(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070289
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】耐火装置、耐火構造、耐火方法、および耐火装置の形成治具
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20220506BHJP
E04B 2/82 20060101ALI20220506BHJP
E04B 5/40 20060101ALN20220506BHJP
【FI】
E04B1/94 F
E04B2/82 501T
E04B5/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179284
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】592171131
【氏名又は名称】株式会社ロンビックジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100166051
【弁理士】
【氏名又は名称】駒津 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】畑中 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大室 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大久保 秋男
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA06
2E001FA11
2E001FA15
2E001GA60
2E001HA32
2E001LA09
(57)【要約】
【課題】 デッキプレートの凹凸面と壁部材との間に形成された隙間の内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞し、さらに防火性能を向上させた耐火装置、耐火構造、耐火方法、および耐火装置の形成治具を提供することを目的とする。
【解決手段】 平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板110が、異型隙間の開口部を閉塞するように挿入され、耐火板110が異型隙間に挿入されたときに、耐火板110と補強用リブRとが干渉する位置で、耐火板110の周囲から補強用リブRの先端位置にかけて切込部Kが設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火装置において、
平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなり、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される耐火板と、
前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて設けられる切込部と、
を備えることを特徴とする耐火装置。
【請求項2】
前記切込部は、
前記耐火板に前記切込部が設けられることによって形成された対向する耐火板切込面に所定の空間が形成されて設けられること、
を特徴とする請求項1記載の耐火装置。
【請求項3】
前記切込部は、
前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記デッキプレートと前記耐火板とが接する周側面に、所定の間隔をあけて複数設けられること、
を特徴とする請求項1記載の耐火装置。
【請求項4】
前記不燃材料は、
無機質繊維が集束又は積層され、固着剤により固着された固着断熱材であること、
を特徴とする請求項1記載の耐火構造。
【請求項5】
前記無機質繊維は、
ロックウールであること、
を特徴とする請求項4記載の耐火構造。
【請求項6】
前記不燃材料は、
前記隙間に充填された際の充填密度が150kg/立方メートル以上の密度で形成されること、
を特徴とする請求項1記載の耐火構造。
【請求項7】
前記耐火板の周面の外側を被覆する外被材、
を備えることを特徴とする請求項1記載の耐火構造。
【請求項8】
デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火構造において、
平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなり、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される耐火板と、
前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて設けられる切込部と、
を備えることを特徴とする耐火構造。
【請求項9】
前記耐火板は、
前記異型隙間における一方の開口部側と、他方の開口部側から挿入される2つの耐火板であることを特徴とする請求項8記載の耐火構造。
【請求項10】
前記2つの耐火板の間に介在される空間層、
を備えることを特徴とする請求項9記載の耐火構造。
【請求項11】
前記異型隙間に挿入された前記耐火板の外側に設けられた防音層、
を備えることを特徴とする請求項8記載の耐火構造。
【請求項12】
デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火方法において、
平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される工程と、
前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられる工程と、
を備えることを特徴とする耐火方法。
【請求項13】
デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなり、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される耐火板と、前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて設けられる切込部とを備える耐火装置の形成治具において、
前記耐火板の底面と同型に形成された底面部と、
前記底面部の長手方向両側面からコの字状に立設して前記耐火板の側面と同型に形成された側面部と、
前記切込部が設けられる位置に該当する前記側面部に形成される、前記切込部と同型の切欠部と、
を備えることを特徴とする耐火装置の形成治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火装置、耐火構造、耐火方法、および耐火装置の形成治具に関し、特にデッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間におけるデッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火構造、耐火方法、耐火装置、および耐火装置の挿入治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄骨造の建造物における床スラブの形成にはデッキプレートが使用されている。具体的には、まず床スラブ用の型枠を支持するための仮設構造物である型枠支保工を組んで型枠を作り、その型枠にコンクリートを打設する。打設したコンクリートの硬化後、型枠を外して支保工を解体することで床スラブが形成される。
【0003】
一般に床スラブの形成では、現場における型枠施工の合理化を図るために、フラットデッキプレート、又は型枠用デッキプレートと呼ばれる構造材が、コンクリートを打設するための型枠の一部である床材として使われている。
【0004】
デッキプレートは、亜鉛鋼板やガルバリウム鋼板(登録商標)などの平板に、角型の凹凸加工や補鋼用リブを備えているため、平板の鋼材に比べて強度がある。コンクリートを打設するための床材として、デッキプレートを梁と梁の間に架け渡して型枠を形成する。
【0005】
コンクリートの打設後は、デッキプレートを存置したままでよいので、取り外す工程がなくなる。このため型枠施工の合理化を図ることができ、工期短縮につなげることができる。
このように床スラブが形成されると、後に外壁や間仕切り壁と呼ばれる壁部材が、建造物の周面や床スラブの上に形成される。
【0006】
デッキプレートを使用した床スラブの形成方法では、コンクリートの打設後もデッキプレートは存置されたままである。このためデッキプレートの下面は、角型の凹凸加工や補鋼用リブがあるため、デッキプレートの凹凸面が下面に露出された状態になる。この凹凸面の下側に間仕切り壁を設置すると、凹凸面と設置された間仕切り壁との間に隙間が生じる。
【0007】
ところで、鉄骨造の建物を含む耐火建築物などでは、火災発生時に、火災や煙の拡大を一定範囲内にとどめることを目的とした防火区画が設置されている。この防火区画を設置することで、たとえば外壁や間仕切り壁によって区分された複数の空間の一部に火災が発生しても、火災が発生した空間から近隣の空間へ火災や煙を一定時間拡大させないことができる。
【0008】
前述の通り、デッキプレートの凹凸加工や補鋼用リブによって、間仕切り壁とデッキプレートの下面との間には隙間が生じている。万が一、火災が発生した場合は、この隙間を通って煙や火災が近隣の空間へ拡大してしまう恐れがある。
【0009】
そこで、デッキプレートの下面と間仕切り壁との間に形成される隙間を閉塞することで火災の拡大を防止するための間仕切り装置が開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0010】
図15は、特許文献1で開示された間仕切り装置の構造例を示す断面図である。
図15に示すように、上面に床スラブ10が形成されたデッキプレート20の下面には、間仕切り壁30をデッキプレート20に固定するためのランナー40を介して間仕切り壁30がデッキプレート20に溶着されている。
【0011】
具体的には、デッキプレート20は、上下面に台形波形の凹凸部を有する形状で形成されており、デッキプレート20の上面には床スラブ10が打設され、下面にはデッキプレート20の凹凸部を架け渡すようにランナー40がデッキプレート20に溶着されている。またランナー40の下側には、間仕切り壁30が取り付けられる。
【0012】
デッキプレート20は、上下面に台形波形の凹凸部を有する形状で形成されているため、壁部材である間仕切り壁30又はランナー40とデッキプレート20の下面との間には隙間50が生じる。この隙間50には、耐火材60が充填される。
【0013】
耐火材60は、あらかじめ壁部材である間仕切り壁30又はランナー40とデッキプレート20の下面との間に生じる隙間50の開口部よりも大きく形成された弾性のある不燃材である。
【0014】
この耐火材60を隙間50に圧入することで、壁部材とデッキプレート20の下面との間に生じる隙間50を閉塞することができる。これにより近隣に火災や煙を一定時間拡大させない防火区画を設定することができる。
【0015】
一般に、多くの耐火材は、たとえば密度が80kg/立方メートルのロックウールが使用されている。近年では、防火区画における防火性能を向上させるために、さらに高密度に形成された高密度耐火材が耐火材60として隙間50に充填することが望まれている。
【0016】
具体的には、一般社団法人日本建築学会による「火災安全上の区画の設計・施工の考え方」(第1版第1刷、2017年3月15日刊行)に対する質問と回答では、「区画貫通部の充填材にロックウールを用いる場合、一般的にどの程度の密度が望ましいか。」という質問に対し、「区画貫通部は防火上最大の弱点となるため、ロックウールの充填は重要である。一般に、充填密度の指定が特に無い場合のロックウール充填は、150kg/立方メートル以上の密度とするのが望ましい。」と回答されている(https://www.aij.or.jp/jpn/databox/2017/20171025qa.pdf)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、防火性能を向上させるために耐火材60の充填密度を増加すると、壁部材とデッキプレート20の下面との間に形成される隙間50に耐火材60を充填する作業に時間がかかるため施工性が悪くなる問題があった。
【0019】
壁部材とデッキプレート20の下面との間に形成される隙間50に高密度耐火材を隙間なく充填するためには、あらかじめ隙間50に挿入する高密度耐火材の壁の高さ方向の寸法や壁の幅方向の寸法を、挿入する隙間50の開口部よりも大きく形成して隙間50に挿入する必要がある。
【0020】
高密度耐火材の各寸法を挿入する隙間50の開口部よりも大きく形成した高密度耐火材を隙間50に圧入することで、壁部材とデッキプレート20の下面との間で高密度耐火材を、壁部材とデッキプレート20の下面とに密着させることができる。これにより、高密度耐火材で隙間50を閉塞することができる。
【0021】
ところが、壁部材とデッキプレート20の下面との間に形成される隙間50に密度を高めた高密度耐火材を挿入する作業は非常に困難となる。
たとえば、特許文献1で開示された耐火材60に150kg/立方メートルの密度で形成されたロックウールを適用させた場合を考えると、ロックウールの密度が増加するに伴って高密度耐火材の弾性力が低下して硬度が増加する。
【0022】
高密度で形成された高密度耐火材を隙間50に圧入する際に、高密度耐火材は弾性力が低下して硬度が増加するため、ほとんど収縮しない。このため、あらかじめ隙間50の開口部よりも大きい寸法で高密度耐火材を形成してしまうと、高密度耐火材を隙間50に圧入する作業に多くの時間がかかってしまう問題があった。
【0023】
そこで、高密度耐火材を隙間50に挿入しやすいように、壁部材とデッキプレート20の下面との間に生じる隙間50の開口部よりも、高密度耐火材における壁の高さ方向の寸法や壁の幅方向の各寸法を小さくすることが考えられる。
これにより高密度耐火材は、圧縮しながら隙間50に挿入する必要がなくなり、容易に隙間50に高密度耐火材を挿入することができる。
【0024】
ところが、壁部材とデッキプレート20の下面とに高密度耐火材を密着させることができない。つまり隙間50の開口部よりも小さく形成した高密度耐火材では、隙間50を完全に閉塞することはできない。
【0025】
いくら防火区画における防火性能を向上させるために、耐火材の密度を増加させたとしても、高密度耐火材と壁部材やデッキプレート20との隙間50が完全に閉塞できないのであれば、その完全に閉塞できなかった部分から煙や火災が近隣の空間へ拡大してしまう恐れがある。つまりこれでは防火性能を向上させることはできない。
【0026】
また、耐火材を高密度にすることで生じる問題は他にも考えられる。
具体的には、デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間50におけるデッキプレートの内側に補強用リブが形成されている場合、隙間50の形状が複雑になる。
【0027】
この複雑な形状になった隙間(以下、異型隙間と称する。)に、耐火材60のような立体形状の高密度耐火材を挿入すると、補強用リブが存在する部分に過度の圧力がかかることになる。
【0028】
ところが、高密度耐火材は弾性力が低下して硬度が増加するため、異型隙間の形状に合わせて柔軟に高密度耐火材が対応することができずに、補強リブ付近や、異型隙間の隅部に小さな隙間である微隙間が生じてしまう問題がある。この場合も微隙間から煙や火災が近隣の空間へ拡大してしまうため、防火性能を向上させることはできない。
【0029】
そこで、高密度耐火材を異型隙間の形状に合わせて加工することが考えられるが、高密度耐火材を複雑な形状に形成することは、製造コストが増加してしまう問題につながってしまう。
【0030】
また、壁部材とデッキプレート20の下面との間に生じる隙間50や異型隙間は、すべてが同じ形状になるわけではない。具体的には、打設されたコンクリートの荷重や、梁と梁の間に架け渡す状態によってデッキプレート20の形状が微妙に変形するため、隙間50や異型隙間の形状も場所によって異なる。
【0031】
このため、すべての隙間50や異型隙間を閉塞するためには、場所によって異なる隙間50や異型隙間の形状に合わせて高密度耐火材を形成する必要があるが、多種多様な形状に合わせて高密度耐火材を加工することになるため、製造コストが増加する問題につながる。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、デッキプレートの凹凸面と壁部材との間に形成された隙間の内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞し、さらに防火性能を向上させた耐火装置、耐火構造、耐火方法、および耐火装置の形成治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明では上記問題を解決するために、デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火装置において、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなり、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される耐火板と、前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて設けられる切込部とを備えることを特徴とする耐火装置が提供される。
【0033】
これにより、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、異型隙間の開口部を閉塞するように挿入され、耐火板が異型隙間に挿入されたときに、耐火板と補強用リブとが干渉する位置で、耐火板の周囲から補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられる。
【0034】
また、本発明では、デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火構造において、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなり、前記異型隙間一方側の開口部と、他方側の開口部とを閉塞するように挿入される耐火板と、前記2つの耐火板の間に介在される空間層とを備えることを特徴とする耐火構造が提供される。
【0035】
これにより、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、異型隙間の開口部を閉塞するように挿入され、耐火板が異型隙間に挿入されたときに、耐火板と補強用リブとが干渉する位置で、耐火板の周囲から補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられる。
【0036】
また、本発明では、デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を閉塞する耐火方法において、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される工程と、前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられる工程とを備えることを特徴とする耐火方法が提供される。
【0037】
これにより、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、異型隙間の開口部を閉塞するように挿入され、耐火板が異型隙間に挿入されたときに、耐火板と補強用リブとが干渉する位置で、耐火板の周囲から補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられる。
【0038】
また、本発明では、デッキプレートの下面と、壁部材の上端との間に形成された隙間における前記デッキプレートの内側に補強用リブが形成された異型隙間を、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなり、前記異型隙間の開口部を閉塞するように挿入される耐火板と、前記耐火板が前記異型隙間に挿入されたときに、前記耐火板と前記補強用リブとが干渉する位置で、前記耐火板の周囲から前記補強用リブの先端位置にかけて設けられる切込部とを備える耐火装置の形成治具において、前記耐火板の底面と同型に形成された底面部と、前記底面部の長手方向両側面からコの字状に立設して前記耐火板の側面と同型に形成された側面部と、前記切込部が設けられる位置にあたる側面部に形成される、前記切込部と同型の切欠部とを備えることを特徴とする耐火装置の形成治具が提供される。
【0039】
これにより、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、異型隙間の開口部を閉塞するように挿入され、耐火板が異型隙間に挿入されたときに、耐火板と補強用リブとが干渉する位置で、耐火板の周囲から補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の耐火装置、耐火構造、耐火方法、および耐火装置の形成治具によれば、平面を湾曲変形できる厚さの高密度の不燃材料からなる耐火板が、異型隙間の開口部を閉塞するように挿入され、耐火板が異型隙間に挿入されたときに、耐火板と補強用リブとが干渉する位置で、耐火板の周囲から補強用リブの先端位置にかけて切込部が設けられるので、デッキプレートの凹凸面と壁部材との間に形成された隙間の内側に補強用リブが形成された異型隙間を完全に閉塞することができ、さらに防火性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】第1の実施の形態にかかる耐火装置を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
【
図2】第1の実施の形態の耐火装置が設置されるデッキプレートの一部の形状を示す正面側断面図である。
【
図3】デッキプレートと壁部材との間に形成された隙間に第1の実施の形態の耐火装置を挿入した状態を示す正面図である。
【
図4】第1の実施の形態にかかる耐火装置を設置した状態である耐火構造を示す、耐火装置の中央部における壁の厚さ方向の垂直断面図である。
【
図5】第1の実施の形態にかかる耐火装置を設置した状態である耐火構造を示す正面図である。
【
図6】耐火装置を設置した状態である他の耐火構造例を示す、耐火装置の中央部における壁の厚さ方向の垂直断面図である。
【
図7】第2の実施の形態にかかる耐火装置を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
【
図8】第2の実施の形態の耐火装置が設置されるデッキプレートの一部の形状を示す正面側断面図である。
【
図9】デッキプレートと壁部材との間に形成された隙間に第2の実施の形態の耐火装置を挿入した状態を示す正面図である。
【
図10】第3の実施の形態にかかる耐火装置を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
【
図11】第3の実施の形態の耐火装置が設置されるデッキプレートの一部の形状を示す正面側断面図である。
【
図12】デッキプレートと壁部材との間に形成された隙間に第3の実施の形態の耐火装置を挿入した状態を示す正面図である。
【
図13】耐火装置が有する耐火板を形成するための治具を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
【
図14】耐火装置が有する耐火板を形成するための治具で耐火板を形成する様子を示す正面図である。
【
図15】特許文献1で開示された間仕切り装置の構造例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態にかかる耐火装置を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
【0043】
本実施の形態の耐火装置100は、ここでは図示しないデッキプレート20と壁部材である間仕切り壁30又はランナー40との間に形成される隙間50を閉塞するためのものである。
【0044】
特に、デッキプレート20に形成された凹凸面と壁部材との間に形成された隙間50の内側に補強用リブが形成されたことで、隙間50の形状が矩形や台形とは異なり、隙間50の内側面に凹凸を有する異型隙間51を閉塞するためのものである。
【0045】
なお、本実施の形態では、デッキプレート20の下面に形成された凹部と壁部材との間に台形の異型隙間51が形成されており、ここでは図示しないデッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側中央部、左側側面中央部、および右側側面中央部から内側に突出するように補強用リブR1~R3が形成された異型隙間51を耐火装置100が閉塞する例で説明する。
【0046】
図1に示すように、耐火装置100は、耐火板110、および外被材120を備えている。
耐火板110は、デッキプレート20の下面の凹部と壁部材との間に生じる異型隙間51に充填されて十分な耐火性能を有する不燃材料で形成される。具体的な素材は、たとえば150kg/立方メートル程度又は150kg/立方メートル以上の密度を有するロックウールが挙げられる。ロックウールの他にもセラミックス繊維、グラスウール等の無機質繊維を使用して形成することもできる。
【0047】
たとえば耐火板110は、ロックウールを150kg/立方メートル程度又は150kg/立方メートル以上の密度で集束又は積層し、熱硬化性樹脂などの固着剤を加えて板状に固着した固着断熱材である。
【0048】
また耐火板110の厚さは、耐火板110の平面を湾曲変形できる程度の厚さ、かつ間仕切り壁30を挟んで区分される建造物内の空間の熱を断熱可能な厚さで形成される。具体的には、12.5mm~25mm程度の厚さで耐火板110は形成される。
【0049】
耐火板110は、デッキプレート20の下面の凹部と壁部材との間に生じる異型隙間51の開口部と同形又は異型隙間51よりも若干大形に形成される。耐火板110を異型隙間51に挿入する際には、耐火板110の一部を異型隙間51に挿入し、耐火板110を湾曲変形させる。
【0050】
耐火板110が湾曲変形することで、耐火板110を異型隙間51の開口部よりも小さく収縮することができる。このような湾曲変形により耐火板110を収縮させることで耐火板110を異型隙間51に挿入することができる。
【0051】
また耐火板110は、挿入する異型隙間51の開口部と同形又は開口部周面外側方向に大形に形成されるため、デッキプレート20の下面の凹部と壁部材とに耐火板110を密着するように設置することができる。これにより、異型隙間51を耐火板110で閉塞することができる。すなわち、150kg/立方メートル以上の充填密度で異型隙間51を閉塞することができる。
【0052】
また耐火板110は、周側面から中央部に向かって形成される複数の切込部K(K1~K3)が形成されている。本実施の形態の耐火板110は、デッキプレート20が有する凹部に形成された補強用リブR1~R3に対応する切込部K1~K3が形成されている。
【0053】
切込部K1は、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側中央部から内側に突出するように設けられた補強用リブR1の先端にあたる位置に向かって、耐火板110の周側面から形成される2mm程度の切り込みである。
【0054】
切込部K1を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K1を介して形成される耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとが左右に分離する。これにより、耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとの間に補強用リブR1が入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0055】
なお、切込部K1は、切込部K1によって形成された耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとが左右に分離できればよく、耐火板110を異型隙間51に挿入する前の状態で、耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとが接するように切込部K1を形成することもできるが、高密度で形成された耐火板110の硬度が高いため、補強用リブR1の大きさに合わせて、耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとの間に任意の空間が生じるように切込部K1を形成することもできる。
【0056】
耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとの間に任意の空間が生じるように切込部K1を形成することで、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に圧縮されて、任意の空間は消失する。
【0057】
これにより、耐火板110は、高密度で形成されながらも、表層面に柔軟性を具備することができる。このため、隙間50や異型隙間51の形状が場所によって微妙に異なっていても、所定の形状で形成された耐火板110で柔軟に隙間50や異型隙間51を微隙間が生じることなく閉塞することができる。
【0058】
切込部K1と同様に、切込部K2は、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、デッキプレート20の下面に形成された凹部における左側側面中央部から内側に突出するように設けられた補強用リブR2の先端にあたる位置に向かって、耐火板110の周側面から形成される2mm程度の切り込みである。
【0059】
また切込部K3は、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、デッキプレート20の下面に形成された凹部における右側側面中央部から内側に突出するように設けられた補強用リブR3の先端にあたる位置に向かって、耐火板110の周側面から形成される2mm程度の切り込みである。
【0060】
切込部K2を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K2を介して形成される耐火板切込面112Rと耐火板切込面112Lとが左右に分離する。これにより、耐火板切込面112Rと耐火板切込面112Lとの間に補強用リブR2が入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0061】
また切込部K3を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K3を介して形成される耐火板切込面113Rと耐火板切込面113Lとが左右に分離する。これにより、耐火板切込面113Rと耐火板切込面113Lとの間に補強用リブR3が入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0062】
外被材120は、耐火板110の周面の外側を完全に被覆するように設けられている。外被材120の素材は、たとえばポリエチレンフィルムであって、耐火板110を被覆することで、耐火板110を雨水などの水分から守ることができる。
【0063】
また補強用リブRが切込部Kに入り込む際に、外被材120も一緒に切込部Kに入り込むことができるように、外被材120の大きさに余裕をもたせて耐火板110を被覆することが好ましい。
【0064】
図2は、第1の実施の形態の耐火装置が設置されるデッキプレートの一部の形状を示す正面側断面図である。
図2に示すように、デッキプレート20は、亜鉛鋼板やガルバリウム鋼板(登録商標)などの平板に角型の凹凸加工をしたものであり、上面にコンクリートが打設されて床スラブ10が形成される。
【0065】
デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR1が内側に突出するように形成されている。
【0066】
また、デッキプレート20の下面に形成された凹部における左側側面中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR2が内側に突出するように形成されている。
【0067】
さらに、デッキプレート20の下面に形成された凹部における右側側面中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR3が内側に突出するように形成されている。
【0068】
デッキプレート20に補強用リブR1~補強用リブR3が形成されることで、デッキプレート20の上から打設したコンクリートの圧力によるデッキプレート20の変形を抑制することができる。
【0069】
ところが、補強用リブR1~補強用リブR3を有するデッキプレート20の凹部と壁部材との間に形成する異型隙間51に、高密度で形成された台形の耐火材を圧入すると、異型隙間51の内側に補強用リブRによる突起があるため、耐火材の充填に偏りが生じることで、異型隙間51に充填した耐火材とデッキプレート20との間に小さな隙間である微隙間が生じることになる。
【0070】
この耐火材とデッキプレート20との間に微隙間が生じてしまうと、耐火材で異型隙間51を完全に閉塞できないので、その微隙間から煙や火災が近隣の空間へ拡大してしまう恐れがある。
【0071】
そこで本実施の形態の耐火装置100では、補強用リブRが形成される位置に対応して切込部Kを形成することで、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、切込部Kの間に補強用リブRが入り込む。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0072】
図3は、デッキプレートと壁部材との間に形成された異型隙間に第1の実施の形態の耐火装置を挿入した状態を示す正面図である。
図3に示すように、補強用リブRが形成される位置に対応して耐火板110に切込部Kを形成することで、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、切込部Kの間に補強用リブRが入り込む。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0073】
具体的には、耐火板110の上面内側中央部付近には、補強用リブR1に対応した切込部K1が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K1に補強用リブR1が入り込む。
【0074】
切込部K1に補強用リブR1が入り込むことで、耐火板切込面111Rと耐火板切込面111Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR1の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0075】
また耐火板110の左側側面中央部付近には、補強用リブR2に対応した切込部K2が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K2に補強用リブR2が入り込む。
【0076】
切込部K2に補強用リブR2が入り込むことで、耐火板切込面112Rと耐火板切込面112Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR2の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0077】
同様に、耐火板110の右側側面中央部付近には、補強用リブR3に対応した切込部K3が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K3に補強用リブR3が入り込む。
【0078】
切込部K3に補強用リブR3が入り込むことで、耐火板切込面113Rと耐火板切込面113Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR2の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0079】
図4は、第1の実施の形態にかかる耐火装置を設置した状態である耐火構造を示す、耐火装置の中央部における壁の厚さ方向の垂直断面図である。
図4に示すように耐火構造1000は、デッキプレート20と壁部材である間仕切り壁30又はランナー40との間に形成される異型隙間51を閉塞するように耐火装置100が設置されている。
【0080】
床スラブ10は上階に形成された床であり、デッキプレート20の上面にコンクリートを打設することで形成される。また床スラブ10は下階からみた場合の天井にあたる部分である。
【0081】
この上階のデッキプレート20と下階の床スラブ10との間に形成された空間に、壁部材である間仕切り壁30およびランナー40を設置する。これにより上階のデッキプレート20と下階の床スラブ10との間に形成された空間を複数の空間に区分することができる。
【0082】
間仕切り壁30は、内側に設置される下貼りボード31と外側に設置される仕上げボード32との2重構造で構成されている。また間仕切り壁30を固定するためのランナー40がデッキプレート20の下面に溶着されている。
【0083】
間仕切り壁30は、デッキプレート20の下面に溶着された上部のランナー40と、ここでは図示しない下階側の床スラブ10に固定された下部のランナー40とに接着剤などで固定されている。
【0084】
なお、本実施の形態では、下貼りボード31の厚さが12.5mm、仕上げボード32の厚さが12.5mm、ランナー40の壁圧方向の長さが65mmであるとして説明する。
【0085】
ランナー40はいわゆる溝形鋼であって、溝形鋼のウェブが上階側に、つまり溝形鋼の開口側が下階側を向くようにして設置され、両側のフランジに下貼りボード31が固定される。またランナー40に固定された下貼りボード31の両外側に仕上げボード32が固定される。
【0086】
間仕切り壁30は、固定されるランナー40の両側のフランジのうち、ウェブ側が上方に突出する位置で固定される。ウェブ側が上方に突出した状態で、間仕切り壁30の上端から突出したフランジを被覆するように断熱材33が両外側に固定される。その断熱材33の外側にはシール材34が充填されており、デッキプレート20の下面および耐火装置100と間仕切り壁30との異型隙間51が埋められている。
【0087】
具体的な断熱材33の材質としては、ロックウールを150kg/立方メートル程度又は150kg/立方メートル以上の密度で圧縮し、圧力をかけた状態で熱や振動を加えることで縮絨させてフェルト状に加工した断熱フェルトが挙げられる。断熱フェルトは高い断熱性と高い弾力性を備えている。
【0088】
デッキプレート20の下面は凹凸加工が施してあるため、この状態ではデッキプレート20の下面の凹部と壁部材との間に異型隙間51が生じてしまうことになる。そこで、本実施の形態の耐火構造1000では、2つの耐火装置100と、2つの間に形成される空間層200と、を備えることで異型隙間51を閉塞している。
【0089】
耐火装置100は、デッキプレート20の下面の凹部と壁部材との間に生じる異型隙間51に挿入されるが、一方側だけでなくランナー40を介して反対側に設置される壁部材の上端とデッキプレート20との間に生じる異型隙間51にも耐火装置100が挿入される。
【0090】
これにより、異型隙間51の両側から挿入された2つの耐火装置100の間には、空間層200が形成される。この空間層200が設けられることで、2つの耐火装置100と空間層200とを合わせた3重構造を形成することができる。
【0091】
デッキプレート20の下に設置された間仕切り壁30によって区分された建造物内の空間をつなげていた異型隙間51は、2つの耐火装置100と空間層200とで構成された3重構造により閉塞される。
【0092】
2つの耐火装置100の間に空間層200を介在させることで、さらなる断熱効果を得ることができる。つまり、建造物内の空間で発生した火災による熱が異型隙間51を介して隣り合う建造物内の空間に伝わることをより強固に防止することができる。
【0093】
本実施の形態の耐火構造1000では、耐火装置100が補強用リブRに対応した切込部Kが形成されている。このため、異型隙間51に耐火装置100を挿入した際に、切込部Kの間に補強用リブRが入り込む。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0094】
また耐火装置100が有する耐火板110は、平面を湾曲変形できる程度の厚さで形成される。これにより、耐火板110の平面を湾曲させながら異型隙間51の開口部よりも収縮させて異型隙間51に耐火板110を容易に挿入することができる。
【0095】
また、異型隙間51の開口部と同形又は異型隙間51の開口部よりも周面外側方向に耐火板110が大形に形成される。これにより、異型隙間51に耐火板110を挿入することで、異型隙間51を耐火板110で完全に閉塞することができる。
【0096】
図5は、第1の実施の形態にかかる耐火装置を設置した状態である耐火構造を示す正面図である。
図5に示すように、耐火装置100は、デッキプレート20と壁部材である間仕切り壁30又はランナー40との間に形成される異型隙間51を閉塞するように設置されている。
【0097】
耐火装置100が補強用リブRに対応した切込部Kが形成されている。このため、異型隙間51に耐火装置100を挿入した際に、切込部Kの間に補強用リブRが入り込む。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。つまり、防火区画における防火性能を向上させることができる。
【0098】
図6は、耐火装置を設置した状態である他の耐火構造例を示す、耐火装置の中央部における壁の厚さ方向の垂直断面図である。
図6に示すように、耐火装置100の異型隙間51における壁の厚さ方向の設置位置は任意に設定、すなわち空間層200の厚さは任意に設定することができ、空間層を設けずに2つの耐火装置100を設置することもできる。
【0099】
具体的に
図6(A)に示すように、耐火装置100は間仕切り壁30の上にかかることなく、ランナー40の上面のみに設置することができる。
間仕切り壁30の上部、あるいは断熱材33やシール材34の上部には、間仕切り壁30と異型隙間51との差分を埋めるように、たとえばモルタルや漆喰などの遮音効果が高い遮音材や、ウレタンなどの吸音材などを充填した防音層300を備えることができる。
【0100】
これにより、耐火構造1000は、異型隙間51の両側から挿入された2つの耐火装置100と、2つの耐火装置100の間に形成された空間層200と、耐火装置100の外側に設けられた防音層300とを合わせて5重構造を形成することができる。よって、隣り合う建造物内の空間の熱や音が異型隙間51を介して伝わることをより強固に防止することができる。
【0101】
また
図6(B)に示すように、耐火装置100は間仕切り壁30とランナー40とをまたぐように設置することもできる。これにより、
図6(A)の耐火構造1000と比較して空間層200の厚さが大きくなるので、高い断熱効果を得ることができる。
【0102】
なお、本実施の形態の耐火構造1000では、2つの耐火装置100の間に空間層200を設ける例で説明したが、異型隙間51における壁の厚さ方向の中央部付近に、1つの耐火装置100を設置して、異型隙間51を閉塞することもできる。このとき耐火装置100は耐火性能を十分に発揮できる厚さに調節することができる。
【0103】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の耐火装置は、切込部の位置や数量が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0104】
図7は、第2の実施の形態にかかる耐火装置を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
本実施の形態では、デッキプレート20の下面に形成された凹部と壁部材との間に台形の異型隙間51が形成されており、ここでは図示しないデッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側左部、上面内側右部、左側側面中央部、および右側側面中央部から内側に突出するように補強用リブR1-1、R1-2、R2、およびR3が形成された異型隙間51を耐火装置100が閉塞する例で説明する。
【0105】
図7に示すように、耐火装置100は、耐火板110、および外被材120を備えている。
また耐火板110は、周側面から中央部に向かって形成される複数の切込部K(K1-1、K1-2、K2、およびK3)が形成されている。本実施の形態の耐火板110は、デッキプレート20が有する凹部に形成された補強用リブR1-1、R1-2、R2、およびR3に対応する切込部K1~K3が形成されている。
【0106】
切込部K1-1は、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側左部から内側に突出するように設けられた補強用リブR1-1の先端にあたる位置に向かって、耐火板110の周側面から形成される2mm程度の切り込みである。
【0107】
切込部K1-1を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K1-1を介して形成される耐火板切込面111-1Rと耐火板切込面111-1Lとが左右に分離する。
【0108】
これにより、耐火板切込面111-1Rと耐火板切込面111-1Lとの間に補強用リブR1-1とが入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0109】
また切込部K1-2を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K1-2を介して形成される耐火板切込面111-2Rと耐火板切込面111-2Lとが左右に分離する。
【0110】
これにより、耐火板切込面111-2Rと耐火板切込面111-2Lとの間に補強用リブR1-2が入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0111】
また切込部K2は、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、デッキプレート20の下面に形成された凹部における左側側面中央部から内側に突出するように設けられた補強用リブR2の先端にあたる位置に向かって、耐火板110の周側面から形成される2mm程度の切り込みである。
【0112】
また切込部K3は、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、デッキプレート20の下面に形成された凹部における右側側面中央部から内側に突出するように設けられた補強用リブR3の先端にあたる位置に向かって、耐火板110の周側面から形成される2mm程度の切り込みである。
【0113】
切込部K2を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K2を介して形成される耐火板切込面112Rと耐火板切込面112Lとが左右に分離する。これにより、耐火板切込面112Rと耐火板切込面112Lとの間に補強用リブR2が入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0114】
また切込部K3を形成することによって、耐火板110を異型隙間51に挿入した際に、切込部K3を介して形成される耐火板切込面113Rと耐火板切込面113Lとが左右に分離する。
【0115】
これにより、耐火板切込面113Rと耐火板切込面113Lとの間に補強用リブR3が入り込むため、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなる。このため、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0116】
図8は、第2の実施の形態の耐火装置が設置されるデッキプレートの一部の形状を示す正面側断面図である。
図8に示すように、デッキプレート20は、亜鉛鋼板やガルバリウム鋼板(登録商標)などの平板に角型の凹凸加工をしたものであり、上面にコンクリートが打設されて床スラブ10が形成される。
【0117】
デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側左部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR1-1が内側に突出するように形成されている。
【0118】
デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側右部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR1-2が内側に突出するように形成されている。
【0119】
また、デッキプレート20の下面に形成された凹部における左側側面中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR2が内側に突出するように形成されている。
【0120】
さらに、デッキプレート20の下面に形成された凹部における右側側面中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR3が内側に突出するように形成されている。
【0121】
図9は、デッキプレートと壁部材との間に形成された異型隙間に第2の実施の形態の耐火装置を挿入した状態を示す正面図である。
図9に示すように、補強用リブRが形成される位置に対応して耐火板110に切込部Kを形成することで、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、切込部Kの間に補強用リブRが入り込む。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0122】
具体的には、耐火板110の上面内側左部付近には、補強用リブR1-1に対応した切込部K1-1が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K1-1に補強用リブR1-1が入り込む。
【0123】
切込部K1-1に補強用リブR1-1が入り込むことで、耐火板切込面111-1Rと耐火板切込面111-1Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR1-1の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0124】
また耐火板110の上面内側右部付近には、補強用リブR1-2に対応した切込部K1-2が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K1-2に補強用リブR1-2が入り込む。
【0125】
切込部K1-2に補強用リブR1-2が入り込むことで、耐火板切込面111-2Rと耐火板切込面111-2Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR1-2の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0126】
また耐火板110の左側側面中央部付近には、補強用リブR2に対応した切込部K2が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K2に補強用リブR2が入り込む。
【0127】
切込部K2に補強用リブR2が入り込むことで、耐火板切込面112Rと耐火板切込面112Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR2の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0128】
同様に、耐火板110の右側側面中央部付近には、補強用リブR3に対応した切込部K3が形成されている。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、形成された切込部K3に補強用リブR3が入り込む。
【0129】
切込部K3に補強用リブR3が入り込むことで、耐火板切込面113Rと耐火板切込面113Lとが左右に分離する。このため、補強用リブR2の先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。これにより、耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0130】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の耐火装置は、切込部の位置や数量が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0131】
図10は、第3の実施の形態にかかる耐火装置を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
本実施の形態では、デッキプレート20の下面に形成された凹部と壁部材との間に台形の異型隙間51が形成されており、ここでは図示しないデッキプレート20の下面に形成された凹部の内側において、任意の場所に形成された補強用リブRが形成された場合でも、異型隙間51を微隙間が生じることなく閉塞できる耐火装置100を説明するが、例としてデッキプレート20の下面に形成された凹部の内側における上面内側左部、上面内側右部、上面内側中央部、左側側面中央部、および右側側面中央部から内側に突出するように補強用リブR1-1、R1-2、R1-3、R2、およびR3が形成された異型隙間51を耐火装置100が閉塞する例で説明する。
【0132】
図10に示すように、耐火装置100は、耐火板110、および外被材120を備えている。
また耐火板110は、下面を除いた周側面から中央部に向かって形成される複数の切込部Kが所定の間隔をあけて連続して形成されている。このように、耐火板110とデッキプレート20とが接する周面に、所定の間隔をあけて切込部Kを連続して形成することで、どのような位置に補強用リブRが形成されていたとしても、補強用リブRを切込部Kに挿入することができる。
【0133】
異型隙間51に耐火装置100を挿入する際に、所定の間隔をあけて連続して形成された切込部Kのうち、任意の場所に補強用リブRが挿入される。これにより、補強用リブRが挿入された切込部Kによって、又は、耐火板110を異型隙間51に挿入することによって、他の切込部Kの間の空間は小さくなって閉塞される。
【0134】
これにより、デッキプレート20の下面に形成された凹部の内側において、任意の場所に形成された補強用リブRが形成された場合でも、耐火装置100は異型隙間51を微隙間が生じることなく閉塞することができる。
【0135】
図11は、第3の実施の形態の耐火装置が設置されるデッキプレートの一部の形状を示す正面側断面図である。
図11に示すように、デッキプレート20は、亜鉛鋼板やガルバリウム鋼板(登録商標)などの平板に角型の凹凸加工をしたものであり、上面にコンクリートが打設されて床スラブ10が形成される。
【0136】
デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側左部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR1-1が内側に突出するように形成されている。
【0137】
デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側右部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR1-2が内側に突出するように形成されている。
【0138】
デッキプレート20の下面に形成された凹部における上面内側中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR1-3が内側に突出するように形成されている。
【0139】
また、デッキプレート20の下面に形成された凹部における左側側面中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR2が内側に突出するように形成されている。
【0140】
さらに、デッキプレート20の下面に形成された凹部における右側側面中央部には、デッキプレート20の形状を保持するための補強用リブR3が内側に突出するように形成されている。
【0141】
図12は、デッキプレートと壁部材との間に形成された異型隙間に第3の実施の形態の耐火装置を挿入した状態を示す正面図である。
図12に示すように、耐火板110とデッキプレート20とが接する周面に、所定の間隔をあけて切込部Kを連続して形成することで、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、補強用リブRがどこに設けられていたとしても、切込部Kの間に補強用リブRが入り込む。これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
【0142】
具体的には、耐火板110の上面、左側側面、および右側側面の耐火板110とデッキプレート20とが接する周面には、所定の間隔をあけて切込部Kが連続して形成されている。
【0143】
これにより、耐火装置100を異型隙間51に挿入した際に、所定の間隔をあけて連続して形成されたいずれかの切込部Kに、R1-1、R1-2、R1-3、R2、およびR3が入り込む。
【0144】
切込部Kに補強用リブRが入り込むことで、耐火板切込面が左右に分離する。このため、補強用リブR先端付近で耐火板110が過密になることなく圧力が分散される。耐火板110を異型隙間51に挿入した際の偏りがなくなるので、偏りによって生じる微隙間を抑制することができる。
また分散された補強用リブR先端付近の圧力により、補強用リブRが入り込まない他の切込部Kの空間が縮小されるので、切込部Kの間の空間は小さくなって閉塞される。
【0145】
これにより、デッキプレート20の下面に形成された凹部の内側において、任意の場所に形成された補強用リブRが形成された場合でも、耐火装置100は異型隙間51を微隙間が生じることなく閉塞することができる。
【0146】
図13は、耐火装置が有する耐火板を形成するための治具を示す、正面図、側面図、上面図、および底面図である。
図13に示すように、治具400は、たとえば鉄板をコの字状に折り曲げ加工したものであって、底面部410、および2つの側面部420で構成されている。
【0147】
底面部410は、形成する耐火板110の底面と同じ大きさの矩形で形成されている。また底面部410の長手方向両側面から折り曲げられた2つの側面部420にも形成する耐火板110の側面と同じ台形に切断加工されている。
【0148】
また、側面部420には、耐火板110に切込部Kを形成するための切欠部421が形成されている。
切欠部421は、形成する切込部Kの位置、すなわち補強用リブRの位置や大きさによって、任意の位置や大きさで切り欠きを側面部420に形成することができる。また、側面部420の周面に、所定の間隔をあけて複数の切欠部421を形成することもできる。
【0149】
治具400を使って耐火板110を形成する際には、あらかじめ耐火板110の素材であるロックウールを所定の厚さ(12.5mm~25mm程度の厚さ)で積層したここでは図示しないロックウール板材RWを、コの字状に形成された治具400の間に差し込む。
【0150】
治具400に差し込まれたロックウール板材RWを、治具400の周囲に合わせてカットすることで、一定形状の耐火板110を容易に形成することができる。さらにロックウールが治具400に差し込まれた状態で、切欠部421に合わせてロックウール板材RWに切り込みを入れることで、所定の位置に切込部Kが形成された一定形状の耐火板110を容易に形成することができる。
【0151】
図14は、耐火装置が有する耐火板を形成するための治具で耐火板を形成する様子を示す正面図である。
図14(A)に示すように、あらかじめロックウール板材RWを形成する耐火板110の厚さ、かつ高さの長板状に積層しておき、そのロックウール板材RWの端部に合わせて、治具400を下から挿入する。
【0152】
次に
図14(B)に示すように、治具400の側面部420の左側端辺に合わせてロックウール板材RWをカットする。これにより、ロックウール板材RWの端部から、三角柱状の切れ端が取り除かれる。
【0153】
次に
図15(C)に示すように、治具400の側面部420の右側端辺に合わせてロックウール板材RWをカットする。また、切欠部421の位置に合わせてロックウール板材RWに切込みを形成し、切込部Kを形成する。その後、治具400を切り離したロックウール板材RWから取り除くことで、耐火板110が形成される。
【0154】
次に
図15(D)に示すように、切り離されたロックウール板材RWの斜辺に合わせて治具400を上から挿入する。次に、治具400の側面部420の右側端辺に合わせてロックウール板材RWをカットする。
【0155】
また、切欠部421の位置に合わせてロックウール板材RWに切込みを形成し、切込部Kを形成する。その後、治具400を切り離したロックウール板材RWから取り除くことで、耐火板110が形成される。
【0156】
以上の工程を繰り返すことで、長板状のロックウール板材RWから一定形状の耐火板110を容易に形成することができる。
また、三角柱状の切れ端は長板状のロックウール板材RWの両端部にしか残らないため、歩留まりが向上する。これにより耐火板110の製造コストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0157】
100 耐火装置
110 耐火板
111L、111R、112L、112R、113L、113R 耐火板切込面
120 外被材
200 空間層
K、K1、K2、K3 切込部
R 補強用リブ
R1、R2、R3 補強用リブ