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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070626
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】水中油型日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20220506BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220506BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q17/04
A61K8/49
A61K8/55
A61K8/894
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/37
A61K8/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179792
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】591230619
【氏名又は名称】株式会社ナリス化粧品
(72)【発明者】
【氏名】前田 晶子
(72)【発明者】
【氏名】河内 佑介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健成
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB242
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC552
4C083AC662
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD222
4C083AD571
4C083AD572
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い紫外線防御効果を有しながらしっとり感があり、きしみやべたつきの少ない使用感に優れる水中油型日焼け止め化粧料の提供。
【解決手段】(A)疎水化処理金属酸化物及び/又は紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上;(B)ニコチン酸アミド1~10質量%;(C)水添レシチン;並びに(D)直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体;を含有する水中油型日焼け止め化粧料。前記化粧料は、きしみやべたつきが少なく、さらにしっとり感を両立した良好な使用感を実現するとともに、良好な紫外線防御効果を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D)
(A):(A1)疎水化処理金属酸化物及び/又は(A2)紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上
(B):ニコチン酸アミド 1~10質量%
(C):水添レシチン
(D):直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体
を含む水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項2】
成分(A1)の疎水化処理がイソステアリン酸処理、ハイドロゲンジメチコン処理、及びトリエトキシカプリリルシラン処理から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型日焼け止め化粧料用に関し、更に詳細には、きしみやべたつきが少ないながらもしっとり感がある良好な使用感を実現するとともに、良好な紫外線防御効果を有する水中油型日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線の害から皮膚を守ることはスキンケアにおける重要な課題のひとつである。紫外線が皮膚に与える悪影響を最小限に抑えるために様々な検討がなされている。例えば紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合した塗膜で皮膚を覆うことによって紫外線の害から皮膚を守る方法が報告されている(非特許文献1)。
【0003】
この手法を応用し、昨今では様々な日焼け止め化粧料が開発・販売されている。中でも塗布しやすさ等の観点から乳化化粧料が多く開発されており、昨今ではみずみずしい感触が使いやすいことから水中油型乳化化粧料が求められている。しかし、水中油型乳化化粧料はみずみずしい感触が好まれる反面、高いSPFと良好な使用感を両立することは難しい。
【0004】
また皮膚は加齢や紫外線等の要因により、しみや色素沈着、シワ、たるみ等を生じる。これらのうち、特にシワやたるみは顔の印象を大きく変え、また化粧によるトラブルカバーも難しい。そこで昨今シワやたるみを予防・改善するために多くの薬剤が提案されている。このような中でも、ニコチン酸アミドはビタミン類であって安全性が高く、皮膚老化防止効果を有することが知られている(特許文献1)。
【0005】
そこで紫外線防御剤によって紫外線から皮膚を守るだけではなく、同時にニコチン酸アミドによる皮膚老化防止効果も期待し、ニコチン酸アミドを配合した日焼け止め化粧料が求められている。
【0006】
しかし、ニコチン酸アミドを多量に配合するとべたつき等の望ましくない使用感を付与することが知られている(特許文献2)。このべたつき感は不快な感触であるだけではなく、その上から化粧を施す場合には、化粧の仕上がりや持続性にも影響するため改善の必要がある。
【0007】
これらの課題については例えば特許文献3ではみずみずしい使用感でべたつき感がない油中水系日焼け止め化粧料が報告されている。しかし、あくまでも油中水系の中ではみずみずしい感触だが、到底水中油型乳化化粧料には程遠い感触であり、感触の良い油を高配合しにくい水中油型乳化化粧料ではよりべたつきに対し課題が生じやすい。従って、水中油型乳化化粧料における本願課題を解決する手法でない。
【0008】
水中油型乳化化粧料にてべたつきを低減する一般的な手法としては紛体等の感触改良剤を用いることが知られている。しかし、紛体などを高配合するとべたつきは抑えられるが粉特有の乾燥感が生じ、しっとり感を実感しにくい傾向がある。べたつきを抑えつつ、適度なしっとり感も付与することは非常に困難な課題である。
【0009】
さらに、特許文献4にはリン脂質とニコチン酸アミドを併用することでべたつきの無さやハリ感が良くなるといった皮膚外用剤が報告されている。しかし、日焼け止め化粧料の場合、ニコチン酸アミドだけではなく紫外線防御剤由来のべたつき感やきしみ感も同時に生じるため、双方相まって感触面の課題はさらに大きくなる。従って、特許文献4のようにリン脂質を加えることだけで本願課題が全て改善することは困難である。
【0010】
以上のことから水中油型乳化化粧料でありながら、きしみやべたつきが少なく、さらにしっとり感を両立した良好な使用感を実現するとともに、良好な紫外線防御効果を有する日焼け止め化粧料の開発は急務であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「新化粧品学」第2版、光井武夫編、2001年、南山堂発行、第497~504頁
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10-130135号公報
【特許文献2】特表2003-502435号公報
【特許文献3】特表2004-521959号公報
【特許文献4】特開2019-131552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、きしみやべたつきが少なく、さらにしっとり感を両立した良好な使用感を実現するとともに、良好な紫外線防御効果を有する水中油型日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明者が、鋭意研究した結果、
次の成分(A)~(D)
(A):(A1)疎水化処理金属酸化物及び/又は(A2)紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上
(B):ニコチン酸アミド 1~10質量%
(C):水添レシチン
(D):直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体
を含有する水中油型日焼け止め化粧料を提供することで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、きしみやべたつきが少なく、さらにしっとり感を両立した良好な使用感を実現するとともに、良好な紫外線防御効果を有する水中油型日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について更に詳しく説明する。なお、特段注釈のない限り、以下で成分の配合量を「%」で表示する場合は質量%を意味する。
【0017】
本発明に用いる(A)紫外線防御剤は、紫外線散乱剤(A1)および/又は紫外線吸収剤(A2)が該当する。
【0018】
本発明に用いる(A1)疎水化処理金属酸化物は紫外線散乱剤として用いられるものであれば特に制限がなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。例えば好ましい金属酸化物として酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムなどが挙げられる。中でも紫外線防御能の観点から、走査型電子顕微鏡を用いて、任意の視野の粒子10個について、粒子径を測定した平均一次粒子径が100nm以下の微粒子を用いることが好ましい。また、分散性や剤の安定性の観点から、疎水化処理金属酸化物が好適に用いられる。疎水化処理の方法は特に制限無く、被覆処理、焼付処理、およびシランカップリング剤処理等の一般的に用いられている処理方法等が挙げられる。疎水化処理剤は特に限定されず、金属石鹸、シリコーン、脂肪酸、リン脂質、フッ素化合物、シリル化剤、およびアシルアミノ酸などが好適に使用できる。特にイソステアリン酸処理及びシリコーン処理、トリエトキシカプリリルシラン処理が、紫外線防御効果、きしみ感の低減、しっとり感などの観点から好適である。シリコーン処理に用いるシリコーンとしては特に限定されないが、メチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコンなどが挙げられる。
【0019】
本発明において(A1)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、化粧料全量に対し5.0~30質量%、好ましくは8.0~27質量%の範囲で用いられる。この範囲であれば十分な紫外線防御効果が得られる。
【0020】
(A1)は、これらのうち1種を単独で用いても、又はこれらを混合して用いても差支えない。
【0021】
本発明に用いる(A2)紫外線吸収剤は、特に制限がなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。好ましい紫外線吸収剤としては、オクチルメトキシシンナメート(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、オクトクリレン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン-3、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、サリチル酸エチルへキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンのような紫外線吸収剤が該当する。
【0022】
本発明において(A2)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、化粧料全量に対し0.1質量%~20質量%、好ましくは1質量%~16質量%の範囲で用いられる。この範囲であれば十分な紫外線防御効果が得られる。
【0023】
(A2)紫外線吸収剤は、これらのうち1種を単独で用いても、又はこれらを併用しても差支えない。
【0024】
(A1)紫外線散乱剤と(A2)紫外線吸収剤は、それぞれ単独で用いても、又はこれらを併用しても差し支えない。
【0025】
本発明に用いる(B) ニコチン酸アミドは、ニコチン酸(ビタミンB3/ナイアシン)のアミドである。ニコチン酸アミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである公知の物質であり、天然物(米ぬかなど)から抽出されたり、あるいは公知の方法によって合成することができる。具体的には、第15改正日本薬局方2008に収載されているものを用いることが出来る。
【0026】
(B) ニコチン酸アミドは適量配合することで適度なしっとり感を与える反面、高濃度に配合することでべたつきが強くなり使用感を悪化させる可能性がある。しかし成分(C)及び成分(D)を適量併用することによりべたつきが改善する。成分(B)の配合量としては、化粧料全量に対し、1質量%~10質量%、好ましくは3質量%~8質量%の範囲で用いられる。この範囲ではきしみ感の低減やしっとり感がより優れている。
【0027】
本発明に用いる成分(C)水添レシチンは、特に制限はないが例えば大豆や卵黄から抽出されたリン脂質を水素添加したものが挙げられる。抽出方法や性状に制限はなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。これら成分を配合することによりきしみ感やべたつきを低減することができ、紫外線防御効果も高めることができる。特に二鎖型構造を有する水添レシチンが好ましい。
【0028】
成分(C)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、化粧料全量に対し0.05質量%~2質量%、好ましくは0.1質量%~1.5質量%の範囲で用いられる。この範囲ではきしみ感やべたつきの低減や紫外線防御効果、しっとり感がより優れている。
【0029】
本発明に用いる成分(D)直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体の性状は、常温で流動性のある液状から軟質ゴム状である。成分(D)直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体は、ABN型ポリエーテル変性シリコーン(ポリエーテルとシリコーンの直鎖状のブロック共重合体)の事を指す。ここで、ポリエーテルはポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン鎖が挙げられる。 成分(D)は、シリコーン骨格を有することから、肌に滑り性を与えべたつき感ときしみ感を低減する性質がある。具体的には、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体として知られる成分が含まれ、中でも特に化粧品表示名「ポリシリコーン-13」として知られる、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体が最も好適である。市販品の例としては、FZ-2222、FZ-2233、FZ-2250が挙げられる。
【0030】
成分(D)の配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、化粧料全量に対し0.05~1.5質量%、好ましくは0.1%~1.0%質量%の範囲で用いられる。この範囲ではきしみ感やべたつきの低減や紫外線防御効果、しっとり感がより優れている。
【0031】
成分(D)直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体は、これらのうち1種を単独で用いても、又はこれらを混合して用いても差支えない。
【0032】
本発明では、通常化粧料に用いられる油性成分を配合できる。本発明で用いられる油性成分はエステル油、炭化水素油、植物油、油脂類、シリコーン油など特に限定されない。具体的には、例えば、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、ワセリン、軽質流動パラフィン、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油:セチルジメチルブチルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、グリセロールモノオレイルエーテル等のエーテル油:トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリルなどのトリアシルグリセロール:ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、エチルヘキサン酸セチル、オリーブ油等の脂肪酸エステル油:セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール:ジメチコン、シクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、カプリリルメチコンなどの有機変性シリコーンが挙げられる。
【0033】
本発明における油性成分の配合割合は、その種類や目的に応じて適宜選択することができるが、通常、化粧料全量に対し2~50質量%、好ましくは5~45質量%の範囲で用いられ、この範囲では乳化性や使用感に優れている。また油性成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0034】
本発明の化粧料には、上記の必須成分のほかに、必要に応じ一般的に化粧料などに用いられる成分を配合することも可能である。例えば、パール剤、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、抗炎症剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物や成分B以外のビタミン類等の添加物を適時配合することができる。これら成分を含有させる場合の配合割合は、その種類や目的に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【実施例0035】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0036】
使用感に関しては下記3つの項目にて評価を行った。
【0037】
<官能特性評価試験A:きしみ感>
官能特性評価試験は、評価試料を顔面に塗布した時の感触(きしみ感)について、10名の専門判定員が以下の評価基準に従って評価点をつけ、その平均点に従って、4.0以上を◎、3.0以上4.0未満を○、2.0以上3.0未満を△、2.0未満を×とした。
【0038】
(評価基準)
5:全くきしまず、非常に好ましい。
4:きしまず、好ましい。
3:どちらともいえない。
2:きしみを感じ、好ましくない。
1:非常にきしみ、好ましくない。
【0039】
<官能特性評価試験B:べたつき感>
官能特性評価試験は、評価試料を顔面に塗布した時の感触(べたつき感)について、10名の専門判定員が以下の評価基準に従って評価点をつけ、その平均点に従って、4.0以上を◎、3.0以上4.0未満を○、2.0以上3.0未満を△、2.0未満を×とした。
【0040】
(評価基準)
5:全くべたつかず、非常に好ましい。
4:べたつかず、好ましい。
3:どちらともいえない。
2:べたつきを感じ、好ましくない。
1:非常にべたつき、好ましくない。
【0041】
<官能特性評価試験C:しっとり感>
官能特性評価試験は、評価試料を顔面に塗布した時の感触(しっとり感)について、10名の専門判定員が以下の評価基準に従って評価点をつけ、その平均点に従って、4.0以上を◎、3.0以上4.0未満を○、2.0以上3.0未満を△、2.0未満を×とした。
【0042】
(評価基準)
5:しっとり感が非常に多く、好ましい。
4:しっとり感が多く、好ましい。
3:どちらともいえない。
2:しっとり感が少なく、好ましくない。
1:しっとり感が非常に少なく、好ましくない。
【0043】
<紫外線防御効果「SPF」評価方法>
基板HELIOPLATE HD6(Helio Screen社製)に対し、各例の化粧料を1.3mg/cmになるように均一に塗布し、室温にて30分乾燥させた。SPFアナライザーUV-2000S(Labsphere社製)を用いて各例の塗布面から9箇所を測定し、SPFの平均値を算出した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
実施例からもわかるように、本発明の成分を配合した実施例1~12は優れた使用感とSPF性能を有していることがわかる。具体的に説明すると、実施例1と比較例1と比較すると、成分(B)がないことできしみ感やしっとり感の評価が悪いことがわかる。比較例4は異なるビタミン誘導体を用いた例であるが、きしみ感やしっとり感の評価が悪い。比較例5は成分(C)同様、二鎖型構造をもつ界面活性剤であるが、きしみ感やべたつき感の評価が悪く、さらにSPF値も悪い結果であった。比較例6では二鎖型構造をもつリン脂質である成分(C)とは異なる、一鎖型構造をもつリン脂質、リゾレシチンを配合した例であり、被膜感が少なくべたつき感やきしみ感を改善できなかった。比較例7は成分(D)とは異なるペンダント型ポリエーテル変性ポリシロキサン共重合体を配合した例であり、被膜感が少なくべたつき感やきしみ感を改善できなかったが、それに対し実施例1では成分(D)直鎖共重合型ポリエーテル・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体は、肌に滑り性を与えべたつき感やきしみ感の低減に寄与した。また、本願構成であれば、実施例1、8、9、10、11,12にあるように表面処理の異なる紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を併用しても効果は十分発揮できていることがわかる。また、実施例1、8、9、10と比較例13を比較するとSPF値やきしみ・べたつき・しっとり感に顕著な差が確認できた事から紫外線散乱剤の表面を疎水化処理する事が重要である事がわかる。表面処理の種類を比較した実施例10と実施例1、8、9の結果を見ると、表面処理が金属石鹸の場合よりも、表面処理がイソステアリン酸、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシカプリリルシランの方がSPF値やきしみ感が良好であった。
これらの結果から本願構成であれば、高いSPFに加え、きしみ感やべたつきがなく、しっとり感が実感できる日焼け止め化粧料を提供することができる。
【0047】
常法にて、各処方の日焼け止め化粧料及び日焼け止め効果を有するファンデーション化粧料を作製した。いずれの処方においても本発明の効果を奏することが確認された。
【0048】
(1)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン
・メチルポリシロキサン共重合体 0.15
ステアリン酸処理酸化亜鉛 15
ポリヒドロキシステアリン酸 0.3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
イソノナン酸イソトリデシル 8
ステアリン酸スクロース 0.5
N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.2
水添レシチン 0.3
ニコチン酸アミド 5
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム 1.0
共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0049】
(2)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン
・メチルポリシロキサン共重合体 0.2
ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛 10
イソステアリン酸処理酸化チタン 10
ポリヒドロキシステアリン酸 0.3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
イソノナン酸イソトリデシル 8
ステアリン酸スクロース 0.5
N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.2
ニコチン酸アミド 3
水添レシチン 0.3
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム 1.0
共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0050】
(3)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン
・メチルポリシロキサン共重合体 0.2
イソステアリン酸処理酸化亜鉛 10
イソステアリン酸処理酸化チタン 1
ポリヒドロキシステアリン酸 0.3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
イソノナン酸イソトリデシル 4
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 4
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1
エチルヘキシルトリアゾン 0.5
オクトクリレン 2
ステアリン酸スクロース 0.5
N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.2
ニコチン酸アミド 10
水添レシチン 0.3
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー 1.0
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0051】
(4)ファンデーション化粧料
配合成分 配合量(%)
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン
・メチルポリシロキサン共重合体 0.15
トリエトキシカプリリルシラン処理酸化亜鉛 10
ハイドロゲンジメチコン処理酸化チタン 10
ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
酸化鉄 0.3
メチルフェニルポリシロキサン 2
ジメチコン 1
イソノナン酸イソトリデシル 8
ステアリン酸スクロース 0.7
N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.2
ニコチン酸アミド 5
水添レシチン 0.3
1,3-ブチレングリコール 10
キサンタンガム 0.1
アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム 1.5
共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0052】
(5)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン
・メチルポリシロキサン共重合体 0.15
トリエトキシカプリリルシラン処理酸化亜鉛 20
トリエトキシカプリリルシラン処理酸化チタン 10
ポリヒドロキシステアリン酸 0.4
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 3
エチルヘキシルトリアゾン 3
オクトクリレン 6
メチルフェニルポリシロキサン 2
ステアリン酸スクロース 0.7
N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.6
ニコチン酸アミド 3
水添レシチン 0.7
1,3-ブチレングリコール 6
キサンタンガム 0.1
アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム 1.5
共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余
【0053】
(6)日焼け止め化粧料
配合成分 配合量(%)
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ブチレン
・メチルポリシロキサン共重合体 0.15
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 3
エチルヘキシルトリアゾン 2
オクトクリレン 6
メチルフェニルポリシロキサン 2
ステアリン酸スクロース 0.5
N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.4
ニコチン酸アミド 5
水添レシチン 0.7
1,3-ブチレングリコール 8
キサンタンガム 0.1
アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム 1.5
共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80
防腐剤 適量
安定化剤 適量
精製水 残余