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特開2022-70280物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム
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  • 特開-物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム 図1
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  • 特開-物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム 図4
  • 特開-物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム 図5
  • 特開-物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム 図6
  • 特開-物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070280
(43)【公開日】2022-05-12
(54)【発明の名称】物品の提供システム、サーバ装置、物品の提供方法及び物品の提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220502BHJP
【FI】
G06Q30/06 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025084
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2020178941の分割
【原出願日】2020-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】517369896
【氏名又は名称】EncodeRing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】角村 嘉信
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝える物品の提供システムを提供する。
【解決手段】物品の提供システムは、ユーザ端末とサーバ装置とを備える。サーバ装置は、物品のデザインを示す物品デザインデータを生成するための教師データを記憶する記憶部と、制御部と、を有する。制御部は、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、記憶部に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、ユーザ端末から送信された音声情報と学習モデルとに基づいて、物品デザインデータを生成することと、物品デザインデータに基づく物品を受贈者へ提供することを贈答者に提案することと、を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
贈答者から受贈者への物品の提供システムであって、ユーザ端末と、サーバ装置と、を備え、
前記ユーザ端末は、前記贈答者が発する音声を音声情報として取得する音声情報取得部を有し、取得した該音声情報を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、物品のデザインを示す物品デザインデータを生成するための教師データを記憶する記憶部と、制御部と、を有し、
前記制御部は、
人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、前記記憶部に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、前記物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、
前記ユーザ端末から送信された前記音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、
前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案することと、
を実行する、
物品の提供システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末は、前記物品デザインデータに反映される情報であって日時情報又は位置情報を含む付加情報を取得する付加情報取得部を更に有し、取得した該付加情報を前記サーバ装置に送信し、
前記制御部は、
人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、日時情報又は位置情報と、の組みであって、前記記憶部に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、前記学習モデルを構築することと、
前記ユーザ端末から送信された前記音声情報と、前記ユーザ端末から送信された前記付加情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、
を実行する、
請求項1に記載の物品の提供システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記物品デザインデータとして、花束における花材の種類、形状及び色と、花材の本数と、花材の配置と、を含む花束デザインデータについての前記学習モデルを構築することと、
前記物品デザインデータとして、前記花束デザインデータを生成することと、
を実行する、
請求項1又は請求項2に記載の物品の提供システム。
【請求項4】
前記制御部は、
花束に付与される香りの情報を更に含んだ前記花束デザインデータについての前記学習モデルを構築することと、
花束に付与される香りの情報を更に含んだ前記花束デザインデータを生成することと、
を実行する、
請求項3に記載の物品の提供システム。
【請求項5】
物品のデザインを示す物品デザインデータを生成するための教師データを記憶する記憶部と、
人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、前記記憶部に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、前記物品デザインデータについての学習モデルを構築する処理と、贈答者が発する音声の音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成する処理と、前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案する処理と、を実行する、制御部と、
を有する、サーバ装置。
【請求項6】
贈答者から受贈者への物品の提供方法であって、
コンピュータが、
人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品のデザインを示す物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、
ユーザ端末から送信された前記贈答者が発する音声に関する音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、
前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案することと、
を実行する物品の提供方法。
【請求項7】
贈答者から受贈者への物品の提供プログラムであって、
コンピュータに、
人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品のデザインを示す物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、
ユーザ端末から送信された前記贈答者が発する音声に関する音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、
前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案することと、
を実行させる物品の提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声情報と学習モデルとによって生成された物品デザインデータに基づく物品を提供する物品の提供システム、物品の提供方法及び物品の提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、好きな声やメッセージをアップロードして、その音声波形をアクセサリー等の装身具のデザインとして、3次元描画ツールや3次元造形装置を用いて製造し、販売するサービスが存在する。
【0003】
近年では、装身具の購入希望者がメッセージを発した際の音声情報から音声波形を取得して、当該波形を用いて装身具の一部を、3次元描画ツールや3次元造形装置を用いてデザインするサービスが提供されている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
また、従来技術として、特許文献1には、音声波形から装身具の装着部分の輪郭を形成するための波形の加工ができる装身具造形システムが開示されている。これによれば、音声波形を用いて装着部分のデザインを形成することが可能となり、立体的かつ美的印象を与えるデザインが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-76257号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“好きな声やメッセージをアップロードして「波形」をアクセサリーに出力するサービス”、[online]、2017年7月27日、[2017年7月27日検索]、インターネット、<URL:http://gigazine.net/news/20141222-soundwave-accessories/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
贈答者から受贈者へ物品が贈答される際、受贈者へは同様に多数の人から物品が贈答されることがあり、贈答者側の心情としては他者と差別化を図りながら自身の感情を伝えたいという要求がある。ここで、従来技術のように、人がメッセージを発した際の音声情報に基づいて装身具の一部がデザインされると、該装身具を贈った贈答者は他者に対して差別化されるとも思われる。
しかしながら、従来技術によれば、音声情報に基づいてデザインされる装身具に人の感情を十分に反映することが困難であった。
本開示の目的は、贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の物品の提供システムは、贈答者から受贈者への物品の提供システムであって、ユーザ端末と、サーバ装置と、を備え、前記ユーザ端末は、前記贈答者が発する音声を音声情報として取得する音声情報取得部を有し、取得した該音声情報を前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置は、物品のデザインを示す物品デザインデータを生成するための教師データを記憶する記憶部と、制御部と、を有し、前記制御部は、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、前記記憶部に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、前記物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、前記ユーザ端末から送信された前記音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案することと、を実行する。
【0009】
また、本開示のサーバ装置は、物品のデザインを示す物品デザインデータを生成するための教師データを記憶する記憶部と、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、前記記憶部に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、前記物品デザインデータについての学習モデルを構築する処理と、贈答者が発する音声の音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成する処理と、前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案する処理と、を実行する、制御部と、を有する。
【0010】
また、本開示の物品の提供方法は、贈答者から受贈者への物品の提供方法であって、コンピュータが、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品のデザインを示す物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、ユーザ端末から送信された前記贈答者が発する音声に関する音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案することと、を実行する。
【0011】
また、本開示は、プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の物品の提供プログラムは、贈答者から受贈者への物品の提供プログラムであって、コンピュータに、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品のデザインを示す物品デザインデータについての学習モデルを構築することと、ユーザ端末から送信された前記贈答者が発する音声に関する音声情報と、前記学習モデルと、に基づいて、前記物品デザインデータを生成することと、前記物品デザインデータに基づく物品を前記受贈者へ提供することを前記贈答者に提案することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における物品の提供システムの概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における物品の提供システムの構成要素をより詳細に示した図である。
図3】第1実施形態における生成部によって生成される物品デザインデータを説明するための図である。
図4】第1実施形態における学習モデルに対する入力から得られる識別結果と、該学習モデルを構成するニューラルネットワークを説明するための図である。
図5】第1実施形態における物品の提供システムの動作の流れを例示する図である。
図6】第2実施形態における学習モデルに対する入力から得られる識別結果と、該学習モデルを構成するニューラルネットワークを説明するための図である。
図7】第3実施形態における生成部によって生成される物品デザインデータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の物品の提供システムにおいて、ユーザ端末は、贈答者が発する音声を音声情報として取得し、該音声情報をサーバ装置に送信する。なお、ユーザ端末は、物品の提供システムを利用する贈答者であるユーザが保有する携帯端末等の電子機器である。また、音声情報とは、音声波形を示す音声の信号データであって、該データに基づいて、音声の高さ、強度、音圧を表す情報であったり、周知の音声認識技術によって該データから変換されたテキストデータを取得することができる。
【0015】
そして、サーバ装置は、ユーザ端末から送信された音声情報と、学習モデルと、に基づいて、物品デザインデータを生成する。ここで、学習モデルは、教師あり学習によって、例えば、ニューラルネットワークのニューロン同士の結合の重みがチューニングされたモデルである。サーバ装置は、教師データの特徴を学習し、入力から結果を推定するための学習モデルを帰納的に獲得する。なお、教師データとは、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、例えば、やわらかい音声波形からは人の穏やかな感情が推論され、その感情に応じた物品デザインデータとして、仮に物品が花束である場合には、暖色の花材を丸みを帯びるように配置したデザインが予め設定される。これにより、サーバ装置は、学習モデルに対する入力(ユーザの音声情報)から、識別結果(人の感情に応じたデザインデータ)を得ることができる。そして、サーバ装置は、生成した物品デザインデータに基づく物品を受贈者へ提供することをユーザに提案する。
【0016】
以上に述べた物品の提供システムによれば、ユーザが発する音声から推論される該ユーザの感情に応じたデザインデータに基づく物品を、受贈者へ提供することができる。これにより、贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝えることができる。
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
<第1実施形態>
【0017】
第1実施形態における物品の提供システムの概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における物品の提供システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る物品提供システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、を含んで構成される。
【0018】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークである。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0019】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400と接続される。なお、図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は3台、ユーザ端末400は2台ずつ示してあるが、これ以下でもこれ以上存在してもよいことは言うまでもない。
【0020】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0021】
また、サーバ300は、物品提供システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0022】
ユーザ端末400は、物品提供システム100を利用する贈答者であるユーザが保有する携帯端末等の電子機器であればよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。
【0023】
次に、図2に基づいて、主にサーバ300の構成要素の詳細な説明を行う。図2は、第1実施形態における、物品提供システム100に含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行うユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0024】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0025】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400やその他の外部装置と通信可能に接続される。
【0026】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、ユーザ端末400等から送信されたデータを記憶する。なお、サーバ300は、通信部301を介してユーザ端末400等から送信されたデータを取得する。更に、記憶部302には、後述する物品デザインデータを生成するための教師データや学習モデルが記憶される。
【0027】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、取得部3031と、生成部3032と、学習部3033と、提案部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。なお、学習部3033は、機械学習に伴う演算量が多いため、記憶されたプログラムをGPUによって実行することで実現してもよい。このように、GPUを機械学習に伴う演算処理に利用するようにすると、高速処理できるようになる。また、より高速な処理を行うために、このようなGPUを搭載したコンピュータを複数台用いてコンピュータ・クラスターを構築し、このコンピュータ・クラスターに含まれる複数のコンピュータにて並列処理を行うようにしてもよい。
【0028】
取得部3031は、ユーザが発する音声を検出したユーザ端末400から送信された音声情報を通信により取得することで、該音声情報を取得する。ここで、音声情報は、音声波形を示す音声の信号データであって、該データに基づいて、音声の高さ、強度、音圧を表す情報であったり、周知の音声認識技術によって該データから変換されたテキストデータが取得される。そして、取得部3031は、取得した音声情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。なお、音声情報の音声データを記録するためのファイル形式は、MP3(MPEG Audio Layer-3)、WAV(Waveform Audio File Format)、AAC(Adavanced Audio Coding)等、適宜選択すればよい。
【0029】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403、位置検出部404、日時検出部405を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。位置検出部404は、ユーザ端末400の位置情報を検出するための機能部であり、例えばGPS装置を有して形成される。日時検出部405は、日時情報を検出するための機能部であり、周知の装置を有して形成される。なお、日時情報とは日時(日付、時刻)を示す情報である。
【0030】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、音声入力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。音声入力部4023は、ユーザからの音声を入力し受け付ける機能を有し、入力を受け付けた音声に基づいて、音声情報を生成し、記憶部403に記憶し、また、通信部401を介してサーバ300に送信する。音声入力部4023は、具体的には、ユーザ端末400に取り付けられたマイク等により実現される。
【0031】
そして、音声入力部4023(音声情報取得部)は、ユーザ端末400のユーザが発する音声を音声情報として取得する。ここで、ユーザ端末400は、音声情報とともに識別情報を取得してもよい。識別情報とは、後述する物品デザインデータを識別するための情報(ID情報)であって、アルファベットと数字を組み合わせた文字列やQRコード(登録商標)などを用いることができる。なお、識別情報は、ランダムに生成されてもよいし、操作入力部4022を介してユーザによって入力されてもよい。
【0032】
生成部3032は、取得部3031によって取得され記憶部302に記憶された音声情報と、後述する学習モデルと、に基づいて、贈答者から受贈者へ提供される物品のデザインを示す物品デザインデータを生成する。
【0033】
ここで、図3は、第1実施形態における生成部3032によって生成される物品デザインデータを説明するための図である。本実施形態における物品とは花束であって、物品デザインデータとして、図3に示すように、花束における花材の種類、形状及び色と、花材の本数と、花材の配置と、を含む花束デザインデータが生成される。
【0034】
図3によると、後述する学習モデルからの出力値によって、異なった花束デザインデータが生成されることがわかる。例えば、お祝いの感情に応じたデザインデータに対応する出力値が取得された場合(図3(a))と、気遣いの感情に応じたデザインデータに対応する出力値が取得された場合(図3(b))とでは、花材の種類や色、配置等が異なった花束デザインデータが生成される。
【0035】
そして、図2に戻って、学習部3033は、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みであって、記憶部302に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品デザインデータ(本実施形態では、花束デザインデータ)についての学習モデルを構築する。
【0036】
ここで、図4は、第1実施形態における学習モデルに対する入力から得られる識別結果と、該学習モデルを構成するニューラルネットワークを説明するための図である。本実施形態では、学習モデルとして、ディープラーニングにより生成されるニューラルネットワークモデルを用いる。本実施形態における学習モデル30は、音声情報の入力を受け付ける入力層31と、入力層31に入力されたデータから特徴量を抽出する中間層(隠れ層)32と、特徴量に基づく識別結果を出力する出力層33とを有する。なお、図4の例では、学習モデル30は、1層の中間層32を有しており、入力層31の出力が中間層32に入力され、中間層32の出力が出力層33に入力されている。ただし、中間層32の数は、1層に限られなくてもよく、学習モデル30は、2層以上の中間層32を有してもよい。
【0037】
また、図4によると、各層31~33は、1又は複数のニューロンを備えている。例えば、入力層31のニューロンの数は、入力される音声情報に応じて設定することができる。また、出力層33のニューロンの数は、識別結果である人の感情に応じたデザインデータの種類数に応じて設定することができる。
【0038】
そして、隣接する層のニューロン同士は適宜結合され、各結合には重み(結合荷重)が機械学習の結果に基づいて設定される。図4の例では、各ニューロンは、隣接する層の全てのニューロンと結合されているが、ニューロンの結合は、このような例に限定されなくてもよく、適宜設定することができる。
【0039】
このような学習モデル30を構築するために、学習部3033は、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行う。具体的には、学習部3033は、教師データに含まれる入力データである特徴量(人が発する音声の信号データ)とラベル(人の感情に応じたデザインデータ)との組みをニューラルネットワークに与え、ニューラルネットワークの出力がラベルと同じとなるように、ニューロン同士の結合の重みをチューニングする。このようにして、学習部3033は、教師データの特徴を学習し、入力から結果を推定するための学習モデルを帰納的に獲得する。そして、学習部3033は、構築した学習モデルをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0040】
ここで、上記の教師データについて説明する。人が発する音声の信号データ(音声波形を示す音声の信号データ)に基づいて、音声の高さ、強度、音圧を表す情報であったり、周知の音声認識技術によって該データから変換されたテキストデータを取得することができる。そして、例えば、やわらかい音声波形からは人の穏やかな感情が、きつい音声波形からは人の活発な感情が推論される。また、例えば、「ありがとう」というテキストデータからは人の感謝の感情が推論される。そして、このような人の感情に応じたデザインデータが予め設定される。例えば、穏やかな感情に応じた花束デザインデータとして、暖色の花材を丸みを帯びるように配置したデザインが予め設定される。
【0041】
そして、図2に戻って、提案部3034は、生成部3032によって生成された物品デザインデータに基づく物品を受贈者へ提供することをユーザ(贈答者)に提案する。提案部3034は、物品デザインデータを含んだ提案情報をユーザ端末400に送信することで、上記の提案を行うことができる。
【0042】
なお、制御部303が、取得部3031、生成部3032、学習部3033、および提案部3034の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0043】
ここで、本実施形態における物品の提供システムの動作の流れについて説明する。図5は、本実施形態における物品の提供システムの動作の流れを例示する図である。図5では、物品の提供システムにおける各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0044】
本実施形態では、先ず、サーバ300によって、学習モデルが構築される(S101)。サーバ300は、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、の組みである教師データを用いて教師あり学習を行うことで、学習モデルを構築する。
【0045】
次に、ユーザ端末400によって、音声情報が取得される(S102)。ユーザ端末400は、音声入力部4023を介して、ユーザ端末400のユーザが発する音声を音声情報として取得する。例えば、「あなたのメッセージを録音」といったテキスト表示と併せて、録音実行ボタン(マイクアイコンが表示された円形の操作ボタン)を表示部4021に表示させ、該録音実行ボタンが押下されると、ユーザが発する音声が音声入力部4023を介して取得される。そして、ユーザ端末400は、取得した音声情報をサーバ300に送信する(S103)。
【0046】
そして、サーバ300によって、物品デザインデータが生成される。サーバ300は、ユーザ端末400から送信された音声情報を、通信部301を介して受信することで、音声情報を取得する(S104)。そして、サーバ300は、S101の処理で構築した学習モデルと、S104の処理で取得した音声情報と、に基づいて、物品デザインデータを生成する(S105)。本実施形態では、例えば、取得した音声情報が、やわらかい音声波形と「おめでとう」というテキストデータとを含むものであった場合、穏やかで幸せな感情に応じた花束デザインデータとして、上記の図3(a)に示したデータを生成する。
【0047】
サーバ300は、生成した物品デザインデータに基づく物品を受贈者へ提供することをユーザ(贈答者)に提案する。ここで、サーバ300は、物品デザインデータを含んだ提案情報を生成する(S106)。そして、サーバ300は、生成した提案情報をユーザ端末400に送信する(S107)。なお、本実施形態における提案情報とは、例えば、上記の図3(a)に示した花束デザインデータから生成される花束のデザイン画像と、該デザイン画像によって表される花束を受贈者へ提供することを提案するメッセージと、を含んだ情報である。
【0048】
そして、ユーザ端末400は、サーバ300から送信された提案情報を取得し、該提案情報を表示部4021に表示する(S108)。ユーザ端末400の表示部4021には、例えば、サーバ300によって生成された花束デザインデータに基づく花束のデザイン画像と、該デザイン画像によって表される花束を受贈者へ提供することを提案するメッセージと、が表示される。
【0049】
以上に述べた物品の提供システムの動作によれば、ユーザが発する音声から推論される該ユーザの感情に応じたデザインデータに基づく物品を、受贈者へ提供することができる。これにより、贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝えることができる。
【0050】
なお、上述した第1実施形態では、物品が花束であって、物品デザインデータとして花束デザインデータが生成される例について説明したが、本実施形態に係る物品をこれに限定する意図はない。本実施形態に係る物品は、例えば、装身具であってもよい。この場合、物品デザインデータとして装身具デザインデータが生成される。装身具デザインデータは、具体的には、装身具の形状、構造を表す2次元又は3次元の描画データである。また、装身具の材質(例えば、貴金属であればプラチナ、金(18金、ピンクゴールド)、銀、真鍮等、レザー)、サイズ(例えば、指輪であれば「号数」、ネックレスであれば「チェーンの長さ」等)、装身具に留める宝石の種類、大きさ又は重さ等を含んでもよい。
<第2実施形態>
【0051】
第2実施形態について、以下に説明する。上述した第1実施形態では、サーバ300は、学習部3033の処理によって構築した学習モデルと、取得部3031の処理によって取得した音声情報と、に基づいて、物品デザインデータを生成する。これに対して、本実施形態では、サーバ300は、学習モデルと、音声情報と、付加情報と、に基づいて、物品デザインデータを生成する。ここで、付加情報とは、物品デザインデータに反映される情報であって日時情報又は位置情報を含む。
【0052】
第1実施形態の説明で述べたように、ユーザ端末400は、位置検出部404および日時検出部405を有している。つまり、これら機能部が付加情報取得部として機能することによって、付加情報が取得される。そして、ユーザ端末400は、取得した付加情報をサーバ300に送信する。そうすると、サーバ300の取得部3031は、音声情報に加えて付加情報を通信により取得する。そして、取得部3031は、取得した付加情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0053】
また、サーバ300の学習部3033は、人が発する音声の信号データと、人の感情に応じたデザインデータと、日時情報または位置情報と、の組みであって、記憶部302に記憶された教師データを用いて教師あり学習を行うことにより、物品デザインデータについての学習モデルを構築する。図6は、第2実施形態における学習モデルに対する入力から得られる識別結果と、該学習モデルを構成するニューラルネットワークを説明するための図である。この場合、学習部3033は、教師データに含まれる入力データである特徴量(人が発する音声の信号データと、日時情報または位置情報)とラベル(人の感情に応じたデザインデータ)との組みをニューラルネットワークに与え、ニューラルネットワークの出力がラベルと同じとなるように、ニューロン同士の結合の重みをチューニングする。なお、この場合の教師データとして、例えば、位置情報として桜の名所が含まれるときには、それと組みとなるデザインデータには桜のイメージが含まれるように設定される。また、例えば、日時情報として母の日が含まれるときには、それと組みとなるデザインデータには感謝の感情が含まれるように設定される。
【0054】
そして、サーバ300の生成部3032は、学習モデルと、音声情報と、付加情報と、に基づいて、物品デザインデータを生成する。このような構成とすることで、位置情報に基づく場所や、日時情報に基づく季節又はイベント等の情報により、よりメッセージ性を高めた演出を伴って贈り物としての物品を贈ることができる。
【0055】
以上に述べた物品の提供システムによれば、ユーザが発する音声から推論される該ユーザの感情に応じたデザインデータに基づく物品を、よりメッセージ性を高めて受贈者へ提供することができる。これにより、贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝えることができる。
<第3実施形態>
【0056】
第3実施形態について、図7に基づいて説明する。図7は、第3実施形態における生成部3032によって生成される物品デザインデータを説明するための図である。本実施形態では、図7に示すように、物品デザインデータとして、花束における花材の種類、形状及び色と、花材の本数と、花材の配置と、花材の香りと、を含む花束デザインデータが生成される。例えば、学習モデルからお祝いの感情に応じたデザインデータに対応する出力値が取得された場合(図7(a))には、甘くて強いという香りのデータを含んだ花束デザインデータが生成され、学習モデルから気遣いの感情に応じたデザインデータに対応する出力値が取得された場合(図7(b))には、さわやかで弱いという香りのデータを含んだ花束デザインデータが生成される。
【0057】
これによれば、花束に付与される香りの情報を更に含んだ花束デザインデータを生成することができるため、人の感情をデザインデータにより反映し易くなる。なお、本実施形態における花束の花材は、生花でもプリザーブドフラワーでも造花であってもよい。そして、花材がプリザーブドフラワーや造花である場合には、花束に香りが付与されることで、よりメッセージ性が高められる。
【0058】
また、この場合、学習部3033は、花束における花材の種類、形状及び色と、花材の本数と、花材の配置と、花束に付与される香りと、を含む花束デザインデータについての学習モデルを構築する。
【0059】
以上に述べた物品の提供システムによっても、ユーザが発する音声から推論される該ユーザの感情に応じたデザインデータに基づく物品を、受贈者へ提供することができる。これにより、贈答者から受贈者へ物品が贈答される際に、印象深い物品の贈り物を演出しながら、贈答者の感情を受贈者へ伝えることができる。
<その他の変形例>
【0060】
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0061】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、学習部3033をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0062】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0063】
100・・・物品提供システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7