(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022070642
(43)【公開日】2022-05-13
(54)【発明の名称】電力装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/02 20060101AFI20220506BHJP
H02B 1/30 20060101ALI20220506BHJP
H02B 5/00 20060101ALI20220506BHJP
A47C 11/00 20060101ALI20220506BHJP
【FI】
H01F27/02 Z
H02B1/30 Z
H02B5/00 Y
A47C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020179814
(22)【出願日】2020-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】520307713
【氏名又は名称】関西電力送配電株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227722
【氏名又は名称】株式会社日本ネットワークサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】高石 聡
(72)【発明者】
【氏名】平野 正行
(72)【発明者】
【氏名】湧谷 栄之
(72)【発明者】
【氏名】松井 昌和
(72)【発明者】
【氏名】萬本 英人
【テーマコード(参考)】
3B095
5E059
5G016
【Fターム(参考)】
3B095AC02
5E059BB02
5E059BB12
5E059BB15
5G016AA04
5G016CB01
5G016EA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】腰掛及び情報伝達媒体を共に設けることができる電力装置を提供する。
【解決手段】地上に設置され、電力供給に係る機器を収容する筐体1を備える電力装置であって、筐体1は、地面からの高さが異なる第1部10及び第2部20を有する。第1部10は、情報を表示する表示体が取り付けられる表示体取付部13を第1天板4上に有する。第1部10よりも低い第2部20は、座体が取り付けられる座体取付部23を第2天板5上に有する。機器は、変圧器40を含み、第1部10には、変圧器の高圧側に接続される機器を含む高圧部30が収容され、第2部20には、変圧器の低圧側に接続される機器を含む低圧部50が収容されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設置され、電力供給に係る機器を収容する筐体を備える電力装置であって、
前記筐体は地面からの高さが異なる第1部及び第2部を有し、
前記第1部は、情報を表示する表示体が取り付けられる表示体取付部を天板上に有し、
前記第1部よりも低い前記第2部は、座体が取り付けられる座体取付部を前記天板上に有する電力装置。
【請求項2】
前記機器は変圧器を含み、
前記第1部には、前記変圧器の高圧側に接続される機器を含む高圧部が収容され、
前記第2部には、前記変圧器の低圧側に接続される機器を含む低圧部が収容されている請求項1に記載の電力装置。
【請求項3】
前記低圧部からの電力を外部装置に送給するための電力供給部が前記天板上に設けられている請求項2に記載の電力装置。
【請求項4】
前記表示体取付部は、前記筐体の前記天板に突設され、前記表示体を取り付けるための取付孔を有する取付具を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の電力装置。
【請求項5】
前記座体取付部は、前記筐体の前記天板に突設され、前記座体を取り付けるための取付突起を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給に係る機器を収容する筐体を備える電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配電線等の電線類を地中化することによって電柱を減らしており、これに伴って、変圧器、開閉器、低圧分岐装置等の電力供給に係る機器を筐体に収容した電力装置が地上に設置されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、地上に設置され、変圧器及び開閉器等を収容する電力装置の格納箱体上に、腰掛、プランタ、情報表示盤等の付加設備を設置することによって、該付加設備に見立てることで、前記電力装置と周囲との調和を図ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、電力装置の格納箱体上に腰掛を設置する場合と、情報表示盤(情報伝達媒体)を設置する場合とを対比してみると、腰掛の場合は通行人が膝を曲げて腰を掛けられる程度に高さを低くする必要があるのに対し、情報表示盤の場合は通行人が腰を曲げずに一見して情報表示盤の内容を視認できる程度に高さを高くする必要がある。
【0006】
してみれば、腰掛を設置する場合と、情報表示盤を設置する場合との間には相反する高さ要件が存在し、一つの格納箱に腰掛及び情報表示盤を共に設置することは困難である。しかしながら、特許文献1においては、一つの格納箱に腰掛及び情報表示盤を共に設置することについては考慮されておらず、斯かる問題を解決できない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電力供給に係る機器を収容する筐体に腰掛及び情報伝達媒体を共に設けることができる電力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力装置は、地上に設置され、電力供給に係る機器を収容する筐体を備える電力装置であって、前記筐体は地面からの高さが異なる第1部及び第2部を有し、前記第1部は、情報を表示する表示体が取り付けられる表示体取付部を天板上に有し、前記第1部よりも低い前記第2部は、座体が取り付けられる座体取付部を前記天板上に有する。
【0009】
本発明にあっては、前記第1部及び前記第2部のうち、相対的に高さが高い前記第1部の天板には、情報を表示する表示体が取り付けられて視認性が高まる、相対的に高さが低い前記第2部の天板には、座体が取り付けられて使用の利便性が高まる。
【0010】
本発明に係る電力装置は、前記機器は変圧器を含み、前記第1部には、前記変圧器の高圧側に接続される機器を含む高圧部が収容され、前記第2部には、前記変圧器の低圧側に接続される機器を含む低圧部が収容されている。
【0011】
本発明にあっては、前記第1部には前記高圧部が収容され、前記第2部には前記低圧部
が収容されることによって、前記第1部及び前記第2部において地面からの高さを異にすることができる。
【0012】
本発明に係る電力装置は、前記低圧部からの電力を外部装置に送給するための電力供給部が前記天板上に設けられている。
【0013】
本発明にあっては、前記筐体の前記天板上に前記電力供給部が設けられているので、前記電力装置の周辺に設置され得る様々な外部装置に、前記電力装置から電力を供給することができる。
【0014】
本発明に係る電力装置は、前記表示体取付部は、前記筐体の前記天板に突設され、前記表示体を取り付けるための取付孔を有する取付具を含む。
【0015】
本発明にあっては、前記表示体を前記天板上に取り付ける際、前記取付具を用いることによって、前記表示体の取り付け作業が容易になる。
【0016】
本発明に係る電力装置は、前記座体取付部は、前記筐体の前記天板に突設され、前記座体を取り付けるための取付突起を含む。
【0017】
本発明にあっては、前記座体を前記天板上に取り付ける際、前記取付突起を用いることによって、前記座体の取り付け作業が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電力供給に係る機器を収容する筐体に腰掛及び情報伝達媒体を共に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】電力装置の内部構成を示す模式的構成図である。
【
図3】電力装置に表示体及び座体が取り付けられた状態を示す設置図である。
【
図4】実施形態2に係る電力装置の内部構成を示す模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係る電力装置を図面に基づいて詳述する。
【0021】
(実施形態1)
図1は実施形態1の電力装置100を示す外見図である。
図1において、
図1Aは正面図、
図1Bは左側面図、
図1Cは平面図、
図1Dは右側面図である。
実施形態1に係る電力装置100は、いわゆる地上設置形変圧器であり、電力供給に係る機器を収容している。電力装置100は、例えば地上に設置され、地中に埋設された高圧ケーブルを引き込み、高圧ケーブルから供給された電力の電圧を変圧し、変圧後の電力を地中に埋設された低圧ケーブルを介して需要家に送る。
【0022】
図2は、電力装置100の内部構成を示す模式的構成図である。
図2では、便宜上、図に示す左右、上下の各方向により、電力装置100の「左」、「右」、「上」、「下」を定義する。また、
図2では、図面の奥行方向が前後方向である。
【0023】
電力装置100は電力供給に係る機器を収容する筐体1を備えている。筐体1は変圧器40と、変圧器40の高圧側に接続される機器を含む高圧部30と、変圧器40の低圧側
に接続される機器を含む低圧部50とを収容している。また、筐体1は後側の側壁に換気口3を設けている。
【0024】
筐体1は、強磁性材からなり、設置面(地面)からの高さが異なる第1部10と第2部20とを有する。筐体1は、平面視長方形をなしており、左側に第1部10が形成され、右側に第2部20が形成されている。第1部10の高さが第2部20の高さよりも高い。筐体1は天板6を有しており、天板6は、第1部10に係る第1天板4と、第2部20に係る第2天板5を有する。第1天板4及び第2天板5は段差を介して連続している。第1天板4及び第2天板5はいずれも矩形の扁平板である。
【0025】
筐体1の左側壁には、内部メンテナンス用の窓(図示せず)が形成されており、斯かる窓を開閉する扉11が設けられている。また、筐体1の右側壁にも、内部メンテナンス用の窓(図示せず)が形成されており、斯かる窓を開閉する扉21が設けられている。
【0026】
第1部10は、第1天板4に、後述の表示体P(
図3参照)を取り付けるための表示体取付部13を有している。表示体取付部13は第1天板4の一部であり、表示体取付部13には表示体Pを取り付ける為の取付具12が設けられている。
【0027】
取付具12は、例えば、等辺山形鋼又は不等辺山形鋼である。取付具12は、第1天板4の前後方向の両縁部の中央側にて、辺縁に沿って夫々設けられている。取付具12は両辺のうち一方が第1天板4の上面と平行をなして、第1天板4の上面に例えば溶接されており、他方は第1天板4から垂直に立設されている。前記他方の両端部には、ネジ孔121(取付孔)が夫々形成されている。
【0028】
第2部20は、第2天板5に、後述の座体B(
図3参照)を取り付けるための座体取付部23を有している。座体取付部23は第2天板5の一部であり、座体取付部23には座体Bを取り付ける為の取付突起22が設けられている。
【0029】
取付突起22は、例えばスタッドボルト又は植込みボルトであり、第2天板5に形成されたネジ孔(図示せず)に取付突起22の一端部が螺合され、第2天板5の上面に突設されている。第2天板5においては、前側辺縁部に、左右方向に適宜隔てて2つの取付突起22が突設され、各取付突起22から前後方向に同間隔を隔てて更に2つの取付突起22が突設されている。
【0030】
第1部10の内側には、高圧部30が収容されている。また、第2部20の内側には、低圧部50が収容されている。
【0031】
図3は、電力装置100に表示体P及び座体Bが取り付けられた状態を示す設置図である。地上に設置された筐体1の天板6に表示体P及び座体Bが取り付けられる。即ち、第1部10の第1天板4には表示体Pが取り付けられ、第2部20の第2天板5には座体Bが取り付けられる。
【0032】
表示体Pは、案内、広告、通知等の情報を表示し、電力装置100の近くを通行する通行人に伝達する情報伝達媒体である。表示体Pは、例えば、第1天板4に取り付けられた場合、縦断面視倒立のV字形状をなす屋根形板部P2と、屋根形板部P2の各辺縁から下方へ延びる側壁部P1とを有する。屋根形板部P2の2つの傾斜面のうち、前方の傾斜面には、通行人に対して知らせるべき情報が掲載される表示部P3が設けられている。
【0033】
表示体Pでは、側壁部P1のうち前方及び後方の部分に、取付具12のネジ孔121に対応する取付貫通孔P4が夫々2つずつ形成されている。
取り付けの際には、前方の取付具12及び後方の取付具12が、側壁部P1のうち前方部分の内側面及び後方部分の内側面と夫々対向するように表示体Pを配置させ、取付具12のネジ孔121及び表示体Pの取付貫通孔P4を合わせた状態で、取付貫通孔P4にボルトSを挿通させてネジ孔121と螺合させる。
【0034】
座体Bは、背もたれ部を有するベンチ形状を有しており、帯形状の金属板をU字形状に屈曲させた脚部B1を2つ有している。
図3の右図で示すように、座体Bは、第2天板5において、前側寄りに取り付けられる。
【0035】
座体Bを第2天板5に取り付けた場合、2つの脚部B1は左右方向に並設される。各脚部B1は、第2天板5の上面と平行であって前後方向に延びる平行部と、該平行部の両端から垂直に立ち上がる直立部とを有する。夫々の平行部には、座体取付部23の取付突起22に対応する貫通孔(図示せず)が2箇所に形成されている。
脚部B1の前記貫通孔に取付突起22を挿通させ、取付突起22の他端にナットを螺合させることによって、座体Bが座体取付部23に取り付けられる。通行人は座体Bに腰を掛け、休むことができる。
【0036】
以上においては、座体Bが背もたれ部及び脚部B1を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。座体Bが背もたれ部及び脚部B1を有さず、座面のみを有するように構成しても良い。
【0037】
以上のように、実施形態1の電力装置100は、筐体1に表示体P及び座体Bを共に取り付けることができ、かつ取付具12及び取付突起22を有するので表示体P及び座体Bの取り付けが容易である。また、筐体1の上に表示体P及び座体Bが設置されるので、表示体P及び座体Bに見立てることで、歩道の美観を損なうことを防止でき、かつ電力装置100が本来の役割に加え、腰掛及び情報伝達媒体としての役割を兼ねるので、歩道を効率的に活用できる。
【0038】
電力装置100は、以上のように、その構成に係る各機器の体積が大きく、機器の数が多いなどから広い収容スペースを必要とする高圧部30を第1部10に配置し、広い収容スペースを必要としない低圧部50を第2部20に配置している。これによって、一つの筐体1に、高さの異なる第1部10及び第2部20を設けることができ、腰掛及び情報伝達媒体の相反する高さ要件を満たしている。
【0039】
即ち、情報伝達媒体としての表示体Pは通行人が腰を曲げずに一見して表示部P3の内容を視認できる程度に高くする必要があり、腰掛としての座体Bは通行人が膝を曲げて腰を掛けられる程度に低くする必要がある。そこで、実施形態1の電力装置100では、高さが高い第1部10には表示体Pが取り付けられて表示体Pの視認性が高まり、第1部10よりも高さが低い第2部20には座体Bが設けられて使用の利便性が高まる。よって、高さ要件が異なる腰掛及び情報伝達媒体としての役割を両立させることができる。
【0040】
更に、実施形態1の電力装置100は、座体Bが第2天板5において前側寄りに取り付けられるように、4つの取付突起22を第2天板5の前側寄りに配設している。よって、座体Bが第2天板5の前側縁部に取り付けられるので、通行人が腰かけやすい。
【0041】
なお、変圧器40は、必要に応じてその一部を地中に埋設することによって、第2部20の高さが高くなることを抑制できる。
【0042】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る電力装置100の内部構成を示す模式的構成図である。実施
形態2の電力装置100は、実施形態1と同様、筐体1を備えており、筐体1は変圧器40と、高圧部30と、低圧部50とを収容している。
【0043】
実施形態2の電力装置100は、更に、外部装置へ電力を送給する電力供給部60を備えている。
図5は、実施形態2に係る電力装置100の平面図である。電力供給部60は、第2部20の第2天板5の上面に設けられており、ブレーカーを有している。電力供給部60は、第2天板5において、座体取付部23と干渉しない位置であって、扉21付近に設けられている。
【0044】
即ち、第2天板5においては、座体Bが前側寄りに設けられ、後側寄りであって扉21付近に電力供給部60が設けられている。よって、電力装置100の平面視において、座体Bの座面(
図5の二点鎖線参照)によって占められる範囲と干渉しない位置に電力供給部60が設けられている。従って、電力供給部60の使用が邪魔されない。
【0045】
電力供給部60は、低圧部50の端子板51に接続されており、端子板51を介して電力供給を受ける。即ち、端子板51は、低圧ケーブルが接続される複数の端子511を有しており、何れかの一つの端子511に電線61の一端が接続され、電線61の他端に電力供給部60が接続されている。第2天板5には貫通孔(図示せず)が形成されており、該貫通孔を通して電線61は電力供給部60と端子板51の端子511とを接続させている。
【0046】
実施形態2の電力装置100は、このような構成を有することによって、電力装置100の周辺に設置され得る様々な電気機器に電力を供給することができる。例えば、照明器具L(外部装置)を電力供給部60に接続させ、照明器具Lが表示体Pの表示部P3又は座体Bを照らすように構成しても良い。また、第2天板5において、座体取付部23及び電力供給部60と干渉しない位置に携帯電話機の基地局を設置し、該携帯電話機の基地局に電力供給部60から電力を供給するように構成しても良い。
【0047】
第2天板5上で、座体取付部23と干渉しない位置に電力供給部60を設けているので、一つの筐体1に表示体P及び座体Bに加え、電力供給部60まで取り付けることができ、筐体1を有効に活用できる。
【0048】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0050】
1:筐体、4:第1天板、5:第2天板、6:天板、10:第1部、12:取付具、13:表示体取付部、20:第2部、22:取付突起、23:座体取付部、30:高圧部、40:変圧器、50:低圧部、60:電力供給部、100:電力装置、121:ネジ孔、B:座体、P:表示体、L:照明器具