(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070379
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】タッチパネル装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220506BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20220506BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
G06F3/041 534
G06F3/0362 462
B60R16/02 630L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179406
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】光成 貴宏
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AB18
5B087BC01
5B087BC12
5B087BC13
5B087BC34
5B087CC39
5B087DD10
(57)【要約】
【課題】ダミーセンサを用いることなく、タッチ操作部の操作中に回転操作部が操作されたときにいずれの操作を優先するかを良好に決定する。
【解決手段】タッチパネル装置100は、タッチスクリーンの操作を検出するタッチセンサ12と、ノブの操作を検出するタッチセンサ26,27と、タッチスクリーンの操作とノブの操作のいずれを優先するかを決定するとともに、その決定に従い動作指令を出力するコントローラ50とを備える。タッチセンサ26は、ノブの外周面に沿って周方向6箇所以上に設けられ、コントローラ50は、タッチセンサ12によりタッチスクリーンの操作が検出されるとき、複数のタッチセンサ26によりノブの外周面の所定範囲以上のタッチ操作が検出されると、タッチスクリーンの操作に応じた動作指令を出力しない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に沿って延在するタッチ操作部と、
前記タッチ操作部の操作である第1操作を検出する第1検出部と、
前記タッチ操作部の近傍に配置されるとともに、前記平面から突設された回転操作部と、
前記回転操作部の操作である第2操作を検出する第2検出部と、
前記第1検出部により検出された前記第1操作および前記第2検出部により検出された前記第2操作のいずれを優先するかを決定するとともに、その決定に従い前記第1操作または前記第2操作に応じた動作指令を出力する制御部と、を備え、
前記第2検出部は、前記回転操作部の外周面に沿って周方向6箇所以上に設けられ、それぞれの箇所で前記回転操作部のタッチ操作の有無を検出する複数のタッチセンサを有し、
前記制御部は、前記第1検出部により前記第1操作が検出されるとき、前記第1操作に応じた動作指令を出力するとともに、さらに前記複数のタッチセンサにより前記回転操作部の外周面の所定範囲以上のタッチ操作が検出されると、前記第1操作に応じた動作指令を出力しないことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチパネル装置において、
前記第2検出部は、前記回転操作部の回転操作を検出する回転検出器をさらに有し、
前記制御部は、前記回転検出器により所定量以上の回転操作が検出されると、前記タッチセンサにより前記回転操作部の外周面の前記所定範囲以上の操作が検出されずに、前記第1検出部により前記第1操作が検出されても、前記第1操作に応じた動作指令を出力しないことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタッチパネル装置において、
前記回転操作部の外周面に沿って設けられた前記複数のタッチセンサは外周タッチセンサであり、
前記第2検出部は、前記回転操作部の先端部の頂面に設けられ、前記頂面に対するタッチ操作を検出する頂面タッチセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記外周タッチセンサにより前記回転操作部の外周面の所定範囲以上のタッチ操作が検出されると、または、前記頂面タッチセンサにより前記頂面に対する所定のタッチ操作が検出されると、前記第1検出部により前記第1操作が検出されても前記第1操作に応じた動作指令を出力せずに、前記外周タッチセンサまたは前記頂面タッチセンサにより検出されたタッチ操作に応じた動作指令を出力することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のタッチパネル装置において、
前記制御部は、前記第1検出部により前記第1操作が検出されないときに前記第2検出部により前記第2操作が検出されると、前記第2操作に応じた動作指令を出力する一方、前記第1検出部により所定の前記第1操作が検出されると、所定の前記第1操作が検出されなくなってから所定時間、前記第2検出部により前記第2操作が検出されても前記第2操作に応じた動作指令を出力しないことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタッチパネル装置において、
前記タッチ操作部の操作領域は、前記回転操作部の周囲の第1操作領域と前記第1操作領域の外側の第2操作領域とを含み、
前記第1検出部は、前記第1操作領域の操作である第1領域第1操作と前記第2操作領域の操作である第2領域第1操作とをそれぞれ検出し、
前記制御部は、前記複数のタッチセンサにより前記回転操作部の外周面の前記所定範囲以上のタッチ操作が検出されるとき、前記第1検出部により前記第1領域第1操作が検出されても、前記第1領域第1操作に応じた動作指令を出力しない一方、前記第1検出部により前記第2領域第1操作が検出されると、前記第2領域第1操作に応じた動作指令を出力することを特徴とするタッチパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作部と回転操作部とを有するタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、ダイヤルが2本以上の指で操作されているときにタッチアイコンがタッチされると、そのタッチ操作を無効化するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、操作ノブに静電容量式のダミーセンサを設け、ダミーセンサにより操作ノブのタッチが検出されると、タッチスイッチの操作を無効化するようにした装置も知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-210685号公報
【特許文献2】特許第6123590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置は、ダイヤル操作中のタッチ操作を無効化するだけであり、上記特許文献1には、タッチ操作中にダイヤル操作がなされたときの態様については何ら提案されていない。一方、上記特許文献2記載の装置では、操作ノブのタッチを検出するためだけにダミーセンサが設けられ、操作ノブの操作による指令を検出するセンサは別途必要であるため、センサの利用形態が効率的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様であるタッチパネル装置は、平面に沿って延在するタッチ操作部と、タッチ操作部の操作である第1操作を検出する第1検出部と、タッチ操作部の近傍に配置されるとともに、平面から突設された回転操作部と、回転操作部の操作である第2操作を検出する第2検出部と、第1検出部により検出された第1操作および第2検出部により検出された第2操作のいずれを優先するかを決定するとともに、その決定に従い第1操作または第2操作に応じた動作指令を出力する制御部と、を備える。第2検出部は、回転操作部の外周面に沿って周方向6箇所以上に設けられ、それぞれの箇所で回転操作部のタッチ操作の有無を検出する複数のタッチセンサを有し、制御部は、第1検出部により第1操作が検出されるとき、第1操作に応じた動作指令を出力するとともに、さらに複数のタッチセンサにより回転操作部の外周面の所定範囲以上のタッチ操作が検出されると、第1操作に応じた動作指令を出力しない。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ダミーセンサを用いることなく、タッチ操作部の操作中に回転操作部が操作されたときに、いずれの操作を優先するかを良好に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネル装置が適用されるナビゲーションユニットの本体の概略構成を示す正面図。
【
図2】
図1のナビゲーションユニットの入力部を構成するノブの斜視図。
【
図3C】
図2のノブのさらなる別の操作例を示す図。
【
図4A】
図1のナビゲーションユニットの入力部の操作の一例を示す図。
【
図4B】
図1のナビゲーションユニットの入力部の操作の他の例を示す図。
【
図5】本発明の実施形態に係るタッチパネル装置の要部構成を示すブロック図。
【
図6A】本発明の実施形態に係るタッチパネル装置による動作の一例を示すタイムチャート。
【
図6B】本発明の実施形態に係るタッチパネル装置による動作の他の例を示すタイムチャート。
【
図7】
図5のコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】本発明の実施形態に係るタッチパネル装置による動作の一例をまとめた図。
【
図9】
図8の動作のうち、輝度の変化の動作を具体的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図11を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るタッチパネル装置は、例えば車両の運転席の前方に搭載されるナビゲーションユニットに設けられる。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るタッチパネル装置が適用されるナビゲーションユニットの本体(ナビゲーション本体1)の概略構成を示す正面図である。
図1に示すように、ナビゲーション本体1は、ルート案内に関する情報やナビゲーションユニットの設定情報等の各種情報を表示する表示部10と、乗員の操作によりナビゲーションユニットに対し各種指令を入力する入力部20とを有する。ナビゲーション本体1は、ナビゲーションとしての機能だけでなく音響装置としての機能も有する。
【0010】
表示部10の表面(前面)は、仮想の鉛直平面(仮想平面)PL上に延在し、表示部10は、ナビゲーション本体1の前面の大部分の領域を覆う静電容量式のタッチパネル11により構成される。したがって、表示部10は、入力部20としても機能する。なお、以下では、タッチパネル装置と区別するため、タッチパネル11をタッチスクリーンと呼ぶ。タッチスクリーン11は、静電容量式に限らず抵抗膜式等、乗員の操作を検出する各種の方式のものを用いることができる。タッチスクリーン11には、タッチスクリーン上の操作位置を検出するタッチセンサ12が設けられる。
【0011】
入力部20は、タッチスクリーン11の側方(例えば運転席側)に配置されたボタン21とノブ23とを有する。ボタン21は、タッチスクリーン11の側縁部に沿って上下方向に配列された押圧式の複数の操作部材であり、各ボタン21の押圧操作により所定の指令を入力することができる。例えばメニュー画面への切換指令、オーディオ画面への切換指令、現在地の表示指令等を入力することができる。各ボタン21には、押圧操作を検出する押圧スイッチ22が設けられる。
【0012】
ノブ23は、仮想平面PLから突設され略円筒形状の操作部材である。ノブ23は、仮想平面PLに直交する軸線CLを中心にしてナビゲーション本体1に回転可能に支持される。ノブ23の回転操作により音量の変更指令やチャンネル(例えばラジオ放送局)の切換指令を入力することができる。ノブ23の回転量は、ノブ23の基端部に設けられたロータリーエンコーダなどの回転検出器24により検出される。なお、表示部10の上方には、音楽用やデータ用のディスクを挿入する挿入口25が設けられる。
【0013】
ノブ23の表面には、さらにノブ23の操作を検出するタッチセンサが設けられる。
図2は、タッチセンサの配置を示すノブ23の斜視図である。
図2に示すように、円筒形状のノブ23の外周面23aには、ハッチングで示す領域に静電容量式のタッチセンサ26が設けられる。タッチセンサ26は、周方向6箇所以上(例えば10~20箇所)に、例えば周方向等間隔に設けられる。これにより、ナビゲーション本体1内に設けられた後述のコントローラ(
図5)は、ノブ23の外周面23aにタッチしている指の数を判定することができる。
【0014】
具体的には、第1所定数(例えば全体の半数)以上のタッチセンサ26がオンされると、
図3Aに示すようにノブ23が3本指で操作されたと判定し、第1所定数未満のタッチセンサ26がオンされると、
図3Bに示すようにノブ23が2本指で操作または1本指で操作されたと判定することができる。なお、1本指で操作か2本指で操作かの判定は、第1所定数よりも小さい第2所定数以上のタッチセンサ26がオンされたか否かを判定することにより行うことができる。オンされたタッチセンサ26の数だけでなく、オンされた複数のタッチセンサ26が軸線CL1を中心とした周方向で互いに所定角度(例えば90°)以上ずれているか等、オンされた複数のタッチセンサ26の位置関係を考慮して、コントローラが、ノブ23が1本指、2本指および3本指のいずれで操作されているかを判定するようにしてもよい。なお、複数のタッチセンサ26を、周方向等間隔ではなく周方向非等間隔に、例えばノブ23の操作される周方向の部位に集中的に設けるようにしてもよい。
【0015】
図2に示すように、ノブ23には、外周面23aだけでなく先端部の表面(頂面23b)にも、ハッチングで示す領域に静電容量式のタッチセンサ27が設けられる。このタッチセンサ27のオンにより、
図3Cに示すようにノブ23の頂面23bが指で操作されたことを検出することができる。
【0016】
図4A,
図4Bは、それぞれ入力部20の操作の一例を示す図である。このうち、
図4Aには、ノブ23の外周面23aが操作され、その操作に応じた指令が入力される状態が示される。この場合、ノブ23の操作中にノブ23の周囲のタッチスクリーン11に手が触れて、タッチスクリーン11が誤ってタッチ操作されるおそれがある。一方、
図4Bには、タッチスクリーン11が矢印方向に操作され、その操作に応じた指令が入力される状態が示される。この場合、タッチスクリーン11の操作中にノブ23の外周面23aに手が触れて、ノブ23が誤ってタッチ操作されるおそれがある。このような誤ったタッチ操作がなされた場合に対処するため、本実施形態は以下のようにタッチパネル装置を構成する。
【0017】
図5は、本発明の実施形態に係るタッチパネル装置100の要部構成を示すブロック図である。
図5に示すようにタッチパネル装置100は、ナビゲーション本体1内に設けられたコントローラ50を有する。コントローラ50には、タッチセンサ12と、押圧スイッチ22と、回転検出器24と、タッチセンサ26と、タッチセンサ27とからの信号が入力される。コントローラ50は、これら入力信号に基づいて所定の処理を実行し、タッチスクリーン11の操作に応じた動作指令(スクリーン動作指令)またはノブ23の操作に応じた動作指令(ノブ動作指令)を、表示部10や音響機器等の対象の機器に出力する。
【0018】
コントローラ50は、CPU,ROM,RAMおよびその他の周辺回路を有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ50は、機能的構成として操作判定部51と、優劣決定部52と、出力部53とを有する。
【0019】
操作判定部51は、タッチセンサ12,26,27などからの信号に基づいて入力部20の操作の態様を判定する。具体的には、タッチスクリーン11とノブ23のいずれが操作されているか、ノブ23の外周面23aと頂面23bのいずれが操作されているか、ノブ23の外周面23aが何本の指で操作されているか等を判定する。
【0020】
優劣決定部52は、操作判定部51による判定結果に基づいてタッチスクリーン11の操作とノブ23の操作のいずれを優先するかを決定する。
図6A,
図6Bは、優劣決定部52における処理の一例を示すタイムチャートである。
図6Aに示すように、ノブ23が非操作の初期状態、すなわちタッチセンサ26,27によりノブ23のタッチ操作が検出されないとき(タッチオフ)、タッチスクリーン11の操作は可能である。したがって、この状態でタッチスクリーン11が操作されると、その操作は有効化される。
【0021】
タッチスクリーン11が操作されずに、時点t1でタッチセンサ26,27によりノブ23のタッチ操作が検出されると(タッチオン)、タッチスクリーン11の操作が抑制される。したがって、この場合に、
図4Aに示すように指がタッチスクリーン11に触れても、その操作は無効化される。時点t2で、ノブ23が非操作になってノブ23のタッチ操作が終了すると(タッチオフ)、タッチスクリーン11の操作が再び可能となる。
【0022】
一方、
図6Bに示すように、タッチスクリーン11が非操作の初期状態、すなわちタッチセンサ12によりタッチスクリーン11のタッチ操作が検出されないとき(タッチオフ)、ノブ23の操作は可能である。したがって、この状態でノブ23が操作されると、その操作は有効化される。ノブ23が操作されずに、時点t11でタッチセンサ12によりタッチスクリーン11のタッチ操作が検出されると(タッチオン)、ノブ23の操作が抑制される。したがって、この場合に、
図4Bに示すように指がノブ23に触れても、その操作は無効化される。
【0023】
タッチスクリーン11の操作では、例えばフリック操作等、一旦タッチ操作がオフされても、その直後にタッチスクリーン11が再度操作されることがある。この点を考慮し、時点t12で、タッチスクリーン11のタッチ操作が一旦終了しても(タッチオフ)、ノブ23の操作は所定時間Δt(例えば0.4秒程度)、抑制されたままである。このため、所定時間Δt内にノブ23がタッチ操作されても、その操作は無効化される。時点t13で、時点t12から所定時間Δtが経過すると、ノブ23のタッチ操作が再び可能となる。
【0024】
図5の出力部53は、優劣決定部52により決定されたタッチスクリーン11の操作とノブ23の操作の優劣に従い、タッチスクリーン11の操作に応じた動作指令(スクリーン動作指令)またはノブ23の操作に応じた動作指令(ノブ動作指令)を出力する。すなわち、
図6Aに示すように、ノブ23のタッチ操作がオンされると、ノブ動作指令を出力し、
図6Bに示すように、タッチスクリーン11のタッチ操作がオンされると、スクリーン動作指令を出力する。
【0025】
ノブ動作指令には、表示部10(タッチスクリーン11)の輝度の変更指令、表示部10の画面オフ指令、音量の変更指令、ラジオ放送局等のチャンネルの切換指令、挿入口25からのディスクの取出指令等が含まれる。スクリーン動作指令には、ルート案内に関する各種指令、音響機器に対する各種指令が含まれる。ノブ動作指令またはスクリーン動作指令に、車両用空調装置に対する動作指令等、表示部10や音響機器以外の機器に対する動作指令が含まれてもよい。
【0026】
ところで、
図6Bでは、タッチスクリーン11のタッチ操作がオン時にノブ23がタッチ操作されたとき、またはタッチスクリーン11のタッチ操作がオフされてから所定時間Δt内にノブ23がタッチ操作されたとき、そのタッチ操作は誤操作と判定されて無効化されるが、タッチ操作が誤操作と限らない場合がある。例えばノブ23が3本指で操作された場合、ノブ23の操作に乗員の意思が反映されていると考えられ、誤操作であるとは考えにくい。したがって、この場合には、ノブ23のタッチ操作を有効化することが好ましい。
【0027】
図7は、その場合のコントローラ50で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、タッチセンサ12によりタッチスクリーン11のタッチ操作が検出されているとき、あるいはタッチ操作が検出されなくなってから所定時間Δt内であるときに開始される。すなわち、
図6Bの時点t11~t13内でノブ23のタッチ操作が抑制された状態で開始され、所定周期で繰り返される
【0028】
図7に示すように、まず、ステップS1で、タッチセンサ26からの信号に基づいてノブ23の外周面23aがタッチ操作されているか否かを判定する。ステップS1で肯定されるとステップS2に進み、否定されるとステップS3に進む。ステップS3では、タッチセンサ12からの信号に基づいて、タッチスクリーン11の操作に応じたスクリーン動作指令を出力し、処理を終了する。
【0029】
一方、ステップS2では、タッチセンサ26からの信号に基づいて、ノブ23の外周面23aが3本指以上で操作されているか否かを判定する。ステップS2で肯定されるとステップS4に進み、否定されるとステップS3に進む。ステップS4では、ノブ23の操作に応じたノブ動作指令を出力し、処理を終了する。例えば、回転検出器24によりノブ23の所定方向の回転が検出されると、チャンネルをプラス側に切り換える指令を出力し、反対方向の回転が検出されると、チャンネルをマイナス側に切り換える指令を出力する。ノブ23の回転が検出されないときは、ディスクの取出指令を出力する。
【0030】
図8は、ノブ23の操作によるノブ動作指令の一例をまとめた図である。
図8に示すように、ノブ23の頂面23bのタッチ操作が検出されるとき、そのタッチ操作が所定時間以上継続しているか否かにより、異なるノブ動作指令を出力する。すなわち、タッチ操作が所定時間未満のショート操作のとき、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されていなければ(タッチ判定オフ)、消音を指令する。一方、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されると(タッチ判定オン)、ノブ23の頂面23bのショート操作が無効化される。
【0031】
これに対し、ノブ23の頂面23bのタッチ操作が所定時間以上継続したロング操作のとき、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されていなければ、表示部10の画面の輝度調整を指令する。一方、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されると、ノブ23の頂面23bのショート操作が無効化される。
図9は、タッチ操作に応じた輝度の変化を示すタイムチャートである。
図9に示すように、ノブ23の頂面23bの操作が継続しているとき、時間経過に伴い輝度が段階的に明るくなり、最大輝度に達すると、最小輝度に戻る。例えば輝度Laの状態において、時点taで頂面23bのタッチ操作が開始され、時点tbでタッチ操作が終了すると、輝度はLbとなる。
【0032】
図8に示すように、ノブ23の外周面23aのタッチ操作が検出されるとき、そのタッチ操作が3本指以上でのタッチ操作であるか、それとも3本指未満(例えば1本指または2本指)でのタッチ操作であるか、さらにはノブ23の回転を伴うか否かにより、異なるノブ動作指令を出力する。すなわち、3本指未満でのタッチ操作であるとき、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されなければ、ノブ23の回転ありで、音量の増加または減少を指令する。一方、ノブ23の回転なしで、表示部10の画面オフを指令する。タッチ操作が3本未満であるとき、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されると、ノブ23の外周面23aのタッチ操作が無効化される。
【0033】
これに対し、3本指以上でのタッチ操作であるとき、タッチスクリーン11のタッチ操作が検出されても検出されなくても、ノブ23の回転の有無に応じたノブ動作指令が出力される(
図7のステップS4)。すなわち、ノブ23の回転ありのとき、チャンネル(例えばラジオ放送局)のプラス側の切替またはマイナス側の切替を指令し、回転なしのとき、ディスクの取出を指令する。これにより、タッチスクリーン11とノブ23とが同時にタッチ操作されたとき、乗員の意思に合致した動作指令を出力することができる。
【0034】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)タッチパネル装置100は、仮想平面PLに沿って延在するタッチスクリーン11と、タッチスクリーン11のタッチ操作を検出するタッチセンサ12と、タッチスクリーン11の近傍に配置されるとともに、仮想平面PLから突設されたノブ23と、ノブのタッチ操作を検出するタッチセンサ26,27と、タッチセンサ12により検出されたタッチスクリーン11のタッチ操作およびタッチセンサ26,27により検出されたノブ23のタッチ操作のいずれを優先するかを決定するとともに、その決定に従いタッチスクリーン11またはノブ23のタッチ操作に応じた動作指令を出力するコントローラ50と、を備える(
図1,2,5)。タッチセンサ26は、ノブ23の外周面23aに沿って周方向6箇所以上に設けられ、それぞれの箇所でノブ23のタッチ操作の有無を検出する複数のタッチセンサ26により構成される(
図2)。コントローラ50は、タッチセンサ12によりタッチスクリーン11の操作が検出されるとき、その操作に応じたスクリーン動作指令を出力し、さらに複数のタッチセンサ26によりノブ23の外周面23aの3本指以上でのタッチ操作が検出されると、タッチセンサ12によりタッチスクリーン11の操作が検出されても、その操作に応じたスクリーン動作指令を出力しない(
図7)。
【0035】
これにより、タッチスクリーン11の操作中にノブ23のタッチ操作がなされたとき、乗員の意思に合致した動作指令を出力することができる。すなわち、3本以上の指でノブ23が操作されたとき、タッチスクリーン11の操作よりもノブ23の操作が優先されるため、乗員の意思を反映した良好な動作指令を出力することができる。また、タッチセンサ26はダミーセンサではなく、タッチセンサ26の検出値に応じた動作指令が出力されるので、センサを効率的に利用できる。
【0036】
(2)ノブ23には、外周面23aに沿って設けられた複数のタッチセンサ26と、ノブ23の先端部の頂面23bに設けられ、頂面23bに対するタッチ操作を検出するタッチセンサ27とが設けられる。コントローラ50は、タッチセンサ26によりノブ23の外周面23aの3本指以上によるタッチ操作が検出されると、タッチセンサ12によりタッチスクリーン11の操作が検出されても、その操作に応じたスクリーン動作指令を出力せずに、タッチセンサ12により検出されたタッチ操作に応じたノブ動作指令を出力する(
図7)。このようにノブ23の外周面23aと頂面23bとにそれぞれタッチセンサ26,27を設けることで、操作部材の個数の増加を抑えながら、ノブ23の操作位置に応じた複数の動作指令を出力するように構成することができる。
【0037】
(3)コントローラ50は、タッチセンサ12によりタッチスクリーン11の操作が検出されないときにタッチセンサ26によりノブ23の操作が検出されると、ノブ23の操作に応じたノブ動作指令を出力する一方、タッチセンサ12によりフリック等のタッチ操作が検出されると、その操作が検出されなくなってから所定時間Δt、タッチセンサ26によりノブ23の操作が検出されてもその操作に応じた動作指令を出力しない(
図6B)。これにより、フリック操作の直後にタッチスクリーン11が再操作される等、タッチスクリーン11の操作パターンを考慮したタッチ操作の有効化および無効化の処理を良好に行うことができる。すなわち、フリック操作の直後はタッチスクリーン11の操作が優先されるため、タッチスクリーン11の操作がノブ23の操作により誤ってキャンセルされることを防止できる。
【0038】
本実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、ノブ23の外周面23aが3本以上の指で操作されると、タッチスクリーン11のタッチ操作による動作指令を出力しないようにしたが、ノブ23が所定量以上回転操作されたときに、タッチスクリーン11のタッチ操作による動作指令を出力しないようにしてもよい。すなわち、ノブ23が所定量以上回転操作されたときも、ノブ23の誤操作ではなく、乗員の意思に沿った操作であると推定される。したがって、この場合もノブ23の操作を優先するようにしてもよい。
【0039】
図10は、そのような動作を実現するためのコントローラ50における処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図10において、
図7と同一の処理を行う箇所には同一の符号を付す。
図10に示すように、S1で否定またはS2で否定されると、ステップS10に進む。ステップS10では、回転検出器24によりノブ23の所定量(例えば180°)以上の回転操作が検出されたか否かを判定する。ステップS10で肯定されるとステップS3に進み、肯定されるとステップS4に進む。これにより、回転検出器24により所定量以上の回転操作が検出されると、タッチセンサ26により3本以上の指によるタッチ操作が検出されずにタッチスクリーン11のタッチ操作が検出されても、タッチスクリーン11のタッチ操作に応じた動作指令を出力しないように構成することができる。
【0040】
図4Aに示すように、ノブ23の操作時に、タッチスクリーン11の誤操作が生じやすい領域は、例えばノブ23の周囲の第1操作領域AR1である。第1操作領域AR1の外側の第2操作領域AR2では、ノブ23を操作中の乗員の手は触れにくいため、誤操作を生じる可能性は低い。この点を考慮し、コントローラ50が、
図7の処理に代えて
図11の処理を行うようにしてもよい。なお、
図11において、
図7と同一の処理を行う箇所には同一の符号を付す。
【0041】
図11では、まずステップS20で、タッチセンサ12からの信号に基づいて、タッチスクリーン11上のタッチ操作(第1操作)の位置が第2操作領域AR2内であるか否か、すなわち第2操作領域AR2内で第1操作(第2領域第1操作)がなされたか否かを判定する。ステップS20で否定され、タッチ操作の位置が第1操作領域AR1内であると判定されると、すなわち第1操作領域AR1内で第1操作(第1領域第1操作)がなされたと判定されると、
図7のステップS1に進み、上述したのと同様の処理を行う。
【0042】
ステップS20で肯定されるとステップS1に進み、さらにステップS1で肯定されるとステップS2に、否定されるとステップS3に進む。ステップS2で肯定されるとステップS21に進む。ステップS21では、ノブ23のタッチ操作に応じたノブ動作指令を出力するとともに、スクリーンのタッチ操作に応じたスクリーン動作指令を出力する。これにより、例えば運転席の乗員がノブ23を操作しているときに、助手席の乗員がタッチスクリーン11を操作した場合に、そのタッチ操作を有効化することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、仮想平面PLに沿って単一のタッチスクリーン11を形成したが、タッチ操作部はこれに限らず、複数のタッチ操作部が平面に沿って延在するようにしてもよい。上記実施形態では、タッチセンサ12によりタッチスクリーン11の操作(第1操作)を検出するようにしたが、第1検出部の構成は上述したものに限らない。
【0044】
上記実施形態では、タッチスクリーン11の側方で仮想平面PLから略円筒形状のノブ23を突設するようにしたが、回転操作部は、タッチスクリーン11の誤操作の可能性のあるタッチスクリーン11の近傍であれば側方以外に配置されてもよく、また、回転操作部の形状は円筒形状以外であってもよい。上記実施形態では、タッチセンサ26(外周タッチセンサ)によりノブ23の外周面23aのタッチ操作(第2操作)を検出するとともにタッチセンサ27(頂面タッチセンサ)により頂面23bのタッチ操作とを検出するようにしたが、少なくとも回転操作部の外周面に沿って6個以上設けられ、それぞれの箇所で回転操作部の外周面のタッチ操作の有無を検出するように構成される複数のタッチセンサを含むのであれば、第2検出部の構成はいかなるものでもよい。
【0045】
上記実施形態では、制御部としてのコントローラ50が、タッチセンサ12により検出されたタッチスクリーン11の操作およびタッチセンサ26,27により検出されたノブ23のいずれを優先するかを決定するとともに、その決定に従いスクリーン動作指令またはノブ動作指令を出力するようにしたが、タッチスクリーン11の操作が検出されるときにスクリーン動作指令を出力するとともに、複数のタッチセンサ26により回転操作部の外周面の所定範囲以上のタッチ操作が検出されると、タッチスクリーン11の操作が検出されても、スクリーン動作指令を出力しないように構成されるのであれば、制御部の構成はいかなるものでもよい。
【0046】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
11 タッチパネル、12 タッチセンサ、23 ノブ、23a 外周面、23b 頂面、26,27 タッチセンサ、50 コントローラ、100 タッチパネル装置、PL 仮想平面、AR1 第1操作領域、AR2 第2操作領域