられる平面(D1D2平面)または略平面(略D1D2平面)であるとした場合、第3の軸(D3)は、当該平面または当該略平面に交差し、当該平面または当該略平面に対して垂直または略垂直に設けられる。電動回転翼航空機10の側面視において、ドライブシャフト152は、第3の軸に対して平行または略平行に設けられる。また、電動回転翼航空機10の側面視において、ドライブシャフト152を第3の軸に延長した線と、メインローターシャフト154を延長した線とがなす角度は、90度よりも小さい鋭角である。
【0024】
ドライブシャフト152が回転することに伴い、電動モーターシステム100が生成する動力を、メインローターシャフト154、及びテールローターシャフト156に伝達することができる。すなわち、電動モーターシステム100が生成する動力を、一つのドライブシャフト152から、複数のローターシャフト(ここでは、メインローターシャフト154、及びテールローターシャフト156)に伝達することができる。その結果、メインローターシャフト154がメインローターシャフト154の回転軸を中心に回転し、メインローターシャフト154に接続されたメインローター160及び複数のローターブレード170が回転し、電動回転翼航空機10を浮上させる揚力を発生することができる。また、テールローターシャフト156がテールローターシャフト156の回転軸を中心に回転し、テールローターシャフト156に接続されたテールローター180が回転し、電動回転翼航空機10の反トルクを抑制することができる。また、テールローター180は、例えば、メインローター160の回転で複数のローターブレード170が回転することにより発生するトルク(反トルク)を抑制することができる。
【0025】
減速機150は、複数の歯車(図示は省略)を有する。複数の歯車の大きさ、歯数などは、一部の歯車において異なってもよく、一部の歯車において同じでもよい。複数の歯車は、少なくともドライブシャフト152とメインローターシャフト154、ドライブシャフト152とテールローターシャフト156の間に設けられる。ここで、ドライブシャフト152の回転数は、メインローターシャフト154の回転数、メインローター160及びメインローター160に設けられる複数のローターブレード170の回転数、テールローターシャフト156の回転数、及びテールローター180の回転数よりも極端に多い。減速機150は、大きさ、歯数などの異なる歯車を有することで、メインローターシャフト154の回転数及びとテールローターシャフト156の回転数を、ドライブシャフト152の回転数よりも少ない回転数に変化させることができる。その結果、減速機150は、各ローターの回転速度を減速することができる。
【0026】
メインローターシャフト154はメインローター160と接続され、テールローターシャフト156はテールローター180と電気的に接続される。よって、メインローターシャフト154の回転数はメインローター160の回転数、及びメインローター160に設けられる複数のローターブレード170の回転数と同一であり、テールローターシャフト156の回転数はテールローター180の回転数と同一である。
【0027】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機体20では、ワンウェイクラッチ105が減速機150と電動モーターシステム100との間に設けられてもよい。ワンウェイクラッチ105は、例えば、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bが故障した場合、ドライブシャフト152の回転を抑制し、動力がメインローター160及びテールローター180に伝達されることを抑制する。したがって、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bが故障した場合、ドライブシャフト152は、フリーローテーションが可能であり、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10はオートローテーション可能な構成を有する。
【0028】
第1のモーター制御装置102Aは、第1のモーター100A及び第1のバッテリーマネジメントシステム110Aに電気的に接続され、第1のモーター100Aの駆動を制御する。第1のモーター制御装置102Aは、例えば、インバーター(図示は省略)、回転数検出装置(図示は省略)、回転数比較装置(図示は省略)、及び回転数フィードバック装置(図示は省略)を有する。
【0029】
インバーターは、例えば、インバーター回路、インバーター回路に設けられるコンデンサーなどを含む。インバーターは、例えば、第1のバッテリー120Aから供給された電力(直流)を、コンデンサーに蓄電し、インバーター回路で電力(交流)に変換する。インバーターは、変換された電力(交流)を第1のモーター100Aに供給する。
【0030】
回転数検出装置は、例えば、電動回転翼航空機10の各飛行速度と、各飛行速度に応じたメインローター160の回転数、各飛行速度に応じたテールローター180の回転数、及び各飛行速度に応じた第1のモーター100Aの回転数とを対応付けした第1のルックアップテーブルを含む。また、各飛行速度に応じたメインローター160の回転数、各飛行速度に応じたテールローター180の回転数、各飛行速度に応じた第1のモーター100Aの回転数と電流値とを対応付けした第2のルックアップテーブルを含む。第1のルックアップテーブルと第2のルックアップテーブルとは例えば互いに異なる記憶装置であってもよく、同一の記憶装置に記憶されていてもよい。また、回転数検出装置は、第1のモーター100Aに流れる電流値を計測し、計測した電流値から第1及び第2のルックアップテーブルに基づき、各飛行速度に応じた第1のモーター100Aの回転数、各飛行速度に応じたメインローター160の回転数、及び各飛行速度に応じたテールローター180の回転数を検出することができる。回転数比較装置は、設定されたメインローター160の回転数、設定されたテールローター180の回転数、設定された第1のモーター100Aの回転数を記憶する記憶装置を含んでもよい。回転数比較装置は、回転数検出装置から、検出された第1のモーター100Aの回転数を受信し、検出した第1のモーター100Aの回転数を、設定された第1のモーター100Aの回転数と比較することができる。その結果、回転数比較装置は、検出した第1のモーター100Aの回転数が、設定された第1のモーター100Aの回転数と同じ場合、検出した第1のモーター100Aの回転数を回転数フィードバック装置に送信し、検出した第1のモーター100Aの回転数が、設定された第1のモーター100Aの回転数と異なる場合、検出した第1のモーター100Aの回転数を設定された第1のモーター100Aの回転数に補正し、回転数フィードバック装置に送信する。回転数フィードバック装置は、回転数検出装置と同様に、当該第1のルックアップテーブル及び第2のルックアップテーブルを含む。回転数フィードバック装置は、検出した第1のモーター100Aの回転数または設定された第1のモーターの回転数を回転数比較装置から受信する。回転数フィードバック装置は、第1及び第2のルックアップテーブルに基づき、受信した第1のモーター100Aの回転数から、第1のモーター100Aの電流値を求めることができる。回転数フィードバック装置は、求めた第1のモーター100Aの電流値を第1のモーター100Aに流すことによって、第1のモーター100Aの回転数を各飛行速度に応じた回転数に保つことができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を各飛行速度に応じた回転数に保つことができるため、安定した飛行を続けることができる。
【0031】
第2のモーター制御装置102Bは、第2のモーター100B及び第2のバッテリーマネジメントシステム110Bに電気的に接続され、第2のモーター100Bの駆動を制御する。第2のモーター制御装置102Bは、第1のモーター制御装置102Aと同様の構成を有し、例えば、インバーター、回転数検出装置、回転数比較装置、及び回転数フィードバック装置を有する。インバーターは、変換された電力(交流)を第2のモーター100Bに供給する。したがって、第2のモーター制御装置102Bは、求めた第2のモーター100Bの電流値を第2のモーター100Bに流すことによって、第2のモーター100Bの回転数を各飛行速度に応じた回転数に保つことができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、メインローター160の回転数、及びテールローター180の回転数を各飛行速度に応じた回転数に保つことができるため、安定した飛行を続けることができる。なお、本明細書等において、設定された第1のモーターの回転数及び設定された第2のモーターの回転数は、所望の回転数、第1の回転数、第2の回転数、第3の回転数、または第4の回転数と呼ばれることがある。
【0032】
第1のモーター制御装置102Aと第2のモーター制御装置102Bとは互いに接続されてもよい。例えば、第1のモーター100Aの回転数及び電流値などのデータを、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター制御装置102Aと共有してもよく、第2のモーター100Bの回転数及び電流値などのデータを、第1のモーター制御装置102Aが第2のモーター制御装置102Bと共有してもよい。
【0033】
発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、第1のモーター制御装置102Aが制御不能になった場合、第2のモーター制御装置102Bが第1のモーター100Aに接続されるように構成されていてもよく、第2のモーター制御装置102Bが制御不能になった場合、第1のモーター制御装置102Aが第2のモーター100Bに接続されるように構成されていてもよい。
【0034】
飛行制御装置130は、メインローター制御装置172、テールローター制御装置182、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bに接続される。飛行制御装置130はCPU及び記憶装置などを有する。飛行制御装置130は、例えば、入力装置142に入力された信号に基づき、記憶装置に記憶された命令を読み出し、CPUによって命令を処理し、メインローター制御装置172、テールローター制御装置182、第1のモーター制御装置102A及び第2のモーター制御装置102Bに所望の信号および所望のデータを送信する。
【0035】
操縦装置140は、飛行制御装置130に接続される。操縦装置140は、入力装置142、表示装置144などを含む。入力装置142は、例えば、スタータースイッチ、推力制御レバーなどを含む。表示装置144は、例えば、各飛行速度に応じたローターピッチ、各飛行速度に応じた第1のモーター100Aの回転数及び電流値、各飛行速度に応じた第2のモーター100Bの回転数及び電流値、各飛行速度に応じたメインローター160の回転数及び各飛行速度に応じたテールローター180の回転数などのデータを時系列に表示するように構成される。
【0036】
電動回転翼航空機10の操縦士は、操縦装置140を用いて所望の操作を入力する。操縦士は、例えば、各飛行速度に応じた所望のローターピッチのデータを入力装置142に入力する。入力装置142は、所望のローターピッチのデータを飛行制御装置130に送信する。飛行制御装置130は、メインローター制御装置172に所望のローターピッチのデータを送信する。所望のローターピッチのデータがメインローター制御装置172に格納(記憶)される。例えば、複数のローターブレード170のローターピッチを飛行速度に応じて調整する場合、操縦士は、複数のローターブレード170のローターピッチを調整するための操作を入力装置142に入力し、入力装置142が複数のローターブレード170のローターピッチを調整するための操作に対応した第1の制御信号を飛行制御装置130に送信する。飛行制御装置130は第1の制御信号を受信し、第1の制御信号に基づき、複数のローターブレード170のローターピッチを当該所望のローターピッチに保つように調整するための第2の制御信号をメインローター制御装置172に送信する。メインローター制御装置172は第2の制御信号を受信し、第2の制御信号に基づき、複数のローターブレード170のローターピッチを当該所望のローターピッチに保つように調整する。なお、第1の制御信号は、各動力軸、各出力軸、メインローター160またはテールローター180の回転数を、各動力軸、各出力軸、メインローター160またはテールローター180の所望の回転数に調整するための操作に対応した信号を含んでもよい。また、第2の制御信号は、各動力軸、各出力軸、メインローター160またはテールローター180の回転数を、各動力軸、各出力軸、メインローター160またはテールローター180の所望の回転数に保つように調整するための信号を含んでもよい。
【0037】
上述したとおり、電力制御システム110は、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと第2のバッテリーマネジメントシステム110Bと第1のバッテリー120Aと第2のバッテリー120Bと第3のバッテリー120Cとを有する。第1のバッテリーマネジメントシステム110Aは、飛行制御装置130、第1のモーター制御装置102A及び第1のバッテリー120Aに接続される。第1のバッテリーマネジメントシステム110Aは、第1のバッテリー120Aの残量などを制御し、第1のバッテリー120Aから、第1のモーター制御装置102Aに電力を供給する。第2のバッテリーマネジメントシステム110Bは、飛行制御装置130、第2のモーター制御装置102B及び第2のバッテリー120Bに接続される。第2のバッテリーマネジメントシステム110Bは、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと同様に、第2のバッテリー120Bの残量などを制御し、第2のバッテリー120Bから、第2のモーター制御装置102Bに電力を供給する。第3のバッテリー120Cは、飛行制御装置130及び操縦装置140に接続され、飛行制御装置130及び操縦装置140に電力を供給する。飛行制御装置130は、第3のバッテリー120Cの残量、飛行制御装置130及び操縦装置140へ電力の供給などを制御する役割も有する。なお、電力制御システム110は、飛行制御装置130及び第3のバッテリー120Cに接続され、第3のバッテリー120Cの残量、飛行制御装置130及び操縦装置140へ電力の供給などを制御する第3のバッテリーマネジメントシステムを、別途有してもよい。
【0038】
第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと第2のバッテリーマネジメントシステム110Bとは互いに接続されてもよい。例えば、第1のバッテリー120Aの残量などのデータを、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが第1のバッテリーマネジメントシステム110Aと共有してもよく、第2のバッテリー120Bの残量などのデータを、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが第2のバッテリーマネジメントシステム110Bと共有してもよい。例えば、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが制御不能になっても、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが第1のバッテリー120Aを制御することが可能であり、第2のバッテリーマネジメントシステム110Bが制御不能になっても、第1のバッテリーマネジメントシステム110Aが第2のバッテリー120Bを制御することが可能である。したがって、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、バッテリーマネジメントシステムの故障に対しても、飛行に必要な電力をモーター制御装置に供給し、動力を確保し、安全性を確保することができる。
【0039】
以上説明したように、飛行制御装置130は、メインローター制御装置172、テールローター制御装置182、第1のモーター制御装置102Aおよび第2のモーター制御装置102Bに電気的に接続される。また、飛行制御装置130は、メインローター制御装置172に電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じた所望のローターピッチのデータを送信し、テールローター制御装置182に電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じたテールローターの回転数のデータを送信し、第1のモーター制御装置102Aおよび第2のモーター制御装置102Bに電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じた所望の回転数のデータを送信する。メインローター制御装置172は、複数のローターブレード170のローターピッチを電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じた所望のローターピッチに保つように調整し、テールローター制御装置122は、テールローター180の回転数を電動回転翼航空機10の各飛行速度に応じた回転数に保つように調整し、第1のモーター制御装置102Aは、第1のモーター100Aの回転数を検出し、第1のモーター100Aの回転数を所望の回転数に調整し、第2のモーター制御装置102Bは、第2のモーター100Bの回転数を所望の回転数に調整する。以上のような操作によって、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する航空機と比較して、飛行速度に応じて回転数とローターピッチの両方を制御可能な伝動機構を備えることができる。
【0040】
また、
図3に示すように、メインローター160を駆動するためのモーターと、テールローター180を駆動するためのモーターとが、個々に設けられてもよい。例えば、電動回転翼航空機10では、第1のモーター100A及び第2のモーターl00Bがメインローター160を駆動するためのモーターであり、第3のモーター200Aがテールローター180を駆動するためのモーターである。
図3に示す電動回転翼航空機10の構成は、
図2に示す電動回転翼航空機10の構成に対して、テールローターシャフト156を備えておらず、第3のモーター200A及び第3のモーター制御装置202Aを含む電動モーターシステム200を備えた構成である。
図1及び
図2と同一、又は類似する構成については説明を省略する。
【0041】
第3のモーター制御装置202Aは、電動モーターシステム100、電力制御システム110、メインローター制御装置172、テールローター制御装置182、及び第3のモーター200Aに電気的に接続され、第3のモーター200Aの駆動を制御する。第3のモーター200Aは、テールローター180に接続され、テールローター180の構成は、モーター直動型の構成になっている。第3のモーター制御装置202Aは、例えば、第1のモーター制御装置102Aと同様の構成を有する。第3のモーター制御装置202Aは、各飛行速度に応じた第3のモーター200Aの回転数、テールローター180の回転数、テールローター180のローターピッチを制御し、第3のモーター200A及びテールローター180を駆動することができる。
【0042】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、
図3の構成を有することで、メインローター160とテールローター180とをそれぞれ独立に制御することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、例えば、メインローター160とテールローター180の速度比を変更することができるため、より効率的に制御可能である。
【0043】
以上説明したように、内燃機関を使用する従来の回転翼航空機は、内燃機関によって動力を生成し、生成された動力をローターシャフトに伝達する。内燃機関を動力とする場合、例えば、内燃機関における燃料の不完全燃焼に伴う動力の低下、飛行環境における不安定な動力供給が生じる可能性がある。その結果、各飛行速度に応じてローターの回転数とローターピッチの両方を細かく制御することは、困難であった。一方、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する航空機に対して、内燃機関に相当する部分を、伝動機構で置き換えることができ、電気的な制御が可能な電動モーターによって動力を発生するため、内燃機関の性能によって動力を左右されることがない。したがって、電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する回転翼航空機と比較して、ローターシャフトに伝達する動力を安定的に供給することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、各飛行速度に応じてローターの回転数とローターピッチの両方を安定的に制御すること、または、各飛行速度に応じてローターの回転数とローターピッチの両方を細かく制御することができる。
【0044】
本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、2つの電動モーターを有する例を示すが電動モーターの数は2つに限定されない。例えば、電動回転翼航空機10は、3つ以上の電動モーターを有してもよい。その結果、電動回転翼航空機10は、少なくとも2つの電動モーターが故障しても、飛行に必要な動力を確保し、安全性を確保することができる。また、電動回転翼航空機10は、より多くの電動モーターを有することで、メインローター160、または、テールローター180に、飛行高度、天候、気温などによらず安定的に、動力を伝達することができる。その結果、電動回転翼航空機10は、各飛行速度に応じてローターの回転数とローターピッチの両方をより安定化することができる。
<1-2.電動回転翼航空機10のフライトモード>
【0045】
図4を参照し、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10のフライトモードについて説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10のフライトモードを示す状態遷移図である。
図4に示す電動回転翼航空機10のフライトモードは一例であって、電動回転翼航空機10のフライトモードは
図4に示す状態に限定されない。
図1及び
図2と同一、又は類似する構成については説明を省略することがある。
【0046】
詳細は後述するが、飛行制御装置130は、少なくとも、電動回転翼航空機10を待機状態である待機モードと、電動回転翼航空機10の上昇または降下のときの飛行速度に応じて、当該飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を電動回転翼航空機10の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1の回転数に調整し、当該飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを電動回転翼航空機10の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1のローターピッチに調整した第1の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるノーマルモードと、電動回転翼航空機10の飛行速度に応じて、電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力にするように、当該飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を電動回転翼航空機10の飛行速度に応じた電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような第2の回転数に調整し、当該飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを電動回転翼航空機10の飛行速度に応じた電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような第2のローターピッチに調整した第2の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるエコモードと、電動回転翼航空機10の飛行速度を予め定めた最大の余剰パワーで飛行する飛行速度になるように、当該飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させる飛行速度に応じた第3の回転数に調整し、当該飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行させる飛行速度に応じた第3のローターピッチに調整した第3の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるパワーモードと、電動回転翼航空機10の飛行速度をメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するように、当該飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数をメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4の回転数に調整し、当該飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチをメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4のローターピッチに調整し、メインローター160及びメインローター160に設けられたローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制する第4の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるサイレントモードと、を有する。また、飛行制御装置130は、各状態間の遷移の指示の基づき、モードを切換え、各モードを選択することができる。
【0047】
電動回転翼航空機10の待機状態とは、電動回転翼航空機10が地上で停止している状態であり、例えば、電動モーターシステム100が動作していない状態、電動モーターシステム100が動作し電動回転翼航空機10が地上で停止している状態である。
<1-2-1.開始処理>
【0048】
図4に示すように、開始処理によって、電動回転翼航空機10が待機状態から第1の状態に遷移する。本明細書等において、第1の状態は、第1の飛行状態と呼ばれ、ノーマルモードは、第1の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるモードであり、第1のモードと呼ばれる。なお、ここで説明する本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の開始処理は、あくまでも、電動回転翼航空機10の待機状態から上昇状態、飛行状態に遷移する処理の一例である。本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の開始処理は、上昇のときの飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を、電動回転翼航空機10の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1の回転数に調整し、前記飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを電動回転翼航空機10の上昇または降下のときの飛行速度に応じた第1のローターピッチに調整した、第1の飛行状態で前記電動回転翼航空機10を飛行させることが可能な処理であれば、処理方法に制限はない。
【0049】
はじめに、電動回転翼航空機10の操縦士は、操縦装置140を用いて、例えば、スタータースイッチをオン(ON)状態にする(ステップS10)。スタータースイッチがオン(ON)状態になることに基づき、入力装置142は、電動モーターシステム100を駆動する信号(モーター駆動信号)を飛行制御装置130に送信する(ステップS12)。飛行制御装置130は、モーター駆動信号を受信すると、当該モーター駆動信号を電動モーターシステム100及び電力制御システム110に送信する(ステップS14)。
【0050】
電力制御システム110は、モーター駆動信号を受信すると、電動モーターシステム100に電力を供給する(ステップS16)。電動モーターシステム100は、モーター駆動信号を受信し、電力を供給されると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを駆動させる。その結果、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bは回転を開始し、複数の回転軸を介して動力をメインローター160及びテールローター180に供給する(ステップS18)。メインローター160は動力を供給されると、メインローターシャフト154の軸中心に対して回転し、かつ、テールローター180は動力を供給されると、回転を開始する(ステップS20)。
【0051】
メインローター160及びテールローター180が回転を開始すると、例えば、メインローター制御装置172及びテールローター制御装置182は、回転を開始した信号を飛行制御装置130に送信する。飛行制御装置130は、回転を開始した信号を受信すると、当該回転を開始した信号を入力装置142に送信し、当該操縦士にメインローター160及びテールローター180の回転開始を通知することができる。
【0052】
次に、当該操縦士は、飛行制御装置130から回転開始を通知されると、例えば、操縦装置140を用いて電動回転翼航空機10の上昇を指示し、上昇の飛行速度に応じたメインローターシャフト154の第1の回転数のデータ、及び上昇の飛行速度に応じた複数のローターブレード170の第1のローターピッチのデータを、入力装置142に入力する(ステップS22)。このとき、当該操縦士は、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータも入力装置142に入力してもよい。
【0053】
電動回転翼航空機10の上昇指示に基づき、入力装置142は、電動回転翼航空機10の上昇を指示する信号(上昇制御信号)と、複数のローターブレード170のローターピッチ、メインローター160及びテールローター180の回転数を調整するための操作に対応した第1の制御信号を飛行制御装置130に送信する(ステップS24)。ここで、例えば、第1の制御信号は、上昇の飛行速度に応じた第1の回転数のデータ、上昇の飛行速度に応じた第1のローターピッチのデータ、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータを含む。
【0054】
飛行制御装置130は、上昇制御信号及び第1の制御信号を受信すると、上昇制御信号、メインローターシャフト154の回転数を上昇の飛行速度に応じた第1の回転数に保つように調整し、複数のローターブレード170のローターピッチを上昇の飛行速度に応じた第1のローターピッチに保つように調整するための第2の制御信号を、電動モーターシステム100、テールローター制御装置182、メインローター制御装置172に送信する(ステップS26)。電動モーターシステム100は上昇制御信号及び第2の制御信号を受信すると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御し、メインローターシャフト154の回転数を上昇の飛行速度に応じた第1の回転数に保つように調整する(ステップS28)。メインローター制御装置172は上昇制御信号及び第2の制御信号を受信すると、複数のローターブレード170のローターピッチを上昇の飛行速度に応じた第1のローターピッチに保つように調整する。テールローター制御装置182は上昇制御信号及び第2の制御信号を受信すると、テールローター180の回転数を上昇の飛行速度に応じた所望の回転数に保つように調整する(ステップS30)。
【0055】
以上説明したように、開始処理によって、電動回転翼航空機10が待機状態から第1の状態に遷移する。なお、電動回転翼航空機10は、高度、気温などの環境の状態によって、上昇の飛行速度を逐次変化させ、メインローターシャフト154の回転数、第1のローターピッチ、及びテールローター180の回転数を調整してもよい。
<1-2-2.着地処理>
【0056】
図4に示すように、着地処理によって、電動回転翼航空機10が第1の状態から、下降状態に遷移し、待機状態に遷移する。本明細書等において、下降状態で電動回転翼航空機10を飛行させるモードは、コースティングモードと呼ばれる。コースティングモードとは、例えば、動力による加速及び減速もなく、電動回転翼航空機10が惰性で飛行するモードであり、例えば、電動回転翼航空機10がオートローテーションに近い状態で飛行するモードである。コースティングモードは、例えば、惰行運転、惰力運転と呼ばれることもある。開始処理と同一、又は類似するステップについては説明を省略することがある。なお、ここで説明する本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の着地処理は、あくまでも、電動回転翼航空機10の第1の状態から下降状態、待機状態に遷移する処理の一例である。本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の着地処理は、オートローテーションに近い状態で前記電動回転翼航空機を飛行させることが可能な処理であれば、処理方法に制限はない。また、本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の着地処理は、下降のときの飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を、下降のときの飛行速度に応じた第1の回転数に調整し、前記飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを、下降のときの飛行速度に応じた第1のローターピッチに調整した、下降状態で前記電動回転翼航空機を飛行させることが可能な処理であってもよい。
【0057】
はじめに、電動回転翼航空機10の操縦士は、例えば、操縦装置140を用いて電動回転翼航空機10の第1の状態から待機状態への指示と電動回転翼航空機10の降下を指示し、ドライブシャフト152をフリーローテーション可能な状態にし、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10をオートローテーション可能な状態にする。(ステップS32)。このとき、当該操縦士は、降下の飛行速度に応じたメインローターシャフト154の第1の回転数のデータ、及び上昇の飛行速度に応じた複数のローターブレード170の第1のローターピッチのデータを、入力装置142に入力してもよく、当該操縦士は、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータも入力装置142に入力してもよい。
【0058】
電動回転翼航空機10の下降指示に基づき、入力装置142は、電動回転翼航空機10の下降を指示する信号(下降制御信号)と、電動回転翼航空機10をオートローテーション可能な状態にするための操作に対応した第1の制御信号、または、複数のローターブレード170のローターピッチ、メインローター160及びテールローター180の回転数を調整するための操作に対応した第1の制御信号を飛行制御装置130に送信する(ステップS54)。ここで、例えば、第1の制御信号は、下降の飛行速度に応じた第1の回転数のデータ、下降の飛行速度に応じた第1のローターピッチのデータ、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータを含む。
【0059】
飛行制御装置130は、下降制御信号及び第1の制御信号を受信すると、ドライブシャフト152をフリーローテーション可能な状態にするための第2の制御信号、または、メインローターシャフト154の回転数を下降の飛行速度に応じた第1の回転数に保つように調整し、複数のローターブレード170のローターピッチを下降の飛行速度に応じた第1のローターピッチに保つように調整するための第2の制御信号を、電動モーターシステム100、テールローター制御装置182、メインローター制御装置172に送信する(ステップS56)。電動モーターシステム100は下降制御信号及び第2の制御信号を受信すると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御し、メインローターシャフト154の回転数を下降の飛行速度に応じた第1の回転数に保つように調整する(ステップS58)。メインローター制御装置172は下降制御信号及び第2の制御信号を受信すると、複数のローターブレード170のローターピッチを下降の飛行速度に応じた第1のローターピッチに保つように調整する。テールローター制御装置182は下降制御信号及び第2の制御信号を受信すると、テールローター180の回転数を下降の飛行速度に応じた所望の回転数に保つように調整する(ステップS60)。
【0060】
次に、メインローター160及びテールローター180が下降の飛行速度に応じた所望の回転数に保つように調整されると、例えば、メインローター制御装置172及びテールローター制御装置182は、下降を開始した信号を飛行制御装置130に送信する(ステップS62)。飛行制御装置130は、下降を開始した信号を受信すると、当該下降を開始した信号を入力装置142に送信し、当該操縦士に電動回転翼航空機10の下降開始を通知することができる(ステップS64)。なお、電動回転翼航空機10は、高度、気温などの環境の状態によって、下降の飛行速度を逐次変化させ、メインローターシャフト154の回転数、第1のローターピッチ、及びテールローター180の回転数を調整してもよい。
【0061】
続いて、電動回転翼航空機10が着陸すると、例えば、電動回転翼航空機10は着陸したことを検知する。電動回転翼航空機10は、例えば、加速度センサー、ジャイロセンサーなどの検知器を備えており、着陸したことを検知することができる。検知器は電動回転翼航空機10の着陸を検知すると、着陸に応じた信号(着陸信号)を飛行制御装置130に送信する。飛行制御装置130は、着陸信号を受信すると、着陸信号を入力装置142に送信し、当該操縦士に電動回転翼航空機10の着陸を通知することができる。
【0062】
当該操縦士は、着陸を通知されると、例えば、スタータースイッチをオフ(OFF)状態にする(ステップS66)。スタータースイッチがオフ(OFF)状態になることに基づき、入力装置142は、電動モーターシステム100を停止する信号(モーター停止信号)を飛行制御装置130に送信する(ステップS68)。飛行制御装置130は、モーター停止信号を受信すると、当該モーター停止信号を電動モーターシステム100及び電力制御システム110に送信する(ステップS70)。
【0063】
電力制御システム110は、モーター停止信号を受信すると、例えば、電動モーターシステム100への電力の供給を停止する(ステップS72)。電動モーターシステム100は、モーター停止信号を受信し、電力の供給を停止されると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを停止させる。その結果、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bは回転を停止し、複数の回転軸への動力の供給を停止する(ステップS74)。その結果、メインローター160、及びテールローター180は動力を停止され、回転を停止する(ステップS76)。
【0064】
以上説明したように、着地処理によって、電動回転翼航空機10が第1の状態から、下降状態に遷移し、さらに、待機状態に遷移する。
<1-2-3.第1の処理>
【0065】
図4に示すように、第1の処理によって、電動回転翼航空機10が第1の状態から第2の状態に遷移する。本明細書等において、第2の状態は、第2の飛行状態と呼ばれ、エコモードは第2の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるモードであり、第2のモードと呼ばれる。開始処理及び待機処理と同一、又は類似するステップについては説明を省略することがある。なお、ここで説明する本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の第1の処理は、あくまでも、電動回転翼航空機10の第1の状態から第2状態に遷移する処理の一例である。本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の第1の処理は、電動回転翼航空機10の飛行速度に応じて、電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力にするように、前記飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を、電動回転翼航空機10の飛行速度に応じた電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような第2の回転数に調整し、前記飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを、電動回転翼航空機10の飛行速度に応じた電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような第2のローターピッチに調整した第2の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させることが可能な処理であれば、処理方法に制限はない。
【0066】
はじめに、電動回転翼航空機10の操縦士は、例えば、操縦装置140を用いて電動回転翼航空機10の第1状態から第2の状態への遷移を指示し、電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような飛行速度に応じたメインローターシャフト154の第2の回転数のデータ、及び電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような飛行速度に応じた複数のローターブレード170の第2のローターピッチのデータを、入力装置142に入力する(ステップS82)。このとき、当該操縦士は、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータも入力装置142に入力してもよい。なお、以降の説明において、電動回転翼航空機10を駆動する電力を最小の電力になるような飛行速度は、電力最小飛行速度と呼ぶ。
【0067】
電動回転翼航空機10の第2の状態への遷移の指示に基づき、入力装置142は、電動回転翼航空機10の第2の状態への遷移を指示する信号(第2の状態制御信号)と、複数のローターブレード170の第1のローターピッチ、メインローター160及びテールローター180の第1の回転数を調整するための操作に対応した第1の制御信号を飛行制御装置130に送信する(ステップS84)。ここで、例えば、第1の制御信号は、電力最小飛行速度に応じた第2の回転数のデータ、電力最小飛行速度に応じた第2のローターピッチのデータ、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータを含む。
【0068】
飛行制御装置130は、第2の状態制御信号及び第1の制御信号を受信すると、メインローターシャフト154の第1の回転数を電力最小飛行速度に応じた第2の回転数に保つように調整し、複数のローターブレード170の第1のローターピッチを電力最小飛行速度に応じた第2のローターピッチに保つように調整するための第2の制御信号を、電動モーターシステム100、テールローター制御装置182、メインローター制御装置172に送信する(ステップS86)。電動モーターシステム100は第2の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御し、メインローターシャフト154の第1の回転数を電力最小飛行速度に応じた第2の回転数に保つように調整する(ステップS88)。メインローター制御装置172は第2の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、複数のローターブレード170の第1のローターピッチを電力最小飛行速度に応じた第2のローターピッチに保つように調整する。テールローター制御装置182は第2の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、テールローター180の回転数を電力最小飛行速度に応じた所望の回転数に保つように調整する(ステップS90)。
【0069】
以上説明したように、第1の処理によって、電動回転翼航空機10が第1の状態から第2の状態に遷移する。なお、電動回転翼航空機10は、高度、気温などの環境の状態によって、電力最小飛行速度を逐次変化させ、第2の回転数、第2のローターピッチ、及びテールローター180の回転数を調整してもよい。また、本明細書等において、電動回転翼航空機10が第2の状態から第1の状態に遷移する場合の処理も、第1の処理と呼ぶ。電動回転翼航空機10が第2の状態から第1の状態に遷移する場合の第1の処理は、電動回転翼航空機10が第1の状態から第2の状態に遷移する場合の処理の各ステップにおいて、第1の状態を第2の状態に、第2の状態を第1の状態に、第1の回転数を第2の回転数に、第2の回転数を第1の回転数にそれぞれ読み替えることで、電動回転翼航空機10が第1の状態から第2の状態に遷移する場合の処理と同様に処理をすることができる。
<1-2-4.第2の処理>
【0070】
図4に示すように、第2の処理によって、電動回転翼航空機10が第2の状態から第3の状態に遷移する。本明細書等において、第3の状態は、第3の飛行状態と呼ばれ、パワーモードは第3の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるモードであり、第3のモードと呼ばれる。開始処理、待機処理及び第1の処理と同一、又は類似するステップについては説明を省略することがある。なお、ここで説明する本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の第2の処理は、あくまでも、電動回転翼航空機10の第2の状態から第3状態に遷移する処理の一例である。本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の第2の処理は、電動回転翼航空機の飛行速度を予め定めた最大の余剰パワーで飛行する飛行速度になるように、前記飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させる飛行速度に応じた第3の回転数に調整し、前記飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機を飛行させる飛行速度に応じた第3のローターピッチに調整した、第3の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させることが可能な処理であれば、処理方法に制限はない。
【0071】
はじめに、電動回転翼航空機10の操縦士は、例えば、操縦装置140を用いて電動回転翼航空機10の第2状態から第3の状態への遷移を指示し、電動回転翼航空機の飛行速度を予め定めた最大の余剰パワーで飛行する飛行速度になるように、予め定めた最大の余剰パワーで飛行する飛行速度に応じたメインローターシャフト154の第3の回転数のデータ、及び、電動回転翼航空機の飛行速度を予め定めた最大の余剰パワーで飛行する飛行速度になるように、予め定めた最大の余剰パワーで飛行する飛行速度に応じた複数のローターブレード170の第3のローターピッチのデータを、入力装置142に入力する(ステップS92)。このとき、当該操縦士は、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータも入力装置142に入力してもよい。
【0072】
電動回転翼航空機10の第3の状態への遷移の指示に基づき、入力装置142は、電動回転翼航空機10の第3の状態への遷移を指示する信号(第3の状態制御信号)と、複数のローターブレード170の第1のローターピッチ、メインローター160及びテールローター180の第3の回転数を調整するための操作に対応した第1の制御信号を飛行制御装置130に送信する(ステップS94)。ここで、例えば、第1の制御信号は、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させる飛行速度に応じた第3の回転数のデータ、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させる飛行速度に応じた第3のローターピッチのデータ、及び、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させる飛行速度に応じたテールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータを含む。
【0073】
飛行制御装置130は、第3の状態制御信号及び第1の制御信号を受信すると、メインローターシャフト154の第2の回転数を予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させること飛行速度に応じた第3の回転数に保つように調整し、複数のローターブレード170の第2のローターピッチを予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させること飛行速度に応じた第3のローターピッチに保つように調整するための第2の制御信号を、電動モーターシステム100、テールローター制御装置182、メインローター制御装置172に送信する(ステップS96)。電動モーターシステム100は第3の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御し、メインローターシャフト154の第2の回転数を予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させること飛行速度に応じた第3の回転数に保つように調整する(ステップS98)。メインローター制御装置172は第3の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、複数のローターブレード170の第1のローターピッチを予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させること飛行速度に応じた第3のローターピッチに保つように調整する。テールローター制御装置182は第3の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、テールローター180の回転数を予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させること飛行速度に応じた所望の回転数に保つように調整する(ステップS100)。
【0074】
以上説明したように、第2の処理によって、電動回転翼航空機10が第2の状態から第3の状態に遷移する。本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、パワーモードを備えることで、予め定めた最大の余剰パワーでの飛行が可能となる。その結果、電動回転翼航空機10は余剰パワーを用いて飛行することができ、機敏な飛行が可能となる。なお、電動回転翼航空機10は、高度、気温などの環境の状態によって、予め定めた最大の余剰パワーで電動回転翼航空機10を飛行させるように第3の回転数、第3のローターピッチ、及びテールローター180の回転数を調整してもよい。また、本明細書等において、電動回転翼航空機10が第3の状態から第2の状態に遷移する場合の処理も、第2の処理と呼ぶ。電動回転翼航空機10が第3の状態から第2の状態に遷移する場合の第2の処理は、電動回転翼航空機10が第2の状態から第3の状態に遷移する場合の処理の各ステップにおいて、第2の状態を第3の状態に、第3の状態を第2の状態に、第2の回転数を第3の回転数に、第3の回転数を第2の回転数にそれぞれ読み替えることで、電動回転翼航空機10が第2の状態から第3の状態に遷移する場合の処理と同様に処理をすることができる。
<1-2-5.第3の処理>
【0075】
図4に示すように、第3の処理によって、電動回転翼航空機10が第3の状態から第4の状態に遷移する。本明細書等において、第4の状態は、第4の飛行状態と呼ばれ、サイレントモードは第4の飛行状態で電動回転翼航空機10を飛行させるモードであり、第4のモードと呼ばれる。開始処理、待機処理、第1の処理及び第2の処理と同一、又は類似するステップについては説明を省略することがある。なお、ここで説明する本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の第3の処理は、あくまでも、電動回転翼航空機10の第3の状態から第4状態に遷移する処理の一例である。本願の一実施形態に係る電動回転翼航空機10の第3の処理は、電動回転翼航空機の飛行速度をメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するように、前記飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を、メインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4の回転数に調整し、前記飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを、メインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するような第4のローターピッチに調整した、第4の飛行状態で前記電動回転翼航空機を飛行させることが可能な処理であれば、処理方法に制限はない。
【0076】
はじめに、電動回転翼航空機10の操縦士は、例えば、操縦装置140を用いて電動回転翼航空機10の第3状態から第4の状態への遷移を指示し、飛行速度に応じてメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制するメインローターシャフト154の第4の回転数のデータ、及び飛行速度に応じてメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制する複数のローターブレード170の第4のローターピッチのデータを、入力装置142に入力する(ステップS102)。このとき、当該操縦士は、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータも入力装置142に入力してもよい。なお、以降の説明において、飛行速度に応じてメインローター160及びローターブレード170が回転することで発生する騒音を抑制する飛行速度は、騒音抑制飛行速度と呼ぶ。
【0077】
電動回転翼航空機10の第4の状態への遷移の指示に基づき、入力装置142は、電動回転翼航空機10の第4の状態への遷移を指示する信号(第4の状態制御信号)と、複数のローターブレード170の第1のローターピッチ、メインローター160及びテールローター180の第4の回転数を調整するための操作に対応した第1の制御信号を飛行制御装置130に送信する(ステップS104)。ここで、例えば、第1の制御信号は、騒音抑制飛行速度に応じた第4の回転数のデータ、騒音抑制飛行速度に応じた第4のローターピッチのデータ、テールローター180の回転数のデータ、電動回転翼航空機10の飛行に必要なその他のデータを含む。
【0078】
飛行制御装置130は、第4の状態制御信号及び第1の制御信号を受信すると、メインローターシャフト154の第3の回転数を騒音抑制飛行速度に応じた第4の回転数に保つように調整し、複数のローターブレード170の第3のローターピッチを騒音抑制飛行速度に応じた第4のローターピッチに保つように調整するための第2の制御信号を、電動モーターシステム100、テールローター制御装置182、メインローター制御装置172に送信する(ステップS106)。電動モーターシステム100は第4の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、第1のモーター100A及び第2のモーター100Bを制御し、メインローターシャフト154の第3の回転数を騒音抑制飛行速度に応じた第4の回転数に保つように調整する(ステップS108)。メインローター制御装置172は第3の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、複数のローターブレード170の第1のローターピッチを騒音抑制飛行速度に応じた第4のローターピッチに保つように調整する。テールローター制御装置182は第4の状態制御信号及び第2の制御信号を受信すると、テールローター180の回転数を騒音抑制飛行速度に応じた所望の回転数に保つように調整する(ステップS110)。
【0079】
以上説明したように、第3の処理によって、電動回転翼航空機10が第3の状態から第4の状態に遷移する。第3の処理によって、飛行速度に応じて騒音を抑制することができる。例えば、BVI騒音(Blade Vortex Interaction Noise)のような、複数のローターブレード170のうち、先行するローターブレード170から放出された翼端渦と後続するローターブレード170とが干渉する現象を、加速度センサー、マイクロフォンなどの検知器を用いて検知し、飛行速度に応じたメインローターシャフト154の回転数を、検知したBVI騒音が最小になるような第4の回転数に調整し、前記飛行速度に応じたローターブレード170のローターピッチを、検知したBVI騒音が最小になるような第4のローターピッチに調整してもよい。
【0080】
本実施形態のサイレントモードでは、飛行速度に応じて騒音を抑制可能なだけでなく、例えば、電動回転翼航空機10の機外の騒音または機内の騒音の両方を抑制可能である。例えば、電動回転翼航空機10において、当該検知器を機体の外側(例えば、スキッド(図示は省略)など)に設け、機外の騒音を抑制することができる。また、例えば、電動回転翼航空機10において、当該検知器を機体の内側(例えば、キャビン(図示は省略)の乗客頭部付近など)に設け、機内の騒音を抑制することができる。騒音は、飛行速度の他、例えば、空力的共振、構造的共振、または共鳴によって増減する。本実施形態のサイレントモードは、検知器を用いて検知した騒音に基づき、ローターの回転数及びローターピッチを制御するため、機外の騒音または機内の騒音の両方に有効なモードである。
【0081】
なお、電動回転翼航空機10は、高度、気温などの環境の状態によって、騒音抑制飛行速度を逐次変化させ、第4の回転数、第4のローターピッチ、及びテールローター180の回転数を調整してもよい。また、本明細書等において、電動回転翼航空機10が第4の状態から第3の状態に遷移する場合の処理も、第3の処理と呼ぶ。電動回転翼航空機10が第4の状態から第3の状態に遷移する場合の第3の処理は、電動回転翼航空機10が第3の状態から第4の状態に遷移する場合の処理の各ステップにおいて、第3の状態を第4の状態に、第4の状態を第3の状態に、第3の回転数を第4の回転数に、第4の回転数を第3の回転数にそれぞれ読み替えることで、電動回転翼航空機10が第3の状態から第4の状態に遷移する場合の処理と同様に処理をすることができる。
【0082】
本明細書等において、操縦士が入力装置142に入力する各データは、予め、操縦装置に格納(記憶)されているデータを各フライトモードに応じて選択可能な構成になっていてもよい。例えば、表示装置144がタッチパネルの機能を備えており、操縦士が表示装置144に表示されたフライトモードを選択し、さらに、選択されたフライトモードに応じて、飛行速度、回転数、ローターピッチを選択してもよい。
【0083】
従来は、操縦士が操縦装置140(例えば、コレクティングレバーなど)を操作し、例えば、各飛行速度に応じてローターの回転数とローターピッチを微調整している。一方、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10では、ノーマルモード、エコモード、パワーモード、サイレントモードなどの複数のモードを選択可能であり、各処理に基づき、各モードに応じてローターの回転数とローターピッチの両方を安定的に制御すること、または、各モードに応じてローターの回転数とローターピッチの両方を細かく制御することができる。その結果、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、各モードに適した飛行を可能とする電動回転翼航空機であり、本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、操縦士の操縦負荷を軽減可能な電動回転翼航空機である。
<1-2-6.その他の処理>
【0084】
図4に示すように、第1の処理、第2の処理、または第3の処理に基づき、第4の処理によって、電動回転翼航空機10が第2の状態から第4の状態に遷移してもよく、第5の処理によって、電動回転翼航空機10が第1の状態から第4の状態に遷移してもよく、第6の処理によって、電動回転翼航空機10が第1の状態から第3の状態に遷移してもよい。電動回転翼航空機10は、電動回転翼航空機10の用途、仕様等に応じて、適宜様々な処理を備え、実行することができる。
【0085】
飛行制御装置130は、第1のモーター100Aまたは第2のモーター100Bの何れかの状態を、メインローターシャフト154の回転数が当該飛行速度に応じた回転数よりも多い過回転な状態にする処理を備える。例えば、一方の電動モーターが損傷し、一方の電動モーターの制御が不能になる、または、一方の電動モーターの機能が低下するなど、不測の事態が電動回転翼航空機10に生じた場合、電動回転翼航空機10を過回転な状態にする処理によって、電動回転翼航空機10の揚力を維持または高くすることで、電動回転翼航空機10を安全な状態に保つことができる。
【0086】
また、飛行制御装置130は、例えば、電動回転翼航空機10の飛行高度に応じて、第1のモーター100A、第2のモーター100B、または、各ローターシャフトの回転数と、複数のローターブレード170のローターピッチとを、当該回転数を少なくし、電動回転翼航空機10の揚力を大きくするように制御する処理を備えてもよい。本発明の一実施形態に係る電動回転翼航空機10は、従来の内燃機関を使用する回転翼航空機と比較して、トルクの大きい電動モーターを有しているため、当該回転数を少なくし、ローターピッチを変えることができる。その結果、電動回転翼航空機10の揚力を大きく、かつ、モーターの回転にともなう騒音を抑制することができる。
【0087】
本発明の実施形態として上述した実施形態、実施形態の一部、処理または各処理の一部は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0088】
上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる別の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0089】
10:電動回転翼航空機、20:電動回転翼航空機体、30:メインローターシステム、40:テールローターシステム、100:電動モーターシステム、100A:第1のモーター、100B:第2のモーター、102A:第1のモーター制御装置、102B:第2のモーター制御装置、104:隔壁(支持部材)、105:ワンウェイクラッチ、110:電力制御システム、110A:第1のバッテリーマネジメントシステム、110B:第2のバッテリーマネジメントシステム、120A:第1のバッテリー、120B:第2のバッテリー、120C:第3のバッテリー、122:テールローター制御装置、130:飛行制御装置、140:操縦装置、142:入力装置、144:表示装置、150:減速機、152:ドライブシャフト(第1の動力軸)、154:メインローターシャフト(第1の出力軸)、156:テールローターシャフト(第2の出力軸)、160:メインローター、170:ローターブレード(プロペラ)、172:メインローター制御装置、180:テールローター、182:テールローター制御装置、200:電動モーターシステム、200A:第3のモーター、202A:第3のモーター制御装置