(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070238
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】集積フォトニクスエアデータシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20220502BHJP
G01S 17/933 20200101ALI20220502BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/933
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021174557
(22)【出願日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】17/080,102
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ウェイド・プケット
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ティン
(72)【発明者】
【氏名】チャド・ファーティグ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA09
5J084AB08
5J084AC04
5J084BA03
5J084BB18
5J084BB20
5J084BB31
5J084BB34
5J084BB40
5J084CA33
5J084EA31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】集積フォトニクスエアデータシステムを提供する。
【解決手段】レーザー源104からの光ビームは、任意の所与の時間に複数の放射格子カプラのうちの1つに光ビームを伝送するように、動作する複数の調整可能な光学フィルタ106に送られる。調整可能な光学フィルタは、光ビームが放射格子カプラの各々から異なる時間に対象領域内に放射されるように構成されている。受動光学フィルタアレイは、放射された光ビームから散乱光を受信するように構成されている。受動光学フィルタアレイは、互いに光学的に連通しており、周波数選択のために動作する複数の光学ノッチフィルタと、各々が光学ノッチフィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された複数の光学検出器108と、を備える。受動光学フィルタアレイは、受信された散乱光の周波数スペクトル分解を複数の信号に実行するように動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積フォトニクスチップであって、
フォトニクス子基材と、
前記フォトニクス基材に動作可能に結合されたレーザー源であって、光ビームを放射するように動作する、前記レーザー源と、
前記フォトニクス基材上の複数の調整可能な光学フィルタであって、前記調整可能な光学フィルタが、互いに、および前記レーザー源と光学的に連通している、光学フィルタと、
前記フォトニクス基材上の複数の放射格子カプラで、各々が前記調整可能な光学フィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された、前記放射格子カプラであって、各放射格子カプラが、前記それぞれの調整可能な光学フィルタの前記出力から受信された前記光ビームを異なる方向における対象領域内に放射するように構成されている、放射格子カプラと、
前記フォトニクス基材上の少なくとも1つの受信格子カプラであって、前記対象領域から散乱光を受信するように構成された、少なくとも1つの受信格子カプラと、
前記フォトニクス基板上で、前記受信格子カプラと光学的に連通している、受動光学フィルタアレイであって、前記受信格子カプラからの前記散乱光を受信するように構成された、前記受動光学フィルタアレイと、を備え、前記受動光学フィルタアレイが、周波数選択のために動作する複数の光学ノッチフィルタと、各々が前記光学ノッチフィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された複数の光学的検出器とを備え、前記光学ノッチフィルタの各々が、対応する波長範囲で前記受信された散乱光を前記光学検出器のそれぞれの1つに通過させるように構成されており、各対応する波長範囲が、別個であり、前記受動光学フィルタアレイが、前記受信された散乱光の複数の信号への周波数スペクトル分解を実行するように動作し、
前記レーザー源から放射された前記光ビームが、前記光ビームが前記放射格子カプラの各々から異なる時間で前記対象領域内に放射されるように、任意の所与の時間で前記放射格子カプラのうちの1つへの前記光ビームの伝送を可能にするように動作する、1つ以上の前記調整可能な光学フィルタに送られる、集積フォトニクスチップ。
【請求項2】
前記複数の調整可能な光学フィルタに結合された複数のマイクロヒータを更に備え、前記複数のマイクロヒータが、それぞれの調整可能な光学フィルタの共振周波数が前記レーザー源の共振周波数と一致するように、前記複数の調整可能な光学フィルタを加熱するように構成されている、請求項1に記載の集積フォトニクスチップ。
【請求項3】
前記複数のマイクロヒータに結合されたコントローラを更に備え、前記コントローラが、1つのマイクロヒータのみが一定の期間に活動的にさせられるように、各マイクロヒータを選択的に活動的に、または非活動的にさせるように構成されている、請求項2に記載の集積フォトニクスチップ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光検出と測距(ライダー(lidar))システムなどの光学検出システムは、周囲環境におけるエアデータの分析に有効である。多くの場合、これらのライダーシステムは、航空機などの乗り物に実装され、乗り物が動いて進む際に乗り物の操作者を支援することができる様々なエアデータパラメータに、エアデータ測定値を変換するのに有用である。
【0002】
ライダーシステムは、様々な対象領域における光ビームを乗り物から外向きに放射することによって動作する。放射された光ビームが環境内の異常と衝突すると、光は、ミー(Mie)およびレイリー(Raleigh)散乱の原理と一貫して散乱されている。次いで、後方散乱光は、ライダーシステムによって検出されることができ、周囲環境についての関連情報を決定するために、放射光と後方散乱光との差(例えば、周波数シフト)は、分析される。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、集積フォトニクスチップが提供される。集積フォトニクスチップは、フォトニクス基材と、フォトニクス基材に動作可能に結合されたレーザー源とを備える。レーザー源は、光ビームを放射するように動作する。集積フォトニクスチップは、フォトニクス基材上に複数の調整可能な光学フィルタを更に備え、このフォトニクス基材では、調整可能な光学フィルタが、互いに、およびにレーザー源と光学的に連通している。集積フォトニクスチップは、フォトニクス基材上に複数の放射格子カプラを更に備える。放射格子カプラは、各々が調整可能な光学フィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合される。各放射格子カプラは、それぞれの調整可能な光学フィルタの出力から受信された光ビームを、異なる方向に対象領域内に放射するように構成されている。集積フォトニクスチップは、フォトニクス基材上に少なくとも1つの受信格子カプラを更に備え、このフォトニクス基材では、受信格子カプラが、対象領域から散乱光を受信するように構成されている。集積フォトニクスチップは、フォトニクス基材上で、受信格子カプラと光学的に連通している、受動光学フィルタアレイを更に備える。受動光学フィルタアレイは、受信格子カプラから散乱光を受信するように構成されている。受動光学フィルタアレイは、周波数選択のために動作する複数の光学ノッチフィルタと、各々が光学ノッチフィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された複数の光学検出器と、を備える。光学ノッチフィルタの各々は、受信された散乱光を対応する波長範囲で光学検出器のそれぞれ1つに通過させるように構成され、この光学検出器では、各々の対応する波長範囲が、別個である。受動光学フィルタアレイは、受信された散乱光の周波数スペクトル分解を複数の信号に実行するように動作する。レーザー源から放射された光ビームは、光ビームが放射格子カプラの各々から異なる時間で対象領域内に放射されるように、任意の所与の時間で放射格子カプラのうちの1つへの光ビームの伝送を可能にするように動作する、1つ以上の調整可能な光学フィルタに送られる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の例示的な特徴、その性質、および様々な利点は、添付の図面および様々な実施形態の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。非限定的および非網羅的な実施形態は、添付の図面を参照して記載されており、同様のラベルまたは参照番号が、特に指定されない限り、様々な図面全体にわたって同様の部分を指す。図面中の要素のサイズおよび相対位置は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、様々な要素の形状は、図面の可読性を改善するように選択、拡大、および配置される。描かれている要素の特定の形状は、図面における認識を容易にするために選択されている。1つ以上の実施形態は、以下における添付の図面を参照して、記載されている。
【0005】
【
図1】1つ以上の実施形態に記載されるような、放射された信号に基づいてエアデータパラメータを測定するように構成された光学エアデータシステムの概略斜視図である。
【0006】
【
図2】1つ以上の実施形態に記載されるような、複数の調整可能な光学フィルタおよび光学フィルタアレイを含む光学エアデータシステムの概略上面図である。
【0007】
【
図3】1つ以上の実施形態に記載されるような、3つの調整可能な光学フィルタの時間当たりの電圧出力を示す図である。
【0008】
【
図4】1つ以上の実施形態に記載されるような、受信された後方散乱信号の周波数当たりの信号強度を示すグラフである。
【0009】
【
図5A】1つ以上の実施形態に記載されるような、光学ノッチフィルタの概略斜視図である。
【0010】
【
図5B】
図5Aの光学ノッチフィルタの一部分の拡大上面図である。
【0011】
【
図5C】
図5Aの光学ノッチフィルタによって出力された信号の波長当たりの正規化電力を示すグラフである。
【0012】
【
図6A】例示的な実施形態による、エアデータシステムの一部として実装されることができる、格子カプラの断面側面図である。
【0013】
【
図6B】
図6Aの格子カプラのシミュレートされた性能のモデル化されたグラフ表示である。
【0014】
【
図7】1つ以上の実施形態に記載されるような、放射された信号に基づいてエアデータパラメータを決定するための方法を示すフローチャートである。
【0015】
慣例に従って、記載された様々な特徴は一定の縮尺で描かれているのではなく、例示的な実施形態に関連する特定の特徴を強調するように描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、図面には特定の例示的な実施形態を例として示す。しかしながら、他の実施形態を利用してもよく、論理的、機械的、および電気的な変更をしてもよいことを理解すべきである。更に、図面および明細書に提示された方法は、個々の工程が実行され得る順序を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0017】
伝統的なエアデータシステムは、これらのシステムの電力、サイズ、および重量衝撃を不必要に増加させることができる、煩雑な構成に悩まされる。例えば、典型的な光検出と測距(ライダー)システムでは、異なる方向の少なくとも3つのレーザービームは、エアデータ情報を抽出するために、対象領域内に放射されている。複数のレーザー溶液が複数の光ビームを放射する所望の結果を達成する一方で、それはまた、レーザー活性を維持するために著しい電力消費を要求し得る。追加的に、多くの伝統的なライダーシステムは、乗り物全体に広がり得る、大きな空間寸法を有する個別の光学構成要素を採用する。し、これはっていてもよい。このようなシステムが維持するために著しいコスト負担を必要とするだけでなく、都市型航空交通(UAM)の乗り物などのより小さいまたはより高感度の乗り物上で実装することが非現実的または不可能であり得る。
【0018】
本明細書に記載される実施形態は、乗り物についてのエアデータパラメータを決定するために、改善された光学エアデータシステムを介してこれらの問題に対処する。マイクロチップ上に実装されることができるエアデータシステムは、伝統的なライダーベースのシステムと比較したときに、サイズ、重量、電力、およびコストを低減する量に達することができる。追加的に、記載されたエアデータシステムの小型化は、大型および小型の乗り物エイリアス、例えば、大型の商業用航空機、ならびにより小型の航空機(例えば、UAM乗り物)の実装を可能にする。
【0019】
光学エアデータシステムの例示的な実施形態は、複数の調整可能な光学フィルタに時分割多重化信号(例えば、光ビーム)を伝送するように構成されたレーザーなどの発光システムを含む。調整可能な光学フィルタは、光ビームが一度に調整可能な光学フィルタのみを通過するように構成されている。これは、調整可能な光学フィルタの共振周波数を、指定された時間間隔にわたってレーザーの周波数と一致するように方向付ける、調整可能な光学フィルタに結合されたスイッチを介して達成され得る。単一のレーザーから光ビームを時間多重することは、エアデータシステムを利用することの電力およびコスト負担の低減を可能にする。他の実施形態では、発光システムは、光検出と測距(ライダー)システムを備える。
【0020】
更に、特定の実施形態は、自由空間に伝送される光ビームから受信された後方散乱光を抽出および処理するために、複数のノッチフィルタを備える受動光学フィルタアレイを利用する。ノッチフィルタの各々は、受信された光スペクトルの一部分を通過するように構成されている。通過しないスペクトル部分は、それらがそれぞれのスペクトル部分を通過するように構成されているノッチフィルタに到達するまで、光学フィルタアレイを通してカスケードされる。したがって、光学フィルタアレイは、受信された光スペクトルを周波数または波長に基づいて組織化スペクトル部分に分解し、次いで、受信された光スペクトルからのエアデータパラメータを決定するために、処理システムに送信されることができる。光学フィルタアレイの使用は、特に、マイクロライダー集積フォトニクスの状況では、伝統的なエアデータシステムよりも精度およびニュアンスを増加させたエアデータシステムを可能にする。
【0021】
図を参照すると、
図1は、上で記載されたような光学エアデータシステム100の実施形態を示す。エアデータシステム100は、シリコンまたは類似の材料からなる基材102上に実装される。基材102は、集積フォトニクスチップなどのチップを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、チップは、およそ1mm×1mmのサイズを有するマイクロチップであることができる。基材102は、周波数で連続波信号を複数の調整可能な光学フィルタ106に伝送するように構成することができる、レーザー源104などの光学信号発生器を更に含む。3つの調整可能な光学フィルタ106が
図1に示されている一方、調整可能な光学フィルタの数は、エアデータシステム100によって必要とされる任意の数に拡張されることができる。
図1(および
図2)に記載されるシステム構成要素は、自由空間光学素子によって、または光導波路(例えば、光ファイバ導波路)によって結合されることができる。
【0022】
各調整可能な光学フィルタ106は、レーザー源104からの光を受信するように構成されており、しかしながら、レーザー光が指定された光学フィルタ106を通過するかどうかは、調整可能な光学フィルタがどのように調整されるかに依存する。調整可能な光学フィルタ106が、レーザー源104の周波数で光学信号のみを伝送するように調整されるとき、次いで、レーザー源104からの光は、調整可能な光学フィルタ106を通過することができ、続いて、別個のベクトル内で自由空間に放射される。1つの調整可能な光学フィルタ106のみは、所与の時間にレーザー源104の共振周波数に調整されるべきである。このようにして、レーザー源104からの光は、一度に1つの正確に調整された調整可能な光学フィルタ106のみを通過する。以前の期間に非常に近い後の時間期間において、別の調整可能な光学フィルタは、レーザー源104の周波数に調整され、従前の調整可能な光学フィルタは、レーザー源104からの光がその調整可能な光学フィルタを通過しなくなるように、異なる周波数に調整される。
【0023】
いくつかの実施形態では、および
図2~3に関して更に詳細に記載されるように、調整可能な光学フィルタは、デフォルトの(非活動的な)状態で、各フィルタがレーザー源104の周波数とは異なる周波数で光を通過するように調整される。次いで、調整可能な光学フィルタは、フィルタの周波数をレーザー源104の周波数と一致するように調整することによって活動的にさせられることができる。例えば、各調整可能な光学フィルタは、各調整可能な光学フィルタの調整を制御するために、コントローラまたはマイクロコントローラ(
図1には図示せず)によって方向付けられたスイッチに結合されることができる。コントローラは、コマンド信号を指定された調整可能な光学フィルタに送信して非活動的状態に設定するように構成することができ、活動的にさせられた調整可能な光学フィルタをデフォルト(非活動的にさせられた)状態に設定するように更に方向付けることができる。
【0024】
ライダーベースの原理と一貫して、調整可能な光学フィルタ106を通過する信号は、自由空間での別個のベクトル内に放射されることができる。信号が(例えば、ミー(Mie)またはレイリー(Raleigh)散乱から)環境での物体に衝突するとき、信号の後方散乱部分は、反射され、検出器108によって受信される。次いで、検出器108は、取得されたデータ、例えば、エア速度、温度、およびエア密度から様々なエアデータパラメータを決定するために、後方散乱部分を処理システムに送信することができる。
【0025】
図2は、エアデータパラメータを決定するために使用される光学エアデータシステム200を示す。エアデータシステム200は、本明細書で更に記載されるいくつかの相違点を有するエアデータシステム100と同様に機能する。
図1と同様に、エアデータシステム200は、シリコンベースのマイクロチップなどの基材202上に実装されることができる。
【0026】
エアデータシステム200では、レーザー源204は、周波数で光学信号を調整可能な光学フィルタ206a、206b、206cのセットに伝送する。調整可能な光学フィルタ206a~206cのうちの1つは、レーザー源204の周波数で信号を通過するように構成されている。いくつかの実施形態では、調整可能な光学フィルタ206a~206cは、それぞれのヒータ207a~207c(例えば、マイクロヒータ)に結合されている。マイクロヒータがオンにされるとき、それは、調整可能な光学フィルタを加熱し、その後、光が調整可能な光学フィルタを通過することができる周波数を変化させる。したがって、活動的にさせられとき、調整可能な光学フィルタは、レーザー源204によって伝送された光ビームを通過することができる。例として、調整可能な光学フィルタ206aがレーザー源204の周波数に一致するように加熱されると仮定する。その場合、レーザー源204からの光は、光が自由空間内に放射されることができる放射格子カプラ208aに調整可能な光学フィルタ206aを通過する。後の期間において、調整可能な光学フィルタ206aは、もはや加熱されず、したがって、レーザー源204からの光は、もはや調整可能な光学フィルタ206aを通過しなくなる。代わりに、調整可能な光学フィルタ206bは、加熱され、その場合、光は、調整可能な光学フィルタ206bへと伝搬し、そこで放射格子カプラ208bに通過する。同様に、調整可能な光学フィルタ206aおよび206bがオフにされると、光は、調整可能な光学フィルタ206cを放射格子カプラ208cに伝搬することができる。活動的にすることは、それぞれのヒータに結合されたコントローラまたはプロセッサを介して達成されることができる。
【0027】
後方散乱光は、周波数分解を実行するために、後方散乱信号を光学フィルタアレイ220に送信する、格子カプラ210から受信される。基準信号は、レーザー源204によって光学フィルタアレイ220に更に提供され得る。光学フィルタアレイ220は、各々がそれぞれの検出器214に結合された複数の光学ノッチフィルタ212を含む。各光学ノッチフィルタ212は、特定の波長または周波数間隔に対応する後方散乱信号の一部分を通過するように構成されている。いくつかの実施形態では、各光学ノッチフィルタ212は、後方散乱信号のスペクトルが、更なる処理のためにそれぞれの検出器214に送信されるそれぞれの部分に分解されることを可能にする、スペクトルの異なる部分を通過する。
【0028】
例えば、受信格子カプラ210は、300~800Hzの周波数スペクトルを有する後方散乱信号を受信すると仮定する。光学ノッチフィルタ212は、300~320Hzの周波数スペクトルの一部分を通過するように構成されることができ、一方第2の光学ノッチフィルタは、320Hz~340Hzの部分を通過するように構成されることができる。このように、後方散乱信号スペクトルは、それぞれの部分が光学ノッチフィルタを通過してそれぞれの検出器214に通過するまで、異なる光学ノッチフィルタにカスケードされることができる。より多くのまたは少ない光学ノッチフィルタは、受信された後方散乱信号の受信格子カプラ210からの総周波数分解を補償するために、光学フィルタアレイ220に追加されることができる。加えて、各光学ノッチフィルタ212の周波数範囲が等しい分布であり得る一方(例えば、各光学ノッチフィルタ212は、50Hzの範囲で光を通過する)、周波数範囲はまた、光学ノッチフィルタ212が等しくない周波数範囲を有するように、修正されることができる。
【0029】
光学フィルタアレイ220は、複数の検出器214によって受信された信号が処理システム216に送信されるように、処理システム216に結合されている。例えば、各検出器214は、それぞれの光学ノッチフィルタ212から受信された光学信号を、処理システム216によって受信される対応する電気信号に変換するように構成されることができる。処理システム216は、プロセッサ218、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および/またはそれらの他の類似の変形例のうちの任意の1つまたは組み合わせを含み得る。処理システム216はまた、下に記載の方法に使用される様々なプロセスタスク、計算、および制御機能を実行するためのソフトウェアプログラム、ファームウェア、または他のコンピュータ可読命令を含む、またはそれらと共に機能し得る。これらの命令は、典型的には、コンピュータ可読命令またはデータ構造の格納のために使用される任意の格納媒体(または、コンピュータ可読媒体)上に、有形的に具現化されている。
【0030】
追加的に、処理システム216は、メモリ230などのメモリ回路を含み得、または結合され得る。メモリ230は、汎用もしくは専用コンピュータもしくはプロセッサ、または任意のプログラム可能な論理デバイスによってアクセスされることができる、任意の利用可能な格納媒体(または、コンピュータ可読媒体)を含むことができる。好適なコンピュータ可読媒体は、半導体、磁気、および/または光学媒体などの格納媒体またはメモリ媒体を含み得、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM、電気的消去可能プログラマブルROM、フラッシュメモリ、または他の格納媒体などの非一時的コンピュータ可読媒体内に命令を格納するとして具現化され得る。メモリ230はまた、取得されたデータを格納するための1つ以上のデータベースも含み得る。
【0031】
処理システム216が光学フィルタアレイ220から信号データを受信した後、処理システム216は、次いで、受信されたデータから様々なエアデータパラメータを決定することができる。いくつかの実施形態では、処理システム216は、飛行管理システムなどのエアデータ200に結合された他のシステムにエアデータパラメータを送信することができる。処理システム216はまた、エアデータパラメータを、例えば、コックピット表示などのユーザインターフェースに送信することができる。処理システム216は、任意選択的に、後の時点でアクセスされ得るメモリ230内に、エアデータパラメータを格納し得る。
【0032】
図3は、1時間当たり3つの調整可能な光学フィルタのセットの電圧出力のグラフ
図300を示す。例えば、フィルタ1は、調整可能な光学フィルタ206aに対応することができ、フィルタ2は、調整可能な光学フィルタ206bに対応することができ、フィルタ3は、同様に、調整可能な光学フィルタ206cに対応することができる。フィルタ1が活動的にさせられた(例えば、加熱される)とき、フィルタ1の電圧出力は、レーザー源204からの信号がフィルタ1を通過するにつれて、高状態に増加する。
図3に明確に示されるように、この同じ時間期間中に、フィルタ1が活動的にさせられたときにフィルタ2もフィルタ3も高電圧出力を有しない。第2の期間において、フィルタ1は、非活動的にさせられ、フィルタ2は、フィルタ2内の電圧出力が高状態に達するように活動的にさせられる。最後に、第3の期間において、フィルタ3は、活動的にさせられ、フィルタ1およびフィルタ2が非活動的のままである間、高状態に達する。プロセスは、記載された順序順で必要に応じて繰り返し得る。
【0033】
図4は、放射信号および受信信号の時間当たりの信号強度のグラフ400を示す。左ピーク402は、レーザーからの信号に対応し、一方、右ピークは、放射されたレーザー信号から受信された後方散乱信号である。ピーク404は、環境内の粒子とのミー(Mie)散乱に起因する、レーザーの共振周波数から後方散乱共振周波数への周波数シフトδfである。ピーク406は、環境内の粒子とのレイリー(Raleigh)散乱の結果として、レーザーの共振周波数からの周波数シフトδfに対応する。
図4に示すように、様々なエアデータパラメータは、圧力および温度測定などの後方散乱信号によって受信される周波数の分布から決定されることができる。
【0034】
図5A~5Cは、光学フィルタアレイ220で使用される光学ノッチフィルタ212として実装されることができる、例示的な光学ノッチフィルタ500の構造および機能を示す。
図5Aは、光学ノッチフィルタ500の構造の一表現を示す。
図5Bは、光学ノッチフィルタ500の一部分の拡大図を示す。最後に、
図5Cは、光学ノッチフィルタ500の出力の波長当たりの正規化電力を図示するグラフを示す。
【0035】
図5Aを参照すると、光学ノッチフィルタ500は、第1の導波路502および第2の導波路504を含む導波路構造を備える。入力ポート510は、第1の導波路502の第1の端部に位置付けられ、反射ポート520は、入力ポート510に隣接する第2の導波路504の第1の端部に位置付けられ、ドロップポート530は、第1の導波路502の反対側の第2の端部に位置付けられている。格子支援指向性カプラ540は、入力ポート510とドロップポート530との間の導波路構造の中央部分に位置付けられている。格子支援指向性カプラ540は、
図5Bに示されるように、第1および第2の導波路502、504の各々の上に周期的格子構造542を有する。
【0036】
光学ノッチフィルタ500は、光を格子支援指向性カプラ540に方向付ける入力ポート510内に注入された光を受信するように構成されている。周期的格子構造542の中心(
図5B)では、格子構造を形成するために採用される変調の位相におけるπ位相シフトは、光がπ位相シフトの周りを循環する状態で、共振波長で緊密に閉じ込められた光フィールド550を生成する。π位相シフトは、格子を画定する変調の位相の急激な変化である。換言すれば、π位相シフトは、導波路変調の周期的構造が、境界面の両側のπラジアンによって空間位相でシフトされるような、導波路変調の空間パターンの急激な変化である。
【0037】
図5Bに示されるように、信号の共振波長で緊密に閉じ込められた光フィールドを生成するπ位相シフトは、信号がドロップポート530に通過することを可能にする。全ての他の波長は、反射ポート520を通って出る。
【0038】
図5Cを参照すると、グラフに図示されるピークは、例示的な光学ノッチフィルタ500を通過する信号の一部分を表す。正規化電力は、次いで、信号スペクトルの周波数(および波長)が共振周波数から増加または減少するにつれて指数関数的に減衰する。
【0039】
本明細書に開示される実施形態で使用されることができる例示的な光学ノッチフィルタに関する更なる詳細は、その開示が参照により組み込まれる米国特許第10,788,340号に記載されている。
【0040】
図6Aは、従前に記載されたエアデータシステム200内の格子カプラとして利用されることができる、SiP格子カプラなどの格子カプラ600の断面側面図である。格子カプラ600は、より高い屈折率材料から構成される導波路層620の一部として形成される周期的格子構造610を含む。周期的格子構造610および導波路層620は、より低い屈折率材料から構成されるクラッディング層630に埋め込まれる。
【0041】
図6Aは、以下の式に基づく格子カプラ600の設計パラメータを図示する。
【数1】
式中、nは、クラッディング材料の屈折率であり、λ
0は、入力光の波長であり、n
effは、格子材料の有効屈折率であり、θは、回折光の角度であり、Λ
gは、格子構造の空間周期である。
図6Aに更に示すように、w
gは、単一の周期的格子構造の幅であり、s
gは、隣接する周期的格子構造間の空間であり、t
gは、各周期的格子構造の厚さである。周期的格子構造610は、入力面内光ビーム650を、回折光ビーム652として選択された角度で対象方向に優先的に回折するように形成されている。所与の波長に関して、この回折角は、格子カプラ600が位置付けられているチップの上方のほぼ180度の角度空間全体を覆うことができる。往復デバイスとして、格子カプラは、所与の対象角度から特定波長の光を追加的に受信することができる。
【0042】
したがって、いくつかの実施形態では、格子カプラ600は、導波路から面外への面内光を回折するために、または面内導波路に結合された面外光を受信するために、チップに組み込まれることができる。
【0043】
図6Bは、SiP格子カプラなどの格子カプラ600のシミュレートされた性能のモデル化されたグラフ表示である。
図6Bは、格子に沿って伝搬する入力光、ならびに著しく弱い回折された光フィールドを示す。回折された光フィールドは、伝搬フィールドに対して強くなり得、格子係数を増加させることによって、必要とされる格子サイズを小さくする。これは次に、格子のエッチング深さを増加させることによって行われ得る。
【0044】
図7は、エアデータパラメータを決定するための方法700のフローチャートである。方法700は、
図1~6に関して記載された技術を介して実装され得るが、他の技術を介しても実施され得る。フロー図のブロックは、説明を容易にするために概して順次的に配置されている。しかしながら、この構成は、単に例示的なものであり、本明細書に記載の方法(および図に示されているブロック)に関連する処理は、異なる順序で起こり得る(例えば、ブロックに関連する処理のうちの少なくとも一部は、並行方式および/またはイベント駆動方式で実行される)ことが理解されるべきである。
【0045】
方法700は、光信号を生成することによってブロック702で開始する。光信号は、時分割多重化された連続波レーザーから生成されることができる。ブロック702から、方法700は、調整可能な光学フィルタの調整された周波数に基づいて、光信号の少なくとも一部分を複数の調整可能な光学フィルタのうちの1つに送ることによって、ブロック704に進む。調整可能な光学フィルタがレーザーの共振周波数に一致するように調整されたとき、光信号は、調整された光学フィルタを通過することができる。しかしながら、調整可能な光学フィルタが調整されていないとき(例えば、非活動的なデフォルト状態で)、光信号は、光学フィルタを通過することからブロックされ、代わりに調整された光学フィルタに伝搬する。したがって、1つの光学フィルタのみは、所与の時間で調整されるべきである。
【0046】
次いで、方法700は、それぞれの調整可能な光学フィルタに結合された、それぞれの放射格子カプラから光信号部分を伝送することによって、ブロック706に進む。放射格子カプラは、光信号部分を特定の方向において自由空間内に伝送するように構成されることができる。例示的な実施形態では、放射格子カプラは、光信号部分を互いに異なる方向に伝送するように配置される。
【0047】
次のブロック708に進むと、方法700は、次いで、受信格子カプラから光信号の後方散乱部分を受信する。ブロック710において、方法700は、後方散乱部分の周波数(または波長)分解に基づいて、光学フィルタアレイを通して信号部分をフィルタ処理する。上で記載されたように、光学フィルタアレイは、各々が検出器に結合された複数の光学ノッチフィルタを含む。光学フィルタアレイは、アレイ内の各光学ノッチフィルタを別個の周波数(または波長)範囲で構成することによって、受信された後方散乱部分の周波数分解を実行することができる。範囲内に収まる後方散乱部分の周波数または波長は、光学ノッチフィルタを通過することができ、その一方で、それらが適切な光学ノッチフィルタに伝搬されるまで光学フィルタアレイを通してカスケードされることができない。
【0048】
次いで、方法700は、光学フィルタアレイ内の各検出器からのフィルタ処理された信号部分に対応する信号を検出することによって、ブロック712に進む。フィルタ処理された信号は、次いで、光学フィルタアレイに結合された処理システムに送信されることができる。
【0049】
方法700は、次いで、検出された信号に基づいて、エアデータパラメータを決定することによって、ブロック714に進む。このようなエアデータパラメータは、エア速度、温度、圧力、およびエア密度を含むことができる。
【0050】
本明細書に記載される方法および技術は、デジタル電子回路、またはプログラマブルプロセッサ(例えば、専用プロセッサもしくはコンピュータなどの汎用プロセッサ)ファームウェア、ソフトウェア、またはそれぞれの様々な組み合わせで実装され得る。これらの技術を具現化する装置は、適切な入力および出力デバイス、プログラマブルプロセッサ、ならびにプログラム可能なプロセッサによる実行のためのプログラム命令を有形的に具現化する格納媒体を含み得る。これらの技術を具現化するプロセスは、入力データ上で動作し、適切な出力を生成することによって、所望の機能を実行するための命令のプログラムを実行するプログラム可能プロセッサによって実行され得る。この技術は、有利には、データおよび命令を受信し、データ格納システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスへのデータおよび命令を受信し、データおよび命令を伝送するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラム可能なシステム上で実行可能な1つ以上のプログラムにおいて実装され得る。
【0051】
概して、プロセッサは、読み出し専用メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令およびデータを受信する。コンピュータプログラム命令およびデータを有形的に具現化するために好適な格納デバイスは、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスの例として、内部ハードディスクおよび取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、およびDVDディスクを含む。上記のいずれかは、特別に設計されたASICによって補充されるか、またはその中に組み込まれ得る。
【0052】
用語「およそ(approximately)」または「実質的に(substantially)」は、当業者の観点から、変更が図示される実施形態に対するプロセスまたは構造の不適合をもたらさない限り、指定された値またはパラメータが若干変更され得ることを意味する。最後に、用語「例示的な」は、本発明の理想的、本質的、または好ましい特徴を暗示するのではなく、例として添付の記載が使用されることを単に示す。
例示的な実施形態
【0053】
実施例1は、フォトニクス基材と、フォトニクス基材に動作可能に結合されたレーザー源であって、光ビームを放射するように動作する、レーザー源と、フォトニクス基材上の複数の調整可能な光学フィルタであって、調整可能な光学フィルタが、互いに、およびレーザー源と光学的に連通している、光学フィルタと、フォトニクス基材上の複数の放射格子カプラで、各々が調整可能な光学フィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された、放射格子カプラであって、各放射格子カプラが、それぞれの調整可能な光学フィルタの出力から受信された光ビームを異なる方向における対象領域内に放射するように構成されている、放射格子カプラと、フォトニクス基材上の少なくとも1つの受信格子カプラであって、対象領域から散乱光を受信するように構成された、少なくとも1つの受信格子カプラと、フォトニクス基板上で、受信格子カプラと光学的に連通している、受動光学フィルタアレイであって、受信格子カプラからの散乱光を受信するように構成された、受動光学フィルタアレイと、を備え、受動光学フィルタアレイが、周波数選択のために動作する複数の光学ノッチフィルタと、各々が光学ノッチフィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された複数の光学的検出器とを備え、光学ノッチフィルタの各々が、対応する波長範囲で受信された散乱光を光学検出器のそれぞれの1つに通過させるように構成されており、各対応する波長範囲が、別個であり、受動光学フィルタアレイが、受信された散乱光の複数の信号への周波数スペクトル分解を実行するように動作し、レーザー源から放射された光ビームが、光ビームが放射格子カプラの各々から異なる時間で対象領域内に放射されるように、任意の所与の時間で放射格子カプラのうちの1つへの光ビームの伝送を可能にするように動作する、1つ以上の調整可能な光学フィルタに送られる、集積フォトニクスチップを含む。
【0054】
実施例2は、複数の調整可能な光学フィルタに結合された複数のマイクロヒータを更に備え、複数のマイクロヒータが、それぞれの調整可能な光学フィルタの共振周波数がレーザー源の共振周波数と一致するように、複数の調整可能な光学フィルタを加熱するように構成されている、実施例1に記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0055】
実施例3は、複数のマイクロヒータに結合されたコントローラを更に備え、コントローラが、1つのマイクロヒータのみが一定の期間に活動的にさせられるように、各マイクロヒータを選択的に活動的に、または非活動的にさせるように構成されている、実施例2に記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0056】
実施例4は、受動光学フィルタアレイに結合された処理システムを更に備え、処理システムが、複数の信号を受信し、処理システムが、受信された複数の信号に基づいて、少なくとも1つのエアデータパラメータを決定するように構成された1つ以上のプロセッサを備える、実施例1~3のいずれかに記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0057】
実施例5は、少なくとも1つのエアデータパラメータが、エア速度、圧力、温度、およびエア密度のうちの少なくとも1つを含む、実施例4に記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0058】
実施例6は、レーザー源が、時分割多重化された連続波信号を生成するように構成されている、実施例1~5のいずれかに記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0059】
実施例7は、レーザー源が、基準信号を受動光学フィルタアレイに伝送するように構成されている、実施例1~6のいずれかに記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0060】
実施例8は、複数の光学ノッチフィルタの各々が、第1の導波路および第2の導波路を含む導波路構造を備え、導波路構造が、第1の導波路の第1の端部に位置付けられる入力ポートと、第2の導波路の第1の端部に位置付けられ、かつ入力ポートに隣接する反射ポートと、第1の導波路の反対側の第2の端部に位置付けられるドロップポートと、入力ポートとドロップポートとの間の導波路構造の中央部分に位置付けられる、格子支援指向性カプラであって、第1の導波路および第2の導波路の各々の上に周期的格子構造を含む、格子支援指向性カプラと、を備える、実施例1~7のいずれかに記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0061】
実施例9は、第1の導波路が、入力ポート内に注入された光を受信し、光を格子支援指向性カプラに方向付けるように構成されており、格子支援指向性カプラの周期的格子構造が、π位相シフトを生産するように構成されており、導波路変調の周期的構造が、境界面の両側のπラジアンによって空間位相でシフトされ、光がπ位相シフトの周りを循環している状態で、共振波長で光の閉じ込められたフィールドを生成する、導波路変調の空間パターンの急激な変化であり、光の選択された波長が、ドロップポートに伝送され、光の全ての他の波長が、反射ポートを通って出る、実施例8に記載の集積フォトニクスチップを含む。
【0062】
実施例10は、光ビームを放射するように動作するレーザー源と、互いに、およびレーザー源と光学的に連通している複数の調整可能な光学フィルタと、各々が調整可能な光学フィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された複数の放射格子カプラであって、各放射格子カプラが、それぞれの調整可能な光学フィルタの出力から受信された光ビームを異なる方向における対象領域内に放射するように構成されている、複数の放射格子カプラと、複数の調整可能な光学フィルタに結合されたコントローラであって、コントローラが、活動的にさせられた調整可能な光学フィルタが所与の期間中に対応する放射格子カプラへの光ビームの伝送を可能にするために動作するように、調整可能な光学フィルタを活動的にさせるように構成されている、コントローラと、を備える、発光システムと、発光システムと動作的に連通しているエアデータ検出システムであって、エアデータ検出システムが、対象領域から散乱光を受信するように構成された少なくとも1つの受信格子カプラと、受信格子カプラと光学的に連通している受動光学フィルタアレイであって、受信格子カプラから散乱光を受信するように構成された受動光学フィルタアレイとを備え、受動光学フィルタアレイが、周波数選択のために動作する複数の光学ノッチフィルタと、各々が光学ノッチフィルタのうちの1つの出力にそれぞれ結合された複数の光学検出器と、を備え、光学ノッチフィルタの各々が、対応する周波数範囲で受信された散乱光を、光学検出器のうちの対応する1つに通過させるように構成され、各々の対応する周波数範囲は別個であり、受動光学フィルタアレイが、受信された散乱光の周波数スペクトル分解を複数の信号に実行するように動作する、エアデータ検出システムと、エアデータ検出システムに動作可能に結合された処理システムであって、処理システムが、複数の信号を受信するように構成され、処理システムが、受信された複数の信号に基づいて、少なくとも1つのエアデータパラメータを決定するように動作する、処理システムと、を備える、光学エアデータシステムを含む。
【0063】
実施例11は、発光システムおよびエアデータ検出システムが、シリコンマイクロチップ上にある、実施例10に記載の光学エアデータシステムを含む。
【0064】
実施例12は、発光システムが、複数の調整可能な光学フィルタに結合された複数のマイクロヒータを更に備え、複数のマイクロヒータが、それぞれの調整可能な光学フィルタの共振周波数がレーザー源の共振周波数と一致するように、複数の調整可能な光学フィルタを加熱するように構成されている、実施例10~11のいずれかに記載の光学エアデータシステムを含む。
【0065】
実施例13は、コントローラが、複数のマイクロヒータに結合され、光ビームが放射格子カプラの各々から異なる時間に対象領域内に放射されるように、各調整可能な光学フィルタを選択的に活動的に、または非活動的にさせるように構成される、実施例12に記載の光学エアデータシステムを含む。
【0066】
実施例14は、処理システムが、受信された複数の信号に基づいて、2つ以上のエアデータパラメータを決定するように構成された1つ以上のプロセッサを備える、実施例10~13のいずれかに記載の光学エアデータシステムを含む。
【0067】
実施例15は、2つ以上のエアデータパラメータが、エア速度、圧力、温度、またはエア密度を含む、実施例14に記載の光学エアデータシステムを含む。
【0068】
実施例16は、レーザー源が、時分割多重化された連続波信号を生成するように構成されている、実施例10~15のいずれかに記載の光学エアデータシステムを含む。
【0069】
実施例17は、レーザー源が、基準信号をエアデータ検出システムに伝送するように構成されている、実施例10~16のいずれかに記載の光学エアデータシステムを含む。
【0070】
実施例18は、発光システムが、光検出と測距(ライダー)システムを備える、実施例10~17のいずれかに記載の光学エアデータシステムを含む。
【0071】
実施例19は、複数の光学ノッチフィルタの各々が、第1の導波路および第2の導波路を含む導波路構造を備え、導波路構造が、第1の導波路の第1の端部に位置付けられる入力ポートと、第2の導波路の第1の端部に位置付けられ、かつ入力ポートに隣接する反射ポートと、第1の導波路の反対側の第2の端部に位置付けられるドロップポートと、入力ポートとドロップポートとの間の導波路構造の中央部分に位置付けられる、格子支援指向性カプラであって、第1の導波路および第2の導波路の各々の上に周期的格子構造を含む、格子支援指向性カプラと、を備える、実施例10~18のいずれかに記載の光学エアデータシステムを含む。
【0072】
実施例20は、光学信号を生成することと、光学信号を複数の調整可能な光学フィルタに送ることであって、光学信号が、異なる期間において複数の調整可能な光学フィルタの各々に送られる、送ることと、光学信号が異なる時間に対象領域内に放射されるように、複数の調整可能な光学フィルタの各々からの光学信号を対象領域に伝送することと、伝送された光学信号に基づいて、後方散乱信号を受信することと、後方散乱信号の周波数または波長分解に基づいて、後方散乱信号を複数のフィルタ処理された信号部分内にフィルタ処理することと、複数のフィルタ処理された信号部分を検出することと、検出されたフィルタ処理された信号部分に基づいて、少なくとも1つのエアデータパラメータを決定することと、を含む、方法を含む。
【0073】
本明細書では特定の実施形態が図示され、説明されているが、当業者には、示される特定の実施形態の代わりに、同一の目的を達成することが予測される任意の構成が用いられ得ることが理解されよう。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明らかに意図されている。
【外国語明細書】