(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070378
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】車両表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20220506BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220506BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20220506BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220506BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220506BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G09G5/00 510V
G09G5/00 530T
G09G5/00 550C
G09G5/38 A
G09F9/00 366G
G09F9/00 312
G09F9/00 362
H04N7/18 J
H04N7/18 U
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179405
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】門脇 慶介
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5C054
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD09
3D020BE03
3D344AA14
3D344AA21
3D344AA27
3D344AA30
3D344AB01
3D344AD01
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054FC12
5C054FD07
5C054FE12
5C054FE25
5C054FE26
5C054FE28
5C054FF03
5C054HA30
5C182AB08
5C182AB15
5C182AB26
5C182AC03
5C182AC35
5C182BA14
5C182BA44
5C182BA54
5C182BB02
5C182BB17
5C182CB42
5G435AA01
5G435BB12
5G435DD03
5G435EE50
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】車幅方向広範囲にわたって設けられたディスプレイの視認性を高める。
【解決手段】車両表示装置は、運転席前方領域AR1から助手席前方領域AR2にわたって設けられた複数のモニタ1と、車両から所定範囲内または車両の目標経路から所定範囲内に存在する障害物を検出する障害物検出器と、モニタ1を介して表示される、ドライバに対する所定情報の表示位置を変更する位置変更手段と、を備える。位置変更手段は、障害物検出器により障害物が検出されると、第1位置P20から第1位置よりも運転席前方領域AR1側の第2位置P21に所定情報の表示位置を変更するようにモニタ1(第2可動モニタ12)を移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席の前方の運転席前方領域から助手席の前方の助手席前方領域にわたって設けられた単一または複数のディスプレイと、
前記車両から所定範囲内または前記車両の目標経路から所定範囲内に存在する物体または人体からなる対象体を検出する検出部と、
前記ディスプレイを介して表示される、ドライバに対する所定情報の表示位置を変更する位置変更手段と、を備え、
前記位置変更手段は、前記検出部により前記対象体が検出されると、第1位置から前記第1位置よりも前記運転席前方領域側における第2位置に前記所定情報の表示位置を変更することを特徴とする車両表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両表示装置において、
前記ディスプレイに所定の第1情報が表示された状態で前記検出部により前記対象体が検出されると、所定の第2情報を表示し、その後、前記第1情報を再表示するように前記ディスプレイを制御する表示制御部をさらに備えることを特徴とする車両表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両表示装置において、
前記車両の側方領域を撮影する撮影部をさらに備え、
前記ディスプレイは、前記撮影部により撮影された情報をそれぞれ表示する第1表示部と第2表示部とを有し、
前記位置変更手段は、前記検出部により前記対象体が検出されると、前記第1表示部による表示位置を固定したまま、前記第2表示部による表示位置を前記第1位置から前記第2位置に変更することを特徴とする車両表示装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両表示装置において、
前記第1位置は、前記助手席前方領域内の位置であり、前記第2位置は、前記運転席前方領域内または前記助手席前方領域と前記運転席前方領域との間の中央領域内の位置であることを特徴とする車両表示装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両表示装置において、
前記ディスプレイは、前記助手席前方領域から前記運転席前方領域に向けて移動可能な可動ディスプレイを含み、
前記位置変更手段は、
前記可動ディスプレイを駆動する駆動部と、
前記検出部により前記対象体が検出されると、前記第1位置から前記第2位置に前記可動ディスプレイが移動するように前記駆動部を制御する制御部と、を有することを特徴とする車両表示装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両表示装置において、
ドライバによる前記車両の旋回操作の意思を検出する旋回操作検出部をさらに備え、
前記位置変更手段は、前記旋回操作検出部により旋回操作の意思が検出されると、前記検出部により前記対象体が検出されなくても、前記第1位置から前記第2位置に前記所定情報の表示位置を変更することを特徴とする車両表示装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両表示装置において、
前記ディスプレイは、目的地までのルート情報を互いに異なる縮尺で表示する第1ルート表示部と第2ルート表示部と、を有し、
前記位置変更手段は、前記第1ルート表示部および前記第2ルート表示部の少なくとも一方の表示位置を変更することを特徴とする車両表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバに提供する各種情報を表示する車両表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、液晶表示パネルに対向して左右一対の半円枠体を移動可能に設けるとともに、半円枠体の移動に応じて表示画像を変更するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、半円枠体に外周縁を一致するスピードメータおよびタコメータなどの略円形のメータ画像が表示画面に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の装置は、左右一対のメータ画像を表示可能な比較的狭い表示画面内で、左右方向に画像が移動可能に構成される。ところで、近年、左右方向の広範囲に表示部が設けられるような車両が提案されている。このような車両では、ドライバの視認性を十分に高めることができるような画像表示が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両表示装置は、車両の運転席の前方の運転席前方領域から助手席の前方の助手席前方領域にわたって設けられた単一または複数のディスプレイと、車両から所定範囲内または車両の目標経路から所定範囲内に存在する物体または人体からなる対象体を検出する検出部と、ディスプレイを介して表示される、ドライバに対する所定情報の表示位置を変更する位置変更手段と、を備える。位置変更手段は、検出部により対象体が検出されると、第1位置から第1位置よりも運転席前方領域側における第2位置に所定情報の表示位置を変更する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、左右方向の広範囲に表示部が設けられるような車両において、ドライバの視認性を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両表示装置を構成するモニタとともに、車室内の前部の構成を示す正面図。
【
図2A】
図1の固定モニタに表示される表示画像の一例を示す図。
【
図2B】
図1の第1可動モニタに表示される表示画像の一例を示す図。
【
図2C】
図1の第2可動モニタに表示される表示画像の一例を示す図。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両表示装置の要部構成を示すブロック図。
【
図4】
図3のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両表示装置の具体的な動作の一例を示す図。
【
図7】本発明の実施形態に係る車両表示装置の表示画像の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の一実施形態について説明する。車両表示装置は、ドライバに提供するための各種情報を表示するモニタを含んで構成される。モニタは、車室内の前方、すなわち運転席と助手席の前方に配置される。
図1は、本発明の実施形態に係る車両表示装置を構成するモニタとともに、車室内の前部の構成を示す正面図である。
【0009】
図1に示すように、フロントウインド2の下方におけるインストルメントパネル3の上面3aには、左右方向に複数(図では3台)のモニタ1が配置される。複数のモニタ1は、固定モニタ10と、第1可動モニタ11と、第2可動モニタ12とからなる。運転席の前方および助手席の前方を、それぞれ運転席前方領域AR1および助手席前方領域AR2と定義すると、複数のモニタ1は、運転席前方領域AR1から助手席前方領域AR2にかけて配置される。これら複数のモニタ10~12は、例えば各種情報を表示することが可能なスマートフォン等の略矩形状の薄型の携帯端末により構成され、モニタ10~12の表面全体が表示画面10a~12aを構成する。なお、運転席前方領域AR1と助手席前方領域AR2との間の領域、すなわち左右方向中央部の領域を、中央領域AR3と呼ぶことがある。
【0010】
固定モニタ10は、運転席前方領域AR1のうち、ハンドル4の右側、例えば右側のウインドガラス5に隣接して配置される。固定モニタ10の背面ないし底面は、スタンド20を介してインストルメントパネル3の上面3aに固定される。スタンド20は移動不能に設けられ、固定モニタ10の位置は右端部に固定される。固定モニタ10は、例えばその長手方向が略鉛直方向に延在するような姿勢、すなわち縦置きの姿勢で配置される。
【0011】
第1可動モニタ11は、固定モニタ10の左方に配置される。第1可動モニタ11の背面ないし底面は、スタンド21を介してインストルメントパネル3の上面3aに支持される。スタンド21は、インストルメントパネル3の上面3aに左右方向に延設されたガイド孔3bに沿って、左右方向にスライド移動可能に設けられる。より詳しくは、スタンド21は、インストルメントパネル3の上面3aを貫通して、インストルメントパネル3の内部に配置された駆動機構22に接続される。第1可動モニタ11は、例えばその長手方向が略水平方向に延在するような姿勢、すなわち横置きの姿勢で配置される。
【0012】
詳細な図示は省略するが、駆動機構22は、例えば左右方向に延在するボールねじと、ボールねじに螺合されるとともに、ボールねじの回転に伴い左右方向に移動するナットと、ボールねじの端部に設けられ、ボールねじを回転駆動するモータとを有する。スタンド21はボールねじのナットに接続される。これにより、ボールねじの回転に伴いスタンド21を介して第1可動モニタ11が
図1の矢印に示すように左右方向に移動する。
【0013】
図1では、第1可動モニタ11が可動領域の左端部に位置する。このとき、第1可動モニタ11は、車車両左右方向ほぼ中央部(中央領域AR3)ないし中央部よりもやや運転席側に位置する。この位置を初期位置P10と呼ぶ。第1可動モニタ11がガイド孔3bに沿って可動領域の右端部に移動すると、第1可動モニタ11はハンドル4の前方の運転席前方領域AR1に位置する。この位置を最大スライド位置P11と呼ぶ。
【0014】
第2可動モニタ12は、第1可動モニタ11の左方に配置される。第2可動モニタ12の背面ないし底面は、スタンド23を介してインストルメントパネル3の上面3aに支持される。スタンド23は、インストルメントパネル3の上面3aに左右方向に延設されたガイド孔3cに沿って、左右方向にスライド移動可能に設けられる。より詳しくは、スタンド23は、インストルメントパネル3の上面3aを貫通して、インストルメントパネル3の内部に配置された駆動機構24に接続される。第2可動モニタ12は、例えばその長手方向が略鉛直方向に延在するような姿勢、すなわち縦置きの姿勢で配置される。
【0015】
詳細な図示は省略するが、駆動機構24は、駆動機構22と同様、例えば左右方向に延在するボールねじと、ボールねじに螺合されるとともに、ボールねじの回転に伴い左右方向に移動するナットと、ボールねじの端部に設けられ、ボールねじを回転駆動するモータとを有する。スタンド23はボールねじのナットに接続される。これにより、ボールねじの回転に伴いスタンド23を介して第2可動モニタ12が
図1の矢印に示すように左右方向に移動する。
【0016】
図1では、第2可動モニタ12が可動領域の左端部に位置する。このとき、第2可動モニタ12は、助手席前方領域AR2のうち、例えば左側のウインドガラス5に隣接して位置する。この位置を初期位置P20と呼ぶ。第2可動モニタ12がガイド孔3cに沿って可動領域の右端部に移動すると、第2可動モニタ12は車両左右方向ほぼ中央部(中央領域AR3)に位置する。この位置を最大スライド位置P21と呼ぶ。
【0017】
車両には、ルート案内を実行するためのナビゲーション装置が搭載され、各モニタ10~12には、ナビゲーション装置からの指令により互いに異なる画像が表示される。
図2Aは、固定モニタ10の表示画面10aに表示される表示画像の一例を示す図である。
図2Aでは、予め固定モニタ10に入力された乗員のスケジュール情報(スケジュール画像)が表示画面10aに表示される。すなわち、時刻とその時刻に対応する予定とが時刻順に表示される。なお、
図2Aでは、キャラクター画像G1も併せて表示される。
【0018】
固定モニタ10には、スケジュール画像以外に種々の画像を表示することができる。一例として、ナビゲーション装置に接続された音響機器の出力情報(例えばプレイリスト)を示す画像や、地図画像(例えば広域の地図画像)を表示することができる。ナビゲーション装置には、車両に搭載された各種の電子コントロールユニット(ECU)が接続される。固定モニタ10には、ECUを介して送信された、車載カメラからの画像やセンサ等により得られた各種情報を示す画像を表示することもできる。
【0019】
例えば、車両右側に設けられ、車両(他車両と区別するため自車両と呼ぶことがある)の右側後方を撮影する右カメラからの画像(右カメラ画像)や、車両後部に設けられ、自車両の後方を撮影するリアカメラからの画像(リアカメラ画像)、温度、湿度等の車室外情報を示す画像、自車両に搭載された運転支援装置の動作状況を表す画像などを、固定モニタ10に表示することができる。なお、運転支援装置には、自車両の前方を走行する先行車両との車間距離を設定車間距離に保ちながら先行車両に追従走行を行うように車両走行の加減速を制御する機能(追従走行機能)や、車線の中央を走行するように操舵をアシストする機能(車線維持機能)などが含まれる。
【0020】
表示画面10aは、固定モニタ10にこれら複数の画像の1つが選択的に適宜表示されるように、例えば車両の運転状況に応じて自動的に切り替えられる。なお、ドライバからの指令により、表示画面10aを切り替えるようにしてもよい。
【0021】
図2Bは、第1可動モニタ11の表示画面11aに表示される表示画像の一例を示す図である。
図2Bでは、走行レーンの案内画像が、表示画面11aに表示される。例えば右折レーン、直進レーン、左折レーンのうち、どのレーンを走行すべきかを報知する画像(例えば直進レーンの走行を案内する画像)が、立体的な地図画像上に表示される。
【0022】
第1可動モニタ11には、走行レーンの案内画像以外に種々の画像を表示することができる。一例として、車両前部に設けられて自車両の前方を撮影するフロントカメラからの画像(フロントカメラ画像)や車両前部に設けられて広範囲の画角を有するマルチビューカメラからの画像(マルチビューカメラ画像)、リアカメラ画像、地図画像(例えば詳細な地図画像)、運転支援装置の動作状況(例えば追従走行機能のオン/オフ、車線維持機能のオン/オフ)を表す画像などを表示することができる。
【0023】
表示画面11aは、第1可動モニタ11にこれら複数の画像の1つが選択的に適宜表示されるように、例えば車両の運転状況に応じて自動的に切り替えられる。なお、ドライバからの指令により、表示画面11aを切り替えるようにしてもよい。
【0024】
図2Cは、第2可動モニタ12の表示画面12aに表示される表示画像の一例を示す図である。
図2Cでは、車両左側に設けられて自車両の左側後方を撮影する左カメラからの画像(左カメラ画像)が表示画面12aに表示される。具体的には、自車両の左後方を走行する後方車両の画像G2が表示される。なお、
図2Cでは、ドライバに注意を喚起するようなキャラクター画像G3も併せて表示される。
【0025】
第2可動モニタ12には、左カメラ画像以外に種々の画像を表示することができる。一例として、左カメラにより捉えることが困難な車両左側の死角となる部分を撮影するために車両の左側に設けられたサブカメラからの画像(サブカメラ画像)や、走行レーンの案内画像(例えば左折レーンの走行を案内する画像)を表示することができる。目標経路上の車線減少を報知する画像、合流箇所を報知する画像、施設の情報を表す画像等を表示することもできる。後方から車両などが自車両に接近したことを報知する画像を表示するようにしてもよい。
【0026】
表示画面12aは、第2可動モニタ12にこれら複数の画像の1つが選択的に適宜表示されるように、例えば車両の運転状況に応じて自動的に切り替えられる。なお、ドライバからの指令により、表示画面12aを切り替えるようにしてもよい。
【0027】
なお、以上の表示画像のうち、右側の固定モニタ10に表示することが可能な右カメラ画像は、右側のサイドミラーに映るものと同様な画像である。また、左側の第2可動モニタ12に表示することが可能な左カメラ画像は、左側のサイドミラーに映るものと同様な画像である。したがって、複数のモニタ10~12の一部に右カメラ画像と左カメラ画像とを表示させることにより、左右のサイドミラーを省略することが可能である。すなわち、車両をミラーレス車両として構成することができる。
【0028】
図3は、本発明の実施形態に係る車両表示装置100の要部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、車両表示装置100は、コントローラ30を中心として構成される。コントローラ30には、車両各部のECU等を介して、入力部31と、カメラ32と、障害物検出器33と、ウィンカースイッチ34と、モニタ10~12と、モータ35,36とがそれぞれ接続される。コントローラ30には、入力部31と、カメラ32と、障害物検出器33と、ウィンカースイッチ34とからの信号が入力される。コントローラ30は、これら入力信号に基づいて所定の処理を実行し、モニタ10~12と、モータ35,36とにそれぞれ制御信号を出力する。コントローラ30は、ナビゲーション装置内に設けられる。
【0029】
入力部31は、コントローラ30に各種情報を入力するためのインターフェースであり、入力部31を介して地図情報、施設情報、運転支援装置の作動状況を示す情報等が入力される。乗員のスケジュール情報も入力部31を介して入力される。すなわち、モニタ10~12に表示される画像の各種情報が入力部31を介して入力される。なお、車両の目的地などの情報も入力部31を介して入力される。
【0030】
カメラ32は、車両に搭載されたフロントカメラ、リアカメラ、右カメラ、左カメラ、サブカメラ等、複数のカメラを含む。カメラ32から送信された画像は、カメラ画像としてモニタ10~12に適宜表示される。
【0031】
障害物検出器33は、自車両の全方位の照射光に対する散乱光を測定して自車両から周辺の障害物までの距離を測定するライダ、電磁波を照射し反射波を検出することで自車両の周辺の他車両や障害物等を検出するレーダなどにより構成される。なお、障害物には、歩行者などの人も含まれる。すなわち、物体と人体の両方が含まれる。カメラ32を障害物検出器33として用いることもできる。
【0032】
ウィンカースイッチ34は、運転席に設けられたウィンカーレバーの操作により作動するスイッチである。ウィンカースイッチ34は、車両を旋回させようというドライバの意思を反映して、車両が右折または左折されるときにオンされる。これによりウィンカーランプが点滅し、旋回動作が自車両の周囲に報知される。
【0033】
モータ35は、駆動機構22(
図1)を構成するアクチュエータであり、モータ35の駆動により第1可動モニタ11が左右方向にスライド移動される。モータ36は、駆動機構24(
図1)を構成するアクチュエータであり、モータ36の駆動により第2可動モニタ12が左右方向にスライド移動される。モータ35,36は、例えば位置決め制御および速度制御が可能なサーボモータにより構成される。
【0034】
コントローラ30は、CPU,ROM,RAMおよびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ30は、機能的構成としてルート設定部30Aと、接近判定部30Bと、表示制御部30Cと、モータ制御部30Dとを有する。
【0035】
ルート設定部30Aは、現在地から、入力部31を介して入力された目的地までの目標経路を設定する。ルート設定部30Aにより設定された目標経路は、地図画像上に表示される。
【0036】
接近判定部30Bは、障害物検出器33からの信号に基づいて、自車両の現在位置から第1所定範囲内に障害物が存在するか否かを判定する。さらに接近判定部30Bは、ルート設定部30Aにより設定されたルート情報に基づいて自車両の目標経路を推定し、障害物検出器33からの信号に基づいて、目標経路(現地点から所定範囲内の目標経路)から第2所定範囲内に障害物が存在するか否かを判定する。このとき、接近判定部30Bは、自車両から障害物までの距離が減少しているか否かを判定することにより、自車両が障害物に相対的に接近しているか否かを併せて判定するようにしてもよい。
【0037】
なお、第1所定範囲および第2所定範囲は、自車両から第1所定距離内および第2所定距離内の範囲をいうが、これら所定距離を、車両の各方向で異なる値に設定してもよい。例えばドライバから遠い側(車両左側)の所定距離を、ドライバに近い側(車両右側)の所定距離よりも長い値に設定し、車両左側における所定範囲を拡大するようにしてもよい。所定距離を車速に応じて変更してもよい。例えば車速が速いほど、所定距離を長く設定し、所定範囲を拡大するようにしてもよい。夜間や雨天等の視界が悪い環境のときに、所定距離をより長く設定してもよい。自車両から障害物までの相対距離が増加している場合に、所定距離をより長くするようにしてもよい。第1所定距離と第2所定距離を同一の値に設定することで、第1所定範囲と第2所定範囲とを同一の値に設定してもよい。第1所定距離と第2所定距離とを異なる値に設定することで、第1所定範囲と第2所定範囲とを異なる値に設定してもよい。
【0038】
表示制御部30Cは、モニタ10~12に制御信号を出力し、モニタ10~12の画像を制御する。特に、接近判定部30Bにより現在位置から第1所定範囲内または目標経路から第2所定範囲内に障害物が存在すると判定されると、表示制御部30Cは、その障害物が含まれるカメラ画像を表示するようにモニタ10~12に制御信号を出力する。例えば、車両左側のドライバの死角となる領域に障害物が存在するとき、サブカメラの画像を第2可動モニタ12に表示させる。自車両の右後方から他車両が接近しているときには、固定モニタ10に右カメラの画像を表示させ、自車両の左後方から他車両が接近しているときには、第2可動モニタ12に左カメラの画像を表示させる。
【0039】
モータ制御部30Dは、接近判定部30Bによる判定結果に応じてモータ35,36に制御信号を出力し、可動モニタ11,12を移動する。例えば、接近判定部30Bにより現在位置から車両左側における第1所定範囲内または目標経路から車両左側における第2所定範囲内に障害物が存在すると判定されると、あるいは左折用のウィンカースイッチ34がオンすると、第2可動モニタ12が初期位置P20から右側の最大スライド位置P21まで所定速度で移動するようにモータ36に制御信号を出力する。これにより、第2可動モニタ12が助手席前方領域AR2から運転席前方領域AR1に向けてスライド移動される。なお、可動モニタ11,12の移動速度は、高齢のドライバや運転技術の未熟なドライバ等であっても、可動モニタ11,12へ容易に視線を追従できるように比較的低速(例えば秒速数cm程度)であることが好ましい。
【0040】
図4は、予め定められたプログラムに従い、コントローラ30で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えばナビゲーション装置のメイン電源がオンされると開始され、所定周期で繰り返される。まず、ステップS1で、入力部31、カメラ32、障害物検出器33およびウィンカースイッチ34からの信号を読み込む。
【0041】
次いでステップS2で、障害物検出器33からの信号に基づいて、現在位置から第1所定範囲内または目標経路から第2所定範囲内に障害物が存在するか否かを判定する。例えば、特に車両の左側に障害物が存在するか否かを判定する。ステップS2で否定されるとステップS3に進み、ウィンカースイッチ34がオンであるか否かを判定する。例えば、特に左折用のウィンカースイッチ34がオンであるか否かを判定する。
【0042】
ステップS3で否定されるとステップS4に進み、車両の運転状況に応じた画像あるいはドライバの指令に応じた画像を各モニタ10~12に表示させる。すなわち、各モニタ10~12に制御信号を出力し、各モニタ10~12に通常画像を表示させて、処理を終了する。この場合には、可動モニタ11,12はいずれも、
図1に示すように可動領域の左端部である初期位置P10,P20に位置する。
【0043】
一方、ステップS2で肯定、あるいはステップS3で肯定されると、ステップS5に進む。例えば、車両の左側に障害物が存在すると判定されると、あるいは左折用のウィンカースイッチ34がオンと判定されると、ステップS5に進む。ステップS5では、第2可動モニタ12を初期位置P20からモニタ可動領域の右端部、すなわち最大スライド位置P21(中央領域AR3)まで、所定速度で移動させる。このとき、第1可動モニタ11も右方に移動、例えば最大スライド位置P11まで移動させるようにしてもよい。
【0044】
次いで、ステップS6で、第2可動モニタ12に制御信号を出力し、第2可動モニタ12に所定の画像を表示させる。例えば、障害物を含む左カメラ画像あるいはサブカメラ画像を第2可動モニタ12に表示させる。これによりドライバは、前方から視線を大きくそらすことなく、障害物の存在を容易に認識することができる。なお、この場合、他のモニタ10,11には例えば通常画像がそのまま表示される。
【0045】
図5は、本実施形態に係る車両表示装置100における動作の一例を示す図であり、特に走行中に自車両の左後方から他車両が接近してきた場合の動作を示す。
図5に示すように、自車両の第1所定範囲内に他車両が接近すると、第2可動モニタ12が初期位置P20から右方の最大スライド位置P21に移動するとともに、第2可動モニタ12に例えば左カメラ画像が表示される(ステップS5、ステップS6)。これにより、ドライバは視線(
図5の点線矢印)の変化を抑えながら、第2可動モニタ12を容易に視認することができる。
【0046】
したがって、ドライバは、自車両の右側に対する注意力を確保しながら、障害物の接近を容易に把握することができる。すなわち、例えば高齢のドライバが車両を運転する場合、自車両の左後方から障害物が接近した際に視線を前方から左方(左側のサイドミラー)に急激に変化させると、動体視力の低下、可視範囲の低下および視線の移動速度の低下等により、車両右側に対する注意力が低下するおそれがある。この点、本実施形態では、自車両の左後方から障害物が接近した際の視線の移動が少ないので、高齢のドライバであっても、走行中の車両周囲への注意力が散漫とならずに、障害物の接近状況を容易に把握することができる。
【0047】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両表示装置100は、車両の運転席の前方の運転席前方領域AR1から助手席の前方の助手席前方領域AR2にわたって設けられた複数のモニタ1(10~12)と、車両から第1所定範囲内または車両の目標経路から第2所定範囲内に存在する物体または人体からなる障害物を検出する障害物検出器33と、第1可動モニタ11および第2可動モニタ12をそれぞれ移動するモータ35,36と、モータ35,36を制御するコントローラ30と、を備える(
図1,
図3)。コントローラ30は、障害物検出器33により例えば自車両の左側に障害物が検出されると、助手席前方領域AR2の初期位置P20から中央領域AR3の最大スライド位置P21に第2可動モニタ12を移動するようにモータ36を制御する(
図4)。
【0048】
これにより、ドライバは、視線の変化を抑えながら障害物の接近状況を容易に把握することができる。すなわち、車両前方に左右方向に広範囲にわたって複数のモニタ1が設けられると、ドライバの視線移動が大きくなり、視認性が低下するおそれがある。この点、本実施形態では、ドライバ側に第2可動モニタ12が移動するので、ドライバの視線移動が少なく、視認性を高めることができる。その結果、ドライバは、車両反対側(右側)への十分な意識を保つことができ、安全性に優れる。また、第2可動モニタ12が移動すると、ドライバは第2可動モニタ12を一時的に見るようになり、障害物の接近に容易に気付くことができる。したがって、障害物の接近時にドライバに対し注意を促すことができる。
【0049】
(2)車両表示装置100は、ドライバによる車両の旋回操作の意思を検出するウィンカースイッチ34をさらに備える(
図3)。コントローラ30は、ウィンカースイッチ34により旋回操作の意思(例えば左折の意思)が検出されると、障害物検出器33により障害物が検出されなくても、第2可動モニタ12を助手席前方領域AR2の初期位置P20から中央領域AR3の最大スライド位置P21まで移動するようにモータ35を制御する(
図4)。これにより、ドライバは視線変化を抑えながら、車両を安全に左折させることができる。
【0050】
本実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、運転席前方領域AR1から助手席前方領域AR2にわたって複数のモニタ(ディスプレイ)10~12を設けるようにしたが、単一のディスプレイを設けるようにしてもよい。
図6は、その一例を示す正面図である。
図6では、インストルメントパネル3に、運転席前方領域AR1から助手席前方領域AR2にわたって、車両後方に面した表示画面13aを有する横長のディスプレイ13が設けられる。ディスプレイ13には、障害物検出器33により障害物が検出される前は、点線で示す左側の表示位置P30に、例えばカメラ画像以外の通常画像が表示される。
【0051】
障害物検出器33により障害物が検出されると、コントローラ30からの指令により、表示位置P30にカメラ画像(例えば左カメラ画像)が表示されるとともに、そのカメラ画像が所定速度で右方に移動し、中央領域AR3の表示位置P31(実線)にカメラ画像が表示されるようになる。これにより上述した第2可動モニタ12を初期位置P20から最大スライド位置P21まで移動するのと同様、カメラ画像を初期位置(表示位置P30)から右方の所定位置(表示位置P31)まで移動することができる。カメラ画像の移動後は、表示位置P30には、再び通常画像が表示される。これにより、通常画像はカメラ画像によって一時的に遮られるだけであるため、ドライバに車両接近等による注意を促しながら、ドライバの快適性を損なうことを抑制できる。
【0052】
図6では、車両の左右のサイドミラーの代わりに、サイドミラーが映すのと同様の画像を表示する左右一対の表示部14が設けられる。すなわち、表示部14には、車両の側方領域を撮影する撮影部としてのカメラ(右カメラ、左カメラ)の画像が常時表示される。表示部14は、ディスプレイの左右側方、すなわち車両の左右両端部に固定的に設けられる。したがって、例えば車両の左側において障害物が検出されると、左カメラ画像は表示部14(第1表示部)に表示されたまま、ディスプレイ13(第2表示部)の左カメラ画像が表示位置P30から表示位置P31に移動される。これにより、サイドミラーとしての効果を保つようにカメラ画像を一定位置で表示したまま、同一のカメラ画像を移動表示することができる。
【0053】
単一のディスプレイ13の複数の領域に、あるいは複数のディスプレイ(モニタ10~12)のいずれか2つに、縮尺の異なる地図画像を同時に表示するようにしてもよい。
図7は、その一例を示す図である。
図7では、固定モニタ10(第1ルート表示部)に、出発地または現在地から目的地までの目標経路を示す地図画像G4が表示され、第1可動モニタ11(第2ルート表示部)に、現在値周辺の目標経路を示す地図画像G5が表示される。すなわち、固定モニタ10には、第1可動モニタ11よりも縮尺の小さい地図画像が表示される。これにより、ドライバは、固定モニタ10上の固定状態の画面で全体の経路を把握しながら、第1可動モニタ11上の移動可能な画面で詳細な経路を把握できる。
【0054】
上記実施形態では、障害物検出器33が、車両または車両の目標経路から所定範囲内に存在する障害物を検出、すなわち物体または人体からなる対象体を検出するようにしたが、検出部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、可動モニタ11,12(ディスプレイ)を移動して画像の表示位置を初期位置P10,P20から最大スライド位置P11,P21に変更、または、ディスプレイ13上の画像を表示位置P30から表示位置P31に移動して画像の表示位置を変更するようにしたが、位置変更手段の構成は上述したものに限らない。すなわち、第1位置(助手席前方領域AR2)から第1位置よりも運転席前方領域側の第2位置(中央領域AR3や運転席前方領域AR1)に表示位置を変更するのであれば、位置変更手段の構成はいかなるものでもよい。第1位置と第2位置とが上述した以外の領域に設定されてもよい。
【0055】
上記実施形態では、障害物の接近が検出された際に、車両周囲の障害物の情報として第2可動モニタ12にカメラ画像を表示するようにしたが、他の情報が表示されるようにしてもよい。上記実施形態(
図6)では、表示制御部としてのコントローラ30が、表示位置P30に所定の第1情報として通常画像が表示された状態で障害物が検出されると、表示位置に所定の第2情報として左カメラ画像を表示し、その左カメラ画像の移動後に、表示位置P30に通常画像を再表示するようにしたが、第1情報および第2情報は上述したものに限らない。なお、第1情報の表示から第2情報の表示に表示画像を変更した後、第1情報を再び表示することは、複数のモニタ1を有する例についても同様に行える。例えば第2可動モニタ12の表示を通常画像からカメラ画像に変更して第2可動モニタ12を初期位置P20から最大スライド位置P21まで移動した後、第2可動モニタ12を初期位置P20に戻して通常画像を再表示させることがこれに相当する。
【0056】
上記実施形態では、モータ35,36により可動モニタ11,12を駆動するようにしたが、他の駆動部を用いて可動ディスプレイを駆動するようにしてもよい。したがって、駆動部を制御する制御部としてのコントローラ30の構成も上述したものに限らない。上記実施形態では、ウィンカースイッチ34によりドライバによる車両の旋回操作の意思を検出するようにしたが、旋回操作検出部の構成はこれに限らない。
【0057】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 モニタ、10 固定モニタ、11 第1可動モニタ、12 第2可動モニタ、13 ディスプレイ、14 表示部、30 コントローラ、32 カメラ、33 障害物検出器、34 ウィンカースイッチ、35,36 モータ、100 車両表示装置、P10,P20 初期位置、P11,P21 最大スライド位置、P30,P31 表示位置、AR1 運転席前方領域、AR2 助手席前方領域、AR3 中央領域