(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022007046
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/43 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A01D34/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109716
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 勉
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA06
2B083BA16
2B083HA02
2B083HA52
(57)【要約】
【課題】構成する部材同士の干渉による破損を防止できる作業機を提供すること。
【解決手段】作業機Aは、走行機体へ装着するための装着部を設けた主フレーム11と、主フレーム11に近接させた収納状態から、主フレーム11に対して遠方に伸長させた伸張状態に姿勢変更が可能である伸縮手段41と、を備える。さらに、伸縮手段41を主フレーム11に設ける鉛直軸周りに回動可能にさせるマストフレーム21と、伸縮手段41とマストフレーム21との間に設けたリンク機構42と、を備える。リンク機構42の少なくとも一部は主フレーム11に当接することが可能である。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体へ装着するための装着部を設けた主フレームと、
前記主フレームに近接させた収納状態から、前記主フレームに対して遠方に伸長させた伸張状態に姿勢変更が可能である伸縮手段と、
伸縮手段を前記主フレームに設ける鉛直軸周りに回動可能にさせるマストフレームと、
前記伸縮手段と前記マストフレームとの間に設けたリンク機構と、を備え、
前記リンク機構の少なくとも一部は前記主フレームに当接することが可能である、
ことを特徴とした作業機。
【請求項2】
前記伸縮手段は、前記マストフレームに連結され、水平軸周りに回動可能な第1ブームと、
前記リンク機構と前記第1ブームに連結し、伸縮することによって前記第1ブームを回動させる第1シリンダと、
を備えることを特徴とした請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記マストフレームに一端側を回動可能に連結する第1リンクと、
前記第1ブームに一端側を回動可能に連結するとともに、他端側を前記第1リンクの他端側に回動可能に連結軸で連結する第2リンクと、
前記第1リンクの他端側は、前記連結軸より前記第1リンクの一端側から他端側に延長する方向に延長させた延長部と、を備え、
前記延長部は、前記第1シリンダの少なくとも一部を覆うことが可能であるとともに、前記マストフレームの回動によって前記主フレームに当接することが可能な構成である、
ことを特徴とした請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記連結軸には、前記第1シリンダが連結されている、
ことを特徴とした請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈等の作業を行う作業機に係る。詳細には、作業部を機枠から遠方に位置させるために、複数のアームを有した作業機の構成に係る。
【背景技術】
【0002】
走行機体に装着され、複数のアームを回動が可能となるようにそれぞれを連結して伸縮手段を形成し、この伸縮手段の先端側を車体側方に展開させる姿勢をとることが可能な作業装置が、特許文献1によって公開されている。この文献に記載された作業装置は、走行機体側に設置したヒッチ3に支持したブラケット10に、第1アーム11が上下方向へ回動可能に支持されている。さらに、ブラケット10は枢支ピン14によって、水平旋回可能に支持されている。つまり、第1アーム11は上下方向、及び左右方向にそれぞれ旋回動作が可能となっている。この作業装置が非作業姿勢である格納状態のときは、作業部が車体から大きく突出しないように、例えば特許文献2の
図6に示すように、アームであるブーム14を上方に回動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-205849号公報
【特許文献2】特開平9-23731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の第1アーム11を特許文献2に記載された
図6のような姿勢である格納状態にすると、作業装置全体として走行機体側方への突出を避けることができる。しかし、これでは第1アーム11が上方への突出するため、さらに車体側に回動させると、第1アームの高さを抑制できることは明白である。つまり、第1アーム11が、ブラケット10との回動支点である一端側より、第1アーム11の他端側を枢支ピン14より超えた位置に配置した状態にできれば、第1アームの高さを抑制できる。
【0005】
一方、この状態で、第1アーム11水平方向に旋回させると、第1アーム11や第1アクチュエータ21が、車体2が備える運転シート6等に干渉し、互いを破損させる場合がある。また、特許文献1に記載のブラケット10上に上方突出するような突出部材が取り付いた場合、この突出部材と、第1アーム11及び第1アクチュエータ21が干渉してしまう課題がある。特に、第1アクチュエータ21を油圧シリンダで構成した場合、この油圧シリンダを損傷させるとオイル漏れの発生により機能不全に陥る原因となり、修理が容易ではない。このため、この部分の干渉は避けたいという課題もある。
【0006】
したがって、本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、構成する部材同士の干渉による破損を防止できる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、走行機体へ装着するための装着部を設けた主フレームと、主フレームに近接させた収納状態から、主フレームに対して遠方に伸長させた伸張状態に姿勢変更が可能である伸縮手段と、伸縮手段を主フレームに設ける鉛直軸周りに回動可能にさせるマストフレームと、伸縮手段とマストフレームとの間に設けたリンク機構と、を備え、リンク機構の少なくとも一部は主フレームに当接することが可能である、作業機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、構成する部材同士の干渉による破損を防止できる作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例を示す作業機の格納状態且つ通常状態のときの進行方向の後方側からみた正面図である。
【
図2】本発明の実施例を示す作業機の格納状態且つ通常状態のときの平面図である。
【
図3】本発明の実施例を示す作業機の格納状態且つ通常状態のときの進行方向の左方側からみた作業機の側面図である。
【
図4】本発明の実施例を示す作業機の格納状態且つ通常状態のときの進行方向の前方側からみた作業機の背面図である。
【
図5】本発明の実施例を示す作業機の展開状態且つ通常状態のときの進行方向の後方側からみた正面図である。
【
図6】本発明の実施例を示す作業機の展開状態且つ通常状態のときの平面図である。
【
図7】本発明の実施例を示す作業機の展開状態且つ退避状態のときの平面図である。
【
図8】本発明の実施例を示す作業機の格納状態且つ退避状態のときの進行方向の左方側からみた作業機の側面図である。
【
図9】本発明の実施例を示す作業機の格納状態且つ退避状態のときの平面図であり、作業部及び伸縮手段の一部を省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業機の実施例の構造について、
図1乃至
図9に基づき説明する。
作業機Aは、作業部51を遠方に位置させて作業を行う作業機であり、実施例においては草刈等の作業を行う作業機である。作業機Aは、トラクタ等からなる走行機体Bに備える3点リンク装置等の昇降装置に取り付けて作業を行う。
実施例における作業機Aは、走行機体Bの進行方向後方に位置させて作業を行うものとして説明をする。進行方向前方は、
図1及び
図5に図示する作業機Aの奥側、
図2及び
図6及び
図7及び
図9に図示する作業機Aの上方、
図3及び
図8に図示する作業機Aの左側に位置する。また、図中において、走行機体Bの図示は省略している場合もある。
【0011】
作業機Aを走行機体Bへ装着するための装着部111、112を主フレーム11に設ける。主フレーム11は、
図2及び
図4に示す正面視及び平面視において、環状に形成した部材である。主フレーム11の下部に下部装着部111を2個、主フレーム11の上部に上部装着部112は1個設け、3点で作業機Aを走行機体Bに装着する。主フレーム11の中央部から前方側に突出させて設けた入力軸22は、走行機体Bに備えるPTO軸から、図示しないユニバーサルジョイント等を介して駆動力を作業機Aに取り入れる。
図1、
図4、
図5等に示すように、主フレーム11の中央部で入力軸22の後方には、変速部23が位置する。変速部23では、入力軸22により走行機体Bから入力した駆動力を変速する。
【0012】
変速機23で変速した駆動力は、流体圧発生源である油圧ポンプ24に伝達され、この油圧ポンプ24により、作業機Aの油圧で作動する油圧機器関係に油圧を配送する。油圧ポンプ24の近傍にはバルブユニットである方向制御弁25が位置していて、油圧ポンプ24から配送する油圧を切換制御する。
【0013】
主フレーム11の後方で、主フレーム11の進行方向左右に対する一端部あるいは中央部には、マストフレーム21を設ける。マストフレーム21は、一端側に備える鉛直軸であるマストフレーム回動軸211によって、主フレーム11に対して回動自在である。鉛直軸周りに回動可能なマストフレーム21は、後述する伸縮手段41を水平方向へ回動可能にさせる。この実施例において、一端側を支点に水平回動するマストフレーム21は、
図1乃至
図6に示すように、マストフレーム21の他端側を進行方向と直交する方向に位置させた時を通常位置及び通常状態としている。さらに、
図7乃至
図9に示すように、通常位置より後方側にマストフレーム21の他端側を回動させた時は退避位置及び退避状態としている。
【0014】
マストフレーム21には、回動駆動するための水平回動シリンダ212が連結されている。水平回動シリンダ212は、油圧シリンダからなり油圧により伸縮する。水平回動シリンダ212は、一端を主フレーム11に取り付けるとともに、他端をマストフレーム21に取り付ける。水平回動シリンダ212の伸縮によって、マストフレーム21を主フレーム11に対して水平方向に回動駆動させる。
【0015】
主フレーム11の他端部である主フレーム11の進行方向右側にオイルタンク31を設ける。オイルタンク31は油圧駆動用のオイルを貯蔵する。
オイルタンク31の前端部は、主フレーム11の前端部とほぼ同じ、あるいは、主フレーム11の前端部よりやや後方に位置する。
【0016】
マストフレーム21の他端側には伸縮手段41を取り付ける。伸縮手段41は、
図1乃至
図4に図示するように、作業部51に伸縮手段41を折り畳んで主フレーム11上に作業部51を位置させた格納状態を取らせることができる。また、
図5及び
図6に図示するように、伸縮手段41を伸展させて、主フレーム11より進行方向に対する側方に位置させた作業部51の作業状態を取らせることができる。さらに、
図7に示すように、伸縮手段41が展開状態で、障害物J等によって作業部51が後方側に押圧されると、水平回動シリンダ212の伸縮によって、マストフレーム21が後方側に回動して退避状態を取ることが可能である。
【0017】
伸縮手段41は、格納状態のときでも退避状態を取ることが可能である。この状態を取る場合は、特にメンテナンス作業等に用いられる。水平回動シリンダ212にかかる圧力を解除した後に、作業者によって手動でマストフレーム21を回動させることで、伸縮手段41を格納状態かつ退避状態の姿勢にすることができる。
【0018】
伸縮手段41は、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418、リンク機構42を有する。
【0019】
第1ブーム411は、長尺状の部材であり、マストフレーム21の他端側に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。第1ブーム411は、マストフレーム21の他端側の上部に設けた第1ブーム回動軸411Aを回動中心として、上下回動が自在となるようにマストフレーム21に連結される。
【0020】
第1シリンダ415は、油圧シリンダからなり、マストフレーム21と第1ブーム411とを、マストフレーム21と第1ブーム411を連結させたリンク機構42を介して連結する。第1シリンダ415は、一端側を第1ブーム411も他端部に、他端部をリンク機構にそれぞれ連結し、伸縮させることで、第1ブーム411をマストフレーム21に対して上下方向に回動駆動させることが可能である。第1シリンダ415は、伸縮に伴い第1ブーム411共に回動して第1ブーム411を上下回動させる。
【0021】
リンク機構42は、第1リンク421、第2リンク425、連結軸43を有している。第1リンク421は、長尺の板状部材であり、第1リンク421の一端部422をマストフレーム回動軸211と第1ブーム回動軸411Aとの中間部に回動自在に設ける。第2リンク421は、長尺の板状部材であり、第2リンク421の一端部426を第2ブーム413の一端側に回動自在に設ける。第1リンク421の他端部423及び、第2リンク425の他端部427は、それぞれ、第1ブーム回動軸411Aと平行に設けた軸である連結軸43によって連結している。第1ブーム411は、第1リンク421、第2リンク425、連結軸43によって、第1ブーム回動軸411Aと共に、マストフレーム21と連結されている。
【0022】
連結軸43には、第1シリンダ415が連結されていて、第1シリンダ415の伸縮動作を受け止める。第1シリンダ415の伸縮動作は、第1リンク421及び第2リンク425を介して第1ブーム411の回動力に変換され、結果、第1シリンダ415が第1ブーム回動軸411Aを支点にして上下に回動できる。
【0023】
この実施例において、第1リンク421は、マストフレー21を進行方向前後から挟むように2個配置され、マストフレーム21の前方側に配置した前方側第1リンク421aと、マストフレーム21の後方側に配置した後方側第1リンク421bと、で構成している。また、第2リンク425は、第1ブーム411を進行方向前後から挟むように2個配置され、前方側に配置した前方側第2リンク425aと、後方側に配置した後方側第2リンク425bと、で構成している。第1シリンダ415は、前方側第1リンク421a及び前方側第2リンク425aと、後方側第1リンク421b及び後方側第2リンク425bに挟まれるように配置されている。この配置によって、第1シリンダ415の伸縮動作は、連結軸43を介して、効率よく第1ブーム411の回動動作に変換することができる。
【0024】
第1リンク421は、さらに、延長部424を備えている。延長部424は、第1リンク421の他端部423を、第1リンク421の一端部422から他端部424の方向に向けて、さらに延長させたように形成している。すなわち、延長部424は連結軸43及び第2リンクの他端部427より大きく突出している。
【0025】
図1及び
図4に示す伸縮手段41が格納状態のとき、延長部424は第1シリンダ415の連結軸43と連結する側である他端側の一部を覆うように突出している。この実施例の場合、延長部424は第1シリンダ415の他端部の前方側を覆っている。また、
図5に示す伸縮手段41が展開状態のとき、延長部424は第1シリンダの伸縮方向と交差する方向である上方に向けて突出している。延長部424は、伸縮手段41が格納状態から展開状態への移行に伴うにつれて、つまり、第1ブーム411の格納状態から展開状態への回動に伴うにつれて、第1シリンダ415の他端側の前方を覆う面積を徐々に減少させていく。その後、
図5のような第1ブーム411の展開状態への回動が進むと、延長部424による第1シリンダ415の他端側の前方を覆う状態は解消される。
【0026】
伸縮手段41が格納状態、あるいは、伸縮手段41が格納状態から展開状態に移行する途中の状態において、延長部424及び第1シリンダ415は、主フレーム11及び上部装着部112の後方に位置している。延長部424及び第1シリンダ415は、第1ブーム411が連結するマストフレーム21によって、水平方向に回動可能な状態である。延長部424は、主フレーム11と第1シリンダ415の進行方向に対する前後方向の中間部に位置しているので、マストフレーム21が通常位置から退避位置側に水平回動した場合、マストフレーム21の回動に伴って延長部424の先端側が前方に移動する。
【0027】
さらに、退避位置側にマストフレーム21の回動が進むと、
図9に示すように、第1シリンダ415より先に、延長部424の先端が主フレーム11又は上部装着部112に当接する。この当接によって、伸縮手段41が格納状態、あるいは、伸縮手段41が格納状態から展開状態に移行する途中の状態において、マストフレーム21の通常位置から退避位置への回動が規制される。第1シリンダ415が、主フレーム11又は上部装着部112の後方に位置するときにおいて、延長部424によって、マストフレーム21の回動を物理的に規制することが可能である。
【0028】
主フレーム11又は上部装着部112と当接可能な延長部424の配置によって、マストフレーム21の水平回動による、第1シリンダ415と、主フレーム11又は上部装着部112との接触を防止できる。延長部424が第1シリンダ415より先に、主フレーム11又は上部装着部112に当接するので、第1シリンダ415が主フレーム11又は上部装着部112に接触することがない。
【0029】
マストフレーム21の回動を延長部424で物理的に規制するので、第1シリンダ415が他の部材と接触を避けることができ、第1シリンダ415が損傷することを防ぐことができる。リンク機構42を構成部材の一部である、前方側第1リンク421aの延長部424の一部分が主フレーム11又は主フレームが備える上部装着部112に当接することでマストフレーム21の回動を阻止可能である。
【0030】
図示した実施例においては、延長部424は、前方側第1リンク421aのみに設けているが、後方側第1リンク421bにも設けていてもよい。また、実施例においては、延長部424の一部分である先端部が主フレーム11に線接触または点接触するものとして示したが、少なくとも一部が主フレーム11や上部装着部112に当接すれば機能を果たすことができる。つまり、延長部424の一部の面又はすべての面が主フレーム11あるいは上部装着部112に面接触する構成としてもよい。また、第1シリンダ415と主フレーム11の間に配置されるリンク機構42を構成する前方第1リンク421a、前方第2リンク425aの少なくともいずれかが、主フレーム11あるいは上部装着部112に当接する構造でもよい。
【0031】
第1連結体412は、第1ブーム411の他端側の先端部に一端部を連結し、第1ブーム411に対して上下方向へ回動可能に設ける。第1連結体412は第2シリンダ416によって、回動駆動することができる。
【0032】
第2シリンダ416は、油圧シリンダからなり、第1ブーム411の中間部と第1連結体412の他端側とを連結する。第2シリンダ416は、伸縮することによって、第1連結体412を第1ブーム411に対して、上下方向に回動駆動をさせることができる。
【0033】
第2ブーム413は、長尺状の部材であり、第1連結体412の他端側の先端部に一端部を連結する。第2ブーム413は、マストフレーム21が通常位置において、進行方向に対して前後方向へ回動可能に設け、通常位置における第2ブーム413の先端部は、主フレーム11に対して前後方向に移動が可能である。
【0034】
第3シリンダ417は、第2ブーム413を第1ブーム411に対して前後方向に回動させるシリンダであって、油圧シリンダからなり、第1連結体412の他端部と第2ブーム413の中間部とを連結する。第3シリンダ417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常位置において、伸縮手段41の中間部である第2ブーム413の一端部から、伸縮手段41の他端側である第2ブーム413の他端部を前後方向へ屈曲させることができる。
図6に図示する第2ブーム413は、第3シリンダ417によって前方向に回動した状態である。
【0035】
第2連結体414は、第2ブーム413の他端側の先端部に一端部を設け、第2ブーム413と共に前後方向へ移動可能である。また、第2連結体414は、第1連結体412とロッド419によって第2ブーム413と共に平行リンクを形成している。第2連結体414は、マストフレーム21が通常位置において、第2ブーム413の前後回動をした時でも、第1連結体412に対する相対角度を変えることなく、第1連結体412に対して前後方向へ移動可能である。
【0036】
第4シリンダ418は、油圧シリンダからなり、第2連結体414と作業部51とを連結する。第4シリンダ418は、伸縮動作をすることで、作業部51を上下方向に回動させることができる。
【0037】
伸縮手段41の他端側の先端部に取り付ける作業部51は、第2連結体414の他端側の先端部且つ第2連結体414の進行方向に対する前方側に設ける。作業部51は、更に、第2連結体414に対して上下方向へ回動可能に設ける。作業部51は、この実施例では、マストフレーム21が通常位置において、伸縮手段41を展開状態で、進行方向と直交する方向に向けた回転軸512に複数の刃部513を配置し、油圧ポンプ24で初声させた流体圧力で回転駆動させることで草刈等の対地作業を行う。ただし、作業目的や作業部51の構造は、開示した実施例に限定はない。
【0038】
第1ブーム411及び第2ブーム413のそれぞれが、ほぼ水平状態をとって折り畳んだ格納姿勢の場合、第1ブーム411及び第1連結体412及び第2ブーム413及び第2連結体414はオイルタンク31の上方に位置する。作業部51は、第2ブーム413の上方に位置するように、格納状態にすることができる。より詳細に説明すると、マストフレーム21は前方側に回動した状態の通常状態に位置させ、オイルタンク31の直上には、第1ブーム411の他端部、第2ブーム413の一端部、第2連結体414が位置する。
【0039】
作業部51が格納姿勢をとったとき、作業部51の前端部は主フレーム11の上方に位置し、作業部51の前端部が下部装着部111、上部装着部112より後方で、且つ、第1シリンダはオイルタンク31の上方に位置させる。
図1及び
図2に図示するように、第1ブーム411の長手方向及び第2ブーム413の長手方向は、ほぼ水平で進行方向と直交する方向に向けられ、且つ、第2ブーム413の長手方向は第1ブーム411の長手方向に対して前後方向に傾斜している。より詳細には、第2ブーム413は、他端側に向かうにつれて他端を進行方向の後方に位置するように第1ブーム411に対して傾斜させている。
【0040】
作業部51は進行方向と平行の向きに作業部51の回動軸である回動軸511を備える。作業部51の格納姿勢において、回動軸511は第1ブーム411の第1ブーム回動軸411Aと平行に配置する。回動軸511は軸方向を進行方向に対する前後方向に向けていて、マストフレーム21の回動と共に水平方向にマストフレーム回動軸211を軸にして回動することができる。回動軸511は、第2連結体414によって、マストフレーム21が後方側に回動したときの退避状態を除き、作業部の展開状態及び格納状態に関わらず、常時前後方向を向いている。
【0041】
伸縮手段41を伸長させて作業部51を走行機体Bの側方部に展開させた展開状態の場合、
図4に示す通常の作業状態である通常状態と、
図5に示すように作業部51が障害物J等に当接し、作業部51及び伸縮手段41と共にマストフレーム21が後方に回動する退避状態を取ることができる。
【0042】
展開状態且つ通常状態は、マストフレーム21が前方に回動した状態であるため、マストフレーム21に連結した伸縮手段41の第1ブーム411は、平面視において、走行機体の進行方向と直交する側方に展開する。第1ブーム411は、マストフレーム21側を支点に上下方向に回動可能である。展開状態且つ通常状態において、第2ブーム413は第1連結体412に連結した一端側を支点にして、下方に位置する他端側を前後方向に回動できる。第2ブーム413の他端側に位置する作業部51は、展開状態且つ通常状態において、第2ブーム413の前後動に伴って、進行方向に対する左右方向の角度を変えずに、前後に移動可能である。
【0043】
展開状態における退避状態は、走行機体Bの進行に伴って、作業部51の前方部に障害物J等が当接すると、作業部51は障害物Jによって相対的に走行機体Bの後方側に押される。作業部51は伸縮手段41を介してマストフレーム21に連結しているので、伸縮手段41と共にマストフレーム21を後方に回動させるように構成している。このように構成することによって、作業機A及び走行機体B及び障害物Jの損傷を抑制することができる。
【0044】
作業部51の格納状態のとき、
図1に図示するように、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414はオイルタンク31の上方に位置させることで、作業部51あるいはオイルタンク31が走行機体Bの側方から突出することを防ぐ。第1ブーム411及び第2ブーム413の長さを走行機体Bの幅一杯に使用できるので、側方へ展開したときの最大長さを可能な限り大きくできる。
【0045】
メンテナンス作業等で伸縮手段41を格納状態にしたまま、あるいは、伸縮手段41が格納状態から展開状態に移行する途中の状態のまま、マストフレーム21を退避状態にする場合、リンク機構42の一部である延長部424が第1シリンダ415より先に、主フレーム11又は上部装着部112に当接する。この当接によって、マストフレーム21の回動が規制され、第1シリンダ415が主フレーム11又は上部装着部112に接触することがない。また、
図9に示すように、延長部424によってマストフレーム21の回動が規制されているので、マストフレーム回動軸211より進行方向右側に位置する伸縮手段の一部である第1ブーム411の他端部、及び、第1連結体412、及び、第2ブーム413の一端側は、主フレーム11より極端に前方に突出することがない。このため、作業機Aの前方に位置する走行機体Bに、伸縮手段41が接触することを防ぐことが可能である。
【0046】
本発明は、上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものではない。この開示に基づく実施形態、実施例及び運用技術の改変は、特許請求の範囲に記載された範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0047】
11 主フレーム
112 上部装着部
21 マストフレーム
211 マストフレーム回動軸
41 伸縮手段
411 第1ブーム
412 第1連結体
413 第2ブーム
414 第2連結体
415 第1シリンダ
416 第2シリンダ
417 第3シリンダ
418 第4シリンダ
42 リンク機構
421 第1リンク
421a 前方側第1リンク
421b 後方側第1リンク
424 延長部
425 第2リンク
425a 前方側第2リンク
425b 後方側第2リンク
43 連結軸
51 作業部
A 作業機
B 走行機体