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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070303
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20220506BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20220506BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220506BHJP
   F01P 7/04 20060101ALI20220506BHJP
   F01P 3/12 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B60K11/04 L
B60K11/06
B60K1/04 Z
F01P7/04 M
F01P3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179306
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川野 翔平
(72)【発明者】
【氏名】西脇 洋渡
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC23
3D235AA02
3D235BB57
3D235CC12
3D235CC15
(57)【要約】
【課題】エンジンの停止後に駆動されるファンから生じる音が騒音となるのを抑制できる車両を提供する。
【解決手段】車両は、車両のエンジンルームに搭載され、前記車両の動力源として機能するエンジンと、前記エンジンルームに空気を導入するファンと、前記ファンの駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記エンジンの駆動中に前記ファンを駆動させるとともに、ファン駆動条件が成立する場合は前記エンジンが停止しても前記ファンを所定期間駆動するように制御し、前記制御部は、前記エンジンを停止する際に前記ファン駆動条件が成立するとき、第1条件が成立した場合は、前記第1条件が成立しない場合に比べ前記ファンの作動音を小さくする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームに搭載され、前記車両の動力源として機能するエンジンと、
前記エンジンルームに空気を導入するファンと、
前記ファンの駆動を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記エンジンの駆動中に前記ファンを駆動させるとともに、ファン駆動条件が成立する場合は前記エンジンが停止しても前記ファンを所定期間駆動するように制御し、
前記制御部は、前記エンジンを停止する際に前記ファン駆動条件が成立するとき、第1条件が成立した場合は、前記第1条件が成立しない場合に比べ前記ファンの作動音を小さくする、
車両。
【請求項2】
ユーザが車室内又は前記車両の近傍にいることを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により前記ユーザが前記車室内又は前記車両の近傍にいることが検知された場合、前記第1条件が成立したと判断する、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
走行用モータと、前記走行用モータに電力を供給するバッテリとを備え、車外から前記バッテリに電力を供給可能であり、
前記制御部は、車外から前記バッテリに電力の供給が開始された場合、前記第1条件が成立したと判断する、
請求項1又は2に記載の車両。
【請求項4】
走行用モータと、前記走行用モータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリを冷却する冷却装置と、前記冷却装置の出力を制御する冷却制御部とを備え、
前記第1条件が成立した場合、前記冷却制御部は第1条件が成立しない場合に比べ前記冷却装置の出力を高くする、
請求項1又は2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンルーム内に配設された冷却ファンを駆動制御する冷却ファン駆動制御装置が開示されている。かかる冷却ファン駆動制御装置は、エンジンルーム温度を予測するエンジンルーム温度予測手段と、エンジンルーム温度予測手段の予測結果に基づいて、エンジン周辺部品温度を予測するエンジン周辺部品温度予測手段と、少なくともエンジン周辺部品温度予測手段の予測結果に基づいて、冷却ファンの駆動設定を行う駆動設定手段と、を備える。そして、駆動設定手段は、エンジン周辺部品温度予測手段の予測結果に基づいて、冷却ファンのエンジン停止後の駆動時間を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-175171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する冷却ファン駆動制御装置では、エンジンの停止後にも冷却ファンが駆動されるため、駆動される冷却ファンから生じる音がユーザに伝達され易くなる。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、エンジンの停止後にも駆動されるファンから生じる音がユーザに伝達されるのを抑制できる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る車両は、車両のエンジンルームに搭載され、前記車両の動力源として機能するエンジンと、前記エンジンルームに空気を導入するファンと、前記ファンの駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記エンジンの駆動中に前記ファンを駆動させるとともに、ファン駆動条件が成立する場合は前記エンジンが停止しても前記ファンを所定期間駆動するように制御し、前記制御部は、前記エンジンを停止する際に前記ファン駆動条件が成立するとき、第1条件が成立した場合は、前記第1条件が成立しない場合に比べ前記ファンの作動音を小さくする。
【0007】
上記の構成によれば、制御部は、エンジンの駆動中にファンを駆動させるとともに、ファン駆動条件が成立する場合はエンジンが停止してもファンを所定期間駆動する。また、制御部は、エンジンを停止する際にファン駆動条件が成立するとき、第1条件が成立した場合は、第1条件が成立しない場合に比べファンの作動音を小さくする。これにより、第1条件が成立するような状況においてはエンジンの停止後にファンから生じる音をユーザに伝達され難くすることができる。
【0008】
本発明の実施形態では、上記の構成において、ユーザが車室内又は前記車両の近傍にいることを検知する検知部を備え、前記制御部は、前記検知部により前記ユーザが前記車室内又は前記車両の近傍にいることを検知された場合、前記第1条件が成立したと判断する。
【0009】
上記の構成によれば、制御部は、検知部によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることが検知された場合、第1条件が成立したと判断するので、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合に比べファンの作動音を小さくする。これにより、検知部によりユーザが冷却ファンから生じる音が伝達され易い車室内又は車両の近傍にいることを検知された場合、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合よりもファンの作動音が小さくなり、エンジンの停止後にファンから生じる音がユーザに伝達され難くすることができる。
【0010】
本発明の実施形態では、上記の構成において、走行用モータと、前記走行用モータに電力を供給するバッテリとを備え、車外から前記バッテリに電力を供給可能であり、前記制御部は、車外から前記バッテリに電力の供給が開始された場合、前記第1条件が成立したと判断する。
【0011】
上記の構成によれば、制御部は、車外からバッテリに電力の供給が開始された場合、第1条件が成立したと判断するので、車外からバッテリに電力が供給されていない場合に比べファンの作動音を小さくする。これにより、車外からバッテリに電力が供給されている場合はユーザが車内若しくは車両の近傍にいることがあるが、車外からバッテリに電力の供給が開始された場合、ファンの作動音が小さくなるため、エンジンの停止後にファンから生じる音がユーザに伝達され難くすることができる。
【0012】
本発明の実施形態では、上記の構成において、走行用モータと、前記走行用モータに電力を供給するバッテリと、前記バッテリを冷却する冷却装置と、前記冷却装置の出力を制御する冷却制御部とを備え、前記第1条件が成立した場合、前記冷却制御部は第1条件が成立しない場合に比べ前記冷却装置の出力を高くする。
【0013】
上記の構成によれば、第1条件が成立した場合、第1条件が成立しない場合に比べファンの作動音を小さくするとともに、冷却制御部は第1条件が成立しない場合に比べ冷却装置の出力を高くする。これにより、ファンから生じる音がユーザに伝達されるのを抑制しつつ、冷却装置の冷却能力を高め、ファン及び冷却装置から生じる音が騒音となるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、エンジンの停止後に駆動されるファンから生じる音が騒音となるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態2に係る車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態3に係る車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の制御構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両は、エンジン1、ファン2及び制御部3を有する。エンジン1は、車両のエンジンルームに搭載され、車両の動力源として機能する。ファン2は、エンジンルームに空気を導入する電動ファンであり、車両前方に配置されたラジエータ(図示せず)の後方に配置される。ファン2は、補機バッテリ11又は高電圧バッテリ6を電源とし、高電圧バッテリ6をファン2の電源とする場合には、高電圧バッテリ6の電圧をDCDCコンバータによって降圧してファン2に供給する。
【0018】
制御部3は、ファン2の駆動を制御する部分であり、エンジン1の駆動中にファン2を駆動させるとともに、エンジン1が停止してもファン駆動条件が成立した場合はファン2が所定期間駆動するように制御する(「アフターランファン(ARF)」という)。ファン駆動条件は、例えば、エンジン1を停止する際、すなわちエンジン走行終了直前、若しくはエンジン走行終了直後のエンジンルーム内の温度が予め設定された所定温度(第1の所定温度)以上の場合に成立する。本実施形態では、所定期間は、予め設定された所定時間であり、例えば、エンジンルーム内の温度が予め設定された所定温度(第2の所定温度)以下になるに必要な時間である。所定時間は、実験などで予め求めておけばよく、例えば、エンジンルーム内が取り得る最高温度から第2の所定温度まで減少するまでの時間とすればよい。なお、所定期間はエンジンルーム内の温度を計測し、エンジンルーム内の温度が所定温度となるまでの期間としてもよい。
【0019】
また、制御部3は、ファン駆動条件が成立するとき、第1条件が成立した場合は、第1条件が成立しない場合に比べARFによるファン2の作動音を小さくするためにファン2の回転数を小さくする。第1条件は、例えば、ユーザにファン2の音が伝わりやすい条件であり、例えば、ユーザが車室内又は車両の近傍にいること、又は、車両周囲が静粛であること、である。ユーザが車室内又は車両の近傍にいることは、例えば、キーレスオペレーションキー(電子キー)41が車両との通信範囲にあること、車両に設けられたセンサやカメラでユーザを検出することで判断可能である。車両周囲が静粛であることは、ナビゲーションシステムの地図情報、時間帯によって判断可能であり、また、マイク等の集音装置によって検出した音の大きさによって判断可能である。
【0020】
尚、制御部3は、例えば、制御装置及び演算装置を含むプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Acesess Memory)等のメモリを含み構成されるが、これに限られるものではない。
【0021】
上述した本発明の実施形態に係る車両によれば、制御部3は、エンジン1の駆動中にファン2を駆動させるとともに、エンジン1が停止してもファン駆動条件が成立する場合はファン2を所定期間駆動する。また、制御部3は、ファン駆動条件が成立するとき、第1条件が成立する場合は、第1条件が成立しない場合に比べファン2の回転数を小さくする。これにより、エンジン1の停止後に駆動されるファン2から生じる音が騒音となるのを抑制できる。また、ファン2から生じる音が騒音となり難い場合(第1条件が成立しない場合)はファン2の回転数を小さくしないので、エンジンルーム内を早期に冷却することができる。
【0022】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両では、制御部3は、一つのファン2から生じる音(作動音)が小さくなるように、ユーザが車室内又は車両の近傍にいない場合よりも一つのファン2の回転数を小さくするが、ファン2を特性が異なる二つのファン(例えば、一方は風量が多く回転数(作動音)も大きいファン、他方は風量が少なく回転数(作動音)が小さいファン)を搭載し、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合には風量が多く作動音が大きいファンを駆動する、若しくは両方のファンを駆動し、ユーザが車室内又は車両の近傍にいることが検知された場合には風量が小さく作動音が小さいファンを駆動するものとしてもよい。また、ファンの回転数を小さくした場合はエンジンルーム内が冷却され難くなるため、ARFの継続時間(所定時間)を長くしてもよい。その他、複数のファンを搭載し、それぞれのファンの作動音を打ち消し合うもしくは減衰させるように回転数を制御することでファンの作動音を小さくしてもよい。
【0023】
[実施形態1]
図2は、本発明の実施形態1に係る車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。本発明の実施形態1に係る車両は、ユーザが車室内又は車両の近傍にいることを検知する検知部4を備える。検知部4は、例えば、キーレスオペレーションシステムで構成され、キーレスオペレーションキー(電子キー)41が車両との通信範囲内にある場合に、ユーザが車室内又は車両の近傍にいると判断(検知)する。また、本発明の実施形態1に係る車両では、制御部3は、検知部4によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることを検知された場合、第1条件が成立したと判断する。これにより、制御部3は、ファン駆動条件が成立し、かつ、検知部4によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることが検知された場合は、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合よりもファン2の回転数を小さくする。
【0024】
図2に示すように、本発明の実施形態1に係る車両では、エンジン走行中(エンジン1の駆動中)にファン2を駆動させ、エンジン停止の際にARFが必要か否か、すなわちファン駆動条件が成立しているか否かを判断する(ステップS11,S12)。ARFが必要であると判断すると(ステップS12:Yes)、ARFを開始する(ステップS13)。
【0025】
ARFの実施中に、検知部4がユーザが車室内又は車両の近傍にいるか否かを検知する(ステップS14)。ユーザが車室内又は車両の近傍にいるか否かは、例えば、上述したように、キーレスオペレーションキー(電子キー)41が車両との通信範囲内にあるか否かで検知する。
【0026】
制御部3は、検知部4によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることが検知された場合(ステップS14:Yes)、ファン2から生じる音(作動音)が小さくなるように、ユーザが車室内又は車両の近傍にいない場合よりもファン2の回転数を小さくする(ステップS15)。一方、制御部3は、検知部4によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることが検知されない場合(ステップS14:No)、通常(高回転)のARFを継続するようにファン2を制御する(ステップS16)。すなわち、ファン2の回転数を維持する。
【0027】
そして、所定時間の経過によりARFが終了すると(ステップS17:Yes)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS18)。尚、エンジン停止直後にARFが必要でないと判断された場合(ステップS12:No)にも一連の作業を終了する(車両Sleep)(ステップS18)。
【0028】
上述した本発明の実施形態1に係る車両によれば、制御部3は、検知部4によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることが検知された場合、第1条件が成立したと判断するので、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合に比べファン2の作動音を小さくする。ユーザが車室内又は車両の近傍にいる場合は、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合に比べファン2から生じる音がユーザに伝達され易くなる。検知部4によりユーザが車室内又は車両の近傍にいることを検知された場合、ユーザが車室内及び車両の近傍にいない場合よりもファン2の回転数が小さくすることにより、エンジン1の停止後に駆動されるファン2から生じる音がユーザに伝達され難くすることができる。
【0029】
上述した本発明の実施形態1に係る車両では、検知部4は、例えば、キーレスオペレーションシステムで構成されるものとしたが、これに限られるものではなく、例えば、ユーザを検出できる各種センサ(赤外線センサ、超音波センサ等)又はカメラであってもよい。また、例えば、座席(シート)に設けられた着座センサ、車両停車後ドアが開いた後所定時間が経過するまで車両の近傍にいるとしてもよい。
【0030】
[実施形態2]
図3は、本発明の実施形態2に係る車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。本発明の実施形態2に係る車両は、エンジンルームにエンジン1及び走行用モータ5が搭載され、エンジン1及び走行用モータ5が動力源として機能するハイブリッド車両である。かかる車両は、エンジン1及び走行用モータ5のほか、走行用モータ5に電力を供給する高電圧バッテリ6を備え、車外から高電圧バッテリ6に電力を供給可能(充電可能)である。そして、制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合、第1条件が成立したと判断する。車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたか否かは、例えば、充電口7に充電コネクタ(図示せず)が接続されたか否かで判断する。これにより、制御部3は、エンジン1停止の際にファン駆動条件が成立し、かつ、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給がされない場合よりもファン2の回転数を小さくする。
【0031】
図3に示すように、本発明の実施形態2に係る車両では、エンジン駆動走行中(エンジン1の駆動中)にファン2を駆動させ、エンジン停止の際にARFが必要か否かを判断する(ステップS21,S22)。ARFが必要であると判断すると(ステップS22:Yes)ARFを開始する(ステップS23)。
【0032】
ARFの実施中に、制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたか否かを判断する(ステップS24)。車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたか否かは、例えば、上述したように、充電口7に充電コネクタが接続されたか否かで判断する。
【0033】
制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合(ステップS24:Yes)、ファン2から生じる音(作動音)が小さくなるように、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合よりもファン2の回転数を小さくする(ステップS25)。一方、制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合(ステップS24:No)、通常(高回転)のARFを継続するようにファン2を制御する(ステップS26)。
【0034】
そして、所定時間の経過によりARFが終了すると(ステップS27:Yes)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS28)。尚、エンジン停止直後にARFが必要でないと判断された場合(ステップS12:No)にも一連の作業を終了する(車両Sleep)(ステップS28)。
【0035】
上述した本発明の実施形態2に係る車両によれば、制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合、第1条件が成立したと判断するので、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合に比べファン2の回転数を小さくする。車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合、ユーザが車室内又は車両の近傍にいることがある。その場合、ユーザはファン2から生じる音を認識しやすくなる。車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合よりもファン2の回転数を小さくすることにより、エンジン1の停止後に駆動されるファン2から生じる音がユーザに伝達されることを抑制できる。なお、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合は、しばらくの間車両の走行がないと考えられるため、ファン2の回転数を小さくしてエンジンルーム内の冷却に時間がかかったとしても、次回の車両の走行に与える影響は少ない。
【0036】
上述した本発明の実施形態2に係る車両では、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたか否かによってユーザが車室内又は車両の近傍にいるか否かを判断している。すなわち、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたことを検知する充電開始検知部が、実施形態1の検知部4として機能する。
【0037】
[実施形態3]
図4は、本発明の実施形態3に係る車両の制御内容を概略的に示すフローチャートである。本発明の実施形態3に係る車両は、エンジンルームにエンジン1及び走行用モータ5が搭載され、エンジン1及び走行用モータ5が動力源として機能するハイブリッド車両である。かかる車両は、エンジン1及び走行用モータ5のほか、走行用モータ5に電力を供給する高電圧バッテリ6、高電圧バッテリ6を冷却する冷却装置61、及び、冷却装置61の出力を制御する冷却制御部8を備える。高電圧バッテリ6を冷却する冷却装置61は、例えば、高電圧バッテリ6を収納するバッテリパックに内蔵されたファンや、バッテリパックに内蔵されたバッテリパックの外部から冷媒が供給されるエバポレータである。冷却制御部8は、ファンや冷媒を供給するコンプレッサの出力を制御する制御装置により構成される。そして、第1条件が成立した場合、冷却制御部8は第1条件が成立しない場合に比べ冷却装置61の出力を高くする。第1条件は、上述したように、たとえば、ユーザが車室内又は車両の近傍にいること、又は、車外からバッテリ(高電圧バッテリ)6に電力の供給が開始されたこと、であるが、ここでは、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたことを例に説明する。
【0038】
図4に示すように、本発明の実施形態3に係る車両では、エンジン駆動走行中(エンジン1の駆動中)にファン2を駆動させ、エンジン停止の際にARFが必要か否かを判断する(ステップS31,S32)。ARFが必要であると判断すると(ステップS32:Yes)ARFを開始する(ステップS33)。
【0039】
ARFの実施中に、制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始されたか否かを判断する(ステップS34)。
【0040】
制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力の供給が開始された場合(ステップS34:Yes)、ファン2から生じる音(作動音)が小さくなるように、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合よりもファン2の回転数を小さくする(ステップS35)。そして、冷却制御部8は、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合よりも冷却装置61の出力を高くする(ステップS36)。一方、制御部3は、車外から高電圧バッテリ6に電力が供給されていない場合(ステップS34:No)、通常(高回転)のARFを継続するようにファン2を制御する(ステップS37)。この場合は、冷却制御部8は、冷却装置61を通常の出力(一定、若しくは高電圧バッテリ6の温度等に基づいた出力)とする。
【0041】
例えば、冷却制御部8が高電圧バッテリ6の温度と冷却装置61の出力との関係を示すマップを有する場合、通常のファン2の回転数でARFを行う場合は第1のマップに基づいて高電圧バッテリ6の温度に応じて冷却装置61の出力を決定し、ファン2の回転数を小さくしてARFを行う場合は、第1のマップよりも高電圧バッテリ6の各温度に対する冷却装置61の出力が大きい値に設定された第2のマップに基づいて冷却装置61の出力を決定する。
【0042】
そして、所定時間の経過によりARFが終了すると(ステップS38:Yes)、一連の制御を終了する(車両sleep)(ステップS39)。尚、エンジン停止直後にARFが必要でないと判断された場合(ステップS32:No)にも一連の作業を終了する(車両Sleep)(ステップS39)。
【0043】
上述した本発明の実施形態3に係る車両によれば、第1条件が成立した場合、第1条件が成立しない場合に比べファン2の回転数を小さくするとともに、冷却制御部8は第1条件が成立しない場合に比べ冷却装置61の出力を高くする。これにより、ファン2から生じる作動音がユーザに伝達されるのを抑制しつつ、冷却装置61の冷却能力を高め、ファン2及び冷却装置61から生じる音が騒音となるのを抑制できる。
【0044】
すなわち、冷却装置61の冷却能力を高めることで車両の次回の走行に早期に備えることや、高電圧バッテリ6の充電効率を早期に高めることができるが、冷却装置61の冷却能力を高めると冷却装置61から生じる音が大きくなるため、ファン2の回転数を小さくしてファン2から生じる音が小さくなったときに冷却装置61の冷却能力を高めるようにすることで車両から生じる音(ファン2及び冷却装置61から生じる音の総計)を抑制することができる。さらに、冷却装置61が高電圧バッテリ6のバッテリパックに内蔵されている場合は、ファン2から生じる音に比べ、冷却装置61から生じる音が高電圧バッテリ6の外部に漏れにくい。これにより、冷却装置61の出力を高くしても高電圧バッテリ6の外部に伝達される冷却装置61から生じる音の変化は小さく、冷却装置61から生じる音の増加が騒音となるのを抑制できる。
【0045】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0046】
1 エンジン
2 ファン
3 制御部
4 検知部
41 キーレスオペレーションキー(電子キー)
5 走行用モータ
6 高電圧バッテリ
61 冷却装置
7 充電口
8 冷却制御部
11 補機バッテリ
12 DCDCコンバータ
図1
図2
図3
図4