(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070592
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】含フッ素カルボン酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 51/04 20060101AFI20220506BHJP
C07C 59/135 20060101ALI20220506BHJP
C07C 59/315 20060101ALN20220506BHJP
C07C 55/02 20060101ALN20220506BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220506BHJP
【FI】
C07C51/04
C07C59/135 ZAB
C07C59/315
C07C55/02
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179735
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】502145313
【氏名又は名称】ユニマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】清野 淳弥
(72)【発明者】
【氏名】栗田 大雅
(72)【発明者】
【氏名】小金 敬介
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB68
4H006AC46
4H006BA09
4H006BA36
4H006BM10
4H006BM71
4H006BP10
4H006BS10
4H039CA65
4H039CE20
(57)【要約】
【課題】腐食性を有さず安全性に優れた原料を使用し且つコストが低減された、含フッ素カルボン酸の製造方法を提供すること。
【解決手段】無機金属塩の存在下で、一般式(1)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、一般式(2)で表される含フッ素カルボン酸を製造する。無機金属塩の存在下で、一般式(3)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸を製造する。無機金属塩の存在下で、一般式(5)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、一般式(6)で表される含フッ素カルボン酸を製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機金属塩の存在下で、下記一般式(1)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(2)で表される含フッ素カルボン酸を製造する、含フッ素カルボン酸の製造方法。
CaR2a+1-O-(CbR2b-O)k-CcR2c-COF (1)
CaR2a+1-O-(CbR2b-O)k-CcR2c-COOH (2)
(上記一般式(1)および(2)において、a、bおよびcはそれぞれ独立して1以上の整数であり、kは0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【請求項2】
無機金属塩の存在下で、下記一般式(3)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸を製造する、含フッ素カルボン酸の製造方法。
FOC-CdR2d-(OCeR2e)l-OCfR2fO-(CgR2gO)m-ChR2h-COF (3)
HOOC-CdR2d-(OCeR2e)l-OCfR2fO-(CgR2gO)m-ChR2h-COOH (4)
(上記一般式(3)および(4)において、d、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して1以上の整数であり、lおよびmはそれぞれ独立して0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【請求項3】
無機金属塩の存在下で、下記一般式(5)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(6)で表される含フッ素カルボン酸を製造する、含フッ素カルボン酸の製造方法。
FOC-(CR2)n-COF (5)
HOOC-(CR2)n-COOH (6)
(上記一般式(5)および(6)において、nは1以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【請求項4】
前記Rの全てがフッ素原子である、請求項1から3までの何れか1項に記載の含フッ素カルボン酸の製造方法。
【請求項5】
前記無機金属塩は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、およびGaからなる群から選択される少なくとも一種の金属の塩である、請求項1から4までの何れか1項に記載の含フッ素カルボン酸の製造方法。
【請求項6】
前記無機金属塩は、Al2(SO4)3、NaCl、KCl、CaCl2、Na2SO4、MgSO4、K2SO4、およびK3PO4からなる群から選択される少なくとも一種の無機金属塩である、請求項1から5までの何れか1項に記載の含フッ素カルボン酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素カルボン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素カルボン酸(フルオロカルボン酸;カルボン酸フルオライド)は様々な産業分野において、界面活性剤、乳化剤、重合助剤などとして使用されている。このため、従来から、含フッ素カルボン酸の製造方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、下記式(A)で示される反応工程により、含フッ素カルボン酸を製造することができる。
【化1】
【0004】
上記式(A)で表される反応工程では(a)で表される含フッ素化合物とメタノールを反応させて、(a)の化合物のメチルエステル化、精製を行い(b)で表される含フッ素化合物のメチルエステルを得る。次いで、(b)の化合物をKOH/メタノールの存在下で反応させて、(c)で表される含フッ素化合物のカリウム塩とする。この後、(c)の化合物を濃硫酸の存在下で反応させて(d)で表される含フッ素カルボン酸を得る。この後、該含フッ素カルボン酸を蒸留精製する。この反応工程では、複数の工程を経て含フッ素カルボン酸が製造される。
【0005】
特許文献1(特表2006-500423号公報)は、硫酸水溶液によりフルオロカルボン酸フルオライドを加水分解し、得られたフルオロカルボン酸およびフッ化水素を含む反応生成物をさらに硫酸水溶液で洗浄することにより、フルオロカルボン酸を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から、腐食性を有さず安全性に優れた材料を使用し且つコストが低減された、含フッ素カルボン酸の製造方法が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、腐食性を有さず安全性に優れた材料を使用し且つコストが低減された、含フッ素カルボン酸の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]無機金属塩の存在下で、下記一般式(1)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(2)で表される含フッ素カルボン酸を製造する、含フッ素カルボン酸の製造方法。
CaR2a+1-O-(CbR2b-O)k-CcR2c-COF (1)
CaR2a+1-O-(CbR2b-O)k-CcR2c-COOH (2)
(上記一般式(1)および(2)において、a、bおよびcはそれぞれ独立して1以上の整数であり、kは0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
[2]無機金属塩の存在下で、下記一般式(3)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸を製造する、含フッ素カルボン酸の製造方法。
FOC-CdR2d-(OCeR2e)l-OCfR2fO-(CgR2gO)m-ChR2h-COF (3)
HOOC-CdR2d-(OCeR2e)l-OCfR2fO-(CgR2gO)m-ChR2h-COOH (4)
(上記一般式(3)および(4)において、d、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して1以上の整数であり、lおよびmはそれぞれ独立して0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
[3]無機金属塩の存在下で、下記一般式(5)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(6)で表される含フッ素カルボン酸を製造する、含フッ素カルボン酸の製造方法。
FOC-(CR2)n-COF (5)
HOOC-(CR2)n-COOH (6)
(上記一般式(5)および(6)において、nは1以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
[4]前記Rの全てがフッ素原子である、上記[1]から[3]までの何れか1つに記載の含フッ素カルボン酸の製造方法。
[5]前記無機金属塩は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、およびGaからなる群から選択される少なくとも一種の金属の塩である、上記[1]から[4]までの何れか1つに記載の含フッ素カルボン酸の製造方法。
[6]前記無機金属塩は、Al2(SO4)3、NaCl、KCl、CaCl2、Na2SO4、MgSO4、K2SO4、およびK3PO4からなる群から選択される少なくとも一種の無機金属塩である、上記[1]から[5]までの何れか1つに記載の含フッ素カルボン酸の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
腐食性を有さず安全性に優れた原料を使用し且つコストが低減された、含フッ素カルボン酸の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態の含フッ素カルボン酸の製造方法では、無機金属塩の存在下で、下記一般式(1)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(2)で表される含フッ素カルボン酸を製造する。
CaR2a+1-O-(CbR2b-O)k-CcR2c-COF (1)
CaR2a+1-O-(CbR2b-O)k-CcR2c-COOH (2)
(上記一般式(1)および(2)において、a、bおよびcはそれぞれ独立して1以上の整数であり、kは0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【0011】
他の実施形態の含フッ素カルボン酸の製造方法では、無機金属塩の存在下で、下記一般式(3)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸を製造する。
FOC-CdR2d-(OCeR2e)l-OCfR2fO-(CgR2gO)m-ChR2h-COF (3)
HOOC-CdR2d-(OCeR2e)l-OCfR2fO-(CgR2gO)m-ChR2h-COOH (4)
(上記一般式(3)および(4)において、d、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して1以上の整数であり、lおよびmはそれぞれ独立して0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【0012】
他の実施形態の含フッ素カルボン酸の製造方法では、無機金属塩の存在下で、下記一般式(5)で表される含フッ素化合物を加水分解させることにより、下記一般式(6)で表される含フッ素カルボン酸を製造する。
FOC-(CR2)n-COF (5)
HOOC-(CR2)n-COOH (6)
(上記一般式(5)および(6)において、nは1以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【0013】
上記各実施形態の含フッ素カルボン酸の製造方法で使用する無機金属塩は、腐食性を有さず、安全性の高い材料である。また、含フッ素カルボン酸を製造後に、含フッ素カルボン酸を含む有機相と、反応副生成物である水素化物(典型的には、フッ化水素)を含む水相とに分離することができる。この際、水相中で、水素化物は無機金属塩との間で錯体を形成しているものと考えられる。この結果、含フッ素カルボン酸の純度を効率的に向上させることができる。また、水素化物を水相中に取り込んで効率的に除去できるため、硫酸などの強酸等を使用した場合と異なり、水素化物による反応器や配管などの含フッ素カルボン酸の製造設備の腐食を有効に防止することができる。一般的に無機金属塩は人体に悪影響を及ぼしにくいため、取り扱い性にも優れる。
【0014】
各実施形態の含フッ素カルボン酸の製造方法では、一段階で含フッ素カルボン酸を製造することができるため、工程数を大幅に削減して簡易な工程で含フッ素カルボン酸を製造することができる。硫酸などの腐食性・人体に影響を及ぼし得る材料を使用せず、反応後の溶液の廃水処理費用は、硫酸を使用した場合よりも安価である。この結果、コストを低減することができる。また、メタノールを使用する工程が存在しないため、得られた含フッ素カルボン酸が逆反応によりメチルエステルになるといったことがなく、高純度、高収率で含フッ素カルボン酸を得ることができる。
【0015】
無機金属塩としては特に限定されないが、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、およびGaからなる群から選択される少なくとも一種の金属の塩であることが好ましい。無機金属塩の形態としては、塩化物塩、硫酸化物塩、リン酸化物塩といった酸由来の塩を挙げることができる。安価で安全性の高い材料であることから、無機金属塩は硫酸アルミニウムAl2(SO4)3、NaCl、KCl、CaCl2、Na2SO4、MgSO4、K2SO4、およびK3PO4からなる群から選択される少なくとも一種の無機金属塩であることがより好ましい。
【0016】
より具体的には、一実施形態において、無機金属塩である硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3の存在下で、一般式(1)で表される含フッ素化合物を加水分解して、一般式(2)で表される含フッ素カルボン酸を得る反応は、下記式(B)のように表される。
【化2】
(上記式(B)において、a、bおよびcはそれぞれ独立して1以上の整数であり、kは0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)なお、上記式(B)では無機金属塩として硫酸アルミニウムを用いた例を示したが、硫酸アルミニウム以外の無機金属塩を用いた場合にも上記式(B)と同様の反応が起こる。
【0017】
他の実施形態において、無機金属塩である硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3の存在下で、一般式(3)で表される含フッ素化合物を加水分解して、一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸を得る反応は、下記式(C)のように表される。なお、下記式(C)では無機金属塩として硫酸アルミニウムを用いた例を示したが、硫酸アルミニウム以外の無機金属塩を用いた場合にも下記式(C)と同様の反応が起こる。
【化3】
(上記式(C)において、d、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して1以上の整数であり、lおよびmはそれぞれ独立して0以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【0018】
他の実施形態において、無機金属塩である硫酸アルミニウムAl
2(SO
4)
3の存在下で、一般式(5)で表される含フッ素化合物を加水分解して、一般式(6)で表される含フッ素カルボン酸を得る反応は、下記式(D)のように表される。なお、下記式(D)では無機金属塩として硫酸アルミニウムを用いた例を示したが、硫酸アルミニウム以外の無機金属塩を用いた場合にも下記式(D)と同様の反応が起こる。
【化4】
(上記式(D)において、nは1以上の整数であり、Rはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子であるが、Rの少なくとも一つはフッ素原子である。)
【0019】
上記式(B)~(D)で表される反応はそれぞれ、以下のようにして起こるものと考えられる。一般式(1)、(3)及び(5)の含フッ素化合物は、少なくとも一つのRが高い電気陰性度を有するフッ素原子(F)であるため電子吸引性となっており、カルボニル基(C=O)を構成するカルボニル炭素は電子が欠乏しやすい状態になっている。このカルボニル炭素に、無機金属塩(例えば、硫酸アルミニウムAl2(SO4)3)が作用することにより電子の分極が起こって、該カルボニル炭素の電子欠乏状態はより促進される。次いで、カルボニル炭素上で加水分解反応が起こることにより、該カルボニル炭素に結合していた基Rが脱離し、代わりにOH基が該カルボニル炭素に結合する。従って、上記式(B)~(D)で表される反応は、無機金属塩を触媒とする求核アシル置換反応の一種であると考えられる。
【0020】
無機金属塩(例えば、硫酸アルミニウムAl2(SO4)3)は上記式(B)~(D)で表される反応が起こる温度範囲では通常、固体状であるため、加水分解に用いる水の中に溶解させて無機金属塩の水溶液として用いる。この場合、無機金属塩の水溶液中で、上記式(B)~(D)の反応が起こる。また、上記式(B)~(D)の反応後には、含フッ素カルボン酸を含む有機相と、反応副生成物である水素化物(典型的には、フッ化水素)を含む水相とに分離することができる。この際、水相中で、水素化物は無機金属塩(例えば、硫酸アルミニウムAl2(SO4)3)との間で錯体を形成しているものと考えられる。この結果、含フッ素カルボン酸の純度を効率的に向上させることができる。水素化物(典型的にはフッ化水素)を水相中に取り込んで効率的に除去できるため、水素化物による反応器や配管などの含フッ素カルボン酸の製造設備の腐食を有効に防止することができる。また、無機金属塩(例えば、硫酸アルミニウムAl2(SO4)3)は非常に安価であるため、含フッ素カルボン酸の製造コストを効率的に低減することができる。上記のようにして得られた、含フッ素カルボン酸を含む有機相は、濃硫酸を使用するか、またはエバポレータ等で濃縮することにより脱水する。次いで、脱水後の有機相を単蒸留により精製して、所望の含フッ素カルボン酸を得る。このように各実施形態において、含フッ素カルボン酸を得る際にはメタノールを使用する工程が存在しないため、該含フッ素カルボン酸が逆反応によりメチルエステルになるといったことがなく、高純度、高収率で含フッ素カルボン酸を得ることができる。
【0021】
一般式(1)、(3)及び(5)の含フッ素化合物中のフッ素原子の数および位置は特に限定されないが、一般式(1)、(3)及び(5)の含フッ素化合物において、カルボニル炭素に結合しているRがフッ素原子であることが好ましく、全てのRがフッ素原子(F)であることがより好ましい。一般式(1)、(3)及び(5)の化合物中のカルボニル炭素に結合しているRがフッ素原子であることにより、該カルボニル炭素は電子欠乏状態となり易くなる。また、一般式(1)、(3)及び(5)の化合物中の全てのRがフッ素原子(F)であることにより、該カルボニル炭素はより電子欠乏状態となり易くなる。この結果、加水分解反応がより起こり易くなって上記式(B)~(D)で表される反応が促進される。従って、高い収率で含フッ素カルボン酸を得ることができる。一般式(1)、(3)及び(5)の含フッ素化合物中の全てのRがフッ素原子(F)である場合、それぞれ対応して得られる一般式(2)、(4)及び(6)の含フッ素カルボン酸中の全てのRもフッ素原子となる。
【0022】
一般式(1)および(2)の化合物において、a=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。b=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。c=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。k=0~100であることが好ましく、0~50であることがより好ましく、0~20であることがさらに好ましい。a、b、cおよびkが上記範囲内では、いずれも加水分解反応を進行させることができる。一般式(1)および(2)の化合物を構成するCaR2a+1、CbR2b-O、CcR2cの部分は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。上記式(B)の加水分解反応を行う温度は、10~100℃であることが好ましく、10~60℃であることがより好ましく、20~40℃であることがさらに好ましい。加水分解反応を行う温度が上記範囲内であることにより、無機金属塩の析出、一般式(1)の化合物の揮発を防ぐことができる。上記式(B)の加水分解反応を行う時間は、60分以上が好ましく、より長時間の反応がさらに好ましい。加水分解反応を行う時間が上記であることにより、目的物から水素化物(フッ化水素)を除去する効果を高めることができる。また、上記式(B)の加水分解反応に用いる無機金属塩の水溶液中にはさらにアセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤、CELEFIN(登録商標) 1233Z、アサヒクリン AE-3000、バートレル(登録商標) XF等のフッ素系溶剤等を添加してもよい。
【0023】
一般式(1)で表される含フッ素化合物は、下記一般式(1a)で表される含フッ素化合物であるのが好ましい。また、一般式(2)で表される含フッ素カルボン酸は、一般式(2a)で表される含フッ素カルボン酸であるのが好ましい。
【化5】
(上記一般式(1a)および(2a)において、o=0~100である。)
上記一般式(1a)で表される化合物は好適な長さの鎖長と側鎖の分岐性を有するため、カルボニル炭素をより有効に電子欠乏状態とすることができる。この結果、一般式(2a)で表される含フッ素カルボン酸をより高い収率で効率的に製造することができる。
【0024】
一般式(3)および(4)の化合物において、d=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。e=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。f=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。g=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。h=1~12であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。l=1~50であることが好ましく、1~30であることがより好ましく、1~20であることがさらに好ましい。m=1~50であることが好ましく、1~30であることがより好ましく、1~20であることがさらに好ましい。d、e、f、g、h、lおよびmが上記範囲内であることにより、一般式(3)の含フッ素化合物の加水分解反応の反応性を高めることができる。一般式(3)および(4)の化合物を構成するCdR2d、OCeR2e、OCfR2fO、CgR2gO、ChR2hの部分は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。上記式(C)の加水分解反応を行う温度は、10~100℃であることが好ましく、10~60℃であることがより好ましく、20~40℃であることがさらに好ましい。加水分解反応を行う温度が上記範囲内であることにより、無機金属塩の析出、一般式(3)の化合物の揮発を防ぐことができる。上記式(C)の加水分解反応を行う時間は、60分以上が好ましく、より長時間の反応がさらに好ましい。加水分解反応を行う時間が上記であることにより、目的物から水素化物(フッ化水素)を除去する効果を高めることができる。また、上記式(C)の加水分解反応に用いる無機金属塩の水溶液中にはさらにアセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤、CELEFIN(登録商標) 1233Z、アサヒクリン AE-3000、バートレル(登録商標) XF等のフッ素系溶剤等を添加してもよい。
【0025】
一般式(3)で表される含フッ素化合物は、下記一般式(3a1)で表される含フッ素化合物であるのが好ましい。また、一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸は、一般式(4a1)で表される含フッ素カルボン酸であるのが好ましい。
FOC-C
2R
4-OC
2R
4-OC
3R
6O-C
2R
4-COF (3a1)
HOOC-C
2R
4-OC
2R
4-OC
3R
6O-C
2R
4-COOH (4a1)
また、一般式(3)で表される含フッ素化合物は、下記一般式(3a2)で表される含フッ素化合物であるのが好ましい。さらに、一般式(4)で表される含フッ素カルボン酸は、一般式(4a2)で表される含フッ素カルボン酸であるのが好ましい。
【化6】
(p=8~9、q=36~40)
上記一般式(3a1)および(3a2)で表される化合物ではカルボニル炭素をより有効に電子欠乏状態とすることができる。この結果、一般式(4a1)および(4a2)で表される含フッ素カルボン酸をより高い収率で効率的に製造することができる。
【0026】
一般式(5)および(6)の化合物において、n=1~50であることが好ましく、1~30であることがより好ましく、1~20であることがさらに好ましい。nが上記範囲内であることにより、一般式(5)の含フッ素化合物の加水分解反応の反応性を高めることができる。一般式(5)および(6)の化合物を構成するCR2の部分は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。上記式(D)の加水分解反応を行う温度は、10~100℃であることが好ましく、10~60℃であることがより好ましく、20~40℃であることがさらに好ましい。加水分解反応を行う温度が上記範囲内であることにより、無機金属塩の析出、一般式(5)の化合物の揮発を防ぐことができる。上記式(D)の加水分解反応を行う時間は、60分以上が好ましく、より長時間の反応がさらに好ましい。加水分解反応を行う時間が上記であることにより、目的物から水素化物(フッ化水素)を除去する効果を高めることができる。また、上記式(D)の加水分解反応に用いる無機金属塩の水溶液中にはさらにアセトン、メチルエチルケトン等の有機溶剤、CELEFIN(登録商標) 1233Z、アサヒクリン AE-3000、バートレル(登録商標) XF等のフッ素系溶剤、等を添加してもよい。
【0027】
本発明の製造方法で製造された含フッ素カルボン酸(フルオロカルボン酸;カルボン酸フルオライド)は様々な産業分野において有用であり、その用途は特に限定されない。例えば、該含フッ素カルボン酸は、界面活性剤、乳化剤、重合助剤等として使用することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例0029】
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
1000mlの反応器に、27質量%の硫酸アルミニウム水溶液649g(0.512mol)を添加した。該硫酸アルミニウム水溶液を水冷下で撹拌しながら、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロパノイルフルオリド340g(1.02mol)を滴下して加水分解反応を行わせた。得られた溶液を室温で1時間、撹拌した後に分相させ、下相(有機相)を分取した。分取した下相(有機相)に、フッ素イオン除去のために再度、27質量%の硫酸アルミニウム水溶液260g(0.205mol)を添加した後、撹拌、洗浄して分相させた。この後、下相の有機相374g(フッ素イオン濃度20ppm)を分取した。次に、分取した有機相に、氷冷下で98質量%の濃硫酸を添加して脱水した。濃硫酸の滴下後の有機相を室温に戻して1時間、撹拌した後、分相させて上相の有機相318gを得た。この有機相を減圧度0.2kPa、内温60~70℃で単蒸留し、留分として下記式(E)で表される2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロパン酸307g(純度99.1質量%、収率90.4%)を得た。最終的に得られた生成物の分析結果を以下に示す。
19F-NMR(300MHz、C
6F
6):ppm -78.50、-78.96(c)、-80.42(e)、-81.44(a)、-84.91、-85.45(c)、-128.74(b)、-130.40(d)
1H-NMR(300MHz、アセトン-d6):ppm 12.98(f)
【化7】
【0031】
(実施例2)
2000mlの反応器に、27質量%の硫酸アルミニウム水溶液864g(0.682mol)を添加した。該硫酸アルミニウム水溶液を水冷下で撹拌しながら、2-{1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシポリ[1-オキシ(トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-1,2-エタンジイル)]}テトラフルオロプロパノイルフルオリド(n=4~12)500gを滴下して加水分解反応を行わせた。得られた溶液を室温で1時間、撹拌した後に分相させ、494gの下相(有機相)を分取した。この有機相を減圧度0.2kPa、温水浴60℃の条件で3時間、エバポレータにより濃縮した。この後、得られた濃縮物に析出物が存在する場合には加圧濾過を行い、濃縮物487gを得た。次いで、得られた濃縮物を減圧度1Pa、内温110~130℃で薄膜蒸留を行い、留分として下記式(F)で表される2-{1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシポリ[1-オキシ(トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-1,2-エタンジイル)]}テトラフルオロプロパン酸400gを得た。最終的に得られた生成物の分析結果を以下に示す。
19F-NMR(300MHz、C
6F
6):ppm -77.24~-83.55(a、c、e、f、h)、-128.54(b)、-130.18(g)、-143.25(d)
1H-NMR(300MHz、TMS):ppm 11.91(i)
【化8】
【0032】
(実施例3)
20Lの反応器に、27質量%の硫酸アルミニウム水溶液14176g(11.2mol)を添加した。該硫酸アルミニウム水溶液を水冷下で撹拌しながら、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロパノイルフルオリド7000g(13.6mol)を滴下して加水分解反応を行わせた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した後に30分間、分相させ、下相(有機相)7320gを分取した。次に、分取した有機相6600gを減圧度1.0kPa、100~120℃で理論段数10段の精密蒸留を行い主留分として、下記式(G)で表される2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロピオン酸5355gを得た(純度99GC%以上,収率87.5%)。最終的に得られた生成物の分析結果を以下に示す。
19F-NMR(300MHz、C
6F
6):ppm -77.60~-84.19(a,c,e,f,h)、-128.54(b)、-130.33(g)、-144.24(d)
1H-NMR(300MHz、TMS):ppm 13.10~11.50(i)
【化9】
【0033】
(実施例4)
50mLのガラス反応器に27質量%の硫酸アルミニウム水溶液19.3g(0.030mol)を添加した。該硫酸アルミニウム水溶液を撹拌しながら2-[2-[1-[ジフルオロ[1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(フルオロカルボキシ)エトキシ]メチル]-1,2,2,2-テトラフルオロエトキシ]-1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ]-2,3,3,3-テトラフルオロプロパノイルフルオリドを9.0g(0.015mol)滴下して加水分解反応を行った。得られた溶液を室温で2時間、撹拌した後に30分間、分相させ、下相(有機相)を分取して下記式(H)で表される2-[2-[2-(カルボキシジフルオロメトキシ)-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロポキシ]-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロポキシ]-2,3,3,3-テトラフルオロプロピオン酸9.6gを得た。最終的に得られた生成物の分析結果を以下に示す。
19F-NMR(400Hz,C
6F
6):ppm -76.26~-89.64(a,c,c’,e,f) -129.60(b) -143.92(d)
【化10】
【0034】
(参考例1)
市水200gを入れた複数の500mlビーカーを用意し、各々のビーカーの市水中に無機金属塩としてNaCl、KCl、CaCl2、Na2SO4、MgSO4、Al2(SO4)3、K2SO4、K3PO4をそれぞれ飽和となるまで溶解させた。次いで、各々のビーカーの市水中に3,3,3-トリフルオロピルビン酸メチル200g(フッ化水素濃度86005ppm)を滴下し、撹拌後静置した。Al2(SO4)3を添加したビーカー中の市水のみを分相した。下相(有機相)を分取して該有機層中のフッ化水素濃度を測定したところ695ppmまで減少した。
【0035】
(実施例5)
30mlのガラス反応器に27質量%の硫酸アルミニウム8.0gを添加し、該硫酸アルミニウム水溶液を撹拌しながらα,ω-ジフルオロエタノイルフルオリドポリ(ジフルオロオキシメチレン-co-テトラフルオロオキシエチレン)を4.5g滴下して加水分解反応を行った。得られた溶液を1時間撹拌した後に30分間、分相させ、下相(有機相)を分取して下記式(I)で表されるα,ω-ジフルオロエタン酸ポリ(ジフルオロオキシメチレン-co-テトラフルオロオキシエチレン)4.8gを得た。最終的に得られた生成物の分析結果を以下に示す。
19F-NMR(400Hz,C
6F
6):ppm -52.63~-57.18(b,b’) -79.44~-81.22(a,a’) -87.92~-91.97(c)
【化11】
(p=8~9、q=36~40)
【0036】
(比較例1)
20Lの反応器に、メタノール6.58kgを添加し、氷浴下で撹拌しながら、該メタノールに2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロパノイルフルオリド12.39kgを滴下して、反応を行わせた。次いで、得られた溶液をpH6以上になるまで水洗し、Mg2SO4による脱水後に加圧濾過することにより、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸メチルエステル11.86kgを得た(収率92.4%)。この後、1000mlの反応器に、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸メチルエステル600.40gを添加した後、撹拌下でさらに27質量%の水酸化カリウムを含むメタノール溶液351.91gを滴下させた。次いで、溶液中のメタノール含量が1質量%以下になるまで、エバポレータにより溶液の濃縮を行い2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸カリウム642.45gを得た(粗収率100%)。この後、1000mlの反応器内に水719.53gおよび2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸カリウム915.75gを添加し、撹拌下でさらに硫酸394.9gを滴下させた。次いで、得られた溶液を静置した後、下相を回収した。次に、理論段数3段で下相の精密蒸留を行い、主留分として2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸544gを得た(収率66.2%)。全工程を通した2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸(純度99質量%超)の収率は61.2%であった。
【0037】
(比較例2)
反応器に、メタノール133.1kgを添加し、冷却下で撹拌しながら、該メタノールに2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロパノイルフルオリド605.1kgを分添して、加水分解を行わせた。分添終了後2時間以上のエージング、1時間静置し、下相を回収した。次いで、得られた下相を5質量%の重曹水157.0kgで中和し、pH6になったところで有機相を回収した。さらに有機相に市水400kgを加え、30分以上撹拌、1時間以上静置し、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロピオン酸メチルエステルを598.9kg得た。この後、反応器に2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3,-ヘキサフルオロ2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロピオン酸メチルエステル150.5kgを添加した後、撹拌下でさらに30質量%の水酸化カリウムを含むメタノール溶液61.5kgを滴下させた。次いで、減圧、加温によりメタノールを除去し、溶液が固化するまで溶液の濃縮を行った。この後、固形物に水83kgを加え、撹拌下でさらに濃硫酸43.6kgを分添し、50℃に加温し、1時間以上エージング、30分以上静置して下相を回収した。回収した下相を反応器に仕込み濃硫酸8.0kgを加え、15分撹拌、30分静置し、下相を回収し、粗3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3,-ヘキサフルオロ2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロピオン酸150.5kgを得た。次に、別バッチで得た粗3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3,-ヘキサフルオロ2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロピオン酸と合わせて計300.3kgを蒸留塔に仕込み、減圧、昇温によって低沸点成分を留去後、減圧度0.4kPa、66~72℃で主留を回収し、3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3,-ヘキサフルオロ2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]プロピオン酸193.6kg(純度98GC%以上)を得た。