(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007035
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】液体材料吐出装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220105BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220105BHJP
F16K 31/44 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
F16K31/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109692
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】390026387
【氏名又は名称】武蔵エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】生島 和正
【テーマコード(参考)】
3H063
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H063AA01
3H063BB05
3H063DA14
3H063DB46
3H063DC01
3H063EE15
3H063GG05
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA32
4F041BA36
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB03
4F042CB08
(57)【要約】
【課題】強いばねを用いなくても弁要素の動きをアクチュエータの高速動作に追従させることができる液体材料吐出装置を提供すること。
【解決手段】先端部に設けられた弁体および当接部を有する弁棒105と、弁体が進退動する液室と、液室と連通するノズルと、液室と前記ノズルと連通する孔を有する弁座108と、弁棒と離間可能に当接するアーム121と、アーム121を回動させることにより、弁体を前記弁座に対して進退動させる弁駆動装置と、を備える液体材料吐出装置において、弁棒105をアーム121に対して連結する連結装置201を備え、連結装置201が、当接部をアーム121に対して押さえつける押さえ部を備える液体材料吐出装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に設けられた弁体および当接部を有する弁棒と、
前記弁体が進退動する液室と、
前記液室と連通するノズルと、
前記液室と前記ノズルと連通する孔を有する弁座と、
前記弁棒と離間可能に当接するアームと、
前記アームを回動させることにより、前記弁体を前記弁座に対して進退動させる弁駆動装置と、
を備える液体材料吐出装置において、
前記弁棒を前記アームに対して連結する連結装置を備え、
前記連結装置が、前記当接部を前記アームに対して押さえつける押さえ部を備えることを特徴とする液体材料吐出装置。
【請求項2】
前記アームが、前記弁棒の当接部が配置される受容部を有し、
前記アームを回動させると前記弁棒の当接部が前記受容部に対して転動することを特徴とする請求項1の液体材料吐出装置。
【請求項3】
前記押さえ部が、板状弾性体から構成されることを特徴とする請求項2の液体材料吐出装置。
【請求項4】
前記受容部が、前記アームの上面に形成されており、
前記アームが、前記受容部に設けられた前記弁棒が挿通される貫通孔を備え、
前記当接部が前記弁棒よりも幅広であり、前記当接部の上面が平面であり、下面が丸みをおびていることを特徴とする請求項2または3の液体材料吐出装置。
【請求項5】
前記アームの受容部が、前記アームの下面に形成されており、
前記当接部が前記弁棒よりも幅広であり、前記当接部の下面が平面であり、上面が丸みをおびていることを特徴とする請求項2または3の液体材料吐出装置。
【請求項6】
前記押さえ部が、前記弁棒が配置される切り欠き部を備えることを特徴とする請求項5の液体材料吐出装置。
【請求項7】
前記連結装置が、さらに、前記押さえ部と同じ方向に延びる係止部と、係止部と押さえ部とを接続する接続部と、を備え、前記係止部および前記押さえ部により前記アームを狭着することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項8】
前記係止部が、前記アームに当接する頂部を備えることを特徴とする請求項7の液体材料吐出装置。
【請求項9】
前記アームが、前記係止部の頂部を受容する凹部を備えることを特徴とする請求項8の液体材料吐出装置。
【請求項10】
前記係止部が、前記アームに当接する複数の頂部および複数の頂部の間に位置する凹部を備え、
前記アームが、前記係止部の凹部に受容される凸部を備えることを特徴とする請求項7の液体材料吐出装置。
【請求項11】
前記押さえ部が、前記当接部に当接する頂部を備えることを特徴とする請求項7の液体材料吐出装置。
【請求項12】
前記連結装置を、前記アームに締結する締結部材を備え、
前記接続部が、前記締結部材が挿通される孔を備えることを特徴とする請求項7ないし11のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項13】
前記連結装置が、前記押さえ部と連続する固定部と、固定部を前記アームに固定する締結部材を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項14】
前記固定部が、前記押さえ部と実質的に直交する方向に延びており、前記アームの先端部に締結部材により固定されていることを特徴とする請求項13の液体材料吐出装置。
【請求項15】
前記締結部材が、前記アームの上面または下面に固定されることを特徴とする請求項13の液体材料吐出装置。
【請求項16】
前記押さえ部が、前記当接部に当接する頂部を備えることを特徴とする請求項13ないし15のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項17】
前記押さえ部の頂部が、端部に構成されることを特徴とする請求項16の液体材料吐出装置。
【請求項18】
前記連結装置を、前記アームに対して回動可能に固定する軸部を備えることを特徴とする請求項13ないし17のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項19】
前記押さえ部が、前記アームに設けられた一対のブリッジからなることを特徴とする請求項1または2の液体材料吐出装置。
【請求項20】
前記押さえ部が、凹部を有する板状弾性体であり、
前記当接部が、前記アームに当接する第一の当接部と、前記弁棒から突出するように設けられ、前記一対のブリッジの凹部で押さえつけられる第二の当接部とから構成されることを特徴とする請求項19の液体材料吐出装置。
【請求項21】
前記押さえ部が、丸棒状の弾性体であり、
前記当接部が、丸みをおびた上面および丸みをおびた下面を有することを特徴とする請求項19の液体材料吐出装置。
【請求項22】
前記弁棒が、段部を形成するくびれ部を備えており、
前記押さえ部が、前記段部を押さえつけることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項23】
前記弁駆動装置が、圧電アクチュエータを備えて構成されることを特徴とする請求項1ないし22のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項24】
前記弁駆動装置により前記弁体を進出移動させることにより、前記ノズルから一の液滴を吐出することを特徴とする請求項1ないし23のいずれかの液体材料吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
弁棒に設けられた弁体を弁座に対して進退動させることでノズルから液体材料を吐出する液体材料吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弁棒に設けられた弁体を弁座に対して進退動させることで、弁座に設けられた孔と連通するノズルから液体材料を液滴の状態で吐出する吐出装置が知られている。この種の吐出装置において、弁棒に設けられた弁体は、空気圧や圧電素子などのアクチュエータにより高速に進出移動することで、微量の液滴を飛翔吐出する。
上記吐出装置の中には、アクチュエータと弁棒とを直接連結せずに、アクチュエータによる駆動力を弁棒へ伝える機構を有するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1は、アクチュエータにより往復動する駆動ピンと、流体出口を備えたノズルと、流体入口、ノズルを支持する部分及び流体チャンバを備えたモジュール本体と、流体出口と連通状態にある開口部を備えた弁座と、一部が流体チャンバの境界部を定める可動要素と、流体チャンバ内に収納されると共に可動要素に取り付けられた弁要素とを有し、弁要素は駆動ピンと可動要素の一部との接触によって弁座に向かって動かされる射出装置であり、可動要素に接触し、可動要素に軸方向ばね力を加えるよう構成された付勢要素をさらに有し、弁要素及び可動要素が、軸方向ばね力の作用を受けて弁座から遠ざかるよう構成されている。
【0004】
また、特許文献2は、吐出口と連通し、液体材料が供給される液室と、先端部が液室内を進退動するプランジャと、プランジャを上方に付勢する弾性体と、プランジャを下方に押圧するアームと、アームを動作させるアーム駆動装置とを備える液体材料吐出装置であり、アームが上昇すると、弾性体の付勢力によりプランジャも上昇するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-46906号公報
【特許文献2】国際公開第2017/122683号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記各文献の装置は、アクチュエータにより下方へ移動された弁要素やプランジャを元の位置(上方)へ移動するための付勢要素であるばねを有する。これらの装置においては、多数の液滴を短い時間で吐出するため、アクチュエータにより弁要素を高速で動作させる必要がある。
しかしながら、弁要素の移動速度を高速にすると、ばねにより弁要素を元の位置に戻す動きが、アクチュエータの動きに追従できず、アクチュエータと弁要素とが離れたり、衝突したりといった状態になり、液滴が吐出されないなどの問題がある。この問題に対処するため、ばね定数を大きくし、アクチュエータの動きに追従できるようにすることも考えられるが、ばね定数の大きなばねは、動かすのに大きな力を必要とするため、アクチュエータの負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
また、圧電アクチュエータにおいては、発生させる力を大きくすると変位量が小さくなるのが一般的であるため、ばね定数の大きなばねを用いると、弁要素を動かせる距離が短くなり、必要な移動距離(ストローク量)を確保できないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、強いばねを用いなくても弁要素の動きをアクチュエータの高速動作に追従させることができる液体材料吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体材料吐出装置は、先端部に設けられた弁体および当接部を有する弁棒と、前記弁体が進退動する液室と、前記液室と連通するノズルと、前記液室と前記ノズルとを連通する孔を有する弁座と、前記弁棒と離間可能に当接するアームと、前記アームを回動させることにより、前記弁体を前記弁座に対して進退動させる弁駆動装置と、を備える液体材料吐出装置において、前記弁棒を前記アームに対して連結する連結装置を備え、前記連結装置が、前記当接部を前記アームに対して押さえつける押さえ部を備えることを特徴とする。
上記液体材料吐出装置において、前記アームが、前記弁棒の当接部が配置される受容部を有し、
前記アームを回動させると前記弁棒の当接部が前記受容部に対して転動することを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、板状弾性体から構成されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記受容部が、前記アームの上面に形成されており、前記アームが、前記受容部に設けられた前記弁棒が挿通される貫通孔を備え、前記当接部が前記弁棒よりも幅広であり、前記当接部の上面が平面であり、下面が丸みをおびていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記アームの受容部が、前記アームの下面に形成されており、前記当接部が前記弁棒よりも幅広であり、前記当接部の下面が平面であり、上面が丸みをおびていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、前記弁棒が配置される切り欠き部を備えることを特徴としてもよい。
【0010】
上記液体材料吐出装置において、前記連結装置が、さらに、前記押さえ部と同じ方向に延びる係止部と、係止部と押さえ部とを接続する接続部と、を備え、前記係止部および前記押さえ部により前記アームを狭着することを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記係止部が、前記アームに当接する頂部を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記アームが、前記係止部の頂部を受容する凹部を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記係止部が、前記アームに当接する複数の頂部および複数の頂部の間に位置する凹部を備え、前記アームが、前記係止部の凹部に受容される凸部を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、前記当接部に当接する頂部を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記連結装置を、前記アームに締結する締結部材を備え、前記接続部が、前記締結部材が挿通される孔を備えることを特徴としてもよい。
【0011】
上記液体材料吐出装置において、前記連結装置が、前記押さえ部と連続する固定部と、固定部を前記アームに固定する締結部材を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記固定部が、前記押さえ部と実質的に直交する方向に延びており、前記アームの先端部に締結部材により固定されていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記締結部材が、前記アームの上面または下面に固定されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、前記当接部に当接する頂部を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部の頂部が、端部に構成されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記連結装置を、前記アームに対して回動可能に固定する軸部を備えることを特徴としてもよい。
【0012】
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、前記アームに設けられた一対のブリッジからなることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、凹部を有する板状弾性体であり、前記当接部が、前記アームに当接する第一の当接部と、前記弁棒から突出するように設けられ、前記一対のブリッジの凹部で押さえつけられる第二の当接部とから構成されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記押さえ部が、丸棒状の弾性体であり、前記当接部が、丸みをおびた上面および丸みをおびた下面を有することを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁棒が、段部を形成するくびれ部を備えており、前記押さえ部が、前記段部を押さえつけることを特徴としてもよい。
【0013】
上記液体材料吐出装置において、前記弁駆動装置が、圧電アクチュエータを備えて構成されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁駆動装置により前記弁体を進出移動させることにより、前記ノズルから一の液滴を吐出することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、強いばねを用いなくても弁要素の動きをアクチュエータの高速動作に追従させることができる液体材料吐出装置を提供することが可能となる。
また、用途に応じて必要なストローク量を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る連結装置を備える吐出装置を説明する部分断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る連結装置の詳細を説明する部分拡大図である。ここで、(A)は上面図、(B)は側面部分断面図、(C)は下面図を示す。
【
図3】第1実施形態に係る連結装置の着脱方法を説明する側面図である。ここで、(A)及び(B)は取り付け方法、(C)及び(D)は取り外し方法を示す。
【
図4】第2実施形態に係る連結装置を説明する部分拡大断面図である。
【
図5】(A)は受容部をアーム下面に設けた第3実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム上面に設けた第4実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。
【
図6】(A)は受容部をアーム下面に、凹部をアーム上面に設けた第5実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム下面に、凸部をアーム上面に設けた第6実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム上面に、凹部をアーム下面に設けた第7実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に、凸部をアーム下面に設けた第8実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。
【
図7】(A)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を頂部とした第9実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を端部とした第10実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を凸状とした第11実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を端部とした第12実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。
【
図8】(A)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を頂部とした第13実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を端部とした第14実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を頂部とした第15実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を端部とした第16実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。
【
図9】(A)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を頂部とした第17実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を端部とした第18実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を頂部とした第19実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を端部とした第20実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。
【
図10】(A)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を頂部とした第21実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部を端部とした第22実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を頂部とした第23実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部を端部とした第24実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。
【
図11】(A)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部をアーム前後方向に平行に設けた第25実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部をアーム前後方向に平行に設けた第26実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部をアーム横幅方向に平行に設けた第27実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部をアーム横幅方向に平行に設けた第28実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。また、各図において右側が正面図、左側が側面図を示す。
【
図12】(A)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部をアーム前後方向に平行に設けた第29実施形態に係る連結装置、(B)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部をアーム前後方向に平行に設けた第30実施形態に係る連結装置、(C)は受容部をアーム下面に設け、押さえ部をアーム横幅方向に平行に設けた第31実施形態に係る連結装置、(D)は受容部をアーム上面に設け、押さえ部をアーム横幅方向に平行に設けた第32実施形態に係る連結装置を示す部分拡大図である。また、各図において右側が正面図、左側が側面図を示す。
【
図13】第33実施形態に係る連結装置を説明する部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
なお、以下では、説明の都合上、ノズル側を「下」、アーム側を「上」、弁装置側を「前方」、弁駆動装置側を「後方」と呼ぶ場合がある。
【0017】
<第1実施形態>
(吐出装置)
第1実施形態に係る吐出装置101は、
図1に示すように、弁装置102、弁駆動装置103およびそれらが設けられるベース部材104を主な構成要素とし、液体材料117を液滴として飛翔吐出するジェット式吐出装置に関する。
【0018】
弁装置102は、ベース部材104の前方側に設けられ、弁体106と弁座108から主に構成される。弁体106は、弁棒105の下端部分であり、ベース部材104の前方下方に設けられる液室112内に位置する。弁体106は、先端が平面の円柱状を例示しているが、この形状に限定されず、例えば、球状としたり、凹状としたり、先細り形状としたり、吐出口111と対向する位置に突起を設けたりしてもよい。
一方、弁棒105の上端には当接部107が設けられ、弁駆動装置103のアーム121と離間可能に当接する。本実施形態の当接部107は上面視円形であり、弁棒105本体よりも大径に形成されている。ただし、当接部107の形状は上面視円形である必要はなく、弁棒105本体よりも幅広であればよい。当接部107のアーム121と当接する上面は、曲面(丸みを帯びた面)をなしており、アーム121の回動(符号122、123)による接触位置や角度の変化を許容できるようになっている。弁棒105は、挿通孔113に配置される円筒状のブッシュ114および環状のシール部材115に挿通される。液室112の上面には挿通孔113と通じる孔があり、下端には吐出口111を有するノズル110が装着される。弁座108は、ノズル110の上面に配置され、液室112の底面を構成する。弁座108には、液室112とノズル110の吐出口111とを連通する貫通孔109が設けられている。
図1では、弁座108とノズル110を分けているが、ノズル110の内底面を弁座108として一体的に設けてもよい。液室112の側方には、液体材料117が供給される液入口116が設けられる。液入口116は、図示しない貯留容器などの液体材料供給源と接続される。
【0019】
弁駆動装置103は、ベース部材104上に前後方向に並んで配置された二つのアクチュエータ(118、119)から構成される。アクチュエータ(118、119)の下端は、図示しない揺動機構とそれぞれ連結し、上端はアーム121にそれぞれ固定される。アクチュエータ(118、119)は、電圧をかけることによって積層方向(
図1では上下方向)に伸縮する同一仕様の圧電素子によりそれぞれ構成された圧電アクチュエータである。アーム121は、アクチュエータ(118、119)から弁装置102に向かって延びる棒状の部材で、ベース部材104との間にアクチュエータ(118、119)を挟むようにして、二つのアクチュエータ(118、119)の間に配置される固定具120により固定される。アーム121は、前方下面に凹設される受容部209で、弁棒105上端の当接部107に当接しており、後述する連結装置201により弁棒105と連結される。受容部209は、弁棒105の当接部107よりも大きく形成されており、これによりアーム121の回動による弁棒105の位置や角度の変化を許容できる。受容部209の深さは、弁棒105の当接部107の厚さと同程度に形成されている。アーム121と弁棒105が連結装置201により連結されていることで、アーム121を介してアクチュエータ(118、119)の変位を弁棒105に伝え、弁体106を弁座108に対して進退動させることができる。
本実施形態の吐出装置101は、操作者の保護、および装置の保護の観点から点線で示すカバー124で覆われる。
【0020】
図1の吐出装置101は概ね、次のように動作する。
前側の第1のアクチュエータ118および後側の第2のアクチュエータ119を変位させない状態とするときの弁体106の位置を中立位置とする。
前側の第1のアクチュエータ118を延伸変位させ、後側の第2のアクチュエータ119を収縮変位または変位させない状態とすると、アーム121は、固定具120を中心として上方向に(
図1の方向から見た場合に反時計回りに)回動し、アーム121前方が上昇する(符号122)。アーム121前方が上昇すると、連結装置201により連結している弁棒105が上昇し、弁体106は弁座108から遠ざかる方向(本実施形態では、この方向を後退方向と呼ぶ)へ移動する。このときの弁体106の位置を上昇位置とする。
【0021】
前側の第1のアクチュエータ118を収縮変位または変位させない状態とし、後側の第2のアクチュエータ119を延伸変位させると、アーム121は、固定具120を中心として下方向に(
図1の方向から見た場合に時計回りに)回動し、アーム121前方が下降する(符号123)。アーム121前方が下降すると、連結装置201により連結している弁棒105がアーム121に押されて下降し、弁体106は弁座108に近づく方向(本実施形態では、この方向を前進方向と呼ぶ)へ移動する。このときの弁体106の位置を下降位置とする。
上記した上昇位置から中立位置まで、中立位置から下降位置まで、または、上昇位置から下降位置までの移動距離がストロークとなる。
【0022】
上記各動作を組み合わせることにより、液室112内で弁体106を進退動させることができる。その中で、上記下降動作により、弁体106の下方に存在する液体材料117に慣性力を印加して、ノズル110の吐出口111から液体材料117を吐出することができる。
二つのアクチュエータ(118、119)の変位量を調整することで、ストローク量を調整できる。そして、ストローク量を調整することで、ノズル110の吐出口111から吐出される液体材料117の量を調整することができる。
【0023】
(連結装置)
(1)構成
第1実施形態の吐出装置101が備える連結装置201は、
図2に示すように、押さえ部202、係止部203、接続部204から構成される。連結装置201は、全体が板状の弾性体から形成され、アーム121が揺動する方向(
図1参照)と同じ方向に弾性変形することができる。言い換えると、押さえ部202と係止部203との間が、広がったり狭まったりする方向に変形することができる。
【0024】
押さえ部202は、アーム121に向かって凸状または山形を形成するように湾曲しており、その頂部205で弁棒105の当接部107に接する。頂部205は、前後方向における、弁棒105の中心軸210とほぼ同じ位置で、当接部107の下面に接する。当接部107の中心位置には弁棒105が存在しているので、弁棒105を避ける切り欠き207を設けている。押さえ部202は、アーム121前方下面に設けられる受容部209に、弁棒105上端に設けられる当接部107を押し付けるような力(
図2では上方向の力)を及ぼす。言い換えると、弁棒105の当接部107は、アーム121の受容部209と連結装置201の押さえ部202との間に挟まれる。押さえ部202は、凸状または山形を形成するように湾曲しているので、適切な押さえ力を作用することができる。
【0025】
アーム121を挟んで押さえ部202と対向する位置に、係止部203を設ける。係止部203は、押さえ部202と同様に、アーム121に向かって凸状または山形を形成するように湾曲しており、頂部206でアーム121に接する。係止部203の頂部206が当接する位置は、前後方向における、弁棒105の中心軸210とほぼ同じ位置である。言い換えると、係止部203の頂部206は押さえ部202の頂部205と対称の位置にある。係止部203は、アーム121を弁棒に押し付けるような力(
図2では下方向の力)を及ぼす。
【0026】
押さえ部202と係止部203とは、側面視「C」字状となるよう、接続部204により相互に接続する。別の表現をすれば、押さえ部202と係止部203とは、切り欠き207を除き、接続部204を中心として対称な形状をなしている。
押さえ部202の頂部205と係止部203の頂部206との間の距離は、連結装置201がアーム121に取り付けられていない状態で、アーム121の上下幅よりも小さくなるよう形成する。そうすることで、連結装置201をアーム121に取り付けたとき、弾性により、弁棒105とアーム121とを互いに押し付ける力を作用させることができる。言い換えると、連結装置201は、弁棒105をアーム121に対して揺動可能に挟んで固定している。他方、押さえ部202の端部と係止部203の端部との間の距離は、連結装置201がアーム121に取り付けられていない状態で、アーム121の上下幅よりも大きくなるよう形成する。そうすることで、連結装置201をアーム121に取り付けることが容易になる(
図3参照)。連結装置201がアーム121に完全に取り付けられているとき、すなわち、押さえ部202の頂部205が、弁棒105の中心軸210とほぼ同じ位置で当接部107の下面で接しているとき、接続部204は、アーム121前端面に接する。
【0027】
(2)着脱方法
第1実施形態の連結装置201を用いた弁棒105の着脱方法について説明する。
(取り付け方法)
弁棒105をアーム121に取り付ける場合、まず、弁棒105の当接部107がアーム121の受容部209に突き当たるまで、弁棒105をアーム121に向かって移動させる(
図3(A))。その状態のまま、連結装置201をアーム121に向かって移動させると、押さえ部202および係止部203の端部がアーム121の前縁に当たり、押さえ部202と係止部203との間が広がるように弾性変形する(
図3(B))。さらに移動させると、押さえ部202と係止部203との間がアーム121の上下幅まで広がり、弁棒105の当接部107がアーム121の受容部209と連結装置201の押さえ部202との間に挟まれるように固定される。連結装置201の接続部204がアーム121前端面に当接するまで移動すれば取り付けは完了する(
図2(B)参照)。連結装置201を取り付けやすくするため、アーム121の前端部に、前端に向かって幅が狭くなるよう傾斜や丸みを設けてもよい。
【0028】
(取り外し方法)
弁棒105をアーム121から取り外す場合、まず、連結装置201を手前に移動させて、弁棒105の当接部107をアーム121の受容部209に押し付けている力を除く(
図3(C))。連結装置201は、アーム121から取り外されると、弾性により、押さえ部202と係止部203との間が狭まる。そして、弁棒105をアーム121から離せば取り外しは完了する(
図3(D))。
【0029】
(作用効果)
以上に説明した第1実施形態の連結装置201は、連結装置201によりアーム121と弁棒105とを常時当接させる力が作用するので、アクチュエータ(118、119)によりアーム121を高速に動作させても、弁棒105がアーム121から離れるという問題は生じない。そのため、アクチュエータ(118、119)によりアーム121が高速に駆動しても、弁棒105がその動きに追従することができる。加えて、アクチュエータ(118、119)の動作時に、ばねの抵抗に打ち勝つ必要がないため、吐出に必要な弁体106の弁座108に対する移動距離であるストローク量を確保できる。また、ばねの力に抗してアクチュエータ(118、119)を駆動させる必要が無いので、アクチュエータ(118、119)への負荷が小さい。さらに、連結装置201によりアーム121と弁棒105とを挟むだけで固定されるので、調整やメンテナンスなどで交換することが比較的多い弁棒105の着脱が容易に行える。
【0030】
<第2実施形態>
第2実施形態の連結装置201は、弁棒105を上から固定する点で第1実施形態の連結装置201と相違する。
第2実施形態の連結装置201では、
図4に示すように、アーム121の前方上面に受容部209を凹設している。そして、受容部209の底面からアーム121の下面まで貫通する孔211を併せて設けている。この貫通孔211に弁棒105を挿入し、連結装置201により固定する。弁棒105は、上端に当接部107を設けるのは第1実施形態の場合と同じであるが、丸みをおびた面を当接部107と弁棒105とが接続する側(下面)に設ける点で第1実施形態と相違する。第2実施形態では、当接部107の丸みをおびた面が受容部209の底面と接することで、アーム121の回動による接触位置や角度の変化を許容できるよう構成している。
連結装置201は、当接部107がアーム121の上面側となるので、第1実施形態(
図2)の場合とは逆に、上側に押さえ部202、下側に係止部203が設けられる。また、係止部203に弁棒105が通る切り欠き208を設けている。弁棒105の着脱は、弁棒105を上から挿入するという作業部分を除き、第1実施形態の場合とほぼ同様に行える。
第2実施形態の連結装置201においても、第1実施形態の連結装置201と同様の作用効果を奏することができる。加えて、弁棒105の当接部107がアーム121の受容部209に支持されるため、着脱時に弁棒105が落下することを防止できる。
【0031】
<第3および第4実施形態>
第3および第4実施形態の連結装置201は、接続部204に挿通される締結部材(ねじ)213を備えている点で第1および第2実施形態の連結装置201と相違する。
図5(A)に示す第3実施形態の連結装置201では、受容部209がアーム121の下面に設けられており、受容部209を避けるようアーム121前面上方にねじ穴214を設けている。
図5(B)に示す第4実施形態の連結装置201では、受容部209がアーム121の上面に設けられており、受容部209を避けるようアーム121前面下方にねじ穴214を設けている。
第3および第4実施形態のいずれにおいても、連結装置201の接続部204には、ねじ穴214に対応する位置に締結部材213が貫通する孔212が設けられている。弁棒105を取り付けるときは、第1および第2実施形態の場合と同様に連結装置201をアーム121に取り付けた後、締結部材213を取り付けて固定する。取り外すときは、締結部材213を外した後、第1および第2実施形態の場合と同様に連結装置201をアーム121から取り外す。
第3および第4実施形態の連結装置201においても、第1および第2実施形態の連結装置201と同様の作用効果を奏することができる。加えて、締結部材213を加えることで、締結部材213がない場合に比べて、アーム121への弁棒105の固定を確実にすることができる。
【0032】
<第5ないし第8実施形態>
第5ないし第8実施形態の連結装置201は、アーム121の上面または下面に凹凸が形成されている点で第1ないし第4実施形態の連結装置201と相違する。
第5実施形態の連結装置201では、
図6(A)に示すように、弁棒105を下から取り付ける構成において、アーム121の上面に、係止部203の頂部206の形状に沿うような凹部215を設けている。第5実施形態では、取り付け時、係止部203の頂部206がこの凹部215に嵌まり、連結装置201のずれ、特に前後方向へのずれを規制することができる。
第6実施形態の連結装置201では、
図6(B)に示すように、弁棒105を下から取り付ける構成において、アーム121の上面に凸部216を設け、かつ、係止部203をこの凸部216の形状に沿うよう「W」(あるいは「M」)字状に湾曲するよう形成している。第6実施形態では、取り付け時、係止部203の「W」(あるいは「M」)字状の中央に形成される凹部217がアーム121の凸部216に嵌まり、連結装置201のずれ、特に前後方向へのずれを規制することができる。
【0033】
第7実施形態の連結装置201では、
図6(C)に示すように、弁棒105を上から取り付ける構成において、アーム121の下面に、係止部203の頂部206の形状に沿うような凹部215を設けている。第7実施形態では、取り付け時、係止部203の頂部206がこの凹部215に嵌まり、連結装置201のずれ、特に前後方向へのずれを規制することができる。
第8実施形態の連結装置201では、
図6(D)に示すように、弁棒105を上から取り付ける構成において、アーム121の下面に凸部216を設け、かつ、係止部203をこの凸部216の形状に沿うよう「W」(あるいは「M」)字状に湾曲するよう形成している。第8実施形態では、取り付け時、係止部203のW字状(またはM字状)の中央に形成される凹部217がアーム121の凸部216に嵌まり、連結装置201のずれ、特に前後方向へのずれを規制することができる。
第5ないし第8実施形態では、連結装置201がアーム121からずれたり外れたりすることを防止できる。また、連結装置201の頂部206や凹部217が、アーム121の凹部215や凸部216に嵌まる感覚が作業者に伝わるので、固定されたかどうかの確認が容易に行える。
【0034】
<第9ないし第12実施形態>
第9ないし第12実施形態は、固定部218と締結部材213によりアーム121に固定される連結装置201を開示するものである。
図7(A)に示す第9実施形態の連結装置201は、アーム121に向かって凸状または山形を形成するように湾曲し、頂部205で弁棒105の当接部107に接する押さえ部202と、押さえ部202と接続し、アーム121の端面に沿う形状をした固定部218とを有する。アーム121には受容部209を避けるようねじ穴214が設けられており、固定部218のねじ穴214に対応する位置には、締結部材213が貫通する孔212が設けられている。押さえ部202の頂部205が弁棒105の当接部107と接し、かつ、固定部218がアーム121の端面に接した状態で、締結部材213を取り付けることで固定する。押さえ部202には、弁棒105を避ける切り欠き207が設けられている。
【0035】
図7(B)に示す第10実施形態の連結装置201は、アーム121に向かって鉤状に湾曲し、端部で弁棒105の当接部107に接する押さえ部219と、押さえ部219と接続し、アーム121の端面に沿う形状をした固定部218とを有する。アーム121には受容部209を避けるようねじ穴214が設けられており、固定部218のねじ穴214に対応する位置には、締結部材213が貫通する孔212が設けられている。鉤状の押さえ部219の端部が弁棒105の当接部107と接し、かつ、固定部218がアーム121の端面に接した状態で、締結部材213を取り付けることで固定する。押さえ部202には、弁棒105を避ける切り欠き220が設けられている。
【0036】
図7(C)に示す第11実施形態の連結装置201および
図7(D)に示す第12実施形態の連結装置201は、
図4に示す第2実施形態と同様、弁棒105を上方から取り付ける構成を開示している。
以上に説明した第9ないし第12実施形態の連結装置201は、連結装置201をアーム121に固定する前の状態で、押さえ部202の頂部205あるいは鉤状の押さえ部219の端部が、アーム121面よりも内側に位置するようにすることで、弁棒105をアーム121に仮固定してから締結部材213により固定することができる。挟まずに固定する構造であるので、挟む構造を有する第1ないし第8実施形態の連結装置201と比べ、小さな力で固定することができる。なお、第10実施形態(
図7(B))や第12実施形態(
図7(D))で開示した鉤状の押さえ部219は、第1ないし第4実施形態の連結装置201でも押さえ部202に代えて採用することができる。
【0037】
<第13ないし第16実施形態>
第13ないし第16実施形態の連結装置201は、さらに軸部221を備える点で第9ないし第12実施形態の連結装置201と相違する。
第13ないし第16実施形態では、
図8に示すように、固定部218の押さえ部(202、219)とは反対側の端部に軸部221を設け、連結装置201をアーム121の揺動方向と同じ方向Rに回転可能としている。軸部221は、アーム121および連結装置201に設けられた貫通孔に軸棒を挿通し、軸棒を固定具により固定することで構成している。弁棒105の交換が必要な際には、締結部材213を緩める方向に回転し、軸部221を中心として回転させることにより、簡単に弁棒105を交換することが可能である。
第13および第14実施形態では、アーム121の下面に受容部209を設けているので、軸部221をアーム121の上面付近に設けている。
第15および第16実施形態では、アーム121の上面に受容部209を設けているので、軸部221をアーム121の下面付近に設けている。
以上に説明した第13ないし第16実施形態では、連結装置201がアーム121に常時連結しているので、連結装置201をなくしてしまうことがない。締結部材213を固定部218から外れないようにしてもよく、そうすることにより締結部材213をなくすおそれもなくなる。
【0038】
<第17ないし第20実施形態>
第17ないし第20実施形態の連結装置201は、締結部材213がアーム121の上面または下面に締結される点で第9ないし第12実施形態の連結装置201と相違する。
図9(A)に示す第17実施形態の連結装置201は、アーム121に向かって凸状(または山形)に湾曲し、頂部205で弁棒105の当接部107と接する押さえ部202と、押さえ部202と接続し、アーム121の下面に沿う形状をした固定部218とを有する。押さえ部202には、弁棒105を避ける切り欠き207が設けられている。アーム121の下面にはねじ穴214と受容部209が設けられている。固定部218のねじ穴214に対応する位置には、締結部材213が貫通する孔212が設けられている。押さえ部202の頂部205が弁棒105の当接部107と接し、かつ、固定部218がアーム121の下面と接した状態で、締結部材213を取り付けることで固定する。
【0039】
図9(B)に示す第18実施形態の連結装置201は、アーム121に向かって鉤状に湾曲し、端部で弁棒105の当接部107と接する押さえ部219を備えている。その他構成については、
図9(A)に示す第17実施形態の連結装置201と同様である。
図9(C)に示す第19実施形態の連結装置201は、アーム121に向かって凸状(または山形)に湾曲し、頂部205で弁棒105の当接部107と接する押さえ部202と、押さえ部202と接続し、アーム121の上面に沿う形状をした固定部218とを有する。アーム121の上面には貫通孔211を有する受容部209とねじ穴214が設けられている。固定部218のねじ穴214に対応する位置には、締結部材213が貫通する孔212が設けられている。貫通孔211に弁棒105を挿通し、押さえ部202の頂部205が弁棒105の当接部107と接し、かつ、固定部218がアーム121の上面と接した状態で、締結部材213を取り付けることで固定する。
図9(D)に示す第20実施形態の連結装置201は、アーム121に向かって鉤状に湾曲し、端部で弁棒105の当接部107と接する押さえ部219を備えている。その他構成については、
図9(C)に示す第19実施形態の連結装置201と同様である。
以上に説明した第17ないし第20実施形態の連結装置201は、アーム121の先端面に締結部材213を締結しないので、実質的なアーム121の長さをコンパクトにすることが可能である。
【0040】
<第21ないし第24実施形態>
第21ないし第24実施形態の連結装置201は、さらに軸部221を備える点で第17ないし第20実施形態の連結装置201と相違する。
第21ないし第24実施形態の連結装置201では、
図10に示すように、固定部218の押さえ部(202、219)とは反対側の端部に軸部221を設け、連結装置201をアーム121の揺動方向と同じ方向Rに回転可能としている。第21ないし第24実施形態では、連結装置201がアーム121に常時連結しているので、連結装置201をなくしてしまうことがない。締結部材213を固定部218から外れないようにしてもよく、そうすることにより締結部材213をなくすおそれもなくなる。
【0041】
<第25ないし第28実施形態>
第25ないし第28実施形態では、アーム121に固設された連結装置201を開示する。
第25実施形態の連結装置201は、
図11(A)に示すように、側面視「M」字状の板状弾性体からなる一対の押さえ部202を備えて構成される。アーム121の下面には、アーム121の横幅方向に延びる凹溝223と、凹溝223上面のほぼ中央部に凹設された深溝222が形成されている。深溝222は第一の当接部224を受容する第一の受容部として機能し、凹溝223は第二の当接部225を受容する第二の受容部として機能する。
凹溝223を架橋するように一対の押さえ部202が設けられている。押さえ部202は、アーム121の横幅方向に間隔を空けて平行に、同じものを二つ設置する。押さえ部202は、その両端から延びる固定用ブリッジ230をアーム121の下面に固定することで取り付けられている。弁棒105は、上端に設けられ、丸みをおびた面を有する第一の当接部224と、第一の当接部224の下方に弁棒105の中心軸210から両側へ突出する丸棒状の第二の当接部225とを有する。言い換えると、第二の当接部225は弁棒105から水平に突出するように設けられており、弁棒105と第二の当接部225とで十字形をなしている。第二の当接部225の長さは、アーム121の横幅および凹溝223の間隔よりは短く、平行に設置される連結装置201の間隔よりは長い。
【0042】
弁棒105のアーム121への取り付けは、まず、弁棒105の第二の当接部225の延伸方向と、二つの押さえ部(202、202)の延びる方向とを合わせた状態で、弁棒105の第一の当接部224をアーム121の深溝222に突き当たる場所に配置する。言い換えると、弁棒105の第二の当接部225を、二つの押さえ部(202、202)の間を通過するように移動させる。ついで、弁棒105の第一の当接部224をアーム121の深溝222に突き当てた状態のまま、弁棒105を弁棒105の中心軸210回りに回転させる。すると、第二の当接部225が、押さえ部202を下側へ膨らむよう弾性変形させつつ、「M」字状の凸部227を乗り越えるように移動し、「M」字状の凹部226に嵌まる。第二の当接部225が、「M」字状の凹部226に嵌まると、押さえ部202が弾性により弁棒105を上方向に押し付ける力を及ぼし、弁棒105はアーム121に固定される。このように、第25実施形態の連結装置201では、弁棒105を挿し込むだけの簡単な操作で固定することができる。
【0043】
第26実施形態の連結装置201では、
図11(B)に示すように、連結装置201をアーム121上面に設けている。第25実施形態との違いは、アーム121に深溝222がなく、代わりに弁棒105が挿通する孔211が設けられることである。弁棒105は上から凹溝223に挿通するので、弁棒105に丸みを帯びた第一の当接部224を設ける必要はない。
第27実施形態の連結装置201では、
図11(C)に示すように、二つの押さえ部(202、202)がアーム121の長手方向と直交する方向に配置されている。すなわち、第27実施形態では、二つの押さえ部(202、202)の配置方向が、
図11(A)に示す第25実施形態の連結装置201とは90度異なっている。
第28実施形態の連結装置201においても、
図11(D)に示すように、二つの押さえ部(202、202)がアーム121の長手方向と直交する方向に配置されている。すなわち、第28実施形態では、二つの押さえ部(202、202)の配置方向が、
図11(B)に示す第26実施形態の連結装置201とは90度異なっている。
以上に説明した第26ないし第28実施形態においても、第25実施形態と同様、弁棒105を回転させるだけの簡単な操作で固定することができる。
【0044】
<第29ないし第32実施形態>
第29実施形態の連結装置201は、
図12(A)に示すように、アーム121の下面に設けられた丸棒状の弾性体からなる固定用ブリッジ231a,231bにより構成される。アーム121の下面には、アーム121の短手方向(横幅方向)に延びる凹溝223が設けられており、固定用ブリッジ231a,231bは凹溝223を架橋するように設置されている。固定用ブリッジ231a,231bは、アーム121の短手方向(横幅方向)に間隔を空けて平行に、同じものが二つ配置されており、一方の端部を固定具232aにより固定され、他方の端部を固定具232bにより固定される。弁棒105は、弁棒105よりも大径の当接部107を上端に有する。当接部107の上面および下面がそれぞれ丸みをおびた面とされている。当接部107の径の大きさは、アーム121の横幅Wおよび凹溝223の開口幅よりも小さいので、凹溝223内に収容可能である。すなわち、凹溝223は第1実施形態の受容部に相当する。
また、二つの固定用ブリッジ231a,231bを設置する間隔は、当接部107の径より僅かに小さい距離とする。例えば、当接部107の径の大きさと二つの固定用ブリッジ231a,231bの中心間の距離とがほぼ同じとなる距離とすること、あるいは当接部107の径の大きさと二つの固定用ブリッジ231a,231bの最外縁間距離とがほぼ同じとなる距離とすることが開示される。また、二つの固定用ブリッジ231a,231bと凹溝223の上面との間隔は、弁棒105の当接部107の厚さよりも小さくする。例えば、当接部107の曲面部(隆起部)の厚み分だけ小さくすることが例示される。
【0045】
弁棒105のアーム121への取り付けは、次のように行う。弁棒105の当接部107の上面と二つの固定用ブリッジ231a,231bとが接した状態から、さらに弁棒105をアームに近付けていくと、二つの固定用ブリッジ231a,231bは、当接部107上面の曲面に沿いつつ、アーム横幅方向に膨らむように弾性変形する。当接部107の径の大きさ、言い換えると当接部107の上面の曲面の終わりまで変形すると、弁棒105の当接部107は二つの固定用ブリッジ231a,231bを通過し、凹溝223の上面に接する。そのとき、二つの固定用ブリッジ231a,231bは、当接部107下面の曲面に沿って元の形状に戻る。二つの固定用ブリッジ231a,231bと凹溝223上面との間隔を当接部107の厚さよりも小さくしているので、当接部107には二つの固定用ブリッジ231a,231bにより上方向へと押し付ける力が働き、弁棒105はアーム121に固定される。このように、弁棒105の当接部107を連結装置201に押し込むだけの簡単な操作でアーム121に固定することができる。
【0046】
第30実施形態の連結装置201では、
図12(B)に示すように、連結装置201をアーム121上面に設けている。
図12(A)に示す第29実施形態との違いは、弁棒105が挿通する孔211がアーム121に設けられていることである。すなわち、弁棒105は、アーム121の上面に設けられた凹溝223に挿入して取り付ける。第30実施形態においても、弁棒105を連結装置201に挿し込むだけの簡単な操作でアーム121に固定することができる。
第31実施形態の連結装置201では、
図12(C)に示すように、凹溝223を架橋する固定用ブリッジ231a,231bがアーム121の短手方向に配置されている。すなわち、第31実施形態の連結装置201は、
図12(A)に示す第29実施形態の連結装置201とは、固定用ブリッジ231a,231bが延びる方向が90度異なっている。第31の実施形態においても、弁棒105を連結装置201に押し込むだけの簡単な操作でアーム121に固定することができる。
図12(D)に示す第32実施形態の連結装置201も第31実施形態と同様であり、凹溝223を架橋する固定用ブリッジ231a,231bがアーム121の短手方向に配置されている。すなわち、第32実施形態の連結装置201は、
図12(B)に示す第30実施形態の連結装置201とは、固定用ブリッジ231a,231bが延びる方向が90度異なっている。第32の実施形態においても、弁棒105を連結装置201に挿し込むだけの簡単な操作でアーム121に固定することができる。
【0047】
<第33実施形態>
第32実施形態までは、弁棒105の当接部107を弁棒105よりも幅広にする構成を開示したが、当接部107を弁棒105の中央部よりも幅広とすることは必須の構成ではない。
第33実施形態の連結装置201は、
図13に示すように、弁棒105は、弁棒105と同径の当接部107と、当接部107の下方に設けられるくびれ部228を有する。
当接部107の上面は、アーム121の回動時に受容部209に対して転動可能となるように、丸みをおびた面に形成されている。くびれ部228は、当接部107よりも小径に構成されており、くびれ部228と当接部107との接続部分が段部229を構成する。くびれ部228の形状は、例示の円柱状に限定されず、押さえ部219を係合可能であればよく、例えば溝であってもよいし、貫通孔であってもよい。くびれ部228は、当接部107がアーム121の受容部209に当接している状態で、アーム121の下面から所定の距離離れた位置に形成される。連結装置201は、アーム121に向かって鉤状に湾曲する押さえ部219を備えている。押さえ部219の端部が弁棒105の段部229に当接するように連結装置201を配置することで弁棒105をアーム121に固定する。ここで、くびれ部228を受け入れる切り欠きを押さえ部219に設けてもよい。挟まずに固定する構造であるので、挟む構造を有する第1ないし第8実施形態の連結装置201と比べ、小さな力で固定することができる。
【0048】
アーム121の受容部209は、弁棒105の当接部107が転動可能な大きさに形成されている。弁棒105のアーム121への取り付けは、弁棒105の当接部107をアーム121の受容部209に当接させた状態で、鉤状の押さえ部219の端部を弁棒105の段部229へと引っ掛けるようにしながら、係止部203をアーム121上面へと移動させるとよい。本実施形態の構成は、アーム121が小さく受容部209の大きさを十分確保できない場合や弁棒105を軽量化したい場合などに有効である。
なお、本実施形態の構成において、第3および第4実施形態(
図5)の締結部材213の構成、第5ないし第8実施形態(
図6)のアーム121の上面または下面に凹凸を設ける構成、または第13ないし第16実施形態(
図8)の軸部221と締結部材213の構成を組み合わせて採用することが可能である。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で様々な変更、改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
101:吐出装置、102:弁装置、103:弁駆動装置、104:ベース部材、105:弁棒、106:弁体、107:当接部、108:弁座、109:貫通孔(弁座)、110:ノズル、111:吐出口、112:液室、113:挿通孔、114:ブッシュ、115:シール部材、116:液入口、117:液体材料、118:第1のアクチュエータ、119:第2のアクチュエータ、120:固定具、121:アーム、122:アームの揺動方向(上)、123:アームの揺動方向(下)124:カバー、201:連結装置、202:押さえ部、203:係止部、204:接続部、205:頂部(押さえ部)、206:頂部(係止部)、207:切り欠き(押さえ部)、208:切り欠き(係止部)、209:受容部、210:弁棒の中心軸、211:貫通孔(アーム)、212:貫通孔(連結装置)、213:締結部材、214:ねじ穴、215:凹部(アーム)、216:凸部(アーム)、217:凹部(係止部)、218:固定部、219:(鉤状の)押さえ部、220:切り欠き(鉤状の押さえ部)、221:軸部、222:深溝(第一の受容部)、223:凹溝(第二の受容部)、224:第一の当接部、225:第二の当接部、226:凹部(押さえ部)、227:凸部(押さえ部)、228:くびれ部(小径部)、229:段部、230:固定用ブリッジ(波板)、231:固定用ブリッジ(丸棒)、232:固定具、R:連結装置の回転方向