(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070160
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
F25B1/00 304G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179222
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】廣内 優
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆志
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀太朗
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雄介
(57)【要約】
【課題】暖房運転時に室外機の底部で水が凍結することを抑制できる空気調和装置を提供する。
【解決手段】CPU210は、取り込んだ第1冷媒温度T1が第2閾温度以下である場合は、過冷却膨張弁29の開度が全閉であるか否かを確認し、過冷却膨張弁29の開度が全閉でなければ、膨張弁開度縮小制御を実行する。CPU210は、取り込んだ第1冷媒温度T1が第1閾温度超であれば、算出した過冷却器過熱度SHsを用いて第1過冷却器過熱度制御を実行する。CPU210は、第1冷媒温度T1が第1閾温度超でなければ、つまり、第1冷媒温度T1が第2閾温度超第1閾温度以下であれば、算出した過冷却器過熱度SHsを用いて第2過冷却器過熱度制御を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と、
圧縮機と、室外熱交換器と、一端が前記室外熱交換器に接続され他端が前記室内機に接続される第1冷媒配管と、前記第1冷媒配管に設けられる室外機膨張弁と、一端が前記第1冷媒配管における前記室外膨張弁から見て前記室内機側に接続され他端が前記圧縮機の冷媒吸入側に接続される第2冷媒配管と、前記第1冷媒配管を流れる冷媒と前記第2冷媒配管を流れる冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器と、前記第2冷媒配管における前記過冷却熱交換器の上流側に設けられる過冷却膨張弁と、を有する室外機と、
前記過冷却膨張弁を制御する制御手段と、
を有する空気調和装置であって、
前記室外機膨張弁と前記過冷却熱交換器の間の前記第1冷媒配管の一部が、前記室外熱交換器の下方に配置されて凍結防止管を形成し、
前記凍結防止管を流れる冷媒の温度である第1冷媒温度を検出する第1冷媒温度センサを有し、
前記制御手段は、暖房運転を行っているとき、
前記第1冷媒温度が第1閾温度より高い温度である場合は、前記第2冷媒配管における前記過冷却熱交換器の冷媒出口側での冷媒過熱度に基づいて前記過冷却膨張弁の開度を調整する過冷却器過熱度制御を実行し、
前記第1冷媒温度が前記第1閾温度より低い温度である場合は、前記過冷却膨張弁の開度を一定時間ごとに所定値小さくする膨張弁開度縮小制御を実行する、
ことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
過冷却器過熱度制御として第1過冷却器過熱度制御と第2過冷却器過熱度制御を実行でき、
前記第1過冷却器過熱度制御は、前記第1冷媒温度が、前記第1閾温度より高い温度である第2閾温度より高い温度である場合、前記冷媒過熱度に基づいて前記過冷却膨張弁の開度を大きくあるいは小さくするものであり、
前記第2過冷却器過熱度制御は、前記第1冷媒温度が、前記第1閾温度より高く前記第2閾温度より低い温度である場合に、前記冷媒過熱度に基づいて前記過冷却膨張弁の開度を調整する際に開度を大きくすることを禁止するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多室型の空気調和装置に係り、特に、暖房運転時の過冷却膨張弁の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置が暖房運転を行っているとき、蒸発器として機能する室外熱交換器の温度が氷点下となれば室外熱交換器に霜が発生し、発生した霜によって室外熱交換器における外気と冷媒との熱交換が阻害されることがある。そこで、暖房運転時は発生した霜を融かす除霜運転が適宜行われる。除霜運転によって霜が融解することで生成された水は室外機の底部へと流れ落ちるため、暖房運転時の外気温度によっては室外機の底部へと流れ落ちた水が凍結することがある。このような、室外機の底部へと流れ落ちた水が凍結する環境下では、室外熱交換器は着霜しやすく頻繁に除霜運転が行われるため、室外機の底部へと流れ落ちる水の量が多くなり、水の凍結により生成される氷の量が多くなって室外熱交換器の下部が氷で覆われることがある。室外熱交換器の下部が氷で覆われると、当該室外熱交換器の下部における外気と冷媒との熱交換が氷により阻害される恐れがあるとともに、室外熱交換器の下部に配置されている冷媒流路を構成する配管が氷により変形する恐れもある。
【0003】
そこで、暖房運転時に室外機の底部に除霜運転により霜が融けて室外機の底部へと流れ落ちて滞留している水が凍結することを抑制する様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、室外熱交換器の下方に配置される凍結防止管と過冷却熱交換器とを室外機に備えた空気調和装置が提案されている。特許文献1に記載の空気調和装置では、暖房運転時に各室内機から室外機に流入した高圧冷媒を過冷却熱交換器で低圧側に分流させる冷媒と熱交換させ、過冷却熱交換器から流出した高圧冷媒を凍結防止管を通過させたのちに室外機膨張弁で減圧して室外熱交換器へと流す。このように、室外機膨張弁で減圧させる前の高圧冷媒を凍結防止管に流すことで、暖房運転時に室外機の底部で水が凍結することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に記載の方法では、過冷却熱交換器において低圧側に分流させる冷媒と熱交換する高圧冷媒の温度が、過冷却熱交換器での熱交換量によっては氷点下となる、つまり、過冷却熱交換器から流出して凍結防止管へと流れる高圧冷媒の温度が氷点下となる。このように、凍結防止管に流す冷媒の温度が氷点下となれば、室外機の底部で水が凍結することを抑制するどころかかえって水が凍結することを助長することとなり、暖房運転時に室外熱交換器の下部における外気と冷媒との熱交換が阻害されることや、室外熱交換器の下部に配置されている冷媒流路を構成する配管が氷により変形することを抑制できない恐れがあった。
【0006】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、暖房運転時に室外機の底部で水が凍結することを抑制できる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、室内機と、圧縮機と室外熱交換器と一端が室外熱交換器に接続され他端が室内機に接続される第1冷媒配管とこの第1冷媒配管に設けられる室外機膨張弁と一端が第1冷媒配管における室外膨張弁から見て室内機側に接続され他端が圧縮機の冷媒吸入側に接続される第2冷媒配管と第1冷媒配管を流れる冷媒と第2冷媒配管を流れる冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器と第2冷媒配管における過冷却熱交換器の上流側に設けられる過冷却膨張弁とを有する室外機と、過冷却膨張弁を制御する制御手段と、を有する。室外機膨張弁と過冷却熱交換器の間の第1冷媒配管の一部が室外熱交換器の下方に配置されて凍結防止管を形成し、凍結防止管を流れる冷媒の温度である第1冷媒温度を検出する第1冷媒温度センサを有する。制御手段は、暖房運転を行っているとき、第1冷媒温度が第1閾温度より高い温度である場合は、第2冷媒配管における過冷却熱交換器の冷媒出口側での冷媒過熱度に基づいて過冷却膨張弁の開度を調整する過冷却器過熱度制御を実行し、第1冷媒温度が第1閾温度より低い温度である場合は、過冷却膨張弁の開度を一定時間ごとに所定値小さくする膨張弁開度縮小制御を実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記のような本発明の空気調和装置では、暖房運転時に室外機の底部で水が凍結することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態における空気調和装置の冷媒回路図であり、(A)は冷媒回路の全体図、(B)は室外機制御手段の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における、暖房運転時の過冷却膨張弁の制御に関わる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、10台の室内機と1台の室外機とが冷媒配管で接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える多室型空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例0011】
図1(A)に示すように、本実施形態における多室型の空気調和装置1は、1台の室外機2に液管8およびガス管9で接続された10台の室内機5-1~5-10(
図1では、これらのうちの2台の室内機5-1と5-10のみを描画している)とを備えている。より詳細には、室外機2の閉鎖弁25と各室内機5の液管接続部53とが液管8で接続されている。また、室外機2の閉鎖弁26と各室内機5のガス管接続部54とがガス管9で接続されている。このように、室外機2と10台の室内機5とが液管8およびガス管9で接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が形成されている。
【0012】
<室外機の構成>
まずは、
図1(A)を用いて、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機20と、オイルセパレータ21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、室外機膨張弁24と、液管8が接続された閉鎖弁25と、ガス分9が接続された閉鎖弁26と、アキュムレータ27と、過冷却熱交換器28と、過冷却膨張弁29と、室外機ファン30とを備えている。そして、室外機ファン30を除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路40を形成している。
【0013】
圧縮機20は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転容量を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機20の冷媒吐出口は、吐出管40の一端に接続されている。吐出管40の他端は、後述するオイルセパレータ21に接続される。また、圧縮機20の冷媒吸入口は、吸入管42の一端に接続されている。吸入管42の他端は、後述するアキュムレータ27に接続される。
【0014】
圧縮機20は、冷房運転時は後述する吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力を用いて求めた低圧飽和温度が、室内機5-1~5-10のそれぞれで要求される冷房能力の合計値に応じて定められる目標低圧飽和温度となるように各々の回転数が制御され、暖房運転時は後述する吐出圧力センサ31で検出した吐出圧力を用いて求めた高圧飽和温度が、室内機5-1~5-10のそれぞれで要求される暖房能力の合計値に応じて定められる目標高圧飽和温度となるように各々の回転数が制御される。
【0015】
オイルセパレータ21は、円筒形状の密閉容器を有する遠心分離式のオイルセパレータである。オイルセパレータ21には油戻し管47の一端が接続されており、油戻し管47の他端は吸入管42に接続されている。そして、油戻し管47にはキャピラリーチューブ29が設けられている。また、オイルセパレータ21は、後述する四方弁22のポートaと流出管41で接続されている。オイルセパレータ21は、圧縮機20から吐出され吐出管40を介して流入した冷凍機油を含む冷媒を冷媒と冷凍機油とに分離し、分離された冷凍機油を油戻し管47および吸入管42を介して圧縮機20に戻すとともに、分離された冷媒を流出管41へと流出させる。なお、油戻し管47へは、冷凍機油とともに冷媒も流入するが、油戻し管47に設けられたキャピラリーチューブ29により圧縮機20に戻る冷媒量が規制される。
【0016】
四方弁22は、冷媒回路10における冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、上述したようにオイルセパレータ21と流出管41で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管43で接続されている。ポートcは、アキュムレータ27の冷媒流入口と冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdは、閉鎖弁26と室外機ガス管45で接続されている。
【0017】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外機ファン30の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口と閉鎖弁25が室外機液管44で接続されている。室外熱交換器23は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は凝縮器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は蒸発器として機能する。なお、室外機液管44が、本発明の第1冷媒配管に相当する。
【0018】
室外機膨張弁24は、室外機液管44に設けられている。室外機膨張弁24は、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整されることで、室外熱交換器23に流入する冷媒量、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒量が調整される。室外機膨張弁24の開度は、空気調和装置1が暖房運転を行っている場合は、室外熱交換器23から流出する冷媒の過熱度(以降、蒸発器過熱度と記載する場合がある)が予め定められた目標冷媒過熱度(例えば、4deg)となるように、その開度が調整される。具体的には、蒸発器過熱度が目標冷媒過熱度より大きな値である場合は、蒸発器過熱度を小さくするために室外機膨張弁24の開度が大きくされ、蒸発器過熱度が目標冷媒過熱度より小さな値である場合は、蒸発器過熱度を大きくするために室外機膨張弁24の開度が小さくされる。また、室外機膨張弁24の開度は、冷房運転を行っている場合は全開とされる。
【0019】
アキュムレータ27は、前述したように、冷媒流入口が四方弁22のポートcと冷媒配管46で接続されるとともに、冷媒流出口が圧縮機20の冷媒吸入口と吸入管42で接続されている。アキュムレータ27は、冷媒配管46からアキュムレータ27の内部に流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離してガス冷媒のみを圧縮機20に吸入させる。
【0020】
過冷却熱交換器28は、室外機液管44における室外機膨張弁24と閉鎖弁25の間に設けられており、室外機液管28を流れる冷媒とバイパス管48を流れる冷媒とを熱交換させる。ここで、バイパス管48は、一端が室外機液管44における過冷却熱交換器28と閉鎖弁25の間に接続され、他端が吸入管42に接続されており、バイパス管48における室外機液管44の接続点と過冷却熱交換器28の間に、バイパス管48流れる冷媒を減圧する過冷却膨張弁29が設けられている。つまり、過冷却熱交換器28は、室外機液管44を流れる冷媒と、室外機液管44からバイパス管48に分流して過冷却膨張弁29で減圧された冷媒とを熱交換させるものである。なお、バイパス管48が、本発明の第2冷媒配管に相当する。
【0021】
過冷却膨張弁29は、上述したようにバイパス管48における室外機液管44の接続点と過冷却熱交換器28の間に設けられている。過冷却膨張弁29は、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、パルスモータに与えられるパルス数によって開度が調整されることで、バイパス管48を流れる冷媒量が調整される。過冷却膨張弁29の開度は、バイパス管48における過冷却熱交換器28の冷媒出口側における冷媒の過熱度(以降、過冷却器過熱度と記載する場合がある)が予め定められた目標冷媒過熱度(例えば、4deg)となるように、その開度が調整される。具体的には、過冷却器過熱度が目標冷媒過熱度より大きな値である場合は、過冷却器過熱度を小さくするために過冷却膨張弁29の開度が大きくされ、過冷却器過熱度が目標冷媒過熱度より小さな値である場合は、過冷却器過熱度を大きくするために過冷却膨張弁29の開度が小さくされる。
【0022】
図1(A)に示すように、室外機液管44の一部、具体的には、室外機膨張弁24と過冷却熱交換器28の間の室外機液管44の一部は、室外熱交換器23の下方部23aに配置される凍結防止管44aとされている。ここで、下方部23aとは、室外熱交換器23の下端部と図示しない室外機2の底板の間の空間であり、凍結防止管44aは例えば下方部23aの直下の室外機2の底板に固定される。暖房運転時には、凍結防止管44aに室外機膨張弁24で減圧される前の冷媒が流れるので、室外熱交換器23の除霜運転で融解した水が下方部23aに滞留しても、滞留した水の温度が氷点下となって凍結することが凍結防止管44aにより抑制される。
【0023】
室外機ファン30は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外機ファン30は、図示しないファンモータによって回転することで、室外機2の図示しない筐体に設けられた吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を室外機2の図示しない筐体に設けられた吹出口から室外機2の外部へ放出する。
【0024】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。
図1(A)に示すように、吐出管40には、圧縮機20から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力を検出する吐出圧力センサ31と、圧縮機20から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。冷媒配管46におけるアキュムレータ28の冷媒流入口近傍には、圧縮機20に吸入される冷媒の圧力である吸入圧力を検出する吸入圧力センサ32と、圧縮機20に吸入される冷媒の温度を検出する吸込温度センサ34とが設けられている。
【0025】
室外機液管44における室外熱交換器23と室外機膨張弁24との間には、室外熱交換器23に流入する冷媒の温度、あるいは、室外熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出するための熱交温度センサ35が設けられている。室外機液管44における過冷却熱交換器28と凍結防止管44aの間には、暖房運転時に凍結防止管44aへと流れる冷媒の温度(以降、第1冷媒温度と記載する場合がある)を検出する第1冷媒温度センサ36が設けられている。バイパス管48における過冷却熱交換器28の冷媒出口側には、過冷却熱交換器28から流出する冷媒の温度(以降、第2冷媒温度と記載する)を検出する第2冷媒温度センサ37が設けられている。そして、室外機2の図示しない筐体の吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ36が備えられている。
【0026】
また、室外機2には、本発明の制御手段である室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない筐体の内部に設けられる電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、
図1(B)に示すように、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
【0027】
記憶部220は、例えばフラッシュメモリであり、室外機2の制御プログラムや前述した各種センサから取り込んだ検出信号に対応した検出値、圧縮機20や室外機ファン30の駆動状態、室外機膨張弁24や過冷却膨張弁29の各開度、室内機5-1~5-10の各々から受信した運転情報(運転/停止情報、冷房/暖房等の運転モード、室内機5-1~5-10のそれぞれが要求する冷房能力あるいは暖房能力などを含む)、冷房運転時の目標値となる目標低圧飽和温度や暖房運転時の目標値となる目標高圧飽和温度のなどを記憶する。通信部230は、室内機5-1~5-10の各々と通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、前述した室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0028】
CPU210は、センサ入力部240を介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、室内機5-1~5-10のそれぞれから送信される運転情報を含む信号を、通信部230を介して取り込む。CPU210は、これら入力された各種情報に基づいて、室外機膨張弁24や過冷却膨張弁29の開度調整、圧縮機20や室外機ファン30の駆動制御などを行う。なお、室外機制御手段200が、本発明の制御手段に相当する。
【0029】
<各室内機の構成>
次に、
図1(A)を用いて、10台の室内機5-1~5-10について説明する。10台の室内機5-1~5-10は全て同じ構成を有しており、室内熱交換器51と、室内機膨張弁52と、液管接続部53と、ガス管接続部54と、室内機ファン55とを備えている。そして、室内機ファン55を除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50を構成している。
【0030】
室内熱交換器51は、冷媒と、後述する室内機ファン55の回転により図示しない吸込口から室内機5の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器51の一方の冷媒出入口と液管接続部53とが室内機液管71で接続され、他方の冷媒出入口とガス管接続部54とが室内機ガス管72で接続されている。室内熱交換器51は、空気調和装置1が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。尚、液管接続部53やガス管接続部54は、各冷媒配管が溶接やフレアナット等により接続されている。
【0031】
室内機膨張弁52は、室内機液管71に設けられている。室内機膨張弁52は電子膨張弁であり、室内熱交換器51が蒸発器として機能する場合すなわち室内機5が冷房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(ガス管接続部54側)での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。また、室内機膨張弁52は、室内熱交換器51が凝縮器として機能する場合すなわち室内機5が暖房運転を行う場合は、その開度は、室内熱交換器51の冷媒出口(液管接続部53側)での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように調整される。ここで、目標冷媒過熱度や目標冷媒過冷却度とは、室内機5-1~5-10の各々で十分な冷房能力あるいは暖房能力を発揮するのに必要な冷媒過熱度および冷媒過冷却度である。
【0032】
室内機ファン55は樹脂材で形成されており、室内熱交換器51の近傍に配置されている。室内機ファン55は、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51において冷媒と熱交換した室内空気を図示しない吹出口から室内へ放出する。
【0033】
以上説明した構成の他に、室内機5には各種のセンサが設けられている。室内機液管71における室内熱交換器51と室内機膨張弁52との間における室内熱交換器51の近傍には、冷房運転時は室内熱交換器51に流入する冷媒の温度を、また、暖房運転時は室内熱交換器51から流出する冷媒の温度をそれぞれ検出する液側温度センサ61が設けられている。室内機ガス管72における室内熱交換器51の近傍には、冷房運転時は室内熱交換器51から流出する冷媒の温度を、また、暖房運転時は室内熱交換器51に流入する冷媒の温度をそれぞれ検出するガス側温度センサ62が設けられている。また、室内機5の図示しない吸込口付近には、室内機5の内部に流入する室内空気の温度を検出する室内温度センサ63が備えられている。なお、液側温度センサ61と室外機制御手段200とが本発明の液側圧力検出手段である。
【0034】
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和装置1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、
図1(A)を用いて説明する。以下の説明ではまず、空気調和装置1が暖房運転を行う場合について説明し、次に、空気調和装置1が冷房運転を行う場合について説明する。なお、
図1(A)における実線矢印は暖房運転時の冷媒の流れを、破線矢印は冷房運転時の冷媒の流れを、太線矢印はバイパス管48における冷媒の流れを、それぞれ示している。
【0035】
<暖房運転>
図1(A)に示すように、空気調和装置1が暖房運転を行う場合は、四方弁22が実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdとが連通するように、また、ポートbとポートcとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が凝縮器として機能するとともに、室外熱交換器23が蒸発器として機能する暖房サイクルとなる。
【0036】
冷媒回路10が暖房サイクルとして機能する状態で圧縮機20が駆動すると、圧縮機20から吐出された冷媒は、吐出管40を流れてオイルセパレータ21へと流入し、オイルセパレータ21から流出管41へと流れて四方弁22に流入する。そして、四方弁22から流出した冷媒は、室外機ガス管45を流れて、閉鎖弁26aを介してガス管9へと流入する。なお、オイルセパレータ21では、冷媒とともに圧縮機20から吐出された冷凍機油が冷媒から分離され、分離された冷凍機油は、
図1(A)に一点鎖線矢印で示すように、オイルセパレータ21から流出して油戻し管47を流れ、吸入管42を介して圧縮機20へと戻される。
【0037】
ガス管9から各ガス管接続部54を介して室内機5-1~5-10に流入した冷媒は、各室内機ガス管72を流れて各室内熱交換器51に流入する。各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内機ファン55の回転により各室内機5の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。
このように、各室内熱交換器51が凝縮器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って加熱された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5-1~5-10が設置された室内の暖房が行われる。
【0038】
各室内熱交換器51から各室内機液管71に流入した冷媒は、各室内熱交換器51の冷媒出口側での冷媒過冷却度が目標冷媒過冷却度となるように開度が調整された各室内機膨張弁52を通過する際に減圧される。ここで、目標冷媒過冷却度は、室内機5-1~5-10の各々で要求される暖房能力に基づいて定められるものである。また、暖房能力は、各室内機5-1~5-10において、設定された設定温度と検出した室内温度との温度差に基づいて決定されるものである。
【0039】
各室内機膨張弁52で減圧された冷媒は、各室内機液管71から各液管接続部53を介して液管8に流出する。液管8で合流した冷媒は閉鎖弁25を介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機液管44を過冷却熱交換器28へと流れる際に、過冷却膨張弁29の開度に応じた量の冷媒が
図1(A)に太線矢印で示すようにバイパス管48へと分流し、過冷却膨張弁29で減圧された後に過冷却熱交換器28で室外機液管44を流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、吸入管42へと流れる。
【0040】
一方、室外機液管44から過冷却熱交換器28へ流入した冷媒は、過冷却熱交換器28においてバイパス管48を流れる冷媒と熱交換を行って冷却されて過冷却熱交換器28から流出し、凍結防止管44aへと流れる。凍結防止管44aから流出した冷媒は、室外機膨張弁24を通過する際にさらに減圧される。室外機膨張弁24の開度は、室外熱交換器23の冷媒出口側における蒸発器過熱度が目標冷媒過熱度となるように調整される。
【0041】
室外機膨張弁24で減圧された冷媒は、室外機液管44を流れて室外熱交換器23に流入し、室外機ファン30の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管43へと流入した冷媒は、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。
【0042】
<冷房運転>
空気調和装置1が冷房運転を行う場合は、
図1(A)に示すように、四方弁22が破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbとが連通するように、また、ポートcとポートdとが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10は、各室内熱交換器51が蒸発器として機能するとともに、室外熱交換器23が凝縮器として機能する冷房サイクルとなる。
【0043】
冷媒回路10が冷房サイクルとして機能する状態で圧縮機20が駆動すると、圧縮機20から吐出された冷媒は、吐出管40を流れてオイルセパレータ21へと流入し、オイルセパレータ21から流出管41へと流れて四方弁22に流入する。なお、オイルセパレータ21では、冷媒とともに圧縮機20から吐出された冷凍機油が冷媒から分離され、分離された冷凍機油は、
図1(A)に一点鎖線矢印で示すように、オイルセパレータ21から流出して油戻し管47を流れ、吸入管42を介して圧縮機20へと戻される。
【0044】
四方弁22から流出した冷媒は、冷媒配管43を流れて室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23へと流入した冷媒は、室外機ファン30の回転によって室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器23から室外機液管44へと流出した冷媒は、凍結防止管44aおよび開度が全開とされている室外機膨張弁24を通過し、過冷却熱交換器28に流入する。
【0045】
室外機液管44から過冷却熱交換器28へ流入した冷媒は、過冷却熱交換器28においてバイパス管48を流れる冷媒と熱交換を行って冷却されて過冷却熱交換器28から流出する。過冷却熱交換器28から流出した冷媒は、過冷却膨張弁29の開度に応じた量の冷媒が
図1(A)に太線矢印で示すようにバイパス管48へと分流し、過冷却膨張弁29で減圧された後に過冷却熱交換器28で室外機液管44を流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、吸入管42へと流れる。
【0046】
室外機液管44を流れ閉鎖弁25を介して液管8へと流れた冷媒は、各液管接続部53を介して室内機5-1~5-10に流入する。室内機5-1~5-10に流入した冷媒は各室内機液管71を流れ、各室内熱交換器51の各々の冷媒出口での冷媒過熱度が目標冷媒過熱度となるように開度が調整された各室内機膨張弁52を通過する際に減圧される。ここで、目標冷媒過熱度は、室内機5-1~5-10の各々で要求される冷房能力に基づいて定められるものである。また、冷房能力は、各室内機5-1~5-10において、設定された設定温度と検出した室内温度との温度差に基づいて決定されるものである。
【0047】
各室内機液管71から各室内熱交換器51に流入した冷媒は、各室内機ファン55の回転により室内機5-1~5-10の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。このように、各室内熱交換器51が蒸発器として機能し、各室内熱交換器51で冷媒と熱交換を行って冷却された室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5-1~5-10が設置された室内の冷房が行われる。
【0048】
各室内熱交換器51から各室内機ガス管72に流出した冷媒は、各ガス管接続部54を介してガス管9に流出する。ガス管9で合流した冷媒は、閉鎖弁26aを介して室外機2に流入する。室外機2に流入した冷媒は、室外機ガス管45、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ27、吸入管42の順に流れ、圧縮機20に吸入されて再び圧縮される。
【0049】
<暖房運転時の過冷却膨張弁の制御について>
次に、
図1および
図2を用いて、本実施形態の空気調和装置1が暖房運転を行っているときの過冷却膨張弁29の制御について詳細に説明する。本実施形態の空気調和装置1では、暖房運転時に過冷却器過熱度が予め定められた目標冷媒過熱度となるように過冷却膨張弁29の開度を調整する過冷却器過熱度制御を実行することで、室外熱交換器23とともに過冷却熱交換器28を蒸発器として機能させることで、蒸発能力を大きくして暖房能力の向上を行っている。また、暖房運転時に、室内機5-1~50-10から室外機2に流入した冷媒を室外機膨張弁24で減圧させる前に凍結防止管44aに流すことで、室外熱交換器23の下方部23aにおける水の凍結を抑制している。そして、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度である第1冷媒温度を検出し、検出した第1冷媒温度が予め定められた第1閾温度以下にならないように過冷却膨張弁29の開度を調整する。
【0050】
具体的には、暖房運転時に過冷却器過熱度が目標冷媒過熱度となるように過冷却膨張弁29の開度を調整しているとき、検出した第1冷媒温度が第1閾温度より高い温度である第2閾温度超の温度である場合は、過冷却器過熱度が目標冷媒過熱度となるように過冷却膨張弁29の開度を調整する。以降、第1冷媒温度が第2閾温度超の温度である場合に行う過冷却器過熱度制御を第1過冷却器過熱度制御と記載する。
【0051】
次に、検出した第1冷媒温度が第1閾温度超第2閾温度以下である場合は、過冷却器過熱度が目標冷媒過熱度となるように過冷却膨張弁29の開度を調整する際に、過冷却膨張弁29の開度を大きくすることを禁止し、過冷却器過熱度を目標冷媒過熱度に近づけるために過冷却膨張弁29の開度を変化させないあるいは小さくする制御は許容する。以降、第1冷媒温度が第1閾温度超第2閾温度以下である場合に行う過冷却器過熱度制御を第2過冷却器過熱度制御と記載する。
【0052】
そして、検出した第1冷媒温度が第1閾温度以下である場合は、過冷却器過熱度の値に関わらず過冷却膨張弁29の開度を定期的に所定の開度ずつ小さく、例えば、30秒毎に過冷却膨張弁29に与えるパルス数で10パルスに相当する開度ずつ小さくしていき、第1冷媒温度が第1閾温度超の温度とならない限りは過冷却膨張弁29が全閉となるまで開度を開度調整値ずつ小さくしていく。以降、第1冷媒温度が第1閾温度以下である場合に行う過冷却膨張弁29の制御を膨張弁開度縮小制御と記載する。
【0053】
ここで、上述した第1閾温度は、室外機2に搭載される室外熱交換器23の熱交換量や空気調和装置1が設置される地域の冬季の外気温度などを考慮した試験を行って予め定められている温度であり、暖房運転時に第1冷媒温度が第1閾温度以下の温度であれば、膨張弁開度縮小制御を行えば室外熱交換器23の下方部23aでの水の凍結を凍結防止管44aにより抑制できることが確認できている温度である。また、上述した第2閾温度は、室外機2に搭載される室外熱交換器23の熱交換量や空気調和装置1が設置される地域の冬季の外気温度などを考慮した試験を行って予め定められている温度であり、暖房運転時に第1冷媒温度が第2閾温度超の温度であれば、第1過冷却器過熱度制御を行っても室外熱交換器23の下方部23aでの水の凍結を凍結防止管44aにより抑制できることが確認できている温度である。なお、一例として第1閾温度は12℃、第2閾温度は15℃である。
【0054】
以上に説明した第1過冷却器過熱度制御、第2過冷却器過熱度制御、および、膨張弁開度縮小制御を暖房運転時に行う際の処理の流れについて、
図2を用いて説明する。
図2に示すのは、室外機制御手段200のCPU210が、暖房運転時に過冷却膨張弁29の開度調整を行う場合の処理の流れを示すフローチャートであり、STは各処理のステップを、STに続く番号はステップの番号を示している。なお、
図2では、吸入圧力をPs、吸入圧力Psを用いて算出する低圧飽和温度をTls、第1冷媒温度をT1、第2冷媒温度をT2、第1閾温度をTp1、第2閾温度をTp2、第2冷媒温度から低圧飽和温度Tlsを演じて求める過冷却器過熱度をSHsとしている。
【0055】
空気調和装置1が暖房運転を行っているとき、CPU210は、吸入圧力Psと第1冷媒温度T1と第2冷媒温度T2をそれぞれ取り込む(ST1)。CPU210は、吸入圧力センサ32で検出した吸入圧力Psをセンサ入力部240を介して取り込む。CPU210は、第1冷媒温度センサ36で検出した第1冷媒温度T1をセンサ入力部240を介して取り込む。CPU210は、第2冷媒温度センサ37で検出した第2冷媒温度T2をセンサ入力部240を介して取り込む。
【0056】
次に、CPU210は、取り込んだ第1冷媒温度T1が第1閾温度Tp1以下であるか否かを判断する(ST2)。第1冷媒温度T1が第1閾温度Tp1以下である場合は(ST2-Yes)、CPU210は、過冷却膨張弁29の開度が全閉であるか否かを確認する(ST3)。過冷却膨張弁29の開度が全閉であれば(ST3-Yes)、CPU210は、ST1に処理を戻す。過冷却膨張弁29の開度が全閉でなければ(ST3-No)、CPU210は、膨張弁開度縮小制御を実行し(ST4)、ST1に処理を戻す。
【0057】
ST2において、第1冷媒温度T1が第1閾温度Tp1以下でない場合は(ST2-No)、CPU210は、ST1で取り込んだ吸入圧力Psを用いて低圧飽和温度Tlsを算出し(ST5)、ST1で取り込んだ第2冷媒温度T2から算出した低圧飽和温度Tlsを減じて過冷却器過熱度SHsを算出する(ST6)。
【0058】
次に、CPU210は、取り込んだ第1冷媒温度T1が第2閾温度Tp2超であるか否かを判断する(ST7)。第1冷媒温度T1が第2閾温度Tp2超であれば(ST7-Yes)、CPU210は、ST6で算出した過冷却器過熱度SHsを用いて第1過冷却器過熱度制御を実行し(ST8)、ST1に処理を戻す。第1冷媒温度T1が第2閾温度Tp2超でなければ(ST7-No)、つまり、第1冷媒温度T1が第1閾温度Tp1超第2閾温度Tp2以下であれば、CPU210は、ST6で算出した過冷却器過熱度SHsを用いて第2過冷却器過熱度制御を実行し(ST9)、ST1に処理を戻す。
【0059】
以上に説明した本発明の実施形態では、暖房運転時に凍結防止管44aに流れる冷媒の温度である第1冷媒温度が第1閾温度以下とならないようにするので、過冷却器過熱度を目標冷媒過熱度となるように過冷却膨張弁29の開度を調整しているときでも、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度を、室外熱交換器23の下方部23aにおける水の凍結を抑制できる温度とできる。このため、暖房運転時に室外熱交換器23の下方部23aにおいて水の凍結により外気と冷媒との熱交換が阻害されることや、室外熱交換器23の下方部23aに配置されている冷媒流路を構成する配管が氷により変形することを抑制できる。
【0060】
なお、以上に説明した本発明の実施形態では、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度が第1閾温度超の温度である場合に、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度が第1閾温度超第2閾温度以下であるときは第2過冷却器過熱度制御(過冷却膨張弁29の開度を大きくすることを禁止する制御)を実行し、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度が第2閾温度超であるときは第1過冷却器過熱度制御を実行した。これに代えて、閾温度を第1閾温度のみとし、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度が第1閾温度超であれば第1過冷却器過熱度制御を実行し、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度が第1閾温度以下であれば膨張弁開度縮小制御を実行するようにしてもよい。このように、第2過冷却器過熱度制御を省略する場合でも、第1閾温度を実施形態で例示した12℃より高い温度、例えば15℃とすれば、過冷却器過熱度を目標冷媒過熱度となるように過冷却膨張弁29の開度を調整しているときでも、凍結防止管44aに流れる冷媒の温度を、室外熱交換器23の下方部23aにおける水の凍結を抑制できる温度とできる。