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  • 特開-ブラインドおよびブラインド用羽板 図1
  • 特開-ブラインドおよびブラインド用羽板 図2
  • 特開-ブラインドおよびブラインド用羽板 図3
  • 特開-ブラインドおよびブラインド用羽板 図4
  • 特開-ブラインドおよびブラインド用羽板 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070177
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】ブラインドおよびブラインド用羽板
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/386 20060101AFI20220502BHJP
   E06B 9/36 20060101ALI20220502BHJP
   E06B 9/30 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
E06B9/386
E06B9/36 F
E06B9/30
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179268
(22)【出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】519107984
【氏名又は名称】株式会社JIT
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】前山 健次
(72)【発明者】
【氏名】長井 忠志
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB12
2E043BB15
2E043BC01
2E043DA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遮熱性及び断熱性を有し、室外の環境による室内への影響を減少させるブラインドおよびブラインド用羽板を提供する。
【解決手段】ブラインド用羽板は、アルミニウム層と断熱材層4を有する。より好ましくは、2層のアルミニウム層3a,3bと、2層のアルミニウム層3a,3bの間に設けられた断熱材層4を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム層と断熱材層を有するブラインド用羽板。
【請求項2】
2層のアルミニウム層と、2層のアルミニウム層の間に設けられた断熱材層を有する請求項1に記載のブラインド用羽板。
【請求項3】
アルミニウム層が純度99%以上のアルミニウム材より成り、断熱材層がガラス繊維を含む請求項2に記載のブラインド用羽板。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のブラインド用羽板を平行に複数枚有し、この複数の羽板が羽板角度調整部材により連結されている窓用ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の羽板を平行に備え、この羽板の角度を変更することによって、光の通過の程度を変更するブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の羽板を平行に備え、光の通過の程度を調整する遮光装置であるブラインドは既に普及している。特許文献1には、トップレールの端分に傾動軸とそれと直交してトップレールから斜め下方に突出する中空軸を軸受けするブロックを内設し、傾動軸と中空軸を連結する歯車機構を前記ブロック内に設け、中空軸に中空自在接手を介して中空操作ロッドを連結し、ロッドの下端部スリ-ブを一体回転相互スライド可能にかつばねを介して上方に加圧して取付け、スリーブの底部にロック金具を着脱可能に固定し、前記スリーブにグリップを摩擦的に一体回転並びにスリップ可能にはめ込み、昇降可能コードをロッド内に導く案内ロールをブロックに軸受けし、ロット内に導いたコードをロック金具に設けた孔から外部に引出したブラインド操作装置が記載されている。これら、従来のブラインドの羽板には、金属板などが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55-85790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものなど従来のブラインドは、スラット、あるいはルーバーなどとも呼ばれる羽板の角度を変えることにより、通過する光の量を調整し、強すぎる外光の入射量を減少させることができる。夏場においては、外光の入射量を減ずることによって、室内の温度上昇をある程度は緩和することができる。
【0005】
しかし、室内を加熱するのは入射光だけではなく、外部の温度の熱伝導も影響する。従来のブラインドは入射光の量を制限するものであり、熱伝導を考慮したものではなかった。
【0006】
この発明は、遮熱性及び断熱性を有し、室外の環境による室内への影響を減少させるブラインドおよびブラインド用羽板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、この発明のブラインド用羽板は、アルミニウム層と断熱材層を有する。アルミニウム層を2層にし、2層のアルミニウム層の間に断熱材層を設けることが好ましい。さらに、アルミニウム層が純度99%以上のアルミニウム材より成り、断熱材層がガラス繊維を含むことが好ましい。
【0008】
また、この発明のブラインドは、上述のブラインド用羽板を使用するものであり、ブラインド用羽板を平行に複数枚有し、この複数の羽板が羽板角度調整部材により連結されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明の羽板は、遮熱性の優れたアルミニウム層に加えて断熱材層を有するので入射光の侵入を防止するとともに、熱伝導による室外の温度の影響をも減少することができる。特に、断熱材として不燃物であるガラス繊維を使用した場合には、火災に対しても強く、安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ブラインド用羽板の平面図である。
図2】同拡大断面図である。
図3】ブラインドの例を示す断面図である。
図4】ブラインド用羽板の別例を示す平面図である。
図5】同拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。図1はブラインド用羽板の平面図、図2は同拡大断面図である。断面図においては、厚さを強調して表しているが、実際は全体が従来の羽板と同じ程度の厚さになるようにすることができる。ブラインド用羽板1はルーバーやスラットなどとも呼ばれる部材であり、細長い略長方形状である。ブラインドが取り付けられる壁面に対する角度を角度調整部材により変更できるものであるなら、縦ブラインド用でも横ブラインド用でもよい。その長さや幅の寸法については特に限定はなく、ブラインド用羽板として使用できるのであれば自由に選択できる。本例では、従来の横ブラインドの羽板の形状することを想定している。したがって、昇降コード通し孔2が設けられている。
【0012】
この発明のブラインド用羽板1はアルミニウム層3と断熱材層4を合わせて備えている。この2層は、ブラインド用羽板1の全面をカバーするように設けられることが好ましい。
【0013】
断熱材層4には断熱性に備えた材料が使用される。特に、ガラス繊維・石膏など不燃性に優れ、国土交通省より不燃性として指定されている素材を使用することが好ましい。本例では、ガラス繊維であり、平編シートが使用されている。
【0014】
アルミニウム層3は1層でもよいが、2層設けることが好ましい。本例では、アルミニウム層3を2層にし、その間に断熱材層4が挟まれる構造となっている。また、アルミニウム層3は純度の高いアルミニウムを使用することが好ましく、99%以上であることが好ましい。純度の高いアルミニウムを使用することにより、使用による経時的な劣化を抑えることができる。また、所定の厚みのあるアルミニウム板であることが好ましい。本例では、アルミニウム純度が99.5%以上で厚さ0.13mmのアルミニウム板を使用している。このアルミニウム層によって太陽光熱を97%カットできる。100cm×50cmの寸法の長方形状の2枚のアルミニウム板の間にガラス繊維を挟み、合成樹脂を使用し、プレスすることにより2層のアルミニウム層3a,bと断熱材層4を接続している。さらに、その両面に低燃性の合成樹脂の層を設けて、5層構造にしている。本例では、PET85/188のシートをアルミニウム層の外に配置して、プレスにより接続している。このようにして、樹脂層5、アルミニウム層3a、断熱材層4、アルミニウム層3b、樹脂層5の5層の板状部材を形成し、これを必要な幅と長さに切り出すことによって、羽板を形成している。樹脂層5を設けることによって厚みを増し、羽板の剛性を向上させている。
【0015】
本例のブラインド用羽板は反りのない平板状に形成されている。大きな板材を形成した後に切り出すことによって、容易に低コストで製造することができる。また、表裏の区別がないので、ブラインドの組み立てにおいても、便宜である。しかし、幅方向において円弧上にカールしたシェルの形状にしてもよい。
【0016】
この発明のブラインド用羽板1はアルミニウム層3による遮光性・遮熱性に加え、断熱材層4による高い断熱性を有する。アルミニウム層3の遮熱性によって輻射熱はほとんど遮断できるが、アルミニウムは熱伝導率が高い。しかし、断熱材層4を有することによって熱伝導も効果的に軽減する。したがって、ブラインド用羽板1を使用することによって、室内と室外を熱的に遮断することができる。
【0017】
アルミニウム層3が1層の場合は、アルミニウム層3が室外を向くように配置することにより室外から室内への熱の流入を防止できる。本例の場合は、断熱材層4の両面にアルミニウム層3a,bが設けられているので、室外から室内への熱の流入の防止に加え、室内から室外への熱の流出も防止できる。冬季など室外の温度が低い時にも、暖房のエネルギーコストを低減できる。
【0018】
さらに、アルミニウムおよび本例で断熱材として使用されるガラス繊維は国土交通省により不燃物の建築材として指定されている通り、不燃性の高いものであり、外側の樹脂層も低燃性のものであることにより、本例のブラインド用羽板は燃えにくく、火災時においても安全性が高い。
【0019】
次にブラインドの例について説明する。図3はブラインドの構造を示す模式的な側面図である。ブラインド10には、この発明のブラインド用羽板1が使用されている。それ以外の構造については、既に普及している窓用の横ブラインドと同様でよい。
【0020】
複数のブラインド用羽板1が平行に設けられている。最下部のブラインド用羽板の下には、ボトムレール11が設けられている。この複数の羽板1が羽板角度調整部材12により連結されている。
【0021】
本例では羽板角度調整部材12として、ラダーコードが使用されている。羽板1の列を挟むように2本の垂直なコード12aが平行に設けられている。さらに、2本の垂直なコード12aの間には、水平なコード12bが設けられている。水平なコード12bは羽板1の枚数と同じ数を設けられており、各羽板1の下面に沿って配置されている。
【0022】
垂直なコード12aは操作棒13に接続されていて、操作棒13を操作することによって、2本の垂直なコード12aが相互に上下に移動することができる。これによって、水平なコード12bの傾きが変化し、連動して羽板1の角度が変化する。水平なコード12bが水平に近い状態では、羽板1間の間隔が大きくなって、外光が多く通過する。また、水平なコード12bが垂直に近い状態では、羽板1は垂直に並び、外光が遮断される。
【0023】
昇降コード14は昇降コード通し孔2の中を通っており、全ての羽板1に対して干渉しないようになっているが、ボトムレール11には連結されている。昇降コード14を引き上げることによって、羽板1は引き上げられる。
【0024】
以上、本例のブラインド10は、従来のブラインドの構造を継承しているため、従来の生産設備や製造工程をほとんど変更することなく実施できる。
【0025】
本発明のブラインド用羽板は横ブラインド以外にも、縦ブラインドにも適用できる。また、室内用に限らず、室外用にも適用できる。
【0026】
図4はブラインド用羽板の別の例を示す平面図、図5は同拡大断面図である。この実施例においても先の例と同様に、ブラインド用羽板1の本体部は樹脂層5、アルミニウム層3a、断熱材層4、アルミニウム層3b、樹脂層5の5層の板状部材である。この部分は先の例と同様に各層をプレスで重ね合わせて製造することができる。そして、本例では、外周部に枠部材15が設けられている。この枠部材15は5層の板状部材が挿入できる幅の溝を有するレール状の部材である。この枠部材15によりブラインド用羽板1の剛性はさらに向上する。また、錘としての作用もあり、たとえば縦ブラインドに適用した際に、安定したカーテンが形成され、また、角度の変更も良好に行うことができる。
【0027】
枠部材15はアルミニウムで製造してもよく、これにより剛性を高めることができる。一方、アルミニウムは熱伝導率が高いので、断熱性を高くするために、合成樹脂により枠部材15を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1.ブラインド用羽板
2.昇降コード通し孔
3.アルミニウム層
4.断熱材層
5.樹脂層
10.ブラインド
11.ボトムレール
12.羽板角度調整部材(ラダーコード)
13.操作棒
14.昇降コード
15.枠部材
図1
図2
図3
図4
図5