(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070472
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】包装充填機
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220506BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20220506BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B65B9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179554
(22)【出願日】2020-10-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390037707
【氏名又は名称】オーエスマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 真彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智
(72)【発明者】
【氏名】宮川 達哉
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 朋也
(72)【発明者】
【氏名】檀上 健敏
(72)【発明者】
【氏名】早坂 貴博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 滉人
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭由
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050CA01
3E050CC03
3E050DD04
3E050DE02
3E050DE03
3E050DF01
3E050DF02
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB03
3E050GB09
3E050GC01
3E050HA02
3E050HA03
3E050HB01
3E094AA12
3E094CA04
3E094CA08
3E094CA10
3E094CA22
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA12
3E094FA21
3E094GA30
3E094HA01
3E094HA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シールローラーにおける駆動源から駆動力を伝達するためのギヤを不要とし、シール性およびシール速度も良好なものとし、且つ多種の包装体を製造することも容易な包装充填機を提供する。
【解決手段】包装材を重ね合わせて送りながら長手方向に溶着する縦シール装置と、前記包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填装置と、前記包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール装置100と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装充填機であって、前記横シール装置100が、前記包装材を挟んで配置された一対の横シールローラー110a,110bにそれぞれ個別に備えられて各横シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能である駆動源130a,130bを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材を重ね合わせて送りながら長手方向に溶着する縦シール装置と、前記包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填装置と、前記包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール装置と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装充填機であって、
前記横シール装置が、前記包装材を挟んで配置された一対の横シールローラーにそれぞれ個別に備えられて各横シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能である駆動源を有することを特徴とする包装充填機。
【請求項2】
前記横シール装置が、前記一対の横シールローラーと直交する方向に配置された支持軸を備えており、前記一対の横シールローラーを間隔調整可能かつ平行に支持することを特徴とする請求項1記載の包装充填機。
【請求項3】
前記一対の横シールローラーのうち一方が前記支持軸に固定されており、前記支持軸に取り付けられた駆動源によって前記支持軸を軸方向に前後させることにより、前記一対の横シールローラーを近接・離間させる動作が可能であることを特徴とする請求項2記載の包装充填機。
【請求項4】
前記横シール装置が、前記一対の横シールローラーを上下方向に往復動させる上下動機構を備えることを特徴とする請求項1,2または3記載の包装充填機。
【請求項5】
前記横シール装置が、前記一対の横シールローラーと直交する方向に配置され、前記一対の横シールローラーを間隔調整可能かつ平行に支持する支持軸を備えているとともに、前記一対の横シールローラーを上下方向に往復動させる上下動機構を備えており、
前記上下動機構が、固定基盤と、前記固定基盤において前記横シール装置よりも上方の位置に固定されてその回転軸をクランク軸とした駆動源と、前記固定基盤の下方に配置されて上下方向に往復動可能であるとともに前記支持軸を支持する可動基盤と、前記固定基盤の上方に配置されて前記可動基盤と対称に往復動するカウンターウェイトと、前記クランク軸と前記可動基盤並びに前記クランク軸と前記カウンターウェイトをそれぞれ連結する一対のコンロッドと、からなることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の包装充填機。
【請求項6】
前記可動基盤および前記カウンターウェイトは、それぞれ横断面C字型のスライド部材を有しており、前記固定基盤から突設されて垂直方向に延在するスライドレールにおける横断面H字型のスライド面に前記スライド部材を組み合わせて摺動させることで前記可動基盤および前記カウンターウェイトが上下方向に往復動することを特徴とする請求項5記載の包装充填機。
【請求項7】
前記縦シール装置が、前記包装材を挟んで配置された一対の縦シールローラーにそれぞれ個別に備えられて各縦シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能である駆動源を有することを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の包装充填機。
【請求項8】
前記包装材は、一対の包装材であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載の包装充填機。
【請求項9】
前記一対の包装材は、互いの厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なることを特徴とする請求項8記載の包装充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材を重ね合わせて送りながら長手方向を溶着する縦シール装置と、前記包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填装置と、前記包装材を幅方向に間欠的に溶着する横シール装置と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺の帯状材を円筒状になるように長手方向の端部同士を接合させ(縦シール)、袋状にした内部に内容物を充填して封止する(横シール)構成とした包装充填機が広く用いられている。
【0003】
他方で、食品や医薬品のように衛生管理が必要な内容物を1回分程度の少量ずつ包装するとともにパッケージとしての見た目も美麗な包装体が広く普及しており、その内容物をより衛生的かつ容易に取り出せるようにするため、例えば特公昭55-36552号公報(特許文献1)に記載されたもののように、竪固で平坦な帯状の包装材(シート)とその一側面に貼付した柔軟な包装材(可撓性シート)の間に充填部を形成するとともにその竪固で平坦な帯状の包装材に破断により開封される開封部を備えた折曲げ開封包装体が周知であり、これを折り曲げるだけで開封されて折曲げによる圧力で内容物を吐出させるものとしている。
【0004】
また、特開2015-101370号公報(特許文献2)には、二つ折り状態に折り曲げ可能な硬さを有する肉厚が厚い厚肉部と、該厚肉部よりも肉厚が薄く柔軟性を有する一対の薄肉体と、該一対の薄肉体の対向面間に形成した前記内容物を収容する収容部と、前記厚肉部の折り曲げ動作に伴い破断される箔状の封止材とを有し、内容物が封入された包装体の一部を破断開封して、内容物を包装体から取り出すことができる破断開封包装体の破断開封構造が提示されており、封止材として、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔、鉄箔、ポリ塩化ビニリデン製の樹脂フィルム等の肉厚が薄い箔体で構成することが記載されている。
【0005】
このような包装体を製造する場合、薄いフィルム材や、厚みのあるシート材など多種の包装材を用いることから、その厚み等に応じてシールローラー間の間隔調整が必要となる。
【0006】
ところが、従来の包装充填機は、例えば本出願人が過去に出願した特願2006-43612(特開2007-223614号公報:特許文献3)、特願2009-52860(特開2009-143629号公報:特許文献4)において記載されているように、駆動源からの駆動力を一対のシールローラーにギヤを用いて伝達して同期回転させることによって縦シールおよび横シールを行うものであったため、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整が必要であった。
【0007】
従って、厚みのある包装材を用いた包装体を製造しようとした場合、包装材の厚みに応じた適切なローラー間隔かつ回転速度に合致するようなギヤを各シールローラーに取り付けることがまず前提であって、且つ製造を開始する度、包装材をシールローラー間に通した後に適切なシール位置となるように主に目視によってシール位置合わせを行う煩雑な作業が必要であり、多種の包装体を一台の包装充填機で製造しようとする場合は特に手間を要した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭55-36552号公報
【特許文献2】特開2015-101370号公報
【特許文献3】特開2007-223614号公報
【特許文献4】特開2009-143629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、シールローラーにおける駆動源から駆動力を伝達するためのギヤを不要として、シール性およびシール速度も良好なものとし、且つ多種の包装体を製造することも容易となる包装充填機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明である包装充填機は、包装材を重ね合わせて送りながら長手方向に溶着する縦シール装置と、前記包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填装置と、前記包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール装置と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装充填機であって、前記横シール装置が、前記包装材を挟んで配置された一対の横シールローラーにそれぞれ個別に備えられて各横シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能である駆動源を有することを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、包装体の製造装置において、一対の横シールローラーの各横シールローラーに駆動源を備えたことで、駆動源からの駆動力を各横シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚み等に応じた適切な横シールローラー間隔かつ回転速度に合致するギヤを各シールローラーに取り付けるような煩雑な準備や、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整をする必要がなく、金銭的・時間的効率に優れるとともに、容易に適切な送り速度および送り量で包装材を横シールすることができるため、シール性およびシール速度にも優れた包装充填機を提供することができる。
【0012】
また、前記横シール装置が、前記一対の横シールローラーと直交する方向に配置された支持軸を備えており、前記一対の横シールローラーを間隔調整可能かつ平行に支持する場合、例えば包装材の厚み等によって適切なローラー間隔となるように調整することや、包装材のセット時にはローラー間隔を一旦広げてから包装材を通した後に所定のローラー間隔に狭めることができる。
【0013】
加えて、前記一対の横シールローラーのうち一方が前記支持軸に固定されており、前記支持軸に取り付けられた駆動源によって前記支持軸を軸方向に前後させることにより、前記一対の横シールローラーを近接・離間させる動作が可能である場合、横シール時に前記一対の横シールローラーを近接させて加圧し、シール性を高めることができる。
【0014】
また、前記横シール装置が、前記一対の横シールローラーを上下方向に往復動させる上下動機構を有している場合、横シールローラーが包装材に触れる時間(シール時間)を長く確保し、確実なシールを行うことが可能であるとともに、円滑に且つ高速度で上下方向に連続的に往復動可能として高速度の包装フィルムの移送に対処することができ、カム機構のような遊びがないので振動が少なく、シール時と戻り時とで速度を変化させる制御も容易である利点を有する。
【0015】
更に、前記横シール装置が、前記一対の横シールローラーと直交する方向に配置されており前記一対の横シールローラーを間隔調整可能かつ平行に支持する支持軸を備えるとともに、前記横シールローラーを上下方向に往復動させる上下動機構を備えており、前記上下動機構は、固定基盤と、前記固定基盤において前記横シール装置よりも上方の位置に固定されてその回転軸をクランク軸とした駆動源と、前記固定基盤の下方に配置されて上下方向に往復動可能であるとともに前記支持軸を支持する可動基盤と、前記固定基盤の上方に配置されて前記可動基盤と対称に往復動するカウンターウェイトと、前記クランク軸と前記可動基盤並びに前記クランク軸と前記カウンターウェイトをそれぞれ連結する一対のコンロッドと、からなる場合、上下動機構をクランク機構により構成したことで円滑に且つ高速度で上下方向に連続的に往復動可能として高速度の包装フィルムの移送に対処することができ、カム機構のように遊びがないので振動が少なく、シール時と戻り時とで速度を変化させる制御も容易である利点を有する。
【0016】
加えて、前記可動基盤および前記カウンターウェイトは、それぞれ横断面C字型のスライド部材を有しており、前記固定基盤から突設されて垂直方向に延在するスライドレールにおける横断面H字型のスライド面に前記スライド部材を組み合わせて摺動させることで前記可動基盤および前記カウンターウェイトが上下方向に往復動する場合、スムーズな上下動が可能であり、複数組のスライド部材およびスライドレールを組み合わせることでより安定性を向上させることができるため特に望ましい。
【0017】
また、前記縦シール装置が、前記包装材を挟んで配置された一対の縦シールローラーにそれぞれ個別に備えられて各縦シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能である駆動源を有する場合、前記横シール装置に加えて縦シール装置においても、駆動源からの駆動力を各縦シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚みに応じた適切な縦シールローラー間隔かつ回転速度に合致するようなギヤを各シールローラーに取り付けるような煩雑な準備や、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整をする必要がなく、金銭的・時間的効率に優れるとともに、容易に適切な送り速度および送り量で包装材を縦シールすることができるため、シール性およびシール速度にも優れた包装充填機を提供することができる。
【0018】
更に、前記包装材が一対の包装材からなる場合、前記各シールローラーに個別に備えた駆動源によって、前記各シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能としたことで、同期回転は勿論のこと非同期回転も可能となり、前記一対の包装材の送り速度および送り量を調整することで子細な調整を加えた溶着が可能であって、包装材表裏の送り速度の差による不具合も効果的に防止することができる。
【0019】
加えて、前記一対の包装材は互いの厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なるものである場合、組み合わせによって様々な種類の包装体を製造することが可能であり、その場合でも前記各シールローラーの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能としたことで、同期回転は勿論のこと非同期回転も可能となり、前記一対の包装材の送り速度および送り量を調整することで子細な調整を加えた溶着が可能であって、包装材表裏の送り速度の差による不具合も効果的に防止することができる。すなわち、ズレが生じないように送り速度を同期させることも可能であり、一方の包装材側の送り速度を他方の包装材側の送り速度よりもある程度高速として、多少の撓みを持たせて充填容量の確保を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一対の横シールローラーにそれぞれ別個の駆動源を備えたことで、駆動源からの駆動力を各横シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚み等に応じた適切な横シールローラー間隔かつ回転速度に合致するギヤを各シールローラーに取り付けるような煩雑な準備や、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整をする必要がなく、金銭的・時間的効率に優れるとともに、容易に適切な送り速度および送り量で包装材を横シールすることができるため、シール性およびシール速度にも優れた包装充填機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態である包装充填機の構成を示す説明図。
【
図2】
図1に示した包装充填機の特徴部分を簡略化して示した構成図。
【
図3】
図1に示した包装充填機に用いられるシート材を示す図であり、(a)はシート材を示す平面図、(b)は幅狭のシート材を示す平面図。
【
図4】
図1に示した包装充填機により製造される包装体を示す(a)斜視図および(b)拡大横断面図。
【
図5】
図1に示した包装充填機における縦シール装置を示す斜視図。
【
図6】
図1に示した包装充填機における横シール装置を示す平面図。
【
図7】
図1に示した包装充填機における横シール装置を示す斜視図。
【
図8】
図1に示した包装充填機における横シール装置を示す一部部品を取り去った状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態である包装充填機1の構成を縦断面図で示しており、
図2はその包装充填機1の特徴部分を抽出して示している。この包装充填機1は、熱可塑性を有する厚い平坦な樹脂であるシート材31からなる包装材30と、薄い帯状のフィルム材21からなる包装材20と、からなる一対の包装材20,30の裏面同士を重ねて周縁を囲むように熱溶着して形成した充填部内に内容物を充填してなる包装体を連続的に製造するのに適した装置であり、本実施の形態においては、開封部310を有する包装体4を製造する場合を説明する。
【0024】
その包装体4は、開封部310であるミシン目311(
図3(a)参照)を形成した平坦な厚い帯状の包装材30に対してそれよりも薄く柔軟性のある帯状の包装材20を熱溶着して、その間に形成した充填部42に内容物43を充填・封止してなる従来周知のものである。
【0025】
本実施の形態では前記包装材30を構成するシート材31(および包装材20を構成するフィルム材21)の幅は幅方向に2列の包装体を同時に製造するための幅に形成されたものであるが、幅方向に1列の包装体を製造するための幅狭のシート材32としてもよい(
図3(b)参照)。
【0026】
尚、
図3(a)(b)における二点鎖線は内容物が封止された状態の包装体から包装体4をカットする際の切り抜き位置を示すものである。
【0027】
尚、前述の開封部310を有する包装体4以外に、例えば破断、切断または剥離等の開封装置によって内容物を取り出す包装体を製造する包装充填機であっても本発明は実施可能である。
【0028】
前記包装材20を構成する前記フィルム材21は薄く柔軟な材質であるため、予めドラム200に巻回した原反として用いることができる。また、前記包装材30については、前記シート材31がある程度の可撓性を有しており、巻回可能であるため、前記薄い方の包装材20と同様に予めドラム300に巻回した原反として用いることができる。
【0029】
前記シート材31,32を構成する素材は例えばポリエチレンテレフタレート等のある程度の厚みおよび硬度を有する熱可塑性樹脂が好適である。
【0030】
本実施の形態の包装体の製造装置1において、前記ドラム200と前記ドラム200から前記包装材20を繰り出すフィードローラー201の間には2つのガイドローラー202,203が設けられており、前記フィードローラー201の後ろには3つのガイドローラー204,205,206が設けられている。
【0031】
また、前記ドラム300と前記ドラム300から前記包装材30を繰り出すフィードローラー301の間には3つのガイドローラー302,303,304が設けられている。
【0032】
このようにフィードローラー201,301およびガイドローラー202,203,204,205,206,302,303,304,305を配置したことによって、特に前記包装材30の供給において前記包装材30にストレスがかかりづらく、安定して供給することができる。
【0033】
そして、繰り出された包装材20,30は一対のプーリー5a,5bで重ね合わされて長手方向に送られる。
【0034】
尚、更に前記各ドラム200,300自体を回転させて前記各ドラム200,300に巻回した各包装材20,30を繰り出すものとしてもよく、その回転速度を調整できるものとしてもよい。
【0035】
図2を参照して、包装充填機1における包装体の製造工程を説明する。本実施の形態の包装充填機1は、一対のプーリー5a,5bで重ね合わされて長手方向に送られる(図示する下向きに縦送りされる)一対の包装材20,30を幅方向に溶着する縦シール装置6としての縦シールローラー6a,6bと、筒状となった一対の包装材20,30を幅方向に間欠的に溶着する横シール装置100としての横シールローラー110a,110bと、縦シール装置6および横シール装置100により一対の包装材20,30の間に形成された充填部42に内容物を充填する充填装置としてのノズル7と、その下方で横シール装置100による横シール位置を冷却する冷却ローラー8a,8bと、横シール位置で分断する分断装置としてのロールカッター9a,9bとを備えている。
【0036】
前記
図2における符号H1,H2は搬送中の前記包装材20,30の溶着箇所を予め加熱するプレヒータ、符号41は分断される前の縦横をシールされて内容物が封止された状態の包装体が連続している連続包装体である。
【0037】
尚、冷却ローラー8a,8bは必須のものではなく、冷却ローラー8a,8bを有しないものとしてもよい。また、分断装置による分断工程は一台の充填機における一連の工程とせずともよく、連続包装体を一旦の完成品とし、その後例えばパンチ&ダイ式の打ち抜き機など任意の分断装置による分断工程を行うものとしてもよい。
【0038】
また、本実施の形態において、上述した一対の縦シールローラー6a,6b及び一対の横シールローラー110a,110bは、前記薄い方の包装材20側の縦シールローラー6aおよび横シールローラー110aだけに加熱装置としてのヒーターを備えており、前記包装材20側から加熱して溶着を行う方式を採用している。
【0039】
これは、前記薄い方の包装材20を加熱して前記厚い方の包装材30に溶着させた方が、短時間で効率的にシール作業が完了することが本願発明者らの実験により判明したものである。勿論、前記縦シールローラー6a,6b及び/または前記横シールローラー110a,110bの双方に駆動の切り替えおよび熱量が可変のヒーターを備えておく場合には製造する包装体の素材についての汎用性が広がる。
【0040】
尚、溶着方法についてはヒートシールのみならず、インパルスシール、超音波シール等の種々の溶着方法が使用可能である。
【0041】
図5は前記包装充填機1における縦シール装置6を示す斜視図である。
この図に示すように、本実施の形態において前記縦シール装置6を形成する前記一対の縦シールローラー6a,6bには、それぞれ個別に駆動の切り替えおよび回転速度が調整可能な駆動源60a,60bが備えられているため、前記各縦シールローラー6a,6bの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が、それぞれ個別に可能となり、前記包装材20,30の送り速度および送り量を調整することが可能となって、子細な調整を加えた溶着が可能である。
【0042】
本実施の形態において、前記縦シールローラー6aは、左側ローラー61aと、中央ローラー62aと、右側ローラー63aの3つのローラーからなり、前記縦シールローラー6bも同様に、左側ローラー61bと、中央ローラー62bと、右側ローラー63bの3つのローラーからなる。
【0043】
このように、複数のローラーを用いることによって、複数個所の縦シールを同時に行うことが可能であるため、幅広のシート材31を用いて複数列の包装体を同時に製造できるように構成されている。
【0044】
中央ローラー62a,62bは、左側ローラー61a,61bと回転軸を共有しており、サポート部材64a,64bによって軸方向位置を調整可能に構成されている。
【0045】
前記駆動源60a,60bは、正確な位置・速度・回転量を制御できることが求められ、例えばサーボモーターが好適であるが、その他従来周知の駆動源が使用可能である。
【0046】
前記駆動源60aは、前記縦シールローラー6aの軸方向における左右に1基設置されている。前記駆動源60bは、前記縦シールローラー6bの軸方向における左右に1基設置されている。従って、前記駆動源60a,60bは計4基が設置されている。
【0047】
前記駆動源60aの回転軸と前記縦シールローラー6aの回転軸は、前記駆動源60aの回転軸に装着されたギヤ65aおよび前記縦シールローラー6aの回転軸に装着されたギヤ66aによって連動されており、前記駆動源60bの回転軸と前記縦シールローラー6bの回転軸は、前記駆動源60bの回転軸に装着されたギヤ65bおよび前記縦シールローラー6bの回転軸に装着されたギヤ66bによって連動されている。
【0048】
このように、本実施の形態において各駆動源60a,60bと前記縦シールローラー6a,6bは回転軸が異なり、ギヤを介して駆動力を伝達させるものとしているが、各駆動源60a,60bの回転軸を前記縦シールローラー6a,6bの回転軸と一致させてもよいことは勿論である。
【0049】
なお、前記縦シールローラー6aを構成する左側ローラー61a、中央ローラー62a、右側ローラー63aにはそのシール面(外周面)にローレット加工が施されていることで、シール性の向上を図ることが好ましい。
【0050】
また、前記一対の縦シールローラー6a,6bにおける回転速度の調整を行うために、レジマークセンサーや画像処理を用いる等して、前記包装材20,30の送り速度および送り量を調整することが好ましい(図示せず)。
【0051】
前記従来発明では縦シールローラーと一体に回転するギヤを用い、このギヤを互いに噛み合わせることで1つの駆動源から出力された動力を伝達し、各縦シールローラーを同期させて回転させていたが、このように各縦シールローラー6a,6bごとに個別の駆動源(前記駆動源60a,60b)を備えたことで、駆動源からの駆動力を各縦シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚みに応じた適切な縦シールローラー間隔かつ回転速度に合致するようなギヤを各シールローラーに取り付ける必要がなく、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整を不要とし、容易に適切な送り速度および送り量で包装材をシールすることができる。
【0052】
更に、同期回転は勿論のこと非同期回転も可能となり、駆動の切り替えおよび回転速度の調整を行うことで縦シール不良を効果的に防止することができ、送り速度および送り量を調整することで子細な調整を加えた溶着が可能であって、一対の同じ包装材を用いた場合に必要に応じて調整を行うことができることは勿論、厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なる一対の包装材を用いた場合における包装材表裏の送り速度の差による不具合も効果的に防止することができる。すなわち、ズレが生じないように送り速度を同期させることも可能であり、一方の包装材側の送り速度を他方の包装材側の送り速度よりもある程度高速として、多少の撓みを持たせて充填容量の確保を行うことも可能である。
【0053】
図6は前記包装充填機1における横シール装置100を示す平面図、
図7は前記包装充填機1における横シール装置100を示す斜視図、
図8は前記包装充填機1における横シール装置100を示す、カウンターウェイト180を構成するカウンターウェイト部材の一部,クランク軸141を軸受143を介して軸支する軸受部142,およびクランク軸141を軸受145を介して支持する支持体144を取り去った状態の正面図、
図9は前記
図8に示したA-A線断面図である。
【0054】
これらの図に示すように、横シール装置100は、前記一対の包装材20,30を挟んで配置された一対の横シールローラー110a,110bと、前記一対の横シールローラー110a,110bと直交する方向に配置されており前記一対の横シールローラー110a,110bを間隔調整可能かつ平行に支持する4本の支持軸120と、前記一対の横シールローラー110a,110bの軸方向にそれぞれ個別に備えられて各横シールローラー110a,110bの駆動の切り替えおよび回転速度の調整が個別に可能である第1の駆動源130a,130bと、クランク軸141を用いて前記一対の横シールローラー110a,110bを上下方向に往復動させる上下動機構140とからなる。
【0055】
そして、前記上下動機構140は、包装充填機1のケース体10内部に固定して配置された固定基盤150と、前記固定基盤150において前記横シール装置100よりも上方の位置に固定されてその回転軸を前記クランク軸141とした第2の駆動源160と、前記固定基盤150の下方に配置されて上下方向に往復動可能であるとともに前記各支持軸120を支持する可動基盤170と、前記固定基盤150の上方に配置されて前記可動基盤170と対称に往復動するカウンターウェイト180と、前記クランク軸141と前記可動基盤170並びに前記クランク軸141と前記カウンターウェイト180をそれぞれ連結する一対のコンロッド191,195と、からなる。
【0056】
このように上下動機構をクランク機構により構成したことで円滑に且つ高速度で上下方向に連続的に往復動可能として高速度の包装フィルムの移送に対処することができ、カム機構のような遊びがないので振動が少なく、シール時と戻り時とで速度を変化させる制御も容易である利点を有する。
【0057】
横シールローラー110aは、その両側端に設けられた固定部111,111を上下一組かつ左右一対の前記支持軸120,120に固定することで前記支持軸120,120に支持された状態となる。そして、前記横シールローラー110bは、その両側端に設けられたスリーブ部112,112に前記支持軸120,120を挿通することによって前記支持軸120,120に支持された状態となる。
【0058】
このように、前記横シールローラー110a,110bは前記固定基盤150を厚み方向に貫通して挿通された前記支持軸120,120によって間隔調整可能かつ平行に支持されており、例えば包装材20,30の厚み等によって適切なローラー間隔となるように調整することや、あるいは包装材20,30のセット時にはローラー間隔を一旦広げてから包装材20,30を通した後に所定のローラー間隔に狭めることが可能とされている。
【0059】
更に、前記一対の横シールローラー110a,110bの反対側に前記固定基盤150を挟んで突出する前記支持軸120,120には、エアシリンダからなる第3の駆動源121,121が備えられており、この第3の駆動源121,121によって前記支持軸120,120を軸方向に前後させて、前記支持軸120,120に固定された前記横シールローラー110aを前記横シールローラー110bに対して近接・離間させる動作を可能としており、横シール時に前記一対の横シールローラー110a,110bを近接させて加圧し、シール性を高めることが可能である。
【0060】
なお、本実施の形態では前記スリーブ部112,112は前記可動基盤170と固定されており、上下動時に備えた強度の向上がなされている。
【0061】
前記第1の駆動源130a,130bおよび第2の駆動源160は、正確な位置・速度・回転量を制御できることが求められ、例えばサーボモーターが好適であるが、その他従来周知の駆動源が使用可能である。
【0062】
前記従来発明では横シールローラーと一体に回転するギヤを用い、このギヤを互いに噛み合わせることで1つの駆動源から出力された動力を伝達し、各横シールローラーを同期させて回転させていたが、このように各横シールローラー110a,110bごとに個別の駆動源(前記第1の駆動源130a,130b)を備えたことで、駆動源からの駆動力を各横シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚みに応じた適切な横シールローラー間隔かつ回転速度に合致するようなギヤを各シールローラーに取り付ける必要がなく、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整を不要とし、容易に適切な送り速度および送り量で包装材をシールすることができる。
【0063】
更に、同期回転は勿論のこと非同期回転も可能となり、駆動の切り替えおよび回転速度の調整を行うことで横シール不良を効果的に防止することができ、送り速度および送り量を調整することで子細な調整を加えた溶着が可能であって、一対の同じ包装材を用いた場合に必要に応じて調整を行うことができることは勿論、厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なる一対の包装材を用いた場合における包装材表裏の送り速度の差による不具合も効果的に防止することができる。すなわち、ズレが生じないように送り速度を同期させることも可能であり、一方の包装材側の送り速度を他方の包装材側の送り速度よりもある程度高速として、多少の撓みを持たせて充填容量の確保を行うことも可能である。
【0064】
前記可動基盤170は横断面C字型のスライド部材171を有しており、前記固定基盤150から突設されて垂直方向に延在するスライドレール151における横断面H字型のスライド面152に前記スライド部材171を組み合わせて摺動させることで前記可動基盤170が前記スライドレール151に沿って上下方向に往復動可能とするものである。
【0065】
また、前記カウンターウェイト180は横断面C字型のスライド部材181を有しており、前記固定基盤150から突設されて垂直方向に延在するスライドレール153における横断面H字型のスライド面154に前記スライド部材181を組み合わせて摺動させることで前記カウンターウェイト180が前記スライドレール153に沿って上下方向に往復動可能とするものである。
【0066】
本実施の形態において前記可動基盤170側のスライド部材171は3つ設けられており、前記スライドレール151は前記スライド部材171に対応して3つ設けられている。
【0067】
また、前記カウンターウェイト180側のスライド部材181は2つ設けられており、前記スライドレール153は前記各スライド部材181に対応して2つ設けられている。
【0068】
このように前記可動基盤170および前記カウンターウェイト180に対して、それぞれ複数組のスライド部材およびスライドレールからなるスライド機構を設けたことによってスムーズな上下動が可能であり特に望ましいが、例えば前記可動基盤170および前記カウンターウェイト180のうち少なくとも一方において、1組のスライド部材およびスライドレールのみからなる、すなわち片持ちタイプのスライド機構を設けたものであっても、本発明は問題なく実施可能である。
【0069】
前記コンロッド191は、一端が前記クランク軸141のクランクピン146に軸受192を介して軸支されているとともに、他端が前記可動基盤170に軸受193および連結具194を介して軸支されている。
【0070】
前記コンロッド195は、一端が前記クランク軸141のクランクピン147に軸受196を介して軸支されているとともに、他端が前記カウンターウェイト180に軸受197および連結具198を介して軸支されている。
【0071】
そして、前記第2の駆動源160を駆動させて前記クランク軸141を回転させることで、前記クランク軸141に軸支された前記一対のコンロッド191,194の動きによって前記可動基盤170と前記カウンターウェイト180は前記クランク軸141を挟んで互いに上下方向の対称位置にあるような状態で上下動する往復動クランク機構(上下動機構140)を構成する。従って、上下動機構140により可動基盤170を高速で上下動させたとしても、カウンターウェイト180が対称に動作して重量バランスを保つため不要な振動を生じることなく安定した状態で稼働させることができる。
【0072】
なお、本実施の形態ではカウンターウェイト180を複数のカウンターウェイト部材により形成してあるので、可動基盤170側の重量や上下動の移動速度に合わせて重量を正確に調整できるとともに、内部の点検・保守をしやすくするという利点も有している。
【0073】
本発明の実施の形態において、包装体を構成する一対の包装材は、厚さ、硬度および材質の異なる包装材を用いる場合を説明したが、厚さ,硬度および材質が同じ一対の包装材を用いても実施可能である。一対の包装材を用いた場合には、一対の横シールローラー(および一対の縦シールローラー)の各シールローラーにそれぞれ別個の駆動源を備えたことで、駆動源からの駆動力を各シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚みに応じた適切なシールローラー間隔かつ回転速度に合致するようなギヤを各シールローラーに取り付ける必要がなく、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整を不要とし、容易に適切な送り速度および送り量で包装材をシールすることができるため、シール性およびシール速度にも優れる利点や、同期回転は勿論のこと非同期回転も可能となり、送り速度および送り量を調整することで子細な調整を加えた溶着が可能である利点を得ることができる。
【0074】
また、包装体を構成する包装材は、1枚の帯状の包装材を折り返して使用するものであっても実施可能である。1枚の帯状の包装材を折り返して使用する場合も、一対の横シールローラー(および一対の縦シールローラー)の各シールローラーにそれぞれ別個の駆動源を備えたことで、駆動源からの駆動力を各シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚みに応じた適切な縦シールローラー間隔かつ回転速度に合致するようなギヤを各シールローラーに取り付ける必要がなく、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整を不要とし、容易に適切な送り速度および送り量で包装材をシールすることができるため、シール性およびシール速度にも優れる利点を得ることができる。
【0075】
以上のように、本発明によれば、一対の横シールローラー(および一対の縦シールローラー)にそれぞれ別個の駆動源を備えたことで、駆動源からの駆動力を各シールローラーに伝達するためのギヤが不要となったため、使用する包装材の厚み等に応じた適切なシールローラー間隔かつ回転速度に合致するギヤを各シールローラーに取り付けるような煩雑な準備や、ギヤの噛み合わせ(ギャーレーション)の調整をする必要がなく、金銭的・時間的効率に優れるとともに、容易に適切な送り速度および送り量で包装材をシールすることができるため、シール性およびシール速度にも優れた包装充填機を提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 包装充填機、4 包装体、5a,5b プーリー、6 縦シール装置、7 ノズル、8a,8b 冷却ローラー、9a,9b ロールカッター、20 包装材、21 フィルム材、30 包装材、31,32 シート材、41 連続包装体、100 横シール装置、110a,110b 横シールローラー、111 固定部、112 スリーブ部、120 支持軸、130a,130b 第1の駆動源、141 クランク軸、142 軸受部、143 軸受、144 支持体、145 軸受、150 固定基盤、151 スライドレール、152 スライド面、153 スライドレール、154 スライド面、160 第2の駆動源、170 可動基盤、171 スライド部材、180 カウンターウェイト、181 スライド部材、191 コンロッド、192 軸受、193 軸受、194 連結具、195 コンロッド、196 軸受、197 軸受、198 連結具、200 ドラム、201 フィードローラー、202,203,204,205,206 ガイドローラー、300 ドラム、301 フィードローラー、302,303,304,305 ガイドローラー、310 開封部、311 ミシン目、H1,H2 プレヒータ