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▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070283
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20220506BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220506BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H05K9/00 U
H05K9/00 M
H05K7/20 F
H05K7/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019050297
(22)【出願日】2019-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 友樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友貴
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 寛之
【テーマコード(参考)】
5E321
5E322
5E348
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321AA23
5E321BB32
5E321BB44
5E321CC03
5E321CC09
5E321GG11
5E321GH03
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB11
5E322FA04
5E348AA05
5E348AA08
5E348AA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電磁波ノイズの影響を安定して抑制することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器100は、ケース110と、アンテナ基板120と、基板の一方の主面を覆う電磁波吸収体130と、基板との間で電磁波吸収体130を挟む位置に配置され、一方の主面の法線方向に弾性変形可能な弾性部材150と、弾性部材を基板に向けて押圧する押圧部材してのカバー160と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方の主面を覆う電磁波吸収体と、
前記基板との間で前記電磁波吸収体を挟む位置に配置され、前記一方の主面の法線方向に弾性変形可能な弾性部材と、
前記弾性部材を前記基板に向けて押圧する押圧部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電磁波吸収体及び前記弾性部材は、シート状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性部材は、合成樹脂が発泡成形されて構成された発泡プラスチックを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記弾性部材を押圧する押圧面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記一方の主面の法線方向からみたときに、前記電磁波吸収体の前記基板と重なる部分が前記弾性部材の内側に収まることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記基板は、アンテナを有し、
前記一方の主面の法線方向からみたときに、前記電磁波吸収体に、前記アンテナを露出する開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記アンテナが送信、受信又は送受信する電波を透過させることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記基板は、前記一方の主面に実装された電子部品を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子部品と前記弾性部材との間に、前記電子部品が発した熱を伝達する伝熱部材を有することを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記電子部品は、電波の送信、受信又は送受信を行う電子回路を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に、電磁波ノイズを吸収する電磁波吸収体を備えた電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-46129号公報
【特許文献2】特開2001-68312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子機器が備えた電磁波吸収体は、電子機器内の電子部品の動作に伴う熱等の影響により、時間の経過とともに撓みや浮きを生じる等で位置が不安定になり、電磁波ノイズを十分に吸収できなくなることがある。
【0005】
本開示は、電磁波ノイズの影響を安定して抑制することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、基板と、前記基板の一方の主面を覆う電磁波吸収体と、前記基板との間で前記電磁波吸収体を挟む位置に配置され、前記一方の主面の法線方向に弾性変形可能な弾性部材と、前記弾性部材を前記基板に向けて押圧する押圧部材と、を有する電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電磁波ノイズの影響を安定して抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る電子機器の構成を示す分解斜視図である。
図3A】ケースの構成を示す斜視図である。
図3B】アンテナ基板の構成を示す斜視図である。
図3C】電波吸収体の構成を示す斜視図である。
図3D】ヒートプレートの構成を示す斜視図である。
図4A】カバーを除いた電子機器を示す上面図である。
図4B】カバー及び弾性クッションを除いた電子機器を示す上面図である。
図4C】カバー、弾性クッション及び電波吸収体を除いた電子機器を示す上面図である。
図5A】実施形態に係る電子機器の構成を示す断面図(その1)である。
図5B】実施形態に係る電子機器の構成を示す断面図(その2)である。
図6A】弾性クッションの荷重-変位曲線の一例を示す図である。
図6B】電波吸収体の荷重-変位曲線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。また、本開示においては、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。また、Z1-Z2方向を上下方向とし、平面視とは、Z1側から対象物をみることをいい、平面形状とは、Z1側からみた対象物の形状をいう。
【0010】
図1は、実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る電子機器の構成を示す分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る電子機器100は、ケース110とカバー160とを備えた筐体170を有する。図2に示すように、電子機器100は、更に、筐体170に収納された、アンテナ基板120と、電波吸収体130と、ヒートプレート140と、弾性クッション150とを有する。
【0012】
図3Aは、ケース110の構成を示す斜視図である。図3Bは、アンテナ基板120の構成を示す斜視図である。図3Cは、電波吸収体130の構成を示す斜視図である。図3Dは、ヒートプレート140の構成を示す斜視図である。図4Aは、カバー160を除いた電子機器100を示す上面図である。図4Bは、カバー160及び弾性クッション150を除いた電子機器100を示す上面図である。図4Cは、カバー160、弾性クッション150及び電波吸収体130を除いた電子機器100を示す上面図である。図5A及び図5Bは、実施形態に係る電子機器100の構成を示す断面図である。図5Aは、図1図4A図4B図4C中のI-I線に沿った断面図である。図5Bは、図1図4A図4B図4C中のII-II線に沿った断面図である。
【0013】
図3Aに示すように、ケース110は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、ヒートシンクを兼ねる。ケース110の平面形状は略正方形である。ケース110には、アンテナ基板120をケース110に固定するねじ128(図4B図4C参照)が挿入される4個のねじ穴112と、ヒートプレート140をケース110に固定するねじ148(図4B図4C参照)が挿入される2個のねじ穴114とが形成されている。ケース110の4個のねじ穴112の近傍には、それぞれアンテナ基板120の側面を案内するガイド115が設けられている。また、ケース110には、後述の電波吸収体130の張り出し部132を支持する支持部116が形成されている。
【0014】
図3Bに示すように、アンテナ基板120は、配線基板121と、配線基板121に形成されたアンテナ部122と、配線基板121に実装され、アンテナ部122が接続された半導体チップ123と、配線基板121に実装されたその他の半導体チップ124とを有する。例えば、アンテナ部122は、配線基板121の底と対向する主面とは反対側の主面121Aに形成されており、半導体チップ123及び半導体チップ124は、主面121A上に配置されている。アンテナ基板120の平面形状は略長方形であり、その4隅にねじ128(図4B図4C参照)が貫通する貫通孔129が形成されている。貫通孔129の直径は、ねじ128の頭部の直径よりも小さい。従って、ねじ128を用いて、アンテナ基板120をケース110に固定することができる。アンテナ基板120は、ガイド115の内側に配置される。半導体チップ123は、アンテナ部122を通じて電波の送信、受信又は送受信を行う電子回路を含む。半導体チップ123は、例えばレーダ集積回路(integrated circuit:IC)チップである。半導体チップ123が、アンテナ部122を通じて電波の送信のみ又は受信のみを行う電子回路を含んでいてもよい。アンテナ基板120は基板の一例であり、半導体チップ123及び半導体チップ124は電子部品の一例であり、主面121Aは一方の主面の一例である。
【0015】
図3C及び図4Bに示すように、電波吸収体130は、平面形状が略長方形の基部131と、基部131から張り出し、支持部116に支持される張り出し部132とを有する。基部131は、配線基板121に実装された半導体チップ123上にせり上がり、半導体チップ123を覆う被覆部133を含む。基部131には、平面視でアンテナ部122を露出する開口部134が形成されている。基部131の4隅にねじ128が貫通する貫通孔139が形成されている。貫通孔139の直径は、ねじ128の頭部の直径よりも大きい。従って、平面視でねじ128は貫通孔139内に位置する。電波吸収体130は、例えば、シリコーン系樹脂の基材に軟磁性粉体を混合して形成されている。軟磁性粉体は、例えば、フェライト系軟磁性粉体又は金属系軟磁性粉体である。金属系軟磁性粉体の材料としては、例えばパーマロイ、センダスト、ケイ素鋼、パーメンジュール、純鉄、磁性ステンレス鋼等を用いることができる。例えば、電波吸収体130はシート状の形状を有しており、その厚さは例えば0.5mm~2.0mmである。電波吸収体130は、アンテナ基板120上に配置される。電波吸収体130は電磁波吸収体の一例である。
【0016】
図3D図4B及び図4Cに示すように、ヒートプレート140は、ケース110に固定される固定部141と、固定部141から半導体チップ123の上方まで延出する延出部142とを有する。固定部141の平面形状は帯状であり、その両端にねじ148が貫通する貫通孔149が形成されている。貫通孔149の直径は、ねじ148の頭部の直径よりも小さい。従って、ねじ148を用いて、ヒートプレート140をケース110に固定することができる。固定部141がケース110に固定されたとき、延出部142の下面は被覆部133の上面に接触する。ヒートプレート140は、例えば銅又は銅合金製である。半導体チップ123が発した熱は、被覆部133を介して延出部142に伝達される。延出部142に伝達された熱は、固定部141を介してケース110に伝達され、ケース110から外部に放出される。ヒートプレート140は伝熱部材の一例である。
【0017】
図2及び図4Aに示すように、弾性クッション150は、平面形状が略長方形のシート状の形状を有し、その厚さ方向に弾性変形可能である。弾性クッション150の厚さ方向(Z1-Z2方向)は、配線基板121の主面121Aの法線方向(Z1-Z2方向)と平行である。弾性クッション150の材料は特に限定されず、例えば、合成樹脂が発泡成形されて構成された発泡プラスチックを含むことができる。例えば、弾性クッション150の材料にメラミン樹脂の軟質フォームを用いることができる。例えば、メラミン樹脂の軟質フォームの比誘電率は2.0未満、静電正接は0.05、引張強度は149kPa、伸びは24%、40%圧縮硬さは11kPa、25%圧縮硬さは8.5kPaである。弾性クッション150の材料に、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂の発泡材料を用いてもよく、スチロールの発泡材料を用いてもよい。また、中空構造を備え、厚さ方向に弾性可能な材料を弾性クッション150に用いてもよい。弾性クッション150は、平面視で、電波吸収体130が弾性クッション150の内側に収まる程度の大きさを有する。弾性クッション150の厚さは、例えば2mm~10mmである。弾性クッション150の上面に両面接着テープ151が貼り付けられており、弾性クッション150は両面接着テープ151を介してカバー160の下面に貼り付けられている。弾性クッション150は弾性部材の一例である。
【0018】
カバー160は、アンテナ部122が送信、受信又は送受信する電波を透過させる。アンテナ部122が送受信する電波を透過させる材料として、ポリエーテルイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。カバー160はケース110に固定される。カバー160がケース110に固定されたときのカバー160の下面と電波吸収体130の上面との間の距離は、応力が印加されていないときの弾性クッション150の厚さよりも小さい。従って、カバー160がケース110に取り付けられると、図5A及び図5Bに示すように、カバー160はその下面で弾性クッション150をアンテナ基板120に向けて押圧する。この結果、カバー160の下面と電波吸収体130の上面との間で、弾性クッション150が圧縮される。例えば、最も薄いところ(ヒートプレート140の延出部142の先端に接する部分)で、弾性クッション150は1mm程度の厚さまで圧縮される。カバー160は押圧部材の一例であり、カバー160の下面は押圧面の一例である。
【0019】
図4B及び図4Cに示すように、ねじ128を用いてアンテナ基板120がケース110に固定されている。図4Bに示すように、アンテナ基板120の上に電波吸収体130が配置されている。図4B図4C及び図5Bに示すように、延出部142の下面が被覆部133の上面に接するようにして、ねじ148を用いてヒートプレート140がケース110に固定されている。図4Aに示すように、弾性クッション150が、電波吸収体130及びヒートプレート140の上に、平面視で、電波吸収体130のアンテナ基板120と重なる部分が弾性クッション150の内側に収まるようにして配置されている。図5A及び図5Bに示すように、弾性クッション150はカバー160の下面に貼り付けられており、カバー160がケース110に取り付けられた状態で、カバー160の下面と電波吸収体130の上面との間で圧縮されている。電波吸収体130の弾性率は弾性クッション150の弾性率よりも著しく高い。従って、電波吸収体130は、弾性クッション150とアンテナ基板120との間で圧縮応力を印加されるものの、電波吸収体130の圧縮変形量は、弾性クッション150の圧縮変形量よりも著しく小さい。図6Aは、弾性クッション150の荷重-変位曲線の一例を示す図である。図6Bは、電波吸収体130の荷重-変位曲線の一例を示す図である。
【0020】
このように構成された電子機器100では、電波吸収体130が半導体チップ123、半導体チップ124やアンテナ基板120からの不要な電波ノイズを吸収し、アンテナ部122を通じて所望の電波の送受信を行うことができる。
【0021】
また、ケース110に固定されたカバー160により圧縮された弾性クッション150の反発力が電波吸収体130に作用し、電波吸収体130がアンテナ基板120に押し付けられて密着する。弾性クッション150の反発力は、半導体チップ123及び半導体チップ124の熱を受けても安定しており、また、時間の経過に伴う劣化が生じにくい。従って、長期にわたって、電波吸収体130とアンテナ基板120との間の密着性を良好に維持することができ、電波吸収体130による電波ノイズを吸収する効果の安定性を向上することができる。
【0022】
また、ケース110に固定されたカバー160により圧縮された弾性クッション150の反発力は延出部142にも作用し、延出部142が被覆部133に押し付けられて密着し、被覆部133が半導体チップ123に押し付けられて密着する。従って、半導体チップ123が発した熱が被覆部133を介して延出部142に伝達されやすい。上記のように、延出部142に伝達された熱は固定部141を介してケース110に伝達され、外部に放出される。
【0023】
なお、本開示において、電磁波吸収体が吸収する電磁波はアンテナを介して送受信される電波に限定されない。例えば、基板に設けられた中央処理装置(central processing unit:CPU)等が発する電磁雑音を吸収する電磁波吸収体が用いられてもよい。
【0024】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0025】
100 電子機器
110 ケース
120 アンテナ基板
121 配線基板
122 アンテナ部
123、124 半導体チップ
130 電波吸収体
133 被覆部
134 開口部
140 ヒートプレート
141 固定部
142 延出部
150 弾性クッション
160 カバー
170 筐体
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B