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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070327
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】寿司成形型及び寿司成形方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20220506BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179337
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC07
4B023LE17
4B023LT29
(57)【要約】
【課題】 通常の横長形状の寿司を誰でも成形することが可能な寿司成形型及び寿司成形方法を提供すること。
【解決手段】 上成形型1と下成形型2を合体した状態で平坦面6に載置し、上成形型1のシャリ玉成形凹部3に寿司ネタNを載置し、上成形型1の上から中間型10を装着し、中間型10の中間成形貫通孔11内にシャリRを供給し、中間型10の上から、下向押圧用突起16が中間成形貫通孔11内に挿入する状態で、押圧板15により押圧することにより、下向き押圧用突起16の下面16bとシャリ玉成形凹部3と中央底面3aとの間で寿司ネタNとシャリRが押圧成形され、天地逆転して上下成形型1,2を取り外すことで、最終的に下向押圧用突起16の上に寿司Kを成形することができる。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中央成形凹部と、これらの各中央成形凹部の両端に上下貫通孔が形成された上成形型と、上記上成形型の下側から上記各上下貫通孔に装着される複数の閉鎖用突起が形成され、装着時において上記上成形型と共に平坦面に載置した状態で、上記各閉鎖用突起の各上面が上記中央成形凹部の中央底面と面一の両端底面を構成することにより、上記閉鎖用突起の上記両端底面と上記中央成形凹部の上記中央底面によって複数の横長形状のシャリ玉成形凹部を構成する下成形型と、上記上成形型の上面に装着可能であって上記上成形型及び上記下成形型の複数の上記シャリ玉成形凹部の対応位置に、上記シャリ玉成形凹部と同数の円筒状の中間成形貫通孔が上下方向に突出形成された中間型とから成形型が構成され、
かつ上記中間型の上側から複数の上記中間成形貫通孔内に挿入し得るものであって、上記中間成形貫通孔の対応位置に、上記中間成形貫通孔と同数の下向押圧用突起を有する押圧板が設けられ、
上記押圧板には、上記下向押圧用突起の下面が上記中間型の上記中間成形貫通孔内の上下方向の所定位置に位置するように位置規制するための同一長さの下向規制突起が複数設けられ、
上記上成形型と上記下成形型が装着され、平坦面に上記下成形型を最下部として載置された状態で、上記各シャリ玉成形凹部上に寿司ネタが載置され、上記寿司ネタが載置された状態の上記上成形型の上に上記シャリ玉成形凹部と上記中間成形貫通孔が対応するように上記中間型が装着され、上記中間型の上記中間成形貫通孔内にシャリが供給された状態において、
上記押圧板の上記各下向押圧用突起を上記中間型の対応する上記中間成形貫通孔内に挿入嵌合させ、上記下向規制突起の下端が上記上成形型の上面に当接するまで下向に押圧されることにより、上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面と上記下向押圧用突起の上記下面との間において、上記寿司ネタ及びシャリを一体に成形し得るように構成されたものである寿司成形型。
【請求項2】
上記下成形型は上記平坦面に設置されていない状態においては上記上成形型に対して近接する方向に摺動して、上記閉鎖用突起を上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面から突出し得るように構成されており、
上記平坦面に上記成形型を上記下成形型を最下部として載置された状態において、上記押圧板を以って上記下向押圧用突起を上記中間型の上記中間成形貫通孔に嵌合させ上記シャリ玉成形凹部内の上記寿司ネタ及び上記シャリの成形を行った後、上記成形型を上記押圧板を嵌合したまま天地逆転した状態において、上記上成形型及び下成形型を取り外すことにより、上記押圧板の上記下向押圧用突起の上に上部に寿司ネタが乗った状態の成形されたシャリ玉が露出するように構成され、
上記天地逆転した状態において、上記下成形型を上記上成形型に近接する方向に摺動することにより、上記閉鎖用突起を上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部から突出させ、上記シャリ玉成形凹部からの上記寿司ネタ及び上記シャリ玉の離脱を促進し得るように構成されたものである請求項1記載の寿司成形型。
【請求項3】
上記平坦面に上記下成形型を最下部として載置して、上記中間型を上記上成形型に載置した状態において、上記中間成形貫通孔の前後長は上記中央成形凹部の前後長と同一であって上記シャリ玉成形凹部の前後の上記両端底面は上記中間成形凹部からはみ出しており、かつ、上記中間成形貫通孔の下端と上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面との間には空間が形成されており、これにより寿司ネタが上記中央成形凹部の上記中央底面から前後方向にはみ出すことが可能に構成された請求項1又は2記載の寿司成形型。
【請求項4】
上記下成形型の上記閉鎖用突起は、1つの上記シャリ玉成形凹部の長手方向の両端部に各々設けられており、
上記平坦面に上記下成形型を最下部として上記上成形型を装着した状態において、上記中央成形凹部の上記中央底面と上記閉鎖用突起の上記両端底面は、上記シャリ玉成形凹部の長手方向に沿って緩やかな下向き円弧状をなし、上記シャリ玉成形凹部の短手方向に沿って下向き円弧状をなしているものである請求項1~3の何れかに記載の寿司成形型。
【請求項5】
上記下成形型の短手方向の側面には外側突出部を有する可動片が形成され、
上記上成形型の短手方向の側面の対応位置の側壁には、上縁から下方に切欠が設けられ、
上記下成形型の上記閉鎖用突起を上記上成形型の上下貫通孔に嵌合した状態において、上記外側突出部が上記切欠の下縁に係合することにより、上記上成形型から上記下成形型が下方向に抜け止め状態になると共に、
上記下成形型を上記上成形型に対して近接方向に摺動することにより、上記閉鎖用突起が上記シャリ玉成形凹部から突出し得るように構成されているものである請求項1~4の何れかに記載の寿司成形型。
【請求項6】
シャリ玉排出口の下側に載置部のX方向Y方向移動機構を有するシャリ玉供給装置が設けられ、
上記成形型は上記中間型を上側に上記載置部の上面に設置固定され、複数の上記中間成形貫通孔内へのシャリの供給は、上記X方向Y方向移動機構によって上記成形型をX方向又はY方向に移動しながら上記シャリ玉排出口から上記中間成形貫通孔内にシャリを1個ずつ落下供給されることにより行われるものである請求項1~5の何れかに記載の寿司成形型。
【請求項7】
複数の中央成形凹部と、これらの各中央成形凹部の両端に上下貫通孔が形成された上成形型と、上記上成形型の下側から上記各上下貫通孔に装着される複数の閉鎖用突起が形成され、装着時において上記上成形型と共に平坦面に載置した状態で、上記各閉鎖用突起の各上面が上記中央成形凹部の中央底面と面一の両端底面を構成することにより、上記閉鎖用突起の上記両端底面と上記中央成形凹部の上記中央底面によって複数の横長形状のシャリ玉成形凹部を構成する下成形型と、上記上成形型の上面に装着可能であって上記上成形型及び上記下成形型の複数の上記シャリ玉成形凹部の対応位置に、上記シャリ玉成形凹部と同数の円筒状の中間成形貫通孔が上下方向に突出形成された中間型とから成形型が構成され、
かつ上記中間型の上側から複数の上記中間成形貫通孔内に挿入し得るものであって、上記中間成形貫通孔の対応位置に、上記中間成形貫通孔と同数の下向押圧用突起を有する押圧板が設けられ、上記押圧板には、上記下向押圧用突起の下面が上記中間型の上記中間成形貫通孔内の上下方向の所定位置に位置するように位置規制するための同一長さの下向規制突起が複数設けられた寿司成形型を使用した寿司成形方法であって、
上記上成形型の上記各上下貫通孔に上記下成形型の上記各閉鎖用突起が嵌合するように装着し、平坦面に上記下成形型を最下部として載置された状態で、上記各シャリ玉成形凹部上に寿司ネタを載置する工程と、
上記寿司ネタが載置された状態の上記上成形型の上に、上記シャリ玉成形凹部と上記中間成形貫通孔が対応するように上記中間型を装着し、上記中間型の上記中間成形貫通孔内にシャリを供給する工程と、
上記押圧板の上記各下向押圧用突起を上記中間型の対応する上記中間成形貫通孔内に挿入嵌合し、上記下向規制突起の下端が上記上成形型の上面に当接するまで下向に押圧することにより、上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面と上記下向押圧用突起の上記下面との間において、上記寿司ネタ及びシャリを一体に成形する工程とからなる寿司成形型を使用した寿司成形方法。
【請求項8】
上記下成形型は上記平坦面に設置されていない状態においては上記上成形型に対して近接する方向に摺動して、上記閉鎖用突起を上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面から突出し得るように構成されており、
上記平坦面に上記成形型を上記下成形型を最下部として載置された状態において、上記押圧板を以って上記下向押圧用突起を上記中間型の上記中間成形貫通孔に嵌合し、上記シャリ玉成形凹部内の上記寿司ネタ及び上記シャリの成形を行った後、上記成形型を上記押圧板を嵌合したまま天地逆転する工程と、
上記天地逆転した状態において、上記下成形型を上記上成形型に近接する方向に摺動しながら上記上成形型及び下成形型を上記中間型及び押圧板から取り外すことにより、上記閉鎖用突起が上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部内に突出し、上記シャリ玉成形凹部からの上記寿司ネタ及びシャリ玉の離脱を促進する工程と、
上記上成形型及び上記下成形型を取り外した状態において、上記押圧板の上記下向押圧用突起の上に上部に寿司ネタが乗った状態の成形された上記シャリ玉を露出させる工程と、からなる請求項7に記載した寿司成形型を使用した寿司成形方法。
【請求項9】
上記平坦面に上記下成形型を最下部として載置し、上記中間型を上記上成形型に載置した状態において、上記中間成形貫通孔の前後長は上記中央成形凹部の前後長と同一であって上記シャリ玉成形凹部の前後の上記両端底面は上記中間成形凹部からはみ出しており、かつ、上記中間成形貫通孔の下端と上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面との間には空間が形成されており、これにより寿司ネタが上記中央成形凹部の上記中央底面から前後方向にはみ出すことが可能に構成された請求項7又は8記載の寿司成形型を使用した寿司成形方法。
【請求項10】
シャリ玉排出口の下側に、載置部のX方向Y方向移動機構を有するシャリ玉供給装置が設けられ、複数の上記中間成形貫通孔内へのシャリの供給は、上記載置部上に上記成形型を設置し、上記X方向Y方向移動機構によって上記成形型をX方向又はY方向に移動しながら上記シャリ玉排出口から上記中間成形貫通孔内にシャリを自動的に落下供給することにより行うことを特徴とする請求項7又は8に記載の寿司成形型を使用した寿司成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャリ玉にネタを載せた状態の寿司を簡単に成形することができる寿司成形型及びそれを使用した寿司成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、寿司成形型として、特許文献1に示す成形型が存在する。
【0003】
この寿司成形型は、円形(球形)のシャリ玉成形孔が複数設けられた上成形型と、シャリ玉成形孔の底面中央部を閉鎖する円柱状の閉鎖用突起が複数設けられた下成形型とから構成され、上記上成形型と下成形型を平坦面上で重ねて載置し、上成形型の複数の上記シャリ玉成形孔の底面に各々寿司ネタを載せ、複数の上記シャリ玉成形孔内に各々シャリ玉を投入し、押圧板の下向押圧用突起(上記シャリ玉成形孔に対応して複数設けられている)を上記シャリ玉成形孔内に挿入することで、各シャリ玉成形孔内において、球形(手毬状)の寿司を成形するものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-208367号公報
【特許文献2】特開2014-23510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の寿司成形型は、球形(手毬状)の寿司を成形することはできるが、シャリ玉が通常の形状の寿司、即ち、シャリ玉が通常の直方体形状(横長形状)の寿司は成形することができない。
【0006】
従って、通常の横長形状の寿司を成形する場合は、特許文献2に示すシャリ玉整列装置を使用せざるを得ず、結局は、トレー上の複数のシャリ玉の上に、寿司ネタを載せるだけとなり、このように形成した通常の直方体形状(横長形状)の寿司は、シャリ玉と寿司ネタとの一体性がなく、例えば、パックに複数の寿司を入れて運搬する際に、シャリ玉と寿司ネタがずれてしまう、或いは、シャリ玉から寿司ネタが落ちてしまう、という課題があった。
【0007】
また、上記従来の寿司成形型では、押圧板をどこまで押圧すれば良いのか、わかり難く、最適の押圧板を使用して寿司を成形するには、経験則が必要であるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、通常の横長形状の寿司において、誰でも、寿司用のネタとシャリ(寿司飯)を一体的に成形することが可能な寿司成形型及び寿司成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、経験則を必要とせず、誰でも簡単に寿司を成形することができる寿司成形型及び寿司成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、複数の中央成形凹部と、これらの各中央成形凹部の両端に上下貫通孔が形成された上成形型と、上記上成形型の下側から上記各上下貫通孔に装着される複数の閉鎖用突起が形成され、装着時において上記上成形型と共に平坦面に載置した状態で、上記各閉鎖用突起の各上面が上記中央成形凹部の中央底面と面一の両端底面を構成することにより、上記閉鎖用突起の上記両端底面と上記中央成形凹部の上記中央底面によって複数の横長形状のシャリ玉成形凹部を構成する下成形型と、上記上成形型の上面に装着可能であって上記上成形型及び上記下成形型の複数の上記シャリ玉成形凹部の対応位置に、上記シャリ玉成形凹部と同数の円筒状の中間成形貫通孔が上下方向に突出形成された中間型とから成形型が構成され、かつ上記中間型の上側から複数の上記中間成形貫通孔内に挿入し得るものであって、上記中間成形貫通孔の対応位置に、上記中間成形貫通孔と同数の下向押圧用突起を有する押圧板が設けられ、上記押圧板には、上記下向押圧用突起の下面が上記中間型の上記中間成形貫通孔内の上下方向の所定位置に位置するように位置規制するための同一長さの下向規制突起が複数設けられ、上記上成形型と上記下成形型が装着され、平坦面に上記下成形型を最下部として載置された状態で、上記各シャリ玉成形凹部上に寿司ネタが載置され、上記寿司ネタが載置された状態の上記上成形型の上に上記シャリ玉成形凹部と上記中間成形貫通孔が対応するように上記中間型が装着され、上記中間型の上記中間成形貫通孔内にシャリが供給された状態において、上記押圧板の上記各下向押圧用突起を上記中間型の対応する上記中間成形貫通孔内に挿入嵌合させ、上記下向規制突起の下端が上記上成形型の上面に当接するまで下向に押圧されることにより、上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面と上記下向押圧用突起の上記下面との間において、上記寿司ネタ及びシャリを一体に成形し得るように構成されたものである寿司成形型により構成される。
【0011】
このように構成すると、シャリ玉成形凹部に寿司ネタを載置し、その上から中間型を装着し、中間型の中間成形貫通孔にシャリを投入し、その後は、押圧板を各下向押圧用突起を上記各中間成形貫通孔に挿入し、下向規定突起の下端が上記上成形型の上面に当接するまで下向に押圧するだけで、シャリ玉成形凹部の中央底面と下向押圧用突起の下面により寿司ネタとシャリを一体的に成形することができる。従って、通常の横長形状の寿司を、誰でもが、あたかも寿司職人が握ったかのように、寿司ネタとシャリを一体的に成形することができる。しかも、押圧板は、下向規定突起の下端が上成形型の上面に当接するまで押圧すれば良いので、誰が操作しても、寿司ネタとシャリを一定の圧力で成形することができ、作業者によって握りの硬さが異なることはない。
【0012】
第2に、上記下成形型は上記平坦面に設置されていない状態においては上記上成形型に対して近接する方向に摺動して、上記閉鎖用突起を上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面から突出し得るように構成されており、上記平坦面に上記成形型を上記下成形型を最下部として載置された状態において、上記押圧板を以って上記下向押圧用突起を上記中間型の上記中間成形貫通孔に嵌合させ上記シャリ玉成形凹部内の上記寿司ネタ及び上記シャリの成形を行った後、上記成形型を上記押圧板を嵌合したまま天地逆転した状態において、上記上成形型及び下成形型を取り外すことにより、上記押圧板の上記下向押圧用突起の上に上部に寿司ネタが乗った状態の成形されたシャリ玉が露出するように構成され、上記天地逆転した状態において、上記下成形型を上記上成形型に近接する方向に摺動することにより、上記閉鎖用突起を上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部から突出させ、上記シャリ玉成形凹部からの上記寿司ネタ及び上記シャリ玉の離脱を促進し得るように構成されたものである上記第1記載の寿司成形型により構成される。
【0013】
上記押圧板による押圧が終了した後、押圧板を嵌合した状態で、成形型を天地逆転して、上成形型と下成形型を取り除くことで、押圧板の下向押圧用突起の上面に、寿司ネタが上に乗った状態のシャリ玉(いわゆる寿司)を臨出(露出)させることができる。その後は、作業者は、容易に、各寿司を皿等に取り卸すことができる。
【0014】
第3に、上記平坦面に上記下成形型を最下部として載置して、上記中間型を上記上成形型に載置した状態において、上記中間成形貫通孔の前後長は上記中央成形凹部の前後長と同一であって上記シャリ玉成形凹部の前後の上記両端底面は上記中間成形凹部からはみ出しており、かつ、上記中間成形貫通孔の下端と上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面との間には空間が形成されており、これにより寿司ネタが上記中央成形凹部の上記中央底面から前後方向にはみ出すことが可能に構成された上記第1又は2記載の寿司成形型により構成される。
【0015】
このように構成すると、寿司ネタがシャリの前後にはみ出した状態の寿司を成形することができ、いわゆる寿司ネタの大きな寿司を容易に成形することができる。
【0016】
第4に、上記下成形型の上記閉鎖用突起は、1つの上記シャリ玉成形凹部の長手方向の両端部に各々設けられており、上記平坦面に上記下成形型を最下部として上記上成形型を装着した状態において、上記中央成形凹部の上記中央底面と上記閉鎖用突起の上記両端底面は、上記シャリ玉成形凹部の長手方向に沿って緩やかな下向き円弧状をなし、上記シャリ玉成形凹部の短手方向に沿って下向き円弧状をなしているものである上記第1~3の何れかに記載の寿司成形型により構成される。
【0017】
このように構成すると、上記シャリ玉成形凹部の長手方向に沿って緩やかな下向き円弧状をなし、上記シャリ玉成形凹部の短手方向に沿って下向き円弧状をなしているものであるから、シャリ玉成形凹部に底面に寿司ネタを載置して、その上からシャリを寿司ネタと一体的に成形するので、いわゆる寿司職人が握ったような形状の横長形状の寿司を、誰もが成形することができる。よって、輸送時等において、寿司のシャリ玉から寿司ネタが外れることもない。
【0018】
第5に、上記下成形型の短手方向の側面には外側突出部を有する可動片が形成され、上記上成形型の短手方向の側面の対応位置の側壁には、上縁から下方に切欠が設けられ、上記下成形型の上記閉鎖用突起を上記上成形型の上下貫通孔に嵌合した状態において、上記外側突出部が上記切欠の下縁に係合することにより、上記上成形型から上記下成形型が下方向に抜け止め状態になると共に、上記下成形型を上記上成形型に対して近接方向に摺動することにより、上記閉鎖用突起が上記シャリ玉成形凹部から突出し得るように構成されているものである上記第1~4の何れかに記載の寿司成形型により構成される。
【0019】
このように構成すると、上下成形型を装着した状態においては、下成形型が下方に抜け止め状態となるため、例えば移動の際に便宜であり、しかも、下成形型が上成形型に対して近接方向に摺動して閉鎖用突起がシャリ玉成形凹部から上方に突出し得るため、例えば天地逆転した後、上下成形型を押圧板から取り外す際、シャリ玉成形凹部の前後から閉鎖用突起を突出することができるので、シャリ玉成形凹部から寿司の離脱を促進することができる。
【0020】
第6に、シャリ玉排出口の下側に載置部のX方向Y方向移動機構を有するシャリ玉供給装置が設けられ、上記成形型は上記中間型を上側に上記載置部の上面に設置固定され、複数の上記中間成形貫通孔内へのシャリの供給は、上記X方向Y方向移動機構によって上記成形型をX方向又はY方向に移動しながら上記シャリ玉排出口から上記中間成形貫通孔内にシャリを1個ずつ落下供給されることにより行われるものである上記第1~5の何れかに記載の寿司成形型により構成される。
【0021】
載置部は例えばトレー(27)により構成することができる。このように構成すると、シャリ玉供給装置により、作業者が一つずつ中間成形貫通孔にシャリを供給する作業を、完全に、自動化することができる。
【0022】
第7に、複数の中央成形凹部と、これらの各中央成形凹部の両端に上下貫通孔が形成された上成形型と、上記上成形型の下側から上記各上下貫通孔に装着される複数の閉鎖用突起が形成され、装着時において上記上成形型と共に平坦面に載置した状態で、上記各閉鎖用突起の各上面が上記中央成形凹部の中央底面と面一の両端底面を構成することにより、上記閉鎖用突起の上記両端底面と上記中央成形凹部の上記中央底面によって複数の横長形状のシャリ玉成形凹部を構成する下成形型と、上記上成形型の上面に装着可能であって上記上成形型及び上記下成形型の複数の上記シャリ玉成形凹部の対応位置に、上記シャリ玉成形凹部と同数の円筒状の中間成形貫通孔が上下方向に突出形成された中間型とから成形型が構成され、かつ上記中間型の上側から複数の上記中間成形貫通孔内に挿入し得るものであって、上記中間成形貫通孔の対応位置に、上記中間成形貫通孔と同数の下向押圧用突起を有する押圧板が設けられ、上記押圧板には、上記下向押圧用突起の下面が上記中間型の上記中間成形貫通孔内の上下方向の所定位置に位置するように位置規制するための同一長さの下向規制突起が複数設けられた寿司成形型を使用した寿司成形方法であって、上記上成形型の上記各上下貫通孔に上記下成形型の上記各閉鎖用突起が嵌合するように装着し、平坦面に上記下成形型を最下部として載置された状態で、上記各シャリ玉成形凹部上に寿司ネタを載置する工程と、上記寿司ネタが載置された状態の上記上成形型の上に、上記シャリ玉成形凹部と上記中間成形貫通孔が対応するように上記中間型を装着し、上記中間型の上記中間成形貫通孔内にシャリを供給する工程と、上記押圧板の上記各下向押圧用突起を上記中間型の対応する上記中間成形貫通孔内に挿入嵌合し、上記下向規制突起の下端が上記上成形型の上面に当接するまで下向に押圧することにより、上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面と上記下向押圧用突起の上記下面との間において、上記寿司ネタ及びシャリを一体に成形する工程とからなる寿司成形型を使用した寿司成形方法により構成される。
【0023】
第8に、上記下成形型は上記平坦面に設置されていない状態においては上記上成形型に対して近接する方向に摺動して、上記閉鎖用突起を上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面から突出し得るように構成されており、上記平坦面に上記成形型を上記下成形型を最下部として載置された状態において、上記押圧板を以って上記下向押圧用突起を上記中間型の上記中間成形貫通孔に嵌合し、上記シャリ玉成形凹部内の上記寿司ネタ及び上記シャリの成形を行った後、上記成形型を上記押圧板を嵌合したまま天地逆転する工程と、上記天地逆転した状態において、上記下成形型を上記上成形型に近接する方向に摺動しながら上記上成形型及び下成形型を上記中間型及び押圧板から取り外すことにより、上記閉鎖用突起が上記上成形型の上記シャリ玉成形凹部内に突出し、上記シャリ玉成形凹部からの上記寿司ネタ及びシャリ玉の離脱を促進する工程と、上記上成形型及び上記下成形型を取り外した状態において、上記押圧板の上記下向押圧用突起の上に上部に寿司ネタが乗った状態の成形された上記シャリ玉を露出させる工程と、からなる上記第7に記載した寿司成形型を使用した寿司成形方法により構成される。
【0024】
第9に、上記平坦面に上記下成形型を最下部として載置し、上記中間型を上記上成形型に載置した状態において、上記中間成形貫通孔の前後長は上記中央成形凹部の前後長と同一であって上記シャリ玉成形凹部の前後の上記両端底面は上記中間成形凹部からはみ出しており、かつ、上記中間成形貫通孔の下端と上記シャリ玉成形凹部の上記中央底面との間には空間が形成されており、これにより寿司ネタが上記中央成形凹部の上記中央底面から前後方向にはみ出すことが可能に構成された上記第7又は8記載の寿司成形型を使用した寿司成形方法により構成される。
【0025】
第10に、シャリ玉排出口の下側に、載置部のX方向Y方向移動機構を有するシャリ玉供給装置が設けられ、複数の上記中間成形貫通孔内へのシャリの供給は、上記載置部上に上記成形型を設置し、上記X方向Y方向移動機構によって上記成形型をX方向又はY方向に移動しながら上記シャリ玉排出口から上記中間成形貫通孔内にシャリを自動的に落下供給することにより行うことを特徴とする上記第7又は8に記載の寿司成形型を使用した寿司成形方法により構成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上述のように、通常の横長形状の寿司を、誰でもが、あたかも寿司職人が握ったかのように、寿司ネタとシャリを一体的に成形することができる。しかも、押圧板は、下向規定突起の下端が上成形型の上面に当接するまで押圧すれば良いので、誰が操作しても、寿司ネタとシャリを一定の圧力で成形することができ、作業者によって握りの硬さが異なることはない。
【0027】
また、上記押圧板による押圧が終了した後、押圧板を嵌合した状態で、成形型を天地逆転して、上成形型と下成形型を取り除くことで、押圧板の下向押圧用突起の上に、寿司ネタが上に乗った状態のシャリ玉(いわゆる寿司)を臨出(露出)させることができる。その後は、作業者は、容易に、各寿司を皿等に取り卸すことができる。
【0028】
また、寿司ネタがシャリの前後にはみ出した状態の寿司を成形することができ、いわゆる寿司ネタの大きな寿司を容易に成形することができる。
【0029】
また、上記シャリ玉成形凹部は、その長手方向に沿って緩やかな下向き円弧状をなし、上記シャリ玉成形凹部の短手方向に沿って下向き円弧状をなしているものであるから、シャリ玉成形凹部に中央底面及び両端底面に寿司ネタを載置して、その上からシャリを寿司ネタと一体的に成形するので、いわゆる寿司職人が握ったような形状の横長形状の寿司を、誰もが簡単に成形することができる。
【0030】
また、上下成形型を装着した状態においては、下成形型が下方に抜け止め状態となるため、例えば移動の際に便宜であり、しかも、下成形型が上成形型に対して近接方向に摺動して閉鎖用突起がシャリ玉成形凹部から突出し得るため、天地逆転した後、上下成形型を押圧板から取り外す際、シャリ玉成形孔の前後から閉鎖用突起を突出することができるので、シャリ玉成形孔から寿司の離脱を促進することができる。
【0031】
また、シャリ玉供給装置により、作業者が一つずつ中間成形貫通孔にシャリを供給する作業を、完全に、自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る寿司成形型における下成形型と上成形型の分解斜視図である。
図2】(a)は下成形型の上に上成形型を嵌合した状態の斜視図、(b)は上成形型のシャリ玉成形凹部に寿司ネタを載置する状態を示す斜視図である。
図3】(a)は上下成形型を嵌合した上面に中間型を載置する状態の分解斜視図、(b)は上下成形型を嵌合した上面に中間型を載置した状態の斜視図である。
図4】(a)は上下成形型の上面に中間型を載置した状態において、中間型の中間成形貫通孔に手作業にてシャリを投入する状態の斜視図、(b)は上下成形型の上面に中間型を載置した状態の上から、押圧板を嵌合する状態を示す分解斜視図である。
図5】(a)は上下成形型の上面に中間型を載置し、さらにその上に押圧板を嵌合した状態の斜視図、(b)は(a)の寿司成形型を天地逆転した状態の斜視図である。
図6】天地逆転した寿司成形型から、上下成形型のみを取り外した状態を示す斜視図である。
図7】(a)は図2(a)の2列目の長手方向のY1-Y1断面図、(b)は図2(a)の左右方向のY2-Y2断面図である。
図8】(a)は図3(b)の長手方向のY3-Y3断面図、(b)は図3(b)のY4-Y4断面図である。
図9】(a)は図5(a)の2列目のY5-Y5断面図、(b)は図5(a)のY6-Y6断面図である。
図10】(a)は上成形型を裏側からみた平面図、(b)は(a)のX1-X1線断面図、(c)は(a)のX2-X2線断面図、(d)は(a)の右側面図である。
図11】(a)は下成形型を表側からみた平面図、(b)は(a)のX3-X3断面図、(c)は(a)の右側面図である。
図12】(a)は中間型を裏側からみた平面図、(b)は(a)のX4-X4断面図、(c)は(a)のX5-X5断面図である。
図13】(a)は押圧板を表側からみた平面図、(b)は(a)のX6-X6断面図、(c)は(a)の背面図、(d)は(a)のX7-X7断面図である。
図14】下成形型2を上成形型1に対して上方にスライドした状態を示す断面図である。
図15】押圧板の押圧用突起の斜視図である。
図16】天地逆転して上下成形型を取り外した状態の押圧用突起の断面図である。
図17】シャリ玉供給装置の構造を示す同供給装置の概略縦断面図である。
図18】シャリ玉供給装置を用いて寿司成形型内にシャリ玉を供給する状態を示すシャリ玉供給装置の概略横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明における寿司成形型及びそれを使用した寿司成形方法について詳細に説明する。尚、図1において、紙面に向かって左方向を「前」、右方向を「後」とし、「前方から後方を向いた場合の左右を「左右方向」、直方体形状の上成形型1の長手方向を「前後方向」といい、短手方向を「左右方向」、上下を「上下方向」という。
【0034】
また、各成形型の上面側を「上」、「表」、下面側を「下」、「裏」ともいう。さらに、図1において、上記上成形型1において、左側から右側に向かって前後方向の列を、1列~4列という(他の図の成形型においても同じ)。
【0035】
(上成形型1と下成形孔2について、図1図10図11等参照)
上成形型1は、図1図10図10は上成形型1を裏から見ている)に示すように、長手方向の側壁1a,1b、短手方向の側壁1c,1dから構成されており、長方形の箱型を構成している。
【0036】
上記各側壁1a~1dに囲まれた内部には、長手方向に上記側壁1a,1bに平行に中間壁1e,1f,1gが前後方向に設けられており、上記側壁1bと中間壁1eの間、中間壁1e,1fの間、中間壁1fと中間壁1gの間、中間壁1gと側壁1aの間には、各列に長手方向に3つずつの中央成形凹部3’が合計12個形成されている。
【0037】
また、上記各中央成形凹部3’の前後には、上下に開口した略直方体形状の上下貫通孔4(図10参照)における上下貫通孔4,4,4,4(これらの上下貫通孔の位置を特定しない場合は符号「4」を使用する)が形成されている。
【0038】
また、上記各列の中央成形凹部3’は、図10に示すように、各列で交互に前後方向にずれ(図10におけるずれ距離T1)が設けられており、これにより、1列目の側壁1c側の上下貫通孔4は前後方向に上下貫通孔4より幅が狭く、上下貫通孔4より前後幅が広く形成され、中央部の上下貫通孔4,4は前後方向に最も幅が広く、側壁1d側の上下貫通孔4は、前後方向の幅が最も狭い長さを有している。そして、これらの上下貫通孔4~4は、各列において、上記中央成形凹部3’の上記ずれ(距離T1)に基づいて、交互に逆転するように構成されている。
【0039】
即ち、1列目は、前方から後方に向けて上下貫通孔4,4,4,4が設けられ、2列目は前方から後方に向けて上下貫通孔4,4,4,4が設けられ、3列目は前方から後方に向けた上下方向貫通孔4,4,4,4が設けられ(1列目と同じ)、4列目は前方から後方に向けて上下貫通孔4,4,4,4が設けられるというように(2列目と同じ)、各列毎に前後が逆転するように設けられている(上下貫通孔4の数は全部で16個)。
【0040】
上記中央成形凹部3’は、全部が同一の大きさの成形孔であり、シャリ玉成形凹部3の中央部分を構成するものである。図10(b)に示すように、上記中央成形凹部3’は、前後方向には緩やかな下向き円弧状であると共に、左右方向には図1図10(c)に示すように、略半円状(下向き円弧状)の中央底面3aを有している。
【0041】
また、上記中央成形凹部3’の上記中央底面3aの最下部は、上記側壁1a,1bの上下方向の中間位置に存在しており、上記底部3aの下方には、直方体形状の空間S1(図10(b)(c)(d)参照)が形成されている。
【0042】
尚、上記上下貫通孔4には、各上下貫通孔4に対応する大きさの下成形型2の閉鎖用突起5(5,5,5,5)が挿通嵌合して、シャリ玉成形凹部3を構成することになる(図2(a)参照)。
【0043】
また、ここで「嵌合」とは、例えば上下貫通孔4に閉鎖用突起5(閉鎖用突起5,5,5,5の位置を特定しない場合は符号「5」を使用する)が挿入されることを意味するが、本発明においては、上下貫通孔4の内面と閉鎖用突起5の外面は若干の隙間があり、両者はいつでも挿入、抜脱できるような状態をいう。以下、「嵌合」という言葉を他の部材でも使用するが、他の部材においても、同様に、両者の間には若干の隙間があり、いつでも挿入、抜脱できる状態をいう。
【0044】
下成形型2は、図1図11に示すように、上記上成形型1の上記空間S1内に入り込む面積の長方形板状の底板2’と(図7(a)参照)、上記底板2’の上面に設けられ、上記各上下貫通孔4に対応した大きさの閉鎖用突起5(全16個)が設けられている。上記底板2’は、長手方向の辺2a,2bと短手方向の辺2c,2dにより構成されている(図11参照)。
【0045】
上記各閉鎖用突起5は、1列目を見ると(図11参照、図11(a)は下成形型2を表から見ている)、上記上成形型1の上下貫通孔4に嵌合する前後方向の長さを有する略直方体形状の閉鎖用突起5と、上記上下貫通孔4,4に嵌合する2つの前後方向に長い略直方体形状の閉鎖用突起5,5と、上記上下貫通孔4に嵌合する前後方向に最も長さの短い閉鎖用突起5が設けられている。
【0046】
そして、上記上成形型1の各列の上記上下貫通孔4,4,4,4に対応するように、上記各列の閉鎖用突起5,5,5,5は、列毎に逆転するように構成されている。即ち、1列目の閉鎖用突起は、前方から後方に向けて閉鎖用突起5,5,5,5が形成され、2列目の閉鎖用突起は、前方から後方に向けて閉鎖用突起5,5,5,5が形成され、3列目の閉鎖用突起は、前方から後方に向けて閉鎖用突起5,5,5,5が形成され(1列目と同じ)、4列目の閉鎖用突起は、前方から後方に向けて閉鎖用突起5,5,5,5が形成されている(2列目と同じ)。隣接する列の閉鎖用突起5のずれは上記距離T1である。
【0047】
また、上記各列の隣接する閉鎖用突起5~5と閉鎖用突起5~5との間には、上記中間壁1e~1gが入る間隔tが設けられている(図11(a)(c)参照)。
【0048】
そして、上記下成形型2を平坦面6に載置して(図7参照)、その上に上記上成形型1を被覆して、上成形型1も上記平坦面6上に載置したとき、各閉鎖用突起5(全16個)は、上記上成形型1の対応する上記上下貫通孔4に嵌合状態で挿通され、その状態で、上記各閉鎖用突起5の各上面が上記各中央成形凹部3’の中央底面3aと面一の両端底面3a,3a(緩やかな円弧状面)を構成し、上記中央成形凹部3’と共にシャリ玉成形凹部3(全12個)を形成するように構成されている(図2図7参照)。
【0049】
平坦面6上に下成形型2と上成形型1を載置するとは、図7(a)(b)に示すように、平坦面6に下成形型2の底板2’を載置し、その上から上成形型1を、各上下貫通孔4(16個)に対応する閉鎖用突起5が全て挿通嵌合するように、被覆した状態をいい、上記上成形型1の側壁1a~1dの下縁1hが上記平坦面6に接し、かつ、上記空間S1内に下成形型2が位置している状態(図2(a)の状態)、即ち、下成形型2の底板2’の周縁2”が上記上成形型1の側壁1a~1dの内側に、丁度、挿通嵌合している状態をいう。この状態においては、上成形型1の側壁1a~1dの内側に、上記下成形型2の底板2’の周縁2”が接するか接しないかの近接状態(上成形型1と下成形型2の嵌合状態では、上成形型1に対して下成形型2が上下方向に移動可能な状態)をいう。
【0050】
そして、図7(a)(b)の状態においては、以下に説明するように、上成形型1の上下貫通孔4に下成形型2の閉鎖用突起5が各々嵌合し、上記平坦面6に載置した状態では、閉鎖用突起5の上面の両端底面3aと両端底面3aが中央底面3aと円弧状に面一となり、各々1つのシャリ玉成形凹部3を構成するようになっている(図7(a)参照)。
【0051】
即ち、平坦面6上に下成形型2を載置し、その上に上成形型1を嵌合載置した状態において、1列目に着目すると、上記閉鎖用突起5の上面には上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されており、上記閉鎖用突起5に隣接する上記閉鎖用突起5の上記前側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されている。上記両端底面3aと上記両端底面3aの円弧は互いに内側が対向しており、上記中央成形凹部3’の中央底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3a、上記閉鎖用突起5の上記両端底面3aによって、1つのシャリ玉成形凹部3が形成されている(図2(a)参照)。
【0052】
上記閉鎖用突起5に隣接する上記閉鎖用突起5の後側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されており、上記閉鎖用突起5に隣接する他の閉鎖用突起5の前側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されている。そして、上記両端底面3a(閉鎖用突起5の後側)と上記両端底面3a(他の閉鎖用突起5の前側)の円弧は互いに内側が対向しており、上記中央成形凹部3’の中央底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3a、上記後側の上記閉鎖用突起5の両端底面3aによって、1つのシャリ玉成形凹部3が形成されている。
【0053】
上記閉鎖用突起5に隣接する後側の上記閉鎖用突起5の後側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されており、上記閉鎖用突起5の前側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されている。そして、上記両端底面3a(閉鎖用突起5の後側)と上記両端底面3a(閉鎖用突起5の前側)の円弧は互いに内側が対向しており、上記中央成形凹部3’の中央底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3aによって、1つのシャリ玉成形凹部3が形成されている。
【0054】
また、2列目に着目すると、上記閉鎖用突起5の上面には上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されており、上記閉鎖用突起5に隣接する上記閉鎖用突起5の上記前側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’に面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されている。上記両端底面3aと上記両端底面3aの円弧は互いに内側が対向しており、上記中央成形凹部3’の中央底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3a、上記閉鎖用突起5の上記両端底面3aによって、1つのシャリ玉成形凹部3が形成されている。
【0055】
上記閉鎖用突起5に隣接する上記閉鎖用突起5の後側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されており、上記閉鎖用突起5に隣接する他の閉鎖用突起5の前側の上記中央成形孔3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されている。そして、上記中央底面3a(閉鎖用突起5の後側)と上記両端底面3a(他の閉鎖用突起5の前側)の円弧は互いに内側が対向しており、上記中央成形凹部3’の中央底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3a、上記後側の上記閉鎖用突起5の両端底面3aによって、1つのシャリ玉成形凹部3が形成されている。
【0056】
上記閉鎖用突起5に隣接する後側の上記閉鎖用突起5の後側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されており、上記閉鎖用突起5の前側の上記中央成形凹部3’側には、上記中央成形凹部3’の中央底面3aに面一の凹円弧状の両端底面3aが形成されている。そして、上記両端底面3a(閉鎖用突起5の後側)と上記両端底面3a(閉鎖用突起5の前側)の円弧は互いに内側が対向しており、上記中央成形孔3’の中央底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3a、上記閉鎖用突起5の両端底面3aによって、1つのシャリ玉成形凹部3が形成されている。
【0057】
3列目と4列目も、同様であり、各閉鎖用突起5の上面が両端底面3a又は両端底面3aとなって中央成形凹部3’の中央底面3aと共にシャリ玉成形凹部3(角丸長方形状(二つの等しい長さの平行線と、該平行線の両端部の二つの円弧形状からなる形状))が構成される(3列目は前後方向に3個のシャリ玉成形凹部3、4列目は前後方向に3個のシャリ玉成形凹部3が形成されている)。
【0058】
このように、平坦面6上に下成形型2を下として上成形型1を被覆した状態においては、図2(a)(b)に示すように、上面側に、12個のシャリ玉成形凹部3が形成された状態となる。そしてシャリ玉成形凹部3は、列毎にずれ(距離T1)だけ前後にずれている。動作手順としては、図7(a)(b)に示すように、この下成形型2上に上成形型1を被覆した状態で、各シャリ玉成形凹部3に寿司ネタN(12個)を載置する(図2(b)参照)。尚、寿司ネタNは例えば前後長が標準70mm~最大100mmを有している。
【0059】
(次に、上成形型1と下成形型2の移動機構についての説明)
図1図7(a)において、上記上成形型1の短手方向の側壁1c,1dには上縁から下方向けてU字状の切欠7a,7aが両側部に設けられている。一方、上記下成形型2の短手方向の上記切欠7a,7aに対応する両端の閉鎖用突起5,5には、上端部8b,8bを上記閉鎖用突起5,5に接続されたU字状の可動片8a,8aが設けられている。このように、上記閉鎖用突起5,5は、下成形型2の短手方向の側面を構成しており、上記短手方向の側面に上記可動片8a,8aが形成されていることになる。
【0060】
これらの可動片8a,8aの下端は、上記切欠7a,7aに沿う円弧部が各々形成されており、これらの円弧部に沿う円弧状の外側突出部8c,8cが外側に突設されている。上記外側突出部8c,8cは、上記閉鎖用突起5,5の短手方向を構成する側面より外側に突出している(図7(a)参照)。
【0061】
そして、上記下成形型2を平坦面6に載置した状態で、上記上成形型1を上記下成形型2被覆する際、上記下成形型2の各可動片8a,8a(4か所)を、上記上端部8b,8bを起点に弾性的に内側に折り曲げて、上記外側突出部8c,8cを上成形型1の側壁1c,1dの内側よりも、さらに内側に引っ込ませ、その状態で、下成形型2の上に上記上成形型1を被覆嵌合する。上記外側突出部8c,8cは、上成形型1の側壁1c,1dの内側に当たりながら、進んで行き、上記切欠7a,7aに至ると、可動片8a,8aが弾性復帰し、上記外側突出部8c,8cは切欠7a,7aの下端の「U」字部に係合する(図2図7(a)参照)。
【0062】
即ち、上記上成形型1の下縁1hが上記平坦面6上に接し、各閉鎖用突起5が対応する各上下貫通孔4に嵌合した状態において(図7(a)参照)、上記可動片8a,8a(4か所)は、上記切欠7a,7aに位置した状態で外側に弾性復帰し、上記外側突出部8c,8c(4か所)は、上記切欠7a,7aの下端に係合した状態となる(図2図7(a)参照)。円弧状の外側突出部8c,8cは、各々の切欠7a,7aの下端の円弧部に係合した状態となる。また、側壁1c,1dには取手9,9が外側に突出形成されている(図1図7(a)参照)。
【0063】
従って、図2の状態(下成形型2に上成形型1を被覆した状態)において、上成形型1の側壁1c,1dの取手9,9を以って持ち上げると、下成形型2は上成形型1から下方向に抜け止めされた状態となり、下成形型2と上成形型1を同時に持ち上げられるので便宜である。
【0064】
また、下成形型2は(図14参照)、上成形型1に対して、距離T2の範囲で、上成形型1に対して矢印A方向に近接して、上記シャリ玉成形孔3の閉鎖用突起5,5,5、5を中央成形凹部3’の中央底面3aから突出することができる(図7(a)参照)。この機能は、最後に天地逆転して、上成形型1と下成形型2とを取り外す際に、シャリ玉成形凹部3から寿司ネタN及びシャリ玉R’を剥しやすくすること、即ち、寿司ネタNとシャリ玉R’のシャリ玉成形凹部3からの離脱の促進を行うことができるものである。尚、以下に説明するが、寿司成形型にて成形前のシャリ(炊いた飯に酢を混ぜた酢飯)を符号「R」、成形後のシャリ(シャリ玉)を符号「R’」で示す。
【0065】
(中間型10の説明)図3図12等参照
次に中間型10について説明する。中間型10は、平坦面6上に下成形型2を最下部として上成形型1を被覆した状態において、図3に示すように、上記上成形型1の上に載置して、シャリ玉成形孔3に上下方向の高さを確保するためのものである。
【0066】
従って、中間型10は、上記上成形型1と同様の形状であり、長手方向の側壁10a,10bと短手方向の側壁10c,10dからなる直方体形状の箱型から構成されている。そして、上面には上板10eにて閉鎖されており、上記上板10eに、上記上成形型1と下成形型2からなるシャリ玉成形凹部3の位置に対応する、上下方向に貫通した中間成形貫通孔11(全12個)が下向きに筒状に上下方向に突出形成されている(図3図12参照)。
【0067】
ここで、1つの中間成形貫通孔11について説明すると、図3図8(a)(b)、図12図12(a)は中間型10を裏から見ている)に示すように、上部は中間成形貫通孔11の全周に亘って末広がり状に広がるテーパ部11aが設けられていると共に、上記テーパ部11aに沿って垂直下方に、横断面が角丸長方形(二つの等しい長さの平行線と、該平行線の両端部の二つの円弧形状からなる形状、図12(a)参照)の筒状の周壁11bが形成され、上記上成形型1の上面に載置した状態においては、上記中間成形貫通孔11の下縁11cは、上記上成形型1の上面(下成形型2の閉鎖用突起5の上面5a)と、上記シャリ玉成形凹部3の中央底面3aとの中間位置(上記底面3aの最も低い位置から距離T3の位置)まで、位置するように構成されている(図8(a)参照)。即ち、上記中間成形貫通孔11の下縁11cは、上記閉鎖用突起5の上面5aよりは下方であって、上記シャリ玉成形凹部3の中央底面3aには接しないように位置している。
【0068】
また、上記中間型10の上記中間成形貫通孔11は、上記上成形型1と下成形型2との合体状態のシャリ玉成形凹部3に比べて、その前後方向幅は、上記中央成形凹部3’の前後方向長さと同一となっている(図8(a)参照)。
【0069】
これは、図8(a)に示すように、中間成形貫通孔11の下端11cの前後端部と中央底面3aとの間の距離T4の空間S2を設けることにより、上記空間S2から寿司ネタNが両端底面3a、及び両端底面3a側にはみ出すことができるように構成している。
【0070】
従って、図8(a)に示すように、中間型10の中間成形貫通孔11の周壁11bの横断面の角丸長方形の前後方向長さT7(図12参照)は、上記中央成形凹部3’の前後方向長さと同じとなり、その範囲にてシャリR(酢飯)が角丸長方形状(横長形状)に成形されることになる。よって、下側にある寿司ネタNは、成形されたシャリ玉R’より前後方向にはみ出すことができるように構成されている(図6図16参照)。即ち、寿司ネタNは前後長が例えば最大100mmであっても、標準70mmであっても、中央成形凹部3’の前後をはみ出し、両端底面3a,3aまで至る(図8(a)参照)。
【0071】
ここで、上記上成形型1の上面に中間型10を載置するとは、中間型10の短手方向の側壁10c,10dの内側に設けられた2つのリブ12a,12aと、長手方向の側壁10a,10bの内側に設けられた2つのリブ12b,12b(図12(a)(b)参照)の下端を、図8(a)に示すように、上記下成形型2の対応する閉鎖用突起5の上面5aに当接させ、上成形型1の上側の長手方向の突出リブ1i上に中間型10の長手方向の側壁10a,10bの下縁10fを当接させることをいう(図3(a)(b)、図8(b)参照)。
【0072】
上記中間型10の上下方向貫通の上記中間成形貫通孔11(全12個)も、1列目は、上成形型1のシャリ玉成形凹部3に合わせて、全体に後側にずれており、2列目は全体に前側にずれており、3列目は後側にずれており、4列目は前側にずれている(ずれの量は各々距離T1)、という構成である(図12(a)参照)。
【0073】
また上記中間型10の上板10eには、後述の押圧板15の下向規制突起14(12本)を挿通するための透孔13(全12個)が、上記押圧板13の下向規制突起14に対応する位置に開口している。具体的には、1列目と2列目の間における前後方向の位置に4個の透孔13、2列目と3列目の間における前後方向の位置に4個の透孔13、3列目と4列目の間における前後方向の位置に4個の透孔13が全12個設けられている(図3(a)(b)、図12(a)参照)。
【0074】
動作手順としては、図4(a)(b)、図8(a)(b)に示すように、平坦面6上に下成形型2を最下部として、上成形型1を被覆し、さらに中間型10を上成形型1上に載置した状態で、この中間型10の中間成形貫通孔11内(全12個)に、所定グラム数のシャリRを投入する。
【0075】
また、上記上成形型1、上記下成形型2、上記中間型10により、成形型29が構成されている(図3(b)参照)。
【0076】
(押圧板15の説明) 図4図13参照
次に、押圧板15について説明する。
図4(b)に示すように、押圧板15は、上記中間型10の上面の面積より若干大の面積の長方形状の上板15’を有しており、上記中間型10の中間成形貫通孔11(12個)に対応する位置に、各々中間成形貫通孔11内に嵌合挿通可能なシャリの筒状の下向押圧用突起16(12個)が下方向けて突出形成されている(図13(a)参照、尚図13(a)では押圧板15を表からみている)。即ち、1列目は3つの下向押圧用突起16,16,16が全体として後方よりにずれており、2列目は3つの下向押圧用突起16,16,16が全体として前方よりにずれており、3列目は3つの下向押圧用突起16,16,16が全体として後方よりにずれており、4列目は3つの下向押圧用突起16,16,16が全体として前方よりにずれている(図13(a)参照)。尚、ずれの距離は各々距離T1であり、上記中間成形貫通孔11のずれに対応している。
【0077】
そして、各下向押圧用突起16は、中間型10の対応する各中間成形貫通孔11内に挿入嵌合されるように構成されている(図9(a)参照)。この各押圧用突起16は、上記中間型10の中間成形貫通孔11の円筒状の周壁11bに挿入可能な断面が角丸長方形(二つの等しい長さの平行線と、平行線の両端部は二つの円弧形状からなる形状、図13(a)参照)の周壁16aと、下端部は中央の広い平面部16bと、該平面部16bの前後の両側の下方向けて末広がり状に直線的に傾斜した対向円弧状のテーパ部16c,16cから構成されており(図15参照)、下端部全体の下端面全体(下面)16’は下向押圧用突起16の前方と後方が下に向けて突出し、中央に広い平面部が存在する形状となっている。
【0078】
そして、上記各押圧用突起16の断面積は、中間型10の中間成形貫通孔11の断面積より若干小で、各押圧用突起16は対応する中間成形貫通孔11に自由に挿通、抜脱できるように構成されている。
【0079】
また、各押圧用突起16の下端面全体(下面)16’は、上記中間型10の上面に被覆した際、下向規制突起14の作用により、図9(a)に示すように、中間型10の中間成形貫通孔11内に挿入した状態で、上成形型1のシャリ玉成形凹部3の中央底面3aの最も低い位置と上記下向押圧用突起16の上記平面部16bとの距離が、中間成形貫通孔11内のシャリRと寿司ネタNが一体的に成形されるような距離T5(上記中間成形貫通孔11内の上下方向の所定位置)となるように構成している。
【0080】
上記下向規制突起14は、図4(b)、図13(a)に示すように、中間型10の透孔13(12個)に対応した位置、即ち、1列目と2列目の間において、押圧板15の短手方向の側辺15c側に1つの下向規制突起14が設けられ、前後方向の3つの押圧用突起16,16,16の各間に2つの下向規制突起14,14が設けられ、後方の短手方向の側辺15dに近接して1つの下向規制突起14が設けられている。2列目と3列目の間、3列目と4列目の間においても、同様に、前後方向に4個の下向規制突起14(全12本)が各々設けられている(図13参照)。
【0081】
これらの下向規制突起14の長さは全て同一であり、図9(a)(b)に示すように、各下向規制突起14が中間型10の上記透孔13を挿通し、その各下端14aが、上成形型1の中間壁1e,1f,1gの各当接平坦部17(上成形型1の上面)(全12個)(図1図2参照)に当接するように構成されている。
【0082】
そして、上記押圧板15を上記中間型10の上面から中間型10に被覆したとき、上記下向規制突起14の下端14aが上記当接平坦部17に当接した時、上記押圧用突起16の平面部16b(下面)と上記底面3aとの上記距離T5が維持されるように構成されている(図9(a)参照)。
【0083】
本発明は上述のように構成されるので、次に、本発明に係る寿司成形型を用いて寿司を成形する方法について説明する。尚、以下の説明において、成形される前のシャリを符号R、押圧成形された後のシャリをシャリ玉と表現し、符号R’で示す。
【0084】
まず、作業者は、下成形型2の上面側に上成形型1の下面側を載置して、下成形型2の各閉鎖用突起5(5,5,5,5の全16個)を、上成形型1の対応する各上下貫通孔4(4,4,4,4の全16個)に挿通嵌合し(図1矢印B方向)、下成形型2の外側突出部8c(4か所)を、上成形型1の切欠7a内に係合状態として、図2(a)の状態とし、その状態で、上記下成形型2を平坦面6上に載置する(図7(a)(b)参照)。
【0085】
この状態においては、図2(a)、図7(a)(b)に示すように、上成形型1の中央成形凹部3’の前後の上下貫通孔4が閉鎖用突起5にて全て閉鎖され、上記中央成形凹部3’の中央底面3aと、下成形型2の閉鎖用突起5の上面5aの両端底面3a,3aが面一となり、表面上に、1つのシャリ玉成形凹部3が全部で12個形成される。
【0086】
次に、図2(b)、図7(a)(b)に示すように、作業者は、上記12個のシャリ玉成形凹部3の上に寿司ネタNを載置する。このとき、寿司ネタNは通常の寿司の寿司ネタNであるから、前後方向に長く、略長方形の寿司ネタN(例えば、マグロ、イカ等の魚介類の寿司ネタNであれば略前後方向に長い長方形、エビ等であれば尻尾を有する前後方向に長い寿司ネタN)は、中央成形凹部3’の中央底面3aのみならず、寿司ネタNの前後端は、閉鎖用突起5の両端底面3a,3aに至る長さを有している(図2(b)、図7(a)参照)。
【0087】
次に、作業者は、上成形型1の上面側に、中間型10を載置する(図3(a)(b)、図8(a)(b)参照)。このとき、中間型10の内側のリブ12a,12bの下端が閉鎖用突起5の上面5aに当接し、この状態で、中間型10の下縁10fが上成形型1の突出リブ1i上に載置された状態となる。尚、この状態で、これ以上中間型10は上成形型1側には摺動せず、位置規制された状態となる。
【0088】
そして、この状態において、中間型10の各中間成形貫通孔11は、各対応位置のシャリ玉成形凹部3に表面側から入り込み、各中間成形貫通孔11の下端11cは、上記下成形型2の閉鎖用突起5の上面5aの位置より距離T3’下側に位置し(図8(a)参照)、かかる状態において、上記中間成形貫通孔11の下端11cは、シャリ玉成形凹部3の中央底面3aの最下部から距離T3の近接した位置にあるが、中間成形貫通孔11の周壁11bは、中央成形凹部3’に対応する位置に存在する角丸長方形であって、その下端11cの前後と、シャリ玉成形凹部3の前後における両端底面3a,3aとの間には、距離T4の空間S2が存在し、当該空間S2から寿司ネタNが、上記両端底面3a,3aにはみ出している状態となる(図8(a)参照)。
【0089】
次に、作業者は、上記中間型10の中間成形貫通孔11内(全12個)に、一定量のシャリ(飯塊)Rを手作業にて投入する(図4(a)、図8(a)(b)参照)。このとき、シャリRは中間型10の中間成形貫通孔11内に留まり、各中間成形貫通孔11の周壁11b内に存在している状態となる。即ち、シャリRは、中央成形凹部3’の中央底面3aには寿司ネタNを介して接しているが、上記中央成形凹部3’の前後の空間S2,S2から上記両端底面3a,3a側には移行しない状態となる。尚、上記中間成形貫通孔11内へのシャリRの投入はシャリ玉供給装置にて自動的に行うこともできるが、この点については後述する。
【0090】
次に、作業者は、上記中間型10の表面側から押圧板15を被覆する。即ち、中間型10の中間成形貫通孔11(全12個)に、押圧板15の対応する下向押圧用突起16(全12個)が挿入されるように、上記中間型10に押圧板15を被覆して、下向き(矢印C方向)に押圧する(図4(b)、図5(a)、図9(a)(b)参照)。
【0091】
このとき、押圧板15の下向規制突起14(12本)が中間型10の対応する透孔13(12個)に各々挿通され、各下向規制突起14の下端14aが、上記上成形型1の各当接平坦部17(全12個)に当接し、上記押圧板10の下向き方向の移動は、その時点で阻止され、該押圧板15のそれ以上の下向き方向の移動が規制される(図9(a)(b)参照)。その時点での、押圧用突起16の平面部16bと上記シャリ玉成形孔3の中央底面3aとの距離は、全てのシャリ玉成形孔3について、距離T5の一定となる。尚、このとき、中間型10の上端部と押圧板15の上板15’との距離はT6となり(図5(a)、図9(a)参照)、中間型10の上端の全周に亘り一定の距離(T6)が形成される。
【0092】
よって、上記中間型10の中間成形貫通孔11中のシャリRは、シャリ玉成形凹部3の中央底面3aと上記押圧用突起16の上記平面部16b、前後のテーパ面16c,16c(下面)との間(距離T5)で圧縮成形される。また、上記シャリ玉成形凹部3と上記押圧用突起16との距離T5は、誰が押圧板15を押圧しても一定の距離T5となるので、作業者に拘わらず、シャリRは一定の圧力で押圧され、一定の硬さと大きさに成形される。
【0093】
また、上記押圧板15によりシャリRを押圧することにより、寿司ネタNとシャリRとが一体に成形され、あたかもシャリRと寿司ネタNとを寿司職人が握ったかのように、寿司ネタNとシャリRを一体として成形することができる。よって、従来のように、シャリの上に寿司ネタを載せただけのものとは異なり、移動時或いは輸送時等において、シャリRから寿司ネタNが外れることもないし、寿司K(図6参照)から寿司ネタNが落ちることもない。
【0094】
特に、シャリ玉成形凹部3は中央底面3a、両端底面3a,3aが前後方向には緩やかな下向き円弧状であり、左右方向には下向きに略半円状(下向き円弧状)であるため(図9(a)(b)参照)、出来上がった寿司Kは、実際の寿司職人が手で握ったかのような、前後方向の丸み、左右方向の丸みを、寿司型による成形により、作り出すことができる。
【0095】
上記押圧板15を中間型10に被覆して、その下向押圧用突起16を中間型10の対応する中間成形貫通孔11に挿入嵌合し、かつ、下向規制突起14の下端14aを上成形型1の各当接平坦部17に当接して、押圧板15による押圧(成形)動作が終了したら、押圧板15が中間型10に嵌合した状態のまま、寿司成形型の天地を逆転して、上記押圧板15側を平坦面6に載置する(図5(b)参照)。
【0096】
このとき、天地逆転するので、中間型10は、上記リブ12a,12bの下端が閉鎖用突起5の上面5aに当接し、下縁10fが上成形型1の突出リブ1iに当接した状態から(図5(a)の状態から)、自重により上記距離T6だけ下降し、側壁10a~10dの上縁10g(天地逆転した場合は下縁10g)が、押圧板15の上板15’に接する状態となる(図5(b)、図16参照)。この状態においては、中間型10の中間成形貫通孔11の下端11cは、上記距離T6だけ下方にスライドするので、上記下端11cは押圧板15の押圧用突起16の平坦面16bよりも下方に位置することになり、その結果、上記押圧用突起16の平坦面16bが上方向きで臨出することになる(図6図16参照)。
【0097】
その後、上成形型1と下成形型2を、取手9,9を持って、中間型10及び押圧板15から取り外すのであるが、この際、下成形型2を上成形型1に対して下方に距離T2(図14参照)又は距離T2の範囲で、スライドしながら取り外す(図6参照)。上記下成形型2を下方にスライドすることにより、上成形型1の各中間成形凹部3’の前後方向に閉鎖用突起5が下方向けて突出するので、閉鎖用突起5の各両端底面3a,3aが寿司ネタNの前後端部を下方に押圧し、その結果、シャリ玉成形凹部3からの寿司ネタN及びシャリ玉R’の離脱を促進することができる。
【0098】
上記上成形型1と下成形型2の離脱が終了すると、図6に示すように、押圧板15の各下向押圧用突起16の上、正確には平面部16b、テーパ面16c,16cから構成される下面16’上にシャリ玉R’の上に寿司ネタNが一体成型された寿司K(12個)が出来上がる(図16参照)。即ち、上記押圧板15の上記下向押圧用突起16の上に上部に寿司ネタNが乗った状態の成形されたシャリ玉R’が露出する。
【0099】
その後は、作業者が、寿司Kを例えば2個ずつ、皿に取り卸すことができる。この際、上記押圧用突起16は列毎に、前後に距離T1だけずれているので、各寿司Kを容易に皿に取り卸すことができる。
【0100】
次に、シャリRの供給を、シャリ玉供給装置18を使用して行う場合を説明する。シャリ玉供給装置18とは、図17に示すように、上部のホッパ19に炊いた飯(シャリ)を供給し、シャリは移送機構により矢印D方向(下方)に移送され、最初の対向回転する2個の大ローラ20,20間を下方にシャリが移動され、さらに対向回転する2個の小ローラ21,21間を下方にシャリが移動され、シャッター28により所定量のシャリRが、シャリ出口31から最終的に間歇回転円盤22のシャリ玉成形孔23に落下供給される(図18参照)(尚、シャリ玉成形孔の位置を特定しない場合は符号「23」を使用する)。
【0101】
上記間歇回転円盤22には中心Pの周りに放射状にシャリ玉成形孔23が形成されており、上記シャリ玉成形孔23から順次、間歇回転円盤22の間歇回転(矢印E方向)に伴って、各シャリ玉成形23内にシャリRが落下供給される。上記シャリ玉成形孔が23の位置に到来すると、上方から押圧部25が下降してきてシャリ玉成形孔23内のシャリRを押圧成形する。その後、間歇回転円盤22が間歇回転し、シャリ玉成形孔が23の位置に到来すると、当該シャリ玉成形孔23の位置は下方に開口(シャリ玉排出口30)されており、上方から落下部24が下降してきて、シャリ玉成形孔23内のシャリ玉Rをシャリ玉排出口30から下方に落下供給する。
【0102】
上記シャリ玉成形孔23の下方には、図18に示すX方向Y方向移動機構26が設けられており、上記X方向レール26aの上にトレー27が固定されており、上記トレー27はX方向レール26aをX方向に自由に移動可能となっている。一方、上記X方向レール26aは一対のY方向レール26bの上をY方向に移動可能となっており、結果として、上記トレー27は上記間歇回転円盤22の下方において、X方向とY方向に自由に移動可能となっている。
【0103】
従って、上記トレー27上に下成形型2を最下部として上成形型1を嵌合した状態のものに、さらに上成形型1の上部に中間型10を載置したもの、即ち、図3(b)に示す成形型29を、上記トレー27上に位置決め状態で載置し、上記中間成形貫通孔11の上方に間歇回転円盤22のシャリ玉成形孔23が位置するように、初期位置を予め設定し、落下部24がシャリ玉成形孔23内のシャリRを下方に落下することで、シャリ玉排出口30から、上記中間型10の中間成形貫通孔11内にシャリRを落下供給させることができる。
【0104】
その後は、例えば、トレー27を、シャリ玉成形孔23の下方に、隣接する中間成形貫通孔11が位置するまで、Y方向(図18の紙面に向かって上方向)に移動すれば良い。同様に、3個目の中間成形貫通孔11が上記シャリ玉成形孔23の下方に位置するまで、トレー17をY方向に移動して、シャリ玉成形孔11内に同様にシャリRを供給し、その後は、トレー27をX方向(図18の紙面に向かって左方向)に移動して、同様の動作を繰り返し行い、最終的に、中間型10の中間成形貫通孔11の全12個にシャリRを落下供給することができる。
【0105】
このように構成すると、作業者が手作業で1つ1つシャリRを中間型10の中間成形貫通孔11に入れる必要がないので、作業を簡略化することができる。上記中間成形貫通孔11の全部にシャリRの供給が終わったら、取手9,9を持ってトレー27から成形型29を取り出し、平坦面6に載置して、上記の作業を行う。即ち、押圧板15を中間型10の上から嵌合挿通して、内部のシャリRと寿司ネタNを押圧成形する。その後、天地逆転する作業は、上記と同様である。
【0106】
本発明は以上のように通常の横長形状の寿司Kを、誰でもが、あたかも寿司職人が握ったかのように、寿司ネタNとシャリRを一体的に成形することができる。しかも、押圧板15は、下向規定突起14の下端が上成形型1の上面に当接するまで押圧すれば良いので、誰が操作しても、寿司ネタNとシャリRを一定の圧力で成形することができ、作業者によって握りの硬さが異なることはない。
【0107】
また、上記押圧板15による押圧が終了した後、押圧板15を嵌合した状態で、成形型29を天地逆転して、上成形型1と下成形型2を取り除くことで、押圧板15の下向押圧用突起16の上面に、寿司ネタNが上に乗った状態のシャリ玉R(いわゆる寿司K)を臨出(露出)させることができる。その後は、作業者は、容易に、各寿司Kを皿等に取り卸すことができる。
【0108】
また、寿司ネタNがシャリRの前後にはみ出した状態の寿司を成形することができ、いわゆる寿司ネタの大きな寿司を容易に成形することができる。
【0109】
また、上記シャリ玉成形凹部3の中央底面3a及び両端底面3a,3aは、長手方向に沿って緩やかな下向き円弧状をなし、上記シャリ玉成形凹部の中央底面3aは、短手方向に沿って下向き円弧状をなしているものであるから、シャリ玉成形凹部3に中央底面3a及び両端底面3a,3aに寿司ネタNを載置して、その上からシャリRを寿司ネタと一体的に成形するので、いわゆる寿司職人が握ったような形状の横長形状の寿司を、誰もが簡単に成形することができる。よって、輸送時等において、寿司Kのシャリ玉R’から寿司ネタNが外れることもない。
【0110】
また、上下成形型1,2を装着した状態においては、下成形型2が下方に抜け止め状態となるため、例えば移動の際に便宜であり、しかも、下成形型2が上成形型1に対して近接方向に摺動して閉鎖用突起5がシャリ玉成形凹部3から突出し得るため、天地逆転した後、上下成形型1,2を押圧板15から取り外す際、シャリ玉成形凹部3の前後から閉鎖用突起5を突出することができるので、シャリ玉成形凹部3から寿司の離脱を促進することができる。
【0111】
また、シャリ玉供給装置により、作業者が一つずつ中間成形貫通孔にシャリを供給する作業を、完全に、自動化することができる。尚、図17中、符号Mは間歇回転円盤22の駆動モータである。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明に係る寿司成形型及び寿司成形方法によれば、いわゆる横長形状の通常の寿司を、あたかも寿司職人が握ったかのような状態で成形することができ、産業上の利用価値の高いものである。
【符号の説明】
【0113】
1 上成形型
2 下成形型
3 シャリ玉成形凹部
3’ 中央成形凹部
3a 中央底面
3a,3a 両端底面
4(4,4,4,4) 上下貫通孔
5(5,5,5,5) 閉鎖用突起
5a 上面
6 平坦面
7a 切欠
8a 可動片
8c 外側突出部
10 中間型
11 中間成形貫通孔
14 下向規制突起
14a 下端
15 押圧板
16 下向押圧用突起
16’ 下端面全体(下面)
18 シャリ玉供給装置
26 X方向Y方向移動機構
27 トレー(載置部)
29 成形型
30 シャリ玉排出口
N 寿司ネタ
R シャリ
R’ シャリ玉
S2 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18