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特開2022-70237持ち運び用包装箱のブランクシート及び製函前ボックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070237
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】持ち運び用包装箱のブランクシート及び製函前ボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/462 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
B65D5/462 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174490
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020179007
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】小長谷 友季子
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BB03
3E060CA01
3E060CA12
3E060CA24
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA25
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】本発明は、引き上げられる取っ手20を構成可能な持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用製函前ボックスを提供する。
【解決手段】本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートは、複数の周壁板を組み立てて形成される筒体6と、筒体6の開口部7を塞ぐ側板フラップ8とを備え、複数の周壁板2~4の一つを構成する第1周壁板2から、第1周壁板2の一辺2bにおいて折り曲げ線を介して設けられた第1フラップ8まで延びる2本のスリットS,Sが形成され、第1フラップ8は、差し込み部16を有し、差し込み部16は、第1フラップ8と共に開口部7を塞ぐ他の側板フラップ10の基端辺上に形成された挿入部26又は前記他の側板フラップの平板面上に形成された挿入部から差し込まれて固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周壁板を組み立てて形成される筒体と、この筒体の開口部を塞ぐ側板フラップとを備え、
前記複数の周壁板の一つを構成する第1周壁板から、この第1周壁板の一辺に設けられた第1フラップまで延びる2本のスリットが形成され、
前記第1フラップは、差し込み部を有し、
前記差し込み部は、前記第1フラップと共に前記開口部を塞ぐ他の側板フラップの基端辺上に形成された挿入部又は前記他の側板フラップの平板面上に形成された挿入部から差し込まれて固定される持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項2】
前記差し込み部は、前記第1フラップの前記一辺に交差する辺上に設けられ、
折り曲げ時に前記交差する辺が重なる他の側板フラップの基端辺上に形成された挿入部から前記他の側板フラップが連接している周壁板の内面に沿って差し込まれて固定される請求項1に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項3】
前記第1フラップは、前記開口部の全体を覆う蓋部材を構成し、
前記差し込み部は、前記一辺に対して平行に延びる前記第1フラップの先端辺上に設けられ、
折り曲げ時に前記先端辺が重なる他の側板フラップの基端辺上に設けられた挿入部から前記他の側板フラップが連接している周壁板の内面に沿って差し込まれて固定される請求項1又は2に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項4】
前記2本のスリットの間には、これら2本のスリットの両端を超えて延在するように補強部材が貼り付けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項5】
前記補強部材は、紙、不織布、合成樹脂又はこれらを組み合わせた素材を使用したテープである請求項4に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項6】
前記筒体の開口部を閉じる前記第1フラップ以外の側板フラップは、開口部を閉じる際に互いに重なり合わないように形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項7】
製函時に前記第1周壁板の内面に貼り合わせることで前記第1周壁板と隣り合う周壁板とを連結させる接合板が形成され、
前記接合板は、前記第1周壁板とこの第1周壁板と隣り合う周壁板とを連結する基端面部と、前記基端面部に連続し、前記2本のスリットを前記第1周壁板の内面から覆う先端面部とを有し、
前記先端面部は、前記第1周壁板に重ねられた際に前記第1フラップ側で前記2本のスリットに直交する係止辺を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項8】
前記接合板は、前記第1周壁板の内面に貼り合わされた際に、前記2本のスリットの第1フラップまで延びた部分を覆い得るカバー片を有している請求項7に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のブランクシートを用いて形成された製函前ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運び用包装箱のブランクシート及び製函前ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
ネット通販等の通信販売の拡大に伴い、梱包された商品をコンビニエンスストアや駅等の公共の場に設置された宅配ボックス等、購入者の便宜の良い場所に配送し、それらの場所から購入者が自宅等に持ち帰るという配送形態が広がっている。配送商品には荷重の大きい物もあり、しかも最終目的場所までの持ち運びの便も考慮すると、包装箱に取っ手が設けられて片手で運べるものが望まれる。このような手持ちで運ぶための包装箱としては、直方体形状で、手で持ち運びをする際に包装箱の一部を引き起こして取っ手とできるものが開発されている(例えば下記特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の包装箱は、角筒を形成する周壁板と、角筒の開口部を閉じる側板フラップとを有している。更に、同包装箱は、周壁板上にスリットを2本形成し、スリット間を引き上げて取っ手とする構成になっている。2本のスリットは、周壁板の長手方向の両端に亘って形成され、取っ手の中央部が十分に引き上げられるように、側板フラップにある程度深く形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3913789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の包装箱は、取っ手を持って包装箱を持った際に、取っ手の端部と連続している側板フラップに大きな荷重がかかるため、側板フラップが持ち上がって開いてしまわないように、側板フラップ同士を強固に接着して閉じる必要があった。しかし、このような包装箱は、製函時に接着材を用いなければならないため原材料費及び作業工程が増えるという問題があった。また、上記のような包装箱は、通常、収容する物品を包みながら製函する、いわゆるラップアラウンド方式で用いられるが、製函設備が大型となる上、膨大なコストがかかるため、小ロット品などには不向きであった。
そこで、本発明は、接着剤の使用を回避又は低減することができる持ち運び用包装箱のブランクシート及び製函前ボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートは、複数の周壁板を組み立てて形成される筒体と、この筒体の開口部を塞ぐ側板フラップとを備え、前記複数の周壁板の一つを構成する第1周壁板から、この第1周壁板の一辺において折り曲げ線を介して設けられた第1フラップまで延びる2本のスリットが形成され、前記第1フラップは、差し込み部を有し、前記差し込み部は、前記第1フラップと共に前記開口部を塞ぐ他の側板フラップの基端辺上に形成された挿入部又は前記他の側板フラップの平板面上に形成された挿入部から差し込まれて固定される。
この構成によれば、差し込み部が挿入部内に堅固に差し込まれることによって、取っ手に荷重がかかっても第1フラップが開口することが防止される。
【0007】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記差し込み部は、前記第1フラップの前記一辺に交差する辺上に設けられ、折り曲げ時に前記交差する辺が重なる他の側板フラップの基端辺上に形成された挿入部に差し込まれて固定されてもよい。
この構成によれば、差し込み部が他の周壁板の内面に沿って差し込まれることによって、取っ手に荷重がかかっても第1フラップが開口することが防止される。
【0008】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記第1フラップは、前記開口部の全体を覆う蓋部材を構成し、前記差し込み部は、前記一辺に対して平行に延びる前記第1フラップの先端辺上に設けられ、折り曲げ時に前記先端辺が重なる他の側板フラップの基端辺上に設けられた挿入部に差し込まれて固定されてもよい。
この構成によれば、差し込み部が第1周壁板に対向する他の周壁板側に回り込んで差し込まれることによって、取っ手に荷重がかかっても第1フラップが開口することが防止される。
【0009】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記2本のスリットの間には、これら2本のスリットの両端を超えて延在するように補強部材が貼り付けられていてもよい。
この構成によれば、取っ手の剛性が強化される。
【0010】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記補強部材は、合成樹脂製のテープであってもよい。
この構成によれば、取っ手の剛性が強化される。
【0011】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記筒体の開口部を閉じる前記第1フラップ以外の側板フラップは、開口部を閉じる際に互いに重なり合わないように形成されていてもよい。
この構成によれば、筒体の開口部を閉じる側板フラップが重なり合って浮き上がろうとし、開口部を開けようとすることを防止することができる。
【0012】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの製函時に前記第1周壁板の内面に貼り合わせることで前記第1周壁板と隣り合う周壁板とを連結させる接合板が形成され、前記接合板は、前記第1周壁板とこの第1周壁板と隣り合う周壁板とを連結する基端面部と、前記基端面部に連続し、前記2本のスリットを前記第1周壁板の内面から覆う先端面部とを有し、前記先端面部は、前記第1周壁板に重ねられた際に前記第1フラップ側で前記2本のスリットに直交する係止辺を有していてもよい。
この構成によれば、取っ手の引き上げ時に、取っ手が包装箱内に入り過ぎるのを抑えることができる。
【0013】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記接合板は、前記第1周壁板の内面に貼り合わされた際に、前記2本のスリットの第1フラップまで延びた部分を覆い得るカバー片を有していてもよい。
この構成によれば、製函時に取っ手を持ち上げた際にできる隙間をカバー片が覆うことができる。
【0014】
本発明の持ち運び用製函前ボックスは、前記いずれかのブランクシートを用いて形成されている。
この構成によれば、上記いずれかの作用及び機能を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシート及び製函前ボックスは、接着剤の使用を回避又は低減することができるため、製造又は製函をより容易化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を開口して示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るブランクシートの展開図である。
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱を開口部側から見た側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る製函前ボックスを示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る包装箱の取っ手を引き上げた状態示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係るブランクシートの他の例を示す展開図である。
図7】本発明の一実施形態に係る包装箱の他の例を開口部側から見た側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るブランクシートの他の例を示す展開図である。
図9】本発明の一実施形態に係る包装箱の他の例を開口部側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の包装箱の各実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。本実施形態において、各部を側辺等と称するが、これらは各図に示す向きで各部を見た場合又は取っ手の形成面を上として包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものであり、必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態の持ち運び用包装箱1は、複数の周壁板2,3,4,5を組み立てて形成される筒体6と、筒体6の両端の開口部7を塞ぐ第1フラップ~第4フラップ(側板フラップ)8~11を備えている。
【0019】
図2は、包装箱1を形成するブランクシート1aを、製函時に表面(外)側を向く面から視た図である。
図2に示すように、複数の周壁板は、第1周壁板2、第2周壁板3、第3周壁板4及び第4周壁板5を備えている。第1周壁板2、第2周壁板3、第3周壁板4及び第4周壁板5は、この順で、それぞれの間に延びる折り曲げ線6aを介して一方向に連接している。
【0020】
第1周壁板2及び第3周壁板4は、略同寸法の矩形に形成されている。第2周壁板3及び第4周壁板5は、略同寸法の矩形に形成されている。
【0021】
第4周壁板5には、製函時に折り曲げられて第1周壁板2の内面に重ねられる接合板15が連接している。
【0022】
第1周壁板2の側辺(基端辺)2b,2cには、略矩形の第1フラップ8がそれぞれ連接している。
第1フラップ8は、図1に示す筒体6の開口部7の全体を覆う蓋部材を構成している。
第1フラップ8と第1周壁板2との境界となっている側辺2bに対向する第1フラップ8の先端縁8tから、差し込み部16が突出している。
【0023】
差し込み部16は、先端辺8tからほぼ垂直に延びる基端部16aと、基端部16aの幅方向両側に張り出した後、先端に向かって滑らかにすぼんだ概略5角形ないし3角形の進入部16bとを有している。
第1フラップ8の先端辺8tは、差し込み部16の両脇においてごくわずかにくぼんだ切り欠き17を有している。
【0024】
第1フラップ8は、破断開口部18を有している。
破断開口部18は、差し込み部16の両脇の切り欠き17,17を間に挟む2箇所から側辺2bに向かってすぼんで延び、差し込み部16の基端部16a及び切り欠き17,17をほぼ台形に取り囲んで破断可能とするミシン目18aに囲まれている。
【0025】
ミシン目18a上の側辺2b寄りの互いに離れた2点、すなわち本実施形態ではミシン目18aの水平部18bの両端近傍の2点からは、水平部18bに垂直なスリット19a,19aが延びている。スリット19a,19aの先端同士の間には折り曲げ線19bが形成されている。ミシン目18aの水平部18bとスリット19aと折り曲げ線19bとの間に囲まれた部分は、破断開口部18を除去する際のきっかけとなる開口窓19を構成している。
【0026】
第1周壁板2の側辺2cには、破断開口部18及び開口窓19を除いて側辺2b側と同様の第1フラップ8が連接している。
第1フラップ8,8間には、第1周壁板2を経由して延びるスリットSが2本形成されている。2本のスリットS,Sの間は、取っ手20を構成している。
【0027】
2本のスリットS,Sは、側辺2b側の第1フラップ8上で互いに平行に延び、側辺2b上で互いにわずかに近接する方向に延びている。2本のスリットS,Sは、近接する方向に延びた分、第1フラップ8における幅よりも小さい幅寸法で側辺2cに向かって一定寸法互いに平行に延び、その後側辺2bと側辺2cの間のほぼ中央で最も幅狭になるように互いに反る緩やかな湾曲形状で延びている。
【0028】
すなわち、2本のスリットS,Sは、第1フラップ8で第1周壁板2における形状よりも幅方向に張り出した構成となっている。第1フラップ8において、第1周壁板2の幅寸法よりも張り出した部分は、張り出し部25を構成している。
【0029】
第1周壁板2において湾曲した2本のスリットS,Sは、側辺2cの近傍で再び互いに平行に延び、側辺2c上でわずかに離間する方向に延びた後、側辺2cに設けられた第1フラップ8において第1周壁板2での幅よりも大きい幅寸法で互いに平行に延びている。
スリットS,Sの先端は、第1フラップ8,8のそれぞれにおいて、互いに反る方向に湾曲する円弧形状に形成されている。これによりスリットS,S間の端部は、その先端において滑らかに拡開している。
【0030】
2本のスリットS,Sにはそれぞれ、数カ所において容易に破断可能な繋ぎ点pが設けられている。なお、繋ぎ点pは、必ずしもスリットS上に設けられていなくてもよい。
2本のスリットS,Sの延在方向のほぼ中央、すなわち最も幅狭になった部分の外側には、2本のスリットS,S間を取っ手20として引き上げる際のきっかけとなる開口孔21が形成されている。
【0031】
取っ手20には、その延在方向のほぼ中央に、延在方向にほぼ直交する方向に延びる折り曲げ線22が、1以上(本実施形態では4本)形成されている。この折り曲げ線22により、2本のスリットS,S間の取っ手20を引き上げた際にほぼ円弧状に湾曲しやすくなっている。
第1フラップ8に形成された2本のスリットS,Sの先端同士の間には、それぞれ折り曲げ線23が形成されている。
【0032】
第1フラップ8,8及びこれらの間の第1周壁板2は、破断開口部18及び開口窓19を除いて、側辺2b及び側辺2c間のほぼ中央の線で見て略線対称に形成されている。破断開口部18及び開口窓19は、側辺2b,2cの双方の第1フラップ8,8に形成されていてもよいが、本実施形態では一方の第1フラップ8にのみ形成されている。
【0033】
第2周壁板3の側辺(基端辺)3b,3cには、第1フラップ8よりも延出寸法が短い略台形の第2フラップ9,9が連接している。
第2フラップ9は、先端辺9tの第1フラップ8側にほぼ90°の角部Kを有している。第2フラップ9の先端辺9tの第3フラップ10側の端からは、第2周壁板3の角部に向かって傾斜辺9aが延びている。第2フラップの先端辺9t及び傾斜辺9aは、ほぼ135°の角部を形成している。
【0034】
傾斜辺9aと側辺3bとは、45°の角部を成している。側辺3bからの第2フラップ9の延出寸法は、図3に示すように、製函時に第1フラップ8に形成された張り出し部25に重ならないように設定されている。
図2に示すように、第2周壁板3の側辺3cに設けられた第2フラップ9は、側辺3bに設けられた第2フラップ9と線対称となっている。
【0035】
第3周壁板4の側辺4b,4cには、2つの傾斜辺10a,10aを有する略台形の第3フラップ10が設けられている。両傾斜辺10aと側辺4b,4cとは、45°を成している。
側辺4b側の第3フラップ10の先端辺10tのほぼ中央には、製函時に第1フラップ8の開口窓19との重なりを回避する切り欠き10kが形成されている。
【0036】
側辺4b,4cのほぼ中央には、差し込み部16を挿入させる挿入部26がスリットにより形成されている。
挿入部26を形成しているスリットは、両端部26eが略側辺4b,4c上に形成され、両端部26eの内側が略ブランクシートの厚さ分第3フラップ10側に折れ曲がった上で、側辺4b,4cに平行に形成されている。両端部26e,26e間の寸法は、差し込み部16の基端部16aとほぼ同じ幅寸法に形成され、両端部26e,26eを含めた全体が進入部16bの挿入を許す寸法に形成されている。
【0037】
これにより、図3に示すように、第3フラップ10を側辺4b(4c)において折り曲げた際に、進入部16bの先端を容易に挿入させるごく細い長孔26hが形成される。長孔26hの両脇の端部26eは、スリットが形成されているだけの壁となっており、より強い力で進入部16bを押し込むことで進入部16bの全体の挿入を許し、その後は進入部16bの幅方向両端の容易な抜け出しを防止する構成となっている。
【0038】
図2に示すように、第3周壁板4の側辺4cに設けられた第3フラップ10は、切り欠き10kの部分を除いて、側辺4bに設けられた第3フラップ10と線対称となっている。
【0039】
第4周壁板5の側辺5b,5cには、第2フラップ9,9と対称形状の第4フラップ11,11が設けられている。
【0040】
第3周壁板4が連接した折り曲げ線6aに平行な第4周壁板5の折り曲げ線6aには、第1周壁板2と第4周壁板5とを連結させて図1に示す筒体6とするための接合板15が連接している。
接合板15は、第1周壁板2の側辺2b,2c間の寸法よりも小さい幅寸法で形成されている。
【0041】
接合板15は、折り曲げ線6aと間隔を空けて平行に延びる仮想中間線Lに向かって徐々に幅が狭くなった概略台形の基端面部30と、仮想中間線L2において基端面部30に連続する略矩形の先端面部31とを有している。
【0042】
基端面部30の側辺30b,30cは、互いに近接する方向に緩やかに傾斜している。
先端面部31の側辺(係止辺)31b,31cは、基端面部30の側辺30b,30cの先端から第4周壁板5の側辺5b,5cに平行に延びている。側辺31b,31cと第4周壁板5の側辺5b,5cの延長線との間には、数mm程度の隙間が形成されている。
【0043】
以上の構成で、接合板15は、第1周壁板2の内面に重ねられるように設けられている。
図4に示すように、接合板15が第1周壁板2に重ねられた際、先端面部31は、張り出し部25と数mm程度の隙間を空けて取っ手20の略全体を覆う位置に設けられている。
【0044】
次に、ブランクシート1aを折り畳んで製函前ボックス1bにする方法について説明する。
まず、図2に示す第3周壁板4と第4周壁板5との間の折り曲げ線6aを折り曲げてそれぞれの内面どうしを重ね合わせる。
【0045】
第1周壁板2と第2周壁板3との間の折り曲げ線6aを折り曲げて、取っ手20及び開口孔21と重なる部分を避けて接着剤を塗布した接合板15に、第1周壁板2の内面を重ね合わせる。
以上により、図4に示すように、製函前の偏平に折り畳まれた製函前ボックス1bが完成する。
【0046】
製函前ボックス1bを立体の包装箱1にするには、図4に示す製函前ボックス1bの折り曲げ箇所となっている折り曲げ線6aを折り曲げ又は90°に起こして立体にする。
その後、側辺3c,4c,5c側の第2~第4フラップ9~11を閉じた後、第1フラップ8を閉じて第3フラップ10の側辺4cに沿って形成された挿入部26に差し込み部16を挿入する。
【0047】
以上により、図1に示すように、開口部7が開口した包装箱1になる。
その後、図3に示すように、側辺2b~5b側の開口部7から、適宜物品を収容し、第1~第4フラップ8~11を閉じる。
【0048】
包装箱1を手持ちで運ぶ際には、開口孔21に指を掛けて取っ手20を引き上げる。
そうすると、図5に示すように、取っ手20の第1フラップ8,8側の端部が包装箱1の内側に引きこまれる。この際、取っ手20及び張り出し角部25は、接合板15の側辺31b,31cに係止するため、取っ手20に適度なたわみを持たせて固定できる。
【0049】
包装箱1から物を取り出す場合には、差し込み部16を挿入部26から引き出して第1フラップ8を開口する。挿入部26は、差し込み部16が容易に抜けないように、細い長孔26hの両端の壁部で差し込み部16の両端を係止できる構成となっているため、差し込み部16が引き出し難い場合には、開口窓19を指で押して破断開口部18に指をかけ、破断開口部18をミシン目に沿って引き裂くことで第1フラップ8を容易に開口することもできる。
【0050】
以上のようにして、閉じられた第1~第4フラップ8~11は、第2~第4フラップ9~11が互いに重ならないように形成されている。したがって、第1フラップ8を閉じた際に、第2~第4フラップ9~11が浮き上がることを抑制して、閉口をより容易にすることができる。
【0051】
また、第1フラップ8の差し込み部16が、取っ手20が形成された第1周壁板2の反対側の第3周壁板4の内面に回り込んで、第3周壁板4の内面に沿って差し込まれる。したがって、図5に示すように、取っ手20を引き上げることで取っ手20の端部が形成された第1フラップ8が強く引っ張られても、これによって第1フラップ8が開いてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0052】
また、上記構成により包装箱1の両サイドの開口部7,7を閉じる構成としているため、包装箱1を閉じるために接着剤を使用することを回避でき、製造コストを下げると共に、包装箱1の封止の手間を省くことができるという効果を奏する。
【0053】
また、第1周壁板2の内面には、取っ手20を覆う接合板15が貼り合わされているため、取っ手20を引き上げた際に、取っ手20による開口をその内側から塞いで、塵埃類が入ることや中身が外から見えることを回避することができるという効果を奏する。
【0054】
また、接合板15の側辺31b,31cが、第1周壁板2の側辺2b,2cから数ミリ離れた位置にするように形成されているため、取っ手20を引き上げようとした際に、取っ手20の両端部の張り出し部25を包装箱1の内側に適度に食い込ませて係止させることとができるという効果を奏する。
【0055】
なお、上記実施形態では、本発明のブランクシート1a、製函前ボックス1b及び包装箱1の最も好ましい実施形態を示したが、本発明の態様は上記実施形態に記載したものに限定されない。
【0056】
例えば、図2に仮想線によって示すように、取っ手20の表面又は裏面には、2本のスリットの両端を超えて延在するように取っ手20の剛性を補強する補強部材40を貼り合わせていてもよい。補強部材40は、取っ手20を補強するものであればどのような材質であってもかまわないが、紙製、不織布製又は合成樹脂又はこれらの組み合わせによるテープ等を好適に用いることができる。
【0057】
また、差し込み部16は、第1フラップ8の先端辺8tに直交している側縁(交差する辺)8yの双方に設けられていてもよく、又は先端辺8t及び側縁8yの双方に設けられていてもよい。この場合、挿入部26は、第1フラップ8を閉じた際に差し込み部16に対応する第2フラップ9及び第4フラップ11の側辺3b,5b等に形成する。
このような構成によっても、取っ手20を引き上げて包装箱1を保持した場合に、取っ手20の端部を形成した第1フラップ8の開口を防止することができる。
【0058】
また、図6及び図7に示すように、第1フラップ8の端縁に形成された差し込み部16は、第3フラップ10の平板面上に形成された挿入部36に差し込まれ、係止する構成となっていてもよい。
【0059】
この場合、第1フラップ8及び第3フラップ10は、互いに少なくともその先端縁8t,10tを含む端部が重なり合う寸法で側辺2b,2c及び4b,4cから延出させている。
また、差し込み部16は、第1フラップ8の先端縁8tに形成されている。
差し込み部16は、前記した実施形態と同様に形成されている。
【0060】
挿入部36は、第1フラップ8及び第3フラップ10を閉じた際に差し込み部16を挿入させ、その基端部16aが挿入部36に達する位置に形成されている。
挿入部36は、両端のスリット36e,36eと、両端36e,36eの間に差し込み部16の挿入を容易にする長孔36hとによって形成されている。
【0061】
このような構成によっても、図7に示すように、差し込み部16を挿入部36に挿入した際に差し込み部16の進入部16bの左右の張り出し部分を挿入部36のスリット36e,36e内にしっかりと係止させて、第1フラップ8が開いてしまうのを防止することができる。
【0062】
また、取っ手20の張り出し部25はある事が好ましいが、必須ではない。また、接合板15の先端面部31があることが好ましいが、必須ではない。
また側板フラップ9,10は、互いに重ならければ角部の角度はどのように形成されていてもよい。
また、本発明のブランクシート、製函前ボックス及び包装箱は、直方体以外の立体形状とした場合にも適用することができる。
【0063】
また、図8及び図9に示すように、接合板15は、第1周壁板2の内面に貼り合わされた際に、2本のスリットS,Sの第1フラップ8,8まで延びた部分を、張り出し部25を含んで完全に覆い得るカバー片50,50を有していてもよい。
【0064】
カバー片50,50は、接合板15の先端面部31の互いに平行に延びた側辺(係止辺)31b,31cに連設した板部である。
カバー片50,50の形状は、張り出し部25を完全に覆い得る大きさであれば特に限定されないが、本変例では略台形である。カバー片50,50のより長く延びた台形の下辺50bが側辺31b,31cと重なっている。側辺31b,31cにおいてカバー片50,50は折り曲げ可能になっている。下辺50bは、張り出し部25を出来るだけ大きく覆うように形成されている。
この形状を採用することにより、第2フラップ9、第4フラップ11及び第1フラップ8を重ならせて開口部の角部から隙間なく確実に閉じるとともに、取っ手20の引き上げ時に生じる隙間をカバー片50で内部から覆うことができる。
【0065】
第2フラップ9,9及び第4フラップ11,11は、製函時にカバー片50,50と干渉し合わないようにカバー片50,50を避けた形状に形成され、第3フラップ10,10も、カバー片50,50と干渉し合わないように、製函時に開口部の内側に向かって折り曲げられたカバー片50,50の先端辺(すなわち台形の上辺)よりも下方までを覆う矩形に形成されている。
【0066】
以上のように、接合板15にカバー片50,50を設けることによって、図8図9の包装箱1及びそのブランクシート1aは、取っ手20が持ち上げられて、張り出し部25が内側に入り込んだ際に生じる隙間を内側から覆って、内部に外気ないし埃などが入り難くすることができるという効果を奏する。
また、図8図9の包装箱1及びそのブランクシート1aは、カバー片50,50により内部をほぼ完全に見えないようにすることができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0067】
1 包装箱
1a ブランクシート
1b 製函前ボックス
2 第1周壁板
6 筒体
6a 折り曲げ線
2b,3b,4b,5b 側辺
2c,3c,4c,5c 側辺
7 開口部
8 第1フラップ(側板)
9 第2フラップ(他の側板フラップ)
10 第3フラップ(他の側板フラップ)
11 第4フラップ(他の側板フラップ)
16 差し込み部
20 取っ手
25 張り出し部
26 挿入部
50 カバー片
S スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9