(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070473
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】包装体の製造装置および包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220506BHJP
B65B 9/20 20120101ALI20220506BHJP
【FI】
B65B51/10 210
B65B9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179555
(22)【出願日】2020-10-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390037707
【氏名又は名称】オーエスマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 真彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智
(72)【発明者】
【氏名】宮川 達哉
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 朋也
(72)【発明者】
【氏名】檀上 健敏
(72)【発明者】
【氏名】早坂 貴博
(72)【発明者】
【氏名】加藤 滉人
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭由
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050CA01
3E050CC03
3E050DD04
3E050DE02
3E050DE03
3E050DF02
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB03
3E050GB09
3E050GC01
3E050HA01
3E050HA02
3E050HA03
3E050HB01
3E094AA12
3E094CA04
3E094CA08
3E094CA10
3E094CA22
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA12
3E094FA21
3E094FA30
3E094GA01
3E094GA23
3E094HA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特に厚みや硬度のある包装材を用いる包装体を製造する際に、シール不良を回避できる包装体の製造装置を提供する。
【解決手段】一対の包装材20,30を送りながら長手方向に溶着する縦シール手段7と、内容物を充填する充填手段8と、幅方向に溶着する横シール手段9と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装体の製造装置において、前記縦シール手段7による溶着の前工程として、前記一対の包装材20,30の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分、且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置を予熱箇所Pとして内側から予熱する予熱手段100を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の包装材を重ね合わせて送りながら長手方向に溶着する縦シール手段と、前記一対の包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填手段と、前記一対の包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール手段と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装体の製造装置において、
前記縦シール手段による溶着の前工程として、前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置を予熱箇所として内側から予熱する予熱手段を備えることを特徴とする包装体の製造装置。
【請求項2】
前記一対の包装材は互いの厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なるものであることを特徴とする請求項1記載の包装体の製造装置。
【請求項3】
前記予熱手段が前記一方の包装材と前記他方の包装材との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の包装体の製造装置。
【請求項4】
前記予熱手段が複数並列して備えられていることを特徴とする請求項1,2または3記載の包装体の製造装置。
【請求項5】
前記予熱手段が、空気供給管と、ヒーターと、噴出口と、を有し、
前記空気供給管を通じて供給される空気が前記ヒーターにより加熱され、熱風となった空気が前記空気供給管の先端に備えた前記噴出口より前記一対の包装材の内側に向けて噴射されることで前記一対の包装材の双方を内側から同時に予熱することを特徴とする請求項1,2,3または4記載の包装体の製造装置。
【請求項6】
前記予熱手段が熱検知手段および制御手段を有しており、前記熱検知手段によって前記ヒーターにより加熱された熱風の温度を検知して信号を発し、前記信号を受信した前記制御手段によって前記ヒーターの温度または前記噴出口からの単位時間あたりの噴出量のうち少なくとも一方を調整可能であることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の包装体の製造装置。
【請求項7】
前記一対の包装材を縦方向に溶着する前記縦シール手段を形成する一対のローラーにそれぞれ個別の駆動手段が備えられており、前記各ローラーの駆動および回転速度の調整が個別に可能であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の包装体の製造装置。
【請求項8】
前記一対の包装材を送るローラーのうち少なくとも1つが加熱手段を有した加熱ローラーであって、前記予熱手段による予熱の前工程として、前記加熱ローラーにより前記一対の包装材のうち少なくとも一方を予熱することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載の包装体の製造装置。
【請求項9】
厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なる一対の包装材を重ね合わせて長手方向に送り、前記一対の包装材を前記長手方向に溶着する縦シール工程と、前記一対の包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填工程と、前記一対の包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール工程と、を有し、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装体の製造方法であって、
前記縦シール工程の前工程として予熱工程を有し、前記予熱工程は熱風を噴出する予熱手段によって、前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置である予熱箇所に熱風を噴出して予熱するものである、
ことを特徴とする包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の包装材を重ね合わせて送りながら長手方向に溶着する縦シール手段と、前記一対の包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填手段と、前記一対の包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール手段と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装体の製造装置に関し、特に厚みや硬度のある包装材を用いた包装体の製造装置、および包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺の帯状材を円筒状になるように長手方向の端部同士を接合させ(縦シール)、袋状にした内部に内容物を充填して封止する(横シール)構成とした包装体の製造装置が広く用いられている。
【0003】
このような包装体の製造装置においては、例えば特開2009-149364号公報(特許文献1)、特開2008-127031号公報(特許文献2)および特開2003-11230号公報(特許文献3)に示された従来発明のように、熱風による予熱装置を用いることで、確実かつ綺麗にシールを行うことができることが知られている。
【0004】
他方で、食品や医薬品のように衛生管理が必要な内容物を1回分程度の少量ずつ包装するとともにパッケージとしての見た目も美麗な包装体が広く普及しており、その内容物をより衛生的かつ容易に取り出せるようにするため、例えば特公昭55-36552号公報(特許文献4)に記載されたもののように、平坦な帯状の包装材(シート材)とその一側面に貼付した柔軟な包装材(シート材)の間に充填部を形成するとともにその平坦な帯状の包装材に破断により開封される開封部を備えた折曲げ開封包装体が周知であり、これを折り曲げるだけで開封されて折曲げによる圧力で内容物を吐出させるものとしている。
【0005】
また、特開2015-101370号公報(特許文献5)には、二つ折り状態に折り曲げ可能な硬さを有する肉厚が厚い厚肉部と、該厚肉部よりも肉厚が薄く柔軟性を有する一対の薄肉体と、該一対の薄肉体の対向面間に形成した前記内容物を収容する収容部と、前記厚肉部の折り曲げ動作に伴い破断される箔状の封止材とを有し、内容物が封入された包装体の一部を破断開封して、内容物を包装体から取り出すことができる破断開封包装体の破断開封構造が提示されており、封止材として、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔、鉄箔、ポリ塩化ビニリデン製の樹脂フィルム等の肉厚が薄い箔体で構成することが記載されている。
【0006】
前記特許文献4および前記特許文献5に記載の各包装体を連続して多量に生産する際にも、シール性や生産速度の向上を図るために予熱を行うことが望ましい。ところが、前記特許文献4および前記特許文献5に記載の各包装体は、厚みのある包装材と、薄肉の包装体とを組み合わせて包装体となすものである。
【0007】
そのため、特許文献1,特許文献2および特許文献3に記載された予熱装置はフィルム状の薄肉の包装材を用いる包装体しか想定しておらず、厚みや硬度のある包装体について、仮に特許文献1,特許文献2および特許文献3に記載された予熱装置を適用したとしても、その厚みや硬度によって、シール時により多くの熱が必要となるが、加熱不足によってシール不良が発生する恐れがある。
【0008】
より具体的に言えば、前述の予熱装置は長尺の帯状材を円筒状になるように長手方向の端部同士を接合させることを前提としているため、予熱すべき箇所を適切に加熱することが困難であることや、予熱をしてもシール位置までに距離があることから、シール時に加熱不足を生じる可能性がある。そもそも、厚みや硬度のある包装材に対して、両包装材間にノズルや板材などを挟み込むような予熱装置の適用は困難であり、シール位置が端部に限らず中間部も含む場合はなおさらであった。
【0009】
そこで、特に厚みや硬度のある包装材を用いる包装体を製造する際に、シール不良を回避できる包装体の製造装置および包装体の製造方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009-14936号公報
【特許文献2】特開2008-127031号公報
【特許文献3】特開2003-11230号公報
【特許文献4】特公昭55-36552号公報
【特許文献5】特開2015-101370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、一対の包装材を用いた包装体、特に厚みや硬度のある包装材を用いる包装体を製造する際に、シール不良を回避できる包装体の製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明である包装体の製造装置は、一対の包装材を重ね合わせて送りながら長手方向に溶着する縦シール手段と、前記一対の包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填手段と、前記一対の包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール手段と、を備え、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装体の製造装置において、
前記縦シール手段による溶着の前工程として、前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置を予熱箇所として内側から予熱する予熱手段を備えることを特徴とする。
【0013】
このように予熱手段による予熱箇所を前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置としたことで、溶着する箇所を直接余熱することができるため、前記一対の包装材は互いの厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なるものである場合であっても、十分な予熱が可能であって、シール性の向上およびシール速度の向上を実現することができる。
【0014】
また、前記予熱手段が前記一方の包装材と前記他方の包装材との間に配置されている場合、前記予熱箇所を内側から予熱するための配置が容易となるため特に望ましい。
【0015】
更に、前記予熱手段が複数並列して備えられている場合、幅方向に一列の包装体を製造する包装体の製造装置に限らず、幅方向に複数列の包装体を同時に製造する包装体の製造装置のように、余熱箇所が多くなったとしても必要な予熱箇所を全て予熱可能となる。
【0016】
また、前記予熱手段が、空気供給管と、ヒーターと、噴出口と、からなり、
前記空気供給管を通じて供給される空気が前記ヒーターにより加熱され、熱風となった空気が前記空気供給管の先端に備えた前記噴出口より前記一対の包装材の内側に向けて噴射されることで前記一対の包装材の双方を内側から同時に予熱する場合、熱風を用いた比較的簡易かつ確実な構造によって予熱手段を構成可能となる。
【0017】
更に、前記予熱手段が熱検知手段および制御手段を有しており、前記熱検知手段によって前記ヒーターにより加熱された熱風の温度を検知して信号を発し、前記信号を受信した前記制御手段によって前記ヒーターの温度または前記噴出口からの単位時間あたりの噴出量のうち少なくとも一方を調整可能である場合、包装材の厚み・硬度・材質などのパラメータに応じた適切な予熱を行うことが可能となる。
【0018】
また、前記一対の包装材を縦方向に溶着する前記縦シール手段を形成する一対のローラーにそれぞれ個別の駆動手段が備えられており、前記各ローラーの駆動および回転速度の調整が個別に可能である場合、同期回転は勿論のこと非同期回転も可能となり、一対の包装材の送り速度および送り量を調整することが可能となって、子細な調整を加えた溶着が可能である。
【0019】
更に、前記一対の包装材を送るローラーのうち少なくとも1つが加熱手段を有した加熱ローラーであって、前記予熱手段による予熱の前工程として、前記加熱ローラーにより前記一対の包装材のうち少なくとも一方を予熱する場合、前記予熱手段に加えて更に搬送中の包装材を予熱することが可能となるため、より予熱量を向上させてシール性の向上およびシール速度の向上を実現することができる。
【0020】
そして、上記課題を解決するためになされた本発明である包装体の製造方法は、厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なる一対の包装材を重ね合わせて長手方向に送り、前記一対の包装材を前記長手方向に溶着する縦シール工程と、前記一対の包装材の間に形成される充填部に内容物を充填する充填工程と、前記一対の包装材を間欠的に幅方向に溶着する横シール工程と、を有し、内容物を充填した包装体を連続的に製造する包装体の製造方法であって、
前記縦シール工程の前工程として予熱工程を有し、前記予熱工程は熱風を噴出する予熱手段によって、前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段によるシール位置の延長線上である予熱箇所に熱風を噴出して予熱することを特徴とするものであり、
このように予熱手段による予熱箇所を前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段によるシール位置の延長線上とし、また加熱方法として熱風を用いたことによって、互いの厚み,硬度または材質のうち少なくとも1つが異なる一対の包装材であっても、比較的簡易かつ確実な構造によって十分な予熱が可能であって、シール性の向上およびシール速度の向上を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、予熱手段による予熱箇所を前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置である余熱箇所を内側から予熱するものとしたことで、溶着する箇所を直接余熱することができるため、使用する包装材が厚みや硬度のある素材であっても、シール性の向上およびシール速度の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態である包装体の製造装置の全体構成を示した縦断面図。
【
図2】
図1の包装体の製造装置の特徴部分を簡略化して示した構成図。
【
図3】
図1の包装体の製造装置に用いられるシート材を示す図であり、(a)はシート材を示す平面図、(b)は幅狭のシート材を示す平面図。
【
図4】
図1の包装体の製造装置により製造した包装体を示す(a)斜視図および(b)拡大横断面図。
【
図5】
図1の包装体の製造装置における予熱手段を示す(a)平面図、(b)正面図および(c)側面図。
【
図6】
図5の予熱手段の使用状態を示す一部機構を簡略化した説明図。
【
図7】
図1の包装体の製造装置における曲げ加工手段を示す(a)平面図および(b)斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態である包装体の製造装置1の構成を縦断面図で示しており、
図2はその包装体の製造装置1の特徴部分を抽出して示している。この包装体の製造装置1は、熱可塑性を有する厚い平坦な樹脂であるシート材31からなる包装材30と、薄い帯状のフィルム材21からなる包装材20と、からなる一対の包装材20,30の裏面同士を重ねて周縁を囲むように熱溶着して形成した充填部内に内容物を充填してなる包装体を連続的に製造するのに適した装置であり、本実施の形態においては、開封部310を有する包装体4を製造する場合を説明する。
【0025】
その包装体4は、開封部310であるミシン目311(
図3(a)参照)を形成した平坦な厚い帯状の包装材30に対してそれよりも薄く柔軟性のある帯状の包装材20を熱溶着して、その間に形成した充填部42に内容物43を充填・封止してなる従来周知のものである(
図4参照)。
【0026】
本実施の形態では前記包装材30を構成するシート材31(および包装材20を構成するフィルム材21)の幅は幅方向に2列の包装体を同時に製造するための幅に形成されたものであるが、幅方向に1列の包装体を製造するための幅狭のシート材32としてもよい(
図3(b)参照)。
【0027】
尚、
図3(a)(b)における二点鎖線は内容物が封止された状態の包装体から包装体5をカットする際の切り抜き位置を示すものであり、また、符号33(ドット柄アミカケ部)は予熱手段100による包装材30の予熱位置(縦シール手段4による縦シール位置)を指すものである。
【0028】
尚、前述の開封部310を有する包装体4以外に、例えば破断、切断または剥離等の開封手段によって内容物を取り出す包装体を製造する包装体の製造装置であっても本発明は実施可能である。
【0029】
前記包装材20を構成する前記フィルム材21は薄く柔軟な材質であるため、予めドラム200に巻回した原反として用いることができる。また、前記包装材30については、前記シート材31がある程度の可撓性を有しており、巻回可能であるため、前記薄い方の包装材20と同様に予めドラム300に巻回した原反として用いることができる。
【0030】
前記シート材31,32を構成する素材は例えばポリエチレンテレフタレート等のある程度の厚みおよび硬度を有する熱可塑性樹脂が好適である。
【0031】
本実施の形態の包装体の製造装置1において、前記ドラム200と前記ドラム200から前記包装材20を繰り出すフィードローラー201の間には2つのガイドローラー202,203が設けられており、前記フィードローラー201の後ろには3つのガイドローラー204,205,206が設けられている。
【0032】
また、前記ドラム300と前記ドラム300から前記包装材30を繰り出すフィードローラー301の間には3つのガイドローラー302,303,304が設けられている。
【0033】
このようにフィードローラー201,301およびガイドローラー202,203,204,205,206,302,303,304を配置したことによって、特に前記包装材30の供給において前記包装材30にストレスがかかりづらく、安定して供給することができる。
【0034】
そして、繰り出された包装材20,30は一対のプーリー5a,5bで重ね合わせられて長手方向に送られる。
【0035】
尚、更に前記各ドラム200,300自体を回転させて前記各ドラム200,300に巻回した各包装材20,30を繰り出すものとしてもよく、その回転速度を調整できるものとしてもよい。
【0036】
図2を参照して、包装体の製造装置1の製造工程を説明する。本実施の形態の包装体の製造装置1は、一対のプーリー5a,5bで重ね合わせられて長手方向に送られる(図示する下向きに縦送りされる)一対の包装材20,30の幅方向両端側を溶着する縦シール手段7としての縦シールローラー7a,7bと、両端側を溶着されて筒状となった一対の包装材20,30の間に内容物を充填する充填手段としてのノズル8と、筒状となった一対の包装材20,30の長手方向所定間隔で間欠的に幅方向に溶着する横シール手段9としての横シールローラー9a,9bと、その下方で横シール手段9による横シール位置を冷却する冷却手段10としての冷却ローラー10a,10bと、横シール位置で分断する分断手段11としてのロールカッター11a,11bとを備えている。
【0037】
また、本実施の形態において、上述した縦シールローラー及び横シールローラーは、前記包装材20側の縦シールローラー7a、横シールローラー9aだけに加熱手段としてのヒーターを備えており、前記包装材20側から加熱して溶着を行う方式を採用している。
【0038】
これは、前記包装材20を加熱して前記包装材30に溶着させた方が、短時間で効率的にシール作業が完了することが本願発明者らの実験により判明したものである。勿論、前記縦シールローラー7a,7b及び/または前記横シールローラー9a,9bの双方に駆動および熱量が可変のヒーターを備えておく場合には製造する包装体の素材についての汎用性が広がる。
【0039】
尚、溶着方法についてはヒートシールのみならず、インパルスシール、超音波シール等の種々の溶着方法が使用可能である。
【0040】
また、本実施の形態では、前記縦シール手段7を形成する前記一対の縦シールローラー7a,7bには、それぞれ個別に駆動および回転数が可変の駆動源(電動機等、図示せず)が備えられており、前記各縦シールローラー7a,7bの回転速度が、それぞれ個別に調整可能となり、前記包装材20,30の送り速度および送り量を調整することが可能となるため、更に子細な調整を加えた溶着が可能である。
【0041】
本実施の形態における縦シールローラー7a,7bは、それぞれ軸方向に3つのシール部を有するものであって、一対の包装材20,30の両端および中央を縦シールし、幅方向に2列の包装体を製造するためのものであるが、例えば縦シールローラー7a,7bがそれぞれ軸方向に2つのシール部を有するものとして、幅方向に1列の包装体を製造するためのものとしてもよい(図示せず)。
【0042】
尚、前記一対の縦シールローラー7a,7bにおける回転速度の調整を行うために、レジマークセンサーや画像処理を用いる等して、前記包装材20,30の送り速度および送り量を調整することが好ましい(図示せず)。
【0043】
尚、符号41は分断される前の縦横をシールされて内容物が封止された状態の包装体が連続している連続包装体である。
【0044】
本実施の形態では、
図2に示すように、予熱手段100による予熱工程と、曲げ加工手段6による曲げ加工工程と、縦シール手段7による縦シール工程と、充填手段(ノズル8)による充填工程と、横シール手段9および冷却手段10による横シール工程と、分断手段11による分断工程とが、順番に行われる。
【0045】
尚、冷却ローラー10a,10bは必須のものではなく、冷却ローラー10a,10bを有しないものとしてもよい。また、分断手段11による分断工程は一台の製造機械における一連の工程とせずともよく、連続包装体41を一旦の完成品とし、その後例えばパンチ&ダイ式の打ち抜き機など任意の分断手段による分断工程を行うものとしてもよい。
【0046】
前記予熱手段100は、空気供給管101と、ヒーター102と、噴出口103と、からなり、前記空気供給管101を通じて供給される空気が前記ヒーター102により加熱され、熱風となった空気が前記空気供給管101の先端に備えた前記噴出口103より前記一対の包装材20,30に向けて噴射するものである(
図5参照)。
【0047】
このように、予熱手段100として熱風による予熱を行うものとしたことで、一対の包装材20,30を内側から同時に予熱することが容易に可能であって、従来の加熱ローラーのように送り速度に依存するようなこともなく、予熱量の調整がしやすいとともに、ピンポイントに予熱箇所の予熱を素早く行うことができる、比較的簡易かつ確実な予熱手段とすることができる。
【0048】
前記予熱手段100は包装体の製造装置1内に備えられた制御手段によって制御可能であり、本実施の形態では制御基板(図示せず)を制御手段として使用しており、使用する包装材20,30の材質や厚さに応じて予熱の調節をすることができる。
【0049】
前記空気供給管101に供給される空気は、包装体の製造装置1内に備えたコンプレッサーや、包装体の製造装置1を設置する設備内に備えられた圧縮空気配管などの圧力ガス源から供給される空気を利用することが可能である。
【0050】
前記ヒーター102は、本実施の形態において通電させることにより発熱する電熱線を熱源として用いている。尚、その他従来周知の熱源を使用するものとしてもよい。
【0051】
前記噴出口103は、前記一対の包装材20,30が重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段4による縦シール位置である予熱箇所Pに熱風を噴射する向きに備えられている。尚、前記噴出口103は方向を調整するだけに限らず、口径を前記空気供給管101よりも小径のものとして流速を調整するものとしてもよい。
【0052】
また、前記予熱手段100は温度センサである熱検知手段104を有しており、前記熱検知手段104によって前記ヒーター102により加熱された熱風の温度を検知して信号を発し、前記信号を受信した前記制御手段によって前記ヒーター102の温度または前記噴出口103からの単位時間あたりの噴出量のうち少なくとも一方を調整可能である。
【0053】
図6は前記予熱手段100の使用状態を示す一部機構を簡略化した説明図である。この図に示すように、前記予熱手段100は3つが並列して備えられており、前記一対の包装材20,30が重ね合わせられる部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段7による縦シール位置である予熱箇所Pに前記各予熱手段100が熱風を噴出して前記一対の包装材20,30を内側から同時に予熱することによって、前記一対の包装材の溶着箇所に後の溶着工程において溶着するために十分な熱を直接加えることが可能であって、使用する包装材が厚みや硬度のある素材であってもシール性の向上およびシール速度の向上を実現することができる。
【0054】
尚、符号23(ドット柄アミカケ部)は予熱手段100による包装材20の予熱位置(縦シール手段4による縦シール位置)を指すものである。
【0055】
その後、予熱手段100により予熱された一対の包装材20,30は予熱手段100の下流に備えられた曲げ加工手段6に移送される。
【0056】
図8は本発明における曲げ加工手段6を示すものであり、この曲げ加工手段6は、内側面における幅方向に長手方向に向けて2箇所の凹部62a,62bを備えた熱伝導性を有する硬質のブロック状の表側部材61と、内側面における幅方向に長手方向に向けて2箇所の凸部64a,64bが形成された熱伝導性を有する硬質のブロック状の裏側部材63と、を対向して所定の間隔で配置してなるものとした。
【0057】
また、本実施の形態は、熱風を通過させて加熱する加熱手段65が前記表側部材61および裏側部材63内にそれぞれ内蔵されており、少なくとも、表側部材61の凹部62a,62b部分または裏側部材63の凸部64a,64b部分が所定の温度に加熱されるので、加熱ローラーを別途設けることなく加熱が可能であって省スペース化が図れるとともに、加熱手段および成形手段を一体としたことで加熱と加圧を同時に行うことができるため、より安定して樋状に曲げ加工することが可能である。
【0058】
そして、対向して所定の間隔で配置した表側部材61および裏側部材63間の隙間に一対の包装材20,30を加熱手段65で加熱しながら通過させることにより外側に向けて突出させて複数の樋状部分を有する波形に曲げ加工するものである。
【0059】
このように、一対の包装材20,30をその表面方向に凸となる複数の樋状部分を有する波形に曲げ加工することで、充填部を複数形成することが可能となるため、幅方向に複数列の包装体を同時に生産することや、複数種類の内容物を充填した包装体を製造することを容易に実現可能である利点を有する。
【0060】
尚、本実施の形態における前記加熱手段65は熱風を用いるものであるが、その他に例えばジュール熱、蒸気、ガス、その他種々の熱源を用いたものとしてもよい。
【0061】
尚、前記フィードローラー201,301のうち一方、または双方に加熱手段を備えて、加熱ローラーとして使用するものとしてもよい。前記加熱手段は熱風によるもの、あるいは電熱線によるジュール熱によるものとすることができるが、その他例えば蒸気、ガスも含めた種々の熱源を用いたものとしてもよい。
【0062】
もしくは、フィードローラーおよびガイドローラーとは別個の加熱ローラーを備えるものとしてもよい。
【0063】
このように加熱ローラーを備えるものとすれば、予熱手段100に加えて更に搬送中の包装材20,30を予熱することが可能となるため、より予熱量を向上させて更にシール性の向上およびシール速度の向上を図ることができる。
【0064】
本発明の各実施の形態において、包装体を構成する一対の包装材は、厚み,硬度および素材の異なる包装材を用いる場合を説明したが、厚み,硬度または素材が同一の包装材を用いても実施可能であり、また、本実施の形態では一方の包装材30について曲げ加工を施したが、他方の包装材20に或いは双方の包装材20,30について曲げ加工を施してもよいことは言うまでもない。
【0065】
以上のように、本発明によれば、予熱手段による予熱箇所を前記一対の包装材の一方の包装材と他方の包装材とが初めて接合する部分且つ前記長手方向における前記縦シール手段による縦シール位置としたことで、使用する包装材が厚みや硬度のある素材であっても、シール不良を回避することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 包装体の製造装置、4 包装体、5a,5b プーリー、6 曲げ加工手段、7 縦シール手段、7a,7b 縦シールローラー、8 ノズル、9 横シール手段、9a,9b 横シールローラー、10 冷却手段、10a,10b 冷却ローラー、11 分断手段、11a,11b ロールカッター、20 包装材、21 フィルム材、23 予熱位置、30 包装材、31,32 シート材、33 予熱位置、41 連続包装体、42 充填部、43 内容物、61 表側部材、62a,62b 凹部、63 裏側部材、64a,64b 凸部、65 加熱手段、100 予熱手段、101 空気供給管、102 ヒーター、103 噴出口、104 熱検知手段、200 ドラム、201 フィードローラー、202,203,204,205,206 ガイドローラー、300 ドラム、301 フィードローラー、302,303,304,305 ガイドローラー、310 開封部、311 ミシン目、P 予熱箇所