(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070337
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】半導体テスト構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220506BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H01L21/304 622S
H01L21/66 Y
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179355
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】519009105
【氏名又は名称】合肥晶合集成電路股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏目 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】田矢 真敏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康博
(72)【発明者】
【氏名】中野 紀夫
【テーマコード(参考)】
4M106
5F057
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA07
4M106AB02
4M106AB17
4M106CA24
4M106DH57
5F057AA03
5F057AA17
5F057AA19
5F057BA24
5F057BA28
5F057BB16
5F057BB19
5F057CA27
5F057DA03
5F057GA25
5F057GB03
5F057GB16
(57)【要約】
【課題】半導体装置において化学機械研磨法による研磨に対するパターン密度の影響を適切に把握することを可能にする。
【解決手段】半導体基板100上の設けられた有効領域20と複数のダミー領域22とを含み、有効領域20は、半導体基板100の局所領域104内に配置され、電気的な特性を測定できるように電極に接続され、ダミー領域22は、有効領域20の周囲を囲み、複数の局所領域104の各々において互いにパターン密度が異なるように設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体テスト構造であって、
半導体基板上に設けられた有効領域と複数のダミー領域とを含み、
前記有効領域は、前記半導体基板の局所領域内に配置され、電気的な特性を測定できるように電極に接続され、
前記ダミー領域は、前記有効領域の周囲を囲み、複数の前記局所領域の各々において互いにパターン密度が異なるように設けられていることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体テスト構造であって、
前記パターン密度は、複数の前記局所領域において5%以上80%以下の範囲に亘って分散していることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体テスト構造であって、
前記ダミー領域の配置ピッチは、前記局所領域の一辺の1/100以上1/5以下の範囲であることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体テスト構造であって、
前記ダミー領域のサイズは、前記配置ピッチの1/10以上9/10以下の範囲であることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記ダミー領域は、前記局所領域において一定の配置ピッチで配置されていることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記有効領域は、寄生トランジスタによる影響を把握できるサイズを有することを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
化学機械研磨法が適用され、前記化学機械研磨法によって研磨された後に前記電極を用いて前記有効領域の電気的な特性が測定可能であることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記有効領域は、MOSFETを含み、
前記MOSFETの閾値電圧及び飽和ドレイン電流の少なくとも1つを測定することを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体テスト構造であって、
前記MOSFETのゲート電極は、対応する前記有効領域の外側のレンチアイソレーション構造の表面上まで延びることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記局所領域のサイズは、100μm×100μm以上500μm×500μm以下であることを特徴とする半導体テスト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の研磨の最適化に使用される半導体テスト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの表面を平坦化する技術として化学機械研磨法(CMP:Chemical Mechanical Polishing)が用いられている。化学機械研磨法における研磨速度は、半導体ウェハの表面に形成された素子のデザインパターンの密度に依存することが知られている。例えば、隣接する素子間においてリーク電流を防ぎ、素子の耐圧を確保するために利用されるシャロートレンチアイソレーション構造(STI構造)を適用した場合、素子が形成されたアクティブ領域が高密度であるときに研磨速度は低くなり、低密度であるときに研磨速度は高くなる。したがって、アクティブ領域の密度が十分に考慮されていなければ、研磨した際に素子の特性に影響が及ぶことになる。
【0003】
特許文献1の
図4Aに示されるように、化学機械研磨法を適用したSTI構造では、広域の絶縁トレンチが存在する低密度の絶縁領域において研磨が過度に進むことによって窪み(Dishing)が生ずる。このような窪みは、特許文献1の
図6Bに示されるように、トランジスタ領域の端部において寄生トランジスタを生じさせる。寄生トランジスタは、特に微細化されたトランジスタに対して閾値電圧Vthを低下させるおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献2に示されるように、アクティブ領域においてダミーパターンを形成して化学機械研磨法を適用することによる過剰な研磨を防ぐ方法が提案されている。このとき、STI構造においてダミーパターンを適用したアクティブ領域のパターン密度が重要となる。特に、100×100[μm2]~500×500[μm2]の面積を有する局所領域におけるパターン密度が重要となる。なお、半導体ウェハにおける局所領域のパターン密度は、当該局所領域内においてダミー領域が形成された領域の面積と機能素子が形成された領域の面積の和を局所領域全体の面積で除算した値で表される。
【0005】
特許文献3には、局所領域におけるパターン密度の上限値を決定する技術が開示されている。特許文献3の
図10に示されるように、異なるパターン密度となるようにシリコン基板上に窒化シリコン層及び酸化シリコン層を順に形成した幾つかの局所領域を設け、化学機械研磨法を適用することによって、残留した酸化シリコン層の厚さを測定することで研磨され難いパターン密度を求める。化学機械研磨法を適用できるパターン密度の上限値を求めるためには有効な技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,737,721号公報
【特許文献2】米国特許公開第2012/0256273号公報
【特許文献3】米国特許第7,250,644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、半導体デバイスにはパターン密度が低いアクティブ領域が存在する可能性がある。例えば、大面積ウェルからなる抵抗素子やポリ抵抗素子をトランジスタの周囲に配置することが必要なことがある。したがって、化学機械研磨法を適用できるパターン密度の下限値を求めることは重要であり、半導体デバイスの技術分野における課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、半導体テスト構造であって、半導体基板上に設けられた有効領域と複数のダミー領域とを含み、前記有効領域は、前記半導体基板の局所領域内に配置され、電気的な特性を測定できるように電極に接続され、前記ダミー領域は、前記有効領域の周囲を囲み、複数の前記局所領域の各々において互いにパターン密度が異なるように設けられていることを特徴とする半導体テスト構造である。
【0009】
ここで、前記パターン密度は、複数の前記局所領域において5%以上80%以下の範囲に亘って分散していることが好適である。
【0010】
また、前記ダミー領域の配置ピッチは、前記局所領域の一辺の1/100以上1/5以下の範囲であることが好適である。
【0011】
また、前記ダミー領域のサイズは、前記配置ピッチの1/10以上9/10以下の範囲であることが好適である。
【0012】
また、前記局所領域において一定の配置ピッチで配置されていることが好適である。
【0013】
また、前記有効領域は、寄生トランジスタによる影響を把握できるサイズを有することが好適である。
【0014】
また、化学機械研磨法が適用され、前記化学機械研磨法によって研磨された後に前記電極を用いて前記有効領域の電気的な特性が測定可能であることが好適である。
【0015】
また、前記有効領域は、MOSFETであり、前記MOSFETの閾値電圧及び飽和ドレイン電流の少なくとも1つを測定することが好適である。
【0016】
また、前記MOSFETのゲート電極は、対応する前記有効領域の外側のレンチアイソレーション構造の表面上まで延びることが好適である。
【0017】
また、前記局所領域のサイズは、100μm×100μm以上500μm×500μm以下であることが好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、半導体装置において化学機械研磨法による研磨に対するパターン密度の影響を適切に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態における半導体ウェハの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態における半導体テスト構造の局所領域の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における半導体テスト構造の局所領域の構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における半導体テスト構造の製造方法を示すフロー図である。
【
図5】本発明の実施の形態における半導体テスト構造の製造方法を示すフロー図である。
【
図6】本発明の実施の形態における半導体テスト構造の拡大断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態におけるパターン密度に対する有効領域の閾値電圧の関係を示す測定結果例である。
【
図8】本発明の実施の形態におけるパターン密度に対する有効領域の飽和ドレイン電流の関係を示す測定結果例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態における半導体基板100は、
図1に示すように、半導体テスト構造102を有する。半導体テスト構造102は、半導体基板100の表面10上に形成される。半導体テスト構造102は、半導体基板100の表面10に対して適用される化学機械研磨法(CMP)による素子への影響を調べるために用いられる構造である。
【0021】
半導体テスト構造102は、複数の局所領域104を含む。局所領域104の各々には、
図2及び
図3に示すように、それぞれ有効領域20及びダミー領域22が形成される。テスト構造は、有効領域20に配置される。テスト構造は、電気的特性を測定できるように電極に接続されている。ダミー領域22は、複数の局所領域104のパターン密度が互いに異なるように配置されている。ここで、有効領域20及びダミー領域22は、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造又はディープトレンチアイソレーション(DTI)構造等のトレンチアイソレーション構造によって定義又は区切られる。
【0022】
本実施の形態における局所領域104は、複数の局所領域104においてそれぞれのパターン密度が分散するようにダミー領域22が形成される。すなわち、複数の局所領域104において、互いにパターン密度が異なるようにダミー領域22の構造、サイズ、間隔、有効領域20からの距離が設定される。
【0023】
ここで、本実施の形態において「局所領域」とは、化学機械研磨法を適用することによる影響を把握するために半導体基板100の表面10において有効領域20及びダミー領域22が形成される領域である。局所領域の面積は、例えば、100×100[μm2]~500×500[μm2]とすることが好適である。
【0024】
複数の局所領域104内に位置するトレンチアイソレーション構造の上面は、好ましくは、同じ化学機械研磨工程にて形成される。複数の局所領域104のトレンチアイソレーション構造の上面の高さは、正確には同じではない場合がある。複数の局所領域104内の有効領域20のサイズを同じサイズとして設定することができる。さらに、各有効領域20におけるテスト構造の位置およびサイズも実質的に同じに設定することができる。これによって、半導体基板100における(テスト構造の活性領域として機能する)露出領域に対する化学機械研磨工程の影響は、テスト構造の電気的特性を比較することによって検出することができる。電気的特性が大幅に低下したテスト構造を特定することにより、局所領域104のパターン密度の下限を求めることができる。すなわち、下限を超えると、化学機械研磨の速度が速くなり過ぎるのでテスト構造に寄生トランジスタが形成され、電気的特性の劣化を引き起こす。
【0025】
有効領域20に配置されたテスト構造は、好ましくはMOSFETである。半導体テスト構造102を使用して、各局所領域104におけるMOSFETの閾値電圧Vth、飽和ドレイン電流Idsatおよび他の電気的特性を測定し、異なる局所領域104から得られた電気的特性の比較を通じて、化学機械研磨工程が適用された場合の局所領域104のパターン密度の下限を決定することができる。さらに、
図3に示されるように、MOSFETのゲート電極38は、対応する有効領域20の外側のトレンチアイソレーション構造の表面上に延びるように形成することができる。このような構造では、トレンチアイソレーション構造の上面が高研磨速度によって過剰に研磨され、ゲート電極38はまた形成された寄生トランジスタのゲート電極として機能する可能性がある。寄生トランジスタは、通常、テスト構造の電気的特性に大きな影響を及ぼす。
図2及び
図3に示される実施形態では、MOSFETのソース領域及びドレイン領域は、Y方向に沿ってゲート電極38の両側の有効領域20に配置され得る。
【0026】
また、本実施の形態において「パターン密度」とは、各局所領域について、局所領域において有効領域20が形成された領域の面積とダミー領域22が形成された領域の面積を加算した値を当該局所領域全体の面積で除算した値である。ここで、有効領域20が形成された領域及びダミー領域22が形成された領域とは、半導体基板100の表面10に対して化学機械研磨法を適用した後に半導体基板100の基板が露出する領域を意味する。
【0027】
半導体テスト構造102では、複数の局所領域104におけるパターン密度は、5%以下から80%以上の範囲に亘って変化をつけることが好適である。例えば、局所領域104を8箇所設けて、それぞれのパターン密度を5%未満、5%、10%、25%、35%、45%、60%、80%とすればよい。ただし、パターン密度の分散範囲や具体的な設定は、特に限定されるものではなく、化学機械研磨法を適用したときにそれぞれの局所領域104に形成された有効領域20の電気的特性に化学機械研磨法の影響が反映される範囲及び設定値にすればよい。
【0028】
ここで、ダミー領域22は、局所領域104の横(X方向)及び縦(Y方向)のそれぞれにおいて等ピッチに配置された正方形又は長方形等の矩形形状であることが好適である。ただし、ダミー領域22の形状は、これに限定されるものではなく、円形状、楕円形状等の他の形状としてもよい。
【0029】
ダミー領域22の配置ピッチPx,Pyは、局所領域104の一辺の長さWx,Wyの1/100以上1/5以下の範囲とすることが好適である。ここで、配置ピッチとは、隣り合う素子の中心から中心までの距離を意味する。
図2及び
図3に示した例では、局所領域104を正方形としており、局所領域104のX方向の一辺の長さWxと局所領域104のY方向の一辺の長さWyとを等しくし、ダミー領域22のX方向の配置ピッチPxとダミー領域22のY方向の配置ピッチPyとを等しくしている。ただし、これに限定されるものではなく、局所領域104のX方向の一辺の長さWxと局所領域104のY方向の一辺の長さWyとを異ならせてもよい。また、ダミー領域22のX方向の配置ピッチPxとダミー領域22のY方向の配置ピッチPyとを異ならせてもよい。
【0030】
また、有効領域20は、ダミー領域22と同じ配置ピッチPx,Pyで配置すればよい。すなわち、ダミー領域22が配置されるべき位置の1つを有効領域20に置き換えればよい。特に、局所領域104においてダミー領域22に囲まれた位置の1つを有効領域20に置き換えることが好適である。
【0031】
ダミー領域22のサイズSx,Syは、配置ピッチPx,Pyの1/10以上9/10以下の範囲とすることが好適である。
図2及び
図3に示した例では、ダミー領域22を正方形としており、ダミー領域22のX方向のサイズSxとY方向のサイズSyとを等しくしている。ただし、これに限定されるものではなく、ダミー領域22のX方向のサイズSxとY方向のサイズSyとを異ならせてもよい。また、局所領域104のX方向の一辺の長さWxと局所領域104のY方向の一辺の長さWyとを異ならせてもよい。また、ダミー領域22のX方向の配置ピッチPxとダミー領域22のY方向の配置ピッチPyとを異ならせてもよい。また、ダミー領域22を円形状や楕円形状とした場合、ダミー領域22の直径(長径、短径)を配置ピッチPx,Pyの1/10以上9/10以下の範囲とすることが好適である。ダミー領域22を他の形状とした場合もダミー領域22が配置ピッチPx,Pyの1/10以上9/10以下の範囲に収まるようなサイズとすることが好適である。
【0032】
図4及び
図5は、半導体テスト構造102の製造方法を示すフロー図を示す。
図4及び
図5は、半導体テスト構造102の製造プロセスにおける断面構造を示す模式図である。なお、
図4及び
図5において、説明を明確にするために図面上の各構成の寸法は実際の寸法とは異なる場合がある。
【0033】
ステップS10では、半導体基板100の表面上に酸化層30及び窒化層32が形成される。半導体基板100は、例えば、シリコン(Si)基板とすることができる。酸化層30は、半導体基板100がシリコン基板である場合にはシリコン酸化層(SiO2)である。酸化層30の層厚は、5nm以上20nm以下とすることが好適である。酸化層30の形成方法は、特に限定されるものではないが、半導体基板100を加熱しながら酸素(O2)を供給する熱酸化法とすることができる。窒化層32は、半導体基板100がシリコン基板である場合にはシリコン窒化膜(SiN)である。窒化層32は、酸化層30の表面上に形成される。窒化層32の層厚は、60nm以上200nm以下とすることが好適である。窒化層32の形成方法は、特に限定されるものではないが、半導体基板100を加熱しながらシラン(SiH4)等のシリコン含有ガスとアンモニア(NH3)等の窒素含有ガスとの混合ガスを供給する熱CVD法とすることができる。
【0034】
なお、酸化層30及び窒化層32の膜厚は、上記範囲に限定されるものではなく、以降の半導体テスト構造102の製造プロセスに適した範囲に設定すればよい。
【0035】
ステップS12では、酸化層30及び窒化層32のエッチング処理が行われる。酸化層30及び窒化層32のエッチング処理方法は、特に限定されるものではないが、マスクを用いた光学的リソグラフィを適用して窒化層32の表面上に開口部を有するレジスト層を形成し、レジスト層の開口領域における酸化層30及び窒化層32をエッチングする方法とすることができる。レジスト層は、有効領域20及びダミー領域22を形成する領域が被覆領域となるように形成する。例えば、局所領域104に相当する領域において配置ピッチPx,PyでサイズSx,Syが被覆領域であり、それ以外の領域が開口領域となるようにレジスト層を形成する。配置ピッチPx,Py及びサイズSx,Syは、複数の局所領域104におけるパターン密度が上記条件を満たすように異ならせる。局所領域104のエッチングは、既存の湿式の化学エッチング、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング等を適用すればよい。
【0036】
ステップS14では、半導体基板100にトレンチ構造が形成される。トレンチ構造Tは、
図4に示すように、半導体基板100の表面において酸化層30及び窒化層32で覆われていない領域に形成された溝構造である。トレンチ構造Tの深さDは、例えば200nm以上500nm以下とすることが好適である。トレンチ構造Tは、酸化層30及び窒化層32をマスクとして反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチングを適用することによって、酸化層30及び窒化層32で覆われていない半導体基板100の領域をエッチングすることで形成される。例えば、CF
4、CHF
3、SF
6等のフッ素含有ガスを用いた反応性イオンエッチングを適用してトレンチ構造Tを形成することができる。
【0037】
ステップS16では、トレンチ構造Tに絶縁体を埋め込んだ埋め込み層34が形成される。埋め込み層34は、半導体基板100に設けられたトレンチ構造Tを埋め込むと共に酸化層30及び窒化層32の表面を覆うように形成される。埋め込み層34は、例えば、シラン(SiH4)等のシリコン含有ガスと酸素(O2)等の酸素含有ガスとの混合ガスや有機シランであるテトラエチルオルソシリケート(Si(OC2H5)4:TEOS)等を用いた化学気相成長法(CVD法)により形成することができる。また、高密度プラズマ化学気相成長法(HDPCVD:High Density Plasma CVD)を適用することもできる。埋め込み層34は、トレンチ構造Tの埋め込みに十分な膜厚とすればよい。なお、埋め込み層34を形成する前に、半導体基板100の表面を熱酸化する処理を適用してもよい。
【0038】
ステップS18では、余分な埋め込み層34を除去して平坦化させる処理が行われる。当該処理は、化学機械研磨によって行われる。例えば、SiO2、Al2O3、CeO2、Mn2O3、ダイヤモンド等の粒子(粒径:数十nm~数百nm)を含むスラリー(研磨液)を半導体基板100の表面に供給しつつ、研磨パッドを半導体基板100に接触させながら研磨パッド及び半導体基板100を共に回転させることによって研磨を行う。
【0039】
ステップS20では、酸化層30及び窒化層32を除去する処理が行われる。酸化層30及び窒化層32の除去方法は、特に限定されるものではなく、湿式エッチングやドライエッチングを適宜適用すればよい。当該ステップの後、埋め込み層34に対応する領域の半導体基板100にトレンチアイソレーション構造が形成される。トレンチアイソレーション構造を使用して、半導体基板100内の複数の局所領域104に含まれる有効領域20及びその周囲のダミー領域22のそれぞれが区切られる(
図1及び
図3参照)。
【0040】
ステップS22では、半導体基板100の表面にゲート絶縁層36が形成される。ゲート絶縁層36は、シリコン酸化層(SiO2)、シリコン窒化層(SiN)、シリコン酸窒化膜(SiOxNy)とすることができる。ゲート絶縁層36は、トレンチ構造Tに埋め込まれた埋め込み層34を有する半導体基板100の表面に形成される。ゲート絶縁層36の膜厚は、1.5nm以上20nm以下とすることが好適である。ゲート絶縁層36の形成方法は、特に限定されるものではないが、酸素(O2)等の酸素含有ガスや窒素(N2)等の窒素含有ガスを用いた熱酸化法等を適用することができる。
【0041】
ステップS24では、ゲート絶縁層36上にゲート電極38が形成される。ゲート電極38は、多結晶シリコン層、金属層、シリサイド又はこれらの積層構造とすることができる。ゲート電極38は、フォトリソグラフィ技術等を用いて半導体基板100の表面に形成されたゲート絶縁層36上に積層される。すなわち、ゲート電極38は、有効領域20の領域においてゲートとなる領域に形成される。ゲート電極38の形成方法は、特に限定されるものではないが、多結晶シリコン層とする場合にはシラン(SiH
4)等のシリコン含有ガスを用いた化学気相成長法(CVD法)とすることができる。ゲート電極38を金属層とする場合、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)等を適用することができる。また、ゲート電極38をシリサイドとする場合、Ti,Ta等の高融点金属を多結晶シリコン上に堆積させて熱処理する、高融点金属とシリコンとを同時にスパッタリングして堆積される方法等を適用することができる。なお、ゲート電極38下の領域以外のゲート絶縁層36は、ゲートエッチ工程によるオーバーエッチングにより可能な限り除去する、又は、残膜として残す。
図2及び
図3に示されるように、ゲート電極38のサイズは、下にある有効領域20を超えて特定の方向に延びるように設定することができ、すなわち、ゲート電極38の一部は、トレンチアイソレーション構造の残りの埋め込み層34上に配置される。このような構造では、速い研磨速度によって埋め込み層34の表面が過度に研磨され、ゲート電極38は形成された寄生トランジスタのゲート電極としても機能する可能性がある。寄生トランジスタは、通常、テスト構造の電気的特性により大きな影響を及ぼす。
【0042】
ステップS26では、半導体基板100の表面に拡散層40及びゲート電極38の側面にサイドウォール部42が形成される。拡散層40は、いわゆる薄い拡散層(LDD層:Lighly Doped Drain)として機能する。拡散層40は、フォトリソグラフィ技術等を適用して、ドーパントをイオン注入してアニールすることで熱拡散させて形成することができる。イオン注入エネルギー及びドーパントの注入密度並びに熱拡散の条件は、有効領域20の特性に応じて設定すればよい。有効領域20としてN型MOSFET形成する場合、N型ドーパント(燐P又は砒素As)を半導体基板100の表面にイオン注入してアニールを行うことでドーパントを拡散させて拡散層40を形成することができる。例えば、燐P又は砒素Asを1×1013以上2×1015/cm2の密度でイオン注入し、その後、1000℃程度の高温でアニールすることで拡散層40を形成する。有効領域20としてP型MOSFETを形成する場合、P型ドーパント(ボロンB又は二フッ化ボロンBF2)を半導体基板100の表面にイオン注入してアニールを行うことで拡散層40を形成することができる。例えば、ボロンBを1×1013以上2×1015/cm2の密度でイオン注入し、その後、1000℃程度の高温でアニールすることでドーパントを拡散させて拡散層40を形成する。
【0043】
その後、ゲート電極38の側面にサイドウォール部42を形成する。サイドウォール部42は、シリコン酸化層(SiO2)等の絶縁層から構成される。半導体基板100の表面全面に化学気相成長法(CVD法)等でシリコン酸化層を形成し、異方性エッチングを適用することによってゲート電極38の側面のみにシリコン酸化層を残してサイドウォール部42を形成することができる。
【0044】
ステップS28では、ソース領域44及びドレイン領域46が形成される。ソース領域44及びドレイン領域46は、それぞれ有効領域20のソース及びドレインとして機能する。ソース領域44及びドレイン領域46は、フォトリソグラフィ技術等を適用して、ドーパントをイオン注入してアニールすることで熱拡散させて形成することができる。イオン注入エネルギー及びドーパントの注入密度並びに熱拡散の条件は、有効領域20の特性に応じて設定すればよい。有効領域20としてN型MOSFET形成する場合、N型ドーパント(燐P又は砒素As)を半導体基板100の表面にイオン注入してアニールを行うことでドーパントを拡散させてソース領域44及びドレイン領域46を形成することができる。例えば、燐P又は砒素Asを1×1015以上5×1015/cm2の密度でイオン注入し、その後、1000℃程度の高温でアニールすることでソース領域44及びドレイン領域46を形成する。有効領域20としてP型MOSFETを形成する場合、P型ドーパント(ボロンB又は二フッ化ボロンBF2)を半導体基板100の表面にイオン注入してアニールを行うことでソース領域44及びドレイン領域46を形成することができる。例えば、ボロンBを1×1015以上5×1015/cm2の密度でイオン注入し、その後、1000℃程度の高温でアニールすることでドーパントを拡散させてソース領域44及びドレイン領域46を形成する。ソース領域44及びドレイン領域46には、それぞれソース電極及びドレイン電極が形成される。
【0045】
以上のように、本実施の形態における半導体テスト構造102を形成することができる。すなわち、複数の局所領域104においてそれぞれのパターン密度が分散するようにダミー領域22が設けられた半導体テスト構造102が形成される。
【0046】
図6は、化学機械研磨法を適用した後の半導体テスト構造102の拡大断面図を示す。
図6(a)は、化学機械研磨が適切に行われた場合の断面を示す。すなわち、化学機械研磨の条件に対して半導体テスト構造102においてパターン密度が適切な局所領域104では、化学機械研磨によって埋め込み層34に窪み(Dishing)は形成されない。これに対して、
図6(b)は、化学機械研磨が適切に行われなかった場合の断面を示す。すなわち、化学機械研磨の条件に対して半導体テスト構造102においてパターン密度が小さくなるにつれて、化学機械研磨によって埋め込み層34が過度に切削され、埋め込み層34に窪みX(Dishing)が形成される。このような窪みXは、そこに形成される有効領域20に対して寄生トランジスタTrpとして影響を及ぼす原因となり得る。
【0047】
図7は、1つの実施例におけるパターン密度に対する有効領域20の閾値電圧Vthの関係を示す測定結果例である。また、
図8は、パターン密度に対する有効領域20の飽和ドレイン電流Idsatの関係を示す測定結果例である。
【0048】
パターン密度が25%未満の低い領域と比較してパターン密度が25%以上の高い領域ではパターン密度に対して閾値電圧Vth及びドレイン電流Idsのいずれも平坦な特性を示した。一方、パターン密度が25%未満の低い領域では、パターン密度の変化に対して閾値電圧Vthは大きく低下し及びドレイン電流Idsは大きく増加しており、パターン密度への依存度が高かった。このパターン密度が低い領域での特性の変化は、化学機械研磨法を適用したことによって有効領域20に対して寄生トランジスタが形成されたことを示している。したがって、本実施例では、化学機械研磨法に対してパターン密度の下限値は25%とすることが好適であると判断することができた。
【0049】
以上のように、本実施の形態における半導体テスト構造を用いることによって、化学機械研磨法に対してパターン密度の下限値を適切に把握することができる。したがって、半導体デバイスの設計者は適切なデザインルールを設定することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 表面、20 有効領域、22 ダミー領域、30 酸化層、32 窒化層、34 埋め込み層、36 ゲート絶縁層、38 ゲート電極、40 拡散層、42 サイドウォール部、44 ソース領域、46 ドレイン領域、100 半導体基板、102 半導体テスト構造、104 局所領域。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体テスト構造であって、
半導体基板上に設けられた複数の局所領域の各々に有効領域と複数のダミー領域とが配置され、
前記有効領域は、電気的な特性を測定できるように電極に接続され、
前記ダミー領域は、前記有効領域の周囲を囲み、複数の前記局所領域の各々において互いにパターン密度が異なるように設けられていることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体テスト構造であって、
前記パターン密度は、複数の前記局所領域において5%以上80%以下の範囲に亘って分散していることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体テスト構造であって、
前記ダミー領域の配置ピッチは、前記局所領域の一辺の1/100以上1/5以下の範囲であることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体テスト構造であって、
前記ダミー領域のサイズは、前記配置ピッチの1/10以上9/10以下の範囲であることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記ダミー領域は、前記局所領域において一定の配置ピッチで配置されていることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記有効領域は、寄生トランジスタによる影響を把握できるサイズを有することを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
化学機械研磨法が適用され、前記化学機械研磨法によって研磨された後に前記電極を用いて前記有効領域の電気的な特性が測定可能であることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記有効領域は、MOSFETを含み、
前記MOSFETの閾値電圧及び飽和ドレイン電流の少なくとも1つを測定することを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体テスト構造であって、
前記MOSFETのゲート電極は、対応する前記有効領域の外側のレンチアイソレーション構造の表面上まで延びることを特徴とする半導体テスト構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体テスト構造であって、
前記局所領域のサイズは、100μm×100μm以上500μm×500μm以下であることを特徴とする半導体テスト構造。