(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070162
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】撮影機材用ランプ
(51)【国際特許分類】
F21L 4/00 20060101AFI20220502BHJP
F21V 21/096 20060101ALI20220502BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20220502BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20220502BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20220502BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220502BHJP
【FI】
F21L4/00 621
F21V21/096
F21V23/04 130
G03B15/05
G03B15/02 H
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179229
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】510067038
【氏名又は名称】株式会社インタニヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正己
【テーマコード(参考)】
2H053
3K014
【Fターム(参考)】
2H053CA04
2H053CA14
3K014AA01
3K014GA00
(57)【要約】
【課題】 撮影機材等の様々な機材に簡便に着脱可能であり、小型で低コストで提供可能な撮影機材用ランプを提供すること。
【解決手段】 上面に円形のスイッチ部材(35)を配置し、それよりもやや大径な上部ケース(30)、下部ケース(20)、マウント部(10)を略等しい外径を有する略円筒状として構成し、その内部にはボタン型電池(40)を配置した構造とした上で、上部ケース(30)の位置側面から発光体(36)による照射を行えるようにした撮影機材用ランプ(1)を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機材に備えられたネジ穴に螺着して使用する撮影機材用ランプであって、
下面から下方向に突設した雄ネジを備えて該撮影機材に固定可能なマウント部と、
該マウント部と相対的に回転自在であって、電池と、発光体と、該発光体の入切を行うスイッチとを備えた本体部と
から構成され、
該発光体が、該雄ネジと略直交方向に光を照射する
ことを特徴とする撮影機材用ランプ。
【請求項2】
前記マウント部(前記雄ネジを除く)及び前記本体部が、略等しい外径を有する略円筒状であって、
該本体部の側面に、前記発光体から照射する開口部を配設した
請求項1に記載の撮影機材用ランプ。
【請求項3】
前記本体部の上面に、下方に向けて押すことで前記発光体の入切を行うスイッチを配設した
請求項1又は2に記載の撮影機材用ランプ。
【請求項4】
前記本体部が、
前記電池としてボタン型電池を収容する下部ケースと、前記発光体及び前記スイッチを内装する上部ケースとから成り、
該下部ケースと該上部ケースを分離した時に該ボタン型電池を交換可能とした
請求項1ないし3のいずれかに記載の撮影機材用ランプ。
【請求項5】
前記下部ケースと前記マウント部とが磁着して互いに回転自在である、
請求項1ないし4のいずれかに記載の撮影機材用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影機材用ランプに関し、特に三脚やリグ等の撮影機材など様々な機材に装着するランプに係る。
【背景技術】
【0002】
従来から、三脚を利用した照明器具が知られている。撮影現場に限らず、工事現場などでも投光器を三脚上に設置して、所望の方向を照らすことで、高さや向きの調整を容易にしたものである。
【0003】
このような広い範囲を照射するのではなく、撮影時の手元だけを照らすランプは、提供例がはるかに少ない。暗い撮影現場では水準器や計器類、手元などを照らす小型の照明が便利であるが、従来は懐中電灯を手に持って照らすことが一般的であり、簡便性、可搬性に劣る問題があった。
【0004】
比較的小型なものの従来例として、特許文献1には、撮影のためのリング型自分撮り補光灯の発明が開示されている。本文献によると、本体及び本体の底部に設けられる固定座を含み、本体の中には回転チャンバ及び挟みチャンバが設けられている。装置の底部には専門のカメラの三脚と組み合わせて使用されるネジ山柱が設置され、便利に固定される、と記載されている。
【0005】
同じく、三脚に固定する発明として特許文献2には、電動工具用のバッテリーを電源として用い、前記バッテリー全体をハウジング内に収容してなるライトであって、ライト本体の下面に、三脚スタンドを接続可能なナット部材を設ける構成も開示されている。
【0006】
これらの何れの従来技術も、小型で簡便なランプではなく、周辺を照射するために装置が大きく、手元等を照らすには不適である。撮影に影響を及ぼさない小光量のランプに最適な態様は提供されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6600794号
【特許文献2】特開2017-224628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、撮影機材等の様々な機材に簡便に着脱可能であり、小型で低コストで提供可能な撮影機材用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の実施態様によれば、撮影機材に備えられたネジ穴に螺着して使用する撮影機材用ランプであって、下面から下方向に突設した雄ネジを備えて撮影機材に固定可能なマウント部と、マウント部と相対的に回転自在であって、電池と、発光体と、発光体の入切を行うスイッチとを備えた本体部とから構成され、発光体が、雄ネジと略直交方向に光を照射する撮影機材用ランプを提供する。
【0010】
第2の実施態様によれば、マウント部(雄ネジを除く)及び本体部が、略等しい外径を有する略円筒状であって、本体部の側面に、発光体から照射する開口部を配設した構成でもよい。
【0011】
第3の実施態様によれば、本体部の上面に、下方に向けて押すことで発光体の入切を行うスイッチを配設してもよい。
【0012】
第4の実施態様によれば、本体部が、電池としてボタン型電池を収容する下部ケースと、前記発光体及びスイッチを内装する上部ケースとから成り、下部ケースと上部ケースを分離した時に該ボタン型電池を交換可能とした構成でもよい。
【0013】
第5の実施態様によれば、下部ケースとマウント部とが磁着して互いに回転自在である、構成でもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮影機材等の機材にネジで簡便に着脱できる撮影機材用ランプを提供することができる。特に、雄ネジによってリグ等の撮影機材に設けられている多数の雌ネジに対して自在に設置することができ、小型で邪魔にならない。特にボタン型電池を用いることで、外部から給電する必要もなく、手元用として十分な光量を確保することができる。
【0015】
同時に、簡便な構造によって低コストに提供が可能であって、必要な箇所に複数設置することも負担無く行えるため、撮影現場の利便性の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る撮影機材用ランプの断面図である。
【
図2】本発明に係る撮影機材用ランプの下方斜視図である。
【
図3】本発明に係る撮影機材用ランプの背面側上方斜視図である。
【
図4】本発明に係る撮影機材用ランプの正面図である。
【
図5】本発明に係る撮影機材用ランプの平面図である。
【
図6】本発明に係る撮影機材用ランプの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施例を基に説明する。なお、実施形態は下記に限定されるものではない。
本発明は、三脚やリグ等の撮影機材や、その他の様々な機材に装着する撮影機材用ランプを提供する。撮影機材にはISO規格により、3/8-16UNC(インチ)の大ネジ、1/4-20UNC(インチ)の小ネジの2種のネジ穴が規定されている。特にリグには、カメラやマイクなどを様々な位置に取り付けることができるように、多数のネジ穴が開けられている。
【0018】
本発明はこのネジ穴を活用して、撮影機材用ランプを随意の位置に螺嵌できるようにする。
図1は、撮影機材用ランプ(1)の断面図、
図2は、撮影機材用ランプ(1)の下方斜視図、
図3は背面側上方斜視図、
図4は正面図、
図5は平面図、
図6は底面図である。なお、
図7は別実施例の分解斜視図であるが、本実施例も概ねこのような分解図の構成となる。
【0019】
撮影機材用ランプ(1)は、下部のマウント部(10)と、上部の本体部(2)から構成されている。本体部(2)は一体的に構成されていてもよいが、本実施例では、本体部がさらに上部ケース(30)と下部ケース(20)に分かれて構成される。
【0020】
マウント部(10)は円盤状体(11)の下面から下方向に雄ネジ(12)を突設しており、該雄ネジ(12)を撮影機材に螺合して使用する。雄ネジは上記1/4-20UNC(インチ)の小ネジであるが、上記大ネジや、例えば直径3mmないし8mmのネジ径でもよい。
【0021】
円盤状体(11)は直径が1インチ(25.4mm)、厚みが4.5mmの円盤状であり、側面に凹状のローレット(13)を円周方向と直角に断続的に設け、ねじ込み時の滑り止めとしている。また、合わせてチャック孔(14)を複数配置し、棒を差し込んで締め付けたり緩めたりする際に使用することができる。
【0022】
円盤状体(11)の下面は撮影機材と接する周縁部(15)以外はオフセット面(16)を設けて、過度な摩擦が生じないように形成している。
【0023】
円盤状体(11)の上面には下部ケース(20)が嵌合する環状の環状溝(17)が形成されている。下部ケース(20)の嵌合部(21)を環状溝(17)に嵌合させた状態で、環状溝(17)の中央にある固定凸部(18)に固定ワッシャー(180)を挟んで固定ネジ(181)で固定することにより、マウント部(10)に対して、本体部(2)が相対的に回転自在となる。これにより、本体部(10)の発光体を所望の向きに自由に向けることができる。
【0024】
下部ケース(20)は略円筒状であって、嵌合部(21)の上面は上記固定ワッシャー(180)の外径と略同一な円形の平面部であり、略円筒状の上面側からネジ止めが行えるように露出している。同時に円筒状の内側にはボタン型電池(40)を格納する電池領域(22)が形成されている。
【0025】
本実施例において電池領域(22)は電極が設けられていない空間であって、ボタン型電池(40)の下面及び側面にある電極(23)及び導通用の金属ケース(24)は後述する上部ケース(30)側に付設されている。電極(23)からは導通用の金属板(24)を通して上部ケース(30)に通電している。従って、電池領域(22)にはこの電極及び金属ケースごと収容される態様となる。なお、下部ケース側にボタン型電池の一方の電極を設ける構成でもよい。
【0026】
図示されるように撮影機材用ランプ(1)の外径はボタン型電池を収容しながら、最小化されたものであり、回しやすさを兼ね備えると共に、例えばリグ上に他の部材と並べて設置した場合にも干渉することなく、最適なサイズを構成している。このような観点から、本発明の撮影機材用ランプ(1)は略円筒状の形状であって、外径が20mmないし30mmの範囲、特に略1インチとすることが最も好ましい。
【0027】
なお、ボタン型電池(40)に替えて、リチウムイオン電池など公知の充電池を内蔵してもよい。例えば、USB等で外部電源と接続して充電し、使用する態様でもよい。
【0028】
下部ケース(20)の側面にも凹状のローレット(25)を円周方向と直角に断続的に設けている。このローレット(25)に指をかけてマウント部(10)に対して、本体部(2)を回転させることができる。
【0029】
次に、発光体を備えた上部ケース(30)について説明する。上部ケース(30)も略円筒状であり、下部の嵌着部(31)において、下部ケース(20)上部の嵌着部(26)の内側に嵌着する。ボタン型電池(40)を交換する際には、この嵌着部(26)(31)を外して行うようになっている。
【0030】
そして、ボタン型電池(40)の上面のマイナス極に接する電極(32)が、上部ケース(30)の底面を成す基板(33)上に配置され、電極(23)及び金属ケース(24)に挟まれた領域にボタン型電池(40)を挟持させる。
【0031】
基板(33)の上面には、タクトスイッチ(34)が備えられており、上部ケース(30)の上面に露出するスイッチ部材(35)の底部がタクトスイッチ(34)と接した構造とすることで、スイッチ部材(35)を下方に押すと、タクトスイッチ(34)によって電源が入切されるようになっている。スイッチの態様は任意である。
【0032】
基板(33)の上面には制御用のIC等の回路と共に発光体(36)が設けられる。発光体(36)は、基板(33)に対して垂直に直立したLED基板(360)と、LED基板(360)上に取り付けられたチップ型LED(361)とから構成されている。
【0033】
チップ型LED(361)は表面に対して直角方向に最も照度が得られるので、本構成によって効率よく発光体(36)からの発光が外部に照射される。照射された光は、上部ケース(30)の側面に設ける開口部(37)を通して外部に照射されるので、チップ型LED(361)から不要な方向の光は遮断され、必要な部位だけを照らすことができる。
【0034】
開口部(37)には透明なレンズ体(38)が嵌設されている。レンズ体(38)は内部にゴミの侵入を防ぐためのカバーとして設けてもよいし、厚みを変化させて内部で屈折させ、照射方向を制御するように構成してもよい。また、例えば赤色、青色など所望の色を付けてランプの用途に合わせて発光色を調整するようにしてもよい。
【0035】
チップ型LED(361)の発熱が問題となる場合には、LED基板(360)や周辺部位と金属等の熱伝導部材を通して上部ケース(30)に熱伝導を行いやすく構成し、廃熱しやすいように構成してもよい。
【0036】
基板(33)上の回路によって、スイッチ部材(35)を押すと、発光体(36)が点灯し、5秒から3分程度で自動的に消えるように制御されるように構成してもよい。これによりわざわざ消す必要が無い。撮影時は両手が使え、消す作業に捕われないことは、撮影に集中することができるので、撮影現場における利便性が向上する。また、消える前にスイッチを押すことで、その時点から点灯時間を再度延長できるようにしてもよい。
【0037】
さらに、スイッチ部材(35)に蓄光性夜光顔料を塗布又は混成することによって撮影機材用ランプ(1)やスイッチ部材(35)の所在を分かりやすくし、暗い場所での作業
効率を高める事も出来る。
【0038】
本発明は、以上のように上面に円形のスイッチ部材(35)を配置し、それよりもやや大径な上部ケース(30)、下部ケース(20)、マウント部(10)を略等しい外径を有する略円筒状として構成し、その内部にはボタン型電池(40)を配置した構造とした上で、上部ケース(30)の位置側面から発光体(36)による照射を行えるようにした撮影機材用ランプ(1)を提供する。
【0039】
これによって簡易な構造で低コスト化を実現しながら、撮影機材に螺着して、所望の方向を照らすことができる。あわせて、全体が円筒形のまとまりのある意匠性を有しており、さまざまな撮影機材の中でも他の部材と干渉したり、操作に混乱を生じさせることがない、便利な撮影機材用ランプ(1)を提供することができる。
【0040】
上部ケース(30)、下部ケース(20)、マウント部(10)の円盤状体(11)を合わせた高さも1インチ(25.4mm)である。左右上下が等しい大きさとしたことでバランスが良く美匠性に優れると同時に、開口部(37)を上部ケース(30)の側面の上側に配置した時に、適度な高さがあって、手元の照明においても最適である。従って、撮影機材用ランプ(1)の取付面からの高さは20mmないし30mmが好ましく、その開口部(37)は上端付近に設けられることが好ましい。
【0041】
本発明の別実施例として、マウント部(10)と下部ケース(20)とを磁着する構成を
図7の分解図に示す。上から順に、上部ケースのカバー部材(30A)、スイッチ部材(35)、レンズ体(38)、上部ケースの本体部材(30B)、発光体(36)を付設した基板(33)、ボタン型電池(40)と、その金属ケース(24)、下部ケースを構成するボタン型電池を保持する保持部材(20A)、下部ケース本体(20B)である。
【0042】
そして、下部ケース本体(20B)とマウント部(10)の間に環状のマグネット(50)を介在させる。マグネット(50)はマウント部(10)の環状の溝(100)内に嵌まった状態で、金属製のマウント部(10)と下部ケース本体(20B)の間で回転自在に磁着させる。
【0043】
このように構成すると、容易に回転自在な構造を実現することができると同時に、マウント部(1)とその他の本体とをワンタッチで脱着することもできる。特に頻繁に取り外しが必要な場合には、マグネットを用いた構成が好適である。
【符号の説明】
【0044】
1 撮影機材用ランプ
2 本体部
10 マウント部
11 雄ネジ部
20 下部ケース
30 上部ケース
36 発光体
40 ボタン型電池